2026年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業内容に関して

① 事業内容について

当社グループは、当社(株式会社データ・アプリケーション)、株式会社WEEL、デジタルトランスコミュニケーションズ株式会社及び株式会社メロンの4社で構成されており、ソフトウエア事業、システムインテグレーション事業及びAI関連事業の3つのセグメントを展開しております。当社はデータ交換系ミドルウエア等の企業の業務プロセスを支える基盤型ソフトウエア製品及びクラウドサービスの開発・販売・保守並びに関連サービスの提供を行い、デジタルトランスコミュニケーションズ株式会社はEDI/EAIを基軸としたビジネスインフラソリューションの展開及びシステムインテグレーション・クラウドサービスの提供を行い、株式会社WEEL及び株式会社メロンはAIコンサルティング・システム受託開発・AIソフトウエア開発及びクラウドサービスの提供を行っております。当社グループのソフトウエア製品・クラウドサービス及びAIソリューションは、ますます分散化するコンピュータ・システム環境下におけるデータ連携やプロセス連携等で業務プロセスを支えるソフトウエア基盤として利用していただくことにより、ユーザーのシステム開発コストや業務コストの低減を実現し、AI技術の活用による業務効率化を支援することで、ユーザーに高い投資収益率を提供することを目指しております。しかしながら、国内景気の悪化・低迷等の外的要因、あるいは当社グループ固有の問題発生等により、当該事業の展開に何らかの支障が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループの自己資本比率は当連結会計年度末現在で68.4%となっており、企業活動を維持するために必要な資金を確保しております。

 

② 新技術や外部環境について

近時のネットワーク技術やソフトウエア技術等の情報技術の発展・進化に伴う技術環境の変化は急激であり、特に生成AIや大規模言語モデルなどの技術革新により、ソフトウエア市場においても日々激しい開発競争・販売競争が行われております。このような状況下、当社グループは常に市場動向・技術動向を分析し、新技術や製品の研究開発に努めております。株式会社WEELを通じてAI技術の最新動向を取り入れデータ連携基盤へのAI技術の融合を進めるとともに、株式会社メロンの時系列解析技術や大規模言語モデルに関する知見、及びデジタルトランスコミュニケーションズ株式会社のEDI/EAI領域における技術力を結集し、グループ全体での研究開発体制の強化を図っております。しかしながら、事業を取り巻く市場環境や技術環境が当社グループの予測を超える速度で変化していくことも想定されます。さらに、新規参入者を含めた競争激化による価格低下の圧力の高まり、競合会社の競争優位な新製品の投入や競合会社同士の戦略的提携といったことも想定され、当社グループの技術や製品の陳腐化が発生すること、あるいは何らかの要因で技術変化への対応が困難となることにより、当社グループの市場での競争優位性が確保できず、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、研究開発体制を強化し、市場環境や技術環境の変化をいち早く察知し、柔軟に対応できるように努めております。クラウド型データ連携プラットフォーム「ACMS Cloud」及びワークマネジメントプラットフォーム「Placul」の開発・提供を通じて新たな事業領域の開拓を推進するとともに、2024年7月の株式会社WEELのグループ参加、並びに2025年4月のデジタルトランスコミュニケーションズ株式会社及び株式会社メロンのグループ参加により、AI・データ連携・EDI/EAIの各技術領域における研究開発体制を一層強化しております。これらグループ各社の技術・知見を結集することで、データ連携ビジネスの加速と製品・サービスの継続的な機能向上を図ってまいります。

 

 

③ 製品の致命的不具合(バグ)の発生による販売への影響の可能性

当社グループのソフトウエア製品・クラウドサービス及びAIソリューションにおいて、ソフトウエアの不具合を無くすことは重要な課題であります。当社グループでは、自社製品・サービスの開発工程においてソフトウエアを厳格に試験することに努めておりますが、一般的に今日のような高度で複雑なソフトウエア上で不具合を皆無にすることは不可能と言われております。特に、AIの特性上、株式会社WEEL及び株式会社メロンが提供する生成AI・時系列解析技術を活用したシステムやソリューションは従来型ソフトウエアとは異なる不確実性を含む場合があります。また、クラウドサービスとして提供するACMS Cloud、並びにデジタルトランスコミュニケーションズ株式会社が提供するトラコ・マジックオーダー等においては、サービスの安定稼働に支障が生じた場合、複数の顧客に同時に影響が及ぶ可能性があります。そのため、顧客が当社グループの製品・サービスを導入後に不具合を発見する可能性があります。顧客との契約において、このような不具合が発見されたとしても当社グループに直接的な損失は生じないことになっておりますが、該当製品やサービスのその後の売上が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、品質管理室の設置等、製品・サービスの品質管理体制を強化することでその発生を最小限に抑えられるよう努めております。また、当社においては情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)及びクラウドセキュリティ(ISO/IEC 27001・27017)の認証を取得しております。なお、認証範囲は当社のクラウドサービス(ACMS Cloud)及びそのサポートサービスを対象としております。AI関連製品・サービスについては適切なテスト手法の導入や品質管理プロセスの確立を、クラウドサービスについては冗長構成の採用や障害対応手順の整備を進め、グループ全体として信頼性の高い製品・サービスの提供に努めております。

 

④ 間接販売(パートナーモデル)への依存について

当社(株式会社データ・アプリケーション)のソフトウエア製品・クラウドサービス及び保守サービスは、主に、システムインテグレーター等のパートナー(販売代理店等)との協業によって販売されております。当社の顧客は、製造業、流通業、金融業、通信業、サービス業等業種、業態を問わず多岐にわたっており、規模的にも大企業から中小規模事業者まで広範囲となっております。当社では、これらの幅広い顧客ニーズにきめ細かく応えるため、パートナーを経由した間接販売に注力しており、ソフトウエア製品・クラウドサービスにおける間接販売による売上高は、当連結会計年度においても当社の売上高の大部分を占めております。従いまして、パートナーとの継続的信頼関係の維持は、当社グループの将来にとって重大な意義を持ちます。例えば、パートナーとの関係が悪化した場合、競合会社が当社グループのパートナーと戦略的提携を行った場合、パートナーの財政状態が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、パートナーとの積極的なコミュニケーションを図り、その関係性を深化させ、強固なものとなるように努めております。また、グループ各社の技術・知見を活用し、パートナーに対してデータ連携・AI・EDI/EAIを組み合わせた付加価値の高い提案が可能となっており、こうした新たな価値提供を通じてパートナーとの関係強化を図っております。

 

(2)組織・管理体制に関して

① 小規模組織による管理体制について

当社グループは、2026年3月31日現在で従業員数253名の組織であり、社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。従いまして、経営陣はもとより、管理部門社員に業務遂行上の支障が生じた場合に、代替要員の確保の遅延、事務引継手続の遅滞等の理由によって当社グループの業務に支障が生じる恐れがあります。また、2025年4月1日付でデジタルトランスコミュニケーションズ株式会社及び株式会社メロンが当社グループに加わったことにより、グループ管理体制の整備・充実が従来以上に重要な課題となっております。各子会社の業務執行状況の把握や内部統制の有効性確保において、グループ全体としての管理体制が十分に機能しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、人員の増強や社内管理体制の一層の充実を図るとともに、グループ経営会議の定期的な開催や子会社に対する内部監査の実施等を通じて、グループ全体の管理体制の強化に努めてまいります。

 

 

② 情報セキュリティ管理について

当社グループは、事業遂行に関連して取引先役職員、顧客企業役職員、協力会社役職員等の個人情報のほか、顧客企業の機密情報・業務データ等を取り扱っております。特に、当社が提供するACMS Cloud等のクラウドサービス及びデジタルトランスコミュニケーションズ株式会社が提供するトラコ・マジックオーダー等のクラウドサービスにおいては、複数の顧客の業務データをクラウド上で処理・管理していることから、サイバー攻撃・不正アクセス・システム障害等により情報が漏洩・滅失した場合、当社グループの社会的信用に重大な影響を与えるとともに、その対応のための多額の費用負担が発生する可能性があります。また、当社グループの各社においてそれぞれ情報セキュリティ管理体制の整備を進めておりますが、グループ全体として管理水準が統一されていない場合には、セキュリティインシデントが発生するリスクが高まる可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、社内規程の制定及び従業員への教育等を通じて情報管理体制の強化を図っております。当社においてはISMS及びクラウドセキュリティ(ISO/IEC 27001・27017)の認証を取得しており(認証範囲:当社のクラウドサービス(ACMS Cloud)及びそのサポートサービス)、デジタルトランスコミュニケーションズ株式会社においては情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証(ISO/IEC 27001)を取得しております(認証範囲:本社、ただし札幌支社を除く)。引き続きグループ各社の情報セキュリティ管理水準の向上及びグループ全体での管理体制の統一・強化に努めてまいります。

 

③ 人材の確保と育成について

当社グループの事業は知的集約型の業務であり、ソフトウエア・クラウドサービスの開発・運用においては高度な専門技術・知識を有するエンジニアが、システムインテグレーション事業においてはデータ連携領域の専門技術者が、AI関連事業においてはAI・データサイエンス・大規模言語モデル等に関する高度な専門人材がそれぞれ不可欠であります。当社グループは、計画的な採用活動を通じて新卒採用及び中途採用を実施し、人材の確保を図ると同時に、教育研修を計画的に実施し、専門性の高い人材の育成に注力しております。しかしながら、IT人材の需給逼迫が続く現在の労働市場において、計画通りの人材を確保できない場合、人材の流出等があった場合や、想定通りの人材育成ができなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、学習機会の拡充や積極的な採用活動の推進に加え、グループ各社が有する専門知識・技術の共有及び人材交流を通じて、グループ全体での人材育成体制の強化に努めてまいります。

 

(3)財政状態等に関して

① 財政状態及び経営成績の異常な変動に関わるものについて

当社グループの事業は、ソフトウエア事業、システムインテグレーション事業及びAI関連事業の3セグメントで構成されており、それぞれの事業特性が業績変動の要因となる可能性があります。

ソフトウエア事業においては、パッケージ型製品及びクラウドサービスを提供しておりますが、人件費等の固定費水準が高く変動費比率が低いという事業特性から、売上高の増減が利益に与える影響が他の事業形態に比べ大きい傾向にあります。なお、当社は2026年4月1日出荷分より新規の売り切り型販売を原則終了しサブスクリプション型販売に移行しており、移行期においては継続収益の積み上がりまでの間、一時的に売上高が鈍化する可能性があります。また、システムインテグレーター等のパートナー(販売代理店等)との間接販売が主体であることにより、販売計画立案時に行政機関等からの秘匿性の高い案件を事前に察知することが困難な場合があり、開示している業績予想との乖離が発生する可能性があります。

システムインテグレーション事業においては、EDI/EAI等のシステム構築案件を中心としており、案件の大規模化や顧客の予算・調達スケジュールの変動等により、当初の計画と実績に乖離が生じる可能性があります。

AI関連事業においては、株式会社WEEL及び株式会社メロンがAIシステムの受託開発・コンサルティング、AIプロダクトの提供等を行っておりますが、プロジェクトごとに要件や規模が異なり、先端技術領域であるため開発の不確実性も存在します。このような事業特性から、AIプロジェクトの進捗状況や技術的課題により、計画と実績に乖離が生じる可能性があります。

 

② 有価証券投資による影響について

当社(株式会社データ・アプリケーション)は上場の株式及び債券を、デジタルトランスコミュニケーションズ株式会社は投資信託をそれぞれ保有しております。このため、株式市況、債券市況及び投資信託の基準価額の動向により減損処理の対象となる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4)法的規制・その他に関して

① 知的財産権等について

当社グループは、業務遂行にあたり、第三者の知的財産権の侵害を行わないように留意しておりますが、不可抗力により第三者の知的財産権を侵害する可能性は皆無ではありません。また、いわゆるビジネスモデル特許についても、米国等において既に一般化していること、及び今後国内においても当該特許の認定が進むと想定されることから、第三者の知的財産の侵害予防の重要性は増大すると考えております。

特に、AI技術の急速な発展に伴い、関連特許の出願・登録が世界的に活発化しております。AIモデルの学習手法、アルゴリズム、さらには学習データの利用権など、AI領域における知的財産権の範囲や解釈は流動的であり、法的見解や判例も発展途上の段階にあります。そのため、株式会社WEEL及び株式会社メロンが提供するAIソリューションにおいて、意図せず第三者の知的財産権を侵害するリスクが存在します。

従いまして、当社グループの事業分野において第三者の特許等が成立した場合、又は現在当社グループの事業分野において当社グループが認識していない特許等が成立している場合、当該第三者より損害賠償及び使用差止等の訴えを起こされる可能性並びに当該特許等に関する対価の支払等が発生する可能性があり、この場合は当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、法務部門を中心として適切な知的財産の管理に努めております。AI関連技術については、特許動向の定期的な調査や、業界標準的なライセンス形態の採用、AIモデルの利用条件の遵守など、知的財産権侵害リスクの低減に向けた取り組みを強化しております。また、自社の知的財産の保護に向けて、独自技術の特許出願を推進しております。

 

② 災害や未知の感染症等について

地震等の自然災害や火災等により、従業員や設備が被害を受ける可能性があります。また、未知の感染症のまん延等により、従業員が罹患するリスクや販売代理店等の販売活動が影響を受ける可能性もあります。特に、株式会社WEEL及び株式会社メロンが行うAIコンサルティング・システム受託開発事業、並びにデジタルトランスコミュニケーションズ株式会社が行うシステムインテグレーション事業においては、クライアント企業との綿密なコミュニケーションや現場での導入支援が重要であり、対面での業務遂行が制限される状況下ではプロジェクト進行の遅延や顧客満足度への影響が生じる可能性があります。また、当社グループの各拠点において同時に被災した場合には、グループ全体の業務継続に重大な支障が生じる可能性があります。従いまして、これらに伴う受注活動の低下等による売上高の減少、設備の修復又は代替のための費用発生等、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、テレワークの推進や分散型オフィス体制の整備等、労働環境の充実を図り、安全に企業活動を継続できるよう努めております。また、グループ各社においてリモート環境下でも効率的に業務を遂行できる体制の構築を進めるとともに、事業継続計画(BCP)の策定・見直しを通じて、災害や感染症等の有事においても事業継続性を確保する取り組みを強化してまいります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主還元に関して、長期にわたり継続した研究開発投資を必要とする当社の事業特性から、短期的な業績指標に基づくものではなく、財務体質の強化と長期的な企業価値の向上を踏まえたものでありたいという考えのもと、DOE(株主資本配当率)の水準を勘案して配当を行うことを基本方針としております。また、配当下限額として25円を設定しております。

当社の剰余金の配当は、期末配当として年1回を基本方針としております。当社は会社法第459条第1項の規定に基づき、法令に別段の定めがある場合を除き、剰余金の配当等を取締役会の決議によって定める旨を定款に定めております。なお、取締役会決議により、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。

このような方針に基づき、2026年3月期の配当金につきましては、1株当たり35.0円の配当を実施することを決定いたしました。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額
(千円)

1株当たり配当額
(円)

2026年4月16日

取締役会決議

223,946

35.0