2024年1月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。また、当社グループとしては必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資判断、あるいは当社グループの事業内容を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える定量的な影響について、合理的に予見することが困難であるものについては記載しておりません。

 

(1) 特定の業界に依存していることについて

① 半導体業界への依存について

当連結会計年度の売上高は半導体市場向けが高い割合を占めており、半導体業界の動向に大きく影響される傾向にあります。当連結会計年度において、日本、台湾、韓国の大手半導体デバイスメーカー向け売上高が過半(ディーラー経由での販売も含む)を占めており、これらのメーカーの生産動向が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、半導体製造前工程のCVD工程及びエッチング工程を得意とする当社グループは、シリコンウェハの生産動向に特に大きく影響を受ける傾向にあります。

当社グループでは、そうしたリスクを防止あるいは分散するため、半導体市場のうち、刻々と変化する先端開発分野における変化を先取りするとともに、市況サイクルの異なる国内市場と海外市場のバランスを取りつつ、他方、これまでの半導体業界依存の軽減のため、新規分野に向けた材料の開発等にも注力し対処していく所存であります。

しかしながら、今後市況が大きく変化し、縮小傾向に転じた場合、又は業界の技術革新に当社グループが追随出来ない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 特定の製品への依存について

当連結会計年度における当社グループの売上高については、半導体向け材料の中でも、特に高誘電率絶縁膜材料といわれる分野への依存度が高くなっております。当社グループでは高誘電率絶縁膜材料以外の新規材料の開発、拡販にも努めておりますが、当分野の売上が減少した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与えるおそれがあります。

 

③ 競合の状況について

当社グループは、最先端の半導体に用いられる高純度の化学材料において、技術的な優位性やノウハウを保持していることや、ニッチな市場であることから、現状、競争相手となる企業は少ないものと考えております。

しかしながら、今後、新規に当社グループと競合する分野、製品に他企業が参入した場合、競争の激化によって当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

④ 原材料の市況変動について

当社グループの製品は、その原料に市況変動に左右される化学薬品や特殊な金属材料を多く使用し、他方、金属容器については、同様に市況変動に左右されるステンレス材料を使用しております。

当社グループでは、市況及び顧客の需要に基づいた販売計画に基づいて、安定供給を可能とするための在庫水準を適正な価格で確保すべく原料調達を進めておりますが、世界の経済情勢や政治の動向等により、急激に購入価格が変動するとともに入手が困難になる可能性があります。

今後、販売計画を達成するために必要な主要原料が確保できない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、購入価格が急激に上昇した際に販売価格への転嫁ができない場合、もしくは時間を要する場合や、逆に購入価格が急激に下降した際に相当量の在庫を有していた場合等においても当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 事業遂行上のリスクについて

① 為替変動リスクについて

当社グループは、製品等の輸出及び原材料等の輸入において外貨建取引を行っております。当連結会計年度における総売上高に占める海外ユーザー向けの売上高は、概ね70%となっており、その一部は外貨建の決済条件となっております。当社では財務部門において為替相場を継続的にモニタリングしており、適宜必要に応じて為替予約等を行っておりますが、急激な為替変動があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、海外関係会社の業績、資産及び負債につきましては、現地通貨で発生したものは円換算したうえで連結財務諸表を作成しておりますが、当該現地通貨の為替変動があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 品質管理について

当社グループは、ISO9001品質マネジメントシステムの採用で、社内生産に関しては当然のこと、主たる協力会社にも同様の体制整備を要請しながら、総合的な品質保証体制と継続的な改良・改善体制の運用に努めてまいりました。そのことにより、不良品発生の低減に注力しておりますが、クレーム発生の可能性は皆無ではありません。また、製造物賠償に関してはPL保険に加入しており、現時点におきましては、企業の存続やユーザーの事業継続を脅かすような甚大なクレームや製造物責任につながる事態は考えられません。しかしながら、万一そうした事態が発生した場合には、クレームに対する補償、対策が製造原価の上昇を招き、当社グループのブランドの評価、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 人材の確保について

当社グループは刻々変化する市場環境に対応して、常時、高度な研究開発を継続していく必要があり、そのため優秀な人材の確保と維持は事業展開上非常に重要な事項となっております。そのため、当社グループにおいては社内教育の充実、海外派遣やジョブローテーション等による人材育成体制の強化に努めるとともに、役職員全員が安全かつ安心して働ける職場環境の整備に努めておりますが、必要とする人材の獲得に困難が発生したり、あるいは当社グループの人材が社外に流出した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

④ 顧客情報の漏洩及び技術ノウハウの流出について

当社グループは、半導体メーカーの最先端の半導体に係る製造工程や材料の特性等の情報を知った上で、高純度の化学材料の開発、提案を行っております。当社グループでは不正アクセス等への物理的、システム的なセキュリティ対策を講じるとともに、営業秘密や情報セキュリティに関する社内規程を整備し、社員教育を徹底するなど、当社グループの情報管理体制の維持・強化に努めております。しかしながら当社グループの従業員が事業上知り得た顧客の技術情報を外部に漏洩した場合、当社グループの信用の失墜による取引関係の悪化や、技術情報の漏洩による損害に対する賠償を請求されること等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループが製造する高純度化学材料は、創業以来蓄積してきた高純度化や安定生産に係るノウハウが重要な要素となっており、当社グループが保有する高純度化のノウハウ等に係る情報が、何らかの形で社外に流出した場合、技術的な優位性を維持できなくなることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 仕入先への高い依存度について

当社グループでは高純度化学材料を充填するための容器を外部からの仕入により調達しておりますが、そのうち、当社グループの販売先である半導体メーカー等の半導体製造装置に合わせた特殊仕様の容器については、主に㈱下山工業から仕入れており、同社との取引関係が何らかの理由により解消となった場合、一時的に当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ カントリーリスクについて

当社グループは台湾に子会社、韓国に合弁会社を有しており、台湾と韓国の最終ユーザー向け販売の増加が今後の成長要因と考えております。特に台湾子会社は工場の稼働も本格的となり、より重要な生産拠点となり、輸送コストの削減や台湾半導体メーカーの期待に寄り添えることができたと認識しております。

当社グループは、事業展開をしている各国・各地域におけるカントリーリスクに係る情報を収集するとともにモニタリングを実施しており、地政学要素を見極めながら、安定的な事業運営に向けて取り組んでおりますが、両地域において、法律や規制の変更、テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱等が生じた場合、当社グループの事業活動に支障が生じ、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 関係会社の業績変動について

当社グル―プは、当社と連結子会社1社、関連会社2社で構成されております。当社グループではグループ間の人的・物的な連携や情報共有等によりグループ各社の事業リスクの軽減や対応に努めておりますが、グループ各社の事業の遂行が順調に進まない場合や、予期せぬ事象等により、これら関係会社の業績に大きな変動が生じた場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 物流リスクについて

当社グループは、事業を営むに当たり、直接及び間接的に原材料・部材等の輸入を行っているとともに、海外顧客への輸出により販売を行っておりますが、現在、輸出入に際しては、世界的なコンテナ不足、船便の遅れ、輸送費の値上げ等が起きております。今後さらに一層の物流の状況が悪化した場合や、費用が増大した場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 研究開発について

当社グループは、既存製品の改良や新規製品の研究開発等により、研究開発費、それに関連する設備投資が先行して発生しております。そうしたリスクを防止あるいは分散するため、研究開発段階でのマーケティングに注力してリスクを分散するとともに、研究開発プロジェクト管理の徹底を図り、他企業との提携を積極的に推進しております。

しかしながら、多大な研究開発費や設備投資費用を投入したにもかかわらず、製品開発等が軌道に乗らなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 法的規制等について

当社グループの製造する製品には、毒物・劇物が含まれ、またそれらの製品を製造する際に使用する材料にも毒物・劇物が含まれております。また、当社グループは国内での営業取引のみならず、外国企業との輸出入取引を行っている関係上、日本及び諸外国の法令等による諸規制を受けております。それらの製品及び材料取扱を規制する法律・法令等の主なものとしましては、「毒物及び劇物取締法」、「消防法」、「高圧ガス保安法」、「土壌汚染対策法」、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」、「化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律」等があります。

当社グループでは、国内外の法令等の遵守並びに運用状況・改訂動向に関する情報収集に努めており、また、当社グループにおきましてはISO14001環境マネジメントシステムにより、周辺環境への配慮を行っていることで、現在のところ主要な事業活動の前提となる事項についてその継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、現在又は将来の法律及び諸規制を遵守できなかった場合には、当社グループが債務を負ったり、免許・届出・認可等の取り消しや一定期間の停止を含む罰則の適用を受けたり、事業の中断を含む公的命令を受けたり、その後の事業の継続に障害となる信用の低下を被ったりすること等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(主な許認可の状況)

許認可等の名称

有効期限

規制法令

法令違反の要件及び

主な許認可取消事由

危険物設備の設置許可

(製造所及び貯蔵所)

なし

消防法

許可なく製造所、貯蔵所又は取扱所の位置、構造又は設備を変更した場合、定める技術上の基準を満たしていない場合等には、製造所、貯蔵所又は取扱所の許可を取り消し、又は期間を定めて、その使用を停止させられる。

(消防法第12条第2項)

毒物劇物一般販売業登録

2027年12月20日

毒物及び劇物取締法

登録業者が、その有する設備を法令に定める基準に適合させるために監督官庁等から命じられた措置を取らない場合や、規制法令に違反した場合等には、毒物劇物の販売業、製造業、輸入業の登録を取り消し、又は期間を定めて、業務の全部若しくは一部を停止させられる

(毒物及び劇物取締法第19条)

毒物劇物製造業登録

2024年12月20日

毒物劇物輸入業登録

2025年7月9日

 

また、将来において法的規制の強化等がなされ、その対応のための生産コスト等が増大した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 知的財産権等について

当社グループの事業分野に関する知的財産権については、特許権を取得しております。当該知的財産については、製品化に至る種々のノウハウと密接不可分の関係にあり、知的財産権を利用されることにより当社グループの業績が重大な影響を受ける可能性は少ないと考えております。しかしながら、万が一類似製品が登場した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

他方、当社グループは第三者の知的財産権を侵害しないよう入念な事前調査を行っておりますが、当社グループの認識の範囲外のことで、これを侵害する可能性があり、これにより、当社グループが第三者と知的財産権をめぐって損害賠償、対価の支払あるいは使用差し止め等を請求され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 災害等について

当社グループの生産拠点である本社工場及び上野原第二工場は、山梨県上野原市の工業団地に集中しております。当社グループでは、台湾子会社である三化電子材料股份有限公司において工場を建設する等、生産拠点の分散化に努めておりますが、地震等の自然災害や火災等の事故によって、本社工場と上野原第二工場が同時に被害を受け、設備が壊滅的な損害を被る可能性があります。この場合は当社グループの操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより売上高が低下し、さらに生産拠点等の修復のために多額の費用を要することとなる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、将来にわたる株主価値増大のために内部留保を充実させ、事業の積極展開・体質強化を図るとともに、株主への安定した配当を維持することを利益配分の基本方針としております。 

当事業年度の期末配当につきましては、上記方針に基づき、当期の業績及び財務状況等を総合的に勘案した結果、1株当たり30円と決定いたしました。内部留保資金につきましては、今後の設備投資の需要等に備えることとしております。

当社は、「取締役会の決議によって、毎年7月31日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めておりますが、一事業年度の配当回数につきましては、期末配当の年1回を基本方針としており、実施にあたっては収益状況等を勘案して、その都度決定する方針であります。

なお、当社における剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 (注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当金(円)

2024年4月25日

定時株主総会決議

974,908

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