リスク
3【事業等のリスク】
以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社の財政状態、経営成績等に与える影響の内容につきましては、合理的に予見することが困難であるものについては具体的には記載しておりません。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
①市場について
当社グループが提供するソリューションのコアターゲット市場は、DX市場の営業・マーケティング・カスタマーサービス領域を想定しております。
当該領域の市場規模は、2030年には3,702億円の規模にまで達すると予測されております(注)。
当社グループでは、今後も市場の順調な成長を見込んでおりますが、上記の予測通りに市場が拡大しなかった場合には、当社グループの事業展開及び財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
出典
(注)富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」
②競合他社の動向について
現在、当社グループがサービス提供を行う市場をターゲットとした事業を展開する競合企業が複数存在しており、また、今後の市場規模拡大に伴い新規参入が相次ぐと考えております。当社グループは幅広い顧客ニーズに対応できるサービスラインナップの拡充を進め、積極的なマーケティング活動やクライアントサポートの充実に取り組むことで市場における優位性を構築し、競争力を向上させてまいりました。今後も顧客目線に立ってサービスをより充実させていく取り組みを積極的に行ってまいりますが、他に優れたビジネスモデルの競合会社が現れた場合等には、既存事業者や新規参入事業者を含めた競争の激化により、当社グループの事業展開及び財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③技術革新への対応について
当社グループのサービスは、技術革新のスピードが早く、先端のニーズに合致させたシステムソリューションの構築を行うためには、常に先進の技術ノウハウを把握し、当社グループの技術に取り入れていく必要があります。
このため、当社グループは、エンジニアの採用・育成や創造的な職場環境の整備、技術、知見、ノウハウの取得に注力するとともに、開発環境の整備等を進めております。しかしながら、係る知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。更に、新技術への対応のために追加的なシステム、人件費などの支出が拡大する可能性があります。このような場合には、当社グループの技術力低下、それに伴うサービスの質の低下、そして競争力の低下を招き、当社グループの事業展開及び財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④システムトラブルについて
当社グループの事業は、すべてインターネットを介して行われており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信ネットワークに依存をしております。安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備等の強化や社内体制の構築を行っておりますが、アクセスの急激な増加等による負荷の拡大、地震等の自然災害や事故等により予期せぬトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こった場合には、当社グループの事業展開及び財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業体制に関するリスクについて
①優秀な人材の獲得・育成について
当社グループは、今後急速な成長が見込まれる事業の展開や企業規模の拡大に伴い、継続的に幅広く優秀な人材を採用し続けることが必須であると認識しております。質の高いサービスの安定稼働や競争力の向上に当たっては、開発部門を中心に高度な技術力・企画力を有する人材が要求されていることから、一定以上の水準を満たす優秀な人材を継続的に採用すると共に、成長ポテンシャルの高い人材の採用及び既存の人材の更なる育成・維持に積極的に努めていく必要性を強く認識しております。
しかしながら、当社グループの採用基準を満たす優秀な人材の確保や人材育成が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②内部管理体制の構築について
当社グループは、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、更に法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③特定人物への依存について
当社の代表取締役である須藤憲司は、創業者であると同時に創業以来当社グループの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。当社グループでは、取締役会やその他会議体において役員及び社員への情報共有や権限委譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
しかしながら、現状では何らかの理由により同氏が当社グループの経営執行を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④海外展開に関するリスク
当社グループは、収益機会の拡大に向けて米国等でグロースセグメントを展開しております。
一方、海外展開にあたっては、法律・税制を含む各種規制、経済的・政治的不安、文化・クライアントの嗜好・商慣習の違い、為替変動等の様々な潜在的リスク、事業展開に必要な人材の確保の困難性、及び展開国において競争力を有する競合他社との競争リスクが存在します。当社グループがこのようなリスクに対処できない場合、当社グループの事業展開及び財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)会社組織に関するリスク
①個人情報の保護について
当社グループは、グロースハッカー登録情報をはじめとする個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。これらの個人情報については、個人情報保護方針及び個人情報保護規程を定めており、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。しかしながら、何らかの理由でこれらの個人情報が外部に流出し、悪用されるといった事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績並びに企業グループとしての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
②法的規制について
当社グループが運営・提供するサービスでは、「著作権法」、「個人情報の保護に関する法律」、「下請代金支払遅延等防止法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化に関する法律」といった法規制の対象となっております。
当社グループは、これらの法規制を遵守した運営を行ってきており、今後も社内教育や体制の構築等を行っていく予定であります。しかしながら、今後新たな法令の制定や、既存法令の強化等が行われ、当社グループが運営する事業が規制の対象になる等制約を受ける場合には、当社グループの事業展開及び財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③知的財産権の管理について
当社グループは、運営するサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権の侵害を防ぐ体制として、当社グループの経営管理部門及び顧問弁護士への委託等による事前調査を行っております。
しかしながら、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があり、これらに対する対価の支払い等が発生する可能性があります。また、当社グループが保有する知的財産権について、第三者により侵害される可能性があります。こうした場合、当社グループの事業展開及び財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスクについて
①継続的な投資と赤字計上について
当社グループは、継続的な成長のため、認知度の向上、グロースハッカー数の拡大、大企業を中心としたクライアントの開拓・深耕などに取り組んでいかなければならないと考えております。創業以来、これらの取り組みを積極的に進めていることもあり、2021年12月期以降の四半期毎の業績は以下のとおり推移しております。
(2021年12月期) (単位:千円)
|
第1四半期 連結会計期間 (自 2021年1月1日 至 2021年3月31日) |
第2四半期 連結会計期間 (自 2021年4月1日 至 2021年6月30日) |
第3四半期 連結会計期間 (自 2021年7月1日 至 2021年9月30日) |
第4四半期 連結会計期間 (自 2021年10月1日 至 2021年12月31日) |
連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
売上高 |
571,673 |
477,923 |
520,123 |
690,322 |
2,260,042 |
売上総利益 |
272,882 |
171,439 |
198,913 |
290,966 |
934,202 |
営業利益又は営業損失 (△) |
62,721 |
△31,813 |
△41,543 |
56,355 |
45,720 |
(2022年12月期) (単位:千円)
|
第1四半期 連結会計期間 (自 2022年1月1日 至 2022年3月31日) |
第2四半期 連結会計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年6月30日) |
第3四半期 連結会計期間 (自 2022年7月1日 至 2022年9月30日) |
第4四半期 連結会計期間 (自 2022年10月1日 至 2022年12月31日) |
連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
売上高 |
744,826 |
662,872 |
630,676 |
629,420 |
2,667,797 |
売上総利益 |
311,272 |
254,899 |
199,193 |
189,697 |
955,062 |
営業利益又は営業損失 (△) |
44,006 |
△714 |
△57,865 |
△88,266 |
△102,839 |
(2023年12月期) (単位:千円)
|
第1四半期 連結会計期間 (自 2023年1月1日 至 2023年3月31日) |
第2四半期 連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年6月30日) |
第3四半期 連結会計期間 (自 2023年7月1日 至 2023年9月30日) |
第4四半期 連結会計期間 (自 2023年10月1日 至 2023年12月31日) |
連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
売上高 |
1,082,449 |
1,021,238 |
1,084,853 |
1,154,599 |
4,343,141 |
売上総利益 |
313,160 |
292,494 |
341,117 |
387,837 |
1,334,608 |
営業利益又は営業損失 (△) |
△33,859 |
△52,263 |
10,122 |
50,338 |
△25,661 |
今後も、これまで以上に営業や開発などにおける優秀な人材の採用を積極的に行うとともに、知名度と信頼度の向上のために広報・PR活動、クライアント獲得のためのマーケティングコスト投下などを積極的に進め、売上高拡大に向けた取り組みを行っていく方針であります。
なお、想定どおりの採用が進まない場合、広報・PR活動及びマーケティング活動の効果が得られない場合には、事業計画が達成できない可能性や、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、当社グループの役員及び従業員等に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。また、今後においても新株予約権を利用したインセンティブプランを活用していく方針であります。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、2023年12月31日時点でこれらの新株予約権による潜在株式数は812,455株であり、発行済株式総数16,865,731株の4.8%に相当しております。
③配当政策について
当社は株主還元を適切に行っていくことが重要であると認識しており、剰余金の配当については、内部留保とのバランスを考慮して適切な配当の実施をしていくことを基本方針としております。しかしながら、本書提出日現在では事業も成長段階にあることから内部留保が重要であると考え、配当を行っておらず、今後の配当実施可能性及び実施時期については未定であります。
④税務上の繰越欠損金について
2023年12月期末には、当社グループに税務上の繰越欠損金が存在しております。当社の経営成績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上され支払われることになり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を及ぼします。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置付けておりますが、創業して間もないことから、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、事業の効率化を事業拡大のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。
このことから創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、その他年1回会社法第454条第5項に基づき中間配当を行うことができる旨及び上記の他に基準日を設けて剰余金の配当を行うことができる旨を定款で定めております。なお、当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、剰余金の配当にかかる決定機関を取締役会とする旨を定款で定めております。