2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    108名(単体) 20,411名(連結)
  • 平均年齢
    43.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.0年(単体)
  • 平均年収
    10,641,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    3.1%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

(1) 企業戦略と関連付けた人財戦略

 当社グループは、当社を持株会社として、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で産業ガス事業、そしてサーモス事業を展開しております。当社グループ事業の大部分を占める産業ガス事業の多くは、需要地の近くでガスを製造・供給する「地産地消」型であり、各地域の市場・顧客・規制環境に即した機動的な意思決定が重要です。

 この事業特性を踏まえ、当社グループは、各地域事業会社に事業運営に関する権限を委譲し、一定の自律性を持って事業を運営することで、地域ごとの活力と競争力を高めてきました。人財戦略においても同様に、採用・配置・評価・育成等の一連のプロセスは、地域ごとの文化・法令・労働市場に精通している各地域事業会社の人事部門が主導権を持って運営することを基本としております。

 一方で、地域ごとに完結した運営のみでは、グループ横断的な取組みによる総合力向上や、世界各地で事業や戦略をリードできる人財の育成が十分に進まないおそれがあります。当社グループは、この課題を踏まえ、グループを統括する持株会社が、グローバル人財の育成、ダイバーシティや従業員エンゲージメントの向上、将来の成長ドライバーとなる領域を担う人財の育成など、グループ横断で取り組むべき領域を示し、各地域事業会社と連携して推進するネットワーク型の体制をとっております。

 当社グループは、「The Gas Professionals」をタグラインに掲げ、産業ガス事業を担うプロフェッショナル人財の力を競争力の源泉と位置付けております。新中期経営計画「Next Innovation 2030」においては、「Evolving for the Future」のスローガンの下、さらなる経営基盤の進化とともに、産業ガス事業の収益力強化、エレクトロニクス事業の拡大、将来の成長ドライバーの創出を重点戦略として掲げており、失敗を恐れず挑戦し、革新的なアイデアや取組みを生み出す「進取の気概(イノベーティブマインド)」を備えた人財の存在が不可欠です。

 各地域事業会社は、地域に根ざした人財マネジメントを通じて事業の機動性と活力を高める一方、持株会社は、国内外での成長・チャレンジの機会の提供、公正な評価・登用を志向した枠組みの提示、安全・健康や働きやすさへの配慮などを通じて、多様な人財が安心して力を発揮できる基盤づくりをリードします。こうしたネットワーク型の人財戦略を通じて、地域の強みとグループ全体の連携を両立させ、「Next Innovation 2030」の重点戦略や経営基盤の進化を人的資本の面から支えていきます。

 

(2) 給与等の決定方針

① グローバルで共通する基本的考え方

 当社グループは、従業員の給与等の決定にあたり、「人権の尊重、社会への貢献および雇用・労働・健康に関するグローバル方針」を共通の枠組みとして位置付けております。そのうえで、各国・地域の労働市場環境、法令・慣行、事業特性等を踏まえ、各地域事業会社が自社の実情に応じて福利厚生を含む報酬制度を設計・運用することを基本としております。

 グループ共通の方向性としては、外部の労働市場に対する一定の競争力を確保するとともに、職務・役割や一定の業績・貢献を踏まえた公正な処遇の実現を重視しております。具体的な評価・報酬の仕組みや水準は地域によって異なりますが、従業員の挑戦や努力、成果が適切に処遇に反映されるよう留意しつつ、制度の運用状況を確認しながら必要に応じて見直しを行っております。

 

② 日本地域における方針

 当社の従業員の多くは日本地域の中核事業会社である大陽日酸株式会社(以下、「大陽日酸」という。なお、大陽日酸は、2026年4月1日付けで日本酸素株式会社へ商号変更しております。)からの出向を通じて配置されております。大陽日酸においては、DX進展や少子高齢化による労働力人口の減少、価値観の多様化など、従来の延長線上では対応しきれない局面に入っていることから、持続的に事業成長を実現していくためには「人財こそ最大の資本」という人的資本経営の観点に立ち、以下の点を重視した人事制度運用を行っております。

・職務・役割、経験・能力等を踏まえて水準を設定した基本給を中心に、会社・組織の業績や個人の成果・貢献を反映する賞与等を組み合わせることで、一定の成果反映と安定性のバランスを確保すること。

・人事評価結果を昇給・昇格・賞与等に適切に反映させ、またキャリア共創を実現することにより、従業員の成長とチャレンジを促すとともに、評価プロセスや評価基準の説明・共有を通じて、公平性と納得感の向上に努めること。

・ダイバーシティ&インクルージョンの推進や、働き方の柔軟性向上、健康・安全への配慮等とあわせて、長期的に安心して働き続けられる処遇・制度とすること。

 具体的な制度内容や運用方法については、法令や労働市場、事業環境の変化を踏まえつつ、必要に応じて見直しを行っております。その一例として、全社一丸となった推進力の強化、及び人財の定着・エンゲージメント向上を図るため、2022年度から5年連続のベースアップを実施いたしました。制度昇給を含めた5ヵ年累計の総賃上げ率は、2021年度比で約21%の増額となります。

 当社グループは、このようにグローバルな基本方針と地域ごとの実情を踏まえた運用を両立させることで、今後の成長戦略を支える人的資本への適切な投資を行ってまいります。

 

(2)【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

日本

5,967

(1,178)

米国

4,606

(7)

欧州

3,716

(249)

アジア・オセアニア

4,658

(234)

サーモス

1,356

(696)

報告セグメント計

20,303

(2,364)

全社(共通)

108

(9)

合計

20,411

(2,373)

 (注)従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(派遣社員を含む。)は、当連結会計年度の平均人員を( )外数で記載しております。

 

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

108

(9)

43才

9ヶ月

16年

9ヶ月

10,641

3.1

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

日本

-

(-)

米国

-

(-)

欧州

-

(-)

アジア・オセアニア

-

(-)

サーモス

-

(-)

報告セグメント計

-

(-)

全社(共通)

108

(9)

合計

108

(9)

 (注)1.従業員数は就業人員(役員及び当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(派遣社員を含む。)は、当事業年度の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与(税込)は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

 

(3) 最大人員会社の状況

① 当事業年度における従業員数が最も多い会社

 大陽日酸㈱

 

 

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

2,164

(114)

42才

7ヶ月

17年

10ヶ月

9,082

3.5

 (注)1.従業員数は就業人員(役員及び社外から当社への出向者を除き、当社から社外への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(派遣社員を除く。)は、当事業年度の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与(税込)は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

3.大陽日酸㈱は、2026年4月1日付けで日本酸素㈱へ商号変更しております。

 

② 上記①の次に従業員数が多い会社

 大陽日酸エンジニアリング㈱

 

 

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

521

(101)

42才

3ヶ月

14年

1ヶ月

7,117

6.0

 (注)1.従業員数は就業人員(役員及び社外から当社への出向者を除き、当社から社外への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(派遣社員を除く。)は、当事業年度の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与(税込)は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

3.大陽日酸エンジニアリング㈱は、2026年4月1日付けで日本酸素エンジニアリング㈱へ商号変更しております。

 

(4) 労働組合の状況

 当社には労働組合はありませんが、2026年3月31日時点において、当社の子会社である大陽日酸株式会社(2026年4月1日付けで日本酸素株式会社へ商号変更しております。)等には、各社籍従業員にて、労働組合が組織されております。

 その他労働組合との関係について特記すべき事項はありません。

 

(5) 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の額の差異、採用した労働者に占める女性労働者の割合及び労働者に占める女性労働者の割合

① 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合

会社名

前事業年度

当事業年度

大陽日酸㈱

2.5%

2.9%

日酸TANAKA㈱

5.0%

4.0%

大陽日酸ガス&ウェルディング㈱

1.2%

-

日本液炭㈱

-

0.9%

大陽日酸東関東㈱

4.8%

5.3%

日酸運輸㈱

-

-

大陽日酸JFP㈱

2.5%

2.7%

大陽日酸エンジニアリング㈱

2.0%

2.2%

極陽セミコンダクターズ㈱

-

-

日本メガケア㈱

5.2%

5.0%

アイ・エム・アイ㈱

8.8%

8.6%

サーモス㈱

5.6%

10.0%

(注)1.グループ会社のうち、常時雇用する労働者が101名以上の会社を開示対象としております。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

3.出向者については、当社グループからグループ外への出向者を含み、グループ外から当社グループへの出向者を除いております。

4.次の各社は、2026年4月1日付けで下記のとおり商号変更しております。

・大陽日酸㈱は、日本酸素㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸ガス&ウェルディング㈱は、日本酸素G&W㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸東関東㈱は、日本酸素東関東㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸JFP㈱は、日本酸素JFP㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸エンジニアリング㈱は、日本酸素エンジニアリング㈱へ商号変更しております。

 

② 労働者の育児休業取得率

会社名

前事業年度

当事業年度

男性

女性

男性

女性

大陽日酸㈱

60.0%

100.0%

80.0%

100.0%

日酸TANAKA㈱

66.7%

-

75.0%

-

大陽日酸ガス&ウェルディング㈱

28.6%

100.0%

12.5%

133.3%

日本液炭㈱

-

-

100.0%

100.0%

大陽日酸東関東㈱

-

-

-

-

日酸運輸㈱

-

-

100.0%

-

大陽日酸JFP㈱

-

-

83.3%

-

大陽日酸エンジニアリング㈱

28.6%

-

60.0%

-

極陽セミコンダクターズ㈱

-

-

-

100.0%

日本メガケア㈱

-

-

100.0%

-

アイ・エム・アイ㈱

-

-

25.0%

100.0%

サーモス㈱

-

-

90.0%

80.0%

(注)1.2025年度より、開示対象を常時雇用する労働者が101名以上のグループ会社に拡大しております。開示対象外である年度及び出産者(配偶者出産者)が0名の場合は、「-」と表示しております。

2.育児休業取得率は、「育児休業開始者 ÷ 出産者(配偶者出産者) × 100」の算式で計算しております。

(育児休業開始者は休業開始日、出産者(配偶者出産者)は出産日を基準として人数を計上

しているため、育児休業取得率が100%を上回ることがあります。)

なお、男性の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の

福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児

又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71

条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.出向者については、当社グループからグループ外への出向者を含み、グループ外から当社グループへの出向者を除いております。

4.次の各社は、2026年4月1日付けで下記のとおり商号変更しております。

・大陽日酸㈱は、日本酸素㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸ガス&ウェルディング㈱は、日本酸素G&W㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸東関東㈱は、日本酸素東関東㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸JFP㈱は、日本酸素JFP㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸エンジニアリング㈱は、日本酸素エンジニアリング㈱へ商号変更しております。

 

③ 労働者の男女の賃金の額の差異

会社名

前事業年度

当事業年度

正社員

パート・

有期社員

全労働者

正社員

パート・

有期社員

全労働者

大陽日酸㈱

66.0%

81.5%

66.9%

65.7%

76.9%

66.2%

日酸TANAKA㈱

77.1%

59.6%

71.7%

80.2%

62.8%

74.5%

大陽日酸ガス&ウェルディング㈱

68.1%

62.9%

64.4%

67.4%

62.9%

65.0%

日本液炭㈱

60.7%

80.5%

61.3%

63.4%

75.5%

63.6%

大陽日酸東関東㈱

86.5%

68.5%

80.0%

84.2%

57.6%

75.2%

日酸運輸㈱

65.2%

12.3%

40.9%

69.6%

42.7%

64.9%

大陽日酸JFP㈱

81.4%

76.7%

80.6%

82.7%

109.3%

82.3%

大陽日酸エンジニアリング㈱

78.8%

55.0%

69.2%

84.5%

54.4%

72.8%

極陽セミコンダクターズ㈱

65.9%

78.0%

63.9%

69.2%

76.6%

67.9%

日本メガケア㈱

68.2%

54.9%

65.2%

70.6%

54.9%

66.7%

アイ・エム・アイ㈱

81.2%

60.2%

69.9%

82.2%

54.2%

71.8%

サーモス㈱

63.6%

47.7%

61.4%

65.2%

54.4%

63.5%

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであり、男性の賃金に対する女性の賃金割合を記載しております。

2.平均年間給与(税込)は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

3.出向者については、当社グループからグループ外への出向者を含み、グループ外から当社グループへの出向者を除いております。

4.職位者や管理的地位にある労働者、深夜業を伴う職種において男性比率が相対的に高い要員構成となっていることが男女間賃金格差の主な要因であり、女性の登用を促進することで格差の是正を進めてまいります。非正規従業員については、再雇用者や嘱託社員、アルバイト従業員など、職務内容や雇用形態の異なる複数の職群において男性比率が相対的に高いことから、男女間賃金格差が正規従業員に比べて大きい傾向があります。

5.グループ会社のうち、常時雇用する労働者が101名以上の会社を開示対象としております。

6.次の各社は、2026年4月1日付けで下記のとおり商号変更しております。

・大陽日酸㈱は、日本酸素㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸ガス&ウェルディング㈱は、日本酸素G&W㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸東関東㈱は、日本酸素東関東㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸JFP㈱は、日本酸素JFP㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸エンジニアリング㈱は、日本酸素エンジニアリング㈱へ商号変更しております。

 

④ 採用した労働者に占める女性労働者の割合

会社名

当事業年度

大陽日酸㈱

26.8%

日酸TANAKA㈱

9.5%

大陽日酸ガス&ウェルディング㈱

32.1%

日本液炭㈱

14.6%

大陽日酸エンジニアリング㈱

10.3%

(注)1.グループ会社のうち、常時雇用する労働者が301名以上の会社を開示対象としております。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令の一部を改正する省令」及び「事業主行動計画策定指針の一部を改正する件」(令和7年12月23日)の改定に基づき算出したものであります。

3.出向者については、当社グループからグループ外への出向者を含み、グループ外から当社グループへの出向者を除いております。

4.次の各社は、2026年4月1日付けで下記のとおり商号変更しております。

・大陽日酸㈱は、日本酸素㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸ガス&ウェルディング㈱は、日本酸素G&W㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸エンジニアリング㈱は、日本酸素エンジニアリング㈱へ商号変更しております。

 

⑤ 労働者に占める女性労働者の割合

会社名

当事業年度

大陽日酸㈱

17.0%

日酸TANAKA㈱

17.6%

大陽日酸ガス&ウェルディング㈱

21.7%

日本液炭㈱

19.9%

大陽日酸エンジニアリング㈱

8.1%

(注)1.グループ会社のうち、常時雇用する労働者が301名以上の会社を開示対象としております。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令の一部を改正する省令」及び「事業主行動計画策定指針の一部を改正する件」(令和7年12月23日)の改定に基づき算出したものであります。

3.出向者については、当社グループからグループ外への出向者を含み、グループ外から当社グループへの出向者を除いております。

4.次の各社は、2026年4月1日付けで下記のとおり商号変更しております。

・大陽日酸㈱は、日本酸素㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸ガス&ウェルディング㈱は、日本酸素G&W㈱へ商号変更しております。

・大陽日酸エンジニアリング㈱は、日本酸素エンジニアリング㈱へ商号変更しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざします。」というビジョンのもと、ステークホルダーの皆様とのコミュニケーションを大切にし、サステナブルな成長及び企業価値のさらなる向上を目指していきます。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

① ガバナンス

 当社グループは、取締役会の決議により、当社グループが社会から信頼され、持続的に発展していけるよう、サステナビリティに関わる各種方針を制定し、開示しております。取締役会の決議にもとづきグローバル戦略検討会議、グローバルリスクマネジメント会議、グローバルコンプライアンスコミッティを設置し、これらの会議を通じて、各種方針に基づいたサステナビリティに関わる当社グループの具体的な対応を検討しております。

 

≪グローバル戦略検討会議≫

 グローバル戦略検討会議は原則年1回開催され、代表取締役社長 CEO(Chief Executive Officer)を議長とし、執行役員、室長、監査役及び議長が指名する者で構成されています。当社グループの次年度予算の決議を行う前に、各事業会社の戦略について詳細を確認するとともに、当社グループ全体での最適な資源配分についての審議を行っています。会議内ではGHG排出量目標などのサステナビリティを含めた財務・サステナビリティの定量的・定性的目標進捗状況についても共有・議論を行っております。グローバル戦略検討会議で決定された事項のうち技術リスクに関する事項については、当社と各事業会社間で開催する技術リスク連絡会議などで具体的な対応策が決定され、グローバルに展開しております。

 

≪グローバルリスクマネジメント会議≫

 グローバルリスクマネジメント会議は原則年1回開催され、代表取締役社長 CEOを議長とし、執行役員、室長、監査役、グループCCO(Chief Compliance Officer)、地域リスクマネジメント統括責任者及び議長が指名する者で構成されています。事業環境の変化の認識と企業価値の向上と毀損の両面からリスクの特定・評価を実施し、当社グループの重要リスクの選定、対応に関する事項、全社的なリスクマネジメントに関する重要事項などについて審議を行います。グローバルリスクマネジメント会議の詳細については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク (3)グローバルリスクマネジメント会議」に記載しております。

 

≪グローバルコンプライアンスコミッティ≫

グローバルコンプライアンスコミッティは原則年1回開催され、グループCCOである議長と日本、海外各地域及びサーモスで任命された地域CCOで構成されています。当社グループのコンプライアンス推進と実効性の確保を目的に開催され、コンプライアンス推進方針及び各地域でのコンプライアンス違反事案、訴訟事案、コンプライアンス教育の実施状況報告を行うとともに、必要に応じて個別の課題などに関する審議を行います。審議事項には、当社グループ行動規範、方針の改廃、コンプライアンス推進年度計画、内部通報制度の運用上の課題に関する事項などが含まれます。

 

≪サステナビリティ統括室≫

 当社グループでは、CSO(Chief Sustainability Officer)の統括の下、「サステナビリティ統括室」が戦略の策定やリスクの審議をはじめ、サステナビリティに関わる活動全般について推進しております。

 サステナビリティに関する取組みなどの活動については、取締役会で適宜、報告しております。

 当社グループのサステナビリティに関するガバナンス体制図は、以下のとおりです。当社グループのサステナビリティの推進活動の充実・浸透を目的に、グローバル戦略検討会議を補完する会議体として、サステナビリティ推進委員会を2023年7月より新設いたしました。また、2024年4月より日本、海外各地域及びサーモスに地域CSOを置き、各事業会社とのサステナビリティに関する議論・取組みを推進しております。

 

 

(図表1)サステナビリティに関する「ガバナンス体制図」

 

表:取締役会での主なサステナビリティ関連事項 報告・検討議題

2026年3月期

・サステナビリティ関連実績報告

・サステナビリティKPI(NS Vision 2026)進捗報告

・各事業会社のサステナビリティプログラム進捗報告

・CDP回答方針の報告

・MOS(Management of Sustainability)指標の次年度目標及び前年度実績報告

・取締役報酬に連動するサステナビリティKPIの達成度報告

・グローバル戦略検討会議及びグローバルリスクマネジメント会議報告

・グローバルコンプライアンスコミッティ報告

・新中期経営計画の承認

・方針の策定及び改定の承認

“リスクマネジメント方針”

“業務の適正を確保するための体制”

 

② 戦略

 地球規模での環境問題やさまざまな社会課題の解決が求められる中で、企業活動においてもSDGsに代表されるようなサステナビリティへの取組みの重要性が増しております。このような状況の下、当社は、企業存立の前提となる人権の尊重、保安安全、企業倫理の3項目を含む24の重点課題(マテリアリティ)を抽出し、2021年にサステナビリティに関するマテリアリティの見直しを行いました。これらを踏まえ、前中期経営計画「NS Vision 2026」では、初めてサステナビリティに関する8つのプログラム及びKPIを設定し、推進してきました。そして、2026年4月から開始した新中期経営計画「Next Innovation 2030」では、サステナビリティに関わるリスク管理に加え、事業機会としての側面にも着目し、新たに2つのプログラムを追加しました。当社グループは、行動規範に掲げる「革新的なガスソリューションを通じて、あらゆる産業のお客様の価値創造に貢献するとともに、人と地球の心地よい関係を創り、豊かで持続可能な社会の実現への貢献」に向け、新しいマテリアリティを踏まえた取組みを推進していくことで、サステナブルな成長及び企業価値のさらなる向上を目指していきます。

 当社グループのマテリアリティの特定プロセス及びマテリアリティは、以下のとおりです。

 

《マテリアリティ特定プロセス》

Step1:課題の抽出

GRIガイドライン、国連グローバル・コンパクト、ISO26000などの国際的ガイドライン、SDGsやESG評価機関の評価項目を参照し、当社の事業活動に関係する環境、社会課題を抽出

Step2:社内アンケートとマテリアリティ候補の特定

グローバルでの従業員アンケートを実施し、各リージョン事業との整合、妥当性の確認及び「ステークホルダー」及び「自社」2軸での重要度を定量評価

Step3:社内議論と確定

絞り込んだ重要課題及びその優先順位付けについてグローバル戦略検討会議、経営会議及び取締役会においてその妥当性の議論、総合的評価を実施し、マテリアリティ・マトリックスを作成

Step4:承認

取締役会での承認を得て、特定

 

(図表2)マテリアリティ

 

③ リスク管理

 当社グループでは、当社グループ全体でリスクの管理体制を構築し、サステナビリティ関連の機会・リスクをマネジメントしております。具体的には、年1回開催するグローバル戦略検討会議及びグローバルリスクマネジメント会議において、サステナビリティ関連リスクの特定・評価を行っております。また、グローバル戦略検討会議では、各事業会社の機会についても議論・共有しております。これらの機会・リスクについては、サステナビリティ統括室が事務局を担当する、当社と各事業会社間で開催する技術リスク連絡会議などで具体的な対応策が決定され、グローバルに展開しております。

 

 

会議体

リスクの特定・評価、マネジメントのプロセス

• グローバル戦略検討会議

• グローバルリスクマネジメント会議

• グローバルコンプライアンスコミッティ

• 技術リスク連絡会議

• 長期リスクの早期発見とその顕在化の防止、また顕在化したときに迅速な対応ができるよう、当社グループ各社でリスク管理体制を構築

• リスクの重要度は、発生頻度×財務又は戦略面への影響度により決定

• 年1回開催のグローバル戦略検討会議(議長:CEO)により、事業に関する財務又は戦略面での影響を評価

• 年1回開催のグローバルリスクマネジメント会議(議長:CEO)により、事業環境の変化の認識と企業価値の向上と毀損の両面からリスクの特定・評価を実施し、重要リスクを選定

• グローバルコンプライアンスコミッティ(議長:グループCCO)において、コンプライアンスに関する重大なリスクを特定・評価し、各地域の施策に反映

• グローバル戦略検討会議で決定された事項は、当社と各事業会社間で開催する技術リスク連絡会議で具体的な対応策が決定され、グローバルに展開

 

④ 指標及び目標

 当社グループは、特定したマテリアリティに対して、当社グループ全体で取り組むサステナビリティプログラムを策定し、これらのプログラムの推進による取組みの強化、充実を図っていくことで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。この取組みを進めるにあたり、サステナビリティ目標を設定し、各指標について毎年の進捗をモニタリングすることで、マテリアリティへの取組みを着実に推進してまいります。

 2026年3月期実績は、2026年9月以降に当社ウェブサイト上で公表する「統合報告書2026」をご参照ください。

 

8つのサステナビリティプログラムとサステナビリティ目標

プログラム名

取組み内容

サステナビリティ目標

NS Vision 2026

最終年度目標

(2026年3月期)

2025年3月期実績

Carbon Neutral Program Ⅰ

当社グループのGHG排出量の削減

GHG総排出量削減

(注1)

18%

21.2%

Carbon Neutral Program II

環境貢献製商品による顧客のGHG削減

GHG削減貢献量

当社グループが販売する環境貢献製商品によるGHG削減量>当社グループGHG総排出量

8,104>5,258千t-CO2e

Safety First Program

休業災害度数率の低減

休業度数率(連結)

(注2)

≦1.6

1.85

Talent Diversity Program

多様な人財活用の推進

女性従業員比率

≧22%

20.8%

女性管理職比率

≧18%

16.7%

Compliance Penetration Program

コンプライアンス教育の実施と徹底

コンプライアンス

研修受講率

100%

100%

Zero Waste Program

廃棄物の排出削減

-

-

-

Sustainable Water Program

水資源の有効活用

-

-

-

Quality Reliability Program

品質・信頼性の向上をめざした取組み

-

-

-

(注)1.欧州事業買収が完了した2019年3月期の実績を補正し基準年度として、該当年度の削減目標を設定します。

2.休業度数率

労働災害の発生頻度を表す指標であり、休業災害被災者数÷延べ労働時間×100万時間で算出します。

 

(2)気候変動への対応

 当社グループは、人と社会と地球の心地よい未来の実現に向け、環境負荷低減や省エネルギー活動の推進、GHG排出量削減に貢献する製商品の拡大に取り組んできました。そして、2019年11月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明し、情報開示を進めてまいりました。今後も、新しいマテリアリティの一つである「気候変動の緩和と適応」を推進し、TCFDの提言に沿った情報開示を実施していきます。

 

〔TCFDに沿った情報開示〕

① ガバナンス

 気候変動への対応にかかわるガバナンスに関しては、「(1)サステナビリティ全般 ① ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略

 当社グループでは、気候変動の事業への影響を把握し、気候変動の機会・リスクに対する当社グループ戦略のレジリエンスを評価することを目的として、シナリオ分析を実施しております。

 「移行シナリオ(2℃未満シナリオ)」、「物理的気候シナリオ(4℃シナリオ)」による短期(~2025年)・中期(2026~2030年)・長期(2031~2050年)の時間軸を考慮し、機会・リスクの洗い出しを行い、各リージョンでの主にガスビジネスにおけるこれらの機会・リスクに対して〔影響を受ける可能性〕×〔影響の大きさ〕の指標を基に評価を行いました。当社グループにとって財務的に大きなインパクトを与えるマイナスの影響をリスクととらえ、プラスの影響を機会ととらえております。

 「移行シナリオ」では、国際エネルギー機関(IEA)のSustainable Development Scenario(SDS)、「物理的気候シナリオ」では、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書(2014年発表)による地球温暖化シナリオ(RCP8.5)を参考にし、インパクト分析を行いました。

 なお、シナリオ分析により特定した事業機会を獲得していくために、カーボンニュートラルに関わる領域での事業成長を目指すグローバルな組織を編成し、事業機会を探求するとともにカーボンニュートラル社会の実現に向けた取組みを推進しております。

 当社グループの機会・リスクを整理し、調達、操業、製品・サービスにおいて考えられるインパクトを分析、統合化した結果は「図表3 TCFDシナリオ分析」のとおりです。

 

(図表3)TCFDシナリオ分析

タイプ

気候変動
リスク項目

評価

事業リスク

事業機会

当社の対応

移行

政策規制

カーボンプライシング制導入

大

〈中長期〉

・税負担の増加による収益減少

〈中長期〉

・早期対応の差別化による事業機会獲得

・PPAやグリーン電力証書による再生可能エネルギーの導入拡大

技術

低炭素な代替製品への置換・省エネの進展

中

〈中長期〉

・低炭素製品選別による既存商材の売上減少

〈短中期〉

・省エネによる収益幅増大

・低炭素化に資する既存製品の需要拡大

〈中長期〉

・低炭素化に寄与する環境貢献商材の事業機会拡大

・環境貢献商材の開発促進

・DX技術の導入などの生産性改善による省エネルギー化促進(SAITEKI導入(注1)、配送最適化)

市場

市場ニーズの変化

顧客の事業活動の変化

大

〈長期〉

・既存顧客である鉄鋼・化学セクターのプロセス変更に伴う売上減少

・水電解プロセスの需要拡大に伴う副生O2ガスを活用した新規参入による売上減少

〈中長期〉

・ブルー/グリーン水素需要の拡大

・グリーン燃料の需要拡大

・CCUS(注2)に向けたCO2回収需要の拡大

・カーボンフリー(H2、 NH3)燃焼技術の導入推進/拡大

・酸素燃焼の利用拡大

・CCUS(注2)に対応した中規模CO2回収需要の獲得

・HYCO事業によるH2供給事業の拡大

・環境貢献商材の拡販

評判

業界批判

大

〈中長期〉

・GHG排出企業への投資家評価低下

〈中長期〉

・GHG削減貢献を示すことで安定した資金調達の継続

・統合報告書などによるGHG削減貢献の定量データの開示

・サステナビリティ情報の開示促進

物理

急性

災害の激甚化

台風頻発

豪雨・干ばつ

中

〈中長期〉

・異常気象に伴う災害による工場の操業停止

・支払保険料の増加

-

・災害対策の推進

・保険の活用

慢性

海面上昇

平均気温の上昇

小

〈長期〉

・気温上昇に伴う空気分離装置のランニングコスト増による収益幅縮小

〈中長期〉

・疾病治療に対する医療製品の需要拡大

・老朽化の進んだ空気分離装置のリプレースによるランニングコスト低減

・医療用酸素などの提供

(注)1.数値解析を用いた空気分離装置の最適操業手法

2.Carbon Capture, Utilization and Storage

 

 シナリオ分析評価の結果「大」/「中」と判定された機会・リスクである下記の4項目に関して、自社事業への財務的な影響について定量的試算を実施いたしました。試算結果は下記のとおりです。なお、本試算は2024年時点のものとなります。

カテゴリ

項目名

シナリオ

試算内容

試算結果

事業リスク

税負担の増加による収益減少

1.5℃

当社グループの2030年時点の炭素価格による財務影響額

594億~925億円

事業リスク

既存顧客である鉄鋼・化学セクターのプロセス変更に伴う売上減少

―鉄鋼分野におけるプロセス変更の見通し―

2℃未満

当社グループ及び関連会社の2050年時点の高炉向け酸素売上高

300億円

(現状の600億円から半減)

事業リスク

異常気象に伴う災害による工場の操業停止

4℃

2050年に100年に一度の洪水が発生した際の当社グループの生産拠点の被害額

360億円

(災害保険の適用を考慮時は180億円)

事業機会

ブルー/グリーン水素需要の拡大

1.5℃

2030年、2050年時点のブルー/グリーン水素の市場規模

13兆~41兆円(2030年)

60兆~218兆円(2050年)

 

上記試算結果の詳細

<リスク>カーボンプライシング導入:税負担の増加による収益減少

 当社グループは、2050年カーボンニュートラルを目指すとともに、「NS Vision 2026」において、GHG排出量を、2019年3月期を基準年度として、2026年3月期18%、2031年3月期32%削減に取り組んできました。当社グループの2031年3月期のGHG排出量(Scope1+2)は、約455万トンの見通しであり、IEA WEO2023のNZEシナリオを踏まえ、2030年度の炭素価格単価を約1.3万~2万円/t-CO2e(90~140 米ドル/t-CO2e)と想定し、顧客に価格転嫁できない場合、その炭素価格による当社グループの財務影響額は、年間594億~925億円という試算となります。さらなるGHG削減に向けて、空気分離装置のリプレースやグリーン電力証書の購入、再生可能エネルギーの導入などを進めていきます。

<リスク>顧客の事業活動の変化:既存顧客である鉄鋼・化学セクターのプロセス変更に伴う売上減少

 当社グループ及び関連会社の高炉+転炉向け酸素の売上高は、当社グループ連結売上の5%程度(約600億円)と推計されます。IEA ETP2020のSDSシナリオにおける「製造方法別の製鉄量の見通し」を踏まえ、鉄鋼分野における酸素需要量の変動を考慮すると、当社グループ及び関連会社の2050年の高炉+転炉向け酸素の売上高は300億円という試算となります。鉄鋼分野において、今後、需要増が見込まれる電炉及び直接還元製鉄などにおいても酸素は利用されており、これらの需要獲得に取り組んでいきます。

<リスク>災害の激甚化:異常気象に伴う災害による工場の操業停止

 WRI(世界資源研究所)によるAqueduct Floodsのシミュレーションによる、当社グループの主要生産拠点130カ所について「4℃シナリオ・2050年」「100年に一度の洪水影響」の被害見通しを確認し、国内外17カ所について、0.1m以上の浸水被害が予想されました。国土交通省による「治水経済調査マニュアル(案)令和2年4月版」を踏まえ、浸水深に基づく「販売機会ロス(営業停止損失額)」及び「在庫・設備(償却資産)への損害影響」の算定式から拠点別の被害額を算定した結果、全拠点合計で、100年に一度の洪水1回当たり約360億円の被害が想定されました。一方で、すでに加入している災害保険の適用を考慮すると被害は約180億円まで低減できる試算となります。4℃シナリオにおけるリスクとして認識している水害リスクについては、主要な生産拠点の浸水の可能性を重要リスクとして特定いたしました。災害対策の推進や災害保険の活用などの取組みを引き続き進めていきます。

<機会>市場ニーズの変化:ブルー/グリーン水素需要の拡大

 IEA「Net Zero Emissions by 2050(2023update)」によると、ブルー/グリーン水素など低排出水素の需要は、主に2030年以降に拡大する見通しであり、2030年には70Mt-H2、2050年には420Mt-H2の需要が見込まれています。またIEAのNZEシナリオでは、ブルー/グリーン水素の水素製造コストがレンジで示されており、ブルー/グリーン水素合算で、2030年には13兆~41兆円、2050年には60兆~218兆円の市場が想定されます。脱炭素社会への移行に伴う機会として、HYCO事業によるブルー/グリーン水素供給事業などの拡大を進めていきます。

 

 

③ リスク管理

 気候変動への対応にかかわるリスク管理に関しては、「(1)サステナビリティ全般 ③ リスク管理」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 当社グループは、カーボンニュートラル社会の実現を目指し、2050年までに当社グループのGHG総排出量の実質ゼロに取り組んでいます。「NS Vision 2026」では、2019年3月期を基準値とした当社グループのGHG総排出量削減目標を設定し、カーボンニュートラル社会への移行を推進しております。

 2026年3月期実績は、2026年9月以降に当社ウェブサイト上で公表する「統合報告書2026」をご参照ください。

 

 

Scope1+2

単位

2019年3月期

(基準年)

2025年3月期

(実績)

2026年3月期

(目標)

2031年3月期

(目標)

GHG総排出量実績

千t-CO2e

6,673(注)

5,258

-

-

GHG量削減率

(基準年対比)

%

-

△21.2

△18

△32

Scope1:事業者が所有又は管理する排出源から発生する温室効果ガスの直接排出

Scope2:電気、蒸気、熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出

(注)基準値である2019年3月期のGHG排出量は、統合報告書での報告済みGHG総排出量実績に、米国HYCO事業、欧州事業、米国輸送、アジア・オセアニア輸送、米国子会社(Continental Carbonic Products, Inc.(2023年12月、Matheson Tri-Gas, Inc.(2026年4月1日付けでNippon Sanso Matheson, Inc.へ商号変更しております。)に統合)、Western International Gas & Cylinders, Inc.)、日本子会社(国際炭酸株式会社(2025年4月、日本液炭株式会社に統合))等のGHG排出量を加算、日本子会社(株式会社堺ガスセンター、大陽日酸エネルギー株式会社(現 アストモスリテイリング株式会社))のGHG排出量を減算。

 

 

 また、当社グループでは、2026年3月期までに当社グループが排出するGHG排出量を上回るGHG削減貢献量を計上する目標に取り組んできました。2025年3月期では、新たな環境貢献製商品として大気中のCO₂排出量の増加を抑えることができるバイオ燃料由来のCO₂を製品ラインナップに加えるなど、2025年3月期の時点で、目標水準はすでに上回っており、2026年3月期まで維持継続を目指してきました。

〔目標〕(環境貢献製商品(※)によるGHG削減貢献量)>(当社グループのGHG総排出量実績)

(※)SF6回収サービス、燃焼式排ガス処理装置、SCOPE-JETⓇ、エムジーシールド、レーザー加工用窒素ガス供給システム(PSA)、サーモスシャトルシェフ、水素ステーション、新冷媒、高炉/電炉の酸素富化燃焼、Ar溶接、バイオ由来CO₂

 

 集計範囲:日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの連結子会社。なお、GHG削減貢献量実績には大陽日酸株式会社(2026年4月1日付けで日本酸素株式会社へ商号変更しております。)の一部の関連会社を含んでいます。
「温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン(経済産業省2018年3月)」等に基づいて算定。

 

単位

2025年3月期

(実績)

GHG総排出量実績

千t-CO2e

5,258

GHG削減貢献量実績

千t-CO2e

8,104

 

 当社グループでは、7つの産業横断的な指標の一つである内部炭素価格について、2024年4月より導入し、投資判断の際の指標の一つとして活用しております。価格については、IEA WEO2023のNZEシナリオを踏まえ、設定いたしました。

 

指標

内部炭素価格の種類

対象GHG排出量

価格

内部炭素価格

シャドウプライス

Scope1+2

85 米ドル/t-CO2e

 

(3)人的資本に関する開示

 当社グループの事業は、世界各地で活躍する約2万人の社員一人ひとりの能力発揮により営まれております。世界4極で展開する産業ガス事業グループ各社とサーモスグループに企業理念とグループビジョンのさらなる浸透を図り、グローバルで共通の価値観を持った人財を育成していくことで、当社グループのさらなる発展を目指しております。

 

① 基本的な価値観

 当社グループは、2021年2月に「人権の尊重と地域社会への貢献並びに雇用・労働・健康に関するグローバル方針」を制定し、すべてのグループ役員・従業員が本方針並びにグループ行動規範の下で、人権の尊重や適切な労働環境の整備などを通じて、企業としての社会的責任を果たすよう、社内研修等の機会を通して意識付けを行っております。

 また、当社グループはグループ理念タグラインとして「The Gas Professionals」を掲げております。グローバルに事業を展開する産業ガスメーカーとして社会的貢献を果たしたいという使命感を持つ人財の育成に取り組んでおります。その育成の際に大切にしている価値観が「体・徳・知」です。これは当社の前身、旧大陽日酸株式会社の時代から脈々と受け継がれてきたものでサーモス事業にも共通する価値観です。海外のグループ会社においても、「体・徳・知」のエッセンスを踏まえて各社独自の価値観を加味するなど理解しやすい形で共有されております。

 

 

② 持続的成長のための人財育成戦略

 「NS Vision 2026」では、5つの重点戦略の一つであるサステナビリティ経営の推進における施策の一つとして、持続的成長のための以下3点の人財育成戦略を当社グループ全体で取り組む人財戦略として掲げて推進してきました。

 

1. 多様な人財の受入れ及び働きやすさの確保

 変化の激しい事業環境や労働市場等に対応し、「NS Vision 2026」で掲げた5つの重点戦略やセグメント別戦略等を実現するため、性別や国籍を問わず、多様な人財の確保とその能力を十分に発揮できるよう働きやすい環境の整備を進めてきました。

 多様な人財とは、人種、国籍、民族、性別、年齢、専門性や異なる経験など様々なバックグラウンドを持つ個人を広く含む概念と捉えており、これらの人財の多様性を尊重し、受け入れることで、イノベーションの創出や経営の持続可能性向上につながると考えております。2025年に、グループ共通スローガン「Respect Every Voice, Value Every Difference」を策定し、頭文字を取った「REVVED」を、グループの多様性推進における基本価値観として位置づけております。また、国際女性デーには、REVVEDの考え方のもと、各地域の従業員が自身の経験や想いを共有するグループ横断型の動画イベントを実施し、多様性の重要性を全従業員が自分ごととして捉える意識醸成を図っております。

 サステナビリティKPIとして定めている女性活躍については、主に勤務形態を含む職場・就業環境に起因する要因から日本を含む一部の地域で取組みが遅れていることを踏まえ、「NS Vision 2026」の最終年度(2026年3月期)の当社グループ全体の定量的な目標値を定めて取組み(※)を進めてきました。

 

2024年3月期

(実績)

2025年3月期

(実績)

2026年3月期

(目標)

当社グループ女性従業員比率

20.2%

20.8%

22%以上

当社グループ女性管理職比率

15.4%

16.7%

18%以上

(※)取組み具体例

 相対的に女性活躍が進んでいる欧州では、将来的に経営幹部の役割を担う意欲のある女性管理職の社内認知度向上や能力開発を支援するメンターシッププログラムや、女性間の社内ネットワーク活動を推奨・支援する取組み等を推進しており、2021年から開始したメンターシッププログラムは総勢31名がプログラムを終了しており、2025年秋より第3期が開始され、現在17名が参加中です。

 一方、日本では、大陽日酸株式会社において、「大陽日酸 ダイバーシティ&インクルージョン宣言」の発信と2030年までの「D&I 中期アクションプラン」を策定いたしました。D&Iが当たり前となる企業風土の醸成をゴールに設定し、2024年度、2025年度は、「D&I推進の理解促進」、「風土醸成・意識改革」、「環境整備」の3つを取組みの柱とし、さまざまな施策を展開しております。D&I推進の理解促進においては、社長からのメッセージ発信の機会を増やすとともに、各地で全社員対象のタウンホールミーティングを開催し、社員同士の座談会の機会を設けるなど、社長や人事部門と社員との対話の機会を作りました。さらに、上級管理職における多様性の実現を目指し、女性リーダー育成強化策として、女性管理職を対象としたスポンサーシッププログラムや管理職候補層女性対象のキャリア・デザイン研修を実施しております。これらの取組みにより、情報発信、イベントの開催、研修を通じ女性活躍推進及び多様性推進を一層加速させております。

 また、米国でも新たに女性主導のワーキンググループが結成され、社内イベントや意見交換会、啓発活動など、女性活躍推進に向けた様々な活動が展開されております。さらに、その他の地域においても、それぞれの課題や文化的背景に応じた多様な取組みが進められており、グループ全体として女性活躍推進に関する活動の広がりと活性化を図っております。

 

 なお、あらゆる人財が能力を十分に発揮できる働きやすい環境であるか、企業理念やグループビジョンは浸透しているかなど、当社グループ従業員と会社との間のエンゲージメントの強さを測定する手段として、2022年よりグループエンゲージメント調査を継続して実施しており、グループ各社が調査結果を分析し、エンゲージメント向上の改善アクションに取り組んでおります。今後も、調査から聞こえてくる「社員の声」やその変化に定期的に耳を傾け、社員が働きやすい環境を整備し、能力発揮の支援に繋げてまいります。

 

 

2. 地域を超えた人財交流の促進

 イノベーションを生み、仕事の生産性を向上させるためには、人財交流は非常に有効な手段といえます。消費地立地のビジネスモデルである産業ガス事業では、長い間それぞれの国・地域で続けてきた仕事のやり方をより良い方向に転換していくためには、異なる価値観や経験を持った人が互いに意見を出し合い、新たな気付きを持つことが必要です。当社グループでは、すでに各事業会社の優れた取組みを他の国・地域の事業会社へ共有して生産性向上によるグループ総合力強化に大きな成果を出しております。

 また、当社グループ全体で取り組むべき共通の課題への対応には、事業会社の枠を超えて、それぞれの分野で専門的な知見や経験を持つ世界中の優秀な人財が集まって施策に繋げることができるように、ネットワークや組織を構築することが有効です。当社グループでは、すでにITセキュリティ分野やカーボンニュートラル等のプロジェクトにおいてこのような体制を組んでおります。

 さらに、地域を超えた人財交流はこのような事業面の効果のみならず、当社グループを将来牽引していくべきグローバル人財に必要なコミュニケーション力・主体性・積極性・異文化理解等のスキルやマインドを会得・醸成する機会としても非常に有効であると認識しております。また、多様な人財を受け入れて職場内ダイバーシティを促進するという側面もあり、あらゆる形態で人財交流を積極的に推進してまいります。

 

3. 後継者育成計画の強化

 当社グループのガバナンス体制において、次世代経営者の育成は重要な課題です。産業ガス事業の多くは「地産地消型」のビジネスモデルではあるものの、グループ横断的な取組みによる総合力発揮をさらに高めるためには次世代経営幹部候補が計画的に多様な経験を積むことができる機会等を得られることが重要であると考えております。

 複数の独立社外取締役及び代表取締役社長 CEOで構成され、独立社外取締役を委員長とする指名・報酬諮問委員会では当社グループの次世代経営者にもとめられる資質や選抜プロセス、育成方針、候補者の選定について継続的に議論を重ねております。具体的には次世代経営者には高い倫理観と人格、産業ガス事業における豊富な経験、さらにグローバルな視点、優れたリーダーシップ、実行力、戦略的思考力、コミュニケーション能力が必要であるとして、経営者候補の育成及び評価に関する取組みを進めております。当社グループは世界30を超える国と地域で事業を展開しており、産業ガス事業の消費地立地という特徴や各地域の産業構造に精通してグローバルな視点で経営を担うことのできる人財を今後さらに育成していきます。

 

③ 人財育成戦略を実現するための体制

 上記グループ全体で取り組む人財戦略は、主要な地域事業会社の人事責任者が出席するグローバル人事コミッティの場で定期的に議論を行って施策の検討を行っております。検討結果を地域事業会社の代表者が出席するグローバル戦略検討会議等において報告し理解を深め、グループ一体となって実効的な取組みを進めております。

 また、展開する国・地域ごとの労働関係法規や文化・慣習に沿ってそれぞれが直面しているさまざまな人事課題は異なるものの各社が取り組むべき従業員エンゲージメントの向上や多様な人財が活躍できる基盤を強化する方向性は共通していることから、定期的に開催している上記コミッティ等を通じて各社の人事施策に関する先進事例や取組みを共有しグループ総合力の強化に相互に貢献をしております。