2024年2月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,818 100.0 198 100.0 10.9

事業内容

3【事業の内容】

・事業の概要

 当社は「知を創集し道具にする」をミッションとして掲げ、世界に遍在するデータやナレッジ(知見)を集め、またそこからナレッジ(知見)を新たに創り出す活動を継続し、それら集合知を、テクノロジーを用いて誰にでも使える道具(ツール)へと変えて、広くあまねく提供することで、「テクノロジーでビジネスの相棒を一人一人に」というビジョンを実現すべく、事業を行っております。

 

 デジタルを活用したビジネス変革を推進するデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」(*1)という。)に取り組もうと考える企業が増える中、多くの企業はそもそも何から手を付ければ良いか分からない、データがあっても活用方法が分からない等の課題感を持っており、主に『ナレッジ』が不足しているが故にDXを推進できていないと当社は認識しております。

 当社は世界に偏在する知を創集し、その集合知を誰にでも使える道具へと変え、全ての企業や人に開放することを目指します。そのために、デジタル上の『行動解析データ』の収集を行い、さらに“どういったビジネスモデルのどういった企業が何をしたらどういう結果が出たか”という『PDCA(*2)データ』を基に、新たな『ナレッジ』を獲得してまいります。また、こうした『ナレッジ』をコンサルティング、ツール、実行支援、人材など、様々な形で顧客に届けてまいります。

 当社はデジタルマーケティングを中心に、あらゆるビジネスのデータを優れたテクノロジーによって、整理・分析だけでなく課題特定・解決まで行うことで、ビジネスパーソンの生産性を高め、クリエイティビティの最大化を支援しております。

 

 現在、当社は既存のオペレーションのデジタルによる置き換えにとどまらない「構造的なデジタル変革」を顧客の経済活動において実現すべく、成長著しいDX市場において、(1) データ分析でデジタルマーケティングのPDCAを支援するサービス「AI analyst」(以下「AIアナリスト」という。)を中心に、マーケティングのDXを推進するワンストップ・サービス「AIアナリスト・シリーズ」(*3)を提供するプロダクト事業と、(2) DX実現のための戦略立案や組織・オペレーション設計等のコンサルティングを行う「DXコンサルティング」、そして企業・学術機関と共にPoC(*4)等を行う社内研究所「WACUL テクノロジー&マーケティングラボ」などを持つインキュベーション事業、(3) デジタル人材が不足している企業にフリーランスや転職を希望するマーケターをマッチングし、マーケティングDXの内製化を支援する人材マッチング事業により、主に企業の生産性向上と収益向上に資する課題解決ソリューションの提供を、戦略立案などの上流から実行や内製化などの下流まで、幅広く行っております。

 

(*1)DXとは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

(*2)Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返すことによって、業務を継続的に改善していくサイクル及び手法のこと。

(*3)「AIアナリスト」を中心に、「AIアナリストSEO」「AIアナリストAD」などを含む、ソリューション群の総称。

(*4)Proof of Conceptの略称。新規アイディアのフィジビリティ・スタディなどの検証・実証のトライアル活動のこと。

 

 当社は「DX事業」の単一セグメントでありますが、以下に各事業の内容及び当社の事業の特徴を記載いたします。

 

1.プロダクト事業

 プロダクト事業では、当社が「AIアナリスト」をリリースする2015年まで属人的かつ高コストに提供してきた“データ分析に基づくデジタルビジネスの改善活動”を、蓄積されたナレッジを基にテクノロジーを活用し、自動化したツールである「AIアナリスト・シリーズ」として顧客に提供しております。

 

 多くの企業は、デジタルを活用してビジネスを変革するDXの重要性を認識しながらも、そもそも何から手をつければいいか分からない、現状を正しく認識できていない、データがあっても分析や示唆の抽出ができない、分析の工数がとれないといった様々な課題を持っていると当社は認識しております。そうした企業は、DXによって大きく事業を成長させられるポテンシャルを持っていても、改善計画の策定・管理(Plan)、改善施策の実行(Do)から施策の成果測定(Check)そして次の改善方針の見直し(Act)というPDCAサイクルを実行できず、そのポテンシャルを発揮することができていないと考えられます。

 「AIアナリスト・シリーズ」は、これまで高いコストをかけてそうしたPDCA活動を外部に委託してきた企業や、内部で膨大な工数をかけていた企業はもちろん、そもそも費用面やナレッジ不足からそういった改善活動を行えなかった企業まで、“データ分析に基づくデジタルビジネスの改善活動”を求める全ての企業に向けて提供されております。

 

 現在、プロダクト事業ではレポーティング、データ分析及び改善方針の提案と改善幅予測、また実行された施策の成果検証を行う「AIアナリスト」と、「AIアナリスト」の改善方針に従い、実行を支援するサービスラインナップとして、SEO(*5)コンテンツ制作などコンテンツマーケティング支援を行う「AIアナリストSEO」、Webサイトにおけるお問い合わせや購買などのゴールまでを考慮したWeb広告の運用を代行する「AIアナリストAD」などのソリューションを展開しており、「AIアナリスト・シリーズ」と総称しております。

 

 プロダクト事業のソリューションは、一定期間の利用を前提としたリカーリングレベニュー方式(*6、継続収益方式)を採用しています。そのため、解約されない限り継続的に収益を上げることができます。

 

 以下に主なソリューションである「AIアナリスト」「AIアナリストSEO」「AIアナリストAD」について、詳細を記載します。

 

(*5)Search Engine Optimizationの略称。検索エンジン最適化とは、検索エンジンの検索結果において特定のWebサイトが上位に表示されるようWebサイトの構成やコンテンツなどを調整すること。

(*6)ビジネスモデルのひとつ。モノ・サービスの販売契約を行った後、継続的に売上が発生するビジネスモデル。将来の収益が安定的であるのが特徴。

 

1-A.AIアナリスト

 「AIアナリスト」はWebサイトに関するナレッジ、各社に閉じていたWebサイトのデータを集め、誰にでもデジタルマーケティングにおける分析と改善が行える道具(ツール)に変えSaaS(*7)として提供しております。「AIアナリスト」は顧客が自社Webサイトに関するアクセス解析データ・広告データ・SEOデータをクラウド上で連携するだけで、それぞれのデータを自動でつなぎ合わせ、コンバージョンまでを一気通貫で分析し、レポートの作成から、データ分析結果からの改善提案、実施した改善施策の記録と成果の測定などまで、デジタルマーケティングのPDCAをサポートするプラットフォームです。

 昨今、多くの企業が顧客獲得のために自社Webサイトを保有しております。また、GoogleアナリティクスなどのテクノロジーツールをWebサイトに導入し、自社のWebサイト上における消費者のページ遷移等の行動データを収集し分析することで、Webサイト訪問者の行動の理解とそれに沿ったWebサイトの最適化を行うデジタルマーケティング活動を行っております。

 このような中、「AIアナリスト」は、AI(*8)が行動データを分析し、レポートとして現状を「見える化」するだけでなく、そこから改善すべき点を示して「分かる化」することに特徴があります。この改善提案機能がある点が、サービスのクオリティ面での大きな差別化につながっていると考えております。

 また、「AIアナリスト」は無料でサービスの利用が開始できるフリーミアムモデルを採用しており、当社はユーザーに対し無料で「AIアナリスト」の基本機能を開放するかわりに、そのユーザーが保有するWebサイトの行動データを獲得しております。2024年2月末時点で約4万サイトのデータを保有しているため、このビッグデータを基に、類似サイト群からなるベンチマーキング(*9、類似サイト比較)を提供することが可能です。顧客はベンチマークとの比較を通じて、自社の強みと弱みを認識し、成長戦略の策定に活かすことができます。

 一方、コスト面では、「AIアナリスト」はSaaSとして、シングルソース・マルチテナント型(*10)を採用することにより、全ての顧客が共通のソースコードで作られた同一のアプリケーションを使用しております。そのため、当社は常にひとつのソースコードを通じて、機能の強化・拡張を行っていくことができます。開発者はひとつのソースの開発に集中できるので比較的少ないリソース(コスト)で開発することが可能です。そのため、顧客に対しても比較的低価格でのサービス提供が可能となっております。

 さらに、当社は継続的に機能アップデートが実施される体制を構築しており、毎週何かしらの修正がプロダクトに施されるなど、常に最新機能を顧客に提供しております。そのため、顧客に対する提供価値の陳腐化を防ぎ、当社の優位性を維持することが可能です。

 よって、当社は比較的高いコストパフォーマンスで、顧客に対する提供価値の向上に持続的に取り組むことが可能です。

 

 

「AIアナリスト」の画面イメージ

 

1-B.AIアナリストSEO

 「AIアナリストSEO」は、“コンバージョン(*11)=購買・商談機会の獲得”を意識したコンテンツをサイト運営者に代わって制作する、コンテンツマーケティング支援サービスです。

 近年、多くの企業が自社で保有するWebサイト(オウンドメディア)などを活用し、コンテンツマーケティングに力を入れております。コンテンツマーケティングとは、見込み客の疑問や関心に沿ったコンテンツを提供し、それによって見込み客を引き寄せ、最終的に自社製品やサービスの購買へと導くマーケティング手法です。

 このコンテンツマーケティングにおいて重要となるものが、見込み顧客を誘引する「キーワード選定」、そのコンテンツが狙ったキーワードの検索結果における「コンテンツの検索順位」そして「Webサイト内における設置場所の決定」です。

 第一に「キーワード選定」についてですが、現在多くのコンテンツマーケティング支援企業は、インターネット上にオープンになっている情報を基に”サイトへの流入=集客”にフォーカスしたキーワード選定を行っております。しかし、本来コンテンツマーケティングの目的は“コンバージョン=購買・商談機会の獲得”です。従って、効果的なコンバージョン獲得のためには、クローズドな情報である“サイト内の行動データ”の分析を行い、コンテンツを制作することが不可欠です。当社では、サイトへの流入ではなくコンバージョンにフォーカスし、サイト内の行動データも分析した上でキーワード選定を行っております。

 第二に「コンテンツの検索順位」についてですが、当社ではGoogleからの高い評価を期待できるコンテンツのアウトライン作成の工程を一部システム化することで、SEO対策コンテンツの制作を再現性高く、従来より低コストに提供することを可能としました。現在、コンテンツ制作プロセスにChatGPTの導入を行っております。

 第三に「Webサイト内における設置場所の決定」についてですが、当社ではコンテンツを置くべき場所の選定を、「AIアナリスト」の分析結果から得られる最適導線の提案に従って行うことで、コンテンツの価値を引き出します。

 当社は「AIアナリスト」を利用する顧客に対して、その改善に日々向き合っているため、コンテンツマーケティングを実施すべきかどうか、実施する際にはどのような形で行うべきかを把握することができ、顧客のシチュエーションに合わせた提案を行っております。

 

1-C.AIアナリストAD

 インターネット広告媒体費は成長が続き、広告媒体費が初めて1兆円を超えた2016年に引き続き、2023年には3.3兆円と3倍にまで急拡大をしております(広告媒体費データは株式会社電通「2023年 日本の広告費」より引用)。このような中、当社では、Web広告の運用を代行するサービス「AIアナリストAD」を提供しております。

 Webサイト内のデータを保有・分析できる「AIアナリスト」を提供する当社ならではの強みを活かし、「AIアナリスト」と「AIアナリストAD」を共に導入いただくことで“訪問数を増やすWeb広告”ではなく“コンバージョンを増やすための、Web広告とWebサイトの一体運用”をサイト運営者に代わって行い、広告効率をより高めます。具体的には、Web広告を高いコストパフォーマンスで運用するには、どういった広告からWebサイト内のどのコンテンツに誘導すれば良いかまでを踏まえて運用します。こうした取り組みにより、顧客はコンバージョンにつながらない広告費の削減や、広告をクリックした人々がお問い合わせや購入に至る率を向上することができます。同時に、当社では多くの顧客のデータを保有し分析しているため、顧客の属性に合わせて、検索連動型広告やSNS広告、記事広告など多様な広告媒体を横断的に提案し、最適化を図っております。

 また、当社では広告運用担当者を固定的に社内に保有するだけでなく業務委託のプロフェッショナルを活用することで、一時的な広告キャンペーンの実施など、需要の波に合わせてコストコントロールを可能としております。同時に、業務委託者の運用状況の管理は成果に直結するため、運用状況の監督ツールを独自に開発し、安定的な運用を可能としております。

 

(*7)Software as a Serviceの略称。ソフトウェアを利用者(顧客)側に導入するのではなく、提供者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネット等のネットワーク経由で、利用者がサービスとして利用するもの。

(*8)Artificial Intelligence(人工知能)の略称。

(*9)企業が製品、サービス、プロセス、慣行を継続的に測定し、優れた競合他社やその他の優良企業のパフォーマンスと比較・分析する活動のこと。

(*10)ひとつのソースコードで書かれたソフトウェアを、多数のユーザーで、共同で利用する形式のこと。ひとつのソースコードを改良することで、多数のユーザーがその恩恵を受けることができるため、効率的に改善が可能。

(*11)Webサイトにおける最終的な成果・目的のことを指す。主なものとして、商品の購入・予約、会員登録、資料請求、お問い合わせなどがある。

 

2.インキュベーション事業

 インキュベーション事業では、最先端のデータ分析に基づいたデジタルマーケティングを推進する企業に対し、コンサルティングのサービスを提供しております。さらにアカデミア及びビジネスの先端をいく人材を顧問とする社内研究所である「WACUL テクノロジー&マーケティングラボ」を2019年2月に社内研究所として立ち上げ、AIやマーケティングを専門とする大学教授などを顧問に迎えるなど、先端テクノロジーの導入とナレッジの磨き上げに力を入れております。また、そうした活動で得られたナレッジをソリューションに落とし込む形で「AIアナリスト・シリーズ」などの新規ソリューションの立ち上げ及び「AIアナリスト・シリーズ」の機能拡張に活かしてきております。

 これまでにも、AIについては2015年に国立大学法人東京大学松尾研究室とのコラボレーションリサーチを実施し、当社としてサイト分析システムで特許を取得しております(特許第6056094号)。また、深層学習(*12)(ディープラーニング)など、新たな技術を活用した機能・ソリューション開発も行っており、現在特許を出願中です(特開2018-136845)。さらに、顧客とともに深層学習を用いたアプリ内における行動分析や、顧客の行動分析に基づくWebと店舗の最適なつなぎ合わせなどのプロジェクトを実施してきており、そうした取り組みを通じて得たナレッジに基づき、特許出願を積極的に行っております。

 

 当社のDXコンサルティングでは、継続的に顧客から「AIアナリスト」を通じて共有される最新のPDCAデータから、過去に成果が出ることの多かった事例を抽象化した“勝ちパターン”を見出し、最も効果の見込める施策を短時間・少工数で提供することが可能です。また、当社はコンサルティング業に源流を持つため、社内のコンサルティングに関するナレッジの蓄積を活かして、事業全体の再構築や、KPI設計、組織設計、オペレーション構築・運用等のコンサルティングサービスを提供しております。

 

(*12)多層の人工ニューラルネットワークによる機械学習手法。ディープラーニングとも呼ばれる。2010年代に普及し始め、第3次AIブームを牽引することとなった革新的な技術。

 

「インキュベーション事業」の取り組み事例

 

3.人材マッチング事業

 昨今、企業を取り巻く環境や消費者の価値観が大きく変化する中、企業のDX推進に向けた取り組みが活発化しております。マーケティング分野においても、インターネットを通じた消費行動が当たり前になり、消費者獲得のためにインターネット経由で得られるデータの分析・活用が企業活動の成否に直結する時代となっております。

 専門性の高いマーケティングDX領域において、専門知識を持つ人材の活用は企業のマーケティング成果を最大化するために不可欠です。また、日々進化するデジタルマーケティングの世界において、最新のトレンドやツール情報、成果を出すためのノウハウこそが鍵であり、それらを基にした専門人材のスキルアップが重要といえます。

 一方で、働き方の多様化が進みフリーランス等の独立したマーケターが増える中、活躍するための環境としては、企業側が正社員前提での体制作りをしている点や、フリーランスが継続的にスキルをアップデートする機会が少ない点など、いまだ十分に整備されていない現状があります。

 そのため、企業側にとっては、マーケティング人材の専門性の目利きが難しいという課題が、マーケターにとっては、自己成長のための最新情報を得られる機会が限定的といった課題があり、その結果、マーケターと企業のマッチングにおいて「期待したことをやってもらえなかった」「業務を請け負ったが自分ができる範囲を超えていた」などのアンマッチが発生しております。

 当社は、「AIアナリスト」を軸に、これまで1,000社超の企業を支援し、様々なマーケティング課題の解決を行ってまいりました。そこで、WACULが培った企業のマーケティング課題の「特定力」、また38,000超のサイト分析に基づく成果を出すための「方法論」などを活かして、この度、専門性を持つマーケターのスキル、リソースを最大活用するフリーランスマーケター向け人材マッチングサービス「Marketer Agent」を2021年12月からスタートしました。

 また、2022年11月にはマーケティング人材の需要の高まりを受けて、マーケティングDX人材のフリーランス・マッチングから正社員の転職までサポート範囲を拡大し、マーケター転職の支援サービス「Marketer Agent 転職」の提供を開始しました。

 

 主なサービスは以下の3点です。

 

[マッチング]

 Marketer Agentが企業とフリーランスマーケターをマッチングします。マーケターの中にはスキルは高いものの営業力に長けていない人材も多いのが現状です。こうしたフリーランスマーケターに営業機会を提供します。これにより企業としても、今まで出会えなかった優秀なマーケターに協力を依頼することが可能になります。

 Marketer Agentでは当社の30,000社以上の豊富なマーケティング部門を中心とした顧客ネットワークを基に案件を創出します。企業側の課題を把握し、各々のマーケターの特性も把握している当社が企業とマーケターの間に入ります。企業としては、知らないフリーランスに重要な業務を任せることにハードルがありますが、当社が間に入ることで安心して任せることが可能になります。また、フリーランスとしても、現状は企業から過大な要求を受けるケースが発生しており、これもマーケティング支援を本業とする当社が間に入ることで、専門知識を基に「案件や専門スキルの目利き」を徹底することでミスマッチを回避することができます。また「個人(フリーランス等)」は、発注側の企業から見た際の「信用力」が欠けるというデメリットはありますが、発注企業と個人との間に当社が入ることで解消することが可能です。

 また、フリーランス活用から正社員採用へとステップを進める企業向けには「Marketer Agent 転職」により、企業が欲する人材の正社員紹介を行います。

 

デジタルマーケティング人材における主な要件の比較

 

[アップスキリング]

 当社は独自に収集した約4万サイトのデータと10,000超の成功事例・失敗事例データにより、成功確率の高いマーケティング施策のみを提供しております。こうしたノウハウは、少ない時間でいかに成果を出すかが求められるマーケターにとって有用です。

 このノウハウを、まず研修という形でマーケターに提供します。さらにはWACULで実際に行っている業務から学ぶOJTの機会も提供します。

 

[コラボレーション]

 マーケターと当社のコラボレーションにより、企業の課題解決を推進します。加えてマーケター同士の連携も推進します。フリーランス等のマーケターは企業に属しているマーケターと比べて孤独です。こうしたマーケター同士による情報共有や案件の相互紹介などの機会を創出します。

 

・当社の事業の特徴

①当社独自データとナレッジ

 当社の「AIアナリスト」は、基本的な機能を無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金するフリーミアムモデルで提供されております。そのため、当社はユーザーに対し無料で基本機能を開放する代わりに、そのユーザーのデータを獲得しております。

 また、当社は顧客から共有されるクローズドなビッグデータとWeb上に存在するオープンデータを合わせて分析し、顧客に改善ポイントの提案を行っております。顧客が改善施策を実行したのち、当社はその成果を測定します。こうしたPDCAデータを当社は蓄積することで、改善提案の質の向上に役立てております。改善提案の質の向上は、更なる顧客数の増加や定着につながる好循環を生むと考えております。

 

 改善施策の立案からその実行、そして成果測定に至るまでのPDCAデータは、当社独自のものです。この独自のPDCAデータを分析することで当社は“デジタルビジネスの勝ちパターン”を蓄積しており、当社の課題解決力の強化、延いては事業における競争力につながると認識しております。

 

 こうした好循環は、Data Network Effectsと呼ばれ、追随しようとする他社に対する参入障壁となり、当社の先行優位性をより強固にすると考えております。

 

 また、新たなナレッジを生み出すために、AIとマーケティングに関する外部識者をアカデミックとビジネスの両サイドから招聘した研究所「WACULテクノロジー&マーケティングラボ」を設立し、産学連携でナレッジの蓄積を進めております。これまでも、AIによるWebページの自動グルーピングやスマートフォンゲームの課金者獲得率の予測モデルの構築、再購買予測モデルによるリテンション率予測など、様々な技術開発を行っております。

 

②ナレッジの多様なマネタイズ

 当社のコアコンピタンスであるデータとナレッジを、そのまま販売するのではなく、テクノロジーを掛け合わせることで、様々なサービスに“仕立てて”提供することが、当社のサービスの特徴です。これにより、外形的には「一般的なマーケティング支援サービス」であっても、成果の創出幅が大きいことやオペレーションが自動化されていることにより、価格競争力の実現が可能です。

 

 

それぞれの事業におけるテクノロジーを活用したナレッジのマネタイズ例

 

③顧客の“できない”をなくし、PDCAを確実にまわせるサービス群を提供することで、クロスセルが実現

 当社は「AIアナリスト」による改善提案だけでなく、その改善提案と紐づく形で実行・実装を行う「AIアナリストSEO」や「AIアナリストAD」やマーケターの不足を補う「Marketer Agent」による人材支援といった様々なサービスを顧客に合わせて提案することで、同一顧客に複数ソリューションを提供するクロスセルを行っております。

 コンサルティング支援のみでは、そのコンサルティング内容の実現が欠けてしまい、提案が絵に描いた餅になることも多く、逆に代行サービスだけではそもそも何をどうすべきかという船頭なくして船山に登ることとなることも多いものです。また、マーケティングDXに取り組もうにも、そもそも社内に先導できる人的リソースがないということもしばしば聞かれます。こうした顧客がマーケティングDXを実現できない理由をつぶすサービス群を提供することで、確実に顧客を前に進めることができ、巡り巡って当社のサービスのクロスセルへとつながっております。

 顧客は様々な課題を各社が抱えております。当社はそのひとつの課題に対して、保有するソリューションのひとつで成果を創出することで信頼を獲得し、顧客が新たに直面する課題や周辺の課題に対してもまた別のソリューションをクロスセルしていくことで、顧客1社当たりの売上高の拡大が可能となっております。

 

④コンサルティング+テクノロジー+実行実装の代行を組み合わせた差別化

 当社は、コンサルティング+テクノロジー+実行実装の代行を揃えた、独自ポジショニングを構築しております。そのため、コンサルティング会社、広告代理店、ツール提供会社など、それぞれの企業と差別化できております。

 例えば、多くの広告代理店は、人的な稼働に対するフィーではなく実行実装のトランザクションに対して収入を得ているため、時に顧客の成果につながらないものも押し売りせざるを得ないという状況にあります。しかし当社はコンサルティングサービスを提供しているため、成果につながらないものを実施しないでおくと伝えることでフィーをいただけます。そのため、顧客の真の成果に向き合うことができ、結果として顧客の信頼を勝ち得ることができます。

 

独自のポジショニング

 

⑤事業成長と参入障壁を実現する独自PDCAデータの蓄積

 当社の「AIアナリスト」は、基本的な機能を無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金するフリーミアムモデルで提供されております。そのため、当社はユーザーに対し無料で基本機能を開放する代わりに、そのユーザーのデータを獲得しております。

 

<事業系統図>

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して654,538千円増加し、2,234,406千円となりました。これは、流動資産が622,112千円増加したこと、固定資産が32,426千円増加したことによるものであります。流動資産の増加は、主に立替金が39,712千円減少した一方、現金及び預金が637,830千円増加したことによるものであります。固定資産の増加は、主に繰延税金資産が24,552千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して438,022千円増加し、1,012,662千円となりました。これは、流動負債が121,722千円増加したこと、固定負債が316,300千円増加したことによるものであります。流動負債の増加は、主に借入により1年内返済予定の長期借入金が74,339千円増加したこと、業務拡大により未払金が25,202千円増加したことによるものであります。固定負債の増加は、借入により長期借入金が316,300千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して216,516千円増加し、1,221,744千円となりました。これは、主に当期純利益の計上により利益剰余金が200,548千円増加したことによるものであります。

 

②経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行され、社会経済活動の正常化が進んでいるものの、ロシア・ウクライナ情勢の混迷やイスラエル・ガザ衝突等、引き続き不安定な状況が続いております。一方で、米連邦準備理事会(FRB)は利下げに慎重な姿勢を示すものの、世界的に広まった想定外のインフレは2024年以降鈍化するとの見方があり、また、国内では物価沈静化や賃上げ機運が持続することで消費の回復が進み、2024年後半にかけて景気回復が強まるとの見方もあります。

このような状況下、当社が属するデジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」)市場は引き続き成長するものと見込まれており、市場規模は2030年には1兆5,038億円にまで達するものと予測されております(「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」富士キメラ総研)。また、「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」(ランサーズ株式会社)によると、2021年10月時点でフリーランス人口は1,577万人、経済規模は23.8兆円と、同社が調査を開始した2015年と比較すると、人口は68.3%(640万人)、経済規模は62.7%(9.2兆円)増加しております。また、フリーランスがエージェントサービスを利用して仕事を探す比率も年々増加しており、その利用率は2018年の13.4%から2023年には25.8%と大きく拡大しております(「フリーランス白書 2018」及び「フリーランス白書 2023」一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会)。

 

そうした環境下において、「知を創集し道具にする」をミッションに掲げる当社は、マーケティングのDXへの関心の高まりを捉えたソリューションの強化及び拡張、増加するフリーランスと企業を結びつける人材マッチング事業の育成を進めてまいりました。

当社は、企業のDXを強力に支えるべく、これまでコンサルティングとデータ分析・改善提案SaaSで培ったナレッジとベストプラクティスを、マーケティングDX実現に必要なサービス群に落とし込み、戦略や施策の策定から社内の組織づくり、マーケティング施策の実装と改善まで、事業推進を一気通貫で支援しております。

戦略フェーズでは、デジタルマーケティングに留まらないデジタル活用戦略の立案を行う「DXコンサルティング」を、戦術フェーズではデジタルマーケティングのPDCAを支える分析・改善提案ツールである「AIアナリスト」を提供しております。また、そうした設計がなされても実行・実装のできない企業向けに、実行・実装の代行を行うBPOソリューション群と実行・実装を行う人的リソースを提供する人材マッチング事業を提供しております。

このような上流から下流への一気通貫での事業推進支援をより強固なものとするべく、既存事業に存在しないサービスについてはパートナー会社やマーケターエージェント登録フリーランスと共に支援しつつ、中期的には社内育成だけでなくM&Aや出資などによるケイパビリティの拡充も含め、内製化・事業化を進めてまいります。当事業年度にはM&Aの検討として数十件のタッピングから1件のデューデリジェンスを実施しましたが、当社の基準に合致した案件はなく、3,053千円のデューデリジェンス費用を計上するに至りました。

 

新規顧客獲得のためのマーケティング活動においては、当社ナレッジをベースとしたウェビナーの継続的な開催や各種マーケティング関連メディアへの登壇、展示会への出展を行いました。

また、当社の認知獲得施策の一環として、2023年7月に代表取締役の垣内勇威が「LTV(ライフタイムバリュー)の罠」(株式会社日経BP)を出版しました。これまでの「デジタルマーケティングの定石」「BtoBマーケティングの定石」(株式会社日本実業出版社)で、問い合わせ獲得までのデジタル領域のナレッジを保有する企業としての認知を獲得してまいりましたが、「LTV(ライフタイムバリュー)の罠」で新たに当社が新規顧客の獲得だけでなく既存顧客の育成にまで、スコープを拡大した支援ができることを示すものとなっております。さらに、2024年2月にサービスサイトトップページのリニューアルも実施し、当社の多岐にわたるDXソリューションを明示しております。

これは、当社の支援領域の拡大に合わせて、当社に関する市場からの認知を、サイト改善に特化した支援会社であるというものからデジタルマーケティング全般を支援できる会社であると、アップデートするために戦略的に行ったものであります。

 

また、各事業それぞれが新規顧客の開拓と既存顧客の継続と拡大を推し進め、順調に売上拡大を実現しました。

 

プロダクト事業では2023年はGoogleアナリティクスの旧バージョンであるUA(ユニバーサルアナリティクス)から最新バージョンであるGA4(Googleアナリティクス4プロパティ)への移行年であり、当社ビジネスもGA4対応を進めてまいりました。「AIアナリスト」では、UAのデータ取得が終了する2023年7月1日を前に、GA4対応の新機能「GA4対応サイトレポート」をリリースすると同時に、UAのデータのアーカイブ機能を提供することで、旧バージョンで蓄積したデータの消失を回避しながら、最新バージョンにスムーズに移行できる点を新たなメリットとして打ち出し、プロモーションを行いました。2023年7月にはGA4のデータを自動で分析し、実施した施策の効果を検証する「効果検証(GA4)」機能を提供開始しました。また、2023年8月にはGA4のデータと検索関連データを蓄積するGoogleサーチコンソールのデータを自動的に紐づけして分析を行うGA4版の「SEOレポート(GA4)」をリリースし、2023年9月にはGA4のデータを用いて、自社のWebサイト内の各ページからのフォーム誘導率が計測できる「フォーム誘導」分析機能をリリースするなど、種々の機能強化を実施し、2024年2月末時点では「AIアナリスト」のGA4の連携数が2,000件弱まで伸長しております。

 

また、「AIアナリスト」の拡販のため、Webマーケティングとクラウドセールステックを展開する株式会社ジオコード(以下、「ジオコード」)と協業を進め、ジオコードがサービス提供するオーガニックマーケティングにおいて、顧客Webサイトのコンバージョン改善に当社の「AIアナリスト」を積極的に導入することとなりました。これによりジオコードの顧客への「AIアナリスト」導入を進めてまいります。

「AIアナリストAD」では、2023年5月にYahoo!広告の検索広告とディスプレイ広告(運用型)において高い実績を誇る正式な代理店を指す「Yahoo!マーケティングソリューション 2つ星セールスパートナー」に認定、2024年2月にはMeta社からFacebookやInstagramなどのSNS広告運用におけるパフォーマンスとサービスに対して最高レベルの基準を満たした企業に付与される「Meta Business Partners バッジ」を獲得し、これまでの着実な運用実績と事業拡大が、外部から評価されました。現在、収益性の高い大型案件への営業に注力する方針を強め、顧客の入れ替わりを意図的に発生させております。

さらに、2023年10月に実行・実装支援サービスの拡充として「オウンドメディア構築プラン」をリリースいたしました。近年、オウンドメディアとして企業自身が情報を発信する重要性が増してきており、オウンドメディアを持つことで、潜在顧客から明確な顧客層まで、幅広くかつ効果的にアプローチが可能となり、より長い期間での良好な関係を築けるようになります。当社のオウンドメディアである「AIアナリストブログ」運用の知見から、オウンドメディアの構築から運用までをパッケージでサポートしております。

 

インキュベーション事業では「AIアナリスト」で培った“勝ちパターン”を基に企業のマーケティング戦略、組織設計、オペレーション構築など、マーケティングのDXコンサルティングを提供しました。近年ではインキュベーション事業とプロダクト事業での協働案件を意識的に行うことで、「AIアナリスト」の担当者のコンサルタントスキル向上を図り、コンサルタントプールの拡充を進めております。また、数ヶ月で完了する戦略立案のプロジェクトで終わらず、その実行に伴走するプロジェクトが増加しております。

 

 

「Marketer Agent」を展開する人材マッチング事業は、これまでのフリーランスマーケターのマッチングから領域を拡大すべく、マーケティングの推進には欠かせない人材である、クリエイターのマッチングサービスである「Marketer Agent クリエイティブ」のテストマーケティングを2023年6月から開始しました。また、マクロ環境では、フリーランスの労働環境の保護を目的とした「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が成立するなど、フリーランス市場は引き続き拡大するものと思案しております。このような背景から、さらに事業のスケーラビリティを確保すべく、当事業年度にはダイレクトリクルーティングサービス等の研究開発を開始し、9,753千円を計上しております。現時点の開発範囲は、既存プロセスの効率化、マッチング精度向上を目指すものでありますが、将来的にはフリーランスプールを開放するダイレクトリクルーティングサービスへの展開も視野に入れております。

 

この結果、当事業年度の経営成績は、売上高1,817,530千円(前年同期比34.7%増)、EBITDA307,960千円(前年同期比20.5%増)、営業利益197,625千円(前年同期比7.3%増)、経常利益208,608千円(前年同期比11.4%増)、当期純利益200,548千円(前年同期比4.3%増)となりました。

なお、当社はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

また、重要な経営指標である2024年2月末の理論LTV(顧客生涯価値)は5,952千円(2023年2月末5,038千円)、クロスセル率は2024年2月末21.7%(2023年2月末26.1%)となりました。

 

(注)EBITDAの計算式は以下のとおりです。

EBITDA=営業利益+減価償却費

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ637,830千円増加し、当事業年度末には1,461,350千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は355,448千円(前年同期は301,195千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益が208,608千円計上されたこと、減価償却費が110,334千円計上されたこと、業務拡大により未払金の増加額が25,961千円あったこと、その他の流動資産の減少額が37,640千円あった一方で、売上高の増加に伴い売上債権の増加額が20,743千円あったこと、法人税等の支払額が28,066千円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は118,967千円(前年同期は160,213千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が118,700千円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は401,349千円(前年同期は72,962千円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が500,000千円あった一方で、長期借入金の返済による支出が109,361千円あったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

DX事業

1,817,530

134.7

 (注)1.当社の事業セグメントは、DX事業の単一セグメントであります。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

当事業年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三井不動産株式会社

153,730

11.4

当事業年度については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況 ②経営成績の状況」をご参照ください。

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 当社の資金需要として主なものは、事業の拡大に伴う人件費、プロダクトの開発費、顧客獲得や認知度向上のための広告宣伝費等であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。