2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    541名(単体) 675名(連結)
  • 平均年齢
    44.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    22.1年(単体)
  • 平均年収
    7,399,954円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社における状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

インキ事業

176

(39)

化成品事業

320

(48)

加工品事業

124

(43)

不動産賃貸事業

1

(0)

全社(共通)

54

(21)

合計

675

(151)

(注)1  従業員数は就業人員であります。

2  従業員数欄の(  )外数は、臨時従業員及び嘱託の年間平均雇用人員であります。

3  全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門及び生産・技術部門の一部に所属しているものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

541

(121)

44.9

22.1

7,399,954

 

セグメントの名称

従業員数(名)

インキ事業

151

(37)

化成品事業

272

(42)

加工品事業

63

(21)

不動産賃貸事業

1

(0)

全社(共通)

54

(21)

合計

541

(121)

(注)1  従業員数は就業人員であります。

2  従業員数欄の(  )外数は、臨時従業員及び嘱託の年間平均雇用人員であります。

3  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4  全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門及び生産・技術部門の一部に所属しているものであります。

 

(3)労働組合の状況

  当社の労働組合は東京インキ労働組合と称し、管理職を除く正規従業員をもって構成されておりますが、上部団体には加盟しておらず、2025年3月31日現在の組合員は360名であります。

 連結子会社につきまして、荒川塗料工業㈱の労働組合は、荒川塗料工業労働組合と称し、課長以上を除く正規従業員をもって構成されており、2025年3月31日現在の組合員は14名で、JEC連合に加盟しております。他の連結子会社8社は、労働組合を結成しておりません。

  当社グループと労働組合との関係は、相互の信頼と協調精神とにより、安定しております。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

提出会社

2025年3月31日現在

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期

労働者

2.1

44.4

64.3

75.2

82.5

注)1  「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3  連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

  (1)サステナビリティに関する考え方

当社グループは持続可能な社会(サステナビリティ)実現に向けて、社会課題解決を通じた貢献を念頭に、事業活動を進めております。また、当社グループの企業活動を持続可能なものとするためには、社会からの信頼の獲得・向上が不可欠であります。社会と当社グループの持続可能性の実現に向けて、サステナブル対応製品やTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った情報開示、地域社会への貢献、多様な働き方の実現に向けた活動等に取り組んでおります。

 

  (2)マテリアリティ(重要課題)

長期ビジョン「TOKYOink Vision 2030」では、パーパス(存在意義)と共に地球環境や人権尊重など持続可能な社会(サステナビリティ)のメガトレンドとリスク・機会を踏まえ、「持続可能な価値を提供し続ける企業グループへ」という2030年に目指す姿(長期ビジョン)からのバックキャストにより、マテリアリティ(重要課題)を4つに集約いたしました。気候変動に関連するものはマテリアリティ1および2、人的資本に関連するものはマテリアリティ4になっております。

 

 

 

  (3)ガバナンス

当社グループは、持続可能な社会(サステナビリティ)実現に向け、実行力を高める目的で、代表取締役社長を最高責任者とし、サステナビリティ経営推進委員会において、サステナビリティ関連のリスク・機会への対応に関する審議や、関連取り組みの進捗状況の確認を行い、取締役会へ報告しております。

取締役会は代表取締役社長を通じ、サステナビリティ経営推進委員会の監督や意思決定を行っております。また、経営会議へ同委員会の審議内容を連携することで、サステナビリティ関連のリスク・機会を踏まえた全社的な経営計画・事業戦略の検討や、社内各部門・子会社等の計画策定・取り組み推進を実行いたします。

リスク・コンプライアンス委員会につきましては、下記「(4)リスク管理」に記載のとおりであります。環境・安全委員会はサステナビリティ経営推進委員会との連携の下、温室効果ガス排出量削減や安全衛生に関する取り組みの審議や、関連取り組みの進捗状況の確認を担当いたします。

 

体制図

 

関連会議体と役割

実施事項

会議体

サステナビリティに関する主な役割

サステナビリティ関連の監督・審議

取締役会

(議長:代表取締役社長 / 月1回以上開催)

・サステナビリティ経営推進委員会の監督・指示

・サステナビリティ関連の審議・進捗状況の確認

サステナビリティ経営推進委員会

(委員長:代表取締役社長 /年4回開催)

・サステナビリティ関連のリスク・機会への対応に関する審議

・下記の具体的対応・取り組みに関する審議、進捗確認

□サステナブル対応製品検討

□TCFD対応(気候変動リスク対応含む)

□地域・社会貢献活動

□サプライチェーンマネジメント

□人的資本

・取締役会への報告

連携先

経営会議

(議長:代表取締役社長 / 月2回開催)

・サステナビリティ関連のリスク・機会を踏まえた全社的な経営計画・事業戦略の検討

・社内各部門・子会社等の計画策定・取り組み推進の指示

連絡先

リスク・コンプライアン

ス委員会※

(委員長:取締役管理部門長 /年5回開催)

※下記「(4)リスク管理」および「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を参照

環境・安全委員会

(委員長:取締役生産・技術部門管掌 / 年4回開催)

・下記の具体的取り組みに関する審議、進捗確認

□安全衛生活動

□省エネ活動推進

□温室効果ガス排出量算定

□再生可能エネルギー導入検討

・サステナビリティ経営推進委員会との連携

※当委員会は、2024年4月1日にリスク管理委員会およびコンプライアンス委員会が統合・新設されたものであり、統合前の両委員会を各1回開催しております。また、当連結会計年度末日翌日以降有価証券報告書提出日以前に、2024年度の委員会活動総括として当委員会を1回開催しております。

 

  (4)リスク管理

サステナビリティ経営推進委員会が審議・検討したサステナビリティ関連のリスク・機会に関する内容は、当社グループの全社的リスク管理体制を推進するリスク・コンプライアンス委員会へ連携いたします。サステナビリティに関するリスク・機会のうち、経営に影響を与える可能性のあるリスクについては、リスク・コンプライアンス委員会においてアセスメントの候補とし、重要度を評価いたします。また、各リスクオーナーがリスク低減に向けた活動を推進した結果のモニタリング等を行います。

リスク・コンプライアンス委員会の管理対象のうち、サステナビリティに関するリスク・機会と関連するリスクの状況については、取締役会に報告後、サステナビリティ経営推進委員会へ連携いたします。

リスク・コンプライアンス委員会を中心とした全社的リスク管理の詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

  (5)戦略

①気候変動への対応

気候変動への対応は、長期ビジョンのマテリアリティ(重要課題)「2.環境・社会と共存共栄する企業経営の推進」における取り組みのひとつとして位置付けており、2050年のカーボンニュートラル実現を目標に、再生可能エネルギーの有効活用、生産エネルギーの低減、省エネ設備の積極的導入を通じ、脱炭素社会・循環型社会への貢献を進めております。

 

イ.気候変動に関するリスク・機会

  当社グループの事業に及ぼす1.5℃シナリオおよび4℃シナリオ下の気候変動に関連するリスク・機会について、前年度に特定しました財務的影響に関する定性分析および対応策の検討結果は、下記のとおりであります。

 

(前提)

主な使用

シナリオ

1.5℃:IEA Net Zero Emissions by 2050 Scenario、IPCC 第6次報告書

       SSP1-1.9(※)

4℃ : IEA Stated Policy Scenario (STEPS)、IPCC 第5次報告書

       RCP8.5、IPCC 第6次報告書 SSP1-2.6、同・SSP5-8.5

分析対象期間

短期(2025年)、中期(2030年)、長期(2050年)

※該当するシナリオが無い場合は、2℃未満シナリオ(IEA Sustainable Development Scenario、 IPCC 第5次報告書 RCP2.6、IPCC 第6次報告書 SSP1-2.6)等で代替

 

リスク/機会

概要

影響する事業

シナリオ

財務的影響

対応策

中期

長期

移行リスク

政策・法的

温室効果ガス排出削減の強化

全般

1.5℃

・再生可能エネルギーの有効活用

・生産エネルギーの低減

・省エネ設備の積極的導入

・製品販売価格への転嫁

炭素税導入に伴う操業コスト増加

全般

1.5℃

技術

工場エネルギー源の低炭素化、および設備投資

全般

1.5℃

・再生可能エネルギーの有効活用

・生産エネルギーの低減

・省エネ設備の積極的導入

技術

原料・製品の輸送手段(トラック・船舶・航空など)の低炭素化

全般

1.5℃

・物流業界の低炭素化動向のモニタリング

・モニタリング結果に沿った低炭素化に繋がる輸送手段検討

デジタル社会への移行による印刷需要の低下

インキ

1.5℃

・関連情報・市場のモニタリング

・事業内ポートフォリオ見直し

市場

原油価格の上昇

全般

4℃

・原材料としての原油へ依存度の低下(バイオマス原料の活用等)

電力価格の上昇

全般

1.5℃

・自社発電割合の増加(太陽光発電設備導入等)

・自社工場・施設における節電意識の醸成

・電化設備の高効率化による消費電力の低減(照明、空調設備の高効率タイプへの更新等)

取引先からの環境負荷低減の要請

全般

1.5℃

・取引先の調達ポリシーの調査

・環境負荷の低い製品の開発

 

 

リスク/機会

概要

影響する事業

シナリオ

財務的影響

対応策

移行リスク

評判

気候変動対策の遅れに伴うステークホルダーの信頼失墜、ブランド力低下

全般

1.5℃

・気候変動関連の法令改正や業界団体の方針等のモニタリング

・積極的な気候変動推進と情報開示

若い世代の気候変動への危機感の上昇による人材獲得競争での遅れ、およびGX人材の不足

全般

1.5℃

・若い世代の意識に関するモニタリング

・環境取り組みに関する広報活動の強化

・採用活動を通じて、環境取り組みをアピール

物理的リスク

急性

風水害による工場・営業所への影響

全般

4℃

・主要拠点の水災リスク評価

・代替生産可能な体制構築に向けた拠点の分散、特定の製品製造拠点の分散およびグループ全体のBCP(事業継続計画)の継続・推進

・建物および重要設備の止水対策

風水害によるサプライチェーン(上流)途絶

全般

4℃

・サプライチェーンを通じたBCPの構築

・リスクの高いサプライヤーの代替調達方法の検討

水使用制限による事業活動の制限

全般

4℃

・水ストレスの状況調査の実施・継続

・各工場における水リスク評価の実施

・製品製造過程での水の循環使用

 

 

リスク/機会

概要

影響する事業

シナリオ

財務的影響

対応策

物理的リスク

慢性

海面上昇による沿岸部工場・営業所への影響

全般

4℃

・主要拠点の水災リスク評価

・代替生産可能な体制構築に向けた拠点の分散、特定の製品製造拠点の分散およびグループ全体のBCP(事業継続計画)の継続・推進

・建物および重要設備の止水対策

気温上昇による空調や温度管理の費用の増加

全般

4℃

・高効率な空調設備への入れ替え

機会

市場

紙製包装容器の普及によるインキ需要の増加

インキ

1.5℃

・関連情報・市場のモニタリング

・市場要求を満たす製品開発

自動車(EV車)需要増加に伴う製品需要増加

化成品

1.5℃

・製品需要のモニタリング

・市場要求を満たす製品開発

食品包装容器への機能性付与

化成品

1.5℃

・製品需要のモニタリング

・市場要求を満たす製品開発

市場

災害復旧・防災用途の土木資材の需要増加

加工品

4℃

・A-PLAT等によるデータ、動向をモニタリング

・現工法のNETIS登録推進、市場要求を満たす新工法開発

 

A-PLAT:気候変動適応情報プラッ

    トフォーム

NETIS:国土交通省新技術情報提

    供システム

慢性

気候変動への適応機能を付与する技術の需要増加

加工品

4℃

・気候変動による災害被害や、適応機能の需要をモニタリング

・モニタリング結果に対応する製品開発

 

ロ.財務的影響に関する定量分析対象の選定

  気候変動に関連するリスク・機会の内、当社国内グループとして重要度が高いと評価しました下記について、財務的影響の定量分析を実施いたしました。

 

 

リスク/機会

 

シナリオ分析

 

移行リスク

(政策・法的)

 

温室効果ガス排出削減・炭素税導入に伴う操業コストの増加による財務影響

 

物理的リスク

(急性)

 

風水害による工場・営業所への財務影響

 

ハ.財務的影響に関する定量分析結果

   a.移行リスク:温室効果ガス排出削減・炭素税導入に伴う操業コストの増加による財務影響

 

中期:2030年、長期:2050年

 

分析内容

 

当社グループにおいて、1.5℃シナリオにおける温室効果ガス排出量の将来の変化および将来炭素税が導入された場合の財務影響を分析

 

分析対象

 

当社国内グループにおける電力・化石燃料使用量を対象

 

 

 

分析の前提条件

 

 

 

*算定の考え方

当社グループにおいて、将来の排出削減目標(中期:温室効果ガス排出量2013年度比50%削減(Scope1・2)、長期:カーボンニュートラル実現)を踏まえ、省エネルギーや再生可能エネルギー対策を講じた場合、外部専門家からの提供資料やIEA(国際エネルギー機関)の公開資料等に基づき算定

 

*参照データ

・分析に使用したシナリオ:IEA Net Zero Emissions by 2050 Scenario

・炭素税等のデータ:IEA World Energy Outlook 2024

 

*炭素税

日本における温室効果ガス排出量1トン当たりの炭素税を、中期19,669円、長期で35,123円と仮定

 

 

 

分析結果

 

 

 

・2024年3月期と比べ、温室効果ガス排出量の将来の変化については、通常電力の排出係数低下と電力単価の低下による影響により、中長期とも約1~2億円コスト削減見込み

 

・シナリオでの炭素税導入の影響については、Scope3・カテゴリー1の原材料調達が大部分を占めるため、販売先への価格転嫁等を考慮しないとすると、最大値として中期で約38億円、長期で約65億円コスト増加見込み

 

 

対応策

 

 

*省エネ活動の継続、再生可能エネルギー電力の段階的導入

・当社グループの温室効果ガス排出量の削減目標の達成に向けて、中長期 的な省エネ活動の継続や再生可能エネルギーの導入が必要

・使用電力については、2022年度に大阪工場の使用電力全量を再生可能

エネルギー由来の電力への切り替えを実施済みであり、今後他工場に おいても使用電力の段階的な切り替えを検討

 

*炭素税負担額の価格転嫁

炭素税が導入された場合、中長期に想定される課税負担額について、サプライチェーンマネジメントの観点から販売先への価格転嫁等も視野に対応

 

*調達原材料に係る排出量の削減

・当社の調達原材料は化石燃料由来樹脂が多く、当社グループの温室効果 ガス排出量の中でもScope3・カテゴリー1の原材料調達が大部分を占める

・今後の社会全体における温室効果ガス排出量の少ない調達原材料(バイ オマス由来樹脂等)への転換の進展度合を注視の上対応

 

   b.物理的リスク:風水害による工場・営業所への財務影響

中期:2030年、長期:2050年

 

分析内容

 

当社グループの4℃シナリオにおける洪水が発生した際の財務影響を分析

 

分析対象

 

当社国内グループの工場・営業所における洪水浸水による影響が大きいことが予想される5拠点を対象

 

 

分析の前提条件

 

 

*算定の考え方

当社グループにおいて、仮に100年に一度の未曾有の洪水(周期的な発生

でなく確率的に低頻度な現象)が発生した場合、外部専門家からの提供資料や国土地理院のハザードマップに基づいた公開資料等に基づき算定

 

*参照データ

分析に使用したシナリオ:4℃シナリオ SSP5-8.5

 

 

分析結果

 

 

・5拠点同時に被災した場合の保有固定資産や棚卸資産の直接被害額は、最大値として約17億円の見込み

 

・被災後考えられる暫くの営業停止や営業停滞が招く間接被害額は、発生確率を考慮した場合、5拠点の最大値として中長期とも約0.4億円の見込み

 

対応策

 

代替生産可能な体制構築、特定製品の製造拠点の分散等、当社グループ全体のBCP(事業継続計画)の推進を継続

 

ニ.サステナブル対応製品

長期ビジョン「TOKYOink Vision 2030」で特定したマテリアリティ1「製品・サービスを通じた持続可能な社会に対する価値の提供」において、当社グループの主要3事業で作り上げる「伝える」「彩る」「守る」製品群について、当社グループのサステナブル対応製品を定義付けいたしました。

 

    <定義>

    ・バイオマス素材の積極的な採用や、生分解、リサイクルに対応した設計を盛り込んだ、環境に配慮した製品

    ・従来型の工法ではなく、環境に配慮した工法に向けた製品

    ・人々の生活や財産を守り、社会課題の積極的な解決に貢献する製品

 

当定義を設定した上で、サステナブル対応製品売上高比率の目標を設定いたしました。目標値については、「(6) 指標及び目標 ② サステナブル対応製品に関する指標及び目標」に記載のとおりであります。

 

ホ.「省エネ法定期報告情報の開示制度」への参加宣言

  当制度への参加により、当社のエネルギー使用量、原単位等について、2024年6月に資源エネルギー庁のホームページへ掲載し、投資家に対して省エネに関する取り組みの情報発信を行っております。

 

へ.「サステナブル・プラスチックス・イニシアチブ(サスプラ)」への加入

    民間任意団体「サステナブル・プラスチックス・イニシアチブ(サスプラ)」は、再生プラスチックの利用拡大を目指し、需給双方の対話を活発化させ、健全な市場発展を促すことを目的として設立されました。本会への参画により、バリューチェーンの一員として持続可能なサステナビリティ社会の実現に向けて貢献してまいります。

 

 

②人的資本への対応

人的資本への対応は、長期ビジョンのマテリアリティ(重要課題)「4.新たな価値を創造できる人材の創出とマインドの醸成」のひとつとして位置付けており、行動指針を体現できる人材の育成と企業文化の醸成を図るべく、2023年4月に導入した新人事制度の安定運用を重要課題として取り組んでおります。

人事戦略については、中期経営計画における経営方針、基本戦略、事業戦略と連動した4つの柱を軸とし、「多様な人材の育成・確保」、「リーダーシップ」、「変化に応じた再配置」、「キャリア構築」を掲げております。

経営方針を達成すべく、人材の多様性や健康経営等に関する取り組みを進め、従業員の労働意欲の向上と個人の成長を図ってまいります。

 

 

イ.社内環境整備方針

 多様な働き方や適材適所での働きがい、それに応じた的確な処遇を実施するため、新人事制度では主に「等級制度」「給与制度」「評価制度」の3点において従来の制度から大幅な変更を行っております。今回、より一層の安定運用を図るべく、評価制度を一部改定いたしました。また、引き続き管理職に評価者研修を実施することで、評価者のレベルアップと評価基準の統一を図っており、目標設定会議や評価者会議の実施と併せ、公平で透明性の高い制度運用を進めてまいりました。今後は、個人の自立的なキャリア構築の支援として、専用の研修プログラムを実施する他、自らのライフプランを相談できる窓口の設置を整備してまいります。その他、心身の健康を守る健康経営、多様な人材の活躍へ向けてのダイバーシティ推進にも引き続き力を入れてまいります。

 

ロ.人材育成方針

 成長戦略を描ける人材を獲得・育成するために、個々人の活躍・成長を促進することを人事制度の基本方針に掲げ、自己成長や自己実現の機会を提供しております。

 新入社員から管理職までの階層別研修、人材ポートフォリオに基づいた人材配置、社員の異動希望を考慮した社内公募制度、実務を通じて成長を感じられる目標の設定を進め、市場の変化に柔軟に対応していくために、今後も従業員の成長・活躍を後押しすべく、人材育成施策に力を入れてまいります。

 

 具体的な取り組みとして、2024年度には、下記の具体的取り組みを実施いたしました。

 

a.多様な人材の育成と確保

 企業として成長するためには、多様性のある意見や考え方が重要であると考えており、中途社員の採用を積極的に行いました。2024年度は、幅広い業種で11名を採用いたしました。また、将来管理職を担うアシスタントマネジメント職の部署間ローテーションを実施し、幅広い視野の獲得と広範な人間関係の構築を図りました。また、管理職に対してはマネジメント能力アセスメントを実施し、自らの強み・弱みを把握した上で、今後の成長を促す機会の提供に努めました。

また、女性社員に向けた選抜型研修として「東京インキ Women’s Empowerment」をスタートさせました。障がい者雇用に関しても引き続き注力し、より多様性のある組織の構築を目指してまいります。

 

b.シニア人材の活用

 労働人口が減少し労働力不足が懸念される中、シニア社員がよりモチベーション高く活躍できる環境を整備することは重要な課題の一つとして捉えております。新人事制度と連動するシニア制度を導入いたしました。具体的には定年退職後も専門性を有する人材を処遇する他、個人のライフスタイルに合わせ柔軟な働き方が可能となります。制度開始後の従業員の声を聞きながら、よりシニア社員が活躍できる環境の整備を進めてまいります。

 

c.健康経営の推進

 従業員の健康維持に向けた取り組みとして、時間外労働の削減や有給休暇取得率の向上に加え、禁煙・睡眠・食事・花粉症等のセミナーを開催いたしました。また、病気や怪我に備えて有給休暇を残存させる必要が無いように、特別休暇制度の拡充を図ることで、従業員が安心して働ける環境に向けて取り組みを行いました。

 詳細は、「(6) 指標及び目標 ③人的資本に関する指標及び目標」に記載のとおりであります。

 

d.その他の取り組み

 従業員の成長機会の提供として、従来管理職層に提供していたeラーニングシステムの利用範囲を全社員へと拡大いたしました。

 また、従業員が働きやすい職場づくりを進めたことが評価され、埼玉県所在の当社2工場、吉野原工場及び羽生工場が、埼玉県が推進する「多様な働き方実践企業認定制度」においてそれぞれ「プラチナ」「ゴールド」に認定されました。今後も多様なニーズにこたえ、柔軟な働き方を実現するための環境整備を進めてまいります。

その他、社会貢献活動として、本社所在地である王子地区の職業体験イベントや、チャリティ活動へ参加いたしました。

 

  (6)指標及び目標

①気候変動に関する指標及び目標

温室効果ガス排出量の削減目標達成に向けた取り組み状況は下記のとおりになります。なお、当社グループに属する全ての会社では指標及び目標の設定が行われていないため、当社グループにおける記載が困難です。このため、指標に関する目標および実績は、当社国内グループのものを記載しております。

 

(削減目標)

2030年

温室効果ガス排出量50%削減(2013年度対比 / Scope1、2)

2050年

カーボンニュートラル実現

 

(取り組み状況)                              単位:t-CO2

 

2013

年度

2019

年度

2020

年度

2021

年度

2022

年度

2023

年度

2024

年度

温室効果ガス排出量 ※

-

182,981

171,999

184,859

181,209

178,742

-

 

(Scope1、2計)

21,661

19,485

17,410

17,755

17,061

15,940

16,448

(Scope3計)

-

163,496

154,589

167,104

164,148

162,802

-

Scope1、2削減率 ※

(2013年度比)

-

△10.0%

△19.6%

△18.0%

△21.2%

△26.4%

△24.1%

※対象組織:当社国内グループ

 当社国内グループの2024年度Scope1、2の温室効果ガス排出量は、2013年度比で24.1%減となりました。

また、「(5)戦略 ①気候変動への対応 イ.気候変動に関するリスク・機会」に記載した対応策のうち、温室効果ガス排出量の削減に係る取り組みについて、下記のとおり進めております。

 

イ.再生可能エネルギーの有効活用

 太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギー設備の導入について、検討を開始しております。今後もカーボンニュートラル実現に向けて、使用電力については、再生可能エネルギー電力への段階的な切り替え等を検討してまいります。

ロ.省エネ設備の積極的導入

 前年比エネルギー消費原単位1%削減を目標として、成形機シリンダー等の断熱化、空調機の省エネタイプへの更新、生産設備モーター、変圧器およびコンプレッサーの高効率タイプへの更新等を実施いたしました。その結果、2024年度は前年比1%削減目標を達成する見込みであります。

 

②サステナブル対応製品に関する指標及び目標

当社のサステナブル対応製品売上高比率については、2023年度23.5%、2024年度現在23.8%になります。今後、当比率を製品の新規開発、新事業の立ち上げにより2倍以上に増やし、2030年度に50%を超えることを目標としております。

 

2023年度

2024年度

2030年度目標

サステナブル対応製品売上高比率 ※

23.5%

23.8%

50%

※対象組織:当社

 

③人的資本に関する指標及び目標

社内環境整備における人事施策の浸透度を定量的に図るため、以下の重要業績評価指標(KPI)を設定しております。なお、当社グループに属する全ての会社では指標及び目標の設定が行われていないため、当社グループにおける記載が困難です。このため、指標に関する目標および実績は、提出会社のものを記載しております。

INPUT/OUTPUT

OUTCOME

カテゴリ

KPI

2024年度実績

目標値

前年との

評価比較

行動指針

バリュー評価

達成率

65.6%

80%

経営方針の達成

社員個人の成長

労働意欲の向上

育成

教育研修費用

31,920円/人

40,000円/人

成長実感

エンゲージメント

スコア

6.0(10点中)

7.0(同)

満足度

5.9(10点中)

7.0(同)

健康経営

二次検診受診率

47.6%

70%

喫煙率

27.8%

20%

労働環境

時間外労働時間

7.2時間/人

5時間/人

有給休暇取得率

71.2%

80%

労働災害

※3

強度率※1

0.02

0

度数率※2

0.67

0

   ※1 強度率:延べ実労働時間1,000時間当たりの労働損失日数で、災害の重さの程度を

          表す指標。

   ※2 度数率:延べ実労働時間100万時間当たりの労働災害による死傷者数で災害発生の頻度を

          表す指標。

   ※3 労働災害に関する指標は、安全管理の重要性からグループ全社で管理しており、連結ベー

      スの数値です。

 

2024年度の人的資本に関する結果は上記のとおりとなりました。

従業員が行動指針に共感し、日々の業務において行動として実行できているかを人事評価のバリュー評価として実施し、2024年度の結果は65.6%となりました。バリュー評価は、経営方針を実現するための重要な定義と位置付け、人事制度における昇格・降格の指標として進めております。

今後は、バリュー評価の他、従業員のパーパスに対する理解度や共感度を人的資本に関する重要な指標と設定し、目標達成に向けて取り組んでまいります。