リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の変動要因について
(新型コロナウイルス感染症等の異常事態について)
当社グループは、ホテルや介護施設、医療サービス施設など、主に人対人のサービスを中心とした事業を複数の事業拠点で運営しております。新型コロナウイルス感染症拡大のようなパンデミックや大規模な自然災害等の異常事態が当社の想定を超える規模で発生し、事業運営が困難になった場合には、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。
(顧客需要及び動向への対応の不首尾について)
当社グループのサービスは、日本の個人富裕層及び企業が多くを占める当社顧客からの需要及び期待に左右されます。日本の現在の事業環境としては、人口減少と高齢化を受けて、アンチエイジングやサプリメント市場が成長し、医療、美容その他の類似の技術分野が拡大するほか、日本への外国人観光客を増やす政策が取られております。当社グループは、現在、日本人(特に富裕層及びシニア世代)向けのサービス提供を通じて顧客需要に沿うことを意図しております。加えて、日本の高齢化と人口減少を念頭において、当社グループは、将来は、マス富裕層及び若年世代、さらには外国人を惹きつけることを考える必要があり得ます。当社グループには、既存事業の安定した基礎をもたらし、また先端的な医療などの新規事業において将来の成長をもたらす、約19万人の富裕層顧客のネットワークがあります。しかしながら、現在の動向に後れを取らず、また顧客ニーズに合致する新たなサービスの提供に常に成功できるとは限りません。不首尾に終わった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。
(経済及びマーケット状況の影響について)
当社グループは会員権需要や販売代金に低下をもたらす可能性のある様々な要因に晒されております。日本経済における景気の低迷や鈍化、為替や金利の変動、燃料価格や失業率の上昇、株価変動、税率上昇、世界経済や新興市場の低迷や鈍化は、特に多数の顧客が引き続き消費を大幅に抑制した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、日本は長期的な高齢化と人口減少にさらされており、当社グループの商品とサービスに対する需要が害される可能性があります。
(気候変動への対応、ホテル事業 自然災害・事故等について)
気候変動への対応方針等を議論するサステナビリティ委員会や専門部署を設置し、当社グループの重要課題や重要指標、気候変動リスクの情報開示に向けた整備を行っておりますが、対応が遅れる場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。
ホテルレストラン等事業においては、お客様の「安全・安心」を最重要課題と認識し、食の安全確保の施策の推進、施設の安全対策の実施等、安全管理には万全の注意を払っております。しかしながら、大規模な事故、地震や台風等の自然災害、テロ行為等が発生した場合、その対策費用の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、台風や冷夏、降雪の状況等天候不順によりお客さまの減少等が見込まれるほか、治療法が確立されていない感染症等が流行した場合、休業や出控え等が懸念され、売上高及び利益の減少や対策費用の発生等により、ホテルレストラン等事業の業績に影響を与える可能性があります。
(労働力人口の減少について)
当社グループが営む事業の大部分はサービスの提供を中心業務としており、当社グループの業務は従業員のパフォーマンスと質に大きく依存しております。少子高齢化に伴う労働力人口の減少は、当社グループのハイセンス・ハイクオリティのホスピタリティ提供サービスを担う人材確保に対するリスクであり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(当社グループの商品及びサービスの質及び安全性について)
当社グループは、当社グループの提供するホテル、食品その他のサービスの質又は安全性についての悪評には敏感に影響を受けます。当社グループの商品又は競合他社の商品の質又は安全に対して申し立てられる製造物責任その他の請求は、当社グループの一部事業の売上に急激な減少をもたらすこともあり得ます。これにより当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼすこともあり得ます。これは請求自体が僅少な金額で最終的に決着した場合であっても、また請求に根拠がないと認定された場合であってもあてはまります。この種類の悪評が将来発生しないとの保証、又は高額の請求が将来なされないとの保証は一切なく、当社グループに対するその影響についても保証の限りではありません。当社グループは、当社グループが扱う商品の品質と安全性の高さを確保するために特別の注意を払っているにも拘わらず、予期せぬ品質問題や安全問題が発生しないとの保証は一切ありません。当社グループの商品又はサービスが一定の安全及び品質基準を満たしていないとされた場合には(関連規制当局による設定又は顧客期待による設定のいずれの基準であっても)、当社グループの評判及びそのブランド価値が著しく毀損されることもあり得ます。
当社グループのサービスの市場における成否は、そのブランド・ネーム及びその価値に依存しております。「リゾートトラスト」、「エクシブ」、「サンメンバーズ」、「ベイコート」、「サンクチュアリコート」「カハラ」、「ハイメディック」又は「トラストガーデン」ブランドが何らかの理由で(当社グループの業務における事故又はその他の出来事の結果であることを含めて)毀損された場合には、かかるブランドのもとに広く提供されたサービスの品質に対する顧客の反応が悪影響を受ける可能性があり、それにより当社事業のすべての分野に悪影響を及ぼす可能性があります。
(不動産の販売に関する収益認識について)
会員権事業におけるホテル会員権売上は、登録料と不動産等に係る所有権部分に分類され、未オープン物件の場合、登録料は契約後、顧客同士で占有利用日を交換するシステムを利用する権利の付与時に、所有権部分はホテルオープン時に売上計上しております。そのため、会員権事業の売上高は、会員権の販売状況のほか、新規ホテルのオープン時期によって大きく変動する可能性があります。
(2) 減損会計及びリゾート施設及びその他施設の今後の開発について
2024年3月期末現在、当社グループは 48,376百万円の土地を含めた192,389百万円の有形固定資産を保有しております。
当社グループの主力事業である会員権事業・ホテルレストラン等事業では、分譲を予定する部分は「棚卸資産」、非分譲部分等は「固定資産」として計上しております。その他の主要な固定資産として、一般向けホテルやゴルフ場を所有し経営しております。今後、地価の変動、業績の低迷等内外の経済環境の変化により、当社グループの固定資産に対し多額の減損処理が必要であると判断された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループがこれまでに完成させたリゾート施設及びその他施設の開発は相当規模にのぼり、また将来の開発プロジェクトのために有している予備計画も相当規模にのぼります。当社グループは、既に完成しているプロジェクトの財務上の予想利益を実現させるに際して、或いは将来のプロジェクトを開始し又は完成するに際して、とりわけ以下の理由から著しい困難に直面する可能性があります。
・ 市況の悪化
・ 会員権販売における困難或いは購入者側の資金調達力
・ 工事の中止
・ 建設人件費、原材料価格の上昇、設計・製図要員不足、その他事由に起因する建設費用の急騰
・ 天候障害
・ 近隣紛争
・ 規制当局から必要な承認を取得するにあたっての困難
これらのプロジェクトが不首尾に終わった場合には、当該プロジェクトから意図している利益を実現できないことに加えて、当社グループの潜在的顧客は他のリゾート施設を選択することもあり得ます。その場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態は重大な悪影響を受ける可能性があります。
(3) 顧客情報及び個人情報の取り扱いについて
当社グループは、会員制を事業の柱としていることから、顧客(会員)情報及び個人情報などを大量に保有しております。よって当該情報の取り扱いについては、顧客(会員)情報、個人情報の大切さ、重要性を充分認識しつつ、情報管理業務を遂行しております。当社は社員・パートタイマー並びにアウトソーサー等への教育を徹底し、取り扱いには細心の注意を払っておりますが、外部からの不正なアクセスなど不測の事態により情報の外部流出が発覚した場合、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(4) ジャストファイナンス㈱の貸金業および割賦販売業の登録について
当社の連結子会社であるジャストファイナンス㈱は、「貸金業法」ならびに「割賦販売法」及び「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(以下「出資法」という。)の適用を受けております。このため、同社は「貸金業法」第3条に基づき、1987年12月7日に愛知県知事に貸金業者として、また「割賦販売法」第12条に基づき、2010年7月29日に経済産業省に個別信用購入あっせん業者として、登録を行っております。同社は、当社の会員権購入資金等、当社グループの事業に関連する顧客等への金消契約または立替払契約を行っております。従って、契約通り利息、手数料を含む貸付金や代金が回収されない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 事業用土地の賃借について
当社グループは、一部ホテルレストラン等事業において事業用土地を賃借しております。これらの賃貸借契約の期間が満了し、当該契約が更新されなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 有価証券について
当社グループは、2024年3月期末において有価証券(投資有価証券を含む)を31,486百万円保有しております。今後時価や為替等の変動によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 為替変動および海外事業展開について
当社グループは、外貨建資産及び負債を保有しております。今後為替等の変動によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、海外事業として、米国ハワイ州の「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」を取得し、日本国外での商品やサービスの提供を行っており、当社グループの事業は、国際的に事業を行うことに伴うリスクに晒されております。そのため、当社グループは、以下に記載するものを含めた海外事業に関する様々なリスクに晒され、それは当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・ 海外での関連する業界での景気の鈍化又は低迷
・ 外国為替相場の変動
・ 現地の事業環境や動向に適応できない可能性
・ 異なる法規制の対象となり税制を含む予期しない法規制の変更や追加(当社の海外子会社又は関連会社による当社への送金その他の支払が源泉徴収税等の対象となったり、かかる租税が増額されることを含む。)
・ 政治的・経済的な不安定や低迷、その他の社会不安
・ テロ、戦争、自然災害、悪天候、悪疫その他のコントロールできない事象
・ 当社グループが事業を行う国又は地域と日本との政治的・経済的な関係の変化及びかかる国又は地域間での政治的・経済的な関係の変化
・ 外国政府による投資その他への規制の創設又は追加
・ 賃金や人件費の増加
・ 労働争議、産業ストライキ、ゼネラルストライキその他の労働環境の障害
・ 発電設備などのインフラが十分に発達していないことによってもたらされる予期しない事象や事故
・ 文化的な違い等による監督、管理、経営支配を含む現地人員と現地事業の経営の困難
(8) 当社グループの経営計画及び戦略の実施および将来予測に関する記述について
当社グループは、中期経営計画を公表し現在実行しております。当社グループの戦略の実施の成功は、様々な内的及び外的要因(当社グループが事業を営む際の一般的な経済状況及び市況、競争水準、消費支出及び当社グループのサービスに対する需要の水準のほか、後記「将来予測に関する記述」に記載するリスク及び不確実性を含む。)に左右されます。当社グループの戦略が首尾よく実施されるとの保証、当該戦略の実施が意図する効果をもたらすとの保証、ハワイの「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」の取得や国内での「エクシブ」「ベイコート」「サンクチュアリコート」など会員制ホテル、並びに「ザ・カハラ・ホテル」など一般向けラグジュアリーホテル等、近年積極的に投資を行っている事業領域及び展開エリアの拡大が、意図する効果をもたらす又は想定通りの投資回収が行われるとの保証、当該戦略に記載されている目標(定量的、定性的かを問わない。)が期限内に(又は期限内かどうかを問わず)達成されるとの保証、また当該目標及び目的が当社経営陣により今後変更されないとの保証は一切ありません。
当社グループの計画、戦略、予測財務成績、及び意見に関する記述並びに過去の事実についてではないその他の記述は、リスク及び不確実性を伴う将来予測に関する記述であります。これらの記述は当社グループが現在入手可能な情報に由来する前提及び意見に基づくものであるため、実際の結果は、かかる将来予測に関する記述とは(場合によっては大幅に)異なる可能性があります。当社グループは、将来の事象又は状況を反映するためになされる可能性のある当該記述の修正に関して、かかる修正を発表することを約束出来ません。現実の結果を将来予測と大きく異なるものとさせる要因には、これらに限られませんが、ホテルのオープン時期と会員権の販売開始時期、経済・社会・競争環境の変化、資産の減損、規制問題、及び当社グループの戦略と経営計画が挙げられます。当社は、投資を考えている投資家に対し、かかる将来予測に関する記述に全面的に依拠しないよう警告致します。当社又は当社の代理人による、文書による将来予測に関する記述又は口頭による将来予測に関する発言はすべて、これらの注意文言に服するものであります。
(9) 当社グループが提供する医療及び介護サービスについて
当社グループは高品質な検診施設の運営及び会員権の販売、医療及び介護を提供可能なシニアレジデンス施設の保有及び運営、医療センターの運営コンサルティング・サービス、医療施設の賃貸サービス及び在宅介護サービスに携わっております。これらのサービスの性質上、従業員による予想できない過誤によって影響を受けた者からの訴訟や苦情の対象と当社グループはなり得ます。当社グループは、化粧品や食品サプリメントの提供も行っておりますが、アレルギー反応などによって人体に害をもたらす可能性もあり、その場合には、訴訟や苦情がもたらされる可能性があります。かかる訴訟や苦情は、根拠のあるものであろうとなかろうと、当社グループの評判に悪影響を与え、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、将来にわたり継続的に安定成長することが企業価値を向上させ、株主価値を高めることにつながり、それが株主の皆様に報いる最重要課題であると認識しております。資本を充実させ財務の健全性を維持し、成長が見込まれる事業への投資のために内部留保を確保しながら、株主の皆様にも原則として「配当性向40%を目安とした、安定的な還元」を実施していくことを基本方針とし、持続的成長に必要な内部留保とのバランスをとりつつ、新たな収益機会獲得のため「積極的・機動的なM&A」など、成長投資への資金配分を行っていく方針です。
剰余金の配当について、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、中間配当と期末配当の年2回を基本的な方針としております。なお、これらの決定機関については、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
第51期(2024年3月期)につきましては、上記方針に基づき、配当性向、キャッシュ・フロー経営を推し進める上での手元資金の充実などを総合的に勘案し、また当期は、創立50周年記念配当を年間4円上乗せすることで、1株当たり期末配当金を29円(記念配当2円含む)とし、中間配当金1株当たり25円(記念配当2円含む)と併せて、年間配当金は54円といたしました。これは、前年同期の年間配当金45円と比べて9円増配の過去最高水準の配当金額となりました。
なお、内部留保資金につきましては、既存事業の拡大や新規事業への投資など企業価値向上のために活用していくことに加えて、株主還元としての各種施策も機動的に実施してまいります。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。