2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況は、今後起こりうる様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)特定販売先への依存について

 当社グループの事業は自動車安全部品の売上高構成比率が高く、2024年3月期における売上高のうち、販売実績上位2社の占める割合は約50%に達しております。今後新規販売先の開拓やその他事業の売上増により特定販売先への依存度を低下させる方針でありますが、特定販売先への依存度低下が進捗しない段階で、当該販売先による当社グループ及び当社グループ製品に対する取引方針が変化した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。また、当該リスクが顕在化した場合の影響度を見積もることは困難であると認識しております。

(2)製品の欠陥について

 2024年3月期における売上高のうち、約73%を占める自動車安全部品は、製品の特性上、特に品質面において完璧が求められております。当社グループでは世界的に認められている品質管理基準に従い各種製品を製造し、品質管理には万全を期しております。また、保険にも加入しております。しかし、万が一、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が発生した場合、当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上高が低下するほか、多額の追加コストが発生し、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

(3)原材料等の供給不足・供給価格の高騰について

 当社グループの事業においては、十分な品質の原材料、部品等を調達することが不可欠であります。しかし、供給業者での不慮の事故、天災などにより供給が中断した場合や不安定となった場合、当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定しておりますが、原油価格上昇等により原材料・部品価格が高騰する可能性があり、この場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

(4)為替レートの変動について

 当社グループは、芦森工業本体における外貨建取引に加えて、芦森科技(無錫)有限公司(中国)、ASHIMORI (Thailand)CO.,LTD.(タイ)、Ashimori India Private LTD.(インド)、ASHIMORI KOREA CO.,LTD.(韓国)及びASHIMORI INDUSTRIA de MEXICO,S.A. de C.V.(メキシコ)において自動車安全部品の製造・販売を行っており、今後、生産移管をはじめ海外事業の比率が高くなることが予想されます。当社グループは、通常の営業過程における輸出入取引に係る為替変動リスクに対して為替予約取引を行う等、為替変動リスクの軽減を行っておりますが、これらにより全てのリスクを回避することは困難であると認識しております。また、連結財務諸表作成時には海外各国における現地通貨建財務諸表を円換算しているため、為替レートの変動が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

(5)知的財産権について

 当社グループは、知的財産を企業の競争力を高めるための重要な経営資源であると考え、開発した商品や技術について、知的財産権による保護に努めておりますが、知的財産権の侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権にかかわる紛争が生じる可能性があります。その場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。また、現段階において、将来的な顕在化の影響を定量的に見積もることは困難であると認識しております。

(6)地政学的リスクについて

 ウクライナや中東情勢の長期化については、直接的な影響は軽微ですが、資源価格の上昇による原材料価格やエネルギー費、物流費の高騰等、間接的な影響が顕在化しており、利益が圧迫される懸念があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、事業に対する信頼性と堅実性を経営の基本に位置付け、長期的視野から安定した経営基盤の確立に努めてまいりました。また、配当についても、利益配分を最重要事項の一つと認識し、安定配当の継続を重視しております。今後も、安定的な経営基盤の確立と自己資本利益率の向上に努めるとともに、配当性向30%以上を目標とし、最大限努めていく所存であります。

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針とし、配当の決定機関は、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会であります。

当事業年度の配当金については、「第123~125期(2023年3月期~2025年3月期)芦森グループ中期経営計画」の数値目標を1年前倒しで達成したことから、1株当たり100円といたしました。目標としております配当性向30%は下回りますが、有利子負債の削減による財務基盤の強化を優先することといたしました。

当事業年度の内部留保資金については、中長期的な企業価値向上に向け、財務基盤の強化、研究開発、設備投資、人材投資、M&A等に有効に投資する所存であります。

また、当社は、取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年6月21日

600

100.0

定時株主総会決議