2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)事業環境に関するリスク

① 回線・帯域・設備の調達及びコストについて

[発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 インターネット上では帯域を多く利用するリッチコンテンツ(注)が急激に増加しており、利用者一人あたりのデータ利用量は急激に増えております。また、リモートワーク・Web会議等の利用が定着したことで、家庭での通信に対する需要が増えたことにより、インターネット業界全体で、帯域の不足が生じる可能性があると考えております。当社では、回線・帯域調達の効率化やデータの最適化を含めた高効率のネットワーク運用を行うなどの努力を行い、また、長年培ってきた技術力を最大限に活かし、これらの環境に対応すべく努めております。

 しかしながら、巨額の設備投資が必要となるような技術革新等が進んだ場合には、当社の事業運営及び拡大が制約され、調達の遅れやコスト増加により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(注) リッチコンテンツとは、音声や音楽、動画、アニメーションなど、動的な要素を含むコンテンツの総称であります。テキストや静止画に比べて表現力が高く、多くの情報を盛り込めることから、リッチ(=贅沢)コンテンツと呼ばれています。

 

② 特定の仕入先への依存について

[発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、モバイルIoT支援事業を運営するにあたり、複数の携帯電話事業者からモバイル通信網を調達しています。また、ネットワークに使用するルータ等の機器及びサービス提供や事業運営に利用するソフトウエアのいくつかの製品を購入先である第三者に依存しています。特に、モバイル通信の仕入のうち、株式会社NTTドコモからの仕入が約70%(2025年3月期実績)となっております。当社は、これら調達先と良好な関係を維持するとともに、事業拡大や効率的なネットワーク運営等を踏まえた調達先の拡大等、通信回線の安定調達を推進していく方針であります。

 しかしながら、何らかの要因により通信回線、機器及びソフトウエアの調達に支障が生じた場合は当社の事業運営に影響を与える可能性があるほか、将来において回線調達コストの上昇が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③ 競合について

[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社の事業は、通信インフラ及び技術力を利用してサービスを提供することを特徴としており、事業開始時に相応の設備投資を必要とするため、競合は存在するものの、比較的参入障壁が高い事業に属していると認識しております。

 しかしながら、今後登場する可能性がある他社の競合サービスに対して技術的、価格的に優位性を保持しうる保証はありません。

 当社の事業であるモバイルIoT支援事業においては、商品及びサービスの差別化を図るべく諸々の施策を展開しておりますが、競争の激化やその対策のためのコスト負担等が大幅に増えた場合には、収益性や販売力が低下し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 法的規制について

[発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社の主要な事業活動の前提となる事項について、当社は、顧客に必要な通信回線を提供するため、総務省に対し電気通信事業法に基づく届出電気通信事業者(旧一般第二種電気通信事業者)の届出(届出番号 A-31-17043)を行い、他人の通信の媒介を行っております。これにより当社には、通信の秘密の確保等の義務が課せられております。当該届出には有効期間の定めはありませんが、通信の秘密の確保やその他業務運営が適切ではないと判断された場合等に、総務大臣より業務方法の改善やその他の措置が実施されることとなります。現在、電気通信事業者の届出の継続に支障をきたす要因は発生していませんが、届出が取り消された場合、当社の経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

 また、現在のところ、電気通信事業に係る規制の強化や大幅な変更等が行われるという認識はありませんが、社会情勢の変化等により規制の強化や大幅な変更等が行われた場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

⑤ 技術革新について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、通信インフラ等に関連する専門の知識を持った従業員を採用し、通信インフラ技術への対応に努めております。

 しかしながら、これらの技術は日々変化しており、何らかの理由で当社において対応が困難であるほどの技術の変化や、巨額な設備投資を必要とする技術革新が起こった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 特定の取引先に対する売上比率について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 2025年3月期における当社の売上高に占める楽天モバイル株式会社及びソフトバンク株式会社(特定顧客)の割合は合計15.2%でした。特定顧客のキャリア化に伴う新規取引の減少と、株式会社カブ&ピースが売上高の10.9%を占めるなど、新規顧客の獲得が進んだことにより、特定顧客への売上依存度が大きく低減いたしました。一方で、現状では特定の顧客企業への依存が一定程度継続しているため、売上依存度のさらなる低減と事業基盤の強化を目指し、今後も新規顧客の獲得に注力してまいります。

 しかしながら、当面は特定の顧客企業の割合は高い状態が継続するものと考えられ、特定の顧客企業における事業サービス動向に影響を受けるほか、事業戦略や取引方針等に変更が生じた場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 なお、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に対する売上比率については、(4)①「ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に対する売上比率について」をご参照ください。

 

(2)システムに関するリスク

① システム障害について

[発生可能性:中、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社の利用するネットワーク回線及びデータセンターは、迂回経路を確保した冗長構成、大規模地震に耐えられる耐震構造、消火設備、停電時に備えたバックアップ電源等、24時間365日安定した運用ができるよう最大限の業務継続対策が講じられております。

 しかしながら、サイバーアタック、システム又はハードウェアの不具合、電力会社の電力不足や大規模停電、想定したレベルをはるかに超える地震、台風、洪水等の自然災害、戦争、テロ、事故等、予測不可能な事態によってシステム障害が発生した場合には、当社の信用が棄損し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② ネットワーク回線、データセンターの賃貸借契約について

[発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、ネットワーク回線及びデータセンターの設備の一部を自社で保有することなく、他社のネットワーク回線及び施設内に、自社の仕様に合わせた機器を設置し、顧客にサービスを提供する形態により事業展開しております。当社としては、ネットワーク回線及びデータセンターの設備所有者との間でサービス提供契約及び賃貸借契約を締結し、契約期間満了後も賃貸借契約の継続を予定しております。

 しかしながら、その可能性は低いと判断しておりますが、所有者が何らかの理由で、契約の継続を全部もしくは一部拒絶した場合又は契約内容の変更等を求めてきた場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ クラウドサービス上におけるサービス提供について

[発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、外部のクラウドサービス上にシステムを構築した上で各種サービスを提供しており、事業運営においてはクラウドサービスの安定稼働が重要な要素となります。当社は、クラウドサービスの安定稼働にかかる常時監視、障害発生又は予兆検知時のアラート通知等の対応を実施しております。また、通信サービス自体は外部クラウドサービスに依存せずに提供しており、クラウドサービスに障害が生じた場合でも、通信サービスの提供が途絶えることはありません。

 しかしながら、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害その他の想定外の事象発生によりクラウドサーバーの停止、コンピュータ・ウイルス、クラッカーの侵入又はその他不具合等によりシステム障害が生じた場合、又は外部クラウドサービスの継続利用に支障が生じた場合には、サービス提供に支障が生じることにより顧客からの損害賠償やその対応にかかる追加費用負担等が発生する可能性があるほか、当社のサービスやブランドに対する信頼性毀損等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(3)事業運営に関するリスク

① 資金調達について

[発生可能性:中、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社では、ネットワーク並びにサーバー設備、ソフトウエア、システム等の開発及び調達等に投資し、当社のサービスの更なる差別化を推進して事業拡大を図る計画であります。自己資金を厚く保有することでリスク軽減を図っているものの、計画を実行する上で必要な投資資金の確保が困難な場合、事業機会を逸し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 人材の採用と育成について

[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 今後の事業拡大を図る中で、優秀な人材の確保及び育成は不可欠であります。現在も採用による人材の獲得に加え、入社後の社内における研修、各種勉強会の開催、福利厚生の充実等、社員の育成に対応した各種施策を推進しております。

 しかしながら、新規の採用や社内における人材の育成が計画どおりに進まず、適正な人員配置が困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 人材の流出について

[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 持続的な成長や事業価値の向上を実現していく上で、人材は最も重要な経営資源であると考えております。従って、特に技術者の流出はサービス提供の生産性維持のリスクであります。日々のコミュニケーション強化の一層の充実に加えて、競合他社との比較で遜色のない処遇を設計しておりますが、人材が流出した場合には、サービス提供の生産性の低下により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 小規模組織であることについて

[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は小規模な組織であり、内部管理や業務執行についてもそれに応じた体制となっております。当社では、今後の事業拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強及び内部管理体制や業務執行体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 内部管理体制について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、企業価値の持続的な向上を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しております。そのためにも、当社では内部管理体制の充実に努めております。

 しかしながら、今後の事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ コンプライアンス体制について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全常勤役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図っております。

 しかしながら、これらの取組みにもかかわらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社の事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 第三者との係争について

[発生可能性:小、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、法令遵守を基本としたコンプライアンス活動の推進により、役員、従業員の法令違反等の低減努力を実施しております。

 しかしながら、当社及び役員、従業員の法令違反等の有無に関わらず、取引先、従業員その他第三者との予期せぬトラブル、訴訟等が発生する可能性があります。これらのトラブル、訴訟が発生した場合は、臨時的な費用の発生やブランドイメージの悪化等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 情報セキュリティについて

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社では、顧客から提供されるデータの管理においては、社内教育の実践、各種データのアクセス権限による制約、書面情報の施錠管理、オフィスの入退室管理等、対策を講じて実践することで社内での機密性確保並びに漏洩防止を図っておりますが、万が一これら機密情報の漏洩が生じた場合、当社への信頼が揺らぎ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 知的財産権について

[発生可能性:小、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社では第三者の知的財産権を侵害する事態を、調査等を通じ可能な限り回避するべく努力しております。

 しかしながら、特許権のすべてを検証し、さらに将来的にどのような特許権が成立するかを正確に把握することは困難であります。このため、当社の事業に現在利用されている技術と抵触関係をなす特許権などの知的財産権を第三者が既に取得している可能性や将来的に当社の事業における必須技術と抵触関係をなす特許権などの知的財産権が第三者に取得される可能性を完全に否定することはできません。また、そのような可能性が現実化した場合には、当該知的財産権に関する侵害訴訟の結果として当社に損害賠償義務が課せられ、また、当社の事業の全部あるいは一部が差し止められ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑩ 信用に関するリスクについて

[発生可能性:中、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社では、取引先との契約において「取引管理規程」を定め、取引等の可否の判断を行い、顧客ごとに与信限度額を設定して与信管理を実施しておりますが、取引先が経営状況の急激な変化等により資金繰りの悪化や倒産に至り、万一高額な貸倒損失が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)ソニーグループとの関係性に関するリスク

 ソニーグループ株式会社は、当事業年度末日における当社の発行済株式総数の36.4%(間接保有分を含む)を保有しております。

① ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に対する売上比率について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に対する売上高は、全体の32.7%(2025年3月期実績)となっております。同社以外の販売先の開拓に努めるとともに、同社に対して引き続き高品質なサービスの提供に努めてまいりますが、MVNO市場の競争激化やニーズの変化等により、同社にとってより最適なMVNE事業者が現れた場合には、販売の機会を逸失する事態が発生し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 なお、その他の関係会社である同社との取引については、一般株主との間に利益相反リスクが存在しますが、リスク顕在化防止策として、独立社外取締役で構成される関連当事者取引委員会を設置しております。関連当事者取引委員会において関連会社等との取引の合理性と取引条件の妥当性を審議し、取締役会に答申することにより、公平性・透明性・客観性を強化し、一般株主の利益に十分配慮した対応を実施しております。

 

② ソニーグループにおける当社の位置づけについて

[発生可能性:小、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、主にソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社との間で当社サービスであるMVNEサービスの提供取引等を行っていますが、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社がその他の関係会社であることによる事業上の制約はなく、当社の経営方針、事業展開及び個々の取引については当社独自の意思決定によっており、一定の独立性が確保されていると認識しております。

 しかしながら、当社の経営方針についての考え方や利害関係がソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社等との間で常に一致するとの保証はなく、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社による当社の議決権行使及び保有株式の処分の状況等により、当社の事業運営及び当社普通株式の需給バランスに影響を与える可能性があります。

 また、当社はソニーグループ株式会社を中心とした企業集団に属しております。ソニーグループ株式会社の完全子会社であるソニー株式会社の完全子会社(ソニーグループ株式会社の完全孫会社)として当社株式を直接保有するその他の関係会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(当事業年度末における当社の発行済株式総数の25.2%を保有)は「エンタテインメント・テクノロジー&サービス」セグメント(当事業年度末時点)に区分され、当社はその中においてMVNE及びIoTプラットフォーム事業を展開する企業として位置付けられております。

 ソニーグループ内においては、MVNE及びIoTプラットフォーム事業を展開する企業は他には存在しておりません。このことから、当社事業に係るソニーグループ内における競合は生じておらず、また現時点では今後発生する予定はないものと認識しておりますが、将来的にソニーグループの経営方針に変更が生じた場合等には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ ソニーグループとの人的関係について

[発生可能性:小、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 本書提出日現在、当社取締役5名のうち、その他の関係会社であるソニーグループ株式会社の業務執行者1名を選任しています。兼任している役員は以下のとおりであります。

当社における役職

氏名

兼務先における役職

取締役

渡辺 潤

ソニーグループ株式会社

事業開発プラットフォーム先端インフラ事業探索部門 部門長

 なお、現在、当社においてソニーグループ各社よりの出向などの受入は行っておりません。また、取締役小林泰平は、ソニーグループ株式会社の子会社であるSony Block Solutions Singapore Pte. Ltd.のDirectorを兼務しております。

 

(5)その他のリスク

① 自然災害・事故等について

[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社では、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害及び新型インフルエンザ等の感染症の流行が想定を大きく上回る規模で発生した場合には、当社又は当社の取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社では、新型コロナウイルス感染症の流行以降、リモートワークを導入する等、柔軟に事業を継続できる体制の整備を図っております。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

[発生可能性:大、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社では、役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、当事業年度末現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は17.7%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価に影響を与える可能性があります。

 なお、新株予約権の内容は、「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。

 

③ 配当政策について

[発生可能性:中、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながるものと考えております。そのため当社は創業以来、配当を実施しておりません。

 内部留保資金については、財務体質の強化と人員の拡充・育成をはじめとした収益基盤の多様化や収益力強化のための設備投資に活用する方針であります。

 将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

④ 調達資金の使途について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、事業拡大のための人件費及び採用費、ネットワーク増強費、及びIoT/DXプラットフォームサービス及びMVNEサービス拡充のための開発費に充当する予定であります。

 しかしながら、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定どおりの投資効果を得られない可能性があります。また、市場環境の変化が激しく、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。

 

⑤ 当社株式の流動性について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社の株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は当事業年度末日において37.2%となっております。今後は、既存株主への一部売出しの要請、新株予約権の行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を与える可能性があります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としています。しかしながら、本書提出日現在では事業の成長段階にあることから財務体質の強化及び事業拡大のための内部留保の充実を図り、事業拡大のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えています。このことから、創業以来配当を実施しておらず、内部留保資金につきましては、財務体質の強化及び事業拡大のための財源として利用していく予定であります。

 当社は剰余金を配当する場合は、期末配当の年1回を基本方針としております。また、当社は剰余金の配当を会社法第459条第1項の規定に基づき取締役会の決議により行う旨を定款に定めております。なお、当社は取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。