人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数8,233名(単体) 47,895名(連結)
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平均年齢41.9歳(単体)
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平均勤続年数17.1年(単体)
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平均年収8,483,519円(単体)
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平均年収の
対前年増減率6.0%(単体)
従業員の状況
人材戦略に関する基本方針等
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
① 連結会社の人材戦略
■ガバナンス
当社は1922年の創業以来、社会課題の解決に向けた事業展開により、事業ポートフォリオを絶えず変革して成長してきました。その基本となる考えは、「人は財産、すべては人から」です。人的資本経営は当社の中長期的な企業価値向上を支える重要な経営テーマと位置づけています。
経営戦略と人財戦略の連動を確保する仕組みとして、人事部門トップが経営会議メンバーであるほか、社長と人事担当役員・人事部長によるミーティングを定期的に実施しています。また各事業部門トップと人事担当役員・人事部長の対話を通じて、事業課題を人事課題へと落とし込み、施策へ反映する体制を構築しています。さらには、HRBP(Human Resource Business Partner)が各事業部門に密着し、現場での実装を前提とした制度設計と運用を行うことで人事施策の実効性を高めています。
■戦略
1)人財戦略
当社は、従業員に求める行動指針として「A-Spirit」という言葉を掲げています。旭化成の「A」と、アニマルスピリットの「A」をかけたもので、野心的な意欲、健全な危機感、迅速果断、進取の気風の4つの要素から成り、変化の激しい環境下でも積極果敢に挑戦・成長し続ける人財であってほしいと伝えています。今後、大胆に事業ポートフォリオを転換していくためには、改めてA-Spiritを呼び起こし、積極果敢に変化し挑戦し続ける人財・組織が必要であると考えています。
そのために中期経営計画では、一人ひとりが成長・挑戦を自ら求めていく「終身成長」と多様性を活かしコラボレーションを推進する「共創力」を人財戦略の柱としています。加えて心身の健康、当社の強みである自由闊達なコミュニケーションをベースに、挑戦的風土を強化することで、従業員の働きがい向上と当社グループの持続的成長の両立を目指しています。
この柱に基づき、当社は以下3点を人的資本の重点課題と考え、各種施策を推進しています。
A) 自律的キャリア意識向上と組織の成長との好循環
「A-Spirit」や「終身成長」の実現には、一人ひとりが受動的ではなく、自らの意思に基づきキャリアを形成していく姿勢が不可欠です。事業ポートフォリオ転換や高付加価値事業の創出を進める中で、成長機会を主体的に捉え、変化に対応しながら挑戦を続ける人財の重要性は、今後一層高まります。社員の自律的なキャリア意識の向上は、新たな価値創出を促進し、組織全体の競争力強化と持続的成長につながります。更に組織の成長が多様な挑戦機会を生み、社員の一層の成長を促す好循環を創出していくことが大切だと考えています。
B) 個とチームの力を引き出すマネジメント力向上
個々の人財の強みや専門性を引き出し、チームとしての成果を最大化するとともに、挑戦を前向きに捉える風土を醸成することは、マネージャーの重要な役割です。当社には高い専門性や挑戦意欲を持つ人財が数多く在籍していますが、それぞれが安心して挑戦し、失敗から学びながら成長できる環境を整え、ビジネス上の成果を創出していくためには、マネジメント力のさらなる向上が課題と考えています。
C) 多様な人財の活躍
当社の強みは幅広い技術、多様な事業、多様な市場との接点を通じた無形資産であり、これらのポテンシャルを最大限に引き出し、価値創造に活かしていくことが重要です。国籍やジェンダーなど属性における多様化をこれまで以上に推し進めながら、質的に多様な人財がつながり合い、化学反応を起こすことで企業価値向上を実現していきます。
上記の他、事業環境や労働市場が変化する中で、事業活動の継続及び競争力の維持・強化のため、人財の安定的な確保を重要な経営課題と位置付けています。特に、事業ポートフォリオ転換に対応した計画的な人財の配置及び能力開発を進めることと、国内製造拠点における必要な人財の安定的な確保が重要と捉え、取り組みを進めていきます。
2)取り組み
A)自律的キャリア意識向上と組織の成長との好循環
●自律的なキャリア形成に向けた「CLAP」の活用、育成の取り組み
従業員一人ひとりの自律的なキャリア形成と成長の実現を通し、組織活性化や成果創出を目指した取り組みを推進しています。1万超の社内外コンテンツを提供する学習プラットフォームCLAP(Co-Learning Adventure Place)を活用し、全従業員がいつでも学べるような環境を整備し、一人ひとりのキャリア自律を支援しています。
具体的な取り組みとして、若手人財が主体的に学び続ける環境づくりを目的にラーニングコミュニティを展開しています。2023年度から新入社員を対象に導入した「新卒学部」は、同期とともに学び合う9か月間のコミュニティ活動として運用を改善しながら定着しており、若手社員のキャリア不安の軽減や、配属地区を超えた人のつながりの形成を促進しています。今後は若手先輩社員も巻き込んだコミュニティ活動への展開を検討しています。
また、中堅層及び新任管理職を対象に、社内公募方式による選択型の学習機会を充実させています。外部講師によるビジネス戦略やアカウンティング分野の学びに加え、社内の人財開発・キャリア開発の高度専門職が講師を務める「人を育てる・組織をつくる」コースの展開を開始し、事業領域を超えて学び合うコミュニティ型の学びを拡大しています。
さらに、採用から入社後の育成までを一体で捉えたオンボーディングの観点から、入社前の配属通知時に職場からの期待を伝える取り組みや、地域と連携した新入社員研修プログラムを実施するなど、入社初期における不安低減と早期活躍に向けた支援を強化しています。
●エンゲージメント向上「KSA(活力と成長アセスメント)」
当社は、個人と組織の状態を可視化しマネジメントのPDCAを回すことで、活力や挑戦・成長行動を高めることを目指しています。毎年1回、全従業員を対象にサーベイを実施し、3指標「上司部下関係・職場環境」「活力」「成長につながる行動」の組織ごとの結果をラインマネージャーにフィードバックしています。
各組織が当事者意識を持ち、課題や目指したい状態、今後の取り組みについて話し合う「職場対話」を推進し、職場づくりを学ぶ研修も展開してきました。さらに、外部の研究成果に準じた尺度を用いて職場の関係性の状態を判定し、その結果を各マネージャーへフィードバックするとともに、判定結果に応じて具体的なアクションの示唆を提供する活動を開始しています。健康経営に携わる産業保健スタッフとの連携もしながら職場の改善活動支援を強化しています。
KPIとしてモニタリングしている「成長につながる行動」は2025年度には3.76まで向上しました(2024年度3.73、2023年度3.72、2022年度3.71)。上司向け研修の展開により、2020年の導入時から推奨してきた「職場対話実施率」は2025年度73.6%と順調に推移しています。2025年度から「活力」指標の好意的回答者(5段階中3.5以上)の割合をKPIに加えており、2025年度は58.54%(前年度比+1.14pt)と目標値58.2%を上回っています。
●シニアの活躍推進
「終身成長」というコンセプトのもと、シニア人財が環境の変化に適応しながら挑戦と成長を続けることを支援しています。2023年度から定年を65歳に引き上げるとともに、60歳到達前の社員が自分のwill/can/mustを整理し、それに沿って職務をマッチングする仕組みを導入しており、定期的に見直しも行っています。また、50歳、55歳の節目でキャリア研修を実施し、自らのキャリアを振り返り、今後を考える機会を提供することで、マッチングの質を高めています。
B)個とチームの力を引き出すマネジメント力向上
●マネジメント力向上
マネジメント層の成長を通じて当社グループ全体の成長につなげるため、組織マネジメントで重要度の高い新任部長向けのプログラムを継続的に充実させています。新任部長一人ひとりに半年間の個別のコーチングと集合研修における受講者間でのグループコーチングの機会を設けています。
本プログラムでは、KSAを用いた自組織の課題分析や自己課題の整理を行い、改善に向けたアクションプランの策定と実行を支援しています。その結果、受講者の上司の91%が、部下である部長の行動や意識の変化を実感しており、ビジョン形成や組織づくり、組織を牽引する意識の共有、対話力や他者理解といったヒューマンスキルの向上が確認されています。
●経営人財育成
次世代経営人財育成プログラムとして、グループ内の各組織のリーダー層から、アセスメントや経営層との対話を通じてグループ役員(注)候補を毎年選定し、プール人財と位置づけています。リベラルアーツなどを取り入れたリーダー育成プログラムや異業種交流研修により、個々の強みの発揮を支援しています。
2025年度は、経営メンバーがプール人財へのメンタリングを担う仕組みを導入し、経営人財が組織の枠を超えて育成に関与することで、人が人を育てる社内人財育成基盤の強化を図りました。さらに、将来の登用期待が大きい人財を戦略的・優先的に配置することで、グループ全体最適の視点をもつ経営人財の育成を進めています。
これらの取り組みの結果、2025年度はグループ役員33ポジションに対して94名(事業部長35名・部長層59名)をプール人財としており、「グループ役員の後継準備率」は285%に達しています。また、2018年度以降、当プール人財から継続的にグループ役員が任命されており、現在のグループ役員33名の約8割が本プログラムから選出されています。
(注) 執行役員の中から旭化成グループ全体の企業価値向上に責任と権限を有する者として、旭化成の取締役会決議に基づきグループ役員を任命しており、具体的には当社の上席執行役員以上及びそれに相応する事業会社の執行役員がこれにあたります。
C)多様な人財の活躍
急速に変化する事業環境に対応し継続的に新たな価値を創出していくためには、人財の多様性を活かし、共にビジネスを創り出していく「共創力」を高めることが不可欠であると考え、当社ではDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を競争優位の源泉と捉え、重要な経営課題の1つとして位置づけています。グループ全体における進捗状況の確認や課題改善に向けて、2023年度に社長を委員長とするDE&I委員会を設置し、定期的にモニタリング及び意見交換を行っています。「共創力」を発揮していくためには、多様性を“拡げる”“つなげる”という2つの視点が重要であり、多様な技術・事業・人財を有機的につなげる取り組みを進めています。
●ジェンダーバランスの実現
当社ではジェンダーバランスの実現をDE&I推進の重要な柱と位置づけています。多様な人財の活躍状況を測る指標として、管理職の中でも特に指導的役割を果たすポジション(ラインポスト及び高度専門職)の女性比率をKPIとしており、2030年度までに10%以上にするという目標を設定し、その達成度を役員報酬にも連動させています(2025年度実績:5.5%)。
目標達成に向けて、女性リーダーを継続的に輩出するためのパイプライン形成に取り組んでいます。女性管理職向けのリーダー育成プログラムやメンタープログラムに加え、管理職手前の層を対象とした女性向けキャリア研修を実施して育成を進めています。
また、固定的な性別役割分担を払拭し、ライフステージに左右されない働き方を実現するため、男性の育児休業取得を促進しています。育児休業を取得し家事・育児にも積極的に携わる男性社員を紹介する「ロールパーツモデルチャンネル」をイントラネットで展開するほか、本人及びパートナーを対象としたセミナー、上司や管理職を対象とした両立支援マネジメント研修など、現場での実践に力を入れています。
DE&Iをさらに推進するため、インクルーシブ・リーダーシップの開発や風土醸成にも取り組んでいます。一人ひとりの多様性を活かし組織力に繋げていくためには、各自のアンコンシャスバイアスを知りコントロールすることが重要であるとの考えから、2023年度に役員及び部長職全員に対してアンコンシャスバイアス研修を実施しました。2024年度には課長職全員、2025年度には担当課長層にも展開し、職場の心理的安全性を高め、多様な社員の活躍を支援できるマネジメント層の育成を図っています。また、従業員一人ひとりが、DE&Iを自分ごととして考え行動するきっかけづくりの場として、2025年度より社外有識者の講演や対話を通じてヒントを得る「DE&I Talks」を開催しています。
これらの様々な取り組みにより、1994年に3名だった女性管理職は2025年度には361名に増加しています。
また女性の執行役員は3名、取締役は2名、監査役は1名となっています(2026年6月現在)。
●高度専門職制度の拡充によるプロフェッショナル人財の育成強化
高度専門職制度は、新事業創出、事業強化へ積極的に関与し、貢献が期待される人財に対して、ふさわしい処遇を行うとともに、社内外で通用する専門性の高い人財を育成・輩出する仕組みです。
各事業の拡大に必要な専門領域を特定し、課長待遇のエキスパートから執行役員待遇のエグゼクティブフェローまで専門性に応じた役割定義を定めて任命しています。高度専門職を設置する専門領域は、事業方針や事業戦略の変化を踏まえて毎年見直しを行い、事業戦略と人財育成方針の有機的な連動を図っています。
さらに、高度専門職の活動が新事業創出及び事業強化にこれまで以上につながるよう、各専門領域における活動ロードマップの策定などの取り組みを強化しています。加えて、任命者が活動の紹介を行い、相互に交流する場である高度専門職発表会を毎年開催するなど、専門領域内外の連携を積極的に行う取り組みを進めています。
●グローバル人財の活躍推進とグループの一体感の醸成
当社グループは、海外売上高比率の上昇及び北米を中心とした事業拡大を踏まえ、グローバルに事業を牽引できる経営人財の育成と海外拠点における人財マネジメントの高度化を重要な経営課題と位置づけています。特に、M&Aによりグループに加わった各社には、それぞれ独自のブランドや企業文化が根付いていることから、旭化成グループとしての一体感やグループ意識の醸成、並びに「A Spirit」の浸透が重要であると認識しています。地域ごとの事業戦略や市場特性に応じた人事課題を整理し、コーポレート人事と各地域人事が連携して対応を進めています。
北米では、M&Aを含む成長投資が継続する中、現地経営におけるガバナンス確立、経営幹部へのグループ方針・価値観の浸透、次世代経営人財の計画的育成を重点的に推進しています。将来の経営・機能リーダー候補を対象とした育成プログラムを通じ、事業や会社の枠を超えたネットワーク形成やグループ経営への参画機会を提供しています。
また、日本側の次世代経営人財との交流施策や、北米幹部とコーポレート幹部による定期的な会議を実施し、グループ共通課題の共有と相互理解の促進を図っています。
加えて、海外従業員のエンゲージメント向上を目的に、オンボーディング施策、当社グループバリューを体現するグローバルイベントの開催、研修プログラムの現地展開、異文化理解研修等を実施し、海外人財の定着と中長期的な活躍を支援しています。
■指標と目標
当社では中期経営計画に連動した人財戦略の主要KPIとして「従業員エンゲージメント(成長行動指標)」「ラインポスト+高度専門職における女性比率」「従業員エンゲージメント(活力指標の好意的回答者比率)」を掲げ、モニタリングしています。このうち、「ラインポスト+高度専門職における女性比率」と「従業員エンゲージメント(活力指標の好意的回答者比率)」を役員報酬に連動させています。
(注) 1 国内の全従業員を対象に1年に1回実施する従業員エンゲージメントサーベイKSA(活力と成長アセスメント)の回答結果より算出。「成長に繋がる行動」指標は5段階評価における回答者の平均値。
2 管理職の中でも特に指導的役割を果たすポジション(ラインポスト及び高度専門職)の女性比率。各年、翌年度4月1日時点の数値。対象は旭化成㈱、旭化成エレクトロニクス㈱、旭化成ホームズ㈱、旭化成建材㈱、旭化成ファーマ㈱、旭化成ライフサイエンス㈱。
人財戦略及び具体策、人事関連の諸データに関しては、サステナビリティレポートや統合報告書にも記載がありますので、あわせて参照ください。
https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/social/human_resources/
https://www.asahi-kasei.com/jp/sustainability/esg_data/
https://www.asahi-kasei.com/jp/ir/library/asahikasei_report/
② 連結会社の従業員等の給与等の額及び内容の決定に関する方針
■基本方針(注)
従業員の報酬は、現在担っている役割と、その役割に基づく貢献度に応じて適切に処遇することを基本方針とし、公平性・納得性及び透明性の確保に配慮した制度運用を行っています。従業員の処遇体系として役割等級制度を採用し、職務内容や責任の大きさ等を踏まえ役割の大きさに応じて役割等級を設定し、その等級をもとに基本的な処遇水準を決定しています。これにより、環境変化や事業戦略に応じた柔軟な人材配置を可能とするとともに、より大きな役割への挑戦や付加価値の創出を促す仕組みとしています。
評価は、担当業務における成果・達成度のみならず、成果に至るまでのプロセスや取り組みの姿勢も考慮し総合的に判断しています。上司との対話を通じて評価結果のフィードバックを行い、従業員一人ひとりの成長及び中長期的な能力発揮につなげることを目指しています。
報酬体系は、役割等級に基づく基本報酬と、会社業績及び個人の評価結果に基づく業績連動報酬(賞与等)により構成し、個人の貢献度向上のインセンティブとして位置づけています。会社業績及び個人評価の報酬への反映度合いについては、役割等級や職責に応じて適切に設定しています。
報酬の決定及び運用にあたっては、労働関係法令等を遵守するとともに、評価及び処遇の考え方や仕組みについて従業員に周知し、制度の適切な運用及び理解促進に努めています。
■新人事制度への移行(注)
変化の激しい事業環境において、一人ひとりの挑戦を促し組織全体で挑戦的風土を高めるため、2025年度より新しい人事制度へ移行しました。
本制度は、過去の積み重ねも重視してきた従来の考え方から転換し、「現在の成果・貢献・挑戦」により力点を置いて評価する、新たな公平性“Fair”と、互いの挑戦を支え合う開かれた組織風土を目指す“Open”を掲げています。その結果、挑戦や成果が、これまで以上に報酬として反映される仕組みへと進化しています。
等級制度では、小刻みの段階昇格や経験年数管理を廃止し、年齢に関わらず優秀な人財を抜擢できる仕組みとしています。これにより、若手人財の管理職登用も着実に進んでいます。
新人事制度の定着には、現場運用の安定とマネジメント行動の変容が不可欠であることから、各種マネジメント支援施策を展開してきました。導入初期には、各事業領域で人事制度活用をテーマにワークショップを実施し、制度の狙いや期待されるマネジメント像の共通理解を促進しました。加えて全部長・課長を対象としたマネジメント支援研修を通じ、挑戦と成長を促すマネジメントサイクルの定着を進めています。さらに、360度フィードバック「SELFee(SELF Reflection by Peer feedback)」を導入し、マネージャー自身の内省と行動変容を促すことで新人事制度で目指す挑戦的風土の一層の強化を進めていきます。
(注) 旭化成㈱、旭化成エレクトロニクス㈱、旭化成建材㈱、旭化成ホームズ㈱、旭化成ファーマ㈱、旭化成ライフサイエンス㈱の総合職の従業員を対象とする。
(2) 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2026年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員数であり、平均臨時雇用者数は重要性がないため記載していません。
(2) 提出会社の状況
2026年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、平均臨時雇用者数は重要性がないため記載していません。
2 平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでいます。
3 平均年間給与の対前事業年度6%の増加は、従業員の処遇向上を目的とした継続的なベースアップに加え、業績拡大を反映した賞与の増額によるものです。
(3) 労働組合の状況
当社及び一部の関係会社には、旭化成グループ労働組合連合会が組織されており、UAゼンセン製造産業部門に加盟しています。
当連結会計年度中における労働組合との交渉事項は、賃金改定、労働協約改定等でありましたが、いずれも円満解決しました。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づき算出したものです。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。男性育児休業取得率は、前年産まれた子供に対する育児休業取得等の影響で100%を超える場合があります。
3 旭化成及び5事業会社における男性の育児休業の平均取得日数は47.1日となっています。取得率100%、取得日数の長期化を目指し、管理職を含めた研修等の実施によるマインドセット及び風土改革、男性の育児休業取得促進に関する方針や関連制度等についての社内周知、男性育児休業取得者の事例収集・提供、情報発信に取り組んでいます。
4 労働条件や賃金制度における性別の差異はありません。「正規労働者」の男女賃金差異は、上位等級への登用実績の男女差による影響です。上位等級への登用において男女差が生じていることに対して課題認識をしており、登用基準運用の見直しを行うとともに、KPIを定めて各部門での取り組みを進め、課題の解消に取り組んでいます。「全労働者」の男女賃金差異は、人員構成の影響を受けています。正規雇用労働者とパート・有期労働者の比率が男女で異なっており、女性の方がパート・有期労働者の水準の影響を受けやすい人員構成となっている結果です。
5 2026年4月1日付で旭化成電子㈱と旭化成マイクロシステム㈱が合併し、旭化成エレクトロニクス製造㈱に社名を変更しています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
[サステナビリティ全般]
当社グループでは、サステナビリティの追求を経営の柱として位置づけており、2021年度に「サステナビリティ基本方針」を制定しました。同方針は、グループとしてのサステナビリティに関する姿勢を示すとともに、経営や事業活動の軸となるものであり、グループミッションである「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献」するため、「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値向上」の2つのサステナビリティの好循環を追求すること、その実現に最適なガバナンスを追求すること、そして、①持続可能な社会への貢献による価値創出、②責任ある事業活動、③従業員の活躍の促進、の3点を実践することを掲げています。
近年、地政学的リスクの高まりや社会の分断などを背景に、世界情勢の不安定性や不透明感が増しています。こうした環境下において、「サステナビリティ」や「ESG」に逆行する動きが一部に見られますが、当社グループは今後も一貫して、2つのサステナビリティの好循環を追求していきます。
■ ガバナンス
当社では、サステナビリティ全般に関する課題を共有し、議論や方向づけを行う場として、社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置しています。また、サステナビリティ関連テーマの内、特に横断的に進めるべきテーマについて、個別の委員会として「リスク・コンプライアンス委員会」「環境安全・品質保証委員会」「DE&I委員会」「人権専門委員会」「地球環境対策推進委員会」を設置しています。これらの委員会では、委員長のもと、事業部門責任者や関係するスタッフ部門の責任者等の委員が議論や方針確認などを行い、グループ全体戦略の立案・推進や事業経営の実行等につなげています。
取締役会はサステナビリティに関する様々な事項について監督と助言を行うとともに重要な事項について決定をしています。2025年度には、気候変動・自然資本・人権尊重などの個別テーマを取り上げた他、サステナビリティ情報の法定開示に向けた準備状況についての審議、サステナビリティ重要課題の決定などを行いました。また、サステナビリティ関連事項を含む中期経営計画や年度経営計画、リスクマネジメントや内部統制、取締役会実効性向上などについても議題としています。
取締役会はスキル・マトリックスに記載のとおり、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、人権対応等をはじめとするサステナビリティの課題を経営レベルで監督した経験や専門性を有するメンバーを複数含んでおり、幅広いサステナビリティの課題について、リスクと機会を多面的に認識し、監督できる構成としています。
役員報酬においては、業績連動報酬について、グループ連結の営業利益、ROIC等の財務指標の達成度とともに、サステナビリティの推進を含む個別に設定する目標の達成度を踏まえた総合的な判断を踏まえて算出しています。また、株式報酬については、株式交付数の決定に従業員エンゲージメント、ダイバーシティ、企業価値に関する業績目標の達成度が加味される制度となっています。役員報酬制度の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況 (4)役員の報酬等」をご参照ください。
サステナビリティマネジメント体制
・サステナビリティ推進委員会の目的、構成メンバー、開催頻度
■ 戦略
当社グループは、サステナビリティ基本方針のもと、「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値向上」の2つのサステナビリティの好循環の追求により、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献」するというグループミッション、及び「健康で快適な生活」と「環境との共生」により社会に新たな価値を提供するというグループビジョンの実現に取り組んでいきます。
取り組みにおける重点事項がサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)です。サステナビリティに対する社会からの期待の高まりを踏まえ、企業価値に影響を及ぼし得るサステナビリティ関連の機会とリスクを再分析し、2025年度にマテリアリティの見直しを行いました。新たなマテリアリティは、当社グループの中長期的なフリー・キャッシュ・フローの創出や事業成長率の向上につながる事業成長の機会に関する項目と、資本コストの低減や不測の損失の回避につながる事業基盤の強化に関する項目で構成されています。 マテリアリティへの取り組みを適切なガバナンスのもとに推進することで、企業価値の向上を進めます。
当社の企業価値に影響が大きいマテリアリティ項目、及びその特定プロセスは以下のとおりです。
マテリアリティの検討にあたっては、まず、当社グループの理念体系、中期経営計画、各事業の概況等に基づき、ESRS(注) 1、SASB(注) 2スタンダード等の国際的な基準を参照し、当社の企業価値に影響を与えうるサステナビリティ関連の機会とリスク及び当社事業が社会に与えうる影響をリストアップしました。続いて、影響度合いや発生可能性の観点から設定した評価基準に基づいて重要性を評価し、重要と評価した機会・リスク・影響をカテゴリーごとに整理した上で、実務レベル・経営会議・取締役会での議論を経て、2026年3月取締役会にて新たなマテリアリティ項目を決定しました。なお、本件に関する経営会議・取締役会での議論は、2025年度中に各3回行っています。
(注) 1 European Sustainability Reporting Standards (欧州サステナビリティ報告基準)
2 Sustainability Accounting Standards Board (サステナビリティ会計基準審議会)
■ リスク管理
多様なリスクを的確に認識するとともに、事業機会を積極的に捉えていくため、当社では「サステナビリティ推進委員会」をはじめとした各委員会で情報共有や議論を行うとともに、中期経営計画の毎年の見直しや年度経営計画の議論の中でリスクと機会の確認を行っています。
特にリスクについては取締役会による包括的な監督のもと、グループレベルのリスクと事業に固有のリスクの両面からリスク管理を行うこととしており、取締役会でリスク項目の選定を行い、リスク対応の推進状況などを定期的にモニタリングしています。サステナビリティに関する事項を含む具体的なリスクに関する認識と管理体制は「3 事業等のリスク」をご参照ください。
■ 指標と目標
「中期経営計画2027 ~Trailblaze Together~」では、当社グループにおけるサステナビリティ関連の機会とリスクに関連するものとして、以下を主な目標としています。
・GHG排出量(Scope1+Scope2): 2035年度 40%以上削減(2013年度比)
・GHG削減貢献量: 2035年度 2.5倍以上(2020年度比)
・ラインポストと高度専門職における女性比率: 2030年度 10.0%
・従業員の活力指標: 従業員エンゲージメント調査における好意的な回答者割合 2027年度 60.0%
また、前提の一つである「安全」については、「休業災害件数」「休業度数率」等により管理し、徹底を図っています。
新たなマテリアリティに関連する指標・目標については、現在検討中です。
[個別重要課題]
(1)気候変動
■ ガバナンス
当社グループでは気候変動に関する取り組みを中心とするグリーントランスフォーメーション(GX)を重要な経営課題と捉え、経営戦略の中核テーマの一つと位置づけて取り組んでいます。気候変動に関する方針や重要事項は取締役会で、また、関連する具体的事項は経営執行の意思決定機関である経営会議で、決定または確認を実施しています(機会・リスクの認識、中期経営計画、GHG排出量の削減目標、設備投資計画など)。なお、スキル・マトリックスに記載のとおり、取締役会は気候変動戦略について監督する適切なスキル及びコンピテンシーを有する取締役で構成しています。
当社グループでは、取締役会・経営会議での気候変動に関する決定を事業レベルで推進するため、社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、事業の各執行責任者が気候変動を含むサステナビリティに関する課題の共有と議論を実施しています。委員会の結果は取締役会に報告され、全社での取り組みのあり方等についての議論につなげています。さらにサステナビリティ推進委員会の下部組織である「地球環境対策推進委員会」では、GX推進担当役員を委員長として、事業、製造統括、生産技術、研究・開発の本部長等が環境全般についての課題の共有、議論を実施しています。
GHG削減目標達成に向けては、GX推進担当役員のもと、カーボンニュートラル推進プロジェクトにて全体を俯瞰しながらシナリオを検討し、具体策を進めています。重要な事項については、社長・経営企画担当役員等に随時情報共有をしつつ、方向性の確認を定期的に実施しながら進めています。また、GX推進担当役員のもと、サーキュラーエコノミー推進プロジェクトにて、サーキュラーエコノミーに関する当社の方針や方向性を検討し、各取り組みの進捗管理と推進を行っています。
■ 戦略
[分析の前提]
産業革命以前に比べての気温上昇を「+1.5℃」に抑制していくためにGHG排出を強力に抑制するシナリオとして、WEO: Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)を、温暖化対策が十分に進まずに気温上昇が「+4.0℃」になっていくシナリオとして、IPCC SSP3-7.0を適用しています。
当社グループにおける機会とリスクは以下のとおりです。
[機会]
当社グループはカーボンニュートラルな社会への転換をはじめとするメガトレンドを見据え、事業ポートフォリオ変革を推進しています。2025年度からの中期経営計画の3年間で、「重点成長」事業と位置付ける医薬事業、クリティカルケア事業、海外住宅事業、エレクトロニクス事業や「戦略的育成」事業と位置付けるエナジー&インフラ事業等に約6,000億円の拡大関連投資の意思決定をする計画です。気候変動に関する機会に向けた投資もその中で行います。当社では新技術の取り込みや協業を狙いとしてCVC(Corporate Venture Capital)による投資活動を行っていますが、気候変動対応等についても“Care for Earth投資枠”(2023~2027年度の5年間に1億米ドル)を設定し、環境分野のスタートアップ企業への投資を行っています。
当社グループの事業展開の方向性は、気候変動の緩和及び適応において様々な製品・サービスを事業機会として提供しうると認識し、取り組みを進めています。
[1.5℃シナリオ]
[4.0℃シナリオ]
* 短期:~2030年 中期:2030年~2040年
[リスク]
「+1.5℃」シナリオでは、主としてカーボンニュートラルに向けたカーボンプライシング等の政策による規制が強まるとともに、カーボンニュートラルに適した素材への需要シフトをリスクとして想定しています。さらに、循環型経済への移行加速やカーボンニュートラルな社会に向けた革新技術の登場による市場構造変化もリスクとして想定しています。
「+4.0℃」シナリオでは、主として酷暑・大雨・洪水などの物理的リスクを想定しています。特に、国内外の主要拠点における、風水害の甚大化による製造拠点の被災とその損害をリスクとして認識しています。
これらのリスクは濃淡がありながらも、今後の気候変動の中でいずれも発現しうるものと当社では捉えており、リスク低減の取り組みを進めていきます。
具体的には、「+1.5℃」シナリオでは、エネルギー使用の効率向上、再生可能エネルギーの活用拡大、リサイクル技術の開発・社会実装、経営資源配分の見直し等を進めていきます。「+4.0℃」シナリオでは、BCP(事業継続計画)の継続的見直しや事前対応強化(在庫水準見直し、複数購買検討等)、住宅建設現場での熱中症対策等を進めていきます。
[1.5℃シナリオ]
[4.0℃シナリオ]
* 短期:~2030年 中期:2030年~2040年
■ リスク管理
当社グループは、上記シナリオにおいて生じうる事業の現在及び将来への影響について、発生可能性と影響度などの観点から、機会・リスクの識別をしています。
また、気候変動に関する基本データとして、GHG排出量のScope1、Scope2及びScope3(主要なカテゴリー)について、第三者保証を伴う排出量実績を毎年把握しています。把握した排出量実績は、目標への進捗状況と併せ、カーボンニュートラル推進プロジェクトで共有し、今後の取り組みを議論・確認しており、さらに中期経営計画の策定や毎年の見直しの中でもGHG排出量削減への取り組み等を確認し、事業戦略や施策につなげています。
設備投資においては、インターナルカーボンプライシング(ICP)を考慮して採算性を評価し、投資判断に活用しています。なお、ICPの価格は、国際エネルギー機関(IEA)が予測する炭素価格や市場価格、当社グループでのカーボンニュートラルに関するコスト見通しなどを考慮し、設定しています。
■ 指標と目標
当社グループは、以下の指標を気候変動の機会・リスクに関係するものとして位置づけています。
その他関連事項
* GHG排出量はScope1,2が対象。7種類のGHG(CO₂、CH₄、N₂O、HFCs、PFCs、SF₆、NF₃)を対象としている。
また、バリューチェーン全体の観点から社会のGHG排出量の削減等に貢献する製品・サービス(環境貢献製品)のGHG削減貢献量を2020年度比で2030年2倍以上、2035年2.5倍以上にするという目標を掲げています。
(2) 人的資本・多様性
■ 戦略、指標と目標
「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等」をご参照ください。
(3) その他
① サーキュラーエコノミー
当社グループでは、限りある資源を持続可能なものとして活用していくための取り組みを様々な切り口から進めています。
例えば、基礎化学品である苛性ソーダと塩素を製造するプロセスを販売するイオン交換膜法食塩電解事業においては、プロセスの部材である電解セル及びその内部に組み込まれる電極に使用される金属リサイクルの実証をNobian Industrial Chemicals B.V.、株式会社フルヤ金属、Mastermelt Ltdと共同で開始しました。また、電解セルの製造工程で発生する純チタンスクラップを純チタン原料として再資源化するリサイクルスキームを日本製鉄株式会社、日鉄物産株式会社との協業で構築しました。これらの取り組みを通じて、クロールアルカリ業界における金属リサイクルのエコシステム構築を図っていきます。
当社グループ複数領域(マテリアル、住宅)と他社との協業の取り組みとして、旭化成㈱、旭化成ホームズ㈱、積水化学工業株式会社、積水ハウス株式会社、株式会社CFPの5社で、住宅の建築現場で発生する給水給湯管の施工部材を回収して再生製品として生まれ変わらせ、再び施工する資源循環スキーム構築に向けた取り組みを開始しました。5社がタッグを組むことで、さらなる資源循環の輪を拡げる挑戦を続けていきます。
また、三井化学株式会社、三菱ケミカル株式会社と共同でのグリーン基礎化学品の商用生産開始に向けて、バイオエタノールからエチレン、プロピレン等のグリーン基礎化学品を製造する技術「Revolefin」を用いた初期生産設備を当社水島製造所に設置する予定です。設備性能・運転・操作面に関する確認を経て、2034年度の商用生産開始を目指していきます。
当社グループでは複数の製品について、持続可能な製品の国際的な認証制度の一つであるISCC PLUS認証を取得しています。当認証は、製品がバイオマス原料や再生原料等を使用して製造されていることを、サプライチェーンでのマスバランス方式管理の観点も含め、第三者機関が確認・認証します。当社グループは、顧客や社会からの期待に応じ、当認証取得製品を提供していきます。なお、プラスチックや循環経済に関する諸課題への対応は、同業他社を含むバリューチェーンの各社での共通的なテーマでもあることから、当社グループはクリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)、循環経済パートナーシップ(J4CE)、サーキュラーパートナーズ(CPs)、一般社団法人日本化学工業協会、日本プラスチック工業連盟等のアライアンスや業界団体の活動にも参画し、課題への取り組みを他社と共に推進しています。
② 責任ある事業活動
■ 環境安全・品質保証活動
当社グループは、あらゆる事業活動において健康、保安防災、労働安全衛生、品質保証及び環境保全を経営の最重要課題と認識し、開発から廃棄に至る製品ライフサイクルのすべてにわたり配慮する環境安全・品質保証活動を実施しています。過去の事業活動において重大な事故が発生したことを真摯に受け止め、経営層・従業員一同、危機感を持って環境安全活動に取り組んでいます。品質保証においては、品質不正や法規制不遵守の発生を防ぐため、各拠点の品質保証活動の健全性を確認する点検の実施や、法規制対応のシステム導入、法規制対応教育を実施しています。また、全員参加の品質経営を実現するため、経営層向け品質経営セミナーの実施、品質担当役員が現場メンバーと双方向でコミュニケーションをするタウンホールミーティング、品質教育(製品やサービスに関わる従業員全員が品質リスクを理解し日々の業務を行うための教育)を国内外の各拠点で実施しています。環境安全・品質保証に関するリスクマネジメントの詳細は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (3) 当社グループ全体に係るリスク」もご参照ください。
■ コンプライアンス
当社グループは、事業・業務に関する法令・諸規則や社内ルールの遵守を徹底し、グループミッションに基づくグループバリュー(共通の価値観)である「誠実な行動」を実践するため、「グループ行動規範」を定め、浸透を図っています。具体的には、日常業務で起こり得る事例を題材に職場で討議し、グループ行動規範に照らして従業員がとるべき行動を確認する活動(Cs Talk)を継続しています。また、各種重要テーマについて、所管部門が必要に応じてeラーニング等を活用したコンプライアンス教育を実施しています。さらに、従業員のコンプライアンス意識調査を隔年で実施し、全体傾向の把握に加え、職場単位での課題の抽出・共有を行い、各職場の改善活動に反映しています。加えて、従業員及び取引先からの通報・相談窓口を設置し、法令違反や不正等の早期発見・是正に向けた取り組みを進めています。なお、通報・相談窓口は匿名での利用を含めて受け付け、通報者保護(不利益取扱いの禁止等)に配慮した運用を行っています。
経営層においては、社長を委員長としたリスク・コンプライアンス委員会を通じて、当社グループで発生した事案の共有、対応策の水平展開を行い、注意喚起と再発防止の徹底を図っています。
■ 人権の尊重
当社グループは持続可能な社会の実現に向けて、自社のみならずバリューチェーン全体における様々な人権課題に対し主体的に責任を果たすことが、事業に関わる人びとの人権を守るとともに、社会からの信頼の向上、ひいては企業価値の向上につながると考え、人権尊重を重要課題として位置付けています。
国際人権章典(世界人権宣言並びに国際人権規約)、ILO(国際労働機関)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」、国連グローバル・コンパクトの10原則等の人権に関する国際規範を支持するとともに、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権尊重の取り組みを推進しています。
当社グループでは、従来、人権に関するグループの考え方を「旭化成グループ行動規範」に明示し、従業員研修等を通じてグループ内への浸透を図っておりましたが、人権尊重の重要性を踏まえ、2022年に取締役会決定により「旭化成グループ人権方針」を制定しました。また、同方針に基づく取り組みを推進するため、社長を委員長とする人権専門委員会を設置し、年1回開催しています。2025年度には第4回委員会を開催し、世の中の動向、当社グループにおける人権尊重の取り組み状況や今後の計画等について、共有と議論を行いました。
当社グループは「旭化成グループ人権方針」のグループ内での普及啓発を継続するとともに、事業活動における人権への負の影響を排除するため、「人権リスク発現の予防」と「発現したリスクへの対処」の両面から取り組みを進めています。リスク管理については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (3) 当社グループ全体に係るリスク」もご参照ください。
■ ステークホルダーとの対話
当社グループは、お客様、株主・投資家の皆様、お取引先、地域の方々、国内外の一般市民、従業員など、多様なステークホルダーとの信頼関係の上に成り立っています。それぞれのご意見や期待をしっかりと受け止めて事業活動に反映していけるよう、様々なコミュニケーションの機会を設けています。
特に、国内外の株主・投資家の皆様に、当社の目指す姿や経営戦略、ガバナンス等の持続的な企業価値向上に向けた道筋をご理解いただくため、事業説明会での情報開示や、工場・事業所の見学の機会を設けています。2025年度は、経営説明会、決算説明会(年4回)に加え、ヘルスケア領域における成長投資となるドイツ医薬品開発企業Aicurisの買収に関する説明会のほか、現中期経営計画における利益成長のドライバーとなる重点成長事業に関する事業説明会を開催しました。また、トップマネジメントは説明会への登壇や面談、スモールミーティング等を通じ、中長期的な企業価値向上に向けたコミュニケーションを積極的に推進しています。資本効率の更なる向上など、対話を通じて示された株式市場の要望も踏まえながら、事業ポートフォリオ変革の加速や各種KPIの向上を図っています。