2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,938名(単体) 15,557名(連結)
  • 平均年齢
    43.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    21.0年(単体)
  • 平均年収
    6,450,981円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

紙・板紙事業

5,156

生活関連事業

7,068

エネルギー事業

96

木材・建材・土木建設関連事業

1,523

その他

1,532

全社(共通)

182

合計

15,557

 

(注) 従業員数は就業人員であり、また臨時従業員の総数については従業員数の100分の10未満のため記載を省略しています。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与(円)

4,938

43歳    7か月

21年    4か月

6,450,981

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

紙・板紙事業

3,943

生活関連事業

717

エネルギー事業

96

全社(共通)

182

合計

4,938

 

(注)1.従業員数は就業人員です。

   2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループは、当社をはじめ大半の連結子会社において労働組合が結成されています。また、労働組合の有無にかかわらず労使関係は円満で、特記するような事項はありません。

なお、当社の主な労働組合は、「日本製紙労働組合」と称し、日本紙パルプ紙加工産業労働組合連合会に加盟しています。

 

 

  (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

当事業年度

補足説明

提出会社及び
連結子会社
(注)1

管理職に
占める
女性労働者
の割合(%)
(注)2

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注)3

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注)2

全労働者

正規雇用

労働者

非正規雇用

労働者

(提出会社)

日本製紙㈱

1.7

90.7

73.3

74.4

67.9

(注)4

(連結子会社)

日本製紙クレシア㈱

6.2

92.9

73.3

76.2

53.8

(注)4,5

日本製紙パピリア㈱

4.1

80.0

79.5

79.4

66.0

(注)4

日本紙通商㈱

2.2

60.0

68.4

68.5

68.2

(注)6

㈱フローリック

6.5

100.0

74.8

77.9

45.4

(注)7

日本製紙木材㈱

0.0

66.7

65.0

67.1

69.5

(注)8

南光運輸㈱

4.9

100.0

77.8

80.7

75.0

(注)4

桜井㈱

11.2

73.1

74.9

48.8

(注)6

㈱豊徳

0.0

100.0

86.5

79.9

80.4

(注)9

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)による公表を行っている会社のみ記載しています。

   2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

   3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。なお、「-」は対象となる男性労働者がいないため算出できないことを示しています。

   4.労働者の男女の賃金の差異は、主に男性労働者が従事する交替勤務に対する手当支給の有無によるものです。

   5.非正規労働者で男女の賃金の差異が特に大きいのは、男性労働者はフルタイム勤務の再雇用者の割合が高いのに対し、女性労働者はパートタイマーの割合が高いことによるものです。

   6.労働者の男女の賃金の差異は、管理職に占める男女の割合によるものです。

   7.労働者の男女の賃金の差異は、女性労働者が少ないこと、管理職に占める男女の割合及び主に男性労働者が従事する営業職勤務に対する手当支給の有無によるものです。

   8.管理職に占める女性労働者の割合の向上のため、総合職の女性労働者の採用強化に取り組んでいます。また、労働者の男女の賃金の差異は、管理職及び総合職の非管理職に占める男女の割合によるものです。

   9.労働者の男女の賃金の差異は、管理職に占める男女の割合及び主に男性労働者が従事する交替勤務・乗務員に対する手当の有無によるものです。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、達成を保証するものではありません。

 

(1) 当社グループのサステナビリティ経営

当社は、2004年に国連グローバル・コンパクトに署名・参加しました。国連グローバル・コンパクトが定める4分野(人権、労働、環境、腐敗防止)の10原則に基づき、「日本製紙グループは世界の人々の豊かな暮らしと文化の発展に貢献します」との企業グループ理念の実現とともに、社会・環境の持続可能性と企業の将来にわたる成長の両立を追求する、サステナビリティ経営を推進しています。

具体的には、企業グループ理念の実現に向けた経営の重要課題(マテリアリティ)と、2030年に当社グループが目指す姿・目標として策定された「2030ビジョン」の取り組みテーマを対応させ、テーマごとの進捗を定期的に管理することで、サステナビリティ経営のPDCAサイクルを回しています。

 


 

 

(2) 企業グループ理念の実現に向けた経営の重要課題(マテリアリティ)

当社は2021年度に、取り巻く環境の変化に対応しながら企業グループ理念を実現するために、10年後に目指す姿を描き、その達成に向けた経営課題を「2030ビジョン」として策定しました。その策定の過程で、企業グループ理念の「目指す企業像」4要件に対応する経営の課題を議論し、ガイドライン等による検証、外部意見の確認や有識者との対話を経て、当社グループの重要課題(マテリアリティ)をまとめています。

さらに、2022年度には、2030ビジョンで取り組む「事業構造転換の推進」をマテリアリティに加えました。

 


 

 

(3) ガバナンス

当社は、取締役会の監督のもと、代表取締役社長の下にCSR本部を設置し、サステナビリティ経営の推進とリスクマネジメントの統括、企業広報を行う体制を構築しています。

CSR本部は定期的に取締役会にサステナビリティに関する報告を行っており、2023年度は生物多様性保全活動などについて、計4回報告しています。

 


(注)2024年6月27日付で、推進体制の更なる強化を目的としてCSR本部の機能を再編し、SX推進本部を新設します。

 

(4) リスク管理

当社は、取締役会の監督のもと、代表取締役社長を責任者とするリスクマネジメント委員会を設置し、年1回以上開催しています。当社グループのリスクの定期的な洗い出しと評価を行い、低減対策及び発現時の対策を検討・審議し、取締役会に報告します。また、当社の主要な事業リスクの中に、「ESG・SDGs等の社会的要求に関するリスク」を認識しています。

当社のリスクマネジメント体制を含む事業等のリスクにつきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

(5) 戦略

当社グループは、2030年に目指す姿・目標として2030ビジョンを策定しました。「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業として持続的な成長を遂げる」を目指す姿として、「成長事業への経営資源のシフト」「GHG削減、環境課題等の社会情勢激変への対応」を基本方針としています。

木質資源の調達力や多岐にわたる木質資源の活用技術、幅広いパートナーとの協業など、当社グループが有する経営資源の強みを最大限活用し、3つの循環、『持続可能な森林資源の循環』、『技術力で多種多様に利用する木質資源の循環』、『積極的な製品リサイクル』を軸に、2030ビジョンの基本方針に基づいた事業活動を実践することで、当社グループの持続的成長の実現と木質資源を最大活用した循環型社会の構築をともに創出していきます。

 


 

 

当社は、マテリアリティと2030ビジョンの基本方針で取り組むテーマを対応させ、指標・目標(KPI)を設定し、サステナビリティ経営のPDCAサイクルを回しています。

 


 

(6) 指標と目標

当社は、マテリアリティと2030ビジョンの基本方針で取り組むテーマを対応させて、指標と目標(KPI)を設定しています。2022年度は主な取り組みと進捗状況をまとめ、「日本製紙グループ統合報告書2023」に開示しました。

2023年度につきましては、2024年9月に発行する「日本製紙グループ統合報告書2024」に開示する予定です。

なお、「日本製紙グループ統合報告書2024」は発行後、当社グループウェブサイトにて公表される予定です。

 

 

(7) 気候変動問題への対応

① ガバナンス

当社グループは、気候変動問題への対応を、企業グループ理念を実現するための重要課題と位置付け、温室効果ガス(GHG)排出量削減を中心として緩和と適応に取り組んでいます。

当社の取締役会では、GHG排出削減・環境経営推進担当役員(年2回以上)やリスクマネジメント委員会(年1回)から、GHG排出量削減に関わる各プロジェクトの進捗やシナリオ分析の結果として特定されたリスク・機会などの報告を受けて、その業務執行を監督しています。

 

② リスク管理

当社グループでは、部門横断的な気候変動戦略ワーキンググループにおいて、複数の気温上昇シナリオを設定し、分析・評価することで、重要なリスクを特定しています。特定したリスクは、GHG排出削減・環境経営推進担当役員及びリスクマネジメント委員会より当社の取締役会に報告されます。取締役会では、リスクにおける優先度を選別・評価し、迅速な意思決定を行っています。

 

③ 指標と目標

指標 (注)1

2030年度

2050年度

GHG排出量削減率
 (2013年度比)

目標

進捗

54%

35% (注)2

カーボンニュートラル

非化石エネルギー使用比率

60%以上

45% (注)3

 

(注)1.エネルギー事業分野を除く製造に関わるScope1及び2

2.2023年度暫定値

3.2022年度実績値

 

Scope3排出量(注)

2022年度

6,925千t-CO₂

2023年度(暫定値)

6,533千t-CO₂

 

(注)対象範囲:日本製紙㈱、日本製紙クレシア㈱、日本製紙パピリア㈱、Opal社、日本ダイナウェーブパッケージング社

対象事業:紙・板紙事業、生活関連事業、エネルギー事業

 

④ 戦略

当社グループは、気候変動問題への対応を重要な経営課題として位置づけ、GHG排出量の削減を中心とした緩和と適応に取り組んでいます。当社グループでは、気候変動問題に関わるリスクと機会に対応するために、シナリオ分析を行い、経営課題に取り込むことにより、リスクの低減と機会の拡大を図っています。

エネルギー多消費型産業である紙パルプ製造を主要事業とする当社グループは、脱炭素化の動きが急加速する状況において、その対応が遅れた場合、カーボンプライシング政策などの規制リスクや顧客、投資家からのレピュテーションリスクにより財務影響を受ける可能性があります。一方で、今後、急速な拡大が予想される環境配慮型製品の市場において、当社グループは、森林資源を活用し、社会で必要とされる様々な製品・サービスを生み出し、資源循環できる蓄積を強みとして成長する機会があります。

当社グループは、シナリオ分析及びその他の情報を考慮し、2050年カーボンニュートラルに向けた移行計画を策定しています。GHG排出量削減については、2021年度に、2030ビジョンにおいて、2030年度までに2013年度比で45%削減する目標を設定しましたが、政策導入、市場ニーズの変化等、主として移行リスク要因の変化が速くなっていること、またその影響も大きくなる可能性があると評価されたことから、生産体制再編成と連動させた石炭削減の追加対策を検討し、2023年5月に、2030年度の削減目標を45%削減から54%削減に引き上げました。

2013-2023年度の削減実績は35%削減の見込みであり、2024-2030年度計画では残り19%の削減計画となる見込みです。

 


 


 

 

⑤ 2030年時点における主要なリスク

(移行リスク)

紙パルプ産業は、エネルギー多消費型産業であり、カーボンプライシングやエネルギー政策などの規制リスクにより大きな影響を受けますが、GHG排出量の削減を加速させ、早期に脱炭素化への移行を進めることで、炭素価格上昇に関わるリスクの低減を図っていきます。また、環境配慮型製品市場の拡大等、市場ニーズの変化に対応するための開発・設備投資費用が増加する可能性がありますが、環境に配慮した高付加価値な製品を適切に市場に提供することで、拡大するグリーン製品市場において、リスクを機会に変えて成長していきます。

要因

当社グループへの影響事象

財務影響

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

政策導入
カーボンプライシング政策、
エネルギー構成の変化など

・炭素価格が上昇する

大 (注)

小 (注)

・燃料転換・省エネルギー対策の設備投資費用が増加する

・エネルギー及び原材料調達コストが増加する

市場ニーズの変化

・認証材チップの調達コストが増加する

・環境負荷低減のための開発コスト、設備投資費用等が増加する

小~中

 

(注)炭素価格影響額 小:100億円未満、中:100億円以上500億円未満、大:500億円以上

「炭素価格」以外は定性評価

炭素価格:IEAによるNet Zero Emissionシナリオを採用

 

(物理的リスク)

台風や豪雨などの気象災害の激甚化は、生産拠点や物流網に被害をもたらしますが、事業継続のための綿密な体制の整備を図り、リスクの低減を図っていきます。また、気温の上昇や降水パターンの変化は、植物の生長を悪化させるため、木材チップの調達コストを増加させるリスクがありますが、複数国・地域にサプライヤーを分散することで、安定的な調達を図っていきます。

要因

当社グループへの影響事象

財務影響

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

激甚災害の増加
(台風・豪雨の頻発)

・原材料調達・生産・製品輸送などの停止により生産量が減少し、納品の遅延・停止が発生する

中~大

・調達・製造・物流コストが増加する

気温上昇・降水パターンの変化

・自社の植林資産に損失が生じる

・原材料が調達困難となり、調達コストが増加する

 

 

 

⑥ 2030年時点における主要な機会

政策導入や市場ニーズの変化により、バイオマス素材や省エネルギーに寄与する素材の需要が拡大すると同時に、資源自律を実現する国産材需要の増加やクレジット市場の拡大による森林吸収クレジット需要の増加などの機会が見込まれます。これらの機会を捉えるために、当社グループは森林管理、育種・増殖技術や木質バイオマス素材開発技術等の強みを活用して成長していきます。

2030年度時点での環境配慮型製品の売上高は約3,000億円を見込んでいます。

要因

当社グループへの影響事象

当社グループの強み

市場成長

1.5℃
シナリオ

4℃
シナリオ

政策導入及び
エネルギー構成の変化

・蓄電池が普及し、蓄電池用原材料の需要が増加する

・CMC技術・生産設備
・CNF技術・生産設備

大きく
拡大

拡大

・自動車の軽量化ニーズにより、CNFの需要が増加する

・森林吸収クレジットの需要が増加する

・国内社有林・エリートツリー事業
・海外植林事業・森林管理技術
・育種・増殖技術

大きく
拡大

維持

・カーボンニュートラルCO₂を利用した化学原料の需要が高まる

・バイオマス由来CO₂供給
インフラ(回収ボイラー)

・化学的CO₂固定・利用技術

大きく
拡大

維持

市場ニーズの変化

・脱石化により紙化ニーズが高まるなど、バイオマス素材・リグニン製品の需要が増加する

・木質バイオマス素材開発技術(CNF、紙製包装材料、液体容器、機能性段ボール、バイオコンポジットなど)

・リグニン抽出・活用技術

大きく
拡大

拡大

・国産材の需要が増加する 

・国内の再造林面積増によりエリートツリー苗の需要が増加する 

・国内社有林・国産材集荷網
・森林管理・育種・増殖技術

拡大

大きく
拡大

・持続可能な森林由来の原材料を使用した紙の需要が増加する

・森林認証材の調達網実験
・優良サプライヤーとの信頼関係
・持続可能な自社林経営

拡大

拡大

・持続可能な航空燃料の需要が増加する

・木質資源からのバイオエタノールの製造技術 

・複数のKP製造設備所有

拡大

拡大

激甚災害の増加
(台風・豪雨の頻発)

・長期保存可能なアセプ紙パックの需要が増加する

・トータルシステムサプライヤー

拡大

拡大

気温上昇・
降水パターンの変化

・環境ストレス耐性樹木の需要が増加する

・森林管理・育種・増殖技術

拡大

拡大

 

 

 

(8) 人材の活用

① 基本的な考え方

当社は、企業グループ理念の中で、目指す企業像の要件の一つに「社員が誇りを持って明るく仕事に取り組む」 ことを掲げています。誇りとは、「キャリアを通じた個々人のスキル向上・成長実感」、「職場での働き甲斐や報酬・処遇への充実感」、「事業活動の推進を通じて得る社会貢献の実感」を享受することで培われるものと考えています。また、明るく仕事に取り組むとは、外部環境の激しい変化に対して臆することなく、社員が前向きに働くことであり、そのための企業風土づくりが必要です。この要件を満たすためには社員のエンゲージメント向上が必要であることから、各種の施策に取り組んでいます。

 

② 社員のエンゲージメント向上のための人材戦略

当社は、あるべき社員とのエンゲージメントを「社員と企業の双方が成長していける関係」であると定義しています。当社グループは、2030ビジョンの実現に向け策定された中期経営計画2025において「事業構造転換の加速」 を基本戦略に掲げていますが、これを実現するため、人材育成、定着に力を入れるとともに、成長事業への人材のシフトをはじめとした人材配置を進め、社員と企業の双方が成長することを促していきます。また、多様な働き方の実現と、多様な人材が能力を最大限に発揮できる組織づくりを推進し、社員のエンゲージメント向上を図り、「社員が誇りを持って明るく仕事に取り組む」ことを実現していきます。そのために、人材育成・社内環境整備の方針も含めた人材戦略として、下図のとおり3つの柱を据えて各種の施策に取り組んでいます

 

人材戦略の3つの柱


 

3つの柱はいずれも重要ですが、特に人材育成における「変化にチャレンジする人材づくり」は、現時点における最重要課題と捉えています。労働力人口の減少・人材の流動化に伴い人材の採用が難しい状況において、既存事業の工場で高い操業スキルを蓄積した優秀な人材の職務領域をさらに拡張させ、新規事業の立ち上げや新製品の量産化に適応する人材として再育成し、多様な働き方の実現に向けた制度を整えることで定着を図り、再配置することを加速していきます。

加えて、事業別に人材戦略の基本方針を明確化し、それぞれの重点課題に対応する施策に取り組んでいます。

重点課題として掲げた「グラフィック用紙事業の競争力強化」に対しては、「人材活用と適正配置の推進」を基本方針として、競争力の維持・強化と省人化の同時実現を図ります。

また、生活関連事業の重点課題として掲げた「収益力強化」に対しては、「新規・成長分野への人材投入」を基本方針として、スムーズな事業構造転換の実行に繋げます。

さらには、従業員のエンゲージメント向上を人材戦略におけるもう一つの基本方針とし、各種の人事施策を通じて当社の事業戦略を支える優秀な人材の確保・維持を図ります

 

 

事業戦略と人材戦略の連動


 

具体的な取り組みとして、2023年度は生活関連事業における「事業構造転換の担い手の確保、支援」として、人材育成面では、選抜型教育の実施や新たなキャリア形成への支援に取り組み、具体的には、事業構造転換の旗振り役となる部長クラスを対象とした選抜型のビジネススキル研修(イノベーション思考研修)や、若年層に対するキャリアデザインやキャリアアップを目的とした研修を実施しました。

人材定着面では、従来、在宅勤務制度や時間単位年休の導入等、多様な働き方の実現に向けた制度を拡充しています。

人材配置面では、石巻工場内に設置した家庭紙の製造設備の立ち上げにあたり、同工場においてグラフィック事業に携わっていた人材を家庭紙事業に再配置することで、当初計画よりも早期に営業運転を開始する等、新規事業や成長分野への人材シフトに取り組みました。

また、人材戦略の推進に向けて採用活動を強化しており、2023年度は、新卒採用のみならずキャリア採用やアルムナイ採用、リファラル採用等、採用チャネルの複線化・拡大を図るとともに、海外志向が強く語学力の高い学生を海外勤務候補生として採用する取り組みを開始しました。

2024年度は、海外人材の育成強化、労働力人口減少を見据えた操業現場の自動化・省人化、物流分野におけるIoT技術の導入検討等、中期経営計画2025の達成に向けて引き続き「生活関連事業の収益力強化」と「国内外のグラフィック用紙事業の競争力強化」の源泉となる人材の育成、定着、配置に取り組んでいきます。

なお、当社は従業員エンゲージメント調査を2019年度から定期的に実施しています。当社は本調査を「社員と企業の双方が成長していける関係」をより強固にするための重要な調査と位置付けています。調査結果を経営層・役職者に報告するとともに、外部コンサルタントのアドバイスも踏まえながら、職場内コミュニケーションの増進や労働環境の改善に努め、事業構造転換のスムーズな実現に繋げていきます

 

 

③ 人材育成及び人材定着(社内環境整備)に関する指標と目標

当社は、人材育成や人材定着(社内環境整備)の進捗状況をモニタリングするために、下表のとおり指標や目標を設定しています。今後は、進捗状況や外部環境の変化を踏まえながら、各方針の進捗状況をモニタリングするうえでより相応しい指標への見直し・追加等を、必要に応じて検討していきます。

 

人材育成及び人材定着(社内環境整備)に係る指標と目標

指標

目標

実績

2023年度

参考値
 直近3か年平均
 (2021~2023年度)

入社10年後の在籍率〔%〕

80%以上

2013年度に入社した
社員の在籍率 50%

58%

女性総合職採用比率〔%〕

40%以上
(2025年度まで)

2024年度新卒総合職における
女性採用比率 37%

41%

年間総労働時間〔時間〕

1,850時間/年以下

1,872時間/年

1,887時間/年

年次有給休暇取得率〔%〕

70%以上

80.3%

77.6%

ダイバーシティ推進制度
利用率〔%〕(注)2

70%以上

84.6%

91.9%

 

(注)1.指標に関する目標及び実績は、制度の異なる連結会社の状況等を一体的に進捗管理することが困難なため、提出会社のものを記載しています。

2.ダイバーシティを推進する制度(フレックスタイム制度、時間単位年休制度及び在宅勤務制度)を当年度中に利用したことがある本社部門従業員の比率です。