リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している事項を記載しております。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
〔経済情勢に関する重要なリスク〕
国内外における景気の変動は、当社グループの主たる事業である広告関連事業においてその景況の悪化等に伴いクライアント広告・宣伝費の支出が減少した場合には、当社グループの業績に大きな影響を与えることが考えられます。
これに対し、当社グループは広告関連事業などの特定のビジネスに依拠しない総合映像プロダクションとしての事業ポートフォリオを構築することによってリスクを分散させ、また当社グループのクリエイティビティを高めることによって普遍的な価値を生み出すことで景況の変化に対応してまいります。
〔事業戦略上の重要なリスク〕
(1)広告プロダクションに関するリスク
広告関連における事業環境は、昨今のインターネット、ソーシャルメディア等の発展に伴い、宣伝広告の手法が変化してきております。広告制作における市場での競合状況、制作手法等の変化に当社グループが適応できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、クリエイティブな人材を積極的に育成し、既存のTVCM等広告制作におけるクリエイティビティを維持して各クライアントとの安定的な取引が確保できるよう努めるとともに、デジタルやインタラクティブ、またAI生成等を用いた新しいコミュニケーション手法への対応も進め、クライアントに対して統合的なソリューションを提供することによって競争力を強化してまいります。
(2)コンテンツプロダクションに関するリスク
映像コンテンツ関連における事業環境は、配信・サイネージ等プラットフォームが多様化してきており、従来の番組・CM等の既存映像だけに依存し市場の変化に適切に対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、この市場変化を踏まえ、新しいプラットフォームに対応できるようスキルを獲得しサービス提供をベースとした業態への転換を図るとともに、ワークフローの見直しや固定費の削減等効率化を進めることで競争力の強化に努めてまいります。また、音響字幕関連の事業環境においては、AI技術の進歩により吹替市場が縮小した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはAIの脅威が少ないと想定されるゲームやアニメの市場の拡大をするとともに、外画市場ではAIを活用した日本語版制作の実績・検証を行い、AI活用のビジネスモデルを確立し、業界内における優位性を保持してまいります。
(3)メディアに関するリスク
① 有料放送市場の変化によるリスク
当社グループが各種専門チャンネルを運営する有料放送市場においては、衛星放送、CATV等の従来の有料多チャンネル放送プラットフォームと異なる配信系サービスが台頭し、視聴デバイスや視聴ニーズの多様化はますます加速しております。有料放送市場の縮小等に伴う市場変化に適切に対応できなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは存続可能なチャンネルの選択と集中を行い、放送関連業務及び間接業務の固定費の削減等の効率化を推進し、事業の適正規模化を早期に実現してまいります。また、独自性の高いIPの活用による配信事業の強化、IP強化のためのオリジナル制作番組の検討を進めて、他社との差別化を打ち出し収益力の向上を図ってまいります。
② テクニカルセンターの大規模災害等に関するリスク
テクニカルセンターは、衛星放送に不可欠な番組送出設備を保有し、衛星放送関連の受託業務を行っております。地震・火災等の大規模災害によりこれら設備が被害を受ける可能性があり、保険等による対処は行っておりますが、業務再開までに長期間が必要となる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)プロパティに関するリスク
当社グループでは、映像使用権を国内外の権利元から買い付けております。永年培ってきたこれら権利元との関係維持・強化を図っておりますが、国内外の権利元において映像使用権の自社での独占使用等販売方針の転換が生じた場合には、映像使用権の買付けに影響が出ることが考えられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、引き続き権利元との関係維持・強化を図るとともに、独立系の作品発掘も強化し、買付けへの影響を低減してまいります。
(5)減損損失に関するリスク
当社グループの成長に資するものとして行われるM&Aや設備投資において、これら投資に係る事業が目論見通りの収益を上げられなかった場合、のれんや有形固定資産の減損損失を計上する必要が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような投資を行う際には、十分な事前調査や精緻な投資回収計画をもとに意思決定するとともに、投資後の事業の進捗状況のモニタリングを行い、当該リスクの低減に努めてまいります。
〔コーポレートガバナンス上の重要なリスク〕
(1)コンプライアンスに関するリスク
法令等の違反によって社会的信用の失墜を招くことや、制裁金等経済的損失を被ることなどのないよう、コンプライアンス基本方針並びに当社社長を委員長とするコンプライアンス委員会の体制のもと、役職員のコンプライアンスに対する意識の徹底、定着を図り、コンプライアンス違反の防止に取り組んでおります。
(2)法的規制に関するリスク
当社グループは事業活動を行う上で放送法などの法規制の適用を受けており、必要な許認可を取得し事業を行っております。今後これらの法規制において、予期せぬ変更や行政の指導方針の変更等が生じた場合、業務遂行に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは関連法令の改正情報等の収集及び分析を実施し、対応方法の事前検討を行い、当該リスクの低減に努めてまいります。
(3)個人情報保護及び情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、関連チャンネルの加入者情報をはじめとした個人情報の保護や広告主の新商品情報等の重要情報の管理については社内管理体制を整備し、細心の注意を払っております。しかしながら、第三者による不正アクセス等により個人情報が流出した場合には、社会的信用の低下や不測のコスト負担等によって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)労務管理に関するリスク
従業員の長時間労働は、健康障害や心身の不調につながる恐れがあり円滑な業務の遂行に支障をきたす可能性があるだけでなく、これに起因して労働災害等重篤な事故が発生すると、損害賠償等経済的な損失や、社会的信用の失墜を招く可能性があります。当社グループでは、長時間労働の是正推進のため、2024年4月より「みなし労働時間制」を原則撤廃し、「フレックスタイム制」を適用しました。労務管理においては組織ごとに勤務状況の確認を行うとともに、各部門の労働状況に関して人事部・内部監査室がモニタリングを行い適正な労務管理を促しております。更に個々が毎月遵守すべき労働時間をリアルタイムで日々確認できる勤怠システムへの変更を行うとともに、深夜残業及び休日出勤の事前申請・承認の徹底等を行い、管理体制を強化して、適正な労務管理に取り組んでまいります。
配当政策
3【配当政策】
当社は「中期経営計画」に基づき、5年間で約500億円のキャッシュを「構造改革」「M&A」「株主還元」に、バランスよく有効に活用していくことを基本方針としております。健全な収益を継続的に生み出すことのできる事業形態に向けて、今後大胆な変革を行っていく過程で、中期経営計画の期間中には特別損失等により株主の皆様にご心配をおかけする可能性もあるため、「構造改革」「M&A」と同等のバランスで、株主の皆様に対する「株主還元」も実行していく方針としております。
当事業年度の配当につきましては、その方針に則り、従来の水準を上回る1株当たり78円の普通配当を実施いたしました。この結果、当事業年度の配当性向は56.3%となりました。
当事業年度の剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
なお、当社は、2024年6月27日開催の定時株主総会において定款の一部変更を決議し、取締役会の決議による四半期配当制度を導入いたしました。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年6月27日 |
3,505 |
78 |
定時株主総会決議 |