リスク
3【事業等のリスク】
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があると考えられる主要なリスクには、以下のものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスクを最小化するためにリスク管理体制の整備・充実に努めており、詳細は以下「(1)リスクマネジメントの取組み」に記載しております。
なお、これらの事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
また、ウクライナ情勢及び中東における不安定な政治情勢等による事業への影響について、今後も注視してまいります。
(1) リスクマネジメントの取組み
①リスクマネジメント体制
当社グループでは、事業経営に与えるリスクとその影響を明確化し、経営資源の適正配分を実現するため、ISO31000に準拠したリスクマネジメント体制を整備しております。
CEOが議長を務めるリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント体制やグループの重要リスクやその対応策など、トップマネジメントによる組織横断的な審議を行っております。リスクマネジメント委員会での審議事項は経営会議で審議・承認された後、取締役会でも報告され、取締役によるリスクマネジメント体制の妥当性や有効性の評価や推進状況の監督等が行われます。
また、国内の事業部・事業所及び主要なグループ会社に、各部門のリスクの識別やリスクの対応策の推進などの実行責任を負うリスクオーナー、リスクオフィサー、リスクマネージャーを配置するとともに、各CXO組織は、各部門によるリスク評価や対応策について、全社を横断し俯瞰する視点からレビューや支援などを行い、相互に連携を図りながら、経営と現場が一体となって統合的なリスクマネジメントを推進する体制を構築しております。
〔リスクマネジメント体制図〕
②当社のリスクの定義
リスクは戦略リスクとオペレーショナルリスク、ハザードリスクに分けることができ、さらに戦略リスクは計画上の前提が変動するリスクと、策定した戦略が実行されないリスクの二つに分けることができます。企業価値の持続的成長のためには、従来の安全・コンプライアンス重視の“守りのリスクマネジメント”だけでなく、適切なリスクテイクを促す“攻めのリスクマネジメント”が必要であり、リスクを総合的に判断し、経営戦略に反映してまいります。
③リスク棚卸の実践
年に1回、課・グループといった組織単位で事業活動の潜在リスクを含めた網羅的なリスクの洗い出しと評価(リスク棚卸)を実施しております。リスク棚卸の結果は、事業部・事業所・グループ会社の拠点単位でトップによるレビューを行い、システムに登録されます。登録されたリスクの中から、発生頻度と影響度の観点から分類を行い、重要度や優先度の非常に高いリスクを重要リスクとして位置づけ、リスクマネジメント委員会へ報告し、グループの重要リスクとその対応策など審議します。
(2) 個別事業の経営成績における大幅な変動
当社グループは、エレクトロニクス、デバイスソリューション、モビリティ、セラミックス、機能性化学品、アルミ機能部材、コーティング材料、石油化学、グラファイト、基礎化学品、ライフサイエンスの事業領域において様々な製品の製造・販売を行っております。主要事業において想定されるリスクとして以下のようなものがありますが、リスクはこれらの事業に限定されるものではありません。
①半導体・電子材料セグメント
当社グループの半導体・電子材料セグメントの各種製品は、モバイル機器、データセンタ、パワーモジュール、ITインフラストラクチャ、電気自動車や先進運転支援システム搭載車などに使用され、世界のマクロ経済や業界動向等に基づく最終製品需要の変化により、その需要は大きく影響を受けます。また、これらの市場は、急激な技術変化や製品の陳腐化による価格低下などの影響を受ける国際的競争が厳しい事業です。更に、市場ニーズに合致した製品を適時・適切に開発・提供するため、グローバルなサプライチェーン網を整備しておりますが、地政学リスク等による原材料・エネルギー・物流コストの高騰、サプライチェーンの寸断などの可能性があります。
こうしたことから、需要や競争環境の大幅な変動、サプライチェーン上の重大なリスクの発生、あるいは、為替の大幅な変動などの場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
そのため、顧客のニーズや市況動向の把握に努め、新製品や技術の開発や製造プロセスの改善などに取り組むとともに、リスクの早期検知及び顧客への安定供給を実現すべく、サプライチェーン・マネジメント体制の強靭化に継続的に取り組んでおります。
②モビリティセグメント
当社グループは、地球環境保護を目的とした燃費・CO2排出量の規制強化及びCASE(※)など、グローバルなモビリティ市場の動向に影響を受けます。モビリティ市場は、カーボンニュートラルの実現やCASEの進展などに伴い、自動車の電動化、軽量化、電装化、安全性・快適性向上のための商品開発が求められており、将来の中長期的な拡大が見込める有望な市場であります。一方、競合他社、新規参入者との競争環境も激化しており、新たな技術・製品の開発や開発リードタイム短縮など顧客の要求水準やニーズの変化への対応が遅れるリスクに加え、新しい技術・製品により、既存事業が陳腐化し、市場競争力を失い、販売価格が下落することがあります。また、EVシフトによる内燃機関車市場の縮小により、既存事業の収益性が低下するリスクもあります。
こうしたことから、需要や競争環境の大幅な変動などにより、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
そこで、当社グループでは、CASE進展に伴う新たな技術ニーズを取り込むため、軽量化や小型化、電動化に伴うバッテリー関連、熱・音・電磁波の制御などの材料や部品のモジュール化などのソリューションを提供することで、既存顧客における採用モデル拡大や新規顧客開拓を一層推進します。
※CASE(Connected:コネクテッド、Autonomous:自動運転、Shared & Service:シェアリング/サービス、Electric:電動化)
③ケミカルセグメント
〔石油化学事業〕
当社グループは、大量の原料用ナフサ等を購入(輸入を含む)しており、原油価格の変動や需給バランス、為替等の要因によりナフサ価格等が変動し、販売価格との間に十分なスプレッドが確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。また、石油化学事業の収益は、需給バランスによるところが大きく、他社による大型プラントの建設等により需給が緩和した場合や、日本及び世界経済の大きな変調により需要が急激に減少した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。さらに、気候変動影響への懸念による世界的なカーボンニュートラル化推進への対応のスケジュールによって、要求される投資や費用支出が影響を受ける可能性があります。
このようなリスクに対して、コストダウンの推進や販売方法の見直し等収益の安定化に努めています。
〔グラファイト事業〕
当社グループは、アジア、北米、欧州にて黒鉛電極を生産し、その製品をグローバルで販売しており、日本及び世界経済の大きな変調により需要が急激に減少した場合には、需給バランスの悪化により販売価格と原材料調達価格の間に十分なスプレッドが確保できず、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
このようなリスクに対して、在庫を市況に応じて適正な水準を維持する、コストダウンを強化するなど、収益基盤強化に積極的な取り組みを行います。
④グローバルな事業活動
当社グループは、アジア、北米、欧州にて生産及び販売活動を行っているが、海外での事業活動には、予期しえない法律または規制の変更、政治・経済情勢の悪化、テロ・戦争等による社会的混乱等、国内における事業運営とは異なるリスクが存在します。ウクライナ及び中東における不安定な政治情勢が長期化し、その影響が他の地域へ波及することにより、原燃料価格や物流コストの更なる上昇に繋がるリスクがある他、経済安全保障をめぐる国際情勢の変化によるサプライチェーンの途絶などの可能性もあります。
こうしたリスクにより、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
⑤企業買収、資本提携及び事業再編
当社グループは、事業領域の拡大や収益性向上を目的として国内外における企業買収、資本提携及び事業再編を実施しております。当社グループでは、買収検討の対象企業のデューデリジェンスを慎重に行い、買収後の事業統合の計画を入念に検証することでリスクの低減に努めていますが、当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業環境の変化により、当初期待していた成果が得られない場合には、のれん及び無形資産の減損等により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(3) 財務状況及びキャッシュ・フローの予想以上の変動
①為替相場の大幅な変動
当社グループは、輸出入等を中心とした外貨建取引については、為替予約等を通じてリスクの最小化に努めていますが、為替相場に大幅な変動が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。特に、米ドルをはじめとする他の通貨に対する急激な円高は、国内から海外市場に輸出される製品の価格競争力を弱め、一方、円安は、海外から輸入する原材料価格を上昇させ、それぞれ当社グループの経営成績に悪影響を与える可能性があります。
また、為替相場の変動は、海外グループ会社の財務諸表の円貨への換算を通しても、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
②金融市場の動向や調達環境の変化
金融市場の動向や当社グループの財務指標の悪化が、一部借入金等の財務制限条項への抵触による期限前弁済を含め、当社グループの資金調達や支払金利に対して影響を与え、これらを通して、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当初想定された業績及び財務状況並びに財務指標等が実現されない場合には、信用格付けが引き下げられる可能性があり、その結果、既存の債務の借り換えや新規借入れの条件にも影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、財務体質の改善・強化に加えて、取引金融機関とのコミットメントライン契約等による流動性の確保、返済・償還額の平準化や固定金利・変動金利のバランス等を考慮した適切な資金調達に努めています。
③退職給付債務
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されており、年金資産の時価の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更等が、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
④固定資産の減損
当社グループの連結貸借対照表に表示されるのれん、無形資産、土地等の固定資産について、事業環境の悪化による収益性の低下や、保有資産時価の著しい下落等が生じた場合、固定資産に減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
また、日立化成㈱に対するTOBの結果、のれん及び無形資産の金額が増加しており、当社グループの業績が悪化した場合、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
⑤繰延税金資産
当社グループは、将来減算一時差異等に対して、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討して計上しておりますが、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、また、税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(4) 特有の法的規制
当社グループが行っている事業は国内外の各種の法規制を受けます。その規制内容は、「石油コンビナート等災害防止法」「消防法」「高圧ガス保安法」等の保安・安全に係るもの、「環境基本法」「大気汚染防止法」「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」等の環境や化学物質に係るもの等があり、当社グループはこれら法規制の遵守を徹底しております。特に製造設備等に関連する法規制については、グループで法規制情報を共有するとともに、設備の新設・変更等に際し遵守状況を確認しております。しかしながら、万一遵守できなかった場合は、当社グループの活動が制限される可能性があります。また、これら法規制が一段と強化された場合には、コストの増加につながり、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(5) 重要な訴訟事件
当社グループは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、広範な事業活動の中で、訴訟の提起を受ける可能性があります。
(6) その他
①研究開発
当社グループは、川中の素材技術と川下のアプリケーション技術を併せもつハイブリッド型の先端材料企業グループとして、技術融合によるイノベーションの実現に重点を置いております。川中素材の「作る化学」と、川下アプリケーションの「混ぜる化学」、そして評価・シミュレーション、構造解析、計算科学の「考える化学」、この3つの技術の融合によって市場に幅広い機能を提供し続けて事業を強化・創出する研究開発に注力しております。
これらの研究開発活動の結果が目標と大きく乖離するような場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
②知的財産
当社グループは、産業財産権やノウハウ等の知的財産権が事業の競争力に重要な役割を果たしていることを認識し、自社権利の取得、活用及び保護と他社権利の尊重に努めております。しかしながら、自社権利を適切に取得、活用することができなかったり不当に侵害された場合、または第三者の知的財産権を侵害する事象が発生した場合や保有するノウハウ等が不当に第三者へ流出した場合、事業活動に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
③品質保証・製造物責任
当社グループは、「品質保証・品質管理規程」の制定や、品質保証を所管・統括・推進する組織の整備、ISO9001等の積極的な取得により、品質管理に万全を期すべく努めております。しかしながら、重大な製品欠陥や製造物責任訴訟の提起といった事象が発生した場合、社会的信用の失墜を招き、顧客に対する補償などによって、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループは、確実な工程管理を行うための設備維持、適切な測定機器設置、作業マニュアル整備、従業員教育等に努め、必要十分な検査実施による不良品流出防止の体制を構築するとともに、国内外を対象とした生産物賠償責任保険に加入しております。
④事故・災害
当社グループは、安全・安定操業の徹底を図り、製造設備の停止や設備に起因する事故などによる潜在的なマイナス要因を最小化するため、全ての製造設備について定期的な点検を実施しております。しかしながら、事故、大規模な自然災害等の発生により、製造設備で人的・物的被害が生じた場合、当社グループの社会的信用が低下し、事故災害への対策費用や生産活動停止による機会損失により、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
このようなリスクに対して、リスクアセスメントを含む適切なリスクマネジメントを実施し、事故防止及び事故発生時の被害の極小化を図っております。
⑤環境に対する影響
当社グループは、化学物質の開発から製造、流通、使用を経て廃棄に至る全ライフサイクルにおける「環境・安全・健康」を確保することを目的とした「レスポンシブル・ケア」活動を推進しております。しかしながら、周囲の環境に影響を及ぼすような事象が発生した場合には、社会的信用の失墜を招き、補償などを含む対策費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償などによって、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
このようなリスクに対して、全事業場において網羅的なリスク棚卸による環境リスク評価を行い、環境施設の安全対策を進めるとともに、経年劣化が原因による環境汚染防止のための点検・補修等を計画的に実施しております。
また近年益々高まっている環境問題に対する社会的要求や将来的な環境法規制の強化へ適応するために、経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
⑥感染症の蔓延
世界的な感染症の流行が発生した場合、製造拠点における生産停止や営業拠点を始めとするサプライチェーンでの当社製品供給の停滞により、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
世界的な感染症の流行に対しては、グループ従業員、協力企業従業員の健康を最優先事項とし、健康経営や産業保健の施策企画・実行統率を管掌するCHRO部門が統括産業医の意見を踏まえ、リスクマネジメント部と連携し、当社グループ従業員への注意喚起、感染防止対策の指示を行っております。同時に、社会生活に不可欠な製品を供給する社会的責任を果たすべく、BCP(事業継続計画)マニュアルを整備し、重要製品を選定するなど事業活動への影響を最小限とします。
平時より基本的な感染症対策を中心に、従業員の健康と事業活動の両立に向けた取り組みを進めてまいります。
⑦気候変動の影響
当社グループは、2050年までのカーボンニュートラルに向けて真摯な取り組みを進めております。当社グループが提供する各種製品は製造過程で化石原燃料を使用し、温室効果ガス(GHG)を排出しており、2030年GHG排出量2013年度比30%削減(Scope1・2)に向けた施策を進めております。顧客との共創によるカーボンニュートラルへの取り組みも取引上重要性を増しているため、省エネルギー・炭素循環に貢献する製品の更なる効率性向上や開発等を事業・技術戦略に組み込むとともに、主要製品ごと及び技術開発段階でのカーボンフットプリント算定も順次進めております。しかしながら、顧客要求に加え加速度的に厳しくなる各国の法規制への対応、それに伴う設備投資、再生可能エネルギーの外部調達といったカーボンニュートラルに向けた移行リスクや、自然災害への備えを含む物理リスク対応のアセスメントや対応コスト増も見込まれます。
このようなリスクと機会の両面を重要な経営課題と捉え、2019年には「気候変動情報開示タスクフォース」(TCFD)に賛同し、シナリオ分析を通し、気候変動が当社に及ぼすリスクと機会を評価して対応策を検討・実行し、レジリエンスを強化すべく、事業毎に順次取組みを進め、情報開示を行っております。また2023年にはGHG排出量削減に向けて経済産業省が設立したGXリーグに参画しました。
※「気候変動情報開示タスクフォース」(TCFD)の要請に沿った情報開示については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)TCFD提言に沿った情報開示」をご参照ください。
⑧人権への取り組み
当社グループは、2021年に国際規範に基づいた人権方針を策定し、事業を展開するあらゆる国や地域において、事業活動の根幹として人権を尊重することを宣言し、当該方針を全従業員が自らの規準とするべく「行動規範」(2022年改訂)に盛り込んでいます。しかしながら、製品の開発から調達、製造、流通、使用そして最終消費を経て廃棄に至るバリューチェーンの各プロセスにおいて、レゾナックグループ及びサプライヤーを含むすべてのビジネスパートナーのビジネスが、直接または間接的に、人権に影響を及ぼす可能性があります。また、統合に伴う新たな組織運営に伴う人権リスクの再点検が必要と認識しております。
このようなリスクに対して、自社グループ内の従業員にむけた人権サーベイを実施するなど人権デューデリジェンスを開始し、人権研修を行いました。また、サプライヤーを含むすべてのビジネスパートナーに当該方針を遵守頂くため「サステナブル調達ガイドライン」(2022年改訂)を通じた働きかけを開始し、海外リスク予備調査を実施しました。更に、従業員のみならずサプライヤーを含むビジネスパートナー、地域コミュニティなどあらゆるステークホルダーが利用可能な通報窓口を設けることでリスクの把握や救済措置の提供に努めております。
⑨人材・労務
当社グループは世界トップレベルの機能性化学メーカーになることを目指しており、2030年を見据えたサステナビリティ重要課題の一つに「自律的で創造的な人材の活躍と文化醸成」を掲げております。その解決のための重要項目「人と組織の持続的な成長」には、経営又は技術に関する能力に優れた共創型人材を採用、確保し、育成することが重要であると考えますが、優秀な人材の採用及び確保に関する競争は激化しております。
長時間労働に起因する効率低下やエンゲージメント低下が社内外に及ぼす影響を考慮し、労働時間の適正把握と長時間労働の予防により、従業員の心身の健康管理・維持を推進するとともに、パーパス/バリューのもと、従業員エンゲージメントを高めつつ、共創文化を育んでまいります。具体的には、人材戦略に関する4つのマテリアリティとして、「事業が求める人材の供給」「選び選ばれる魅力構築と発信」「自律的なプロフェッショナルの創出」「共創をうむ企業文化作り」を定め、2030年を見据えて、その実現に向けたKGI・KPIを設定し、定期的なモニタリングを行ってまいります。
※KGI(Key Goal Indicator)、KPI(Key Performance Indicator)
⑩サプライチェーン
当社グループの事業継続における安定調達を実現するためには、サプライヤーとの良好な取引関係が不可欠ですが、サプライヤーにおける不法・反社会的行為、人権尊重・環境保全の欠如等、当社のみならず社会全体にとって好ましくない事態が発生することが想定されます。こうした事態の発生を抑え、当社と共に社会的責任を果たすことを目的に、「サステナブル調達ガイドライン」を作成・公開しており、サプライヤーがこれを遵守するよう要請するとともに、その遵守状況を把握するために定期的なアンケートや訪問調査を実施しております。
また、自然災害・事故・感染症等によるサプライヤー操業停止、物流網寸断などで当社事業活動が影響を受ける可能性があります。これらの影響を最小限に留めるため、調達部門では有事におけるサプライヤー被災状況の情報収集と当社事業活動への影響を把握する手順を定めたマニュアル整備とこれに基づいたBCP(事業継続計画)訓練を実施しております。
⑪情報セキュリティ(サイバーリスク)
当社グループは、社内システムや製造設備に対するサイバー攻撃等による被害や情報漏えいが生じた場合、社会的信用の低下や、対策費用や生産活動停止の発生により、経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
このようなリスクに対して、世界標準のセキュリティソリューションを導入することで、日々高度化・巧妙化するサイバーリスクに対する防御網を実現するとともに、当社グループの情報セキュリティグローバルスタンダード運用を確立し、教育・モニタリングによる改善活動を行うことで、情報管理の徹底及びインシデント発生時の影響を最小限に抑える対応策を講じております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、配当の実施を株主各位に対する重要な責務と考えており、配当については、各事業年度の収益状況及び今後の事業展開に備えるための内部留保を勘案し決定することを基本としております。
内部留保については、成長事業の育成加速など利益の持続的拡大につながる設備投資や研究開発投資及び財務体質の改善に充当していきます。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当社は、「取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。
当事業年度については、営業成績及び今後の事業競争力と財務体質強化等を勘案し、2023年6月30日を基準日とする中間配当は無配としたが、同12月31日を基準日とする1株につき65円の配当を実施することとしました。
当事業年度の剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
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2024年3月26日 定時株主総会決議 |
11,787 |
65 |
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