2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

(1)当社グループのリスクマネジメント体制

当社グループは、2020年10月の純粋持株会社体制への移行を機に、よりグローバルな視点に基づく、全社的なリスクマネジメント体制を構築いたしました。「グローバルリスクマネジメント会議」を中心に、グループにおける役割と責任を明確化し、経営上のリスクを中長期視点から評価し、リスクマネジメント活動の最適化を図っています。

代表取締役社長 CEOは、「グローバルリスクマネジメント統括責任者」として、全社的なリスクマネジメント体制の整備・運用に関する最終的な責任を担います。また、各事業会社社長等は「地域リスクマネジメント統括責任者」として、所管する地域のリスクマネジメント体制の整備・運用に関する責任を担います。地域リスクマネジメント統括責任者のもとには、「地域リスクマネジメント推進担当者」をおき、各地域のリスクマネジメントを推進しています。

「グローバルリスクマネジメント会議」は同時期に開催される「グローバル戦略検討会議」と連携し、グループ全体の事業戦略をリスクと機会の両面から捉えることに努めています。また、「グローバルITセキュリティ評議会」、「グローバルコンプライアンスコミッティ」ともリスク情報を共有しながら、全社的なリスクマネジメント活動を推進しています。当社グループのリスクマネジメントの体制図は、図表1をご参照ください。

 

(図表1)当社グループのリスクマネジメント体制図

 

(2)リスクマネジメントのプロセス

当社グループでは、事業を取り巻く外部環境・内部環境の変化をリスクと機会の両面から特定・評価します。リスク評価にあたっては、様々な国・地域・領域で事業を展開する事業会社のリスクと、持株会社としての当社のリスクをグループ共通の枠組み(リスクカテゴリ、リスク定義、リスク評価基準)で評価します。

グループ全体のリスク評価結果に基づき、「グローバルリスクマネジメント会議」にて、リスク認識、リスク対応を共有し、当社グループの重要リスクを選定します。経営トップの判断のもと、リスクの優先順位、対応方針を定め、重要リスク低減に向けた活動をグループ全体で推進してまいります。

リスクマネジメントプロセスは、「当社及び事業会社におけるリスクマネジメントプロセス」と、当社グループとして特に優先して組織的な対応が必要である「重要リスクに関するリスクマネジメントプロセス」があり、いずれもリスクの特定、リスクの評価、リスク対応方針の決定、リスク対応策の決定、リスクへの対応、モニタリング・見直しで構成されます。

 

また、事業環境の変化が著しい昨今は、変化に応じたリスク対応の強化・見直しが必要となります。当社グループでは、各事業会社とグローバルリスクマネジメント推進事務局が「リスクマネジメント連絡会」を定期的に開催し、事業環境の変化や、それに応じたリスク対応の強化・見直し等のモニタリングを実施し、リスク情報とベストプラクティスの共有を図っています。

 

(3)グローバルリスクマネジメント会議

当社グループは「グローバルリスクマネジメント会議」を原則年1回開催します。グローバルリスクマネジメント会議は、当社代表取締役社長 CEOを議長とし、執行役員、室長、監査役、グループCCO、地域リスクマネジメント統括責任者及び議長が指名する者で構成し、当社グループの重要リスクの選定、対応に関する事項、全社的なリスクマネジメントの基本方針、規程、及び計画に関する事項等について審議を行います。

当社グループの重要リスクの選定にあたっては、グループ共通のリスク評価基準である「発生頻度」(5段階)「影響度」(5段階)とともに、以下図表2の考え方を踏まえて検討します。

 

(図表2)当社グループの重要リスク選定の考え方

 

2023年度のグローバルリスクマネジメント会議では、昨年度の重要リスクテーマ、そしてこの1年間の環境変化を踏まえ、以下を当社グループの重要リスクテーマとして選定しました。

 

1.外部環境・内部環境の変化

地政学リスク・サプライチェーン、法規制、カーボンニュートラル

2.基盤事業の維持・強化

合弁事業におけるコーポレートガバナンス、技術開発の連携強化

3.上記を支える人材の確保・育成

人材不足、後継者計画

 

上記の重要リスクテーマごとに各事業会社、NSHD各室におけるリスク認識、リスク対応策を比較し共有しました。特に深刻さを増している地政学リスク、サプライチェーンリスクの他、技術開発の連携強化等について議論し、当社グループ全体でリスク対応を推進していくことを確認しました。それぞれの事業環境により、リスク認識、リスク対応策は異なりますが、その背景と違いを理解し、リスクを多面的に捉えることにより、当社グループにおけるリスクマネジメント活動の更なる向上を図ります。

 

今後も当社と各事業会社が連携しながら、重要リスクテーマの対応状況の確認や、リスク低減に向けた取組みを進めてまいります。上記を踏まえた当社グループの「事業等のリスク」は以下のとおりです。

 

 

(4)事業等のリスク

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

 (1) 経営戦略・事業に関するもの

① グローバル事業展開について

当社グループは、現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各国における事業運営は、これらの国・地域における市場動向、政治、経済、慣習、宗教、テロ、紛争、大規模災害その他の要因によって、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は各地域を統括する事業会社との意思疎通と情報共有を進め、迅速な意思決定に努めております。

 

② 設備投資について

当社グループは、各国に工業ガスの製造拠点を有しており、大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置し、パイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。また、新たな分野を含め、今後ともビジネスチャンスの獲得に向けた投資を進めてまいりますが、産業構造、及び需要動向の変化による鉄鋼、化学、石油精製、半導体、自動車等、主力顧客の操業率の低下や、生産拠点の統廃合や移転などにより、当社グループの製造設備の稼働率が低下し、或いは設備の全部又は一部が不要になり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損等の発生により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 製造コストについて

主力の酸素、窒素、アルゴンの製造コストのうち大きな割合を占める電力コストは、原油やLNG価格の世界的な高騰を受けて大幅に上昇しており、主力製品の製造コストは高止まりが継続しております。それに対し、販売価格への転嫁を実施しておりますが、製造コストの上昇が継続し、転嫁が充分に行えない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、各国の電力エネルギー市場は、電源構成の大幅な変動による大きな影響を受け、製造コストへの影響は予測が困難であり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ サプライチェーンについて

当社グループが取り扱う産業ガス製品には、各種成分を混合させて製造する半導体特殊材料ガスや、産出される天然ガス田の大半を北米や中東が占めるヘリウムガスなど、グローバルなサプライチェーンが不可欠な製品があります。これらの製品は、生産状況の変動や生産国における地政学リスクの高まりによって、また近年の世界的なコンテナ不足や海上輸送状況の変動によって、お客様への安定供給に支障が生じるリスクがあり、支障が生じた場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 情報セキュリティについて

当社はグループ全体でグローバル化とデジタル化への取組みを進めておりますが、一方でサイバー攻撃はますます巧妙化しており、当社及び当社グループ会社において業務の中断やデータの不正流出など、予期せぬ状況や損害が発生する恐れがあります。当社はこうした情報セキュリティリスクに対処するため、「グローバルITセキュリティ評議会」を設置し、サイバーセキュリティ等に関するコントロールを組織全体に導入しています。またシステムやネットワーク内の脆弱性や潜在的な侵入箇所を特定する目的で、包括的なリスク評価を実施しています。

 

⑥ 気候変動について

地球温暖化等環境課題に関する取組みや気候変動等のリスクを開示する要請が高まっています。当社グループは、全社的に環境マネジメントを推進し、2019年11月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」賛同を表明しました。TCFD推奨事項に沿った開示を拡充していくことで、気候変動等に関するリスク及び機会の分析を進めております。

例えば、炭素税や排出権取引に代表される温室効果ガス排出にかかわる規制及び制度が導入された場合、間接的な温室効果ガス排出量が多い事業における税負担により利益が減少する可能性があります。そのため、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの利用促進と電力のグリーン化、CO2回収とカーボンオフセット等の対応を進めてまいります。また、環境負荷低減にかかわる商材への切り替えや、鉄鋼・化学セクターにおける低環境負荷な製造プロセスへの変更を踏まえ、カーボンフリー(水素:H2/アンモニア:NH3)燃焼技術の導入及び拡大を図っております。

気候変動に関する当社の取組みについては、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」にて、詳細に記載しております。

 

⑦ 法規制等について

当社グループは、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアにおいて事業を展開しておりますが、各国において予想外の法規制の変更、法律・規則の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合には、対応コストの増大により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは各国において輸出を規制する法律・規則の対象となる製品・サービスの輸出を行っております。国際情勢の変化により各国の輸出規制が強化された場合には、特定の国もしくは企業への製品・サービスの輸出が減少する可能性があります。この場合には輸出の減少により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、国際情勢の変化により、当社グループが製品を輸入している特定の国もしくは企業が各国の法律により制裁対象となることがあります。その場合には当該製品の輸入を行うことができず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社グループは、国内外において事業を遂行する上で、産業ガス事業を規制する法律・規則だけでなく、競争法や環境保護又は輸出規制等に関する法規を担当する規制当局による調査を受けるリスクを有しており、調査の結果、罰金の支払命令、事業の停止命令、許認可の取消等の当社グループに不利益な決定がなされた場合、当社グループの事業展開、経営成績、財政状態及び信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 人財について

当社グループは現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各地域の事業運営には安定的に労働力を確保することが不可欠であり、目標達成には、生産、エンジニアリング、マーケティング、販売、物流、管理等の各機能や経営全般を担う人財や関連法規で要求される資格や技能を有した人財、さらにグループ総合力の強化の取組みを促進するため、グローバルな視点をもった人財が必要です。そのため、多様な人財を受け入れる職場環境を醸成する施策や従業員のエンゲージメントを向上させる施策をグループ全体で促進し、人財の定着、及び採用の競争力向上に努めています。

 

⑨ 技術開発について

当社グループは、積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。例えば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、関連市場の状況の大きな変化により、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性や、他社の新技術・新製品、代替製品により当社グループ製品の競争力が低下する可能性があります。当社グループでは、各開発プロジェクトの進捗と市場環境の変化に合わせて、適時プロジェクトの見直しを図っています。また、グループ内で情報共有を行い、技術開発活動に反映することで、当社技術の競争力向上に努めています。

 

 (2) 技術・保安に関するもの

当社グループは、保安、環境、品質・製品安全、知的財産に係るリスクを技術リスクとして定義し、原則年1回開催する「グローバル戦略検討会議」の中で、各事業会社の取組み状況を確認し、持株会社としての取組み方針を決定しています。また、当社と各事業会社の保安、環境、品質保証、知的財産の責任者を委員とする「技術リスク連絡会議」を年2回開催し、会議の決定事項に取り組み、技術リスクの低減に努めています。

 

① 保安について

当社グループは、高圧ガスの製造・販売等を行っており、これらの製品については、高圧力や極低温による危険性のほか、液晶や半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、これら製品の製造・供給については、取り扱う従業員に対して階層別や応募型の教育を行っています。特に、体験型技能研修施設であるテクニカルアカデミーにおいて、ガスの物性や危険性及びその取扱いについて講習することで、設備事故はもとより労働災害事故の撲滅を目指します。また、アジア・オセアニア地域の海外現地法人向けにも講習を拡充し、安全文化の醸成による保安の確保に万全を期しています。

 

 

② 環境について

当社グループの事業は、大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理など、事業展開する各国の環境規制に従って、業務を遂行しております。当社グループが現在及び将来の環境規制を遵守できなかった場合や当社グループが責任を負う汚染が発見された場合、罰金、汚染物質の除去費用又は損害賠償を含む費用や、施設及び設備を改良する投資が必要となる可能性があります。また、将来的に環境に対する法規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性があります。当社グループでは、環境マネジメントシステム、保安・環境監査などにより、環境法令遵守に努めています。

 

③ 品質・製品安全について

当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらの製品に万が一欠陥や品質不良、故障が生じた場合には、お客様からの信頼の低下や損害賠償の負担などにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、法令やお客様の要求事項を確実に満たすために品質管理を実施し、また、販売開始前に安全審査を行い、製品に起因するリスクを適切に管理しております。

 

④ 知的財産について

当社グループは、知的財産を企業の競争力を高めるための経営資源と位置づけており、必要な知的財産権の取得及び保護を推進しております。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。そのため、必要に応じて弁護士、弁理士、政府機関等の協力を得ながら、当社グループの保有する特許、ブランド、デザイン及びその他の知的財産に関する侵害品、模倣品の監視及び排除に努めています。

一方、第三者の有効な知的財産権に対しては、代替技術の開発又は技術的な回避策を事業部門及び開発部門と連携して講じるなど、第三者の知的財産の侵害を回避する体制を構築しております。これまで当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にありますが、訴訟を提起された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、第三者の知的財産権を尊重することをポリシーとして掲げ、定期的な知的財産教育を行うことで、当該リスクの低減と最小化に努めております。

 

(3) 財務に関するもの

① 為替レートの変動について

当社グループは、特殊ガス、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、在外連結子会社の外貨建財務諸表金額は、連結財務諸表作成過程において円換算されるため、為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 金利の変動について

当社グループは、事業戦略に基づき設備投資、M&Aを実施し、その資金を主に金融機関からの借入や社債によって調達しております。当社グループは主に固定金利による借入を行っておりますが、2019年3月期に実施した米国Praxair, Inc.の欧州事業の買収のための調達は、大部分を変動金利による借入もしくは一定年数後に固定金利から変動金利に変更されるハイブリッドファイナンスで行っており、今後の金利変動によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 三菱ケミカルグループ㈱との資本関係について

三菱ケミカルグループ㈱は当社発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付けで締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、当社に対する持株比率の維持について合意しており、現状において持株比率を増減させる方針はないと認識しております。

しかしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ のれん及び無形資産について

当社グループは、企業買収等に伴い、のれん及び無形資産(以下、「のれん等」という。)を連結財政状態計算書に計上しております。当社グループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん等を計上する可能性があります。当社グループは、のれん及び耐用年数の確定できない無形資産について毎期減損テストを実施し評価しております。経済の著しい悪化等により対象事業の成長率が大幅に低下した場合や、市場利率等の上昇により処分コスト控除後の公正価値及び使用価値の計算に用いられている割引率が大きく上昇した場合などには、回収可能価額が著しく減少して減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) その他

大規模自然災害、感染症等について

大規模自然災害が発生した場合、当社グループの事業拠点が甚大な被害を受ける可能性があります。大規模な各種自然災害によって大型の製造拠点が被災した場合、労働力や生産機能の大幅な低下、巨額の復旧費用等の発生は避けられず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ事態や複合的災害、感染症などが発生した場合は、当社グループの事業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの緊急事態発生に備え、当社グループでは、平時において事業継続計画(BCP)に必要となる発災直後の迅速な情報収集体制を整え、役職員の人命と安全を守る活動と、中核となる事業の継続や早期復旧に必要な取組みを進めております。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、企業体質の充実、強化に向けた内部留保に意を用いつつ、安定的な配当の継続を基本に、連結業績との連動を考慮した配当政策により、株主の皆様への還元に努めていきたいと考えております。利益配分につきましては、中間と期末の年2回剰余金の配当を行うことを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

この方針の下、当期の期末配当金は、前期に比べ4円増配の1株当たり24円に決定いたしました。したがいまして、年間では中間配当の1株当たり20円と合わせ、1株当たり44円となります。また、次期の配当につきましては、1株当たり年間48円(うち、中間配当24円)を予定しております。内部留保資金の使途は国内外の設備投資資金等を予定しております。

当社は、会社法第454条第5項の規定により取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年10月31日

8,658

20

取締役会決議

2024年6月19日

10,389

24

定時株主総会決議