リスク
3【事業等のリスク】
当社グループは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、リスクの発生頻度や経営への影響を低減していくための活動を行っております。全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進する役員を置くとともに、リスク管理部門が各部門へヒアリングを行い、事業現場におけるリスクの洗い出しを実施しております。リスク評価の結果から、優先的に取組むべきリスクを特定し、次年度の年度経営計画にリスク対応方針を盛り込み、リスク低減活動へとつなげております。
以下においては、当社グループの事業展開その他リスクに関する要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社グループの事業活動を理解するうえで重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループは、これらリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に対する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、以下の記載は本株式の投資判断に関連するリスクをすべて網羅するものではありません。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 公共分野への依存度が高いことについて
当社グループは、長野・新潟地域を中心に「情報処理・通信サービス」、「ソフトウェア開発・システム提供サービス」、「システム機器販売等」及び「その他関連サービス」を展開し、特に地方公共団体向け等の公共分野のシステムは同地域で高いマーケットシェアを持ち、当社グループの売上に占める公共分野の売上の割合は、2024年3月期において70.9%とウエイトが高い収益構造となっております。
このため、公共基幹業務及び周辺システムの見直しによる軽量化、柔軟化を行い、同分野でのコスト削減を通じて得た経営資源を産業分野へシフトし、新規顧客への資源投入を行ってまいります。しかしながら、地方公共団体間での情報システムの共同利用や国家主導での業務プロセス・システムの標準化の流れの動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 信越放送株式会社との関係について
信越放送株式会社は、当社株式の議決権総数の37.7%(間接保有分を含む)を保有しており、当社のその他の関係会社となっております。
当社グループは経営に関する総合的な意見を得るため、信越放送株式会社の代表取締役社長の渡辺雅義氏を社外取締役として招聘しております。
また、当社グループは信越放送株式会社に対して、システム提供サービス及びシステム機器販売等を行なっており、2024年3月期における当該取引の状況は下記のとおりです。
1 主要株主(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
種類 |
会社等の 名称又は 氏名 |
所在地 |
資本金又は 出資金 (千円) |
事業の内容 又は職業 |
議決権等の 所有(被所有) 割合(%) |
関連当事者 との関係 |
取引の 内容 |
取引金額 (千円) |
科目 |
期末残高 (千円) |
主要 株主 |
信越放送 (株) |
長野県 長野市 |
450,000 |
放送事業 |
被所有 37.7 (2.3) |
当社システム等 の販売先 賃借取引 役員の兼任 |
システム 運用支援他 |
185,532 |
売掛金 |
2,774 |
賃借取引等 |
15,231 |
未払金 |
193 |
(注)1.当社製品の販売については、市場価格を参考に決定しております。
2.「議決権の被所有割合」の( )内は、間接被所有割合で内数であります。
上記のとおり、当社グループと信越放送株式会社との間に役員派遣関係及び取引関係がありますが、当社グループの事業戦略、人事政策及び資本政策等について、何らかの制約等は受けておりません。
信越放送株式会社は、今後も当面の間、大株主であり続けるものと思われ、当社グループの方針決定に何らかの影響を与える可能性があります。
(3) TOPPANエッジ株式会社との関係について
TOPPANエッジ株式会社は、当社株式の議決権総数の15.2%を保有しております。
また、当社グループは経営に関する総合的な意見を得るため、TOPPANエッジ株式会社の顧問の増田久氏を取締役として招聘しており、2024年6月27日付で、TOPPANエッジ株式会社は当社のその他の関係会社となっております。
当社グループはTOPPANエッジ株式会社に対して、原材料の仕入れ及び業務外注等を行なっており、2024年3月期における当該取引の状況は下記のとおりです。
1 主要株主(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
種類 |
会社等の 名称又は 氏名 |
所在地 |
資本金又は 出資金 (千円) |
事業の内容 又は職業 |
議決権等の 所有(被所有) 割合(%) |
関連当事者 との関係 |
取引の 内容 |
取引金額 (千円) |
科目 |
期末残高 (千円) |
主要 株主 |
TOPPANエッジ(株) |
東京都 港区 |
500,000 |
情報コミュニケーション 事業 |
被所有 15.2 |
原材料等の 仕入先 業務外注先 |
原材料等の仕入 |
355,517 |
買掛金 |
110,142 |
業務外注等 |
91,604 |
未払金 |
737 |
上記のとおり、当社グループとTOPPANエッジ株式会社との間に取引関係等がありますが、当社グループの事業戦略、人事政策及び資本政策等について、何らかの制約等は受けておりません。
TOPPANエッジ株式会社は、今後も当面の間、大株主であり続けるものと思われ、当社グループの方針決定に何らかの影響を与える可能性があります。
(4) システム開発での不採算案件について
当社グループでは全社の製品に対する品質・生産性の向上の推進並びに品質管理を担当する部署を設け、生産性及び品質の向上に取組んでおります。しかしながら、開発工数の増加や開発業務の遅延等により大幅に当初の見込みを超えて開発費用が増加した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) システムの不具合等について
受託ソフトウェア開発及びプロダクトソフト開発等、当社グループが提供しているサービスにおいては、顧客の検収後にシステムの不具合(バグ)等が発見される場合があります。当社グループは、品質管理の徹底を図り、不具合等の発生防止に努めております。しかしながら、今後、当社グループの過失によって生じたシステムの不具合等により顧客に損害を与えた場合には、損害賠償や信頼喪失等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) システム障害について
システム運用・管理サービス等においては、免震構造を備えた当社データセンターにシステム機器を設置する等、当社グループシステムについて一定の安全性を確保しております。しかしながら、地震、火災及びその他の自然災害、システム・ハード及び通信の不具合、コンピュータウィルス等による予測不可能な事態によりシステム障害が発生した場合には、サービスの提供に重大な支障が生じることになり、損害賠償や信頼喪失等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 情報漏洩について
当社グループは、情報処理あるいはシステム開発のためにお客様から個人情報及び顧客情報を含んだ情報資産を預かっております。当社グループは、ISMSやプライバシーマークの認定を取得するとともに、情報漏洩防止に努めております。しかしながら、個人情報等の情報が漏洩した場合、損害賠償請求による費用の発生や情報サービス企業として信用を失墜することが考えられ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 人材の確保及び人材育成について
積極的な事業展開及び企業成長のために、一定水準以上のスキルを有する優秀な技術者の確保が不可欠であり、人材の確保は最重要の課題です。優秀な人材の通年採用と併せ、将来の事業環境を見据えた計画的な社員の人材育成さらには社員一人当たりの生産性向上を目指します。しかしながら、情報サービス業界での人材獲得競争は激しく、業務上必要とされる知識及び経験を備えた人材を確保できないリスクがあります。優秀な人材を十分かつ適時に確保できなかった場合及び社内の人材が流出してしまった場合には、今後の事業展開に制約を受けることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 労務管理について
社員の勤怠管理や時間外勤務管理につきましては、労働基準法の規制が適用されます。当社グループでは、個人別の就業時間管理及び部署別の時間外勤務申請管理等により労働時間を管理しております。また、毎月、部長職が部署別に時間外勤務時間に関する報告や時間外削減状況に関する報告を行い、長時間労働の削減を図っております。
しかしながら、システム開発における当初見積り以上の工数の発生や予期せぬトラブルの発生等により法定内での長時間労働が連続することがあります。これにより、社員に健康被害等が発生した場合は、開発人員の欠員につながり、更なる時間外勤務時間の増加や納期遅延等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 価格競争激化による利益率の低下について
当社グループの属する情報サービス産業においては、顧客の情報化投資に対する費用対効果要求の高まりや海外情報サービス産業企業の参入等により価格競争が激化しております。このような状況に対し、当社グループでは業種業態を絞り込み、顧客業務のノウハウを蓄積することで付加価値の高いサービスを提供し、生産性向上施策の推進に取組んでおります。しかしながら、予想を超える発注単価の低減の動きにより利益率が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 全国展開について
当社グループは、今後の成長戦略として、山梨県、首都圏、中京圏等を重点地域として営業体制の強化を図り、長野県・新潟県中心の企業から全国で事業を展開する企業を志向しております。全国展開を推進するために、当社グループの営業力の強化及び全国の提携ビジネスパートナーの積極的な活用・拡大を図ってまいりますが、事業計画で予定している全国展開による受注の確保が計画通り進捗しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 知的財産権について
当社グループは、現時点において、当社グループの事業活動に影響を及ぼすような特許権、商標権その他知的財産権が第三者によって取得されているという事実は確認しておりません。また、第三者から知的財産権に関する警告を受けたり、侵害訴訟等を提起されたことはありません。しかしながら、将来の当社グループの事業活動に関連して、第三者が知的財産権の侵害を主張し、当社グループの事業が差し止められたり、損害賠償等、金銭的な負担を余儀なくされた場合、又は第三者の知的財産権につき実施許諾が必要となりロイヤリティの支払が発生したり、あるいは実施許諾が得られない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 外注管理について
当社グループは、受託ソフトウェア開発及びプロダクトソフト開発等において、ノウハウの蓄積を目的として自社による開発を基本としておりますが、開発業務を効率的に遂行するために、開発工程における一部のプログラミング業務等については、外注先企業を活用しております。当社グループが安定的に事業を拡大していくため、今後も、有能な外注先企業の確保及び品質保持のための管理体制の強化を図ってまいりますが、有能な外注先企業が確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 情報技術革新への対応について
情報サービス関連分野は、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、変化が激しい業界となっております。当社グループでは、顧客ニーズに適時に応えることができる技術力の保持と迅速なサービス提供を目指し、DX、AI(生成AI※を含む)、IoT、ビッグデータ、RPA等のデジタル新領域及び新技術の調査・研究・評価を進めておりますが、今後、情報技術革新への対応が遅れた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 後継者の育成
経営陣幹部の後継者の育成は最も重要な責務の一つであると認識し、経営陣幹部となる戦略的ビジョン、リーダーシップ及び業務執行力等を有する人材を特定するとともに、十分な時間と資源をかけて計画的にその育成に努めております。しかしながら、後継者候補人材の流出や育成が適切に進まなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 大規模な感染症拡大の影響について
当社グループでは大規模な感染症罹患者の発生に備え、感染拡大防止のための行動指針及び対応方針を定めております。しかしながら、感染拡大の状況によっては、社員の就業状況や顧客先の経営状況の変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
[用語解説]
ここに示す用語解説は、文中で※印で示す用語の本書内での意味を説明するものであり、必ずしも一般的な用法用例を包含するとは限りません。
用語 |
解説・定義 |
生成AI |
学習したデータをもとに、文章、画像等の新しいコンテンツを自動的に生成する人工知能のこと。 |
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつに位置付けたうえで、経営体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の確保及び毎期の業績に基づき安定的な配当を実施し、中間配当及び期末配当の年2回の配当を基本方針としております。また配当性向は20%以上を目指してまいります。なお、これらの剰余金の配当の決定機関は、取締役会であります。
当社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議によって定め、株主総会によらない旨及び中間配当ができる旨を定款に定めております。
また、内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、更なるコスト競争力の向上、市場ニーズに応える技術開発体制の強化に充当していきたいと考えております。
2024年3月期の配当につきましては、以下のとおり、1株当たり37円の配当(うち中間配当17円、期末配当20円)を実施することを決定しました。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年10月31日 |
85 |
17 |
取締役会決議 |
||
2024年5月15日 |
115 |
20 |
取締役会決議 |