リスク
3【事業等のリスク】
当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
(1)事業環境に関する事項
① インターネット関連市場について
当社グループはプラットフォームサービス事業を主力事業としておりますが、当社グループ事業の発展のためには、インターネット利用者数の増加や関連市場の拡大が必要であると考えております。
しかしながら、当社グループが事業環境の変化に適切に対応できなかった場合、又は、新たな法的規制の導入等の予期せぬ原因によりインターネット関連市場の成長が鈍化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② SaaS市場の動向について
SaaS市場は近年大きく成長しており、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2022年度版」によると、国内SaaS市場は、2026年度には1兆6,681億円(2021年度比180.0%)に達すると見込まれております。当社グループは、SaaS市場が今後も成長傾向を継続するものと見込んでおり、SaaS領域でのサービスを多角的に展開する計画であります。
しかしながら、今後、国内外の経済情勢や景気動向等の理由によりSaaS市場の成長が鈍化するような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新等について
当社グループが事業展開しているインターネット関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、インターネット関連事業の運営者はその変化に柔軟に対応する必要があります。当社グループにおいても、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。
しかしながら、当社グループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、又は、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 他社との競合について
当社グループは『マネーフォワード クラウド』及び『マネーフォワード ME』を中心としたプラットフォームサービス事業を主たる事業領域としておりますが、当該分野においては多くの企業が事業展開をしております。当社グループは、最適なユーザビリティを追求したサービスの構築、登録会員の訪問頻度向上を目指した特色あるサービスやコンテンツの提供、メディア利用時の安全性の確保やカスタマーサポートの充実等に取り組み、競争力の向上を図っております。
しかしながら、当社グループと同様のサービスを展開する企業等との競争激化や、十分な差別化が図られなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ Apple Inc.及びGoogle Inc.の動向について
当社グループは、ユーザーにスマートフォン向けアプリを提供しており、Apple Inc.及びGoogle Inc.の両社が運営するプラットフォームにアプリを提供することが現段階の当社の事業の重要な前提条件であります。これらプラットフォーム事業者の事業戦略の転換及び動向によっては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 為替レートについて
当社グループは、海外企業が提供するサービスを利用し、その利用料を米ドルにて支払っているため、為替レートの変動の影響を受けます。為替レートの変動によりコストが増加した場合には、市場環境を見極めながら適切に価格反映を行っていきますが、為替レートの変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループはベトナム及びインドに子会社を有しておりますが、当該子会社における為替レート変動による影響は軽微です。
(2)業績変動等に関する事項
① 経営成績の変動について
当社グループが取り組む事業領域は、市場規模が急速な進化・拡大を続けながらもまだ歴史が浅く、競合環境、価格動向、ビジネスモデルへの規制等には、不透明な部分が多くあります。このような環境下において、当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を図るため、当社グループのノウハウを活かした収益性の高い新規事業の創出に積極的に取り組んでまいりますが、事前に十分な検討をしたにもかかわらず、期待した成果があがらない場合や予想困難なリスクの発生により当初の事業計画を達成できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 四半期毎の業績の変動について
イベントの開催、金融機関向けサービスリリース等による一時的な売上の発生、新プランリリースやプラン変更等により、当社の売上高成長は、年間を通じて平準化されずに、四半期決算の業績が著しく変動する可能性があります。
なお、2022年11月期及び2023年11月期における売上高及び営業損益は次のとおりであります。
(2022年11月期)
(単位:千円)
|
第1四半期連結会計期間 (自 2021年12月1日 至 2022年2月28日) |
第2四半期連結会計期間 (自 2022年3月1日 至 2022年5月31日) |
第3四半期連結会計期間 (自 2022年6月1日 至 2022年8月31日) |
第4四半期連結会計期間 (自 2022年9月1日 至 2022年11月30日) |
連結会計年度 (自 2021年12月1日 至 2022年11月30日) |
Business ドメイン |
※1 2,844,132 |
3,009,830 |
3,198,029 |
3,652,433 |
12,704,425 |
Home ドメイン |
681,398 |
721,563 |
※2 841,114 |
901,597 |
3,145,673 |
Xドメイン |
377,417 |
387,294 |
395,264 |
502,795 |
1,662,772 |
Finance ドメイン |
256,115 |
309,318 |
300,659 |
302,180 |
1,168,273 |
SaaS Marketing ドメイン |
589,983 |
651,621 |
711,174 |
814,182 |
2,766,962 |
その他 ※3 |
6,738 |
5,608 |
8,824 |
7,915 |
29,085 |
売上高合計 |
4,755,785 |
5,085,238 |
5,455,066 |
6,181,104 |
21,477,195 |
営業利益又は 営業損失(△) |
△1,638,822 |
△2,157,253 |
△2,510,706 |
△2,162,513 |
△8,469,297 |
※1 子会社化したHiTTO株式会社の損益について2022年1月度より連結を開始しております。
2 子会社化した株式会社Next Solutionの損益について2022年6月度より連結を開始しております。
3 講演料及び寄稿料等の売上高であります。
(2023年11月期)
(単位:千円)
|
第1四半期連結会計期間 (自 2022年12月1日 至 2023年2月28日) |
第2四半期連結会計期間 (自 2023年3月1日 至 2023年5月31日) |
第3四半期連結会計期間 (自 2023年6月1日 至 2023年8月31日) |
第4四半期連結会計期間 (自 2023年9月1日 至 2023年11月30日) |
連結会計年度 (自 2022年12月1日 至 2023年11月30日) |
Business ドメイン |
4,139,462 |
4,412,534 |
4,629,473 |
5,530,692 |
18,712,163 |
Home ドメイン |
936,135 |
979,200 |
1,010,364 |
1,063,791 |
3,989,491 |
Xドメイン |
627,935 |
613,167 |
615,810 |
668,397 |
2,525,311 |
Finance ドメイン |
342,382 |
386,808 |
467,517 |
389,749 |
1,586,457 |
SaaS Marketing ドメイン ※1 |
738,871 |
893,395 |
764,071 |
1,135,300 |
3,531,639 |
その他 ※2 |
6,756 |
10,992 |
9,236 |
8,580 |
35,565 |
売上高合計 |
6,791,543 |
7,296,099 |
7,496,475 |
8,796,512 |
30,380,629 |
営業利益又は 営業損失(△) |
△1,625,171 |
△1,582,813 |
△1,356,637 |
△1,765,180 |
△6,329,802 |
※1 当期より、従来の「Businessドメイン(バックオフィスSaaS領域)」を「Businessドメイン」に、「Businessドメイン(SaaSマーケティング領域)」を「SaaS Marketingドメイン」に名称変更いたしました。この変更にあわせて2022年11月期の記載も変更しております。
2 講演料及び寄稿料等の売上高であります。
③ 業績の達成確度に関する不確実性について
(ア)プラットフォームサービス事業における先行投資について
当社グループが提供するプラットフォームサービス事業は、開発人員及び営業人員の採用、広告宣伝活動等の先行投資を必要とする事業であり、結果として当社は創業以来営業赤字を継続して計上しております。今後も「すべての人の、『お金のプラットフォーム』になる。」というVisionのもと、より多くの顧客の獲得をめざし、営業や開発等における優秀な人材の採用・育成を計画的に行うとともに、知名度と信頼度の向上のための広報・PR活動、ユーザー獲得のためのマーケティングコスト投下等を効果的に進め、売上高拡大及び収益性の向上に向けた取り組みを行っていく方針であります。しかしながら、想定通りの採用・育成が進まない場合、マーケティングPR等活動の効果が得られない場合等には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(イ)社歴が浅いことについて
当社は2012年5月に設立されており、社歴の浅い会社であります。したがって、当社グループの過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。
(ウ)広告宣伝活動により想定通りユーザー数が増加しない可能性について
当社グループの事業にとってユーザー数の増加は非常に重要な要素であり、Webマーケティングを中心とした広告宣伝活動を積極的に実施しユーザー数の増加を図っております。広告宣伝活動については、『マネーフォワード クラウド』を中心とした各サービスにおいて、ユーザー獲得効率を勘案の上、都度、最適な施策を実施しておりますが、必ずしも当社グループの想定通りに推移するとは限りません。これらの要因により、当社が提供しているサービスのユーザー獲得が計画通りに推移しない場合、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
(エ)Businessドメインの事業運営において業績に影響を与えうる要因について
当社グループの売上高の6割以上はBusinessドメインから創出されております。『マネーフォワード クラウド』は、当社グループ営業人員による士業事務所・事業会社等への直接販売を行っておりますが、営業人員一人あたりの成約金額又は営業人員の獲得が計画通りに推移しない可能性があります。また、インターネットを通じた販売においては、複数のプロダクトの利用(クロスセル)等により将来における1ユーザーあたりの単価について一定の上昇を見込んでおりますが、想定単価が計画通りに推移しない可能性があります。これらの要因により、Businessドメインの事業運営が計画通りに推移しない場合、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
(オ)Businessドメイン以外の事業運営において業績に影響を与えうる要因について
Businessドメイン以外の4つのドメインについては、収益性の改善を優先しておりますが、これらのドメインにおいても以下のように事業運営が計画通りに推移しないリスクがあり、その場合には当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
Homeドメインにおいては、プレミアム課金売上について、ユーザー数の増加が計画通りに推移しない場合、又はプレミアムサービスに係る課金率が想定通りに増加しない場合、結果としてプレミアム課金売上が計画通りに増加しない可能性があります。
Xドメインにおいては、地域金融機関経由でDXサービス『Mikatano』の提供を行っているため、地域金融機関の経営方針や営業状況に大きく影響を受け、結果として『Mikatano』の売上が計画通りに増加しない可能性があります。
Financeドメインにおいては、「(3)法的規制等に関する事項 ④子会社の請求代行・売掛金回収事業及び売掛債権の買取事業について」に記載の通り、与信リスクが存在します。同リスクの大半を保険会社に移転しているものの、市場環境の悪化による与信リスクの高まった場合や想定以上の保証履行が発生した場合には、売上が計画通りに増加しない可能性があります。
SaaS Marketingドメインにおいては、Webマーケティングを中心として一定の広告宣伝活動を行っているため、「(ウ)広告宣伝活動により想定通りユーザー数が増加しない可能性について」に記載の通り集客が想定通りに推移しなかった場合、顧客企業へのリードの提供ができず、売上が計画通りに増加しない可能性があります。
(カ)ユーザーの継続率について
当社グループの事業にとって、獲得したユーザーのサービスの利用継続率は非常に重要な要素であり、取り扱う情報やサービスの充実等の施策を通じて、継続率の維持、向上を図っております。何らかの施策の見誤りやトラブル等で継続ユーザーが減少した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 事業領域の拡大に伴うリスクについて
当社グループの収益は、『マネーフォワード クラウド』による売上の影響を大きく受けている状況であるため、当社グループは、多角的観点から新たな収益源を常に模索し、事業の拡大と安定化に取り組んでおります。今後も、事業領域を拡大し、現在の領域と異なる分野にも進出する可能性があり、新たに進出した分野において収益化が進まない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 投融資について
当社グループでは、今後の事業拡大のために、国内外を問わず出資、子会社設立、合弁事業の展開、アライアンス、M&A等の投融資を実施する場合があります。
投融資については、リスク及び回収可能性を十分に事前評価し決定してまいりますが、投融資先の事業の状況が当社グループに与える影響を確実に予想することは困難な場合もあり、投融資額を回収できなかった場合や減損の対象となる事業が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)法的規制等に関する事項
① 電子決済等代行業について
当社は、電子決済等代行業を営むため、銀行法等に基づく電子決済等代行業者として登録を受け(関東財務局長(電代)第3号)、銀行法等の適用を受けております。当社では、内部管理統制の構築・運用等により銀行法等の遵守を徹底しており、本書提出日現在において取消原因となるような事象は発生しておりません。しかしながら、仮に当社が銀行法等に違反して、監督上必要な措置(銀行法第52条の61の16)又は登録の取消し若しくは業務の停止(銀行法第52条の61の17)を命じる行政処分が発せられた場合、又は法解釈等の違いにより監督当局からの行政指導や行政処分を受けた場合には、『マネーフォワード クラウド』及び『マネーフォワード ME』等において、銀行等の預貯金取扱金融機関(以下「銀行等」という。)のアカウントアグリゲーションが困難になり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、銀行法等では、電子決済等代行業者に対して、銀行等との間で電子決済等代行業に関する契約締結義務(銀行法第52条の61の10)を定めており、当社は各銀行等と契約を締結しておりますが、当該銀行等との間で契約を維持できなくなった場合には、『マネーフォワード クラウド』及び『マネーフォワード ME』等において、銀行等のアカウントアグリゲーションが困難になり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
なお、電子決済等代行業登録の状況の概況は次のとおりであります。
取得年月 |
2018年10月1日 |
登録の名称 |
電子決済等代行業 |
所管官庁等 |
金融庁 |
登録の内容 |
銀行法に定める電子決済等代行業を営むこと 顧客の委託を受けて、銀行等の口座に係る送金指示を、銀行に対して伝達する業務 顧客の委託を受けて、銀行等の口座情報を取得し、顧客に提供を行う業務 |
有効期限 |
なし |
法令違反の要件及び 主な登録取消事由 |
・登録拒否事由に該当することとなったとき ・不正の手段により登録を受けたとき ・銀行法に基づく処分に違反したとき ・電子決済等代行業の業務に関し著しく不適当な行為をしたと認められるとき |
② 銀行法等の適用を受けない金融機関等のアカウントアグリゲーションについて
当社グループの『マネーフォワード クラウド』及び『マネーフォワード ME』は金融機関や事業会社(以下「金融機関等」という。)のインターネット上の口座と自動連携するアカウントアグリゲーション技術によって成り立っており、銀行法等の適用を受けない金融機関等については、顧客から直接金融機関等の口座情報等にアクセスする権利の付与を受ける形となっております。したがいまして、金融機関等が当社グループサービス経由での口座情報へのアクセスを拒絶した場合、情報の取得ができなくなる恐れがあります。
当社グループにおいては、一部の金融機関等と電子決済等代行業と同様に口座情報へのアクセスに関する契約を締結しております。また、金融機関等のシステムへの負荷を最小限とできるよう配慮したシステム設計を行っており、一部の金融機関等からは、当社グループの接続元IPアドレスを開示する等の特別なアクセスの許可を得ている他、金融機関等からの照会にも迅速に対応することで、金融機関等とは良好な関係を維持しておりますが、何らかの事象により金融機関等が当社グループサービス経由での口座情報へのアクセスを拒絶した場合、金融機関等の情報の取得ができなくなる結果、『マネーフォワード クラウド』及び『マネーフォワード ME』等の一部機能の提供が困難になり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 二月払購入あっせんについて
当社は、『マネーフォワード Pay for Business』サービスにおいて、「あと払い機能」を提供することにより、割賦販売法第35条の16第2項に定める二月払購入あっせんに係る事業を営んでおり、クレジットカード番号等の適切な管理に関する規制の適用を受けるほか、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が定める特定事業者に該当しております。当社は、『マネーフォワード Pay for Business』サービスを提供するに際し、同法に基づき所定の書類等をユーザーから徴求し、本人確認を実施するとともに本人確認書類及び取引記録を保存しています。また、当社においては、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止のための基本方針を定め、特定事業者としての業務の適切性及び健全性の確保に努めております。
しかしながら、当社の内部管理態勢が同法に適合していない事態が発生した場合や、今後新たな法的規制が設けられた場合、『マネーフォワード Pay for Business』サービスの一部機能の提供が困難になり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 子会社の請求代行・売掛金回収事業及び売掛債権の買取事業について
当社グループでは子会社のマネーフォワードケッサイ株式会社及び株式会社Biz Forwardで請求代行・売掛金回収事業(取引先への請求から代金回収までを一括で請け負い、売掛金の回収を保証する決済サービス)並びに売掛債権の買取事業(売掛金早期資金化サービス)を行っております。これらマネーフォワードケッサイ株式会社及び株式会社Biz Forwardのサービスを利用する債権売却事業者及びその取引先は比較的小規模で相対的に与信リスクの高い企業及び事業主が多く、与信管理が重要になります。債権売却事業者及びその取引先からの代金回収方法としては、当社グループのマネーフォワードホショウ株式会社の保証を受けることで回収の確実化を図っており、また保険によりリスクを保険会社に移転しております。当社グループ全体としては債権売却事業者及びその取引先に対する与信リスクを一部負担していることになります。当社グループでは、中小企業決済に関する与信管理のノウハウを十分持っていると認識しておりますが、想定以上の保証履行が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
また、当該事業は、「割賦販売法」上の包括信用購入あっせん、「貸金業法」上の貸金業及び「銀行法」上の為替取引のいずれにも該当せず、いわゆる業法上の法的規制の対象とはなっておりません。しかしながら、今後新たな法律の制定や現行法の解釈に変化があった場合には、これらの事業が法的規制の対象となる可能性があり、その場合、マネーフォワードケッサイ株式会社及び株式会社Biz Forwardにおける事業の継続に支障をきたし、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
⑤ 個人情報保護について
当社グループでは、金融機関等へのウェブサイトログイン情報等の個人情報を取得しているため、当社グループは「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者に該当しております(ただし、当社グループでは金融機関等にログインを行うためのパスワードの取得に留まっており、また、『マネーフォワード ME』では生年月日や住所、電話番号も取得しておりません。)。当社グループにおいては、個人情報保護方針を定め、個人情報の取得の際には利用目的を明示し、その範囲内でのみ利用するとともに、個人情報の管理につきましても、役員及び従業員を対象とした個人情報の取扱いに関する社内研修や、社内でのアクセス権限の設定、アクセスログの保存、データセンターでの適切な情報管理、個人情報管理に関する規程の整備を行っております。また、日本シーサート協議会に加盟し、さまざまなインシデント関連情報、脆弱性情報、攻撃予兆情報等を収集することで、個人情報を含む当社グループの情報資産の保護に取り組んでおります。
しかしながら、外部からの不正アクセス、社内管理体制の瑕疵、その他想定外の事態の発生により個人情報が社外に流出した場合、損害賠償請求を受ける可能性や当社グループの社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 訴訟等について
当社グループは、本書提出日現在において提起されている訴訟はありません。しかしながら、将来何らかの事由の発生により、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、このような事態が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
⑦ 知的財産権について
当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、損害賠償請求や使用差止請求等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)組織体制、内部管理体制等に関する事項
① 特定人物への依存について
当社の代表取締役社長CEOである辻庸介は、当社設立以来当社グループの事業に深く関与しており、また、Fintechに関する豊富な知識と経験を有しており、経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っております。当社グループは、特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の当社グループにおける業務執行が困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の獲得、育成について
当社グループが、今後とも企業規模を拡大していくためには、当社グループのMission、Vision、Valueに共感し、当社グループのCultureに適合する高い意欲を持った優秀な人材を確保することが必要不可欠であります。
当社グループは、規模拡大やサービス向上に必要な優秀な人材の確保のため、今後も必要に応じて採用活動を行っていく予定ではありますが、人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、優秀な人材が十分に獲得できなかった場合や人材流出が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、重点テーマ(マテリアリティ)として、<Talent Forward:社員の才能をもっと前へ。>を設定し、「メンバーの可能性を引き出す多様な成長機会の創出」「マネジメントによる、メンバー育成へのコミットメント」「性別・国籍・宗教・年齢・学歴等に関係なく、多様な視点を受容する環境づくり」に取り組んでおります。
③ 内部管理体制について
当社グループは今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。今後、事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針でありますが、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ システムの安定性について
当社グループの運営するサービスはシステムへの依存度の高いサービスとなっていることから、システムの安定的な稼動が当社グループの業務遂行上必要不可欠な事項となっております。そのため、当社グループでは継続的な設備投資を実施するだけではなく、サービスで使用するサーバー設備やネットワークを常時監視し、障害の兆候が見られた場合にはシステム担当の役職員に対し自動でメールが送信される等、システム障害の発生を未然に防ぐことに努めております。
しかしながら、アクセスの急増、ソフトウエアの不備、コンピューターウイルスや人的な破壊行為、役職員の過誤、自然災害等、当社グループの想定していない事象の発生によるサービスの停止により収益機会の喪失を招く恐れがあります。このような事態が発生した場合には当社グループが社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 不正アクセスについて
当社グループの主力事業であるプラットフォームサービス事業において個人情報を扱っていることから、データを不正に取得することを目的とした悪意の第三者によるシステムへの不正アクセス等を受ける可能性があります。当社グループでは、サービスを提供するシステムや社内情報システム等に対して、開発時のレビューやファイアウォールの設置、外部のセキュリティ診断会社から第三者評価を行う等により、外部からの不正アクセスの予防を図っております。また、入出金履歴等重要な個人データはすべて暗号化し、データの送受信もすべて暗号化する等適切なセキュリティ対策を実施したうえで監視体制を強化しております。これに加えて、外部からの攻撃はインターネットからだけではなく悪質なボットを通じた社内端末を経由した攻撃等複数の経路があることから、従業員端末のウイルス対策ソフトの導入や、個人情報を取り扱う保守作業を行う専用の環境をネットワーク的に隔離する等様々な対策を行うことにより、リスクを低減しております。
しかしながら、不正アクセスによるシステムへの侵入が発生し、ユーザーの個人情報や口座情報等の重要なデータが消去又は不正に入手される可能性は否定できません。このような事態が発生した場合には損害賠償請求を受ける可能性や社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは金融機関等にログインを行うためのパスワードの取得に留まっており、また、『マネーフォワード ME』では生年月日や住所、電話番号は取得しておりません。
(5)その他
① 税務上の繰越欠損金について
2023年11月期末時点で、当社に税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられておりませんが、今後当社の業績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合は、課税所得に対して通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課されることとなり、当社グループの業績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
② 固定資産の減損リスクについて
当社グループは、のれんやソフトウエア等の固定資産を有しておりますが、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」により、当社グループが保有する固定資産が、収益状況の悪化等の事由により、減損処理が必要となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 投資有価証券の減損リスクについて
当社グループは、業務提携及び投資育成を目的として、SaaS及びFintech領域や主にインターネットやテクノロジーに関する事業を展開するスタートアップ企業に対して投資を行っておりますが、投資先企業の事業の成長性や収益性が期待通り実現せず減損処理が必要となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 配当政策について
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、現在当社グループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することにより、更なる事業拡大を目指すことが株主に対する利益還元につながると考えております。
将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
⑤ 株式価値の希薄化について
当社グループでは、株主価値の最大化を図るための中長期的なインセンティブを与え、株主との一層の価値共有を目的として、役員、従業員等に対する新株予約権によるストック・オプション制度及び譲渡制限付株式報酬制度を採用しており、今後も当該制度を活用する可能性があります。
これらの新株予約権について行使が行われた場合や譲渡制限付株式報酬制度に基づき新株式が発行された場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、現時点では事業の効率化と事業拡大のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。
このことから創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。なお、内部留保資金につきましては、将来の成長に向けた運転資金として有効活用していく所存であります。
将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。