リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響につきまして、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)事業環境について
全社的な当社を取り巻く環境として、少子高齢化や人口減少に伴う労働者人口減少の時代を迎え、生産性の向上が喫緊の課題となっております。さらに為替相場や資源・エネルギー価格の影響による物価上昇、それによる個人消費の減速懸念など、依然として経済・社会環境の変化に対し柔軟な対応が必要となっております。また、クラウド活用の進展、ハードウェアからソフトウェアへの流れは今後も継続し、当社のビジネスモデルも変革を迫られております。各事業については、フィンテックの進化、キャッシュレス化の進展、働き方改革、法制度の変化、次世代移動通信システムへのサービス移行などが、当社の今後の業績に影響を与えるものと考えられます。
当社グループが強い事業領域と位置付ける地方銀行を中心とする金融機関においては、低金利の長期化や法改正の影響などを受け、地域ビジネスへの参入など事業の多角化による経営基盤の強化を目的としたアライアンスの拡大、また地方百貨店においても地方経済の低迷による厳しい状況が続いており、事業環境は楽観視できない状況が続いております。当社グループでは、業務効率化や事業拡大につながる様々なソリューションの提供により取引先の収益に貢献できるように取り組んでおりますが、厳しい事業環境が継続することで取引先の業績やIT投資計画に大きな影響を及ぼし続ける場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。戦略商品であるキャッシュレス決済事業の拡大に取り組んでおりますが、マルチ決済端末「iRITSpay決済ターミナル」の導入先となる加盟店の経営状況、半導体市場の動向、競合の激化などの問題により事業拡大が進展しない場合においては、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
また、M&A案件に業績面や財務面での問題が生じた場合などに、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。AIやブロックチェーンなどの新技術を獲得し、それを活用した新商品の販売を目指していきますが、技術開発が十分に進まず、競合他社に先行された場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(2)競合について
当社グループは、事業戦略展開分野を金融業界向けシステムや、流通・小売業界向けシステムなどに関連する分野に集中することにより他社と比べ優位なシステムノウハウを蓄積し、その分野で独自のソリューションとネットワークインフラを含むハード・ソフトのトータルサービスを提供しております。しかしながら、既存の大手コンピューター・メーカーや専業システムインテグレーターとの競合が厳しくなっております。また、当社グループは質の高いソリューションを提案することにより売上の拡大を図っておりますが、情報通信機器類の価格の低下に伴い単価の引き下げ圧力が強まっております。このような企業間競争のさらなる激化と販売価格の下落傾向が続いた場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(3)為替相場の変動について
当社グループの商品仕入の5割弱が輸入であり、主に米国ドル建ての取引となっております。当社は、為替相場の変動によるリスクを軽減するため、先物為替予約取引を外貨建買掛金等および発注高の範囲内で行っております。先物為替予約取引の契約先は、いずれも信用度の高い国内の銀行であり、相手先の契約不履行による、いわゆる信用リスクはほとんどないと判断しております。
しかしながら、先物為替予約取引により為替相場の変動による影響を緩和することは可能であっても、間接的な影響を含め、すべてのリスクを排除することは不可能であり、大幅な円安が続くとコストアップ要因となることから、為替相場の変動により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(4)システム(商品)開発、品質管理について
当社グループの取り扱う情報通信機器類のライフサイクルは、年々短くなる傾向にあります。当社グループは、国内外から最新の情報技術および機器類を仕入れ、お客様へ提供しておりますが、技術進歩に後れを取った場合や商品戦略を誤った場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、当社が保有する2年以上経過した在庫品については、売却可能性がない場合は廃棄処分とし、在庫水準の適正化に努めております。
当社グループが独自開発し、高いシェアを確保しております特許権が成立していないシステムなどで、類似品や競合品の出現により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
また、当社グループはニーズに合ったパッケージシステムおよびお客様の要求事項に基づくソフトウェアの開発、製造ならびに保守(ハード、ソフト)サービスなどを行っておりますが、それらの品質管理を徹底し、お客様に対して品質保証を行うとともに顧客満足度の向上に努めております。さらに当社では「ISO9001(2015年版)」の認証を取得し、品質マニュアルおよび品質目標を設定することにより、品質管理の徹底を図っております。また、情報セキュリティマネジメントシステム国内標準規格「ISO27001(2013年版)」の認証を取得し、お客様へのサービス向上に努めております。しかしながら、当社グループの提供するサービス等において品質上のトラブルが発生した場合には、トラブル対応による追加コストの発生や損害賠償により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(5)情報セキュリティについて
当社グループは、お客様の了解を得た上で、個人情報を含む重要情報に接する機会があります。当社では、プライバシーマークの取得に加え、自社開発の「入退室管理システム」やPCの操作ログを見える化する「CATサポーター」を全社に導入し、情報管理を徹底しております。管理体制としては、各事業部長が情報管理責任者となり担当部門内のセキュリティ管理の責任を負うとともに、各部署に情報管理担当者を配置しております。引き続き情報管理には万全の対応を図ってまいりますが、万一、当社から重要情報が流出するような事態が生じた場合には、事業の継続に重大な影響を及ぼす恐れがあります。
(6)自然災害等について
当社ではデータセンターを東京と大阪に設置しており、大規模地震等を想定した事業継続計画(BCP)の整備、安否確認システムの導入、耐震対策、防災訓練等の対策を講じておりますが、大地震等により防災管理体制の想定範囲を超えるような災害が発生した場合には、停電・通信回線の障害等の不測の事態により業務の遂行に影響を及ぼす恐れがあります。
(7)業績の季節変動について
当社グループの属する情報サービス事業においては、お客様への出荷や納期が3月に集中する傾向があります。しかしながら、システム開発における大型案件では、従来の一括受注ではなく開発見積およびスケジュールの精度を高める目的から工程ごとの分割受注が増加しております。また、前連結会計年度におきましては、第3四半期の売上が第4四半期にずれ込んだ影響により、第4四半期に集中しております。今後の傾向につきましては注視してまいります。
前連結会計年度および当連結会計年度の業績変動の状況は以下のとおりです。
(注)アイティフォー単体売上高 2022年9月 1,825,366千円 2023年3月 2,784,899千円
(注)アイティフォー単体売上高 2023年9月 1,840,495千円 2024年3月 2,711,321千円
(8)業務提携等について
当社グループは、今後も当社グループ事業の拡大と安定を図るための業務提携などを積極的に進めていく方針ですが、当社グループが当初想定したシナジー効果が生じない場合や提携・出資先企業の業績によっては、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(9)株式価値の希釈化について
当社は、過去に会社法第236条、第238条および第239条の規定に基づく新株予約権を発行しておりますが、権利行使がなされた場合、株式価値の希釈化が起こり、当社株価に影響が出る可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主への利益還元を重要な経営課題の一つと認識しており、業績や財務状況を勘案しながら、安定的かつ継続的に配当を行うことを基本方針とし、連結配当性向は50%を目標に配当を実施しております。総還元性向については70%以上を見込んでおります。
なお、当社は、「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項の決定は、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議による」旨を定款に定めております。
当社は、期末配当による年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としておりますが、毎年9月30日を基準日として、会社法第454条第5項の中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
2024年3月期につきましては、上述の基本方針や株主利益の実現などを考慮し、1株当たり40円(配当性向は39.3%)の普通配当を実施します。今後も基本方針に基づき、株主の皆様へ適切な利益還元策を都度検討してまいります。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当の状況は、以下のとおりです。
(注)配当金の総額には、取締役向け株式交付信託が所有する当社株式に対する配当金4,951千円が含まれております。
将来の成長のための内部留保については、競争力の源泉となる技術力のさらなる強化のための研究開発投資や事業拡大のための投資等として投入してまいりたいと考えております。