人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数1,324名(単体) 2,907名(連結)
-
平均年齢42.1歳(単体)
-
平均勤続年数20.0年(単体)
-
平均年収5,623,034円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2024年3月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
高分子事業 |
1,191 |
(88) |
機能資材事業 |
717 |
(89) |
繊維事業 |
522 |
(152) |
報告セグメント計 |
2,430 |
(329) |
その他 |
11 |
(-) |
全社(共通) |
466 |
(73) |
合計 |
2,907 |
(402) |
(注)1.従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員数を外数で記載している。
2.臨時従業員には、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員(186人)を除いている。
3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門等に所属しているものである。
(2)提出会社の状況
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|
|
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2024年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
|
1,324 |
(162) |
42.1 |
20.0 |
5,623,034 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
高分子事業 |
533 |
(43) |
機能資材事業 |
325 |
(45) |
繊維事業 |
- |
(1) |
報告セグメント計 |
858 |
(89) |
その他 |
- |
(-) |
全社(共通) |
466 |
(73) |
合計 |
1,324 |
(162) |
(注)1.従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員数を外数で記載している。
2.臨時従業員には、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員(72人)を除いている。
3.平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでいる。
4.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門等に所属しているものである。
(3)労働組合の状況
当社の労働組合は、ユニチカ労働組合と称し、UAゼンセンに加盟している。
労働組合と会社との関係は円満であり、特記すべき事項はない。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1、3 |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
||
4.0 |
84.2 |
76.7 |
79.1 |
64.8 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき
算出したものである。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものである。
3.男女間の賃金の差異は、同一の職種等級間において男女の賃金に差はなく、職種等級の人数構成の差によるものである。
②連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率 (%) (注)2、3 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1、3、4 |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用労働者 |
|||
日本エステル㈱ |
0.0 |
40.0 |
70.5 |
72.4 |
79.2 |
ユニチカトレーディング㈱ |
1.6 |
33.3 |
66.7 |
65.1 |
88.2 |
ユニチカテキスタイル㈱ |
0.0 |
- |
76.0 |
80.2 |
29.7 |
ユニチカグラスファイバー㈱ |
4.5 |
80.0 |
65.6 |
74.8 |
78.2 |
ユニチカガーメンテック㈱ |
0.0 |
- |
60.5 |
70.1 |
- |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき
算出したものである。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものである。
3.「-」は、対象となる従業員がいないことを示している。
4.男女間の賃金の差異は、同一の職種等級間において男女の賃金に差はなく、職種等級の人数構成の差によるものである。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
当社グループは2022年にサステナビリティ委員会においてサステナビリティ方針を策定し、同年4月の取締役会で承認された。この方針は、経営理念と長期ビジョン実現に向けたグループのミッションをサステナビリティの観点から捉え、具体化したものである。このサステナビリティ方針のもと解決に向けて取り組んでいるのが8つの優先課題(マテリアリティ)である。製品が持つ価値に関する優先課題として定めている3つの「事業に関する優先課題」は、長期ビジョンの実現に向けたグループのミッションそのものである。災害や事故、犯罪、健康被害などから人々を守るための製品や、デジタル化や多様化する生活習慣に対応する製品、CO₂削減や省資源、環境汚染防止に貢献する製品を提供することによって解決を目指している。5つの「企業活動に関する優先課題」は、事業活動を遂行する上で配慮すべき、様々な課題である。具体的には、環境に配慮した企業活動を行うことや、全てのステークホルダーの人権の尊重、従業員の健康的な生活の確保と多様な人材がやりがいを感じて働くことのできる環境の整備、サプライチェーン上のリスクの発見と回避に努めることを掲げている。
(1)ガバナンス及びリスク管理
①ガバナンス
当社グループの優先課題とそれに対応する指標(KPI)と目標値を実現するために、2021年12月に実行組織としてサステナビリティ委員会を設立し、委員長は代表取締役社長執行役員が務めている。全社的に取り組みを進めるため、各セグメント担当などの部門のトップ全員が委員として議論に参加し、同委員会の議論内容は取締役会に報告し、指示・承認を受けることとしている。また、委員は全体を統括するだけでなく、KPIの責任者として先頭に立って取り組みを進めている。
サステナビリティ委員会は、気候変動対応を含むサステナビリティに関する事項について、当社の取締役会に年1回以上の報告を行っている。また、当社グループの優先課題に対する指標(KPI)の進捗状況を監督し、中期経営計画の策定時に反映している。
なお、同委員会の下に、TCFD提言に基づく開示を進めるTCFD部会及び人的資本に関連したKPIに対する目標の達成を目的とした人的資本部会を設け、体制の強化を図っている。
②リスク管理
優先課題の特定にあたって、まず、持続可能な社会を実現するために当社グループが既に取り組んでいることと、これから取り組むことをSDGsのゴールターゲットとGRIスタンダードに照らしてリスト化し、これらの取り組みをグループ化したうえで、SDGsの目標年である2030年までの達成すべきことを課題として抽出した。そして、これら課題それぞれについて、リスクと機会、バリューチェーン上での位置付けを検証し、重要な項目について絞り込みをし、最終的に、これらの項目をマトリックスでステークホルダーにとっての重要性と当社グループにとっての重要性という2軸で整理し、優先課題(マテリアリティ)を特定した。また、「優先課題の前提となる基本事項」についても4項目設定した。なお、これらの項目については、経営会議にて承認されている。
優先課題の中には、「環境と共生する企業活動の推進」があり、この中には気候変動の関連リスクが含まれている。サステナビリティ委員会は、必要に応じてこのリスクの妥当性を評価しており、気候関連を含む新たに特定したリスクについては、重要と判断するものを取締役会に報告している。
(2)重要な戦略並びに指標及び目標
[優先課題とKPI]
2021年7月に各優先課題のKPIを策定し、2030年度の目標を設定した。その後、サステナビリティ委員会において進捗を確認し、施策の見直しと追加を行っている。
|
優先課題 |
KPI |
2023年度実績 |
2025年度の目標 |
2030年度の目標 |
Prosperity 豊かさ・繁栄 |
|
|
2019年度比1.1倍 |
2019年度比1.6倍 |
2019年度比2.6倍 |
1.安全で安心な「暮らし」の実現 |
3つの暮らしに貢献する 素材の売上高 |
・食品包装バリアフィルム海外展開 ・自然災害対策資材の上市 ・浄水フィルタ―の拡販 |
|||
2.便利で快適な「暮らし」の実現 |
・デジタル関連素材の市場参入 ・半導体関連素材拡販 |
||||
3.環境と共生する「暮らし」の実現 |
・場内リサイクル、マスバランス方式の適用 ・環境配慮型食品包装フィルムの市場展開 |
||||
Planet 地球環境 |
4.環境と共生する企業活動の推進 |
CO₂排出量 (国内全グループ) |
2013年度比33%減 |
2013年度比24%減 |
2013年度比46%減 |
・省エネ設備の導入、クレジット導入検討 |
|||||
産業廃棄物場外処理量 (国内全グループ) |
2019年度比19%減 |
2019年度比8%減 |
2019年度比10%減 |
||
・産業廃棄物削減用設備導入と産業廃棄物のリサイクル強化 |
|||||
People 人間生活 |
5.人権の尊重 |
人権関連教育の実施率 (海外を含む全グループ) |
79% |
75% |
100% (2026年~2030年に1回以上教育を受けた社員の割合) |
6.働きがいのある会社づくり |
休業災害発生件数 (海外を含む全グループ) |
11件 |
0件 |
0件 |
|
健康経営優良法人認定 (ユニチカ及び一部グループ会社*) |
認定取得 |
認定取得 |
ホワイト500 |
||
7.ダイバーシティの推進 |
女性管理職比率 (海外を含む全グループ) |
5.5% |
8% |
20% |
|
総合職本社新卒採用女性比率 (ユニチカ) |
35% |
30% |
30% |
||
男性育休取得比率 (国内全グループ) |
72% |
50% |
85% |
||
中核人材プールの年次レビュー実施率 (ユニチカ) |
100% |
100% |
100% |
||
8.サプライチェーンマネジメントの強化 |
CSR調達アンケート回答率 (主要取引先) |
- |
80% |
80% |
|
*日本エステル㈱、ユニチカトレーディング㈱、ユニチカテキスタイル㈱、ユニチカグラスファイバー㈱、ユニチカガーメンテック㈱の5社 |
(3)人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標
当社グループは、「暮らしと技術を結ぶことによって社会に貢献する」という経営理念のもと「お客様から選ばれ続ける企業」を目指している。長期ビジョン「G-STEP30」においては、持続的な社会実現へ貢献するために、「Governance/事業基盤の整備」を基本方針の1つとして位置づけ、「組織風土改革、人材育成」「技術伝承、事業所整備」に取り組んでいる。人的資本に関しては、優先課題として「人権の尊重」「働きがいのある会社づくり」「ダイバーシティの推進」を掲げており、これら優先課題にかかわる当社グループの基本的な考え方として「ユニチカ人権方針」「ユニチカ健康経営宣言」「ユニチカダイバーシティ経営方針」を2022年7月の取締役会で決議した。それぞれの優先課題においてKPIと目標を定め、その実現に向けた施策を展開している。
①人権の尊重
当社グループでは様々な事業運営に関して諸規程やルールを明文化し、遵守を徹底していくことで安全・安心な職場環境を促進している。社会的使命を果たす基本的方針として「ユニチカグループ企業行動憲章」を制定し、事業活動において守るべきことを具体的に「ユニチカグループ行動基準」として定めており、そのなかですべての人々の人権を尊重する経営(多様性・人格・個性を尊重する働き方含む)に取り組んできた。また、昨今の人権尊重の高まり・重要性を踏まえ、2022年7月に「ユニチカ人権方針」を制定した。これまでも大阪同和・人権問題企業連絡会会員として、人権啓発情報の収集など幅広く人権問題に取り組んできたが、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に依拠し、事業に関連する全てのステークホルダーの人権を守りながら事業活動を推進していくことを「ユニチカ人権方針」に示している。
また2023年9月には、政府が示した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」や日本繊維産業連盟による「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」の趣旨を理解し、外国人技能実習生を含むライツホルダーの人権を尊重すべく、サプライチェーンの関係取引先のご協力も得て、「責任ある企業行動実施宣言」を宣言した。
a.人権関連教育の実施
ユニチカグループ企業行動憲章の1つにある「すべての人々の人権を尊重する経営を行う」という考えのもと、人権啓発推進組織を整備し、代表取締役社長執行役員をはじめとする役員・グループ会社社長などの経営層や従業員を対象とした社内人権研修を実施するなど、人権啓発にグループを挙げて取り組んでいる。また、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、及びマタニティハラスメントなど妊娠・出産、育児・介護に関するハラスメントについて、各事業所・グループ会社に相談窓口を設置し、従業員の意識・認識を高めている。今後は、全てのステークホルダーの人権を尊重することへの理解を深めるために、国内・海外の従業員に対して「ユニチカ人権方針」の周知と人権教育を適宜行っていく計画である。
KPI |
人権関連教育の実施率(海外を含む全グループ) |
2023年度実績 |
79% |
2030年度目標 |
100% (2026年~2030年に1回以上教育を受けた社員の割合) |
b.人権デューデリジェンス
繊維セグメントの中核会社であるユニチカトレーディング株式会社において、衣料繊維のサプライチェーンにおける人権に関するリスクを抽出し、軽減・対応を行う「人権デューデリジェンス」を実施し、当社グループが社会に与える人権に対する負の影響を特定し、その是正及び軽減に取り組んでいる。2022年7月に日本繊維産業連盟が公表した「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」に基づき、チェック項目の評価とサプライチェーンの「見える化」を実施したところ、サプライチェーン上のリスクの把握や人権侵害が発生した場合に取引先なども利用できる苦情処理窓口の必要性などの課題が抽出された。また、一次サプライチェーンについては、商流上の位置付けの把握については出来ているものの、末端の商流把握が難しいことを改めて確認した。今後、特定したリスクの防止・軽減に向けた行動に取り組み、是正及び軽減を図っていく。
②働きがいのある会社づくり
当社グループでは、「働きがいのある会社づくり」をサステナビリティの優先課題として定め、各種施策に取り組んでいる。
a.従業員の健康
・健康経営優良法人の認定取得
2022年7月に「ユニチカ健康経営宣言」を策定し、代表取締役社長執行役員のもと健康経営®(※1)を推進している。以前から、メンタルヘルスや生活習慣病対策などの取り組みを進めていたことが認められ、当社グループの一部(※2)は、2023年3月、2024年3月と2年連続で「健康経営優良法人」の認定を受けている。引き続き、会社、産業医、健康管理スタッフ、健康保険組合などが連携し、特定保健指導参加率の向上や喫煙率の低下を始め、さらなる従業員の健康維持増進を図っていく。2030年に向けては「健康経営優良法人制度」の大規模法人部門で認定された企業のうち、健康経営度調査結果の上位500法人を示す「ホワイト500」の認定取得に取り組む。
※1.「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※2.ユニチカ㈱、日本エステル㈱、ユニチカトレーディング㈱、ユニチカテキスタイル㈱、ユニチカグラスファイバー㈱、
ユニチカガーメンテック㈱
・メンタルヘルスの取組
厚生労働省の「労働者の心の健康保持増進のための推進」に基づいて、入社時及び昇格時にメンタルヘルス研修を行い、従業員の「心の健康づくり」に積極的に取り組んでいる。また、毎年ストレスチェックを実施し、メンタルヘルスケアの一次予防として、高ストレス者にはストレスが軽減されるよう対応を進めている。
・復職支援ガイドライン
長期療養から円滑に復職できるよう「復職支援ガイドライン」を定めている。
・生活習慣病対策
35歳未満の定期健診時(年1回)では、法定項目ではない血液検査や心電図検査を実施し、中高年になる前から従業員自身が健康管理に関心を持つよう働きかけている。
・感染症予防対策
インフルエンザ予防接種を各事業所にて実施し、従業員のインフルエンザ発症や重症化の予防に努めている。
b.安全衛生に対する取組
当社グループでは、中央安全衛生委員会を中心として、「休業災害ゼロ」を目指した安全衛生活動を各事業所、各関連会社で実施している。グループ内の安全衛生担当者が参加する安全衛生管理者会議を年3回開催し、労働災害の解析と対策、全社的な課題への取組状況、法規制の改正動向などの情報を共有している。
c.防災活動への取組
・防災対策の強化
「従業員の命を守る」という基本的な使命と、「事業を継続する」というステークホルダーへの責任を果たすためには、東日本大震災のような巨大災害に対する備えが必要である。2021年7月にユニチカ防災対策要綱の改訂と防災体制及び災害対策の整備を行い、2023年10月に中央防災対策委員会による防災委員会を実施し全社に防災の重要性を周知した。
・防災訓練の実施
2019年1月の宇治事業所における火災の反省を踏まえ、全社的に防災体制を見直して再発防止に努めている。事故や自然災害に備えた訓練活動にも積極的に取り組んでおり、春や秋の火災予防運動実施時期には各事業所で訓練を実施している。また、生産施設の安全管理を徹底する社内基準として「新設備等の安全衛生及び環境に関する事前評価指針」を制定している。設備の新設・改造などを行う場合は、この基準に照らし、設計時と完成検査時の計2度にわたり厳正な審査を行い、災害防止に努めている。
・大規模災害への備え
大規模災害の発生によって電車などの公共交通機関が麻痺した場合、従業員が途中で帰宅困難者になったり、警察や消防の救助活動の妨げになったりすることを防ぐため、事業所内に一昼夜留まるよう「帰宅基準」を定め、災害対策用資器材や飲料水、保存用食品の備蓄を進めている。また、近隣住民の皆様からの応援要請や自治体からの協力要請に応えることができるよう体制を整えている。
③ダイバーシティの推進
2022年7月に「ユニチカダイバーシティ経営方針」を策定した。当社グループは、新しい価値を創出するため、多様な人材を活かし、ダイバーシティ経営を推進している。
a.女性活躍推進
・研修、意識改革
ダイバーシティ推進、とりわけ女性活躍推進を加速させるために、企業風土の改革が必須であるとの考えから、役員を含めたマネジメント層の研修に加え、女性キャリア研修、女性事務職と上司を対象にした選抜型研修を実施し、モチベーション向上とキャリア支援を図っている。このような取り組みを継続していくことで意識改革を進め、女性管理職比率の向上を図っていく。
・採用、配置、育成
新卒採用については、「総合職本社新卒採用女性比率」の数値目標を掲げており、厚生労働省「公正な採用選考について」を遵守、公正な採用活動を推進している。また、「リターン雇用制度」を設け、正従業員がやむを得ない家庭事情(結婚、育児、介護、配偶者の転勤)により退職した後、退職の原因となった状況が変化し再び勤務が可能になった場合に、本人と会社の希望が折り合えば、もう一度活躍できるチャンスを提供している。
KPI |
女性管理職比率(海外を含む全グループ) |
2023年度実績 |
5.5% |
2030年度目標 |
20% |
KPI |
総合職本社新卒採用女性比率(ユニチカ) |
2023年度実績 |
35% |
2030年度目標 |
30% |
b.多様な働き方の推進
・多様性の受容
育児・介護中や疾病治療中の者、障がい者、海外出身者、LGBTQ+、若手、高齢者など、それぞれが個々の「違い」を受け入れ、認め、その多様性を活かすことが当社グループの力を高めていくことに繋がると考えており、入社時研修や階層別教育において理解を促している。障がい者雇用では、地域の支援学校卒業生や作業訓練所の出身者を積極的に受け入れ、障がい者雇用を推進している。雇用の場を提供することで地域に貢献するだけでなく、障がい者一人ひとりが組織の一員として能力を発揮する環境作りをすることで、従業員が多様性を理解する機会にもなっている。
・ワークライフバランス
社員の仕事と生活の両立(ワークライフバランス)を促進するため、ノー残業デーの実施や、法定を上回る育児休職、産後休暇、子ども看護休暇、介護休暇などの制度を設けている。育児や介護をする従業員から要望が多かった半日年休は、年14回(計7日)まで取得でき、3歳以上、小学校3年生終期までの間に勤務時間を1時間短縮できる制度を運用しており、また男性の育児休職取得も推奨している。さらに多様な働き方を支援していくために、一部部署ではフレックスタイム制度を整備するほか、リモートワーク(在宅勤務)を活用し、ディーセント・ワークを促進している。
KPI |
男性育休取得比率(国内全グループ) |
2023年度実績 |
71.9% |
2030年度目標 |
85.0% |
c.人材育成と中核人材プール
・教育体系の整備
従業員全体の能力の一層の底上げが、組織力の基盤をより強固にするとの考えから、教育体系を整備している。人材育成においては、従業員のキャリアパスを踏まえた「OJT」がその幹であると位置づけ、若手社員のフォローアップと指導者に対する教育・支援をより効果的に行う仕組みとしている。「OJT」を補完する仕組みである「OFF-JT」では、階層別教育、機能別教育、グローバル人材育成プログラムを充実させている。
・中核人材の育成とプール
企業価値を高める次世代リーダーとなる中核人材について、特定の階層・領域における人材プールを策定し育成を図り、定期評価、個別育成計画策定、アサインメントの年次レビュー実施率100%を目指して取り組んでいる。将来の経営人材候補:「経営人材」、生産現場の中堅幹部候補:「生産幹部人材」、デジタル技術を活用した変革・改善を推進する人材:「DX人材」という3つの人材プールを定め、各人材プールに求められるポテンシャルを有した人材を選抜して育成を行うことによって、エンゲージメントの高い人材の確保が期待できる。
「経営人材」プールは、国内外拠点のトップを含むものとし、年功や過去の評価にとらわれることなく、職責にあった実力本位の人材を抜擢している。育成においては実践的なビジネススキルを身に付けるために社外ビジネススクールへ参加する機会を与え、登用、異動、研修などの状況については定期的に代表取締役社長執行役員に報告を行って共有を図る(年次レビュー)。将来のCEOサクセッションプランにも繋がるものと位置づけて、取り組んでいく。
「生産幹部人材」プールは、事業所採用者で入社後3年間実施される「若手技能職研修」修了者や、これまでに取り組みを進めてきた「技能向上推進」の育成対象者などの中から優秀者を選抜している。技能の習熟やQC手法により現場の課題解決を図るという「技術」重視のOJT・OFF-JTに加え、リーダーひいては生産幹部人材に必要なヒューマンスキル、すなわち「人」に焦点を当てたプログラムを本格的に実施していく。
「DX人材」プールは、社内の組織風土を変革し、高度なデジタルトランスフォーメーションを実現する人材を育成し、IT人材及び女性活躍の裾野を拡大する。オンライン学習プラットフォームを活用した継続的なリスキリングを行うことによって、デジタルに関する自律的な学びの支援から始め、最終的には、全社課題を解決できる変革リーダー(業務改革・改善推進者)への育成及び絞り込みを行いプール化していく。
KPI |
中核人材プールの年次レビュー実施率(ユニチカ) |
2023年度実績 |
100% |
2030年度目標 |
実施率100% |
d.組織風土・環境整備
・CFTによる組織活性化
IT教育における裾野を拡大するとともに多様な人材が共に尊重し成長できる風土を醸成するために、CFT(Cross-functional Team:組織横断で編成されたチーム)活動を推進している。このCFTの取り組みは、縦割り型組織を崩すことも狙いの1つであり、また全社課題を見渡すことのできる職場環境を社員に提供するきっかけにもなっている。人材育成に使用する学習コンテンツのレベルについては、活用できる知識レベルごとに4段階の達成目標(Level0:「知識のインプット」、Level1:「知っているから使えるへ」、Level2:「使えるから業務改善へ」、Level3:「業務改善から改革へ」)が設定されており、最上位となるLevel3ではプロジェクトチームにおける課題解決能力を身につけた次世代リーダーの育成を図ることが可能なプログラムとなる。
・人事評価制度とローテーション
従業員がモチベーションやマインドを高く持って、能力向上とキャリア開発に取り組み自らの成長を図れるよう、様々な育成プログラムを展開しており、体系的・継続的に推進することにより企業競争力を高めていくことを目指している。
人事評価制度では、従業員の期待役割や能力開発目標を明確にするとともに、その役割に応えて成果を上げた者を公正に評価できるよう運用している。具体的には、1年間のコンピテンシー・能力・役割の向上、成果達成、業務遂行プロセスの状況に基づき評価する人事考課や、年2回の目標管理制度に基づく業績評価などを実施し、昇給・昇格、賞与に反映する。上司によるフィードバックを通じて従業員の今後の能力開発を図っている。
また、個々の従業員のキャリア開発はもとより、組織間シナジーを生み出しビジネスチャンスや業績の向上に繋げる狙いから「人事ローテーション」を実施しており、従業員の自己申告による配置希望なども踏まえながら、より効果的な運用を図っている。
(4)気候変動リスクに関する戦略並びに指標及び目標
当社グループでは気候変動に関する重要なリスク・機会として、下表の項目を認識している。当社グループでは今後、対象事業や用途領域を選定しながらシナリオ分析を深め、随時リスクと機会を見直しながら、段階的に開示情報を拡充していく予定である。
①リスク・機会の特定
当社グループにおける気候変動に関連する主なリスク・機会について、短期・中期・長期の観点で特定し、整理している。
②シナリオ分析の実施と対応戦略
整理した気候関連リスク・機会のうち、事業への影響度、事業戦略との関連性、ステークホルダーの関心度等を勘案し、当社グループとして重要度が高いと評価したテーマについて、「2℃未満シナリオ」「4℃シナリオ」を設定しシナリオ分析を実施している。
シナリオ分析Ⅰ(機会)
[リサイクルプラスチックの需要増加]
<影響評価>
化学セクターにおいて、2℃未満シナリオでの石油使用量は、燃料用は減少が想定されているが、プラスチック原料用は、4℃シナリオと同様に、増加が想定されており、いずれのシナリオでも化石資源由来プラスチックの需要が今後も見込まれる。
<対応戦略>
リサイクルプラスチックについては、従来の繊維や樹脂に加え、ケミカルリサイクル・マテリアルリサイクルによる再生材料を使用した食品包装用フィルム「エンブレムCE」「エンブレットCE」を強化していく。
シナリオ分析Ⅱ(機会)
[食品ロス・廃棄削減に寄与する製品の需要の増加]
<影響評価>
世界全体の食料需要量については、今後も増加が想定されることから、食品ロス・廃棄の課題の重要性は今後も高まると考えられる。
食品ロス・廃棄削減の動向については、FAO(国連食糧農業機関)において世界全体の食品ロスの割合がモニタリングされているほか、SDGs目標12「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」において、ターゲット12.3「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。」が掲げられており、SDGsの実現を目指す社会の中で、食品ロス・廃棄削減に寄与する製品の需要の増加は、今後も進むと想定される。
<対応戦略>
今後、バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」等の高付加価値品の展開を加速するとともに、より食品ロス・廃棄の課題の重要性が高まると考えられる海外市場への拡販を強化していく。
シナリオ分析Ⅲ(機会)
[EVシフトの進展における車両軽量化・バッテリー向け関連製品の増加]
<影響評価>
4℃シナリオと2℃未満シナリオ共にEV新車販売台数は増加することが見込まれるが、特に2℃未満シナリオの場合は2050年のEVの販売比率が大幅に増加すると推計される。
当社グループにおける主なEV向け関連製品はEVの車両軽量化に寄与する製品として「ナイロン6樹脂(自動車用途)」、「不織布(自動車用途)」があり、EVバッテリー向け関連製品として「LIB用フィルム(EV用バッテリー用途)」がある。
いずれの用途の市場もEV市場に比例した成長が見込まれるが、車両軽量化に寄与する製品は現在販売しているガソリン車に適した製品からEVに適した製品への切り替えが必要となる。EVシフトの進展によりEV用LIBの市場は今後拡大し、それに伴いフィルムを使用したパウチタイプの需要の増加も見込まれる。
<対応戦略>
ナイロン6樹脂(自動車用途)については、EVシフトを進める顧客への営業を強化し、軽量化が求められる車両部材への採用拡大を目指していく。不織布(自動車用途)については、EVシフトの進展に伴い、車両軽量化に資する材料の提案を進め、かつ、EVの居住性を向上させる内装材用途の拡販を進めていく。
LIB用フィルムについては、顧客の新規設備の立ち上げに素早く対応してシェア拡大を狙っていく。
③指標及び目標
当社グループは、製品製造時に地球環境に悪影響を与えないことを行動指針として、50年にわたって環境保全に努めてきた。温室効果ガス排出量の削減にも早くから力をいれており、他社に先駆けてガスコージェネレーションシステムを導入(2004年度宇治事業所、2006年度岡崎事業所)している。
さらに、環境中期計画において毎年の削減目標を設定し、継続的に削減活動に取り組んできた。2021年7月にはサステナブル推進プロジェクトにおいて、国内全事業所からのCO₂排出量(Scope1,2)を2030年度までに2013年度比で46%削減することを目標として設定した。2050年にはカーボンニュートラルを目指している。なお、CO₂排出量削減のための施策はサステナビリティ委員会が進捗を管理し、取締役会に報告している。
<事業活動によるCO₂排出量(Scope1,2)>
当社グループでは、自社事業所におけるガスなどの使用に伴う直接的なCO₂排出量であるScope1と、他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接的なCO₂排出量であるScope2を毎年算定し、報告している。
2022年度に温室効果ガスの種類の算定対象を広げ、非エネルギー起源温室効果ガス(6.5ガス)をScope1に含めた。2013年度以降の全てのデータも非エネルギー起源温室効果ガスを加えて再計算し、KPIの「CO₂排出量」の基準値と目標値についても、非エネルギー起源温室効果ガスを加えた値に修正した。2013年度比46%削減という2030年度目標は据え置きとしている。
国内全事業所(本社、営業所を含む)における2023年度のCO₂排出量はScope1とScope2を合わせて240kt-CO₂eだった。政府目標と同じ2013年度を基準年とした場合の削減率は33%である。46%減という目標達成に向け、省エネ設備への更新などの施策を進めている。
海外事業所における2023年度のCO₂排出量はScope1とScope2を合わせて70kt-CO₂eだった。2018年度を基準年として比較すると4%増加した。
KPI |
CO₂排出量※1(国内全事業所) |
2023年度実績 |
240kt-CO₂e(2013年度比33%削減) |
2030年度目標 |
193kt-CO₂e(2013年度比46%削減) |
※1非エネルギー起源温室効果ガスを含む |
④自社以外のサプライチェーンにおけるCO₂排出量(Scope3)
2022年度より、Scope3※1のCO₂排出量の算定を開始した。そして2023年度の算定における組織的範囲を当社及び一部のグループ会社※2に拡大し、その排出量は798kt-CO₂eであった。詳細は当社ウェブサイト上で公開予定である。
※1.当社の事業に関するサプライチェーン(原材料調達から最終製品の廃棄まで)から発生するCO₂のうち、Scope1とScope2を除いたものの合計。
※2.ユニチカトレーディング㈱、日本エステル㈱、㈱アドール、テラボウ㈱の4社
⑤物流におけるCO₂排出量の削減
物流においては、モーダルシフト、輸送効率化などを進め、原材料、製品、廃棄物などの搬入出と排出に伴う環境負荷の低減に取り組んでいる。行政へ届け出た当社が特定荷主となる2023年度の輸送量は48,752kt・km、CO₂排出量は17.4kt-CO₂(2013年度比34%削減)となった。今後もアイドリングストップやエコタイヤの推進、鉄道利用の拡大などにより、グループ全体でクリーン物流に取り組んで行く。