2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特定の取引先への依存度について

① 特定の販売先について

 当社グループは制御機器、産業機器、計測機器等の販売の他、検査装置、生産支援システムなど自社開発製品の設計、製造等を主な事業としております。当社グループでは、これらの商・製品等の販売において自動車関連産業及びトヨタグループへの依存度が高くなっております。

 したがいまして、当社グループの経営成績は自動車関連産業及びトヨタグループの設備投資動向に影響を受ける可能性があります。

 こうした中、持続的な成長に向けて、エンジニアリング力の強化や新商材開発に注力することで、自動車関連産業における販売領域の拡大を図るとともに、電気・電子・半導体、工作機械・産業機械関連産業への販売拡大及びグローバルビジネスの拡大に取り組んでおります。

 なお、最近5年間の当社の売上高における自動車関連産業並びにトヨタグループに対する売上高及び売上構成比は以下のとおりであります。

 

 

(単位:千円)

 

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

売上高

72,056,382

58,286,812

60,701,376

64,141,610

65,708,805

自動車関連産業に対する売上高

38,194,057

27,695,593

30,020,958

29,372,676

33,363,950

自動車関連産業に対する売上構成比

53.0%

47.5%

49.5%

45.8%

50.8%

トヨタグループに対する売上高

36,769,501

27,199,469

29,160,947

29,936,629

31,796,159

トヨタグループに対する売上構成比

51.0%

46.7%

48.0%

46.7%

48.4%

(注) 上記トヨタグループに対する売上高には、トヨタ自動車株式会社及びトヨタ自動車株式会社が定めるトヨタグループ17社への売上高に加え、トヨタ自動車株式会社及び当該グループ各社が出資している企業への売上高を含んでおります。

 

② 特定の仕入先への依存度について

 当社グループは前述のとおり制御機器、産業機器、計測機器等の販売の他、検査装置、生産支援システムなど自社開発製品の設計、製造等を主な事業とする、エンジニアリング機能を持った商社であります。現在、当社グループの仕入先は多岐にわたっておりますが、主要な仕入先であるオムロン株式会社からの仕入高の割合は比較的高くなっております。

 したがいまして、当社グループの経営成績は、オムロン株式会社の経営方針及び販売政策、並びに販売政策変更による契約内容の変更等があった場合に影響を受ける可能性があります。

 オムロン株式会社とは友好的かつ継続的な関係を維持する目的等により、代理店基本契約を締結しております。代理店基本契約には、契約商品、代理店表示、価格、返品、支払、商標、機密保持などの重要な項目が規定されております。代理店基本契約は原則1年毎の更新となっておりますが、契約上は当該契約の各条項に著しく違背した場合や、当該契約の円滑な履行が困難となった場合等に、何らの催告を要せず契約を全部又は一部を解除することができることとなっております。

 

 

(単位:千円)

 

 

仕入品目

2023年3月期

2024年3月期

金額

割合

金額

割合

オムロン株式会社

制御機器、各種電子部品等

14,059,393

22.6%

11,108,773

17.7%

 

(2) 海外進出に潜在するリスクについて

 当社グループの経営成績は、自動車関連産業の動向に影響を受ける傾向にありますが、その自動車関連産業は、グローバル化を積極的に推進しており、その対応が求められております。

 当社ではこのような環境を踏まえ、取引先の海外生産の立ち上げや現地でのニーズに迅速に対応するため、米国、英国、中国、タイ王国に、子会社を設立しております。

 当社における海外取引のほとんどはこれらの海外子会社への輸出取引であり、為替リスクを最小限にとどめるため原則として為替予約でカバーする努力を行っております。

 また当社では取引先の海外進出が増加する中、海外子会社における取引拡大に止まらず、将来的には新たな拠点展開を含めて検討していく所存であります。

 海外市場への進出には、為替リスクや国際金融など経済的リスク、戦争、テロ、疫病など政治的、社会的リスクなど、現時点では予測不可能なリスクが内在している可能性があり、これらの事象が発生した場合には経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループとしては、現地での動向について、海外拠点における情報網に加え、日本国内からの支援及び必要に応じて外部コンサルタントを活用した情報収集を図り、適切な対応を行うよう努めております。

 

(3) 物流業務の集約化におけるリスクについて

 当社は、トータルロジスティックコスト及び在庫の削減、物流業務の改善に向けたインフラ整備等を目的に1996年から全社物流業務を物流センター(名古屋市)1拠点に集約化しておりますが、物流センター所在地域又は全国配送ネットワークに大規模な地震、風水害等の災害や事故が発生した場合、代替手段を持っていないため、顧客に

対する商品供給にリスクが生じ、一時的に当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 法的規制について

 当社グループは主要事業である制御機器、産業機器、計測機器等の販売について、法的規制や行政指導は特にありませんが、産業機器及び計測機器の設置等については、建設業法に基づき、一般建設業許可及び特定建設業許可を受けております。一般建設業許可及び特定建設業許可については、5年毎にその更新を受けることとされており、現時点におきまして、これら免許の取消事由に該当する事実はないと認識しておりますが、今後何らかの要因により許可が取り消された場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 この対策として、関係法令の改正情報を常に入手し対策を行うことで、法令遵守を徹底しております。

 

(5) 業績の変動について

 当社グループの事業における大型設備案件は、年度末に完成、納入となる場合が比較的多く、また、主要顧客の多くが3月期決算の会社であり、その設備投資は期初には慎重に推移し、期末にかけて活発になる傾向があることから、当社グループの業績は上半期と比較し下半期の比重が高くなる傾向があります。

 こうした傾向に対し当社グループでは、大型設備案件の納期管理を徹底し、計画どおりに完成、納入ができるよう努めております。

 なお、最近2連結会計年度における四半期別の売上高及び営業利益の推移は下表のとおりであります。

 

2023年3月期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

合計

売上高(千円)

13,658,804

16,883,123

17,252,937

23,152,285

70,947,149

構成比(%)

19.3

23.8

24.3

32.6

100.0

営業利益(千円)

71,759

515,031

591,133

1,546,520

2,724,444

 

 

 

2024年3月期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

合計

売上高(千円)

15,768,583

18,200,553

18,406,806

22,204,734

74,580,678

構成比(%)

21.1

24.4

24.7

29.8

100.0

営業利益(千円)

329,646

771,222

692,273

1,121,116

2,914,258

 

(6) 地震や自然災害、感染症に関するリスク

 当社は日本国内に主要な拠点を有しており、地震や台風、豪雨などの自然災害による設備損壊や生産停止のリスクがあります。また当社の事業は感染症の流行による影響も受けるリスクがあります。これらに対しては、仕入れ先や主要顧客との情報連携を強化し、その影響を軽減していくよう努力してまいりますが、想定を超えるような事態が発生する場合には、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と位置づけ、連結配当性向30%を目処として、将来の持続的成長に必要な内部留保の充実を図りながら、配当を行うことを基本方針としております。

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

 これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当、中間配当共に取締役会であります。

 当事業年度の配当金は、当事業年度の経営成績を総合的に勘案した結果及び上記方針に基づき、当期は1株当たり58円の配当(うち中間配当20円)とすることを決定しました。

 また、第11次中期経営計画期間(2025年3月期~2027年3月期)においては、1株当たり年間配当金の下限値を年間60円といたします。

 内部留保資金につきましては、財務基盤の拡充と今後の事業展開に活用し、企業競争力と企業体質の更なる強化に取り組んでまいります。

 当社は、会社法第459条に基づき、剰余金の配当等については「取締役会の決議によって定め、株主総会の決議によらないものとする」旨を定款に定めております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年10月31日

253,396

20.00

取締役会決議

2024年5月31日

483,284

38.00

取締役会決議