2023年12月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社の事業に関し、経営者が投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクは以下のようなものがあります。同時に、リスクにはプラス側面(機会)もあると捉えており、その内容は「3.事業に関する機会」に記載しております。また、以下に記載の内容は当社に関する全てのリスク・機会を網羅したものではありません。
 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日(2024年3月29日)現在において入手し得る情報に基づいて、当社が判断したものです。

 

1.事業に関するリスク

区分

リスク

主な対策

顕在化した場合の影響度

顕在化する可能性

リスク認識の前年からの変化

市場環境

国内

・消費者の消費動向の変化、多様化する消費者ニーズへの対応遅れによる既存事業への影響、成長機会の損失
・他社との競争激化を起因とする主力ブランド商品の販売減少、リベート増加等による収益性低下

・主力ブランド商品の刷新及び育成
・新ブランド商品の開発及び育成
・デジタルマーケティングの推進
・デジタルプラットフォーム「Kanro POCKeT」を通じた販売拡大、新たな商品・サービス提供
・国内キャンディ市場のシェア拡大によるコア事業強化、競争優位性の確立
・糖の価値創造活動の実施
・イノベーティブな飴(ハードキャンディ)商品の開発に向けた取組み

・少子高齢化、人口減少の影響による国内キャンディ市場の縮小
・糖に対するネガティブな風評の拡大による事業への影響

海外

・TPP、日EU経済連携協定など関税引き下げによる輸入品との価格競争
・海外市場進出遅れによる機会損失

・戦略的パートナーを通じた中国市場他への進出
・戦略的な輸出売上の増加
・海外専用商品、国内外統一規格商品の開発

食の安全・安心

・製品の品質、表示不備によるお客様からの信頼低下
・輸出国の品質基準を充足しない製品輸出による現地のお客様からの信頼低下

・SNS等における風評被害の発生による企業価値毀損

・カンロ品質方針に基づく、サプライチェーン全体での総合品質向上を目指した取組みの強化

・食品安全マネジメント充実のため、FSSC22000運用による品質管理
・CS向上委員会の設置

・SNS等の継続的なモニタリングによる不適切な情報の早期発見

 

 

区分

リスク

主な対策

顕在化した場合の影響度

顕在化する可能性

リスク認識の前年からの変化

サプライチェーン

原材料調達

・調達価格の変動による原価上昇
・調達先の倒産など、調達先起因による供給の不安定化

・計画的な購買による原価低減
・同一原材料の複数購買の実施
・代替原料の検討
・サプライヤーとのエンゲージメント向上

生産

・製造設備トラブルによる生産遅延、停止
・製造工場のオペレーションを担う人材の確保

・エネルギー価格上昇による収益性の低下

・計画的な設備保守、メンテナンスの実施

・生産合理化に向けた設備投資

・スマートファクトリーの実現に向けた取組み

 

物流

・欠品発生による機会損失
・需要予測の見誤りによる長期滞留在庫の発生
・輸送コスト上昇による利益圧迫

・需給予測精度の向上
・発注ロット見直しなど安定供給に向けた配送体制の構築

自然災害・感染症等

・大規模地震、河川氾濫などの自然災害による企業活動の停滞、停止
・感染症等のまん延による企業活動の停滞、停止

・企業活動の早期回復に向けた災害、感染症BCP運用
・工場の水害に備えた浸水対策の実施

財務

資金

調達

・シンジケートローンの財務制限条項へ抵触するリスク

・財務体質の維持、強化

 

 

2.経営基盤に関するリスク

区分

リスク

主な対策

顕在化した場合の影響度

顕在化する可能性

リスク認識の前年からの変化

情報システム

・システム障害による企業活動停滞、停止
・サイバーテロ、不正アクセス等による企業活動の停滞、停止や情報漏洩

・情報セキュリティポリシー及び情報セキュリティ管理規程の遵守
・サイバー事故対応に関する規程、マニュアル整備
・定期的な社員情報セキュリティ教育及び訓練の実施
・サイバーセキュリティリスク対策の強化
・SaaS利用に関する内部管理体制の強化

地球環境

・企業活動における環境配慮への欠如による企業価値毀損
・気候変動による原材料の調達不全
・気候変動による当社製品需要への影響

CO₂排出量削減、食品廃棄物削減の為の生産設備投資
・製品の賞味期限延長などフードロス削減に向けた各種取組み
・包装資材等の新たな環境配慮型素材への変更
・各工場における排水処理の適切な実施

 

 

区分

リスク

主な対策

顕在化した場合の影響度

顕在化する可能性

リスク認識の前年からの変化

人権の尊重・ダイバーシティ

・人権に関する取組み不十分による企業価値毀損
・多様な人材確保の困難
・多様な人材活躍を推進する、働く環境の整備遅れによる競争力低下

・カンロ人権ポリシー策定、運用
・人的資本経営の推進
・カンロファームの取組み強化
・ダイバーシティに係る社員教育の定期的実施

ガバナンス

・コーポレート・ガバナンス、内部統制の機能不全による事業継続のリスク
・コンプライアンス違反発生による企業価値毀損
・事業過程で取得した個人情報の漏洩や不正利用等

・コーポレート・ガバナンス体制の強化
・投資家向け説明会の開催による機関・個人投資家とのエンゲージメント向上
・ガバナンス委員会、コンプライアンス委員会の設置
・定期的な社員コンプライアンス、ハラスメント研修の実施
・ソーシャルメディア規程の遵守
・個人情報保護規程の遵守

 

 

3.事業に関する機会

(デジタル化について)

ITとデジタル技術の進化が、ビジネスや日常生活に大きな変化をもたらし、その変化は急速に進んでいます。

当社は、デジタルプラットフォーム「Kanro POCKeT」を核に、同プラットフォームへのコミュニティ機能の実装及びアプリ化、効果的なSNS運用など当社ECビジネスの拡大、デジタルマーケティングの進展は、各事業を超えた新たな提供価値を可能にし、顧客との接点を増やすことで、ブランドロイヤリティの向上とロイヤルカスタマーの拡大に寄与すると認識しております。
 また、スマートファクトリー化の推進による生産現場でのデジタルツールの活用、全役職員のITリテラシー及びスキル向上、RPAツール活用による業務効率化等を図ることで、更なる生産性の向上や働き方改革を実現させることができると認識しております。

 

(グローバル化について)

TPP、日EU経済連携協定などの発効により、キャンディの輸入関税率は漸次低下・撤廃されることから、将来輸入品の価格競争力が高くなる、販売促進が強化されるなどの動きが加速し、特にグミ市場においては国内市場もグローバル化が進む可能性があります。

そのような状況を踏まえて、当社が海外本格進出を見据え、ブランド基軸経営で商品の海外規格対応やマーケットに適応した商品開発に取組むことは当社の輸出売上を拡大させるだけでなく、ブランド力の向上及びより強固な品質保証体制の構築につながり、将来のキャンディの国内輸入関税率の漸次低下・撤廃下においても、国内キャンディ市場においてトップシェアである当社の競争力を大きく向上させると捉えております。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

(1) 株主の皆様への利益還元は重要な政策であり、「中期経営計画2024」において、2024年度までに配当性向を40%まで段階的に引き上げる株主還元の拡充を定めております。当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。当社は、毎年6月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。また、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めております

 

(2) 当期の期末配当金につきましては、1株につき38円としております。2023年6月30日を基準日として1株につき20円の中間配当金をお支払いしておりますので、当期の年間配当金は、中間配当金20円と期末配当金38円を合わせた1株あたり58円、配当性向は32.8%となります。翌事業年度については、「中期経営計画2024」の配当方針に則って、配当性向を40.1%まで引き上げ、1株当たり年間配当金72円(中間配当金30円、期末配当金42円)を予定しております。

 

(3) 内部留保につきましては、「Kanro Vision 2030」の実現に向けた成長投資等に活用し、人的資本への投資を含む経営基盤の強化を図るために有効活用してまいります。

 

(4) 自己株式の処分・活用につきましては、当社成長発展のためのより良い資本政策を検討し、時宜にかなった決定をしてまいります。

 

 (注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、次のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(千円)

1株当たり配当額
(円)

2023年7月27日

取締役会決議

287,864

20.00

2024年2月8日

取締役会決議

546,937

38.00