人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数1,245名(単体) 3,078名(連結)
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平均年齢41.9歳(単体)
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平均勤続年数18.0年(単体)
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平均年収8,010,693円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2024年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員であります。なお、(外書)は臨時従業員数の年間平均雇用人数であります。
(2) 提出会社の状況
2024年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。なお、(外書)は臨時従業員数の年間平均雇用人数であります。
2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
当社グループの労働組合は、日清オイリオグループ労働組合、セッツ労働組合が組織されております。
組合との交渉はすべて円満に推移しており、特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金差異
① 提出会社
2024年3月31日現在
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、2024年4月1日時点で算出したものであり、出向者は出向元の労働者として集計しております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出(「2023年度において雇用する男性労働者のうち育児休業等を取得した者の数」÷「2023年度において雇用する男性労働者のうち配偶者が出産した者の数」)したものであり、出向者は出向元の労働者として集計しております。
3.男女の賃金差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであり、男性労働者の賃金に対する女性労働者の賃金の割合を示しております。なお、「正規雇用労働者」について、同一労働の賃金に差はなく、等級別人数構成の差によるものであります。また、「パート・有期雇用労働者」について、同一労働の賃金に差はなく、定年退職再雇用者やパートタイマーといった雇用形態別人数構成の差によるものであります。
② 連結子会社
2024年3月31日現在
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、2024年4月1日時点で算出したものであり、出向者は出向元の労働者として集計しております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合(「2023年度において雇用する男性労働者のうち育児休業等を取得した者の数」÷「2023年度において雇用する男性労働者のうち配偶者が出産した者の数」)を算出したものであり、出向者は出向元の労働者として集計しております。なお、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく雇用管理区分ごとの算出・公表は行っておりません。また、セッツ㈱の「-」は、対象となる労働者(当該事業年度中に配偶者が出産した男性労働者)がいないことを示しております。
3.男女の賃金差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであり、男性労働者の賃金に対する女性労働者の賃金の割合を示しております。なお、セッツ㈱および㈱NSPについては、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく公表を行っておりません。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1)サステナビリティ課題全般
当社グループは、「ビジョン2030」を目指す姿として掲げ、事業活動を通じた社会課題の解決により、社会との共有価値を創造し、持続的な成長と社会の持続的な発展、すなわちサステナビリティの実現を目指しています。当社グループは、サステナビリティ課題全般に関し、以下のとおり考え方を整理し取り組みを進めています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(ガバナンス)
当社グループは、取締役会が設置する委員会「経営サステナビリティ委員会※」にて、企業の持続的な成長と社会の持続的な発展に貢献するための基本方針の立案や、「ビジョン2030」で目指す姿の実現に向けた重要課題などを審議しています。その重要なテーマとして、当社グループ事業に影響を与える重要なリスク・機会の抽出と社会課題の検討、重点領域やCSV目標、具体的取り組み等の設定、進捗状況の確認および見直し等を審議しています。その内容は適宜、取締役会に報告されるとともに、特に重要な案件については取締役会で審議・決議されます。
※2023年7月に、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展を実現するための基本方針の立案等、重要課題を審議することを目的とし、「経営サステナビリティ委員会」を設置しました(従来のサステナビリティ委員会は廃止)。これにより、ビジョンで目指す姿の実現に向けた重要課題の審議とPDCAの展開を通じて、その確度を高めていきます。
なお、同委員会を含むコーポレートガバナンスに関する体制につきましては、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」のコーポレート・ガバナンスおよび内部統制に関する体制の模式図をご参照ください。
(戦略)
当社グループの価値創造の源泉は、無限の可能性をもつ植物資源と磨かれた技術力、そして価値創造力を掛け合わせた“植物のチカラ®”です。“植物のチカラ®”と私たちの“コアコンピタンスである油脂”を究めた強みでお客さまとともに社会課題を解決する油脂ソリューションを実現します。当社グループの事業に求められるニーズや当社グループが取り組むべきという視点で定めた6つの重点領域(マテリアリティ)、すなわち「すべての人の健康」、「おいしさ・美のある豊かな生活」、「地球環境」、「食のバリューチェーンへの貢献」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「人材マネジメント」の領域の中で多様な価値を持つ“生きるエネルギー”を生み出し、その価値をすべての人にお届けします。“生きるエネルギー”は社会課題を解決する一方で、次なる成長のための植物資源の循環や技術の進化を可能とする資本を生み出します。再度投入された資本によって、さらに油脂を究め、社会課題を解決する“生きるエネルギー”を生み出します。このプロセスの循環を通じて、当社グループらしいサステナビリティを実現していきます(図1)。
(図1)価値創造モデル
(リスク管理)
当社グループでは、「ビジョン2030」や中期経営計画「Value Up+」にて目指す姿の実現に対し、ネガティブな影響を及ぼす不確実性を「リスク」と定義してリスク管理を行っています。リスク管理に関する主体的な取り組みを通じて社会的責任を果たし、安定した収益の獲得と更なる企業価値の向上を目的としています。
リスク管理体制として、取締役会がリスクマネジメント委員会を設置し、全社的なリスクを総括的に管理しています。事業に対する財務または戦略面でのリスクを選定し、サステナビリティ課題を当社グループの重要リスクと位置づけ、他の重要リスクと統合的に管理しています。
リスクマネジメント委員会では、リスクを棚卸したうえで影響度合と発生可能性をもとにリスクマップを作成、リスクが顕在化した際の影響度の評価や優先順位付けをおこない、重要なリスクを特定しています。2023年度は14個の重要リスクを特定し、主管部門を中心に対策を立て、PDCAサイクルを回してマネジメントしています。リスクが顕在化した場合の緊急体制も整備し、危機対応を図っています。
また、リスクマネジメント委員会は、全社的リスクの評価や対応方針・状況などを取締役会に報告しています。
なお、重要なリスクは「3事業等のリスク (2)当社グループにおける重要リスクについて」をご参照ください。
(指標と目標)
当社グループは、今後予測される社会動向を分析し、当社グループにおける機会とリスクおよび重要となる社会課題(図2)から、6つの重点領域を設定しており、「重点領域」における課題解決を通じた社会との共有価値の創造(CSV)を、「日清オイリオグループビジョン2030」における成長ドライバーとしています。CSV目標の進捗状況は経営サステナビリティ委員会でモニタリングされており、その後の取り組みに反映されています。
(図2)機会とリスクおよび重要となる社会課題
社会課題:SDGs(国連)、食品産業戦略(農林水産省)、未来投資戦略(内閣府)、企業行動憲章(経団連)より抽出
CSV目標の見直し
「ビジョン2030」では「6つの重点領域」を定め、それぞれの重点領域での価値創造を通じた当社グループの企業価値の拡大を目指しており、その取り組み状況を示すものがCSV目標です。
「ビジョン2030」策定時から、消費者意識や購買行動の変化、サステナブルな生産や調達に対する社会からの要求水準の高まり等、事業を取り巻く環境が大きく変化しています。そこで、2023年度、当社グループの事業に影響を与える新たなリスクと機会の抽出と取り組むべき社会課題の再確認を行い、下記のプロセスを経て「地球環境」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「人材マネジメント」を中心に複数のCSV目標を見直しました。今後も環境変化を捉え、定期的に見直しをしていきます。
CSV目標と進捗状況は次のとおりです。
※1:MCTオイル・加工食品、健康オイル、サプリ的オイル、ウェルネス食品等、生活習慣病やフレイル等の対策に貢献できる商品
※2:低栄養、過栄養、パーソナルな健康課題等の解決に貢献できる商品。他社ブランド品含む
※3:脂質の健康情報とは、低栄養・過栄養の改善、パーソナルな健康課題の解決に役立ち、かつ油脂の正しい理解や価値向上に
つながる情報発信を指す1次掲載値のみ(計画策定時に閲覧数の想定が難しい転載は含まない)
※1:食シーンにおけるおいしさや食による美を追求するために開発した新商品
※2:化粧品原料(当社、Industrial Quimica Lasem, S.A.U.、日清奥利友(上海)国際貿易有限公司)、化成品(セッツ㈱)
※1:Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.でのグリーン電力導入拡大が寄与
※2:ホームユース商品のうち、食用油およびギフトを対象とする。
※1:RTRS:責任ある大豆に関する円卓会議
※2:当社の工場内
※ 当社:翌年度4月1日時点で算出
2023年度目標として設定していた「DX推進の基盤構築」、「グローバル人材拡充」については、「強固な人材力の構築」の具体的取り組みとして進める。
2023年度実績
・DX推進の基盤構築 :全社デジタルリテラシー教育100%受講
・グローバル人材の拡充:グローバル人材登録制度の登録者37名に教育プログラム実施(語学、グローバルビジネススキル等)、登録者の中から4名をグローバル業務へ配置
(2)人的資本への対応
① 人的資本についての考え方
当社グループは、「ビジョン2030」および「Value Up+」で目指す姿の実現に向けて、当社グループの成長を牽引する組織能力を強化するべく、積極的な人的資本投資を計画的に行っていく方針です。人材戦略と健康経営における人的資本投資が社員一人ひとりの働きがいを高め、能力を最大限に引き出すことで、多様な人材がエネルギッシュに躍動する組織風土を醸成し、当社グループの持続的成長、価値向上を実現していきます。
② 人材育成方針
当社グループは、一人ひとりの多様な視点や価値観を尊重することが持続的な成長と企業価値向上に重要なことと考えており、そのために、性別や国籍などにかかわらず、多様な経験や知識・スキル、価値観といった個性を持つ人材が更に活躍できるよう育成と社内環境の整備に取り組んでいきます。
また、当社は、「教育最優先の原則」や「部下の教育・育成は、部下を持つ者の最も重要な職務である」といった人材育成を最優先する企業理念をもち、長年にわたり人材育成を経営の重要なテーマとして位置づけ、会社全体がこの問題を主体的に推進していく体質を継続的に育んできました。この企業理念を堅持し、さらに浸透していくこと、そして「一人ひとりの成長こそが会社の持続的成長の源泉である」という考え方のもと、会社は社員の成長に積極的に投資していきます。
さらに、「ビジョン2030」で目指す姿の実現のためには、グローバリゼーション・テクノロジー・マーケティングをはじめとした分野における高度な専門性を有した人材が不可欠であると認識しています。事業戦略遂行上で必要となる人材を確保し続けるとともに、次代を担う人材の育成強化を図っていきます。
③ 社内環境整備に関する方針
当社グループは、健全かつ社員の持てる能力を存分に発揮できる職場環境を提供することが会社の責務であると考えます。育児、介護、治療と仕事の両立支援、柔軟かつ生産性高い働き方への変革、長時間労働の削減、社内コミュニケーションの活性化など、社員が安心して働くことのできる働きやすい職場環境づくりに取り組んでいきます。
④ 健康経営の取り組み
当社グループは、「社員の健康は本人や家族の幸せの基盤であるとともに、会社が持続的に発展していくための最も大切な財産である」との考えのもと、社員一人ひとりがやりがいを持って活力高く働き、健康的で豊かな人生を送れるように、社員の健康保持・増進に積極的に取り組んでいます。重点テーマとして「生活習慣病予防」、「禁煙促進」、「こころの健康」を設定し、疾病予防や食習慣改善、禁煙の支援、運動・コミュニケーション促進などの取り組みを進めていきます。
⑤ 人的資本に関する指標
2024年3月31日現在
上記は、当社正規雇用従業員を対象としています。また、当社グループの人的資本に関する指標につきましては、前述の「人材マネジメント」をご参照ください。
※管理職に占める女性の割合について、2022年度実績は2023年4月1日時点、2023年度実績は2024年4月1日
時点、2024年度目標は2025年4月1日時点で算出します。
(3)気候変動への対応
当社グループは、事業活動を通じた社会課題の解決により、社会との共有価値を創造し、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展(サステナビリティ)の実現を目指しています。中でも、当社グループの事業活動は植物資源をベースとしており、植物の生育に大きな影響を与える気候変動への対応は経営の重要テーマです。そのため、気候変動に係わる対応を推進していくため、2021年3月にTCFD提言に賛同を表明し、2022年度よりTCFD提言に則った開示(気候変動に伴うリスク・機会の分析、財務影響などのシミュレーション等)を通じた情報公開を実施しています。
① TCFD提言が推奨する4つの開示項目
② 気候変動シナリオ分析
「気候変動の進行が抑制された世界」(1.5℃/2℃シナリオ:産業革命以降の世界平均気温上昇幅が1.5℃/2℃程度に抑えられた世界)と「気候変動が進行する世界」(4℃シナリオ:産業革命以降の世界平均気温上昇幅が4℃程度上昇する世界)について気候変動関連リスクと機会の分析を実施しました。
表Ⅰ:気候関連リスク及び機会の一覧
【表中の用語の定義/考え方】
2023年度は、前述で特定したリスクのうち(★)を付記したリスクに対して、「(a)炭素税・ETS等によるコスト増」「(b)農業における脱炭素による原料大豆価格上昇」「(c)気象災害による生産停止に伴う利益減」について、財務影響を分析しました。具体的な検討にあたっては、IPCC、IEA、NGFS等の各国際機関の公表するシナリオにおける定性/定量情報を参照しました。
※IPCC :気候変動に関する政府間パネル(各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与えること
を目的とした政府間組織)
※IEA :国際エネルギー機関(第一次石油ショックを機に設立されたエネルギー安全保障等のエネルギー
政策全般をカバーする国際機関)
※NGFS:気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討する
ための中央銀行および金融監督当局の国際的なネットワーク)
(a) 炭素税・ETS等によるコスト増
「炭素税・ETS等によるコスト増」については、当社グループで排出量が大きい日清オイリオグループ株式会社(日本)とIntercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.(マレーシア)を対象に、IEAのWorld Energy Outlook 2022におけるAPSシナリオ(Announced Pledges Scenario、2.0℃相当)およびNZEシナリオ(Net Zero Emissions by 2050、1.5℃相当)下の炭素価格を用いて、2030年と2050年の炭素価格による年間負担額をそれぞれ算出しました。この2社で当社グループが管理しているScope1、2排出量の96%以上を占めています。
表Ⅱ:「炭素税・ETS等によるコスト増」の財務算定結果
「現状維持」:2022年度のCO2排出量で算定
「削減目標を達成」:2030年は排出量50%削減(2016年比)、2050年は排出量ゼロで算定
「炭素価格」:IEA WEO2022を参照
「炭素税・ETS等によるコスト増」リスクの分析から、2.0℃および1.5℃シナリオのいずれにおいても削減目標を達成することにより2030年の負担額を半分程度に抑えられるという示唆が得られました。削減目標達成の場合、2030年度の2社合計負担額は2.0℃シナリオで20億円/年、1.5℃シナリオで26.1億円/年です。
(b) 農業における脱炭素による原料大豆価格上昇
主要原材料の一つである大豆の主要生産国である米国とブラジルを対象とし、NGFSによる1.5℃相当シナリオを用いて2030年と2050年の大豆価格変化による年間の調達コスト増加額を算出しました。このシナリオ下での価格変化は炭素価格や生産効率向上のコストを反映したものであり、算定結果は移行リスクによる財務影響を示しています。
表Ⅲ:「農業における脱炭素による原料大豆価格上昇」の財務算定結果
2020~2022年の平均年間購入量を基に価格変化の影響金額を算出
1.5℃シナリオで米国・ブラジル産の大豆がともに上昇し、財務影響算定を行ったリスク項目の中で最も大きな影響(2030年に合計165億円/年、2050年に合計259億円/年)となりました。今後、菜種、パーム油等の価格変化による影響も検証していきます。
(c) 気象災害による生産停止に伴う利益減
「気象災害による生産停止に伴う利益減」については、国内事業を対象に洪水による操業停止を想定しました。また、物理リスクは長期的なリスクであるため、2050年のみを対象にしました。IPCCの4℃シナリオと2℃シナリオ下のそれぞれについて、操業停止による年間営業利益減少を算出しました。
表Ⅳ:「気象災害による生産停止に伴う利益減」の財務算定結果
※ 年間営業利益減少額=災害頻度×操業停止日数×年間営業利益÷245
※ 文部科学省・気象庁による「日本の気候変動2020 詳細版」より、災害頻度は東日本太平洋側における日降水量200mm以上の発生回数(4.0℃ 0.4回/年、2.0℃ 0.3回/年)使用しています。
※ 操業停止日数は、国土交通省による「治水経済調査マニュアル」による床下浸水時の操業停止日数(10日)を使用しています。
「気象災害による生産停止に伴う利益減」リスクの分析から、気象災害の影響が大きいとされ4.0℃シナリオでも影響額は1.76億円/年であり、財務影響算定を行ったリスク項目の中で最も影響が小さいことが示されました。今後、分析対象国の拡大や被災に伴う資産損害による影響(修繕費等)等も検討していく予定です。
このように特定したリスク・機会を踏まえれば、「気候変動の進行が抑制された世界」「気候変動が進行する世界」のいずれに進んだとしても影響が大きく、中長期的観点から当社グループ戦略のレジリエンスをより高めていく必要があると考えています。当社グループの事業活動へ大きく影響するリスク・機会に対して、サプライチェーンの上流から下流までの各プロセスにおいて、主に以下の対応(次頁の表Ⅴ:気候関連リスク・機会への対応策をご参照ください。)を採ります。これらの対応策は、当社グループ戦略のレジリエンスを高めることに貢献すると考えています。
表Ⅴ:気候関連リスク・機会への対応策
※具体的な内容は実施中のものと検討中のものを含む
③ 脱炭素化ロードマップ
脱炭素化に関する移行計画については、(図3)のとおり「脱炭素化を推進する戦略ロードマップ」を策定し、2050年までにカーボンニュートラルを実現いたします。本計画はエネルギー削減に向けて、生産性の向上、再生可能エネルギーの活用、水素インフラの準備などの取り組みとして反映しています。
(図3):脱炭素化を推進する戦略ロードマップ(移行計画)
(4)自然資本への対応
当社グループの事業活動は植物資源をベースとしています。主要原料となる大豆、パーム油、菜種、カカオなどの「植物のチカラ®」を活用して、食品、飼肥料、化成品、化粧品原料などの製造・販売を行っています。大豆(米国、ブラジル)、パーム油(マレーシア、インドネシア)、菜種(カナダ、オーストラリア)、カカオ(西アフリカ、南米)などは世界各地から輸入しており、特定の自然資本および産地に依存しています。このように、植物資源を事業のベースとする当社グループにとって、地球環境や資源の保護は、事業の持続性そのものです。その認識のもと、2023年度に生物多様性方針と水方針を制定しました。今後、これら方針に基づき、事業活動を通じて生物多様性の保全・回復や水リスクの解決に真摯に取り組むことで、社会との共有価値を創造し、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展の実現に努めます。併せて、TNFDガイドラインに則った開示の情報公開に向け準備を進めてまいります。
日清オイリオグループ生物多様性方針
(2023.12.22制定)
日清オイリオグループ水方針
(2023.12.22制定)
また、植物資源の持続可能性確立に向けて、原料調達方針を策定し、産地状況の調査、認証原料の調達、植林活動による生態系保全・復元などを進めており、パーム油は2030年までに農園までのトレーサビリティ100%達成を目指しております。更に、大豆およびカカオの持続可能な調達に向けてアクションプランを策定し取り組みを開始しました。情報開示および目標、取り組みは以下のとおりです。