リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて、経営者がその重要性が高いと考える順に記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下に開示しております。
なお、当社グループでは、環境変化等により新たに現れてくる、グループを取り巻くあらゆるリスクについて、網羅的に把握・分析のうえ経営者に報告し、当社グループの経営方針・経営戦略等を念頭に、随時経営レベルで検討する体制を構築しております。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載の無い限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.個人情報の取扱いについて
当社グループでは事業の特性上、大量の個人情報を取り扱っております。
内部者又は外部者による不正なアクセス・過誤等の不適切な取扱いにより、顧客情報・当社機密情報が漏洩したり、漏洩した情報が悪用されたりした場合、顧客の経済的・精神的損害に対する損害賠償等、直接的な損害が発生する可能性があり、加えて、かかる事件が報道され、当社のレピュテーション・リスクが顕在化し、顧客・マーケット等の信頼を失うなど事業環境が悪化することにより、当社の事業、業績及び財政状態に悪影響を与えるおそれがありますが、当社グループでは以下の体制整備及び取組みを実施しており、かかるリスクが顕在化する可能性の程度は相当程度低いものと考えております。
個人情報の保護については、「個人情報の保護に関する法律」の他に、サービサー業務において法務省は「債権管理回収業分野における個人情報保護に関するガイドライン」を策定しており、また、これを受けて全国サービサー協会は「債権管理回収業における個人情報保護に関する自主規制規則」を策定しております。当社グループは、これらの法令・諸規則を遵守し、個人情報の保護について全社員に誓約書の提出を義務付け、JISQ15001:2017の規格に則り「個人情報保護コンプライアンス・プログラム」を策定するなど管理体制の整備・強化を図っております。また、「プライバシーマーク」の認証取得企業として、全役員、全従業員への教育を徹底するとともに、定期的な内部監査を実施しております。
2.法的規制について
当社グループでは、事業において以下の法的規制を受けております。法改正や関連する新たな法律の制定などは常に実施される可能性があり、これら法改正等が当社グループの業績及び業務推進に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、これら法改正等への適時適切な対応に加えて、事業領域の適切な拡大や、事業ポートフォリオの最適化によるリスクの分散化に努めており、当該リスクが顕在化する可能性の程度は相当程度低いものと考えております。
(1)債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)
当社では、不良債権処理に関連する債権買取・債権管理回収業務等を行うため、「債権管理回収業に関する特別措置法」に基づく許可(許可番号:第20号)を1999年9月3日に法務大臣から取得しております。同法により、弁護士の取締役への登用、5億円以上の資本金、債権管理回収会社に係る許可、取り扱い業務の範囲、行為規制、行政当局による監督・立入検査等の規制を受けております。
(2)宅地建物取引業法
当社グループでは、宅地建物取引業務を行うため宅地建物取引業法に基づく免許を、株式会社山田債権回収管理総合事務所では2003年10月22日に国土交通大臣から、株式会社山田資産コンサルでは2008年6月5日に神奈川県知事から、それぞれ取得しており、同法により宅地建物取引業者としての免許基準、取り扱い業務の業務規制、行政当局による監督・立入検査等の規制を受けております。
(3)労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)
当社では、派遣事業を行うため、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に基づき、2017年9月1日に厚生労働大臣の許可(派14-301534)を取得しております。同法により、取り扱い業務の範囲、行政当局による監督・立入検査等の規制を受けております。
(4)職業安定法
当社では、有料職業紹介事業を行うため、職業安定法に基づき、2019年9月1日に厚生労働大臣の許可(14-ユ-301461)を取得しております。同法により、取り扱い職種の範囲、行政当局による監督・立入検査等の規制を受けております。
3.買取債権の回収リスクについて
当社では、金融機関等からの買取債権について、当該債権の回収可能性を個別に検証し、当社が定めた一定の基準に従い貸倒引当金を計上する等、買取債権の貸倒リスクの管理に努めておりますが、債務者の信用不安等により、貸倒引当金を追加で計上する等の場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社では、債権買取時において、このようなリスクを念頭に慎重なプライシングを実施することに加え、回収実績からプライシングの適正性を事後的に随時検証することで、プライシングの精度を高めております。また当社が定める一定の金額を超える債権の買取においては、営業部門担当役員、管理部門担当役員等から構成する投資委員会での多角的な審議を経て、取締役会に諮る等、案件の健全性を担保し、投資の適正性、収益性を確保する仕組みを構築しており、かかるリスクが顕在化する可能性の程度は相当程度低いものと考えております。
4.不動産価格が下落することのリスクについて
今後の不動産取引市場、経済情勢等の変化等により当社グループが保有する不動産、若しくは債権の担保となっている不動産の価格が著しく下落した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
不動産価格は様々な要因で変動しますが、当社グループでは、不動産価格の動向を常に注視し、これら不動産の適時適切な処理によって影響の最小化に努めており、かかるリスクが顕在化する可能性の程度は相当程度低いものと考えております。
5.派遣先の依存度について
当社の派遣従業員のほとんどは、司法書士法人山田合同事務所及び土地家屋調査士法人山田合同事務所並びに株式会社山田エスクロー信託等、山田グループ各社に派遣されており、司法書士法人等が派遣契約を解除した場合には、当社グループの業績及び今後の事業推進に重大な影響を与える可能性があります。
一方で当社グループでは、山田グループ各社との適切な結びつきを最大限に活用して派遣需要の動向を注視するとともに、外部の司法書士事務所、金融機関、一般事業会社といった他の事業所への派遣、事業再生業務に関する派遣等、派遣先の多様化に向けた取組みを強化しており、かかるリスクが顕在化する可能性の程度は相当程度低いものと考えております。
6.人材の確保について
当社グループでは「不動産・債権に関するワンストップサービス」を提供するための高い専門性を必要とし、優秀な人材を確保することが求められております。
求人・雇用環境の急激な変化など、何らかの理由により新規雇用が困難になった場合や、離職者が増加した場合、人材が不足し、当社グループの業績及び事業推進に重大な影響を与える可能性がありますが、当社グループでは従業員の定着率向上のための人事・教育・研修制度の充実や、多様な求人媒体の活用等により継続的に優秀な人材を確保する体制の確立に努めており、当該リスクが顕在化する可能性は相当程度低いものと考えております。
7.感染症等の拡大について
当該リスクが顕在化する可能性の程度について合理的に予見することは困難でありますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のように未知の感染症が世界的に流行した場合の当社グループの各事業セグメントへの影響については、以下のとおり分析しております。
(1)サービサー事業
サービサー事業においては、債務者との直接面談が困難になったり、債務者の収入が減少することで返済や再生が計画通りに実行されない場合や、また、担保不動産の処分が停滞する場合などにおいて、当社グループの業績に影響が出る可能性があります。
(2)派遣事業
派遣事業においては、主要派遣先の業務量減少や、感染拡大防止のための休業、時短勤務の実施などによる派遣時間、派遣人員の減少が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)不動産ソリューション事業
不動産ソリューション事業においては、売主、買主などの関係者との直接面談が困難になることにより不動産取引が停滞し、計画通りに不動産の仕入れや販売活動が出来ず、当社グループの業績に影響が出る可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つと位置付け、業績・配当性向を総合的に勘案しながら安定かつ継続的な配当の維持を基本方針としております。
また、内部留保資金につきましては、企業体質の強化を図り将来の事業拡大のために活用して行く方針であります。
当社は、期末配当の年1回の剰余金配当を行うことを基本方針としており、この剰余金の配当の決定機関は、2024年3月28日開催の第43回定時株主総会であります。
なお、2024年12月期の配当金は、引き続き厳しい経営環境であることに鑑み、2023年12月期と同じ1株当たり10円を予定しております。
計画達成に向けた事業推進と、一層の経営効率化に引き続き努め、さらに安定した利益配分ができるよう全力を傾注してまいります。
当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めておりますが、通期の経営成績を踏まえた上で年度末における配当のみを行っております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年3月28日 |
42 |
10 |
定時株主総会決議 |