リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社のリスクマネジメント体制
当社グループは、2024年4月1日よりコーポレート・ガバナンス体制を見直し、取締役会監督のもと、代表取締役社長の下にリスク・コンプライアンス委員会、サステナビリティ経営推進委員会、環境・安全委員会を設置しております。リスク・コンプライアンス委員会は、各委員会と連携し、様々なリスクを網羅的に把握し、定期的に報告がなされる体制の整備と運用にあたっております。
全社重要リスク決定プロセスは、リスク・コンプライアンス委員会にて、経営に影響を与えるリスクを幅広く検討したリスクアセスメント項目について、各部長職者が回答し、そのデータを分析後、全社重要リスク候補案を取締役会に報告し、取締役会が決定しております。
選定しました全社重要リスクにつきましては、各リスクオーナーが、中期経営計画に沿った3カ年計画および単年計画を推進しております。
中期経営計画「TOKYOink 2027」における全社重要リスクにつきましては、リスク・コンプライアンス委員会から取締役会に報告し、2024年12月26日開催の取締役会にて決議され、各リスクオーナーの選定につきましては、2025年2月27日開催の取締役会にて決議されました。
また、2020年度より設置されました全社BCM(事業継続マネジメント)事務局を中心に、2020年度は本社、2021年度は吉野原工場および各支店・営業所、2022年度は羽生工場・土岐工場・大阪工場、2023年度は国内連結子会社にBCPを構築いたしました。
2024年度は、IT-BCP構築に着手し、更なるBCP対応力の向上を図っております。また、災害時備蓄品の再整備、生産拠点の操業停止を想定した拠点間連携による代替生産検証を実施し、課題を抽出いたしました。
引き続き、継続的に課題解決に取り組み、全社BCP構築の実行推進を行ってまいります。
(2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況
リスク・コンプライアンス委員会では、全社的リスクマネジメント(ERM)を推進するにあたり、中期経営計画策定年度に当社リスクの見直しを伴うリスクアセスメントを行い、全社重要リスクを特定し、中期経営計画策定年度以降においては全社重要リスクについて変更するべきリスクが無いか、社内外の環境変化等を踏まえた精査を行っております。
2021年度においては、リスクアセスメントにより97項目について精査し、リスクの重要度(影響度×発生可能性から決定)上位30項目を中心に、内容を鑑みて全社重要リスク4項目を選定いたしました。2022年度および2023年度においては、年度毎に中期経営計画策定年度以外としてリスクアセスメントを行い、全社重要リスクの状況確認、全社重要リスクへの追加項目の検討およびその他重要リスクの状況確認を行いました。その結果、2021年度と同様に新たな全社重要リスクの追加はありませんでした。
当年度は、全社重要リスクの進捗確認の最終年度であるとともに、中期経営計画の策定年度にもあたることから、新たに精査した107項目のリスクについて、大規模なリスクアセスメントを実施いたしました。その結果、全社重要リスクおよびその他重要リスクの状況を確認し、2021年度と同様に、リスクの重要度(影響度と発生可能性に基づく評価)を踏まえて上位30項目を抽出いたしました。
次期中期経営計画期間におきましては、この30項目の評価結果およびリスクアセスメント対象者から寄せられた意見・認識を踏まえ、内容の近いリスクを取りまとめた上で、全社として注力すべき下記5項目を全社重要リスクとして選定、取締役会に報告し、2024年12月26日開催の取締役会にて決議されました。各リスクオーナーの選定につきましては、2025年2月27日開催の取締役会にて決議されました。これら5項目について現中期経営計画期間と同様に対応策の評価・検証を行い、リスク低減活動の推進を図るとともに、その対応策の効果のモニタリングを行ってまいります。
なお、次期中期経営計画の全社重要リスクは、「事業ポートフォリオに関するリスク」を新たに選定し、経営資源の配分の最適化を図り、企業価値を高めてまいります。現在の「労働災害リスク」につきましては、全社重要リスクとして活動した結果、リスク低減の効果が図れましたので、その他リスク事項へ移行し、今後も永続的な全社取り組みを行ってまいります。
次期中期経営計画 全社重要リスク名 |
リスクオーナー |
現中期経営計画全社重要リスク名からの継続・移設・新規 |
事業継続に関するリスク |
取締役・常務執行役員 管理部門長 |
「事業継続リスク」を継続 |
人的資本に関するリスク |
取締役・常務執行役員 管理部門長 |
「人材戦略リスク」を継続 |
ITに関するリスク |
取締役・常務執行役員 管理部門長 |
「事業継続リスク」のIT-BCPを移設 |
気候変動に関するリスク |
執行役員 生産・技術部門長 |
「サステナビリティ課題考慮不足リスク」を継続 |
事業ポートフォリオに関する リスク |
取締役・常務執行役員 事業ポートフォリオ戦略推進室長 |
新規 |
(3)事業等のリスク
当社グループの経営環境における事業等のリスクとしては、全社重要リスクのほか、その他重要リスク等多岐にわたるものがあり、記載事項以外に予測し難いリスクも存在するため、当社グループの想定を超えた予測不能な事態が発生した場合、十分な対応がとれない可能性があります。
当該リスクの顕在化する可能性の程度(発生可能性)を鑑みた上で、顕在化した場合の経営成績等に与える影響度を考慮し、当該リスクの発生回避および発生時の対応に努める所存であります。
◆全社重要リスク
全社重要リスク ① 事業継続リスク |
前年との 評価比較 |
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全社重要リスク選定理由 |
中長期取り組みの必要性 |
自然災害の頻発・激甚化に伴い、永続的な全社取り組みが必要と捉えております |
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経営戦略への影響 |
操業停止による収益圧迫、人材の確保など、適切な備えが無いと甚大な影響を及ぼす可能性があります |
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企業理念・目指すべき企業像との関係性 |
会社存続には、事業継続力の向上は不可欠であると認識しております |
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体制構築・リソース投入の 必要性 |
事業継続には全社的・組織横断的な取り組みを展開する必要があると認識しております |
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リスク認識 |
災害発生時の従業員の安全確保、近隣への漏出事故等の回避、早期復旧による顧客・取引先・株主の信頼維持は、企業にとって生命線であり、全社的な取り組みを継続する必要性があります |
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リスクへの対策 |
目指すべきリスクへの 対応状態 |
災害発生時、人命保護を目的とした緊急時対応計画(ERP)が実施され、危機管理計画 (CMP)に基づく指揮命令系統を確立し、事業継続計画活動の発動実施ができるようにいたします |
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具体策 |
2020年度は本社、2021年度は吉野原工場および各支店・営業所、2022年度は羽生工場・土岐工場・大阪工場、2023年度は国内連結子会社へ展開し、2024年度は吉野原・土岐・大阪の工場間連携訓練およびIT-BCPに着手いたしました。 ・安否訓練での早期回答の意識付け ・全社での備蓄品装備(3日間)の整備 ・電源、通信等のインフラ(IT-BCP)整備 ・教育、訓練推進 |
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総括 |
当社グループでは、事業継続リスクに対し、2020年度から2024年度において、大規模な地震や自然災害、事故、感染症蔓延等のリスクに対し、国内全事業所および国内連結子会社にBCPを策定いたしました。2024年度には、当社グループでは初めて吉野原、土岐、大阪の3工場間の連携訓練を実施し、生産拠点の操業停止を想定した拠点間連携による代替生産検証を行い、今後の課題を抽出いたしました。 IT-BCPに関しては、情報管理・セキュリティの観点を踏まえ、2024年度から着手しております。また、中期経営計画期間中の大規模リスクアセスメントの結果より、更なるITリスクへの対応強化が必要と判断し、今後は次期中期経営計画の全社重要リスク「ITに関するリスク」として管理することになりました。 当社グループでは、事業継続に関しまして永続的な全社取り組みが必要と判断しており、次期中期経営計画におきましても全社重要リスク「事業継続に関するリスク」として管理してまいります。 |
事業継続リスクに関連する 個別リスク |
前年との 評価比較 |
リスクへの対策 |
原材料の供給途絶 |
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・仕入先の複数化 ・調達先の変更 ・フォーキャスト精度の向上および在庫量の調整 |
コンピュータシステムダウン /ネットワークのダウン |
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・IT-BCP構築 ・システム構成の最適化を実現 ・検証環境を用いたシステム復旧訓練の実施 ・バックアップ回線の高速化 |
台風、豪雨、高潮、洪水、 豪雪、地震、噴火 |
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・BCP策定による対応強化 ・生産機能の相互補完 ・防災訓練の実施、従業員安否確認システムの活用、長期休暇中の安否確認システム範囲外移動への対応 |
感染症(パンデミック) |
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・在宅勤務(テレワーク)の推進、Web会議システム、社内ネットワークへのアクセスツール等インフラの整備、活用促進 ・電子契約システムの整備および更なる推進、受注FAXのメール転送機能の整備等の推進 |
第三者による盗取、不正アクセス・ウィルス感染等 |
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・脱PPAP※対応の実現 ・既知・未知の脅威侵入への対応強化の実現 ・セキュリティプラットフォームの整備 |
※PPAP:メールでパスワード付きZIPファイルを送り、その後別のメールでファイルを開くためのパスワードを送ること
全社重要リスク ② 人材戦略リスク |
前年との 評価比較 |
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全社重要リスク選定理由 |
中長期取り組みの必要性 |
・企業の持続可能性および価値創造のための主要因子と捉え中長期的な取り組みを要すると捉えております ・2022年度に人材戦略構築プロジェクトチームを発足させ、3カ年計画にて仕組みを整えます |
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経営戦略への影響 |
経営戦略と人材戦略の連動が不可欠と考えております |
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企業理念・目指すべき企業像との関係性 |
企業理念に掲げている社会への貢献には、それを体現するための人材が不可欠と認識しております |
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体制構築・リソース投入の 必要性 |
従来の枠に捕らわれない人材発掘・育成のため、複合的な取り組みを展開する必要があると認識しております |
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リスク認識 |
・前中期経営計画「TOKYOink 2020」において、人事戦略・整備すべき基盤・行動の原則等を掲げ対応してきましたが、人材価値向上の成果が不足していると認識しております ・「採用・能力開発・適材適所」の実現等、競争力向上のための人事機能強化は、全社的な取り組みを継続する必要性があります |
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リスクへの対策 |
目指すべきリスクへの 対応状態 |
人事機能を強化し、経営層において経営戦略と連動した人材戦略を検討できる体制を構築することで、必要な人材像を設定し、創出・確保するための各種制度の導入および見直しを行います |
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具体策 |
・人事制度の定着 ・ハイパフォーマー育成制度の実施 ・コンサルティング会社活用による人事機能の補完 ・シニア人事制度の導入 |
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総括 |
当社グループでは、2022年度に人事機能強化の観点から人事戦略構築プロジェクトチームを発足させ、経営戦略に連動した人事戦略を策定いたしました。 求める人物像を具体化した人材マネジメントポリシーを定め、2023年4月より複線型キャリアパスを導入した新人事制度を開始し、評価や異動の最終決定を担う人事委員会も併せて設置いたしました。新人事制度に併せて管理職への評価者研修の実施により、公平で透明性の高い制度運用を進めております。また、中途社員の採用を積極的に行い、教育プログラムを充実させました。 また、シニア人事制度については、2025年4月からの導入に向けて人事制度に連動した制度として検討いたしました。 今後も引き続き、人事制度の安定運用と、より良い人財育成を踏まえた人事制度のための改定に取り組んでまいります。 当社グループでは、今後の変化する市場へ対応できる人財育成や確保には引き続き全社的な取り組みが必要と判断しており、次期中期経営計画におきましても全社重要リスク「人的資本に関するリスク」として管理してまいります。 |
人材戦略リスクに関連する 個別リスク |
前年との 評価比較 |
リスクへの対策 |
人材の過不足・人件費の上昇 |
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・多様な労働力に対応可能な仕組みの強化 ・社員教育制度の拡充、ダイバーシティへの対応 ・DXの強化による高効率化 |
過労、ストレス、メンタルヘルス |
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・時間外労働の管理の徹底による過重労働の抑止 ・ストレスチェックを実施し、ストレス、メンタルヘルスを管理、および必要に応じ産業医の面談を実施 ・メンタルヘルスの教育研修の実施 |
技術等の伝承の失敗・途絶 |
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・評価方法の拡充 ・工程変更時の適切な試験の実施 ・顧客要求事項の確認 ・人材育成の教育プログラム導入 |
従業員の士気・モラール低下 |
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・働きやすい職場環境整備 ・パーパスの従業員への浸透強化 ・従業員サーベイを実施し、個人と組織の課題対策強化 |
人材の流出・喪失 |
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・働きやすい職場環境整備 ・人事制度改革の定着 ・中途採用の強化 |
全社重要リスク ③ サステナビリティ課題考慮不足リスク |
前年との 評価比較 |
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全社重要リスク選定理由 |
中長期取り組みの必要性 |
・2030年、2050年に向けた取り組みが求められると認識しております ・長期に渡る取り組みとなるため、温室効果ガス排出量削減に向けた検討を継続し、統合報告書等の定期的な情報開示体制を構築いたします |
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経営戦略への影響 |
サステナビリティが今後の経営戦略の中核的な要素になることは、世界情勢から認識しております |
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企業理念・目指すべき企業像との関係性 |
「豊かな暮らしと社会の発展に広く貢献する企業であり続ける」ことを目指します |
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体制構築・リソース投入の 必要性 |
幅広い知識・対応・人材が必要なため、組織横断的な取り組みを展開する必要があると認識しております |
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リスク認識 |
持続可能な社会を支え、環境と共生する企業となることが求められる中で、石化由来原材料を多く取り扱う当社としては、環境負荷低減対策は重要なリスクとなっており、全社的な取り組みの継続が必要と認識しております |
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リスクへの対策 |
目指すべきリスクへの 対応状態 |
・当社グループの成長発展に寄与する環境課題・環境負荷低減に対する取り組み方法や実行体制の確立を図ります ・ステークホルダーに対して定性・定量情報を開示できる体制・方法の整備を行います |
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具体策 |
・サステナブル対応製品比率の向上 ・マテリアリティ(重要課題)の実行 ・環境負荷低減方策立案・整理 ・温室効果ガス排出量の定期的なウォッチング ・情報開示体制、方法の整備(TCFD・統合報告書等) ・統合報告書の24年度より開示実施 |
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総括 |
当社グループでは、2022年度から2024年度の3ヵ年において、サステナビリティに関連する取り組みとして、マテリアリティ(重要課題)の設定、サステナブル対応製品の定義付けと売上高比率目標の設定、温室効果ガス排出量削減目標の設定等を実施し、それぞれの目標達成に向けた取り組みに推進してまいりました。 また、2023年度にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明し、TCFDに沿った情報開示を進め、2024年度より統合報告書に開示しております。 今後も製品の新規開発や改良によるサステナブル対応製品売上高比率の向上、また再生可能エネルギーの有効活用や省エネ設備の積極的導入による温室効果ガス排出量削減を目指すことで、社会と当社グループの持続可能性の実現に向けた活動に取り組んでまいります。 当社グループでは、サステナビリティ関連は中長期的な観点に立った全社的な取り組みが必要と判断しております。サステナビリティ課題考慮不足リスクに関しまして、とりわけ気候変動に関する環境負荷低減への取り組みは引き続き全社取り組みが必要と判断しており、次期中期経営計画におきましては全社重要リスク「気候変動に関するリスク」として管理してまいります。 |
サステナビリティ課題 考慮不足リスクに関連する 個別リスク |
前年との 評価比較 |
リスクへの対策 |
原材料市況の変化 |
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・複数の仕入先からの原材料購入による安定調達 ・原材料仕入先の新規探索 ・価格高騰への対応 ・代替品の検討 |
顧客ニーズの変化 |
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・顧客との継続的なコミュニケ―ションによる顧客要求のタイムリーな把握および継続的な技術改善 |
技術革新、陳腐化 |
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・外部からの技術導入 ・新規技術への投資 ・産学連携、同業種、異業種企業との協業 |
研究開発の失敗 |
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・研究人材の育成 ・産学連携の推進 |
規制強化・法令改正 |
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・法令の監視体制強化 ・法規制遵守意識の向上 |
温室効果ガスの排出量削減の失敗 |
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・温室効果ガス排出量の監視 ・環境対応製品の拡充 |
全社重要リスク ④ 労働災害リスク |
前年との 評価比較 |
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全社重要リスク選定理由 |
中長期取り組みの必要性 |
・安全は、企業活動の全てにおいて優先されるべきものと考えております ・安定的な事業継続の観点から中長期的な取り組みを継続いたします |
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経営戦略への影響 |
直接・間接的なマイナスの影響が甚大であります |
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企業理念・目指すべき企業像との関係性 |
従業員の安全確保は最重要と認識しております |
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体制構築・リソース投入の 必要性 |
工場部門だけの問題とせず、全社一丸となる取り組みが必要と認識しております |
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リスク認識 |
当社が取り扱う化学品の危険性や有害性が多様化し、重要なリスクとなっており、全社的な取り組みを継続する必要性を認識しております |
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リスクへの対策 |
目指すべきリスクへの 対応状態 |
労働災害を防止するための基本事項を定め、従業員の職場における安全と健康を確保し、快適な作業環境の形成を促進することを目的といたします 1)5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)ができていること 2)TIC安全基準の策定 |
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具体策 |
・安全教育の強化 ・手順書整備、見直しによる安全性確保 ・健康管理 |
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総括 |
当社グループでは、2022年度から2024年度の3ヵ年において、全社的な労働災害リスク低減に向けた取り組みとして、KYT活動※・5S活動の強化等を実施し、各職場に安全への意識が浸透・定着してきております。 特に、生産・技術部門においては、「生産力強化活動」として、専門家による教育を半年間受けた5S強化委員を中心に、生産性や安全性の観点における気付き力の向上に努めてまいりました。 その結果、各施策による意識の変化が生まれ、生産活動の効率を上げるとともに、労働災害の発生件数は年々減少いたしました。一方で、労働災害の発生件数がゼロになったわけではなく、単純なミスによる労働災害が継続して発生していることから、ハード面の対策のみではなく、作業者の不注意やルールからの逸脱による労働災害を起さないよう、引き続き気付き力の向上に努めてまいります。 当社グループでは、労働災害リスクに関してリスク低減の一定の効果が得られたと判断しており、次期中期経営計画におきましては全社重要リスクからその他リスク事項へ移行し、今後も永続的な全社取り組みが必要と判断しております。 |
※KYT活動:作業現場や職場に潜む危険を事前に見付け出し、事故や災害を未然に防ぐための危険予知訓練
労働災害リスクに関連する 個別リスク |
前年との 評価比較 |
リスクへの対策 |
技術等の伝承の失敗・途絶 |
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・評価方法の拡充 ・工程変更時の適切な試験の実施 ・顧客要求事項の確認 ・人材育成の教育プログラム導入 |
火災、爆発・破裂リスク |
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・危険物の取扱いに関する教育の徹底 ・危険物管理の徹底 |
職業性疾病 |
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・自律的な化学物質管理 ・適切な保護具の着用 ・化学物質の管理と取扱い手順の教育 ・職場環境の把握と改善 |
◆その他重要と認識しているリスク
リスク項目 |
影響度 |
発生 可能性 |
前年との 評価比較 |
リスク内容 |
リスクへの対応策 |
① 景気変動、 市況変化 |
中 |
中 |
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・景気変動に伴う需要減退に対応できない利益減少リスクまたは需要増加に生産対応できない機会損失リスク |
・事業環境の変化に対し、市場動向に迅速かつ的確に対応できる企業体質の構築 |
② 特定顧客・市場への依存 |
中 |
中 |
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・特定顧客・市場への依存度の高さにより、関係悪化・取引停止等にて事業継続への影響に発展するリスク |
・取引先の経営状況の把握 ・新規顧客の開拓 ・周辺領域の探索 |
③ 製品検査・試験のミス(製品事故要因) |
中 |
中 |
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・品質不良品の流出により得意先からの信頼を失うリスク ・品質異常による顧客からの訴訟や損害賠償が発生するリスク |
・手順書の整備と見直し ・品質管理体制の維持と改善 |
④ 製造プロセスの欠陥・瑕疵(製品事故要因) |
中 |
中 |
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・製造過程における異物混入による品質低下リスク ・製造前に設備チェックがされていないリスク |
・5Sの徹底 ・製造前の設備チェック |
⑤ 為替等の変動 |
中 |
中 |
|
・為替市場、金利等の変動等により外貨建取引(債権・債務)への為替変動が生じ、業績に影響を及ぼすリスク |
・外貨変動リスクの事前回避、金融機関や専門機関等からの情報把握、分析(国際金融・社会情勢・地政学) ・外貨建債権・債務残高の適正管理、バランス ・先物為替予約等実施によるヘッジ |
⑥ 貿易ルールの変更 |
中 |
中 |
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・原材料を入手できなくなるリスク ・製品の輸出ができなくなるリスク |
・仕入先の複数化 ・原材料調達国および製品納入国の法令監視 |
⑦ 設備・機器・情報システム等の不稼動 |
中 |
中 |
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・メンテナンス不備による故障・不稼働のリスク ・生産活動が停止するリスク |
・生産設備の日常点検とメンテナンス ・障害発生時の対応マニュアル整備 |
⑧ 顧客・協力会社の倒産・支払遅延 |
中 |
中 |
|
・取引先倒産による債権回収不能リスク ・製造協力会社倒産により、代替先が見つからず一部製品の生産中断となるリスク |
・債権保証契約による債権保全 ・与信債権管理運用基準による取引先状況の定期的なモニタリング ・製造協力会社の新規検討および自社内での生産対応強化 |
⑨ 設計の欠陥・瑕疵(製品事故要因) |
中 |
低 |
|
・評価方法の不備による性能を満たさないリスク ・工程変更による品質低下のリスク |
・評価方法の拡充 ・工程変更時の適切な試験の実施 ・顧客要求事項の確認 |
⑩ 生産・在庫管理の失敗 |
低 |
中 |
|
・在庫管理の失敗による、製品の過不足が発生するリスク ・在庫管理不足による保管料、在庫処分費用増大のリスク |
・適正在庫量の把握と監視 |
⑪ 製品回収、クレーム対応の失敗 |
中 |
中 |
|
・初動の遅れにより不具合製品による事故が発生するリスク ・顧客クレームへの対応失敗により、顧客の信用を失い取引停止となるリスク |
・不具合発生時の初動対応手順の整備 ・原因の特定と再発防止対策の実施・効果の確認 |
⑫ 納期・性能未達 |
低 |
中 |
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・約束した期日までに納品できないリスク ・顧客要求を満たさない製品の流出により、顧客からクレームを受けるリスク |
・工程進捗管理 ・品質の傾向管理 |
⑬ 政情不安(戦争・テロ・政治体制や政策の変更等) |
中 |
低 |
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・政情変化に伴う原材料調達対応の遅れによる事業活動停滞のリスク |
・地政学情報の共有 ・原材料調達状況の早期把握、在庫の見直し ・代替原材料の検討 |
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主価値を中長期的に高めるために、持続的な成長が必要と考え、「資本効率の向上」、「強固な財務基盤の確保」、「株主還元」の3つのバランスを取ることを資本政策の基本としており、安定的かつ継続的な配当実施を基本方針としております。この基本方針を前提とし、配当性向40%以上またはDOE1.0%以上とする配当方針を策定しております。
剰余金の配当につきましては、中間および期末の年間2回の剰余金の配当を実施することとしております。また、当社は、定款に取締役会決議による剰余金の配当等を可能とする規定を設けておりますが、期末配当につきましては、従前どおり定時株主総会の決議によることといたしております。
当事業年度の配当金につきましては、2025年6月26日開催予定の定時株主総会にて、1株当たり130円の普通配当を決議する予定であります。従いまして、中間配当金1株当たり60円を加えた当期の年間配当金は、1株当たり190円を予定しております。
なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年11月7日 |
159 |
60 |
取締役会 |
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2025年6月26日 |
338 |
130 |
定時株主総会(予定) |
次期の連結業績予想に基づく年間配当金につきましては、株主還元による更なる株主価値向上を目指し、普通配当金1株当たり210円(中間配当100円、期末配当110円)と20円の増配を予定しております。