2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会計の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月22日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当社グループが紹介する産業廃棄物の収集・運搬業者や中間処理業者による不法投棄等によるリスク

当社グループが資源発生元に対して提案・紹介する産業廃棄物の収集・運搬業者や中間処理業者については、その選定の過程で許認可の取得状況や財務状況等を訪問調査や外部の信用調査機関等による調査で確認を行い、信用できると当社グループが判断した業者に限定して紹介をしております。しかし、当社グループの紹介した業者が不法投棄等を行った場合、当社グループが「産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物処理法)等に基づく罰則を受けることはありませんが、当社グループの信用が低下し、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② リサイクル工場施設の賃貸借契約について

当社グループのリサイクル工場のうち、姫路循環資源製造所においては施設用地の一部(総面積21,487.43㎡中、7,505.55㎡分)及び工場建物の一部、北九州循環資源製造所においては施設用地を賃借しております。

現時点においては、用地及び建物の貸主と当社グループの関係は良好であり、貸主から契約期間中の解約の申し出がなされる可能性は低いものと考えておりますが、貸主側の事情の変更等により、予期せぬ解約の申し出がなされる可能性があります。仮に、解約の申し出がなされた場合、当該施設は産業廃棄物の中間処理施設であることから、代替の用地及び建物の確保には相当の困難が伴うものと予想されます。従って、解約の申し出がなされ、代替の用地及び建物が適時に確保できない場合には、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法的規制について

当社グループが行うサーキュラーマテリアル事業は、廃棄物処理法上、産業廃棄物の処分に該当し、また、発生品の運搬に関して積み替えのための保管を行うことは産業廃棄物の収集・運搬に該当します。従って、当社グループのサーキュラーマテリアル事業は廃棄物処理法の規制を受けることになります。

(イ)産業廃棄物処理業許可

廃棄物処理法上、産業廃棄物の収集・運搬(保管・積み替えを含む)及び処分(中間処理・再生を含む)を業として行うためには各自治体の許可が必要とされております。そのため、当社グループは、産業廃棄物処理業に関する許可を取得しており、その許可と有効期限は以下に示すとおりです。

<アミタサーキュラー株式会社>

a. 産業廃棄物処分業許可(姫路市長)許可番号07023000689号 2027年11月1日

b. 特別管理産業廃棄物処分業許可(姫路市長)許可番号07073000689号 2027年11月1日

c. 産業廃棄物処分業許可(茨城県知事)許可番号00821000689号 2027年12月25日

d. 特別管理産業廃棄物処分業許可(茨城県知事)許可番号00871000689号 2027年12月25日

e. 産業廃棄物処分業許可(北九州市長)許可番号07620000689号 2029年6月28日

f. 産業廃棄物処分業許可(宮城県知事)許可番号00429000689号 2026年6月8日

g. 産業廃棄物収集運搬業許可(兵庫県知事)許可番号02802000689号 2030年4月26日

h. 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可(兵庫県知事)許可番号02852000689号 2029年7月1日

i. 産業廃棄物収集運搬業許可(姫路市長)許可番号07013000689号 2027年11月1日

j. 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可(姫路市長)許可番号07063000689号 2027年6月14日

k. 産業廃棄物収集運搬業許可(岡山県知事)許可番号03303000689号 2024年8月21日

 

 

(ロ)事業活動の停止及び取消要件について

廃棄物処理法上、不法投棄、無許可営業、無許可変更及びマニフェスト虚偽記載等一定の要件に該当する場合には、当社グループに対し事業の停止命令及び許可の取消処分がなされる可能性があります。

当社グループは、内部監査等を通じて定期的に業務における法令遵守の確認を行い、廃棄物処理法の事業停止要件、許可取消要件に該当することのないよう努めております。万が一、当社グループの業務がこれらの要件に該当し、事業停止命令、許可取消処分がなされた場合、当社グループの強みである自社製造所によるサーキュラーマテリアル製造業務が不可能となり、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ハ)許可の更新

廃棄物処理法上、産業廃棄物処理業の許可は有効期限が5年間(優良産業廃棄物処理業者認定制度による優良認定を受けた場合は7年間)とされており、当社グループが有する産業廃棄物処理業の許可には上記のような有効期限が定められているため、該当許可の有効期限が切れる場合は許可を更新する必要があります。また、更新が認められるためには廃棄物処理法上の基準に適合している必要があります。

現在当社グループは、当該基準に適合しており、許可が更新されない事由は発生しておりません。しかし、今後の更新時に廃棄物処理法で規定されている基準に当社グループが適合していると認められない場合、許可の更新がされず、当社グループのサーキュラーマテリアル製造施設等の操業が停止することで当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ニ)新たな処理業の許可又は事業範囲変更の許可取得

当社グループが新たな事業展開を行うにあたり、事業範囲変更の許可又は許可の新規取得が必要となる可能性が考えられます。これらの許可を取得するためには、当社グループが廃棄物処理法の基準に適合している必要があります。

現在当社グループは、当該基準に適合しており、許可の取得が認められない事由はございませんが、万が一、廃棄物処理法に規定されている基準に当社グループが適合していると認められない場合、許可の申請が却下されることになります。また、当社グループがすでに取得している廃棄物処理業許可の停止並びに取消要件に該当した場合、許可の新規取得は不可能となります。このような事態が発生した場合、新規事業の展開自体が不可能となり、当社グループの事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 環境認証審査サービスについて

当社グループが行う環境認証審査サービスの業務執行に当たって、FSCについては審査会社としての資格、MSC・ASCについては認証機関としての資格を維持するため、それぞれFSC認証機関(Soil Association、ソイルアソシエーション)及び第三者認定機関であるASI(Accreditation Service International、国際認定サービス)の各種監査を受けます。当社グループは、サービスのQMS(Quality Management System、品質管理システム)の維持・向上に取り組んでおりますが、当該監査を通過できなかった場合、審査及び認証サービスの資格が一時停止又は取消されることで当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 為替変動の影響について

当社グループは台湾・韓国・マレーシア等の海外の会社と取引を行っており、これらの会社との取引は主に米ドル建てですが、海外事業の展開に伴い現地通貨建て取引が拡大する見通しであることから、円/米ドル並びに、円/現地通貨の為替レートの変動リスクが発生いたします。為替変動リスクは完全に排除することは困難であり、為替変動は当社グループの業績に影響を及ぼすことがあります。

 

⑥ 財政状況、経営成績について

(イ)借入金の依存度について

当社グループの事業においては、循環資源製造所における設備投資や効率的な営業戦略を実行するためのIT設備投資及び営業網拡大・人員増強等のための投資が不可欠ですが、これらの投資及び運転資金の拡充等により、2023年12月期末における総資産に占める借入金の比率は33.6%であります。今後、経済情勢の変化による金利上昇により支払利息負担が増大することで、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ロ)業績の変動について

当社グループの事業において扱う発生品(廃棄物等)は、資源発生元の製造工程から副次的に発生する物であり、製造業において大幅な生産調整等が行われた場合、発生品の取扱量も想定を下回ることで、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ハ)競争の状況について

当社グループは企業のサステナビリティ向上ニーズに対して、約45年に渡り培ったサステナビリティ分野の良質なネットワーク、並びに人・資源・情報などの経営資本を活かした統合的な提案を行っており、100%資源化サービスにおいても、天然資源の代替製品を製造するリサイクル事業から、持続可能な調達・資源活用の総合ソリューションを提供するサーキュラーマテリアル事業へ高度化するなど、他社との差別化を進めております。ただ、産業廃棄物の排出量は近年漸減の傾向がみられ、さらに、自治体等による廃棄物処理のマッチング提案等がインターネットの普及により低廉化されております。また環境市場の拡大に伴い、新しいビジネスモデルで環境市場に参入する企業も増加しており、環境市場の拡大・活性化は当社グループにとってもチャンスです。しかしながら、競争の激化が当社グループの顧客の流出に繋がる可能性もあり、その場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑦ 事故、自然災害等による影響について

当社グループの循環資源製造所には、破砕機や混合機などの製造設備があり、多量の可燃物を取り扱っていることから、様々な安全対策の徹底を図り、対人・対物を問わず、事故防止に務めております。しかしながら、万一重大な事故が発生した場合には、操業を停止せざるを得ない事態や設備の復旧に多額の投資が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、国内外の製造拠点や事務所等において、大規模地震や台風等の自然災害、その他戦争やテロ等、当社グループの制御不能な事態が発生し、事業活動に支障が生じた場合やそれに伴う環境汚染が生じた場合には、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、中核拠点である循環資源製造所においては、当該拠点に影響を及ぼす自然災害等の緊急事態の発生に対して、平時の事前の対策、緊急事態発生時の初動対応、緊急対応及び復旧対応等の計画を定めておくことで、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、身体・生命の安全確保を図りながら優先的に継続・復旧すべき重要業務の継続又は早期復旧を達成することを目的とし、事業継続計画(BCP)を設定しております。

 

⑧ 情報セキュリティについて

当社グループは、事業遂行の一環として、多数の個人情報を有しています。また、当社グループの各サービスに関する営業秘密を多数有しています。当社グループは、情報管理に対策を講じていますが、不測の事態によりコンピュータウィルス、ソフトウェア又はハードウェアの障害、災害、テロ等により情報システムが機能しなくなる可能性や、情報が流出し、第三者がこれを不正に取得、使用する可能性があり、このような事態が生じた場合、当社グループの事業や、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 財務制限条項の付された借入契約について

当社は、シンジケートローン契約を締結しており、この契約には各年度の決算期末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額や、各年度の決算期における連結損益計算書の当期損益を基準として財務制限条項が付されています。これに抵触した場合、借入金の返済を求められ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 人的資本の確保について

労働人口が恒常的に減少し、働き方の多様性が加速していく中で、新たな人材確保の難易度が上がった場合や既存人材が流出する等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。なお、Well-being向上により価値創出力を高める週32時間就労への挑戦、価値創出につながる多様な働き方としてリモートワークの推進や社会活動に対する有給休暇制度等の実施、さらには挑戦を促進する目標管理制度の導入や教育訓練施策の強化等を図っております。

 

⑪ 新型コロナウイルス感染症及びこれに類する大規模な感染症等の発生について

新型コロナウイルス感染症は、規制が大幅に緩和され、国内外の社会経済活動への影響は低減していると認識しており、当該感染症の影響については、連結業績に大きな影響を与えるものではないと判断しております。当社グループとしては、当該感染症が再拡大又はこれに類する大規模な感染症等が発生した場合に備え、顧客企業や取引先を含むステークホルダーの皆様への影響を抑えるべく、非対面・遠隔での商談やサービス提供等の推進やリモートワーク等の社内対応策等を継続・発展させてまいります。なお、当該感染症が再拡大又はこれに類する大規模な感染症等が発生した際のリスクとして、顧客企業や取引先において大幅な生産調整や計画変更等が行われた場合や、当社グループ社員に感染者が発生し製造拠点や事業所等における事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ ロシア・ウクライナ情勢に関連する影響等について

ロシア企業との有価物取引の一部又は全部が停止することで、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。ただし当該取引の売上全体に占める割合は1%以下であり、当社グループ全体の業績に与える影響は軽微であります。また、同情勢による資源価格の高騰が産業界に影響を及ぼすことで、短期的には足元の結果・評価に直結する事業活動を優先する企業が増加し、その結果、顧客企業のESG経営や脱炭素計画が停滞・遅延することが考えられます。それにより当社のコンサルティングサービス等の提供・拡大がずれ込み、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、長期的には資源価格の高騰により国産化・内需拡大が進み、短期的にも製造業における代替資源(リサイクル原料)へのニーズや、持続的なビジネスモデルへの事業変革・移行戦略のニーズは継続・拡大していくと考えており、当社グループ事業拡大への追い風と捉えています。

また、中東情勢や台湾情勢についても注視すべき国際情勢として情報収集並びに影響分析を進めてまいります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社グループは、「持続可能社会=発展すればするほど自然資本と人間関係資本が増加する社会」の実現を目指し、その実践においてはステークホルダー経営(株主・顧客・取引先・従業員・地域社会を含む)を目指しております。

ステークホルダーの皆様の共通の望みである「持続性」を実現するためには、新型コロナウイルス感染症パンデミックや不安定な国際情勢等にも起因するエネルギー・資源価格の高騰の影響等によって従来の成長エンジンであった安定した「グローバル市場及びグローバルサプライチェーン」が不安定さを増す時代において、将来リスクを解決するための新規市場及び人的資本への投資が重要であると認識しております。すなわち、当該投資活動を積極的に行い、企業競争力と企業価値を向上させることが、ステークホルダーの皆様への中長期的利益還元として重要な経営課題の一つであると考えております。

以上を踏まえ、企業・自治体等における持続性向上ニーズが急速に顕在化してきている情勢から、当該ニーズに応える統合的な新サービスの開発と提供に向けた投資活動を一定期間拡大・継続することとし、この投資・開発期間は当期純利益の10%相当額の期末配当を目標としてまいります。そして、新しい成長エンジンである、持続的で安定的な「サーキュラーサプライチェーン及びローカルコミュニティネットワーク市場」の構築・安定化をもって、財務体質と経営基盤の強化を図るとともに、必要な内部留保を確保しつつ、当期純利益の30%相当額の期末配当を目標として、ステークホルダーの皆様に対して適正な利益還元を継続的に実施してまいります。

当社は、年1回の期末配当を行うことを基本方針としており、その決定機関は株主総会であります。

当連結会計年度の配当につきましては、上記方針に基づき当期は1株当たり4.0円の配当を実施することを決定しました。この結果、当連結会計年度の連結配当性向は22.8%となりました。

内部留保資金については、上記にも記載のとおり、統合的な新サービスの開発、設備増強、営業力強化、人的資源の充実、経営資源の増幅に資する施策等の将来の成長に向けた有効な投資活動に充当し、企業競争力と企業価値の向上に取り組む考えであります。

また、当社は、「取締役会の決議によって、毎年6月30日を基準日とする中間配当を行うことができる」旨を定款に定めております。

なお、当連結会計年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年3月22日

70,209

4.0

定時株主総会決議