2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    8,810名(単体) 49,295名(連結)
  • 平均年齢
    41.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.3年(単体)
  • 平均年収
    7,528,168円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

マテリアル

20,586

住宅

12,959

ヘルスケア

11,444

その他

1,318

全社

2,988

合計

49,295

 

(注) 従業員数は就業人員数であり、平均臨時雇用者数は重要性がないため記載していません。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

8,810

41.5

14.3

7,528,168

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

マテリアル

5,822

全社

2,988

合計

8,810

 

(注) 1 従業員数は就業人員数であり、平均臨時雇用者数は重要性がないため記載していません。

2 平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでいます。

 

(3) 労働組合の状況

当社及び一部の関係会社には、旭化成グループ労働組合連合会が組織されており、UAゼンセン製造産業部門に加盟しています。

当連結会計年度中における労働組合との交渉事項は、賃金改定、労働協約改定等でありましたが、いずれも円満解決しました。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

補足説明

名称

管理職に
占める
女性労働者の割合(%)
(注)1

男性労働者の育児休業
取得率(%)
(注)2

労働者の男女の
賃金の差異(%)(注)1、4

全労働者

正規雇用
労働者

パート・
有期労働者

旭化成及び5事業会社(注)3

5.5

84.3

70.3

76.2

66.9

 

 

旭化成

6.8

87.7

76.8

84.4

70.2

 

 

旭化成メディカル

9.8

86.5

87.7

91.5

58.8

 

 

旭化成ファーマ

9.0

91.9

70.8

74.0

52.2

 

 

旭化成ホームズ

2.5

62.0

57.5

60.0

68.5

 

 

旭化成建材

0.5

95.5

69.5

79.1

48.7

 

 

旭化成エレクトロニクス

2.8

100.0

70.2

80.9

40.3

 

旭化成メディカルMT

0.0

25.0

69.5

70.4

75.1

 

旭化成不動産レジデンス

1.8

72.7

57.3

57.0

105.3

 

旭化成住宅建設(注)5

0.0

81.0

64.2

68.7

56.2

 

AJEX(注)5

0.0

100.0

63.6

66.9

59.2

 

旭化成リフォーム

0.0

75.0

63.7

63.4

70.2

 

旭化成アドバンス

6.4

45.5

65.8

64.9

70.7

 

旭化成電子

0.0

0.0

80.5

83.1

77.6

 

旭化成繊維延岡

0.0

27.3

61.4

61.3

88.6

 

旭化成アミダス

42.9

66.7

83.1

86.6

73.4

除派遣スタッフ

旭化成ファインケム

0.0

70.0

75.8

77.5

68.7

 

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づき算出したものです。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。男性育児休業取得率は、前年産まれた子供に対する育休取得等の影響で100%を超える場合があります。

3 旭化成及び5事業会社における男性の育児休業の平均取得日数は17.3日となっています。取得率100%、取得日数の長期化を目指し、管理職を含めた研修等の実施によるマインドセット及び風土改革、男性の育休取得促進に関する方針や関連制度等についての社内周知、男性育休取得者の事例収集・提供、情報発信に取り組んでいます。

4 労働条件や賃金制度における性別の差異はありません。「正規労働者」の男女賃金差異は、上位等級への登用実績の男女差による影響です。上位等級への登用において男女差が生じていることに対して課題認識をしており、登用基準運用の見直しを行うとともに、KPIを定めて各部門での取組を進め、課題の解消に取り組んでいます。「全労働者」の男女賃金差異は、人員構成の影響を受けています。正規雇用労働者とパート・有期労働者の比率が男女で異なっており、女性の方がパート・有期労働者の水準の影響を受けやすい人員構成となっている結果です。

5 2024年4月1日付で旭化成住宅建設㈱とAJEX㈱が合併し、旭化成ホームズコンストラクション㈱に社名を変更しています。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ共通

当社グループでは、サステナビリティの追求を経営の柱として位置づけており、「サステナビリティ基本方針」として明確にしています。すなわち、当社グループはグループミッションである「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献」するため、「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値向上」の2つのサステナビリティの好循環を追求すること、その実現に最適なガバナンスを追求すること、そして、持続可能な社会への貢献による価値創造/責任ある事業活動/従業員の活躍の促進の3点を実践すること、を方針としています

 

① サステナビリティマネジメント及び旭化成グループのマテリアリティ

■ ガバナンス

当社は、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。」というグループミッションのもと、社会への貢献による持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しており、事業環境の変化に応じた、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うコーポレート・ガバナンスを追求しています。その中で、サステナビリティは、事業の機会とリスクの両面に関わる重要な事項として、複数の委員会を含むガバナンス体制としています。具体的には、社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」「リスク・コンプライアンス委員会」「環境安全・品質保証委員会」「DE&I委員会」を設置し、事業部門責任者や関係するスタッフ部門を委員として、議論・方針確認などを行っています(重要な提案事項がある場合は、決裁権限基準に従い経営会議・取締役会に個別に提案され、審議・決定されます)。これらの委員会での議論内容を含む実施状況は取締役会に報告され、取締役会は監督と助言を行っています。サステナビリティ推進委員会には、より専門的な議論を行うための専門委員会である「地球環境対策推進委員会」「人権専門委員会」を設置しています。また、専任部署であるサステナビリティ推進部を設置し、当社グループのサステナビリティ全般を推進する機能としています。

サステナビリティマネジメント体制


■ 戦略

当社グループは目指すべき「持続可能な社会」を、グループビジョンに示す「健康で快適な生活」「環境との共生」に照らして定めています。すなわち、「健康で快適な生活」の観点では、“Care for People”のキーワードによる、“「ニューノーマル」での生き生きとしたくらしの実現”、「環境との共生」の観点では、“Care for Earth”のキーワードによる、“カーボンニュートラルでサステナブルな社会の実現”の二つです。COVID-19をはじめとする社会の大きな変化は、人類が取り組むべき課題を一段と浮き彫りにしています。この認識のもと、当社は創業来100年で培ってきた多様な人財・技術・事業を活かしながら、また、事業活動の前提となる基盤的な活動に注力しながら、5つの価値提供分野「Environment & Energy」「Mobility」「Life Material」「Home & Living」「Health Care」において、世界共通の課題の解決に向けた貢献を加速させていきます

 

 

■ リスク管理

サステナビリティを追求する上で、多様なリスクを的確に認識し、対応を積極的に図ることが重要です。そこで当社では、一段と激しくなる事業環境や経営環境の変化を踏まえ、リスク管理体制を強化しています。サステナビリティに関する事項を含む具体的なリスクに関する認識と管理体制は「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

■ 指標と目標

当社では、経営における重要課題(マテリアリティ)を以下のように定めています。いずれもサステナビリティを追求していく上で重要な要素であり、これらに重点を置いた経営活動を行い、定量的な管理が可能なものは、指標や目標を設定して管理しています。

旭化成グループのマテリアリティ


 

「中期経営計画2024」では、以下を目標としています。


また、事業の前提の一つである「安全」については、「休業災害件数」「休業度数率」等により管理し、徹底を図っています。

 

 

② 気候変動関連

■ ガバナンス

当社では気候変動に関する取り組みを中心とするグリーントランスフォーメーション(GX)を重要な経営課題と捉え、経営戦略の中核テーマの一つと位置づけて取り組んでいます。気候変動に関する方針や重要事項は取締役会で、また、関連する具体的事項は経営執行の意思決定機関である経営会議で、審議・決定を行っています(具体的には、中期経営計画、GHG排出量の削減目標、設備投資計画などの決定と実績の進捗確認等)。なお、中期経営計画や年度経営計画の策定においては、各事業部門とコーポレートでGHG削減を含めGX等について議論を行い、グループとして取りまとめた上で、経営会議・取締役会に提案し、審議・決定をしています

当社では、取締役会・経営会議でのこれらの決定を事業レベルで推進するため、社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、事業の各執行責任者が気候変動を含むサステナビリティに関する課題の共有と議論を実施しています。委員会の結果は取締役会に報告し、全社での取り組みのあり方等についての議論につなげています。

また、当社ではGHG削減目標達成に向けて、担当役員のもと、専任のプロジェクト体制(カーボンニュートラル推進プロジェクト)で、シナリオを検討しています。検討では、社長・経営企画担当役員ほかで方向性を定期的に議論しながら内容の深化を進めています。

なお、マテリアル領域と住宅領域では、事業本部/事業会社にサステナビリティ担当部署を設置し、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーに向けた取り組みを事業部並びに全社サステナビリティ部門と連携しながら推進しています。詳細は旭化成レポートをご参照ください。

https://www.asahi-kasei.com/jp/ir/library/asahikasei_report/pdf/23jp_57.pdf

 

■ 戦略

[機会]

当社はカーボンニュートラルな社会への転換をはじめとするメガトレンドを見据え、事業ポートフォリオ変革を推進しています。具体的には、中期経営計画において、重点的に資源投入する成長牽引事業「Growth Gears(GG) 10」を定め、これらに3年間で約6,000億円の投資の意思決定をする目標です

特に、水素関連、蓄電池用セパレータ、デジタルソリューション、クリティカルケアに、重点的に経営資源を投じていきます。併せて、脱炭素関連として、2024年度までの3年間で約600億円の投資を実行する構えとしています

また、気候変動対応を含む環境分野のスタートアップ企業を対象として、2023~2027年度の5年間に1億ドルの投資枠を設定しています。加えて、サプライチェーン全体の観点から社会のGHG削減量の削減等に貢献する製品・サービス(環境貢献製品)の売上高比率を高め、2030年度におけるGHG削減貢献量を2020年度比2倍以上にしていく目標を掲げています。

当社の事業展開の方向性は、気候変動の緩和及び適応においてさまざまな製品・サービスを事業機会として提供しうると認識しています。

 

[リスク]

「+1.5℃」シナリオでは、主としてカーボンニュートラル化に向けたカーボンプライシング等の政策による規制が強まるとともに、カーボンニュートラルに適した素材への需要シフトをリスクとして想定しています。さらに、循環型経済への移行加速やカーボンニュートラルな社会に向けた革新技術の登場による、市場構造変化もリスクとして想定しています

「+4℃」シナリオでは、主として酷暑・大雨・洪水などの物理的リスクを想定しています。特に、風水害の甚大化により、当社の製造拠点の被災とその損害額を国内外の主要拠点についてリスク認識しています。

これらのリスクは濃淡がありながらも、今後の気候変動の中でいずれも発現しうるものと当社では捉えており、リスク低減の取り組みを進めていきます。

 

 

■ リスク管理

当社は気候変動リスクを「グループ重大リスク」の一つとして位置づけ、重点的な管理を行っています。

第三者保証を伴うGHG排出量実績を年1回、把握するとともに、目標への進捗状況と併せ、カーボンニュートラル推進プロジェクトで共有し、今後の取り組みを議論・確認しています。

また、中期経営計画の策定や毎年の見直しの中でも、GHG排出量削減への取り組み等を確認し、事業戦略や施策につなげています。さらに、四半期、月次でも、関連する事項の把握を行っています。

設備投資においては、インターナルカーボンプライシングを考慮して採算性を評価し、実施を決定しています。なお、カーボンニュートラルに向けた行動を一段と推進するため、2023年7月にインターナルカーボンプライシングを10,000円/t-CO2から15,000円/t-CO2に引き上げました。

 

■ 指標と目標

当社は、以下の指標を気候変動のリスク・機会に関係するものとして位置付けています。


 

③ 責任ある事業活動へ向けた取り組み

■ 環境安全・品質保証活動

当社グループは、提供する製品・サービスのすべてのライフサイクルにおいて環境・安全・健康・品質に配慮する「環境安全・品質保証活動」を実施しています。昨年度は重大な保安事故・労働災害や製品事故は有りませんでしたが、ここ数年では、当社のベンベルグ工場での火災など重大な事故が発生しています。従業員一同「安全は経営の最重要課題」であることを認識し、危機感を持って安全活動に取り組んでいます。また、全員参加の品質経営として品質担当役員が各事業所を訪問し、現場最前線で働くメンバーと双方向でコミュニケーションをするタウンホールミーティングや、グループ全員が品質リスクを理解し、日々の業務を行うための品質リスク教育を国内海外の各拠点で実施しています。環境安全・品質保証に関するリスクマネジメントの詳細は「3 事業等のリスク (4) 当社グループ全体に係るリスク」もご参照ください。

 

■ コンプライアンス、人権の尊重

当社グループは、事業・業務に関する法令・諸規則や社内ルールの遵守を徹底し、事業活動においては、グループミッションに基づくグループバリュー(共通の価値観)として「誠実な行動」を促進しています。その実効性を高めるため、2019年度以降、各部署で「グループ行動規範」の読み合わせ活動を継続実施しており、従業員一人ひとりのコンプライアンス意識の底上げを図っています。また、グループ全体のコンプライアンス体制の強化を図るために、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、当社グループ全体のコンプライアンスに関する取り組み状況を確認し、取締役会に報告しています。

「人権の尊重」については、当社グループは国際人権憲章(世界人権宣言並びに国際人権規約)を支持するとともに、国連グローバル・コンパクトの署名企業として、グローバル・コンパクトの人権に関する原則、及び国連「ビジネスと人権に関する指導原則」「子どもの権利とビジネスの原則」にも賛同しています。当社グループでは、従来、多様性の尊重を含む人権に関するグループの考え方を「グループ行動規範」にて明示し、従業員研修等を通じてグループ内浸透を図ってきていますが、人権尊重の重要性を踏まえ、2022年に「旭化成グループ人権方針」を取締役会で決定し、公開しました。さらに、人権尊重について議論・方向付けし、また、「旭化成グループ人権方針」に沿った行動を推進するための場として人権専門委員会を新設し、2023年度は第2回委員会を開催しました。第2回委員会では、世の中の人権動向の共有、当社グループにおける人権尊重取り組み事項の整理などを行っています。当社グループは「旭化成グループ人権方針」のグループ内での普及啓発の継続の他、人権に関するリスクの抽出、軽減・対応など、「人権デュー・ディリジェンス」に関する取り組みを進めていきます。

 

■ ステークホルダーとの対話の強化

当社グループでは、ステークホルダーの皆様に適切な情報開示を行うとともに、双方向のコミュニケーションを取ることが重要と考えています。当社は毎年1回、投資家やメディアの皆様向けに開催する「経営説明会」において、サステナビリティに関する当社グループの戦略や取り組みをご説明し、また、製造地区の地域の皆様や、サプライヤーの各社との対話も随時実施しています。

 

(2) 人的資本に関する開示

■ 戦略、指標と目標

前提となる人財戦略の概要については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針・経営戦略等 ② 当社グループ全体の経営方針・経営戦略等 <経営方針・経営戦略> ⅴ 経営基盤の強化 ■ People (「人財」のトランスフォーメーション)」に記載のとおりであり、人財戦略の柱は、社員一人ひとりが挑戦・成長し続ける「終身成長」、当社の多様性を活かしコラボレーションを推進する「共創力」の2つを置いています

「終身成長」については、一人ひとりが自らのキャリアを描き、成長に向けた学び・挑戦を進めること、そして、個とチームの力を最大限引き出し成果に結びつけるマネジメント力の向上に、一層取り組んでいきます

「共創力」については、多様性を“拡げる”という視点と“つなげる”という視点から、様々な取り組みを実行しています。具体的には下記のような取り組みを進めています

 

(人財育成方針)

 高度専門職制度の拡充によるプロフェッショナル人財の育成強化

 概要:高度専門職制度とは、新事業創出、事業強化へ積極的に関与し、貢献できると期待できる人財に対しふさわしい処遇を行い、社内外に通用する専門性の高い人財を増やしていく仕組みです。各事業の拡大に必要な専門領域を特定し、各専門領域で課長待遇のエキスパートから執行役員待遇のエグゼクティブフェローまで役割定義を定め、その定義に沿って任命を行っています。高度専門職を設置する専門領域は事業方針に合わせて毎年見直しを行い、事業戦略と人財育成方針をリンクさせているほか、就任者のミッションの一つに「自身の後進の育成」を明確に位置付けることで、技術レベルをサステナブルに維持向上させる仕組みとしています。

 KPI:高度専門職の人数をKPIとして注視しており、現行制度にリニューアルした2016年度90名から順調に増え、前中計最終年度である2021年度時点で259名となっていました。2022年度からの新中計では2024年度300名を目標としていましたが、直近の増加ペースを踏まえて目標を引き上げ、2024年度までに360名まで増やすことを新たな目標としています。(2023年度実績347名)

 

 

エンゲージメント向上 「KSA(活力と成長アセスメント)」

 狙い:個人と組織の状態を可視化しマネジメントのPDCAを回すことで、活力や挑戦・成長行動を高めること。

 概要:毎年1回全従業員を対象にサーベイを実施し、3指標「上司部下関係・職場環境」「活力」「成長につながる行動」の組織毎の結果をラインマネージャーにフィードバックしています。各組織が当事者意識を持ち課題や目指したい状態、今後の取り組みについて話し合う「職場対話」を推進し、職場づくりを学ぶ研修も展開しています。

 KPI:モニタリング指標に定める「成長につながる行動」は2023年度3.72まで向上しました(2022年度3.71、2021年度3.69)。上司向け研修の拡大(延べ681名受講)により、2020年の導入時から推奨してきた「職場対話実施率」は2023年度73.9%まで向上し、対話実施者の51.9%が改善アクションに着手し順調に進展しています。今後は、職場対話の推進に加え、その内容や改善アクションの質にも重点を置き、要支援組織の抽出、サポート、当活動の効果検証に取り組みます。


 

 

DE&I、女性活躍推進

 狙い:急速に変化する事業環境に対応し継続的に新たな価値を生み出していくためには、人財の多様性を活かし共にビジネスを創り出していく「共創力」を高めることが不可欠であると考え、当社ではDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を経営課題のひとつとして位置づけています。「共創力」を発揮していくためには、多様性を“拡げる”“つなげる”という2つの視点が重要であり、多様な技術・事業・人財を有機的につなげることで、当社ならではの価値が発揮できると考えています。

 概要・KPI:女性の活躍推進については、2022年度からKPIとして、管理職の中でも真に指導的役割を果たすポジション(ラインポスト及び高度専門職)の女性比率を2030年度までに10%以上にするという目標を掲げました(2023年度実績4.4%)。またその比率を役員報酬にも連動させており、2024年度に5.0%以上を目標としています。

上記を達成するとともに、女性リーダーを継続的に輩出できる仕組みとして候補者母集団を形成するための様々な取り組みを実施しています。2013年より継続的に実施しているメンタープログラムでは累計132名の新任女性管理職が参加し、直属の上司ではない斜めの関係の上位職が、各自のキャリア形成や課題解決に向けて主体的に考える機会を提供し成長を促すとともに、その後の自己成長に対する意欲を高めています。

また、ラインポストに就いている女性管理職のさらなる成長意欲や視座向上に向けて、2023年度は女性の社外取締役(2名)と女性管理職とのラウンドテーブルを実施しました。2名の社外取締役から、自らのキャリアや経験談及び女性管理職への期待を語ってもらい、経営に必要な観点での視野拡大や、参加者の今後の挑戦や活躍に向けた意識と行動変革の後押しに繋げています。

多様な働き方やキャリア形成を応援する施策としては、女性管理職や育児休業を取得し家事・育児にも携わる男性など、社内で活躍する多様な人財を紹介する「ロールパーツモデルチャンネル」を社内のイントラネットで展開しています。「自身の周囲にロールモデルが少ない」という社員の意見に対応して、様々なロールモデルとなる社員を紹介することで女性社員のキャリアアップへの挑戦意欲を高め、性別に捉われることなく仕事と家庭を両立させるなど中長期的なキャリア形成のイメージを持ってもらうことを狙いとしています。

また、一人ひとりの多様性を活かし組織力を最大限発揮させるためには、各自に内在するアンコンシャスバイアスを知りコントロールする方法を習得することが重要であるとの考えから、2023年度に役員及び部長職全員に対してアンコンシャスバイアス研修を実施しました。2024年度には全課長層にも展開し、職場の心理的安全性を高め、すべての社員の活躍を支援できる管理職の育成を図っています。

指導的立場に就く女性社員を増やしていくための上記の全社施策と並行して、各領域においてバイネームでの女性人事計画を立て、実際の登用に繋がる取り組みを実施しています。また、2023年度に社長を委員長とするDE&I委員会を設置し、グループ全体における進捗状況の確認や課題改善に向けて、定期的にモニタリング及び意見交換を行っています。これらの様々な取り組みにより、1994年に3名だった女性管理職は313名に増加しています(2024年3月31日現在)。また女性の執行役員は2名、取締役は2名、監査役は1名となっています(2024年6月25日現在)。


 

障がい者については特例子会社「旭化成アビリティ」での雇用をメインに、継続的に法定雇用率の達成を維持しています。2023年度の障がい者の法定雇用率2.3%のところ、グループ全体での年間雇用率は2.4%でした。直近の2024年3月末時点では2.58%(715名)となっており、2024年度法定雇用率2.5%への引き上げに対しても備えを進めています。


キャリア採用に関しては、グループの強みである人財の多様性をさらに強化するために、多様な経験やバックグラウンド有する人財の中途採用を積極的に行っています。また、管理職への登用についても中核人財の多様性を確保しており、グループ国内正社員における管理職の16.4%をキャリア採用者が占めています(2024年3月31日現在)。

当社グループにおける海外従業員比率は現在4割強を占めています。海外拠点の主要なポジションへの外国籍及び現地採用の人財登用を拡大し、優秀な人財は各事業に留めることなくグループ全体に貢献する人財として育成を行っています。その結果、グループ経営への参画も進み、現在6名の外国人の執行役員が在籍しています。

女性・外国人・キャリア入社者の中核人材登用に関してはコーポレート・ガバナンスに関する報告書にも記載しているほか、障がい者雇用に関する取組みや各種データ類はサステナビリティレポートを参照ください。

https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/social/human_resources/

 

 

シニア活性化と定年延長

 狙い:「終身成長」というコンセプトのもと、60歳を超えても専門性を磨き、環境に合わせて挑戦し変化し続ける人財を応援し、シニア人財の持てる力をより一層引き出すこと。

 概要:2023年度から定年を65歳に引き上げました。60歳到達前に、改めて本人に自分のwill/can/mustを考えてもらい、それに沿った職務をマッチングする、という仕組みにしており、2023年度は600名超のマッチングを行いました。自身の意欲や能力に沿った業務に就いていただくことで、本人の働き甲斐は勿論、若手への伝承や刺激を与えていただくことも期待しています。

 

マネジメント力強化並びに次世代経営人財の育成

 狙い:マネジメント層の成長、経営層候補の充実を旭化成グループ全体の成長につなげること

 概要:組織マネジメントで重要度の高い新任部長向けのプログラムを継続的に充実させています。新任部長の一人ひとりにコーチがつき、KSAを用いて組織課題を分析し、アクションプランの実行を支援しています。また本プログラムを受講した部長の上司に受講後の状況を確認し、行動変容の状況をモニタリングしています。

また、次世代経営人財育成プログラムとして、各事業領域や事業会社のリーダー層からアセスメントや経営層との対話により選抜されたメンバーをグループ役員*1)候補として毎年プールし、育成のためエグゼクティブコーチングや異業種交流研修により個々の強みを強化しています。

 KPI:2017年に次世代経営人財育成プログラムを開始し、2023年度の状況としてはグループ役員35ポジションに対して91名(事業部長39名・部長層52名)をプール人財として育成しており、「グループ役員の後継準備率」は260%に達しています。また、2018年度以降、当プール人財から継続的にグループ役員が任命されており、現在のグループ役員35名の過半数が本プログラムから選出されています。

*1) 執行役員の中から旭化成グループ全体の企業価値向上に責任と権限を有する者として、旭化成の取締役会決議に基づきグループ役員を任命しており、具体的には旭化成株式会社の上席執行役員以上及びそれに相応する事業会社の執行役員がこれにあたります。

 

(社内環境整備方針)

経営戦略と人財戦略を連動させる仕組み

2021年度に社長をトップとした人財戦略プロジェクトを立ち上げ、2022年度からの中期経営計画に連動した人財戦略を策定しました。現在実行している人事施策はこれをベースにしています

人事部門トップが取締役会メンバーであるほか、社長と人事担当役員・人事部長によるミーティングを毎月1回実施し、経営戦略と人財戦略が常に連動する仕組みにしています。また各事業部門トップと人事担当役員・人事部長の定期ミーティングも実施し、ポートフォリオ転換を含めた事業課題を人事課題に落とし込み、施策に反映させています。さらには、人事施策が各事業現場にてうまく活用されていくためのキーとなる、各事業の企画部門トップとも毎月1回議論する場を設けて、人事施策の目的を共有し、企画段階から具体的な活用場面を想定した検討を行うようにしています。

また、経営戦略と人財戦略の連動をさらに進めるため、現在人事処遇制度の見直しについても検討しています。従来以上に挑戦・成長を評価し、力のある人を早期に登用する、また多様な人財の活躍を促進する仕組みとすることで、「A-Spirits」の体現に繋げていく考えです。

 

 

みんなで学ぶ、学習プラットフォーム「CLAP」の推進

 狙い:従業員一人一人の自律的なキャリア形成と成長の実現を通し、組織活性化や成果につなげること。

 概要:CLAP(Co-Learning Adventure Place)では従業員がいつでも学べるよう、1万を超える社内外のコンテンツを整備し、旭化成及び5事業会社の全従業員約20,000人を対象に2022年12月に展開を開始しました。その上で、主体的に学び続けるための支援として、「みんなで学ぶ」環境を作るラーニングコミュニティの展開を強化しています。2023年度は新入社員向けに「新卒学部」という同期とともに学び合う9か月のコミュニティ活動を導入し、一人当たりのe-Learning学習時間は前年度新人の3.5倍に増える結果となりました。今後は、継続的に学び続ける従業員の増加に向けて、ラーニングコミュニティを取り入れた学び方の変革に継続的に着手していきます。

 KPI:2022年12月の運用開始以降、2024年3月末までに17,573名(約88%)がCLAPにログイン完了し、14,999名(約75%)がCLAPで学び始めています。また、キャリアの可能性を広げる学びの幅を主に外部コンテンツで、専門性を高める学びの深さを社内知見を活用した社内カリキュラムで提供していますが、2024年3月末時点で約190の社内カリキュラムが職場や人事の育成担当により制作・公開されています。

 

人財の可視化、事業領域を超えた人事異動、公募人事制度

 狙い:多様な人財を活かしきること。

 概要:幅広い技術、多様な事業、多様な市場との接点といった当社グループの強みを活かすべく、以前より事業領域を越えた人事異動を積極的に行っています。一例としては、当社の住宅事業は近年海外に進出しましたが、この事業展開にあたっては、グループ全体の人財・ノウハウなどの経営基盤を活用することで、スピーディに展開することができました。海外事業の拡大によって業績も伸び、キャッシュ創出力も高めています。2022年度からはタレントマネジメントシステムも導入し、人財の可視化を進め、グループ全体での人財の活用力を一層高めていきます。

また、公募人事制度については2003年度から運用しており、累計で約500名の人財が自らの意思で部署を異動し、新たな環境に挑戦しています。

 

人事部門の組織ケーパビリティの向上、キャリア開発室の設置

 狙い:人的資本経営を実践するための実働部隊である人事部門の組織能力を強化すること。

 概要:人事部門に今後必要となる能力について改めて定義づけを行い、その中でもデータ利活用スキルとキャリアコンサルティング能力については特に力を入れて向上に努めています。データ利活用スキルについては大阪大学開本教授監修のもと独自のプログラムを内製し、データの収集や分析に関するノウハウを人事メンバー全員が習得するように取り組んでいます(2024年3月31日時点で88名が受講済)。また、国家資格キャリアコンサルタントの資格取得も奨励しており、2024年4月時点で33名が資格を取得しています。2022年度には従業員のキャリア形成を支援するためにキャリア開発室を設置し、シニア層及び若手・中堅層に対してキャリア施策を充実させています。人財戦略及び具体策については、旭化成レポートにも記載がありますので、あわせて参照ください。

また、人事関連の諸データに関しては当社サステナビリティレポートにも掲載しています。

https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/esg_data/