2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,288名(単体) 12,372名(連結)
  • 平均年齢
    43.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.3年(単体)
  • 平均年収
    6,101,883円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

(2024年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(人)

紙・板紙

4,718

ホーム&パーソナルケア

5,982

報告セグメント計

10,700

その他

1,417

全社(共通)

255

合計

12,372

(注) 従業員数は就業人員数です。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

(2024年3月31日現在)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

2,288

43.3

19.3

6,101,883

 

セグメントの名称

従業員数(人)

紙・板紙

1,325

ホーム&パーソナルケア

708

報告セグメント計

2,033

全社(共通)

255

合計

2,288

(注)1.従業員数は就業人員数です。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

 

(3)労働組合の状況

 労使関係について特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

 

 

 

 

 

(2024年3月31日現在)

当事業年度

補足説明

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)(注1)

男性労働者の

育児休業取得率

(%)(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注3)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

2.7

90.9

65.6

66.6

83.9

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。なお、出向者は出向先の労働者として算出しています。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。なお、出向者は出向先の労働者として算出しています。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。2023年4月1日から2024年3月31日に支給した年間賃金(通勤費除く、賞与・基準外賃金含む)について、男性平均を100とした場合の女性平均の割合です。なお、出向者は出向元の労働者として集計しています。また、同一労働による賃金体系に違いはありませんが、男女間における平均年齢、在籍年数、等級、職種の違い等により差異が生じています。

 

② 連結子会社

 

 

 

 

 

 

 

(2024年3月31日現在)

当事業年度

補足説明

名称

管理職に占め

る女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得

率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注3)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

大王パッケージ㈱

1.0

67.1

71.6

50.7

常時雇用する労働者数が300人超、1,000人以内の国内連結子会社

ダイオーミウラ㈱

2.0

53.8

75.1

52.3

エリエール

プロダクト㈱

2.9

61.8

73.1

60.5

ダイオーペーパー

プロダクツ㈱

0.0

58.6

64.9

69.2

エリエール

ペーパー㈱

0.0

67.4

68.7

49.0

ダイオーエンジ

ニアリング㈱

0.0

70.8

76.2

38.8

ダイオーロジス

ティクス㈱

2.1

73.9

73.5

68.3

エリエール

ペーパー

テクノロジー㈱

7.7

71.2

70.0

41.0

エリエール

ペーパーテクノ

ロジー東海㈱

0.0

54.0

70.4

59.4

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。なお、出向者は出向先の労働者として集計しています。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。2023年4月1日から2024年3月31日に支給した年間賃金(通勤費除く、賞与・基準外賃金含む)について、男性平均を100とした場合の女性平均の割合です。なお、出向者は出向元の労働者として集計しています。また、同一労働による賃金体系に違いはありませんが、男女間における平均年齢、在籍年数、等級、職種の違い等により差異が生じています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)大王グループサステナビリティ・ビジョン

 大王グループでは、当社グループのサステナビリティ戦略として、2021年5月に「大王グループサステナビリティ・ビジョン」を策定しました。その戦略に沿った取組を推進するため、当社グループは、経営に社会課題解決を織り込んだサステナビリティ活動を進めていきます。

 

・大王グループサステナビリティ・ビジョン

https://www.daio-paper.co.jp/wp-content/uploads/2021_daio-sustainability-vision.pdf

 

① ガバナンス

 大王グループでは、代表取締役社長を委員長とした「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティに関する戦略や方針等を議論しています。サステナビリティ戦略である「大王グループサステナビリティ・ビジョン」についても「サステナビリティ委員会」で議論の上、取締役会で策定しました。

 「サステナビリティ委員会」の下に「ESG小委員会」を設け、その小委員会では、サステナビリティを巡る動きやマテリアリティと連動する8つの部会(①地球温暖化対策部会、②物流GHG削減部会、③環境負荷低減部会、④SDGs調達推進部会、⑤TCFD対応部会、⑥森林・生物多様性対応部会、⑦価値共創部会、⑧ESG情報開示充実部会)を設置し、具体的なマイルストーンや取組項目を決めて実行しています。

 「サステナビリティ委員会」は四半期に1度、年4回開催し、部会の具体策を評価・進捗確認します。これらの情報も含め、サステナビリティの課題や課題に対する取組、進捗状況を定期的に取締役会に報告しています。

 

② 戦略

 当社グループのパーパスは「誠意と熱意」をもって「3つの生きる(衛生・人生・再生)」を成し遂げ、「やさしい未来」を実現することです。経営理念の4つの柱「ものづくりへのこだわり」「地域社会とのきずな」「安全で働きがいのある企業風土」「地球環境への貢献」を体現するなかで、過去から取り組んできた社会課題解決とSDGsを連動させて、ありたい姿「やさしい未来」を実現していきます。

 ありたい姿「やさしい未来」の実現にあたっては、マテリアリティに沿って取組を進めています。マテリアリティについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)会社の経営の基本方針」を参照ください。

 マテリアリティのうち、「気候変動への対応」「循環型社会の実現」「森林保全と生物多様性の維持」は、「3つの生きる(衛生・人生・再生)」の3つ目の「再生(地球の再生)」に関する重要課題であり、特に「気候変動への対応」は当社グループにとっての最重要課題と認識しています。

 また、当社グループは、持続的な企業価値の創造に挑戦する人財を育成していくため、安全で働きがいのある企業風土の構築を目指しています。その実現のために、「人権尊重と人財育成、社員への思いやり」をマテリアリティの一つとしており、人的資本への対応を重要課題と位置づけ、取組を進めています。

 

③ リスク管理

 大王グループでは、サステナビリティに関する総合的な管理は「サステナビリティ委員会」に集約しています。

 「サステナビリティ委員会」の体制として、ESG小委員会を設け、さらにその下に8つの部会を設立しました(①地球温暖化対策部会、②物流GHG削減部会、③環境負荷低減部会、④SDGs調達推進部会、⑤TCFD対応部会、⑥森林・生物多様性対応部会、⑦価値共創部会、⑧ESG情報開示充実部会)。部会で議論されたサステナビリティに関する取組、国内外の動向や当社グループを取り巻く状況変化、取組のKPIに対する進捗状況などの報告を受け、審議しています。

 「サステナビリティ委員会」で審議された事項は、四半期に1回、取締役会に報告され、当社グループの運営に反映されます。同様に、コンプライアンス違反、不祥事を含む経営に重大な影響を及ぼす恐れのあるリスクの識別・評価は、リスク・コンプライアンス担当の取締役を委員長とする「リスク・コンプライアンス委員会」で審議され、取締役会に定期的に報告の上、反映されます。

 

④ 指標及び目標

 大王グループでは、サステナビリティ戦略と連動する以下のKPIを設定しています。上記のガバナンス体制に沿って、各指標の進捗状況を具体的に評価・確認し、目標達成に向け取り組んでいます。

 

経営理念の

4つの柱

マテリアリティ

貢献するSDGs

事業戦略・主な取組み

事業を通じた主な社会課題解決

及び目標とする指標

(2030年度KPI)

2021年度

実績

(注1)

2022年度

実績

(注1)

1.ものづくりへのこだわり

事業ポートフォリオの戦略的変革

新聞・洋紙事業

●生産体制・販売構成の見直し

●川下の印刷事業の強化

産業用紙・段ボール事業

●国内での安定供給の継続

●海外展開の加速

●洋紙から板紙への転抄

→マシン稼働継続による雇用維持

(注2)

(注2)

グローバル展開の加速

H&PC国内事業

●吸収体事業と国内シェア向上

●衛生用紙と複合事業モデル確立

H&PC海外事業

●既進出国での複合事業化

●新規市場に進出し事業基盤構築

●海外各拠点での地域発展に貢献

→技術・開発能力の向上・雇用維持・創出

(注2)

(注2)

新規事業の創出

新規事業

●セルロースナノファイバー

●RFID(ICタグ)

セルロースナノファイバー商品化分野数

7

2

2

●RFIDによる業務効率化・働き方改革

(注2)

(注2)

●環境配慮型商品(脱プラスチック等)の販売

●感染症対策商品(マスク・除菌ウェット等)の販売

2.地域社会とのきずな

地域社会との共生

●南米チリで地域の農業・酪農を支援する生活・灌漑用水の安定供給

●アテントマイスター・プロ資格認定者数

(注2)

(注2)

アテントマイスター・プロ資格認定者

22,000名

2,778名

4,787名

持続可能なサプライチェーンの構築

●CSR調達

サプライヤーアンケート回収率

100%

95%

96%

 

5段階評価で3.5以上の取引先数

90%

62%

61%

●森林認証

国内外での森林認証の維持継続

100%

100%

100%

3.安全で働きがいのある企業風土

人権尊重と人財育成、社員への思いやり

   

(注3)

公正で透明性の高い経営

4.地球環境への貢献

気候変動への対応

 

●バイオマス由来燃料への転換、廃棄物燃料の有効利用など

化石由来のCO2排出量削減

(対2013年度比)(注4)

46%

3.2%

7.0%

循環型社会の実現

●難処理古紙の利用促進(基幹工場である三島工場板紙への配合率)

板紙への配合率

30%

15.7%

14.2%

●ゼロエミッション

再資源化率

100%

98.4%

97.1%

●水の循環・再利用、適正な用排水処理による排水の浄化

用水・排水COD売上高当り原単位

(対前年度比)

1%/年削減

用水 5.6%

COD 9.9%

用水10.5%

COD 6.0%

森林保全と生物多様性の維持

●南米チリの天然記念物「アレルセ」を現地NPOと連携し保護

約28,000haを天然林として維持

増減なし

増減なし

●希少淡水魚「カワバタモロコ」を徳島県と連携し、繁殖・放流

植林面積拡大 15,000ha

(2050年度までに)

約400ha

約200ha

(注1)2023年度実績につきましては未確定のため2022年度までの実績を掲載しています。

(注2)KPIの設定については今後検討してまいります。

(注3)取組やKPIにつきましては、「(3)人的資本に対する考え方」を参照ください。

(注4)基準の2013年度以降に当社グループとなった子会社の排出量を含んでいます。

 

(2)気候変動への対応

 当社グループでは、「気候変動への対応」をマテリアリティの1つに掲げ、最重要課題として位置づけ、取り組んでいます。

 2021年5月の「大王グループサステナビリティ・ビジョン」の策定と同時にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しており、TCFDの提言に沿った気候変動関連のリスク・機会評価を行い、経営戦略やリスク管理などに反映させ、財務上の影響などの情報開示の充実を進めています。

 

① ガバナンス

 気候変動への対応に関する基本的なガバナンスはサステナビリティ戦略全体のガバナンスに含まれます(詳細は「(1)大王グループサステナビリティ・ビジョン」を参照)。

 当社グループでは、特に「気候変動の対応」をマテリアリティのひとつに挙げ、石炭ゼロ化の推進に力を入れています。サステナビリティ戦略全体のガバナンスの中で、気候変動に関する具体的な取組については「サステナビリティ委員会」の下部組織「ESG小委員会」の下に設置した8部会のうち、「地球温暖化対策部会」「TCFD対応部会」「物流GHG削減部会」「森林・生物多様性対応部会」「価値共創部会」の5部会を中心に検討・推進しています。「ESG小委員会」は、これらの取組の進捗も含めて管理しています。特に石炭ゼロ化の推進は、生産部門担当の取締役常務執行役員を責任者として位置づけ、社内の取締役、執行役員が出席する会議体の中でも、その取組を報告、モニタリングする体制としています。

 

② 戦略

 大王グループは、国内紙・板紙部門とホーム&パーソナルケア部門において、気候変動による事業への影響を1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つのシナリオを基に、中期(2030年)、長期(2050年)で分析しました。

 各シナリオの前提条件はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)のシナリオなどを参照し、物理的リスクについてはWRI(世界資源研究所)や文部科学省気象庁、Four Twenty Seven、Encore、UNEPのデータを基にリスク評価を行いました。

 

<気候変動におけるリスクと機会>

 以下で示す気候変動のシナリオ分析におけるリスクと機会の財務インパクトは、大:150億円以上、中:50億~150億円、小:50億円未満、-:分析中です。

 

リスク項目

事象の詳細

2030年1.5℃

2050年1.5℃

戦略・対応策

政策・

法規制

CO2排出量削減の義務化

GHG排出量の規制強化

カーボンプライシングの上昇

・GHG排出規制とカーボンプライシングの導入

・エネルギー価格上昇による原価アップ

・FITボイラー自社消費へ転換

・太陽光等の再生可能エネルギーの導入

・2030年までにリサイクルボイラーを設置等により、石炭ボイラー2缶停止による化石燃料から廃棄物燃料への転換

・省エネルギー技術導入、投資継続実施

・植林面積の拡大

・四国中央市カーボンニュートラル協議会等の取り組み推進

・リサイクルボイラー・石炭ボイラーでブラックペレット燃焼

・水素・アンモニア燃焼技術の導入

・CCUS

(四国中央市カーボンニュートラル協議会等にての取り組み)

・炭素税導入により、各種資材価格が上昇

・商品開発段階からGHG排出量がより少ない資材を選定しコスト上昇を抑制

市場

環境対応商品へのシフト

・環境不対応商品の販売減

・CFP開示遅れによる販売減

・エシカル消費による需要減少

・環境対応への設計変更

・CFP表示等の推進、対応

・再生プラスチック化推進

技術

商品物流を低炭素

エネルギーへ転換

・物流手段の低炭素化の取組として新技術の導入等によるコスト増加

・燃料転換

・トラックから内航船・RORO船へのモーダルシフトと輸送距離の短縮の推進、ダブル連結等を推進

・今後の自動運転や水素・合成燃料トラック等の技術革新にあわせて導入を推進

 

 

リスク項目

事象の詳細

2030年4℃

2050年4℃

戦略・対応策

急性的

台風の多発、

集中豪雨の多発

・自然災害による生産活動への影響(洪水)

・道路・鉄道・港湾設備被害によるサプライチェーン寸断、商品や原材料輸送の停止

・BCP(事業継続計画)・BCM(事業継続マネジメント)対応の推進

慢性的

降水・気象パターンの変化や平均気温上昇

・植林地、原料調達先が被害を受け、安定調達に影響が出る

・調達先の多角化による調達の安定化

・植林の推進による原材料の調達量の確保

・植林する地域・気候に適した樹種の選定、育種開発

 

機会項目

事象の詳細

2030年1.5℃

2050年1.5℃

戦略・対応策

商品とサー

ビス

需要家の品質要求が変化

技術革新による新商品・サービスの開発

・環境配慮型商品(FSC商品、脱プラ・減プラ商品)の需要増加

・環境貢献商品(制汗、防災・避難グッズ商品)の需要増加

・リサイクルに対する認識の変化

・産業廃棄物を減らす風潮

・水資源の節約から節水型商品の増加

 

(紙・板紙部門)

・脱プラ製品、包装機能材の拡大

・FSC等の認証品拡大

・CNF素材、RFIDの開発推進、製品拡大

(H&PC部門)

・脱プラ包装材への転換

・マスク、衛生用品等の気候変動対応商品の拡大

・制汗商品、熱中症対策商品の開発、販売拡大

・水に溶けやすい商品等の開発、節水支援

廃棄物、余剰の有効利用

・バイオ素材・製品の需要増加

・製紙素材を利用したバイオマスの化成品、素材の開発、販売拡大

資源効率

原料のリサイクル

資材の再利用

・原材料のリサイクルシステム構築による費用逓減

・消費者環境政策要求の満足度向上

・使用済み紙おむつを回収、リサイクルする仕組みの構築

・素材を再利用する設備導入

・環境配慮型商品の上市

 

③ リスク管理

 気候変動への対応に関する基本的なリスク管理はサステナビリティ戦略全体のリスク管理に含まれます(詳細は「(1)大王グループサステナビリティ・ビジョン」を参照)。

 特に、気候関連リスクの識別・評価においてはシナリオ分析を行い、移行リスク、物理的リスク、機会に分けて網羅的に抽出して、財務に影響を与える項目を整理しました。また、リスクの特定や不確実性の高/低の評価、定性的・定量的な財務インパクトの検討を行っています。

 気候変動リスクの識別・評価は、「サステナビリティ委員会」の下部組織「ESG小委員会」の下に設置した8部会のうち、「地球温暖化対策部会」「TCFD対応部会」「物流GHG削減部会」「森林・生物多様性対応部会」「価値共創部会」の5部会において実施しています。

 

④ 指標と目標

 2021年5月の大王グループサステナビリティ・ビジョンの公表・TCFDへの賛同表明と同時に、事業戦略と連動させる形で、地球温暖化対策の長期ビジョンとして「2050年 カーボンニュートラル」を目指すことを発表しました。そのマイルストーンとして、Scope1+2における「2030年化石由来CO2排出量46%削減(2013年度比)」を掲げ、ロードマップも開示しています。

・大王グループ統合レポート2023(P71-72)

https://www.daio-paper.co.jp/wp-content/uploads//pdf/2023/DAIO_2023_all_re.pdf

 ロードマップでは、2050年までに主要工場の三島工場で保有する石炭ボイラー全3缶停止の方針を掲げ、再生可能エネルギーや低炭素燃料(LNGなど)への燃料転換、省エネルギーを推進するとともに、地域における廃棄物等を燃料とするリサイクルボイラー(現在環境アセスメントを実施中)の導入により、地域全体でのCO2削減を進めていきます。

 さらに、植林拡大によるCO2吸収・固定量増にも取り組み、排出削減と吸収・固定で2050年までにカーボンニュートラルを実現していきます。

 Scope3については、現在グループ全体の定量把握を進めており、2022年度は大王製紙単体に加え、国内生産会社まで算出が完了しています。今後、グループ全体の目標を設定し開示するとともに、サプライチェーン全体での排出削減に取り組んでいきます。

 

<2022年度実績>

化石由来CO2排出量:3,511千トン

化石由来CO2排出量削減率(2013年度対比):7.0%

GHG排出量:4,158千トン

(うち、Scope1:3,491千トン、Scope2:667千トン)

(注)2022年度に株式取得をした吉沢工業株式会社(2022年5月)と株式会社大貴(2022年10月)を含みます。

2023年度の実績は2024年9月発行予定の当社「統合レポート 2024」に記載する予定です。

Scope3は大王製紙単体の2022年度実績のみであることから、2022年度のGHG排出量に含めていません。なお、2022年度の大王製紙単体のScope3排出量は2,297千トンでした。

 

<四国中央市カーボンニュートラル協議会について>

 当社グループは地域全体での脱炭素化に取り組んでいくため、四国中央市カーボンニュートラル協議会に幹事会社の1社として積極的に関わっています。2023年3月に公表したロードマップに基づき、製紙産業においてのカーボンニュートラルを実現するため、多様な関係者が連携した取組を進めています。本協議会は、事業者、自治体、地元地方銀行、地元教育機関、地元業界団体等の結節点として、地域のカーボンニュートラル実現及び地域課題の解決に今後も貢献してまいります。

 

・四国中央市カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ(当社ホームページ開示資料)

https://www.daio-paper.co.jp/wp-content/uploads/Attachment-Roadmap.pdf

 

(3)人的資本に対する考え方

 長期ビジョン「Daio Group Transformation 2035」に掲げるグローバル展開、研究開発力・マーケティング力の強化、化石燃料から廃棄物・木質燃料へのエネルギー転換といった重要な変革テーマを実行していく上での“価値創造の源泉”は人であり、一人ひとりが会社の成長や変革の担い手であると考えています。紙・板紙事業やホーム&パーソナルケア国内事業においても教育やジョブローテーション等を通してリスキリング、専門性の強化を進めるとともに、グローバルに活躍する人財や新規事業分野での高度専門性人財の確保と育成に注力していきます。

 

① ガバナンス

 人的資本への対応に関する基本的なガバナンスはサステナビリティ戦略全体のガバナンスに含まれます(詳細は「(1)大王グループサステナビリティ・ビジョン」を参照)。

 

② 戦略

変化や挑戦に前向きなマインドを持つ人財の育成に重点を置いて取り組んでおり、そのような人財が絶えず活躍する企業風土として「誰かの挑戦を後押しできる企業文化」の醸成を目指しています。社員の学びの意欲と努力によるスキルの獲得が個人と会社双方の成長につながると考えており、意欲・自発性を高める教育・成長機会の提供を人財育成の基本方針としています。

 社員一人ひとりが画一的ではなく自律的にキャリアを形成できる環境と教育を進めています。

 

<自律的なキャリア形成支援について>

社員のキャリア自律を促進する施策として「Daio Career Challenge」(キャリア選択社内公募制度)を2020年より実施し、現在24名がこの制度を利用して異動しています。また、「自己申告制度」(ジョブローテーションなどの希望を申告できる制度)も導入しており、個々人の適性も考慮してローテーションに活かしています。また、他にも階層別教育として中堅社員対象のキャリアデザイン研修、新任管理職研修などを実施するとともに、社員の自己啓発を促進する通信教育受講補助制度などの教育制度を導入しています。

 

<グローバル人財育成について>

グローバルに活躍する人財育成の強化を目的として、国内外でのMBA取得支援、語学研修費用補助や海外勤務ワークショップの定期開催とともに、2024年4月より若手社員を対象とした海外語学留学の実施や、技術系社員の留学プログラムを再開し、グローバル人財の早期育成に取り組んでいきます。

 

 

変化や挑戦に前向きなマインドを持つ人財を多く生み出すために、企業の基本姿勢として全体最適に基づく発案を歓迎し、挑戦に報い、積極性を評価する制度の構築やメンバーの意見を積極的に促し傾聴し対話を通して変化・挑戦を支援していくことで「誰かの挑戦を後押しできる企業風土」への転換を進めています。

 

<評価・処遇制度改定について>

施策の一つとして、2024年4月には総合職の評価基準・行動要件を改定し、能力基準に加えて、積極的な姿勢やオープンなコミュニケーションといった仕事への基本姿勢・行動を評価項目とし、変化へのチャレンジやチームでの貢献を促す仕組みとしています。また、処遇においては年功的な制度から実力に基づく制度に改めたことにより、評価と処遇の透明性を高め、変化や挑戦を促し一人ひとりの成長に繋げていきます。

 

当社グループの発展を支える今後の事業展開において新たなイノベーションの創出には不可欠であり、それには多様な人財を活かす風土が欠かせません。当社グループでは代表取締役社長を委員長とするダイバーシティ委員会を設置し、多様な人財が挑戦・活躍できる成長機会を提供しています。

 

<女性活躍推進について>

当社の多様性拡大の中心にジェンダーギャップ縮小(女性活躍)を置き、当社グループの成長エンジンであり、女性活躍のフィールドが広がってきているホーム&パーソナルケア部門を中心に、積極的に女性の採用・配置を増やすとともに、全部門で女性リーダー層に対し異業種交流研修を実施するなど、育成強化に取り組んでいます。また、女性が十分に実力を発揮する環境を整備するために、これまで女性の負担が大きかった「家事・育児」の領域に男性が参加することが重要と考えており、男性の育児休業100%取得を目標に掲げています。子供が生まれる3ケ月前から育休取得希望を上司・会社と共有することで計画的な取得を可能とし、2023年度取得率が90.9%、平均取得日数が48.0日まで伸長しています。

 

 

女性リーダー※率(総合職)

 

男性育休取得率※

 

※女性リーダーとは:役員・管理職ではない総合職の役職者(係長、主任、チーフなどの役職がつく者)。

※男性育休取得率範囲:大王製紙株式会社単体。

 

<風土改革について>

女性活躍推進や男性の育児参画推進から開始した「風土改革」は、社内に新しい価値観・着眼点を生み働き方改革による生産性向上、社員の相互理解による連帯力の強化を促し、その先のイノベーション創出に繋がると考えています。さらにアンコンシャスバイアスへの対応、LGBTQ+や障がいのある方への理解促進等を通して真の多様性ある職場作りを目指し、毎年テーマを決めて研修を行っており、2023年はLGBTQ+についての研修を全社員対象に実施しました。他にも、ドレスコードのカジュアル化といった従来の価値観に変化を与え受容性醸成に取り組んでいます。

 

<エンゲージメント向上について>

当社では社員のエンゲージメントを高めることがイノベーションを生み出し、企業価値の持続的な向上に繋がると考えており、2021年に従来の「従業員満足度調査」を「エンゲージメント・サーベイ」に変更し、年1回サーベイを実施しています。各ユニット単位でサーベイ結果から読み取れる組織運営上の課題解決を各管理職の業績評価の1項目に挙げて会社全体でエンゲージメント向上を推進しています。

 

<健康経営について>

2014年度に公表した「大王グループ健康宣言」で、「活力ある健全な企業グループとして永続的に進化・発展していく」を掲げ、心身の健康増進に取り組んでおり、2024年3月には3度目となる「健康経営銘柄」、7年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)~ホワイト500~」に選定されました。

健康の維持・増進に向け、「ライフ・ワークバランスの推進」、「生活習慣の改善」、「メンタルヘルスケアの充実」、「疾病の早期発見・早期治療」を健康経営の4本柱として、全社員参加の下、実行、推進し、人も企業も健康であることに努めます。

 

<安全衛生の取組みについて>

『事業所内で働くすべての人の安全を守る』ことを経営の最重要事項の一つとして掲げ、「安全な意識」「安全な環境」「安全な仕事」を3本柱に、「大王グループ安全衛生目標」を設定し、重篤災害につながるリスク抽出と対策を継続実行し、2023年度は重篤災害ゼロでした。リスクアセスメントによる職場改善や安全教育の実施、さらに災害時対策訓練などの安全活動を通じて、社員の安全を守ると共に、地域社会からも信頼される事業活動を展開しています。

 

③ リスク管理

 人的資本への対応に関する基本的なリスク管理はサステナビリティ戦略全体のリスク管理に含まれます(詳細は「(1)大王グループサステナビリティ・ビジョン」を参照)。

 

④ 指標と目標

主なKPI

単体

連結

対象範囲

2023年度

実績

2023年度

実績

2030年度

目標

女性管理職比率

2.7%

6.4%

10.0%

提出会社及び国内・海外の連結子会社

男性育休取得率

90.9%

-(注1)

100.0%

提出会社及び男性育休取得率の開示義務がある常時雇用の労働者1,000名を超える国内連結子会社

年次休取得率

81.3%

74.8%

90.0%

提出会社及び国内・海外の連結子会社

一般社員時間外

労働時間

21.3h/月

18.0h/月

10.0h/月

提出会社及び国内・海外の連結子会社

障がい者雇用率

2.6%

2.3%(注2)

2.8%

提出会社及び障がい者の雇用義務がある常時雇用の労働者43.5名以上の国内連結子会社

3年後新卒定着率

(総合職)

82.7%

-(注3)

90.0%

新卒総合職定期採用制を導入している大王製紙単体

※2019年度~2021年度入社者の平均値を算出

(注)1.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため連結子会社を含め集計しておらず、記載を省略しています。

(注)2.「障害者雇用促進法」(第43条第1項)の規定による雇用義務の対象でない国内連結子会社は、障害者雇用納付金の申告申請手続きをしていないため、集計に含んでいません。

(注)3.連結子会社については、新卒採用が定期に行われないなど採用方針が異なり、一律の設定が困難であるため、指標に関する目標及び実績は提出会社のみを記載しています。