リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループは、短期及び中・長期的な経営成績、株価及び財務状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクを、主に外的要因に起因するもの、内的要因によるもの、その両方の側面を持つものの15の事象に区分し、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力を行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 景気の変動によるリスク
当社グループの事業は、国内外の経済、景気動向及び顧客企業の輸送需要の動向に影響を受けます。特に、国内景気の大幅な落ち込みによる消費の低迷や極端な円高、海外景気の深刻な落ち込みによる輸出入量の減少や輸配送料金の値下げ圧力などが発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業の多様化の推進、取引先企業の拡大などによりリスクの分散を図るとともに、事業ポートフォリオの充実と最適化を推進しております。
② 燃料価格高騰によるリスク
当社グループの主力事業である物流事業には、軽油・ガソリンなどの燃料が不可欠です。世界的な原油価格の高騰や為替変動による燃料価格の想定を超えた値上がりは、コストの増加要因となります。燃料価格の想定を超えた値上がりコスト増加相当分を料金に転嫁できない場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、世界的な市場の動向を注視するとともに燃料価格の変動を予測した予算の策定及びエコドライブの推進や段階的な次世代自動車の導入などにより、燃料効率の高い物流サービスへの転換を推進しております。
③ 金融環境悪化によるリスク
当社グループの重要な成長戦略として、M&Aや3PL事業推進のための物流施設の開発を行うにあたり、必要な資金は主に金融機関からの借り入れで調達しておりますが、金融環境の悪化は戦略投資への資金調達が困難となり、調達金利の上昇が起こる可能性があります。また、一部借入金には、財務制限条項が付されておりますが、これに抵触することで当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、物流施設の流動化や営業キャッシュ・フローなどによる有利子負債の返済促進と金利の固定化などの対策を講じております。
④ M&Aのリスク
当社グループは、既存事業の規模拡大や新規事業分野へ進出するに際し、事業戦略の一環としてM&Aや資本参加、資本提携などを行っておりますが、予測できない事態により買収や提携後の事業計画の進捗が当初の予定より大幅に遅れた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、M&Aや資本参加、資本提携などにおいては事前デューディリジェンスを徹底し、被買収企業の経営層との丁寧な調整を行います。
⑤ 不動産事業のリスク
当社グループの不動産事業は、開発事業と賃貸事業で構成されております。開発事業における物流施設の新規開発にあたっては、販売用、賃貸用に関わらず顧客の確保を前提としており、入居者あるいは販売先を決定したのちに、顧客のニーズに合わせた仕様あるいは賃料や賃貸期間などを決定し、着工しております。そのため、受注時期や規模、仕様、完成時期、販売時期によって売上及び利益が一定の時期に偏る場合や遅延が生じる場合があります。
当社グループでは、顧客の確保を前提とした物流施設の開発を行っております。
⑥ 法制度変更によるリスク
当社グループの主力である物流事業では、貨物自動車運送業や倉庫業、通関業などの物流に関する各種事業法、不動産事業では建築基準法や金融商品取引法、人材事業では労働者派遣法などの様々な法規制を受けております。それらが、社会情勢の変化に応じて改正や強化、解釈の変更などが行われた場合は、新たな費用負担の発生や事業展開の変更を求められる可能性があります。これらの対応に新たな費用負担が発生した場合は、コストの増加要因となります。
当社グループでは、法令遵守を旨としており、業界団体をとおして情報を収集するほか、法令や制度の変更を予め想定した対策を講じております。
⑦ 自然災害等の発生によるリスク
当社グループは、トラックによる輸送や物流センターの運営を主体に事業を展開しており、大規模な自然災害などが発生した場合は、大きな影響を受けます。当社グループは首都圏に多くの物流施設を有しており、大規模な自然災害が発生した場合は、荷主企業や当社施設の被災、交通網の遮断・混乱、電気・水道などのライフラインの停止などにより、事業の継続が困難となる可能性があります。
当社グループでは、「事業継続計画(BCP)」において災害状況の想定及び対応策を定め、定期的な訓練の実施や主要な建物の耐震性の確保、事業拠点の可能な範囲での分散化を進めております。
⑧ 新型コロナウイルス感染症によるリスク
当社グループや荷主企業で感染症による発症者が確認された場合は、オペレーションの制限や停止を余儀なくされるなど、当社グループの事業活動に様々な影響を与えます。また、従業員等を感染症から守る感染防止対策費用は、コストの増加要因となります。
当社グループでは、事業所及びトラックなどの事業用車両の衛生管理を徹底するほか、従業員等には国の指針に従い、出社時の検温の実施及び健康状態の確認、手洗いや手指の消毒の励行、マスク着用の徹底を図っております。
⑨ 重大事故発生によるリスク
当社グループは、トラックなどの事業用車両が公道を利用し、顧客の商品または製品の輸配送を行っておりますが、万が一、人命を失うような重大な事故を起こした場合は、被害者からの訴訟や顧客からの信頼喪失や社会的信用の毀損、営業停止または事業用車両の運行停止などの行政処分を受ける可能性があります。
当社グループでは、当社と当社グループが協働して設置する「SBSグループ運輸安全推進会議」にて教育・啓発、事故防止、安全運転管理の3つを重点施策としてグループ全体で運輸安全マネジメントを推進しております。
⑩ システムダウンによるリスク
当社グループは、顧客の商品・製品の管理、倉庫管理、通関処理などの業務システムから会計システム、人事給与システムなどの社内システムに至るまでコンピュータやネットワークを使用しております。万が一、コンピュータの故障やウイルスへの感染、外部からのハッキング、大規模な自然災害などによりシステムがダウンした場合は、オペレーションの停止や制限を余儀なくされ、業務処理の遅延や混乱を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、SOC(Security Operation Center)サービスによるネットワークの監視や確認、AIを用いたウイルスの監視、次世代ファイヤーウォールによりセキュリティ強化を図っております。また、当社と当社グループ会社が協働して設置する「SBSグループ情報セキュリティ推進会議」にてグループ全体でセキュリティ対策と教育・啓発を推進しております。
⑪ 顧客情報の流出リスク
当社グループは、個人情報を含む多くの顧客情報を扱っており、潜在的に個人情報や顧客情報の流出、データの喪失リスクがあります。万が一、顧客情報の流出やデータの喪失などの事態を招いた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、社内規程で顧客情報の適正な管理を定めるとともに、「SBSグループ情報セキュリティ推進会議」のもとで、グループ全体で顧客情報の適正管理のための対策を推進しております。
⑫ コンプライアンス違反によるリスク
当社グループは、様々な法令や幅広いルール、社会的規範のもとで事業を展開しており、関連規制への抵触や取締役や従業員等による不正行為が発生した場合は、当社グループの信用毀損や取引の停止などにより多額の損害賠償請求などを招き、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「SBSグループコンプライアンス規程」を定め、当社グループを構成する取締役や従業員等がコンプライアンスに則した行動を取るための体制や仕組みの構築を推進するとともに、「SBSグループ行動基準」を定め誠実で公正・透明な企業風土を醸成するよう努めております。
⑬ 国際展開によるリスク
当社グループは、持続的に成長するために海外での事業展開に取り組んでおりますが、進出国または進出地域の政治体制や法規制の変化、景気の後退による経済状況の変化、感染症にともなう疾病の発生などにより社会的混乱が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、進出国または地域に関する情報を常に収集し、分析を行っております。
⑭ 人材の確保と育成のリスク
当社グループでは、人材の重要性を認識し、採用活動や人材育成に注力しておりますが、必要な人材を確保できない場合や多くの人材が社外へ流出した場合、人材の育成が計画どおりに進捗しない場合などは、当社グループの事業展開や業績及び成長戦略に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新卒または中途採用に拘らず積極的に採用を行うとともに、人材育成の基本方針にもとづいて、グループ各社の従業員を対象とした様々な人材育成教育を実行し、能力の向上とキャリア開発を支援しております。
⑮ 気候変動によるリスク
当社グループは、気候温暖化にともなう海水面の上昇などにより、港湾部の事業拠点が浸水被害を受ける可能性や異常気象による豪雨や豪雪、台風被害などによる交通網の遮断・混乱、電気・水道などのライフラインの供給停止、熱中症による従業員の健康危害などの影響を受ける可能性があります。また、国際合意にもとづく二酸化炭素の排出規制強化や企業が排出する温暖化ガスに対する「炭素価格」の導入は、コストの増加要因となります。
当社グループでは、エコドライブの推進や段階的な次世代自動車の導入、省エネルギー設備を導入するなどの低炭素化を前提とした計画的な事業戦略及び環境戦略を策定し、気候変動リスクに長期的な視野で取り組んでおります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要施策のひとつと位置付け、より強固な経営基盤の構築のために内部留保の充実を図るとともに、安定的な配当実施と業績に応じた配当水準の向上に努めることを利益配分に関する基本方針としております。
また、当社は、年1回剰余金の配当を行うことを基本方針としており、「会社法第459条第1項の規定にもとづき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行う事ができる。」旨定款に定めております。
当社は、上記の基本方針のもと、当連結会計年度の業績及び財務状況などを総合的に勘案し、以下のとおり、普通株式1株当たりの期末配当金を65円といたしました。これは、前連結会計年度に比べ4円の増配となります。