人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数338名(単体) 23,936名(連結)
-
平均年齢46.1歳(単体)
-
平均勤続年数16.4年(単体)
-
平均年収10,259,833円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2024年12月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(名) |
半導体・電子材料 |
8,143 |
モビリティ |
6,143 |
イノベーション材料 |
1,847 |
ケミカル |
3,633 |
報告セグメント計 |
19,766 |
その他 |
4,170 |
合計 |
23,936 |
(注)1 従業員数は就業人員であり、連結会社外への出向者を除き、連結会社外から受け入れた出向者を含みます。また、執行役員を含みません。
2 平均臨時雇用者数については、従業員数に対する比率が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
3 全社共通研究に係る従業員については、「その他」に含めて表示しております。
(2)提出会社の状況
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2024年12月31日現在 |
従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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338 |
(25) |
46.1 |
16.4 |
10,259,833 |
(注)1 従業員数は就業人員であり、社外への出向者を除き、社外から受け入れた出向者を含みます。また、執行役員を含みません。
2 臨時雇用者数(契約社員、嘱託社員を含む。)は、当事業年度の末人員を( )外数で記載しております。
3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4 提出会社の従業員は、すべて「その他」に所属しております。
(3)労働組合の状況
当社グループにおける主要な労働組合として、レゾナック労働組合(2024年12月31日現在組合員数8,605名)があります。事業会社の㈱レゾナックは、レゾナック労働組合と労働協約を締結し、健全かつ良好な労使関係を構築しております。その他グループ会社の労使関係も安定しており、特筆すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)(以下、「女性活躍推進法」といいます。)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)(以下、「育児・介護休業法」といいます。)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
②連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)2 |
男性労働者の育児休業取得率 (%) (注)2、3 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)2 |
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全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規雇用 労働者 |
|||
㈱レゾナック |
6.4 |
97 |
75.6 |
75.6 |
72.8 |
㈱レゾナック・オートモーティブプロダクツ |
4.9 |
70 |
64.6 |
82.8 |
51.2 |
㈱レゾナック・テクノサービス |
2.8 |
25 |
67.2 |
79.6 |
61.4 |
㈱レゾナック・グラファイト・ジャパン |
0.0 |
47 |
71.2 |
73.5 |
36.4 |
㈱レゾナック・ハードディスク |
0.0 |
100 |
- |
- |
- |
㈱レゾナック・セラミックス |
- |
83 |
78.0 |
80.0 |
76.0 |
㈱レゾナック・ガスプロダクツ |
4.1 |
- |
- |
- |
- |
㈱レゾナック・パッケージング |
0.0 |
- |
- |
- |
- |
サンアロマー㈱ (注)4 |
10.0 |
25 |
- |
- |
- |
Minaris Regenerative Medicine㈱ |
36.0 |
100 |
81.2 |
80.0 |
48.1 |
(注)1 女性活躍推進法及び育児・介護休業法に基づく情報公表を行っていない指標については「-」と記載しております。
2 女性活躍推進法の規定に基づき算出したものであります。
3 次の会社においては雇用管理区分ごとの実績を公表しております。
㈱レゾナック・テクノサービス:S職 0%、K職 33%
㈱レゾナック・セラミックス:S職/D職 100%、K職 75%
㈱レゾナック・ガスプロダクツ:経営職(P/L職) 33.3%、総合基幹職(K職) 50%
サンアロマー㈱:総合基幹職(D職・S職) 0%、総合基幹職(K職) 33.3%
4 2025年2月時点の実績を記載しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関わる開示
当社グループは、サステナビリティを経営の根幹に位置づけ、「サステナビリティビジョン2030」を設定するとともに、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定しております。マテリアリティに紐づく施策と目標を定め、取り組みを進め、長期ビジョン及び「化学の力で社会を変える」というパーパスの実現を通じて企業価値向上を目指します。
サステナビリティビジョン2030
社会課題解決による企業成長 技術や事業を通じて社会の課題を解決し、社会に価値提供をすることで、自らの持続的な成長と企業価値の向上を実現していく 世界で仲間をつくる会社 顧客、従業員、投資家およびステークホルダーなどの将来世代を含む持続可能なよりよい社会づくりのパートナーから、「選ばれ」かつパートナーに「選ぶ」ことができる共創型化学会社になる
|
① サステナビリティ全般に関するガバナンス
当社グループのサステナビリティは、CEOが統括、CSuOが推進責任を担っています。2022年からCEOを含むグループCXOが集まるサステナビリティ推進会議を月に一度、事業責任者(BU長)も加えた拡大サステナビリティ推進会議を四半期に一度開催し、幅広いアジェンダを議論しております。また、同会議の下に複数のプロジェクトを設置し、具体的な課題に対して機動的かつ組織横断的に対応する体制です。
2023年からは同会議での審議事項を組織運営に結び付け、従業員に浸透させるため、事業部門・CXO部門にサステナビリティパートナーを設定しております。サステナビリティパートナーを通じたコミュニケーションにより、各部門の現状や課題、関心を把握するとともに、各部門でのサステナビリティの取り組みを促進しています。また、サステナビリティパートナー同士の横のコミュニケーションの場を設けることで、対面する業界の違いを超えた顧客要求の変化や対応などについて情報交換や議論を活発に行っております。
サステナビリティ推進会議で議論した重要事項については都度、経営会議で審議・決定の上、取締役会に付議・報告しており、サステナビリティに関する方針や計画の妥当性・有効性など取締役会から適宜必要な指示・助言を受け、監督される体制です。
また、当社は、役員報酬のうちの短期業績連動項目へサステナビリティ評価項目を入れ、報酬に連動させています。マテリアリティに紐づく非財務KPIの達成に向けた道筋の議論の下、それぞれの管掌領域に必要な役員ごとに異なる評価項目を設定して評価しています。同時に、安全や後継者育成といった共通項目も設定し、目標管理制度(MBO)を通じて、従業員の評価とも連携する仕組みとなっています。
サステナビリティ推進体制(2025年3月26日現在)
② サステナビリティ全般に関する戦略
当社グループのマテリアリティは、社会からの期待と当社にとっての重要度の両面から検討したパーパス実現と長期ビジョン達成に向けた経営課題です。2022年に各担当CXO領域(機能)との個別の議論とサステナビリティ推進会議における全経営陣の議論により、マテリアリティと全社レベルの非財務KPIを特定し、取締役会に報告しました。実際の運用や社外のステークホルダーとの議論を通じて、KPIの妥当性についてサステナビリティ推進会議で議論し、モニタリングや見直しをしております。
現状の非財務KPIは2025年を目標年としているため、2025年中に次期KPIを設定し、2026年に公表を予定しています。
③ サステナビリティ全般に関するリスク管理
サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に紐づく機会とリスクについては、サステナビリティ推進会議で議論し、当社の経営環境を踏まえて、施策や非財務KPIに反映しております。検討した機会とリスク、生み出そうとしている価値の一覧は、下図のとおりです。
なお、サステナビリティの各テーマを含む、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があるリスク情報は、全社的に展開するリスク棚卸を通じて、リスクマネジメントシステムに一元的に登録されます。重要度や優先度の非常に高いリスク(重要リスク)については、専門委員会(リスクマネジメント委員会)で審議します。重要事項は経営会議で審議・決定の上、取締役会に報告されます。詳細は「3 事業等のリスク」をご参照ください。
④ サステナビリティ全般に関する指標と目標
3つのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を16の構成要素に分解し、各々の施策と重要項目(非財務KPI)、2025年目標を定めて、取り組みを進めております。非財務KPIの半期ごとの進捗や課題をサステナビリティ推進会議において審議、確認することで、マテリアリティへの取り組みを着実に推進するとともに、適宜見直しております。
サステナビリティの取り組みのうち、社会にとって喫緊の課題であり、かつ機能性化学企業として重要度の高い気候変動と生物多様性、そして共創型人材を当社の価値の源泉として位置づけ、注力している人的資本の取り組みを重要事項とし、「(2)TCFD及びTNFD提言に沿った情報開示」及び「(3)人的資本に関する情報開示」に記載しております。
マテリアリティ |
構成要素 |
重要項目 (非財務KPI) |
2025年目標 |
2024年実績 |
イノベーションと事業を通じた共創力&競争力の向上と社会価値の創造 |
事業を通じた社会価値の創出 |
Resonac Pride製品・サービス*1 |
各事業部における主要製品のオープンプロセスによる認定 |
・社内外の審査会を通じ、川崎事業所でのプラスチック原料化事業及び、半導体実装材料・プロセスのオープンイノベーションを促進するパッケージングソリューションセンターの取り組みをResonac Pride製品・サービスとして認定 ・役員報酬の業績評価指標(KPI)に設定 |
CFP*2への取り組み |
主要製品のCFP算出 |
・国内:対象製品のうち約50%算出完了 |
||
マーケティング |
課題解決型マーケティングの浸透による大型案件創出 |
新規テーマ創出プロジェクトを事業領域ごとに始動 |
・新規開拓チームを発足し、大型テーマの重点開拓領域を特定。テーマ創出活動に向けて、プロジェクトの在り方を検討開始 |
|
デジタルプラットフォームの活用 |
デジタルマーケティングを活用した海外・地域情報発信強化 |
・事業部との連携によるデジタルマーケティングの自動化が定着し、新規重要案件創出に貢献 |
||
CRM*3ツール上の顧客データと案件情報を活用した営業の効率化と事業拡大への貢献 |
・CRMツールの利活用事業部数が増加。CRMツール上のデータを活用し、営業生産性向上の効果発揮 |
|||
オープンイノベーション・R&D・知的財産戦略 |
社内外との共創 |
オープンイノベーションや社外協業テーマ割合向上/論文・社外発表件数の対前年増加 |
・オープンイノベーション・社外協業:56件(2023年:59件) ・論文・社外発表:196件(2023年:192件) |
|
R&D戦略と知財戦略の強化 |
CFP算出割合向上及びMC(市場的価値)・TR(技術的価値)など知財指標の向上 |
・CFP算出割合 32%(2023年:31%) ・知財指標 MC:0.76、TR:1.09(2023年 MC:0.75、TR:1.02) |
||
人材育成 |
リーダーとプロフェッショナルの適正比率での配置/共創の場の完成 |
・FFS(Five Factors & Stress)理論を活用した人材育成、配置について検討開始 ・CTO組織内のリーダー交流会や各種ワーキンググループを通じた共創の風土醸成 |
||
デジタル変革 |
データドリブン経営 |
・財務KPI第一階層を自動収集できるレベルのマスターデータの整備完了 ・温室効果ガス(GHG)可視化・データの取得プロセス構築完了 |
・主要マスタを中心に全社統一管理に向けたマスタ構成を定義。一部マスタについては管理ツールの試作が完成 ・温室効果ガス(GHG)可視化・削減を目的とした全社統一管理システムを導入。Scope3可視化・削減、製品別LCA算定に向けたプロセス設計を開始 |
|
DX推進とプロフェッショナルの育成 |
・IT/DXビジネスパートナーの活動知見の横展開と事業部側でのBPRプロジェクト推進活動の自走化開始 ・CDO組織人材のスキル・コンピテンシーを活用した人材配置最適化の実現 |
・全社のIT/DX課題の半数が業務プロセスに起因することが判明したため、ビジネスプロセス改善手法を活用したBPRプロジェクトを推進 ・可視化したスキルアセスメントを活用した教育施策を実施するとともに組織の人材課題を明確化 |
||
IT/デジタルリテラシー向上 |
業務におけるIT/デジタルツールの活用定着 |
・デジタルマインド醸成の全社教育を実施し、従業員のIT/デジタルリテラシーの向上に寄与 |
マテリアリティ |
構成要素 |
重要項目 (非財務KPI) |
2025年目標 |
2024年実績 |
責任ある事業運営による信頼の醸成 |
安全 |
・安全文化の醸成 ・重大労働災害*4発生件数 ・休業災害度数率 ・重大設備事故*5発生件数 |
・事故災害ゼロに向けた安全文化の確立 ・重大労働災害0件(連結・協力企業含む) ・休業災害度数率0.1以下(国内連結・従業員) ・重大設備事故0件(連結) |
・トップの安全メッセージの配信 ・従業員による「私の安全宣言」安全意識向上と上司との対話の機会創設 ・対話型安全巡視(SCP*6)の拡充 ・重大労働災害1件(連結・協力企業含む) ・休業災害度数率0.64(国内連結・従業員) ・重大設備事故0件(連結) |
品質保証 |
・重大製品事故*7件数 ・重大品質コンプライアンス違反件数 |
・重大製品事故0件(連結) ・重大品質コンプライアンス違反0件(連結) |
・重大製品事故0件(連結) ・重大品質コンプライアンス違反0件(連結) |
|
化学品管理 |
プロダクトスチュワードシップ推進 |
優先評価対象物質のリスク評価*実施率100%(国内連結) *当社が選定した物質を対象として安全性要約書を発行することにより評価 |
・優先評価対象のリスク評価・安全性要約書の作成100%完了。改訂は49件実施 ・その他、2024年度日本化学工業協会JIPS*8大賞受賞(4年連続) |
|
環境 |
・温室効果ガス排出量の削減 ・産業廃棄物埋立量の削減 ・重大環境事故*9発生件数 |
・温室効果ガス(GHG)排出量 2013年比30%削減(Scope1+2)(連結) ・廃棄物埋立量を2024年比で削減(連結) ・重大環境事故0件(連結) |
・Scope1+2:2023年実績:2013年比8.8%削減(連結) ・産業廃棄物埋立量:2023年実績:発生量の0.1%(国内連結) ・重大環境事故0件(連結) |
|
人権 |
人権尊重 |
人権デューデリジェンス運用体制の確立 |
・人権研修をグローバルで実施 ・高リスク地域・事業を中心にサプライヤー向けデューデリジェンスを開始(欧州電池規制対応を含む) |
|
調達 |
サプライヤーとのコミュニケーションの質の向上 |
・CSRアンケートの回答率 90%以上を維持 ・基準点以上のサプライヤーの比率向上85%以上(2028年目標 90%以上) |
・CSRアンケート回収率 93%(2023年:91%) ・基準点以上のサプライヤー比率 91%(2023年:89%) |
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コンプライアンス |
・「私たちの行動規範」の浸透 ・グローバル・コンプライアンス・スタンダードの徹底 ・内部通報の件数増加 |
・「私たちの行動規範」の浸透度向上 ・海外グループ会社への規程導入100%*10 ・内部通報制度の周知による通報件数の増加 |
・E-ラーニングを通じた全従業員への行動規範の浸透 ・海外グループ会社への規程導入60% ・制度周知による内部通報件数増加(2022年81件→2023年97件→2024年101件) |
|
リスクマネジメント |
・統合リスクマネジメント体制の運営 ・セカンドディフェンスラインの機能強化 |
・新統合リスクマネジメント体制の構築 ・グループ内部統制基盤の拡充 ・海外展開着手とリスクデータの一元化 |
・現場からのボトムアップ型リスクに加え、シナリオベースのトップダウンリスクを洗い出し、さらに生成AIを用いた詳細分析を経て重要リスクを特定。経営層による審議によりリスクのランク付けを実施 ・重要リスク(S、Aランクリスク)の旗振り役実務担当者と協議を重ね、リスクシナリオを設定しCXO組織共通ダッシュボードを作成し、事業影響範囲と対応策を具体化 ・2023年に導入した「リスク統制実施評価機能」のサイクルの確実な回転を実施 ※詳細は「3 事業等のリスク」をご参照ください。 |
|
自律的で創造的な人材の活躍と文化の醸成 |
「(3)人的資本に関する情報開示 ②人的資本に関する指標及び目標」をご参照ください。 |
*1 Resonac Pride製品・サービスの認定
当社は、バリューチェーンの川上から川下まで幅広い領域で、当社の製品・サービスが顧客や社会にどのような価値を、どのくらい提供することができたかを可視化することを重要と考え、Resonac Pride製品・サービスとして認定しております。認定に当たっては、パーパスに基づき社会を変えることで顧客や社会に提供した価値や、当社が大切にする4つのバリューの発揮の妥当性、製品環境アセスメント・レピュテーションなどのリスク評価、売上計画やシェアなどの将来性・インパクト、世界共通のゴール(SDGs)との関連性などの観点で第三者の視点を入れ評価しております。
*2 CFP(Carbon Footprint of Products):製品ライフサイクル全体又は対象領域において排出されるGHG排出量を、CO2に換算して算出したもの
*3 CRM(Customer Relationship Management):顧客関係管理
*4 障害認定の対象(労働基準法障害等級1~7級)となる場合、又は死亡を重大労働災害と定義する
*5 火災、漏えい、設備損傷等のうち、以下を伴うものを重大設備事故と定義する
①事業所内で休業災害以上が発生
②事業所外で緊急搬送、避難勧告、環境汚染等が発生し、社会的影響が大きい
*6 SCP(Safety Communication Program):管理監督者が行う指摘を目的としない安全巡視活動。管理者自らが、現場の状況観察や現場の方との会話を通じてリスクを認識し、問題解決の責任をもつことを求めております。
*7 定義は当社事故基準による
*8 JIPS(Japan Initiative of Product Stewardship):日本化学工業協会により、化学品管理の自主的かつ自律的な取り組みの一環である安全性要約書の公開において顕著な活動を行った会員企業に授与される賞
*9 定義は当社事故基準による
*10 KPIを見直し
(2)TCFD*及びTNFD提言に沿った情報開示
(TCFD及びTNFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示)
当社グループは、長期ビジョンの主要戦略を実行するため、気候変動対策を含むサステナビリティ重要課題を特定し、社内浸透を進めることを明確に定めております。2019年には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同し、2024年には自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に賛同しました。株主・投資家などのステークホルダーと当社の気候変動取組みについてのエンゲージメントを強化するため、TCFD及びTNFDが推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスクと影響の管理」「指標と目標」の4つの項目に基づいて、当社グループの気候関連及び生物多様性への取り組みを開示します。
* 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は2023年10月に解散し、その機能はIFRS財団に引き継がれております。
① 環境に関するガバナンス
(取締役会の役割・監視体制)
当社グループは、気候変動をはじめとする環境に関するリスクや事業機会、目標や具体的な取り組み施策については、CEOが統括、CSuOが推進責任を担い、サステナビリティ推進会議や経営会議で協議・決定するとともに、進捗管理・モニタリングを定期的に実施し、必要に応じて対応策・是正策を検討します。
取締役会は、サステナビリティ推進会議や経営会議で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、企業価値の最大化の観点から議論・監督を行っております。また、長期視点での経営を強く促し、当社グループの持続的な成長を促すため、2022年から長期ビジョンにおける取り組み・気候変動を含むサステナビリティ課題への対応などについて、社内取締役と執行役員の業績評価指標に含めています。また、2024年3月に取締役会の気候変動対応や生物多様性保全に関する役割を明確にするため、コーポレートガバナンス基本方針を改定しております。
なお、カーボンニュートラルへの対応については、全てのCXOと事業部門が参画する全社横断型のカーボンニュートラルプロジェクトにおいて、取り組みを進めています。
② 気候変動に関する戦略
(短期・中期・長期の気候関連リスク・機会及び対応)
当社グループは、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、気候変動を「事業機会」と「リスク」の両面で捉え、企業としての社会的責任の実践とさらなる競争優位性の構築を図り、「脱炭素に向けた製品・サービスの提供」「パートナーとの共創」「エネルギー効率の改善」「再生可能エネルギーの使用拡大」などによりバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に取り組んでまいります。そのような中で、気候変動が当社グループの事業に及ぼす影響(事業機会・リスク)について、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」の二つのシナリオでリスクと機会を分析し、当社の対応の必要性を改めて確認しております。事業における影響評価については、2023年は半導体・電子材料セグメントで実施し、2024年はモビリティセグメント、イノベーション材料セグメントなどで順次実施しており、2025年には全事業において完了する予定です。影響評価が終わったセグメントから開示しています。
(気候関連のリスク・機会と主な対応)
・想定期間:2030年度まで
・採用シナリオ:・4℃シナリオ:IPCC/RCP8.5, IEA/STEPS
・1.5/2℃シナリオ:IPCC/RCP2.6, IEA/SDS(一部IEA/NZE)
・時間軸の定義:短期:3年未満、中期:3年~10年未満、長期:10年~30年
・シナリオ分析対象:既存事業
③ 生物多様性に関する戦略
(短期・中期・長期の自然関連リスク・機会及び対応)
当社グループは、ネイチャーポジティブの実現に向けて、事業を通じた気候変動への対応や循環経済の実現を進めながら、自然への依存・影響を鑑み、影響低減、管理・保全活動に取り組んでまいります。その中で、直接操業とバリューチェーンにおける、自然への依存・影響及び自然関連のリスクと機会を、TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿って分析し、当社の対応の必要性を改めて確認しております。2024年は、当社グループの主要事業及び主要サプライヤーについての評価を開始しました。
優先地域の評価(Locate)
Locateフェーズでは、当社グループの製造拠点及び主要サプライヤー拠点の位置情報を把握して、その周辺にある自然の状態などを評価しました。国内外にある計59の製造拠点と計40の主要サプライヤー拠点を評価対象としました。評価作業は、拠点周辺のバイオームを特定した後に、TNFDが定義している5つの基準(保全重要度、生態系の完全性、生態系の完全性の急激な劣化、物理的な水リスク、生態系サービスの重要度)に沿って、外部ツールなどで得られるデータを用いて、拠点ごとに実施しました。
評価結果の傾向を見ると、当社グループの製造拠点の中で保全重要度や生態系の完全性が高い拠点がいくつか見られ、今後優先して対応を進める必要があることを認識しました。
依存と影響の評価(Evaluate)
Evaluateフェーズでは、当社グループの主要事業における重要な自然への依存と影響を特定し、その大きさを評価しました。TNFDが推奨するツールであるENCOREや社内情報などを参考に評価を実施し、ヒートマップで結果を整理しました。直接操業では、製造工程に伴う大気汚染やGHG排出、汚染物資の排出、騒音、光害などの攪乱に関する影響が大きいことが分かりました。また、水資源の供給や水質浄化などの水に関する依存が大きいことが分かりました。
リスクと機会の評価(Assess)
Assessフェーズでは、LocateフェーズとEvaluateフェーズの評価結果を踏まえて、当社事業における自然関連のリスク・機会を特定して整理しました。
機会・リスクの種類 |
分類 |
顕在 時期 |
当社への 影響 |
領域 |
対応策 |
気候 影響度*1 |
自然 影響 *1 |
|
1.5/2℃ |
4℃ |
|||||||
移行機会・リスク |
リスク |
中期 |
カーボンプライシング(ICP)導入による、税負担(コスト)の増加 |
全ての 事業 |
・2030年GHG排出量削減目標の見直しとロードマップ策定 ・事業ごとの目標設定/削減取り組みの実施 ・再生可能エネルギーの導入拡大 ・原燃料転換 ・GXリーグへの参画 |
大 |
大 |
- |
リスク |
短期~ 中期 |
GHG排出規制強化による再生可能エネルギーへの切り替え・調達コスト増加 |
・太陽光発電の導入や水力発電設備等の活用 |
中 |
- |
- |
||
機会・ リスク |
短期~ 中期 |
政府による企業の脱炭素取り組みに対する政策上の支援 |
・次世代グリーンパワー半導体用8インチSiCウェハー開発計画(NEDOグリーンイノベーション基金事業採択) ・革新的分離剤による低濃度CO2分離システムの開発計画(NEDOグリーンイノベーション基金事業採択) ・半導体材料グローバルサプライチェーンを強化(経済産業省海外市場調査等事業費補助金(インド太平洋地域サプライチェーン強靱化事業)採択) |
○ |
○ |
- |
||
機会・ リスク |
短期~ 中期 |
気候変動に関する消費者の行動・意識変化に伴う、売上の増加・減少 |
・低炭素社会のニーズに対する製品拡販、新製品開発、競争力強化 ・共創の舞台での長期研究開発促進 |
○ |
○ |
- |
||
機会・ リスク |
中期 |
プラスチック汚染・資源循環に関する消費者の行動・意識変化に伴う、売上の増加・減少 |
・自社の製造過程の廃棄物の削減及び循環利用による廃棄コストの削減 ・リサイクル原料やバイオ原料の利用、技術開発 ・リサイクルの容易性向上や製品寿命の延長 ・海洋プラスチックゴミの再利用などの地域と連携した資源循環の取り組み |
- |
- |
○ |
||
リスク |
中期 |
保全上重要な地域における取水や水質・大気汚染などの自然への影響の低減に向けた規制強化への対応コスト増加、レピュテーションの低下 |
・化学物質管理の徹底 ・水質環境負荷低減に向けた取り組み ・水の効率的な利用や使用量の削減 |
- |
- |
○ |
||
リスク |
短期~ 中期 |
お客様からの低炭素化に対する取り組みと開示要求の増加 |
・CFP算定体制を整備し、炭素排出量の見える化、削減計画策定 |
○ |
○ |
- |
||
リスク |
中期 |
原材料の持続可能性対応、トレーサビリティ把握などに伴うコスト増加 |
・持続可能な方法で生産された原材料の調達 |
- |
- |
○ |
||
機会・ リスク |
短期~ 中期 |
社会や顧客からの環境課題解決ニーズの獲得状況に伴う投資家からの評価の変化 |
・社会や顧客の課題解決に貢献するための当社製品/サービス(Resonac Pride製品・サービス)の付加価値向上 積極的な気候変動/循環型社会に向けた対応を進めることによる投資の呼び込みなど |
○ |
○ |
- |
||
機会 |
中期 |
生物多様性保全に資する製品の展開による需要獲得 |
・バイオスティミュラント資材の販売など、自然への影響低減や自然の保全・復元・再生に寄与する製品の販売 |
- |
- |
○ |
||
機会・ リスク |
中期 |
取水・排水域を中心とした生物多様性保全活動による水資源の調達におけるレジリエンス強化、レピュテーションの向上 |
・拠点内及び拠点周辺における生物調査、希少生物の保護や地域の生物多様性保全 ・工業用水として利用する霞ヶ浦流域の環境再生事業の継続と推進(自然共生サイト認定エリアの維持・拡大) |
- |
- |
○ |
機会・リスクの種類 |
分類 |
顕在 時期 |
当社への 影響 |
領域 |
対応策 |
気候 影響度*1 |
自然 影響 *1 |
|
1.5/2℃ |
4℃ |
|||||||
移行機会・リスク |
リスク |
短期~ 中期 |
原材料の高騰化、素材の切り替えによる調達コスト増加 |
半導体・電子材料 |
・生産性改善による原材料消費量の削減 |
小 |
小 |
- |
モビリティ |
・資源循環に貢献する材料、部材の開発促進 |
中 |
小 |
- |
||||
全ての 事業 |
・原材料の調達先・リソースの多様化 ・リサイクル原料の活用検討 ・供給不安原料の内製化・地産地消型生産シフト ・サプライチェーン(サプライヤー/顧客)とのGHG削減に向けた協働 ・主要原材料の価格変動に対するフォーミュラ制(原料価格変動分を製品価格に自動反映)の適用 |
○ |
○ |
- |
||||
リスク |
短期~中期 |
顧客の行動・意識変化に伴う、売上減少 |
半導体・電子材料 |
・半導体気候コンソーシアム(SCC)各ワーキンググループへの参加 |
中~大 |
- |
- |
|
モビリティ |
・環境配慮型製品の拡充 |
小~中 |
- |
- |
||||
全ての 事業 |
・製造工程におけるGHG排出量削減及び顧客への情報開示 ・製品・技術の活用を通じて、社会でどの程度の量のGHGが削減されたかを定量的かつ科学的に算定 (GHG削減貢献量・CFP算定) ・環境配慮型製造工程の検討 |
○ |
○ |
- |
||||
機会 |
短期~ 中期 |
EV/自動運転の需要増に伴う売上増加 |
半導体・電子材料 |
・SiCパワー半導体需要増大への対応 ・部品の小型化・軽量化に貢献する材料開発 |
大 |
大 |
- |
|
モビリティ |
・軽量化に貢献する材料、部材の開発・拡販 ・EV拡大地域への拠点拡充、オンサイト開発、現地生産 ・パワーモジュールインテグレーションセンターにおける顧客共創 ・リサイクルアルミ技術に関する顧客共創の推進 |
中 |
中 |
- |
||||
機会 |
短期~ 中期 |
顧客のScope3排出量削減に寄与する低消費電力半導体、環境配慮型製品の需要増による売上増加 |
半導体・電子材料 |
・環境適合製品設計アセスメント ・SiCパワー半導体需要増大への対応 ・お客様製品の部品の小型化・軽量化に貢献する材料開発 ・次世代グリーンパワー半導体用8インチ化SiCウェハー開発 ・低GWP値の半導体用エッチングガス開発 ・GHG削減プロセスに貢献できる封止材の開発 ・メモリ用途接着フィルムの薄膜化への対応 ・米国シリコンバレーにパッケージングソリューションセンター設置 ・半導体気候コンソーシアム(SCC)各ワーキンググループへの参加 ・先端半導体コンソーシアム「TIE(Texas Institute for Electronics)」参画 |
大 |
中 |
- |
|
機会 |
短期~ 中期 |
テレワーク化・自動化・データ化普及による、サーバー関連設備・データセンターの脱炭素化に伴う売上増加 |
大 |
小 |
- |
機会・リスクの種類 |
分類 |
顕在 時期 |
当社への 影響 |
領域 |
対応策 |
気候 影響度*1 |
自然 影響 *1 |
|
1.5/2℃ |
4℃ |
|||||||
物理リスク |
リスク |
短期 |
気候変動・生態系の劣化起因の自然災害による製造拠点の操業停止、設備の修復費用の増加、原材料の調達不安定化による収益減少 |
全ての 事業 |
・各拠点及び主要サプライヤーの洪水リスク分析の実施 ・定期的なリスクの抽出/低減活動、BCP(事業継続計画)の強化 |
小*2 |
小*2 |
○ |
リスク |
短期 |
気候変動や生態系の劣化に起因する、水不足による操業停止、対策費用の増加による収益減少 |
・水の効率的な利用や使用量の削減 ・地元のステークホルダーとの水の利用、節水について積極的に対話 |
- |
- |
○ |
*1 気候変動及び生物多様性に関する機会とリスクの財務的影響については算定を順次進めているため、段階的に開示してまいります。このため同じリスク・機会でも前年度開示した影響度と異なる場合があります。
大:気候変動に対する規制・政策等により今後も当社への影響が見込まれ、その結果、当社の営業利益(単年度)への影響が100億円以上と試算されます
中:気候変動に対する動きが既にあり、今後も当社への影響が見込まれ、その結果、当社の営業利益(単年度)への影響が30億円以上100億円未満と試算されます
小:気候変動に対する動きがあり、その結果、当社の営業利益(単年度)への影響が30億円未満と試算されます
〇:気候変動及び生物多様性への影響があると評価しています
―:気候変動及び生物多様性への影響がないと評価しています
*2 物理リスクについて本年は国内・海外グループ会社21拠点の分析をハザードマップ・AQUEDUCTを活用して追加(合計57拠点)で実施しました。100年に一度の災害が発生した場合には昨年の分析結果と合わせて20拠点がリスクに曝される事になりましたが、再現期間を加味した年間影響額は1.5/2℃・4℃どちらのシナリオでも小さいことから影響度は「小」としております。また、主要サプライヤーの40拠点の分析を行い、事業への影響は小さい事を確認しました。
④ 気候変動及び生物多様性に関するリスクと影響の管理
(リスクを評価・識別・管理するプロセス)
当社グループは、各事業の気候変動や生物多様性のリスク評価を順次実施し、気候変動影響による「移行リスク」「物理リスク」、自然関連の依存・影響・リスク評価を実施し、当社グループにとって重要なリスクを特定して対応策を立案しております。リスクの特定、対応策の立案にあたっての重要事項は取締役会へ報告しております。今後もリスク評価を継続し、リスク・対応策を更新していくとともに対応策の進捗状況のモニタリングを実施してまいります。
(全社リスクマネジメントへの統合状況)
リスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、グループ共通のフレームワークで統合リスクマネジメントの取り組みを行っております。気候変動・生物多様性関連のリスクを含め当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があるリスク情報は、全社的に展開するリスク棚卸を通じて、リスクマネジメントシステムに一元的に登録されます。重要度や優先度の非常に高いリスク(重要リスク)については、専門委員会(リスクマネジメント委員会)で審議します。重要事項は経営会議で審議・決定の上、取締役会に報告されます。
リスクマネジメントの流れ(2025年3月26日現在)
⑤ 気候変動における指標と目標
(GHG排出量目標及び実績)
長期ビジョンで掲げる「持続可能なグローバル社会に貢献する会社」を目指して、「2050年カーボンニュートラル」にチャレンジしております。また、そのマイルストーンとして「Scope1・2:2030年GHG排出量30%削減(2013年比)」を目標としております。2023年は、Resonac Graphite Austria GmbHにて使用電力量の100%を風力発電由来の電力に変更したほか、レゾナックグループ全体で115千MWhの再生可能エネルギー由来の電力を購入しました。GHG排出量については、太陽光発電など非化石エネルギーへの転換などにより、2013年比で8.8%削減しました。今後は、目標達成に向けた取り組みの加速、情報開示をさらに進めてまいります。Scope3についても、算定が完了したカテゴリーから順次当社ウェブサイトで開示しております。今後も算定の精度向上を図るとともに削減に取り組んでまいります。
(GHG排出量削減ロードマップ)
「2050年カーボンニュートラル」に向けて、2030年までは徹底した合理化、高効率化、省エネルギー、ガス燃料への転換(高効率コージェネレーションシステム)、自社の水力発電や再生可能エネルギーを活用した製品製造などを進めます。2030年以降は2050年に向けて、アンモニア・水素への燃料転換・混焼なども積極的に推進してまいります。目標達成に向けては各事業部での目標設定・削減施策立案・実行を進めるほか、カーボンニュートラルプロジェクト主導のもと、全社横断施策も実行し、科学的根拠に基づく削減目標の設定も進めてまいります。また、自社の事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目標に、新たに使用電力の再エネ化のロードマップも作成しました。加えて、CO2分離・回収技術と回収CO2の化学品原料としての利用により、カーボンニュートラルを達成してまいります。
カーボンニュートラルへの道筋
⑥ 生物多様性における指標と目標
当社グループは、環境パフォーマンスをモニタリングし、目標を設定しております。現時点で開示できていないTNFDが推奨するグローバル中核開示指標については、今後も検討を進めます。
自然関連のモニタリング指標と目標
TNFDグローバル中核開示指標 |
モニタリング内容 |
目標設定状況 |
排水排出 |
排水量、水質汚染物質の排出量をモニタリングして開示 |
COD、BOD、窒素、リンを対前年度で削減することを目標に掲げる |
廃棄物の発生と処理 |
産業廃棄物の埋立量をモニタリングして開示 |
2025年目標として廃棄物埋立量を2024年比で削減を掲げる |
プラスチック汚染 |
廃プラスチック発生量、プラスチック再資源化量をモニタリングして開示 |
- |
GHG以外の大気汚染物質 |
大気環境負荷物質排出量をモニタリングして開示 |
- |
水不足の地域からの取水量と消費量 |
取水量をモニタリングして開示。また、各拠点の水リスク分析も実施 |
エレクトロニクス事業本部生産センターにおいて、原単位年1%改善を目標に掲げる |
自然への影響に伴う罰金・起訴の金額 |
環境汚染に関する法令違反件数をモニタリングして開示 |
人の健康や環境に悪影響を与える重大な環境事故の発生ゼロを目標に掲げる |
(3)人的資本に関する情報開示
① 人的資本に関する戦略
当社の企業価値向上のためには、事業戦略(ポートフォリオ戦略)と人材戦略を合致させることが必要不可欠です。パーパス・バリューの実践によるレゾナックならではの共創文化を醸成し、共創型人材*を創出することで、事業のさらなる成長を実現します。
当社のマテリアリティ「自律的・創造的な人材の活躍と文化醸成」及び事業戦略に連動している4つの人材マテリアリティを核に、長期では共創型人材を生む組織づくり、短中期では共創型人材が機能性化学メーカーとして事業成長を実現するための施策を進めてまいります。
*共創型人材:社会課題の解決に向け、社内外の人々と自律的につながり、共創を通じて創造的に変革と課題を解決できる人材
当社はグローバル全体における最適な人材マネジメントを行うための各人事施策の実行を加速させております。特に2022年から2023年にかけては人事制度の統合やタレントマネジメントの仕組みの構築、人事システムの導入などの主要な人事施策の変革を実施しました。経営統合に合わせ極めて短期間で一気に全体を刷新し、すでに運用を開始しております。経営コア人材の育成やタレントレビュー、後継者計画などの施策については、グローバル標準の人材マネジメントシステムを導入し、人材のデジタル基盤を確立するとともに、施策に合わせてデータを活用できる仕組みを構築しております。2023年までは主に国内を中心に実施してきたこれら各施策について、2024年からはグループグローバル全体での展開を進めております。
共創型人材を育成するリーダーを育てるために、「共創型リーダーシップトレーニング」を2022年10月より実施しております。部下を持つマネージャーや、OJT等で後進の育成にあたる非管理職の社員も多数受講しております。共創型リーダーシップトレーニングはレゾナック設立前に行われたエンゲージメントサーベイの結果を受け、ピープルマネジメントの基本的な知識・スキルの再学習・実践確認のために実施しており、MBOの理解や、効果的なOJTのポイント、適切なフィードバック・コーチングについて学習する内容です。研修内に豊富に設けられたグループワーク、ロールプレイにより、理解だけでなく、実践状況を参加者が振り返ることができる内容です。2024年から海外展開を推進しており、2024年上半期に欧州、中国、米国、東南アジアでの社内講師育成トレーニングも実施しております。
今後もレゾナックグループの人材開発の土台となる施策として継続的に展開してまいります。
また、次世代を担うリーダーを育成するため、経営陣が全社最適視点で組織課題や後継者候補・次世代リーダー候補人材についてオープンに話し合う場として「全社タレントレビュー」の会議体を発足しております。各部門で作成した後継者計画の内容や人材育成方針について議論するとともに、グループ全体として管理するタレントプール(次世代リーダー候補者の母集団)の構築に取り組んでおります。2023年には国内単体の全リーダーポジションを対象に、CEOをオーナーとするボトムアップでのタレントレビューを実施しており、今後はグローバルに対象を拡大し、海外のハイポテンシャル人材の可視化や国を超えたアサイメントの適用の検討を開始します。また、タレントレビューについては、実施状況を指名諮問委員会に対し定期的に報告し、プロセスの妥当性を確認しております。
レゾナックは従業員の声をタイムリーに汲み取り、各種施策を通じて経営に活かしていくことを重視し、定期的にエンゲージメント調査を行っております。法人格統合前(2021年)のエンゲージメント調査を経て、経営理念の共感や心理的安全性の確保、仕事のやりがいなどが課題として挙がり、その対応としてさまざまな施策を展開してまいりました。
心理的安全性やアンコンシャスバイアス、建設的な議論など共創に必要な要素について変容を促す「共創型コラボレーション力強化研修」は全マネージャーを対象に実施し、エンゲージメント調査における心理的安全性の肯定的回答率は着実に向上しております。
エンゲージメント調査の分析結果から全社的な優先課題を設定し、継続的な改善に取り組む方針です。
当社の人的資本に関する戦略及び取組の詳細については、当社Webサイトに掲載している最新の統合報告書をご参照ください。
https://www.resonac.com/jp/sustainability/report/report.html
② 人的資本に関する指標及び目標
構成要素 |
重要項目 (非財務KPI) |
2025年目標 |
2024年実績 |
事業が求める人材の供給 |
将来人材ポートフォリオの策定 (提出会社及び㈱レゾナック) |
対象部門のポートフォリオ策定 |
対象2部門策定 |
後継者計画準備率 (提出会社及び一部国内グループ会社) |
150%*1 |
142.7% |
|
ポートフォリオのロールモデル・職種・育成計画の策定(提出会社及び㈱レゾナック) |
対象部門のロールモデルほか策定 |
対象2部門策定 |
|
選び選ばれる魅力構築と発信 |
従業員のエンゲージメントスコア(連結) |
対前年比改善 |
57% |
エンゲージメント調査回答率(連結) |
対前年比改善 |
88% |
|
男性育休取得率・取得日数 (提出会社及び㈱レゾナック) |
取得率:100% 日数 :2030年60日以上を目標とし各年目標定めず |
取得率:97% 日数 :37.3日 |
|
男女賃金格差(提出会社及び㈱レゾナック) |
- |
75.6% |
|
自律的なプロフェッショナルの創出 |
共創型リーダーシップトレーニングに参加したラインマネージャーの割合 (提出会社及び㈱レゾナック) |
90% |
87% |
共創を生む 企業文化作り |
パーパス・バリュー実践度のサーベイスコア(連結) |
対前年比改善*2 |
パーパス実践:57% バリュー実践:67% |
パーパス・バリュー共感度のサーベイスコア(連結) |
対前年比改善*2 |
パーパス共感:71% バリュー共感:74% |
|
グローバルアワードAHA!の肯定評価(連結) |
対前年比改善 |
71% |
|
心理的安全性のサーベイスコア(連結) |
対前年比改善*2 |
61% |
|
インクルージョンのサーベイスコア(連結) |
対前年比改善*2 |
59% |
|
女性管理職比率(連結) |
13% |
12.7% |
|
意思決定層の多様性(連結) |
検討中 |
12.1% |
|
障がい者雇用率(㈱レゾナック) |
2.50%*2 |
2.51% |
*1 後継者計画準備率:(後継者プール人数÷事業部長及びCXO-1以上のポジション数)×100
*2 2025年目標値につきましては、2024年実績を踏まえ見直しを実施しております。
なお、当社グループにおいては、指標及び関連するデータの管理とともに具体的な取り組みの展開を進めておりますが、連結グループに属する全ての会社が対象となっていない指標もあります。そのため、一部指標においては当社及び㈱レゾナック、一部国内グループ会社を対象に記載しております。