人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数4,919名(単体) 6,944名(連結)
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平均年齢33.3歳(単体)
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平均勤続年数9.1年(単体)
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平均年収4,534,168円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年2月28日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員(1日8時間換算)を外数で記載しております。
2.その他(飲食事業)として記載している従業員は、飲食事業を展開している株式会社ゼットン等の従業員であります。
(2) 提出会社の状況
2025年2月28日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員(1日8時間換算)を外数で記載しております。
2.平均年間給与には、給与及び賞与のほか、福利厚生費の一部(住宅手当、帰省手当、配転手当)を含めております。
3.当社は、アパレル・雑貨関連事業を単一の報告セグメントとしているため、セグメント情報ごとに記載しておりません。
(3) 労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
(注) 1.管理職に占める女性労働者の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。提出会社及び常時雇用する労働者が101名以上の主な国内子会社を対象に、2025年2月28日を基準に集計した数値を記載しています。
2.男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業の取得割合を算出したものです。提出会社及び常時雇用する労働者が101名以上の主な国内子会社を対象に、2024年3月1日から2025年2月28日の期間で集計した数値を記載しています。なお、「―」は取得対象者が無いことを示しています。
3.労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき情報公表の求めのある常時雇用する労働者が301人以上の提出会社及び主な国内子会社を対象に、2024年3月1日から2025年2月28日の期間で集計した数値を記載しています。
※男女の賃金の差異について、当社グループでは、男女で同一の等級及び同一賃金の公正な賃金体系を適用しており性別による賃金差異はありませんが、積極的に女性新卒の採用を実施していること、管理監督者の中でもより高い等級において女性の割合が少ないことから、賃金における男女差が発生しています。今後、昇格者や等級毎の男女の割合を定期的にモニタリングし、また、各種取り組みを進めることで、女性管理職比率の向上並びに男女賃金差異の解消を目指していきます。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティへの考え方及び取組
<当社のサステナブル経営推進にむけて>
当社グループでは、サステナビリティポリシーに「ファッションのワクワクを、未来まで。」を掲げています。このポリシーのもと、サステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置付け、サステナビリティを重視した経営を行います。私たちは事業活動を通じ、地球規模の課題解決に挑み、持続可能な社会と経済成長の実現に寄与していきます。
① サステナブル経営に関するガバナンスの強化 ― サステナビリティ委員会の設置 ―
当社グループでは2023年3月1日付で取締役会での非財務領域での戦略推進をより一層強化することを目的に、サステナビリティ委員会を新たに設置しました。当委員会では中期経営計画及び事業方針の基軸に関するマテリアリティの特定、適切な情報開示を中心に進めることで、ステークホルダーからの信頼と期待に誠実に対応していきます。また、当委員会では、気候変動をはじめとする当社グループのサステナビリティ方針や中長期の目標策定、特定したマテリアリティに対する進捗管理を行っており、取締役会又は執行会議へ報告・提言を行うことで、グループにおける推進体制をさらに強化し、持続的に企業価値を高めていきます。
サステナビリティ委員会には、サステナビリティ担当の専務取締役を委員長とし、以下の委員が常任構成員として出席します。なお、議題に応じて関係部門の責任者等を適宜招集します。
第75期サステナビリティ委員会では、以下のような議題を中心に協議し、経営層に報告しています。サステナビリティ委員会では、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関わる経営の基本方針・戦略、事業活動と連動した計画立案や提言を行います。なお、当委員会の委員長を務める専務取締役が年4回、サステナビリティ委員会で議論した内容を取締役会に報告します。
② 戦略
1) 中長期経営計画とサステナブル経営
中期経営計画を策定するにあたり、昨今の社会情勢及び当社のビジネス領域において、サステナビリティの重要性は非常に高まっています。私たちはビジネスの現状と中長期的なサステナビリティ戦略に関する方向性を再認識し、ESGに関する目標をより明確にしました。当社が掲げるサステナビリティの各重点テーマでは、より高い目標を設定しながらも、アダストリアらしいアプローチで事業の成長とサステナブル経営を融合させていくことが、中期経営計画における我々の挑戦と考えています。
2) 中期経営計画と連動したマテリアリティの特定
ファッション業界は従来からの大量生産や在庫廃棄、生産過程での環境負荷、人権問題など様々な社会課題を抱えています。多くのステークホルダーは、経済・産業構造の様々な要因によって発生する多様な問題の解決に取り組むことは企業の責務であると捉え、ファッション業界を含む経済全体にサステナビリティと経営との両立を求める傾向にあります。
当社は、地域社会やお客様・お取引先様等と直接的に接する機会が多い事業特性を有するため、これらの課題に真摯に取り組むことはもちろん、積極的な情報開示に努める必要があります。また、先に挙げた社会課題は個社単独で解決できるものではなく、他社との協業やコミュニティとの連携構築などを通じて解決に向けた取り組みを継続的に促進していくことが重要と考えています。
当社グループでは、私たちのビジネスを通じたサステナビリティへの貢献と相関性をステークホルダーの皆様により理解していただくことを目的に、マテリアリティマッピングである「グッドコミュニティ共創マッピング」を開示しています。以下の図はステークホルダーにとっての関心・重要度を縦軸に、アダストリアグループにとっての影響度を横軸としてマテリアリティをマッピングしています。また、マテリアリティ優先度の見直しや、マテリアリティごとにリスク及び機会の分析・評価することを定期的に行っています。さらに、中期経営計画にて掲げる将来のビジネスポートフォリオ拡大・成長を見据えたプラットフォームの確立に向け、サステナビリティが成長シナジーを加速するための重要な源泉の一つに位置付けることで、優先順位や網羅性を有したマテリアリティへの対応を行いながら、社会課題の解決と事業成長を両立していきます。
③ 指標及び目標
1) サステナビリティの重点テーマと取り組みについて
近年、地球温暖化や種の絶滅をはじめとする環境危機、基本的な人権への侵害や不当な差別などの社会問題に対して、企業として取り組む責任と重要性が高まっています。当社は自然資本や人的資本、社会資本に多くを依拠するビジネスを行っていることから、事業全体で環境・社会課題に真摯に向き合うための指標・目標を定めています。これらの課題と事業との関連性を考慮し、取り組むべき3つの重点テーマを以下のとおり定めています。
重点テーマである「環境を守る、人を輝かせる、地域と共に成長する」の3つのテーマにおける取り組みについては当社統合報告書2024
2) 重点テーマの取り組み概要
「環境を守る」に関する取り組み
「事業による環境負荷を低減させ、ファッションの世界をサステナブルにします。」を掲げ、活動ビジョンとして、未来につながるものづくり、環境への配慮と営業活動の両立、ファッションロスのない世界の3つを定めています。
未来につながるものづくりでは、2030年までに全商品のうち半分以上をサステナブルな原料・加工へと切り替えることを目標としています。2025年2月期時点で、商品への独自のサステナブルマークの付与率は17.9%、付与数は前期比109.7%となりました。引き続き、当社生産部で独自のサステナブル素材開発(2025年2月時点で7種類)を促進し、目標の達成を進めます。
環境への配慮と営業活動の両立では、2050年カーボンニュートラルの実現を目標とし、当社及び連結子会社でのCO2排出量(国内・海外におけるScope1-3)の把握を完了しました。新たに脱炭素社会への移行に基づく温室効果ガス削減シミュレーションを策定・開示したほか、TCFDフレームワークに準拠した要求事項、並びに財務インパクト評価の開示を実施しました。
ファッションロスのない世界では、衣料品在庫の焼却処分ゼロを目標に掲げ、2020年2月期より継続して達成しています。また、2016年からスタートした衣料品回収活動「Play Cycle!」では、全国約190店舗でお客様の不要になった衣料品の回収を実施しています。9年間の累計で約54万枚、重量にして169tを回収し、協業先と連携しリユースのほか衣料品の原料や自動車内装材などに適切にリサイクルしています。当社の衣料品回収活動は、「Play Cycle!」特設サイト https://www.adastria.co.jp/playcycle/ に詳細を掲しています。
「人を輝かせる」に関する取り組み
「お客様も、従業員も、関わる誰もが毎日ワクワクできる環境をつくります。」を掲げ、活動ビジョンとして、自分らしくファッションを楽しめる社会、心身ともに健康で個性や能力を発揮できる組織の2つを定めています。
自分らしくファッションを楽しめる社会では、LGBTQ+フレンドリー企業としての社内プログラム推進、インクルーシブファッションの展開や社会への啓もう、性別を意識しないデザインと着用バランスを基にした独自サイズを展開するブランド「Anui(アニュイ)」など、事業を通じてあらゆるお客様のライフスタイルに寄り添い、ファッションの楽しみ方の選択肢を拡げています。
心身ともに健康で個性や能力を発揮できる組織では、重要な経営戦略としてダイバーシティ経営を推進しています。正社員の7割以上を占める女性の活躍支援を通じた組織の多様化、共働き・共育てを可能にする両立支援やキャリア形成支援など、人事戦略と連動した施策や職場環境づくりと健康経営の推進を通じて働きがいを高め、誰もが個性や能力を最大限に発揮できるよう取り組んでいます。2024年12月には、難聴のスタッフが活躍するインクルーシブな店舗「OFF STOREエスパル山形店」をオープンさせるなど、個性豊かで多様な組織・人材を成長の原動力と位置づけ、あらゆる従業員の成長を後押しする制度や環境づくりを推進しています。
なお、人的資本に係る取り組みは、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本に関する取組」をご参照下さい。
「地域と成長する」に関する取り組み
「地域社会と共生し、ともに新しい価値を創ります。」を掲げ、活動ビジョンとして、出店地域の活性化、生産地域の持続可能な発展の2つを定めています。
出店地域の活性化では、国内外の様々な地域への拡大に伴い、法令を遵守することはもちろん、文化や風習を尊重しながら地域の人々とファッションを通じてエンゲージメントを強化しています。出店地域のお客様や地元企業とのつながりを深めるイベントの開催、創業地である水戸でのスポーツ・文化活動の後援、地元密着型企業からのニーズに応じた制服プロデュースなど、地域に還元できるビジネスを展開しています。
生産地域の持続可能な発展では、当社バリューチェーンの発展に協力いただいているサプライヤーのご理解のもと、ビジネス全体の透明性向上を目的に、サプライヤーリストを初めて公開しました。当社のリスト公開に賛同いただいたサプライヤー47社は、私たちの特定パートナー取引先として認定しており、社名・所在地・生産種別を当社コーポレートサイトで開示しています。今後は、リスト公開企業の増加や開示情報の拡充を図り、環境・人・地域にポジティブなサプライチェーンの構築と責任ある生産方法を確立することで、ステークホルダーからの信頼に応えていきます。サプライヤーリストは、当社コーポレートサイト
https://www.adastria.co.jp/sustainability/theme/community/supply-chain/ にて詳細を開示しています。
④ リスク管理
当社グループでは、サステナブル経営における重要な環境課題やリスクについては、取締役会、執行会議及びサステナビリティ委員会にて重点課題として議論しています。統合的なリスク管理体制のもと、推進部門であるサステナビリティ推進室が定期的な見直しと協議を行っています。
なお、サステナビリティに関するリスクの内容については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。
(2) 気候変動への対応
当社は気候変動への対応をサステナビリティにおける重要課題の一つとして位置づけ、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目指しています。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同することを2022年9月に表明し、気候変動が事業に与える可能性があるリスクを捉えながら適切に情報を開示しています。
① ガバナンス
当社グループでは、気候変動への対応をサステナビリティにおける重要課題の一つと位置づけ、気候変動がもたらす影響及び当社の取り組み状況をサステナビリティ担当取締役が取締役会に定期的に報告しています。取締役会は、監査等委員でない取締役8名(うち、社外取締役4名)、監査等委員である取締役3名(うち、社外取締役2名)で構成され、代表取締役社長が議長を務め、グループ全体の経営意思決定の最高機関として重要事項を審議・決議しています。また、取締役会での非財務領域での戦略推進をより一層強化することを目的に、サステナビリティ委員会を設置しており、気候変動をはじめとする当社グループのサステナビリティ方針や中長期の目標策定、環境領域などで特定されたマテリアリティに対するリスク・機会の分析と進捗管理を行い、定期的に取締役会又は執行会議へ報告・提言を行うことで、グループ全体への実効性のある監督機能を有する推進体制を備えることで、持続的に企業価値を高めています。
② 戦略
気候変動によって原材料価格の高騰やサプライチェーンの分断、消費者の購買活動の変化などさまざまな影響を受けることから、当社グループは気候変動を重要な経営リスクの一つに位置づけています。当社グループは、気候変動による事業へのリスクを予防・軽減し、適切に管理・対応することで、将来に渡るビジネスへの財務影響を最小限にすることを目的に中長期的な戦略を策定することが、事業の持続的な成長に不可欠だと考えています。このため、売上の約90%を占める主力事業のアパレル・雑貨関連事業に関して、2050年までを対象にしたリスクと機会を、2℃シナリオと4℃シナリオに別けて分析しています。特に重要性が高いと評価したリスクと機会については、気候変動による事業及び財務への影響を定量的に試算しています。2023年度以降は、対象とする事業や領域を広げ、リスク・機会の分析の高度化を進めていく考えです。
2℃シナリオ
4℃シナリオ
気候変動に関するリスク・機会への対応戦略
当社はアパレル小売をメインビジネスとしており、商品の原材料は綿、羊毛、木など自然資本に依存するものが多く、気候変動が当社サプライチェーンに及ぼす影響とその適応策について、2℃シナリオ、4℃シナリオのそれぞれで明らかにしています。
・2℃シナリオ:21世紀末の世界平均気温が産業革命以前と比べて1.6~1.9℃上昇する世界であり、脱炭素経済活動が活発化し、規律型社会への移行が進みます。各国政府の炭素排出規制が強化されることで、当社の温室効果ガスに関連する排出責任と環境対策がバリューチェーン全体に拡大し、コストの上昇が予想されます。環境意識の高まりが消費者の行動変容につながり、売上にも影響を及ぼすと想定されます。当社は素材開発、生産地域の分散化、省エネ・節水など環境に配慮された生産体系を構築するとともに、ポートフォリオの多様化で持続可能な事業成長を図ります。
・4℃シナリオ:21世紀末の世界平均気温が産業革命以前と比べて3.5~3.9℃上昇する世界であり、地球温暖化が著しく進行します。自然災害の発生頻度の増加とその被害が深刻化し、衣料品や食料の入手が不安定になる可能性が高まります。このような状況の中で、当社安定した事業を継続運用するため、中国やASEAN諸国を中心とした原材料調達、生産背景、ロジスティクスの分散・多角化を図ることで、強靭なサプライチェーンを構築し事業運営におけるリスクを軽減します。
これら分析結果を受け、2℃と4℃、どちらのシナリオが現実化した場合においても、事業レジリエンスを保ちながら、持続可能な成長が可能と考えています。
財務インパクト評価
[移行リスク]
※算出前提:120米ドル/t-CO2(IEA「World Energy Outlook2021」より試算)、2030年時点
[物理的リスク]
※算出前提:2021年度の浸水店舗の実績を用いてハザードマップ及び国土交通省「治水経済調査マニュアル」より試算
③ 指標及び目標
当社グループは、2050年カーボンニュートラルの実現を目標に掲げ、取り組みの指標としてサプライチェーンにおけるCO2排出量を設定しています。各Scope及びカテゴリにおける年次でのCO2排出量の変化の要因を特定/考察することにより、自社領域及び自社領域外での気候変動あるいはCO2排出量の増減に依存・影響を及ぼすと予想されるリスク/機会を抽出し管理しています。
④ リスク管理
当社グループは、事業が気候変動によって受ける影響を把握し評価するため、サステナビリティ担当部門を中心とする社内のタスクフォースを通じてシナリオの分析を定期的に行い、気候変動リスク・機会を特定しています。特定した重要なリスク・機会は危機管理担当取締役に報告したうえで、タスクフォースと該当部門が連携しながら具体的なリスク対策を行っていきます。なお、自然災害に起因する物理リスクへの対応については、危機管理担当取締役を委員長とする危機管理委員会においてBCPをはじめとする事業継続マネジメントの実行体制を整備しています。
(3) 人的資本に関する取組
<人的資本経営の基本方針>
アダストリアで働くすべての人が、新しい価値 Play fashion!を創出する
~成長戦略の達成や企業価値を高める組織・人材への投資~
~新しい価値創造へ=最も重要な経営資源は『人材』~
変化するマーケットの中で、当社が次のステージへと成長していくためには、経営・ビジネスモデルの変革だけでなく、それを実現する人材と組織が重要です。アダストリアの組織の強みはチームワークにあり、仲間が集まって、経験や知識、考えをシェアし、掛け合わせることで新しい価値を生み出してきました。企業規模が拡大する中にあっても、緊密な部門連携により組織力の向上に努めています。
従業員それぞれが成長を実感できる環境を整備することで、働きがいとパフォーマンスの向上に努めています。一人ひとりが失敗を恐れず挑戦を続け、変化を楽しみながら「なくてはならぬ人」として成長することで、ミッションである「Play fashion!」の実現を目指しています。
① ガバナンス
当社グループでは、経営戦略と人事戦略の連動を図るため、重要な人事戦略や施策は、取締役会、執行会議及びサステナビリティ委員会にて、経営課題として議論しています。当社人事部がグループ全体の人的資本経営の推進部門として、グループ各社と連携しつつ、モニタリングと達成状況の評価検証サイクルを通じて、人的資本の増幅を図っています。
<人的資本経営の推進体制>
② 戦略
当社グループでは、従業員一人ひとりが新たな価値を創出できるよう、多様性を重視し、失敗を恐れず挑戦できる環境づくりを行っています。また、社員の成長を支援するため、人材への投資を進め、企業理念である「なくてはならぬ人」の育成に努めていきます。
1) 人材育成方針及び社内環境整備方針
<人材育成方針>
社員一人ひとりの強み・専門性を活かし、多様な個性を集約・成長支援することで、個人と組織の力を最大化することを目指していきます。
<社内環境整備方針>
社員一人ひとりが挑戦を恐れず能力を発揮できるよう、役割期待を明確にし、年齢・性別・世代等関係なく、多様な人材が融合し、イキイキと光り輝き続けられる環境を整備していきます。
2) 当社グループの組織・体制の特長、強み
組織や体制の特長、強みを活かし、
成長戦略の実現、新たな価値創造 Play fashion! へ
2025年2月28日現在
③ 指標及び目標
当社グループでは、多彩な人材の活躍を支える環境をつくり、事業成長を実現するため、さまざまな施策を講じています。その重点施策の指標及び目標は以下の通りです。
[重点施策の指標及び目標]
■EC拡大とDXを推進するための、DX人材の採用拡大・強化
当社グループの成長を支えるDX推進を加速すべく、DX部門を取締役の直下に専門部署として設置し、デジタル技術やデータ活用に精通した優秀な人材の採用・育成・定着に取り組んでいます。また、国内及び海外のビジネスパートナーとの提携、スタートアップ企業との連携強化、副業人材の活用などにも積極的に取り組み、競争優位性のあるDX推進体制の構築を進めています。海外を含むEC拡大とビジネスのデジタル化を推進するため、2026年2月期において国内DX人材は70~90名体制を目指し、海外エンジニア(※)50~100名の確保を目標としています。
※「海外エンジニア」は、パートナー企業におけるエンジニアを含みます。
「DX人材」データ
上記のほか、中期経営計画の実現に向けた人事施策として以下の取り組みの強化を図っています。
・グローバル化を推進する人材の採用・育成強化及び関連諸制度の整備
・DX人材のほか、さまざまな高度専門スキルを有する人材の採用強化
・中長期的なDX人材の拡充を目指し、会社の戦略や社風にマッチしたDX人材を新卒採用
・将来を担う経営人材の計画的な育成と教育研修体系の整備
■EC、デジタル接点の拡大に向けたチャレンジ「スタッフボード」
「スタッフボード」データ
(※1) 2025年2月の集計より、当社グループ外からの参加者67名を含む。
(※2) 総フォロワー数:スタッフボード、Instagram、TikTok、YouTubeほかSNSフォロワー数の延べ総計。
(※3) スタッフボードシェア率:EC売上に占めるコンテンツを経由して商品購入された売上の比率。
1商品購入に対して計測対象は1コンテンツとし、計測対象期間は30日間。
■「キャリアを自分で描いていく」ためのキャリア拡大支援プロジェクト「キャリカク」
店舗で働く従業員がキャリアを自分で考え、挑戦できる機会を生み出すキャリア拡大支援プロジェクト「キャリカク」は、店長の次のキャリアが見えないという販売職特有の課題に対して、自らキャリアについて考えるきっかけをつくることを目的にスタートしました。「地域に根差した活躍ができる」「得意を伸ばす」という2点を軸に、地域活性化イベント、地域プロモーションや販売スペシャリストとしての接客スキル向上を担う「SSC認定講師」などの役割を設け、販売職プラスαの役割を担うことで入社数年のスタッフにも自分の可能性を感じてもらえる環境を整えています。
今期より「子育て社員アドバイザー」の役割も追加され、店舗の子育て社員のサポートや地域での情報発信など、キャリカクに参加する社員だけでなく組織全体へも良い影響を与えています。「キャリカク」を通して、更なる活躍の場を拡充するとともに、インセンティブ制度も導入し、自ら手を挙げてプラスαの役割を担うことに対する継続的なモチベーションの後押しを進めています。
※SSC:Service Skill Certificationの略で、店頭で働くスタッフを対象としたスキル認定制度です。
「キャリカク」データ
※子育て社員アドバイザーは、2025年2月期からの取組のため、算出データは2025年2月のみ。
上記のほか、アダストリアらしいチャレンジの創出、自律的なキャリア開発・学びの促進に係る施策は以下の通りです。
・自ら手を挙げてチャレンジできる「公募型研修」
・主体的にキャリアを考えチャレンジできる「社内公募制度(ポジション公募)」
・アルバイト・パートタイマーから社員へチャレンジできる「正社員登用制度」
・チャレンジ度を重視した人事評価制度
■女性の活躍支援を通じた組織の多様化(女性登用計画、意識改革)
当社は店舗社員の84%、本部社員の62%を女性が占めており、女性の活躍が事業活動の成果に直結していると考えています。また、商品のうち約80%が女性向けであり、女性の感性を活かし、多様化するニーズを捉えた商品、サービスや新たな価値を提供しています。
2026年2月期までに女性の管理職比率45%以上、上級管理職比率30%以上を目標に掲げ、より多くの女性が活躍できる会社となるため、2019年より勉強会や講演会の開催、メンター制度を運用しています。2022年からは、女性社員と経営陣との座談会開催や男性社員中心で構成されていた経営会議への女性社員の参画を開始しています。これらは女性幹部候補の育成と議論の活発化、また、経営層の意識改革に奏功しており、女性の視点でのカテゴリの開拓・拡張が中長期の企業の成長に貢献しています。
「女性活躍」データ
※実績値は、株式会社ゼットンを除く国内グループ会社全体の値です。
■育児休業の取得促進(促進、現場サポート)
ジェンダーに関わらず仕事と育児を両立することについて、理解し支援できる環境の整備は、女性がキャリアを中断することなく長期的な活躍に繋がります。当社では、出産後も安心して働き続けることができるように、ママアドバイザーの設置をはじめとする復帰後の勤務支援などの支援制度を整備してきました。現在は、男性の育児休業取得率の向上に向け、配偶者の妊娠が分かった時点で本人・上長・人事部の3者面談を行い、本人の取得希望時期の確認、引継ぎや役割分担等の調整を行っています。男女ともに安心して育児休業が取得できる環境整備に力を入れており、男性及び女性の育児休暇取得率100%を目標にしています。
今後も全ての社員が活躍できる職場、組織、会社を目指し、育児休暇取得の文化醸成と、早期復職支援や柔軟な働き方の推進により、社員の仕事と育児の両立を支援していきます。
「育児休業」データ
※男性の取得者数及び取得率の( )内の値は、事業年度末日時点で取得時期が確定している人数を加味し算定したものです。
※実績値は、株式会社ゼットンを除く国内グループ会社全体の値です。
■健康経営の推進(ウェルビーイング)
~取組み事例~
女性活躍を支える健康課題への対応
▷ 婦人科がん健診の対象拡大と受診勧奨
▷ 健康に関する上司向けリテラシー教育
疾病予防・健康増進とメンタルヘルス対応
▷ 相談窓口「こころとからだの保健室」の設置
▷ 産業保健職体制構築(産業医、保健師常駐)
▷ 健診リスク者へ2次健診勧奨
▷ 自社健康保険組合と連携して、健康への関心・リテラシー向上のための研修・情報発信
「健康経営推進」データ
上記のほか、全ての人が輝くためのダイバーシティやウェルビーイング施策は以下の通りです。
・障がい者の雇用促進と長期的にかつ自分らしく活躍できる環境の整備
-店舗運営支援業務、物流機能及びバックオフィスのサポート業務に加えて、接客や店舗運営まで任せる取り組みを「OFF STOREエスパル山形店」にて開始し、活躍領域をさらに拡大
・LGBTQ+、インクルーシブの促進に向けた取り組み
-福利厚生の公平な適用に向け、配偶者に同性パートナーを認めるよう規程を改定
-店舗内にレインボーフラッグを掲げる「アダストリアプライドマンス」の実施やオリジナル研修動画を作成し、性的マイノリティへの理解を促進
-インクルーシブファッションプロジェクト「Play fashion! for ALL」を推進
・仕事と家庭の両立、業務効率化に繋がる柔軟な働き方やコミュニケーションが活性化するオフィス環境の改善
■マネジメントメッセージの発信や社員との双方向の対話機会
マネジメントと従業員の双方間で、将来の夢を語り、想いを共有し、また課題に対して共に解決に向けて意見交換する機会を大切にしています。年に1回実施している「タウンミーティング」では、経営層が各地域に出向き、企業理念・ミッションや事業計画などについて想いや方向性を共有するとともに、社員たちと直接対話することで、その場で社員から出た困りごとや改善を求める声を受け止める機会としています。なお、その社員の声に積極的に耳を傾け、速やかに改善を進めています。
また、従業員の家族からの理解を深め、楽しみを共感してもらうことも重視しており、親子で参加できる「A KIDSラボ」や家族参加型のウェルビーイング企画「ウェルネスデイ」などの開催を通じて、当社の良き文化であるファミリー感・一体感を一層高めています。
これら一つ一つの取組みを通して、従業員のモチベーション向上、組織活性化に繋がっています。なお、毎年実施している従業員満足度調査では、総合満足度4.0以上(5点満点)の維持を目指しています。
「従業員満足度」データ
※実績値は、株式会社ゼットンを除く国内グループ会社全体の値です。
※本調査は、非正規労働者(月80時間以上の勤務者)を含む従業員を対象に実施しています。
上記のほか、ファミリー感を裏付ける風通しの良さ(対話の文化)やコミュニケーション活性に係る施策は以下の通りです。
・従業員全員から、会社全体やブランド横断でアイデアを募集する「アイデアポスト」の設置
・お客様からのお褒めやご指摘などのご意見は全社に即時に共有
④ リスク管理
当社グループでは、人的資本経営の推進に向けた重要な人事戦略や施策及び関わる課題やリスクについて、取締役会、執行会議及びサステナビリティ委員会にて、重要課題として議論しています。総合的なリスク管理体制のもと、推進部門である人事部が詳細な検討を行い、全社的な観点で課題やリスクへのモニタリングを行っています。
なお、人的資本に関するリスクの内容については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。