事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
(単一セグメント) | 5,974 | 100.0 | 930 | 100.0 | 15.6 |
事業内容
3【事業の内容】
当社では、モバイルIoT支援事業という単一セグメントのもと、IoTサービス事業者及びDXを推進する企業向けにIoT/DXプラットフォーム『MEEQ』を提供する「IoT/DXプラットフォームサービス」、及びMVNE事業者として、多くのMVNO事業者にネットワーク及び業務システム、業務支援等を提供する「MVNEサービス」を展開しております。
(1)事業の特徴
① 基幹サービスについて
それぞれのサービスの内容については下記のとおりとなります。
区分 |
IoT/DXプラットフォームサービス |
MVNEサービス |
説明 |
『MEEQ』は、SIMを活用したSaaS型IoTプラットフォームであり、Web上の画面から、簡単に1回線からSIMの購入・管理が可能となるサービスであります。通信やデータ処理のノウハウ不足でIoTやDXの取組みに苦戦している全領域の企業向けに開発しました。『MEEQ』を導入することで、多数の通信回線であっても管理が可能となり、ノーコードでシステム開発無くIoTシステムの実現が可能となるよう努めております。 |
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアに対応したMVNE事業者として、MVNO事業者に対してSIM調達(MNO(注)との交渉を含む)、事業者間精算の運用、サービス設計、その他各種サポート(新規MVNO事業への参入や収益拡大サポート)を実施しております。 |
(注)MNO(Mobile Network Operator):移動体通信事業者
売上のほとんどはリカーリング売上(注)となっております。また、IoT/DXプラットフォームサービスの契約回線数は順調に推移しています。MVNEの顧客は横ばいで推移しておりますが、特定顧客(楽天モバイル株式会社及びソフトバンク株式会社(旧LINEモバイル株式会社))がMNO化したことによる利用回線数減少の影響を受けてのものであるため、それ以外の顧客の利用は着実に増加しております。
(注)月次で継続的に計上する売上
② 3キャリアとのL2接続(注)1と閉域網(注)2について
当社は、3キャリアすべてとL2接続を行っており、通信速度制限などの独自料金体系等の設定が可能となっております。3キャリアすべてとL2接続を行っているMVNE事業者は、日本では数少ないため、当社の強みと考えております。
MVNE事業への参入は、ネットワーク設備の構築・運用のために必要な技術力や、MNOとの設備の接続や業務構築のために必要な通信事業に関する知見、設備投資等の固定費を回収できるだけの顧客獲得が必須となり、参入障壁が高いと考えております。
(注)1.MVNEやMVNOが自社のネットワークをMNOのネットワークと接続する際の接続形態の1つであります。L2接続(レイヤー2接続)とは、MNOとMVNEやMVNOのパケット中継装置(PGW)がL2トンネルで結ばれる接続形態であり、ユーザーにMVNOのIPアドレスを割り当てることができます。
2.閉域網とは、インターネット接続と分離することで、セキュリティを確保したネットワークのことであります。企業の機密情報や顧客情報、個人情報などの重要情報の漏洩事故を未然に防止するために、不特定多数のユーザーが利用するインターネットとは別に関係者のみが接続できる通信回線を利用します。
その上で、当社では、3キャリア混合の閉域網を構築することが可能であり、例えば、クレジットカード決済システム等に用いられるセキュアな回線網についても対応可能です。
③ 2つの基幹サービス展開による帯域の有効活用・コスト競争力
IoT/DXプラットフォーム『MEEQ』を提供する「IoT/DXプラットフォームサービス」、及びMVNE事業者として、多くのMVNO事業者にネットワーク及び業務システム、業務支援等を提供する「MVNEサービス」の2つの基幹サービスを展開しております。
「IoT/DXプラットフォームサービス」の開始前、すなわち、「MVNEサービス」のみを事業として行っていた際には、スマートフォンによる動画ダウンロード等の下り回線を使用することが多く、アップロードの上り回線については空き帯域が多く生じている状況でした。
「IoT/DXプラットフォームサービス」の展開後、IoTデバイス等から収集される各種データのアップロードが増加し、上り回線の空き帯域の有効活用が可能となりました。「IoT/DXプラットフォームサービス」では、帯域確保のための追加コストが比較的かからず、コスト競争力に優位性が生じていると考えております。
また、帯域が過剰に余ってしまうことは利益率の低下につながり、帯域の不足は品質の低下につながる恐れがありますが、当社は将来の通信量を予測して帯域を構え、割当を機動的に調整するノウハウを有しておりますため、ヒト、モノ、カネの資産を効果的に活用していると考えております。
④ 事業系統図について
当社の事業系統図は、下記のとおりであります。
[事業系統図]
(2)具体的な製品又はサービスの特徴
(IoT/DXプラットフォームサービス)
『MEEQ』は、SIMを活用したSaaS型IoTプラットフォームであり、Web上の画面から、簡単に1回線からSIMの購入・管理が可能となるサービスであります。通信やデータ処理のノウハウ不足でIoTやDXの取組みに苦戦している全領域の企業向けに開発しました。『MEEQ』を導入することで、多数の通信回線であっても管理が可能となり、ノーコードでシステム開発無くIoTの導入、DXの実現が可能になると考えております。
これらのサービス内容により、以下のような多種多様な顧客の課題の解決を図っております。
電波が届きにくいエリアでの通信環境を整えたい |
小規模なプロジェクトで使用したい |
高セキュリティな通信環境を構築したい |
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3キャリアの回線に接続対応することで課題解決しております。 電波の届きにくい場所でも通信がしやすいよう、使用場所に応じてキャリアの選択が可能。
※楽天モバイルは相互接続性試験まで完了 |
月額143円(税込)から利用可能で、SIM1枚からの発注も可能(スモールスタートも可能)。例えば、センサー向けであれば10MB程度の低速使い放題プラン、監視カメラ向けであれば、月間40GB程度の大容量プラン等、用途に応じたプラン選択が可能。 |
クラウド環境であっても、オンプレミス(注)であっても、閉域網の構築が可能であることで課題解決しております。 インターネットから物理的あるいは論理的に分離されたネットワークとなるため、不特定多数から直接アクセスを受けないセキュアな通信環境を構築することが可能。 |
(注)サーバーやソフトウエアなどの情報システムを、ユーザー担当者が管理できる施設の構内に設置して運用すること。
IoTサービスを海外に向けて展開したい |
通信量・接続状況の確認にかかる工数を減らしたい |
現場業務をデジタル化して円滑化したい |
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約180の国・地域に対応できるグローバルSIMにより、海外のIoTビジネス展開を可能に。 利用する国に関係なく、約180の国・地域で料金が一律となる低容量向けのプランも提供しております。 |
導入から管理までワンストップで操作することが可能となるコンソール画面を用意。 多数のSIMをグループ化するなど、使いやすい機能を提供。 |
ノーコードでソフトウエア開発不要な「MEEQデータプラットフォーム」により企業のDXを実現。 |
『MEEQ』は、トラッキングシステムやゴルフカート管理システム、入館認証ソリューション等、様々な場面で利用されております。また、DXの浸透を追い風に、顧客数は急ピッチで増加しており、アカウント数は、約7,800アカウントに到達しております。
(MVNEサービス)
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアに対応したMVNE事業者として、MVNO事業者に対してSIM調達(MNOとの交渉を含む)、事業者間精算の運用、サービス設計(ID卸・帯域卸)、その他各種サポート(新規MVNO事業への参入や収益拡大サポート)を実施しております。
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社の事業はモバイルIoT支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は5,931,616千円となり、前事業年度末に比べ、2,375,222千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が1,771,836千円、SIMの調達による前払費用が368,326千円増加したことによるものであります。固定資産は、843,302千円となり、前事業年度末に比べ、123,905千円増加いたしました。これは主にソフトウエア開発に伴い無形固定資産が153,955千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は6,774,918千円となり、前事業年度末に比べ、2,499,127千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は1,652,006千円となり、前事業年度末に比べ、597,185千円増加いたしました。これは主に新規大型顧客等からの初期費用受領に伴い契約負債が235,694千円増加したことによるものであります。固定負債は79,692千円となり、前事業年度末に比べ、21,455千円減少いたしました。これは主に返済によりリース債務が21,513千円減少したことによるものであります。
この結果、負債は1,731,698千円となり、前事業年度末に比べ、575,730千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は5,043,220千円となり、前事業年度末に比べ、1,923,396千円増加いたしました。これは主に当期純利益の計上により利益剰余金が633,523千円増加、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う新株発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ613,824千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度の我が国経済におきましては、景気の緩やかな回復傾向が見られた一方で、不安定な国際情勢等による資源価格の高騰、物価上昇や米国第2次トランプ政権の掲げる関税政策等、先行きが不透明な状況が依然として続いております。
このような状況の下、IoT/DXプラットフォームサービスについては、コロナ禍が収束したことによる家庭用Wi-Fiルータの需要が平常時に戻った影響が徐々に限定的になりながらも続いた一方で、IoT市場の拡大が続く中で、引き続きプラットフォームを用いたプル型営業やアライアンスを通じ、効率的に契約回線の獲得を進めました。MVNEサービスについては、特定顧客のキャリア化に伴う特定顧客の契約回線数減少の影響が徐々に限定的になりながらも続いた一方で、引き続き顧客基盤を持ち自社事業とモバイルサービスの連携を望む非通信事業者の取込みに注力し、当事業年度においては新規大型顧客を獲得いたしました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高5,974,401千円(前事業年度比111.1%)、営業利益929,644千円(前事業年度比118.4%)、経常利益910,048千円(前事業年度比116.0%)、当期純利益633,523千円(前事業年度比116.7%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業収入の増加、株式の発行等により、前事業年度末と比較して1,771,836千円増加し、当事業年度末には4,032,062千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は897,856千円(前事業年度は523,431千円の獲得)となりました。その主な要因は、税引前当期純利益の計上910,048千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果支出した資金は317,847千円(前事業年度は248,039千円の支出)となりました。その主な要因は、無形固定資産の取得による支出219,233千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は1,191,827千円(前事業年度は22,794千円の支出)となりました。その主な要因は、株式の発行による収入1,227,648千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績を示すと以下のとおりであります。なお、当社はモバイルIoT支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載は省略しております。
サービスの名称 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
金額(千円) |
前期比(%) |
|
IoT/DXプラットフォームサービス |
1,916,554 |
108.7 |
MVNEサービス |
4,057,846 |
112.3 |
合計 |
5,974,401 |
111.1 |
(注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
ソニーネットワークコミュニケーションズ 株式会社 |
1,878,842 |
35.0 |
1,950,410 |
32.7 |
株式会社カブ&ピース |
- |
- |
648,741 |
10.9 |
ソフトバンク株式会社 |
778,780 |
14.5 |
587,407 |
9.8 |
楽天モバイル株式会社 |
566,145 |
10.5 |
318,745 |
5.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高・営業利益)
当事業年度における売上高は、IoT/DXプラットフォームサービスについてはコロナ禍が収束したことによる家庭用Wi-Fiルータの需要が平常時に戻った影響を受けつつも、効率的に回線数を獲得いたしました。MVNEサービスについては特定顧客のキャリア化に伴う影響が限定的になりながらも続きましたが、新規大型顧客の獲得により、回線獲得が順調に進捗いたしました。一方で、事業の拡大により、売上原価・販売費及び一般管理費は増加しました。
その結果、売上高は5,974,401千円(前年同期比11.1%増)、営業利益は929,644千円(同18.4%増)となりました。
(経常利益)
当事業年度における経常利益は910,048千円(前年同期比16.0%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は633,523千円(前年同期比16.7%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は自己資金のほか、金融機関からの借入、新株の発行等により、最適な方法による資金調達にて対応する予定であります。なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、4,032,062千円となっております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、企業価値の継続的な向上を図る客観的な指標として、契約回線数や実質売上総利益率を重視しております。
契約回線数は、売上を拡大させるための基礎となる指標となると考えております。当事業年度末における契約回線数は86万回線を超え、前事業年度末に比べ約22万回線増加いたしました。特定顧客がMNO化したことによる利用回線数減少の影響があった一方で、IoT/DXプラットフォームサービスについてはモビリティ、スマートシティ、エネルギー・インフラ、農林水産、小売、ヘルスケア等幅広い領域でご利用が広がり、MVNEサービスについては主に大型顧客の新規獲得が奏功し、契約回線数の増加につながっております。
また、実質売上総利益率は、当社の効率的な事業運営の指標となると考えております。上り回線の使用割合が高いIoT/DXプラットフォームサービスと下り回線の使用割合が高いMVNEサービスの両サービスを有することを活かした帯域の有効活用等が奏功し、当事業年度の実質売上総利益率は52.1%と良好な水準となっていると、当社としては認識しております。