2025年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,737名(単体) 3,731名(連結)
  • 平均年齢
    41.2歳(単体)
  • 平均勤続年数
    12.8年(単体)
  • 平均年収
    7,554,189円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

国内事業

2,265

(291)

国際事業

1,008

(-)

報告セグメント計

3,273

(291)

その他

105

(103)

全社

353

(21)

合計

3,731

(415)

 (注)1.従業員数は就業人員です。

2.( )は、臨時雇用者(パートタイマーを含み、派遣社員を除く)の人員を外数で記載しております。

3.全社として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年12月31日現在

従業員数(人)

平均年令(才)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,737

(92)

41.2

12.8

7,554,189

 

セグメントの名称

従業員数(人)

国内事業

1,369

(71)

国際事業

15

(-)

報告セグメント計

1,384

(71)

その他

(-)

全社

353

(21)

合計

1,737

(92)

 (注)1.平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

        2.平均年間給与は、106期より「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。

        3.従業員数は就業人員です(当社から社外への出向者を除く)。

4.( )は、臨時雇用者(パートタイマーを含み、派遣社員を除く)の人員を外数で記載しております。

5.全社として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(3)労働組合の状況

 当社の労働組合は薬粧連合(医薬化粧品産業労働組合連合会)に属し、2025年12月31日現在の組合員数は、1,224名(出向社員含む)であります。なお、労使関係は円満に推移しており、特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)

(注)1

男性労働者

の育児休業

取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

うち正規雇用

労働者

うち非正規雇用

労働者

14.8

95.2

65.5

68.9

53.2

 

②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者

の育児休業

取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

うち正規雇用

労働者

うち非正規雇用労働者

富山小林製薬㈱

11.1

100.0

60.9

79.1

74.3

仙台小林製薬㈱

12.5

100.0

67.4

80.1

67.4

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。

3.当社では能力発揮及び担う役割が同じであれば概ね同水準の賃金が支払われます。ただし、管理職比率や正社員の割合が男女で異なり、その結果平均賃金にも差が生じております。

4.非正規雇用労働者は、パートタイマーを含み、派遣社員を除いております。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

<サステナビリティ全般>

 小林製薬は経営理念で“人と社会に素晴らしい「快」を提供する”と掲げています。

 年々グローバルな規模でサステナビリティの重要性が高まる中、当社も社会的責任を真摯に果たすことで持続可能な社会の実現に貢献していかなければなりません。そのために「品質と安全」を第一に、環境と社会への貢献、そして信頼に応えるガバナンス体制を強化していきます。

 

(1)ガバナンス

 当社のガバナンス体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

①サステナビリティ課題に対する監督および執行体制

 当社では、サステナビリティ課題全体のマネジメントを強化し意思決定を迅速に行うことを目的に、2024年に取締役会の監督下にサステナビリティ委員会を設置いたしました。当委員会は代表取締役社長を委員長とし、これまで、環境や人権といったサステナビリティに関する重要事項の意思決定や今後の戦略策定に向けた意見交換等を行ってまいりました。

 なお当委員会の設計及び運営については、今後の意思決定をより円滑に行っていくために、これまでの2年間の活動をレビューし、見直しに着手しております。見直し後の設計及び運営につきましては、取締役会の承認後2026年12月期第2四半期中に当社コーポレートサイトにて開示予定でございます。

 

②2025年1~12月の議論

会議

議論

回数

主な議論内容

取締役会

2回

・マテリアリティの見直し、KPIについて

サステナビリティ

委員会

7回

[全般]

・委員会設計、運営レビュー

・外部評価の結果と今後の対応

・マテリアリティの見直し、KPIについて

[環境]

・GHG削減目標に対するレビュー

・使用済みカイロ回収実証実験

・プラスチック資源循環の取り組み

・2050年に向けた環境ビジョン、KPI

・エコ指標の改定

[社会]

・社会貢献活動方針の見直し

・英国現代奴隷法への対応について

・人権デュー・ディリジェンスの計画

 

③報酬連動

 役員報酬の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」をご参照ください。

 

 

(2)戦略

①マテリアリティ(2026年度より)

 当社の紅麹関連製品にて一部の紅麹原料に当社の想定していない成分が含まれていた件(以下「本件事案」といいます。)は、これまで推進してきたサステナビリティ経営の基盤が崩れたことを意味しました。そのため、2024年から2025年にかけて、改めてサステナビリティに取り組む意義と当社にとってのマテリアリティの見直しを行いました。マテリアリティの特定にあたっては、本件事案からの信頼回復無くして持続的成長は成し得ないとの認識のもと、信頼回復の視点と持続的成長の視点のそれぞれで整理を行いました。当社は、今回新たに設定したマテリアリティの解決に取り組むことで、信頼回復と持続的成長の両輪を回しながら2035年ビジョンの達成を目指してまいります。

 

 

1)信頼回復に向けたマテリアリティ特定プロセス

 2023-2025年の中期経営計画策定時の整理で「事業基盤」としてマテリアリティの前提に置いていた「風土」や「品質」「ガバナンス」については、今回の見直しではその重要性から、マテリアリティに位置づけました。また、健康被害にあわれたお客様及び損害を受けられた企業様への補償については、引き続き何よりも優先して誠実かつ適切に実行していくことから、こちらもマテリアリティとしております。

 

2)持続的成長に向けたマテリアリティ特定プロセス

 2035年に向けた長期戦略策定の中で、グローバルな社会課題の把握とそれに対する当社のリスクと機会を整理し、社会にとっての重要度と当社にとっての重要度の2軸で評価を行い決定いたしました。

 

 

②マテリアリティに対する主な施策

 

マテリアリティ

課題の詳細

主な取り組み

1

お客様への補償

誠実な補償

・健康被害にあわれたお客様および損害を受けられた

企業様への誠実な補償

2

品質の追求

品質・安全ファーストの徹底

・「品質・安全ファースト」定着のための教育・対話

・QMSの体制整備と定着

(ものづくりと品質保証のマネジメント)

・第1線(現場)の品質意識および専門性の強化

3

全員が一丸となって

創り直す新小林製薬

風土改革

・全従業員を対象とした理念体系への共感と

自分事化を推進する施策

・現場の主体的な取り組みを奨励し、最大化させる施策

4

コーポレート・

ガバナンスの

抜本的改革

新コーポレート・ガバナンスの

構築と運営

・取締役会の改革と運営

(機関設計の検証、監督機能の強化等)

・現体制の取締役会の実効性評価の実施

・グローバルガバナンス体制の再構築と運営

内部統制

・危機管理体制の再構築と運用

・リスク・コンプライアンス体制の再構築と運営

5

新しい生活習慣の

創造

ブランド価値の

最大化と新市場創造

・「国内事業」の持続的成長

・「グローバル」展開の加速と基盤確立

・魅力品質の創出

(専門性強化、共創による価値創出力向上)

6

多様な人の

活躍と成長

人権の尊重

・人権デュー・ディリジェンスの実施と

救済の仕組みの運営

健康経営の推進

・従業員の心とからだの健康維持促進

人材の活躍推進

・イキイキと活躍できる環境の実現に向けた施策

社会への還元

・従業員参加型社会貢献活動

7

脱炭素の実現

2050年カーボンニュートラルに

向けたGHG削減

・自社が排出するGHGの削減(Scope1,2)

・自社の外で排出されるGHGの削減(Scope3)

8

循環(めぐ)る

製品の実現

プラスチック資源の

削減と再利用

・石油由来バージンプラスチックの削減

・再生プラスチックの導入

 

(3)リスク管理

 当社のリスク管理体制、認識しているリスクとそれに対する主な対応策実施状況につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。なお、それぞれのマテリアリティについては以下該当ページにて詳述しております。

 

・第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

・第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 <気候変動への対応(TCFD提言への取組)>

・第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 <人的資本>

 

 

(4)指標及び目標

 (2)戦略で示したマテリアリティのKPIについては下記の通りです。KPIの進捗については今後サステナビリティ委員会及び取締役会にて把握し、目標達成に向けて必要な打ち手を講じてまいります。

 なお、2026年度を取り組み初年度とし、2027年より実績を開示してまいります。

 

マテリアリティ

課題の詳細

KPI項目と数値・状態

目標

年度

お客様への補償

補償

品質の追求

品質・安全ファーストの

徹底

重大な品質事故 0件

毎年

全員が一丸となって

創り直す新小林製薬

風土改革

・従業員が当社で働くことに誇りを持っている状態

:TOP2BOX70% ※1

・従業員が当社でイキイキと働いている状態 ※2

2028

コーポレート・

ガバナンスの

抜本的改革

新コーポレート・

ガバナンスの構築と運営

・取締役会の改革と運営

(機関設計の検証、監督機能の強化等)

・現体制の取締役会の実効性評価の実施

・グローバルガバナンス体制の再構築と運営

毎年

内部統制

危機管理規程、品質安全緊急会議規程に定められた基準に則り、取締役会にエスカレーションするべき事象が発生した場合に、100%エスカレーションできている。

毎年

新しい生活習慣の

創造

ブランド価値の最大化と

新市場創造

・新製品の初年度目標達成率50%

・既存ブランドの年平均成長率(CAGR)3%

2028

多様な人の

活躍と成長

人権の尊重

当社グループにおけるバリューチェーン上の人権侵害リスクの特定・評価の実施率100%

2028

是正が必要と判断された人権侵害リスクについて、是正・防止計画が実行され、その実効性が確認されている。

2035

健康経営の推進

健康経営優良法人(W500)の継続認定 ※3

毎年

人材の活躍推進

従業員が当社でイキイキと働いている状態 ※2

2028

(中期経営計画の進捗を踏まえ設定)

2035

社会への還元

(中期経営計画の進捗を踏まえ設定)

2035

脱炭素の実現

2050年カーボンニュートラルに向けたGHG削減

・Scope1,2のGHG排出量を51%削減 (基準年 2018年)

※SBT目標に基づく

・Scope3のGHG排出量を15%削減 (基準年 2018年)

※SBT目標に基づく

2030

循環(めぐ)る

製品の実現

プラスチック資源の

削減と再利用

売上高あたりの化石資源由来のバージンプラスチック使用量を2020年比で33%削減

2030

※1 当社グループ従業員を対象に行う声サーベイ(従業員意識調査の名称)の該当設問にて「あてはまる」

「ややあてはまる」を選んだ人の割合

※2 声サーベイにて新規に設問を設置し、初年度のスコアを踏まえて2028年度目標値を定める。

※3 小林製薬株式会社単体

 

 

<気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)>

 当社は、サステナビリティ課題の中でも、気候変動対応を最重要課題と捉えております。2019年に賛同したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言を踏まえ、シナリオ分析に着手し、以下の枠組みで取り組みを進めております。

 

(1)ガバナンス(気候変動マネジメント体制)

 取締役会直下にサステナビリティ委員会を設置し、プラスチックやGHGの削減目標の設定、削減施策の検討、進捗状況のモニタリングなどを議論しております。

 

(2)戦略

 2022年のシナリオ分析においては、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに1.5℃に抑える努力を追求する」というパリ協定の目標の達成と脱炭素社会の実現を見据え、1.5℃シナリオを検討いたしました。さらに世界的に気候変動対策が十分に進展しない場合も想定して、4℃シナリオも検討し、当社グループにおける気候変動リスク・機会を更新し、財務影響度を算定いたしました。その結果を2022年に経済産業省が公表した「TCFDガイダンス3.0」に沿って、以下の通り整理いたしました。

 今後は各リスク、機会の対応策の更新や、新たな機会の創出を検討いたします。

 

全社

リスク・機会

の種類

リスク・機会の概要

財務影響度

対応策

1.5℃

4℃

政策

規制

炭素税導入による

Scope1,2への課税

・関連工場への再生可能エネルギーの導入

炭素税導入による

Scope3への課税

・低炭素原資料の調達や低炭素仕様への変更

市場

技術

環境配慮型樹脂

の高騰

・「製品開発エコ指標」の進化と制度化

・樹脂削減の推進、つめ替えへの移行

再生可能エネルギー

の高騰

・省エネの促進

市場

評判

他社の環境配慮型製品

への移行

・サプライヤーと協力した低炭素型資材への移行

慢性

天然由来原料の高騰

(天然由来香料原料、

生薬、植物原料)

・調達場所と原料の多角化

・代替原料の検討

 

日用品事業部、ヘルスケア事業部

リスク・機会

の種類

リスク・機会の概要

財務影響度

対応策

1.5℃

4℃

政策

規制

容器包装のリサイクル

費用の高騰

・「製品開発エコ指標」の進化と制度化

・樹脂削減の推進、つめ替えへの移行

市場

評判

高炭素型製品への忌避

・原資材の低炭素化

・アップセルや低排出型製品への移行

急性

自然災害による

原料供給不安

・原資材の低炭素化

・アップセルや低排出型製品への移行

慢性

外出減少に伴う

売上の減少

小-中

・EC専売品開発、自社通販・ECの拡大

慢性

温暖化による

カイロ製品の売上低下

・機能追加やビジネスモデルの開発

機会

製品

サービス

外出減少ニーズを

捉えた新製品を開発、

EC市場の開拓

・EC専売品の提供、強化

・制汗剤、熱中症対策製品、感染症対策の製品の

 開発

 

 

(3)リスク管理

 当社のリスク管理体制、認識しているリスクとそれに対する主な対応策実施状況につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 当社は、2030年までにグループ全体のGHG排出量のうちScope1,2を51%、Scope3を15%削減する目標を設定しております(基準年2018年)。また、2050年までに、グループ全体のScope1,2についてはカーボンニュートラルを目指しております。

 

■ 認定を取得した温室効果ガス排出削減目標

・Scope1,2のGHG排出量を2030年までに51%削減 (基準年2018年)

・Scope3のGHG排出量を2030年までに15%削減 (基準年2018年)

※上記目標については、SBTイニシアティブの認定を取得済みです。

※Scope1,2,3とは

Scope1:事業者自らによる直接排出

Scope2:他社から供給された電気などの使用に伴う間接排出

Scope3:Scope2以外のすべての間接排出

 

 当社は、国内を中心に工場、オフィス、研究所などの拠点が存在します。特にScope1,2は国内工場による排出が多い状況です。そのため、削減施策として空調機の更新、冷熱設備の断熱強化、照明のLED化など、工場の電力使用量を抑える活動を進める一方、今後、生産拡大によるエネルギー使用量の増加が予想されることから、国内主要工場の使用電力をCO2排出ゼロ電力へ切り替えております。仙台小林製薬㈱では2020年に切り替えを開始し、2021年に全量をCO2排出ゼロ電力に切り替えました。富山小林製薬㈱、小林製薬プラックス㈱では2023年に一部電力をCO2排出ゼロ電力に切り替えを開始しております。小林製薬プラックス㈱、愛媛小林製薬㈱、アロエ製薬㈱では太陽光発電を導入しております。江蘇小林製薬有限公司、合肥小林薬業有限公司は2023年に、合肥小林日用品有限公司は2024年に太陽光発電を導入しております。

 これにより、2025年におけるScope1,2のGHG排出量は2018年比13.8%の削減となりました。今後も段階的に国内の主要工場をCO2排出ゼロ電力に切り替えることや省エネ、創エネ活動により、2030年の排出削減目標並びに2050年のカーボンニュートラルの達成を目指してまいります。

 

 

Scope

単位

2018年度

2025年度

2018年度比

小林製薬グループ計

Scope1

千ton-CO2

6.6

8.2

Scope2

(マーケットベース)

千ton-CO2

23.0

17.5

Scope1,2 合計

千ton-CO2

29.7

25.6

△13.8%

※数値については四捨五入しているため、合計が合わない場合があります。

 

 

<人的資本>

 当社の人的資本に関する取り組みについては、2023年10月発行の「人的資本レポート」にて公表いたしました。しかし、本件事案を受け、2024年は補償と再発防止策を最優先に、かつ着実に実行していくため、再発防止策で掲げた3つの柱につながる人的資本に関する取り組みに注力してまいりました。2025年は引き続き再発防止に直結する取り組みを最優先としつつ、新しい小林製薬における人的資本に関する取り組みも実行を始めております。以下、戦略として①再発防止に直結する人的資本の取り組みと②新しい小林製薬に向けた人的資本関連の取り組みをそれぞれ記載します。

 

(1)戦略

①再発防止に直結する人的資本の取り組み

 

再発防止策の3つの柱

人的資本に関する取り組み

1.品質・安全に関する意識改革と体制強化

a.品質・安全に関する教育・研修の実施
b.社長からのメッセージ配信と対話
c.品質を高める組織体制
d.人事評価制度の刷新

2.コーポレート・ガバナンスの抜本的改革

e.誠実さを行動準則とした組織運営

3.全員が一丸となって創り直す新小林製薬

f.同質性の排除と風土改革

 

a.品質・安全に関する教育・研修の実施

 「お客様に安心をお届けする」ことの重要性を全員が再認識するため、社内役員及び全従業員を対象とする「品質安全教育」を昨年よりスタートさせました。

 スタート1年目にあたる2025年は、まず1月から3月にかけて社内役員及び全従業員共通の、品質に関する意識の再教育を実施いたしました。4月から12月にかけては、職能別に、より実務に紐づく必要なマインドを浸透させることを目的として設計し、品質に関するスキルの向上を目的とした職能別の再教育として、直接的な品質担保に関する考え方を学ぶ技術者向けの教育や、品質問題を起こした際の対応を他社事例から学ぶ教育を継続的に実施しております。社内役員を対象とした研修としては、5月に品質診断を踏まえたあるべき品質マネジメントシステムの体制に関する再教育を、6月に有識者から食品や医薬品に関する品質保証に対する考え方を学び意見交換を行う研修を実施いたしました。2026年からは、職能ごとに必要な知識教育を継続して行うことで、品質・安全第一の思考・行動の更なる定着を図ることに加え、各現場に即した高い品質レベルを達成するため、個別に品質強化に関するテーマを設定し、自主的にこの教育が現場にて実施されている状態を目指してまいります。

 また、本件事案を公表した「3月22日」を「品質・安全の日」と定め、事案を風化させない取り組みを昨年から実施しております。「内省」をコンセプトとし、全国の事業所、グループ会社に勤める全従業員を対象に、本件事案に関する社会全体の声・原因・当社の対応に加え、各職場において「品質・安全ファースト」で仕事ができているかの振り返りを行いました。また、役員に関しましては、紅麹の生産ライン跡がある大阪工場に参集し、経営陣としての覚悟を全員が1人ずつ述べると共に、改めて問題を浮き彫りにすることで、補償への対応、再発防止の徹底等、ご迷惑をおかけした皆様への誠心誠意の対応を胸に刻むとともに、二度とこのような事態を起こさないよう、決意を新たにいたしました。本年も社内役員及び全従業員で、本件事案を毎年振り返るとともに、「品質・安全ファースト」の風土の醸成・強化に資する取り組みの進捗を確認し、新たな課題についての討議も継続して実施してまいります。

 

b.社長からのメッセージ配信と対話

 品質・安全を最優先に考える風土づくりには、地道な活動を継続することが必要不可欠であり、この活動は代表取締役社長が旗手となり、率先して行うべきものであると考えます。社長の豊田賀一は、2025年3月の社長就任以降、本件事案を踏まえ、全員が一致団結して、再発防止策の実行や新しい小林製薬を創り直す取り組みを力強く進めていくことができるよう、社内役員及び全従業員に向けたトップメッセージの定期的な発信である「OneTeam通信」の発信を継続しております。「OneTeam通信」では、再発防止に加えて、品質と安全を最優先に考える風土を醸成するための考えや、自身の日々の行動から得た学び等を継続的に発信しております。一例として、「小林製薬が信頼を回復していくにはどうしたらよいか」、「我々はどうあるべきか」、「人として何が正しいか」といった全員に内省を促す内容や、「お客様に対する感謝の気持ち」、「ものづくりにおける素直な心」、「謙虚な姿勢」といった心のあり方を全従業員に問いかける内容を発信しております。2026年度も社内役員及び全従業員に向けたトップメッセージの定期的な発信をしており、今後も継続してまいります。

 また、社長からの一方的な発信だけでなく、「現場」の生の声を聞くため、積極的に各工場や営業所への訪問を実施し、対話を重ねております。豊田が社長に就任後は、従来の対話の形式である10人前後のワークショップ

以外にも、2-4人と小規模かつカジュアルな雰囲気で対話も行うようになり、社長自ら従業員に声がけをして現場で対話が行われております。従業員との率直な対話を通じて、直接、品質・安全の強化にかける思いを伝えるとともに、現場の声にも丁寧に耳を傾け、課題の抽出を行っております。その中でも、品質や部門間の連携に関する課題等、特に重要度の高いものについては、経営会議(経営執行会議またはグループ協議会)で、全本部長に向けて具体的な指示を発信しております。

 

c.品質を高める組織体制

 製品の品質担保の主体である第1線(研究開発部門、製造本部、工場)の専門性を高めることを目的とし、2025年1月より組織の再設計を行いました。マーケティング機能・研究開発機能を事業ごとに束ねる従来の事業部制を廃止し、これまで分散していた職能を集約した機能別本部制へと移行いたしました。これにより、専門人材の知識と経験が集約され、日々の業務で専門性を意識した議論ができるレポートラインの設計が可能となり、各部門が担うべき機能を十分に発揮できる体制を実現できると考えております。また、品質管理部門は、本来の品質管理の役割のみを担うことを明確にすることを目的とし、研究開発部門及び製造部門それぞれにおいて組織の再整理を行いました。

 また、各本部並びに製造本部及び工場における品質管理体制や全社的な視点での品質・安全に関わる仕組み等のプロセス監査の役割と責任を担う組織である「品質安全保証本部」が、全社における品質教育に関しても、責任をもって取り組みを進めております。

 

d.人事評価制度の刷新

 評価体系が業績・コスト指標を重視しており、品質改善や予防活動への動機付けが不十分であった結果、品質管理業務の優先順位が相対的に低下する傾向にありました。そこで、品質・安全に貢献する活動を評価対象とすることを軸とした人事評価制度への改定を目指し、2025年度の目標管理から、再発防止策に則った活動を目標に盛り込むことを、全従業員に対して通知いたしました。また、2025年11月、2026年度から導入する「品質最優先を実現するための、多様なキャリアの可視化」「より働きやすい会社へ変化していくための、新しい組織風土の醸成」「将来を担う世代を念頭に置いた、役割期待に応じた処遇改善」を軸とした抜本的な人事制度改革に関する方針を定めました。

 2025年12月、具体的な評価指標・報酬設計に関する人事制度改定の内容について、全従業員向け説明会を実施し、現在その運用を開始しております。

 

e.誠実さを行動準則とした組織運営

 当社では、機能性表示食品に関して健康被害が発生した際、どのような場合に行政報告や製品回収を行うかについての考え方が社内で体系的に整理されておらず、本件事案への対応に迅速さと円滑さを欠く原因の一つとなりました。そこで、当社は、対応の迅速さと円滑さを確保すべく、仮にルールに明記されていない問題が生じた場合であったとしても、「インテグリティ経営」、すなわち「誠実さを行動準則とした組織運営」を推進することといたしました。

 2025年1月、インテグリティ経営推進の専門部署を総務部内の新たな組織として新設し、コンプライアンスに加えてインテグリティ経営に注力できる体制を整備いたしました。本組織が中心となって、社内役員及び全従業員に対し、毎月の15分研修や各種発信を継続的に行い、全社のインテグリティの意識を高めております。

 

f.同質性の排除と風土改革

 全員が一丸となって新しい小林製薬を創り直すため、当社の組織風土に向き合い、必要な改革を行っていくべく、社長をリーダーとし、グループ会社横断でプロジェクトメンバーをアサインした「組織風土改革プロジェクト」を2024年12月に発足させました。そして、2025年5月から6月にかけて、プロジェクト主導の下、全従業員を対象に小林製薬の風土について語り合う「風土しゃべりば」を実施し、現場の声を積極的に収集いたしました。2025年8月には第2回「風土しゃべりば」を実施し、第1回に引き続き、90%以上の従業員(約3,300名)が参加し、小林製薬において変えるべき風土はなにか、今後のありたい風土はなにかを議論いたしました。そこで収集した声を参考に、経営陣とプロジェクトメンバーが何度も議論を重ね、6個のありたい風土と12個の新たな行動規範を策定し、2025年12月の経営方針発表会で全従業員に向けて発表をいたしました。

 今後は、このありたい風土に向かって、全従業員が主体的に行動を変えていける環境作りに注力してまいります。

 

 

 

「ありたい風土」

 

経営理念やパーパスで掲げた約束を実現する企業であるために、

私たちが目指す組織風土です。

 

1

お客様を第一に考える風土

2

攻守両面の挑戦を、会社も個人も共に実行する風土

3

部門間や役職・世代による壁が無く、全社で連携が進む風土

4

一人ひとりが主体性と自律性を発揮する風土

5

社内外から謙虚に学び、進化し続ける風土

6

人が育ち、育て合い、組織も育つ風土

 

「行動規範」

 

経営理念・パーパスの実現、ありたい風土の醸成に向けて、何を大切にし、

どのように行動するかを定めたものです。

 

★私たちの価値観

 

★私たちの行動原則

お客様志向を貫く

 

攻守両面で挑戦する

「人として何が正しいか」を問い続け、行動する

 

全体最適の視点をもち、連携する

社会的責任の遂行

 

主体性をもってやり抜く

敬意をもって関わり、感謝を伝え合う

 

社内外から知見を取り入れ、自社の力に変える

 

 

学び、教え、共に成長する

 

 

「わかりやすさ」にとことんこだわる

 

 

Something New / Something Different

 

 

現場・現物・現実主義

 

②新しい小林製薬に向けた人的資本関連の取り組み

 再発防止策に基づく活動に重点を置いて取り組みながらも、これからの新しい小林製薬を創っていくための活動にも取り組み始めております。

 ありたい風土や新行動規範を含む理念体系に基づき、人・組織領域の活動を首尾一貫して進めていく際の拠り所となる「人材・組織方針」を策定いたしました。(次図参照)この「人材・組織方針」は理念の実現に向けて、個人が「目指す人材像」、会社が「目指す組織像」及び会社が「社員に約束すること」、これら3つから構成されております。この「人材・組織方針」をもとに、採用方針・育成方針・異動方針・評価方針を定め、今後具体的な施策に落とし込んでまいります。

 例えば、育成方針としては、社員一人ひとりが、主体的な学び・挑戦・振り返りを通して役割を遂行し、その中で自身の強みを確立しながらキャリアを切り開いていくことが大切だと考え、社員の育成・キャリア開発支援に注力しております。現在、教育体系の抜本的な再整備も進めており、学び・実践・振り返りのマネジメントサイクルをより一層力強く推進していくことで、成長実感を伴いながら、社員がイキイキと活躍できる環境づくりを進めてまいります。

 

 

 また、経営幹部に対する育成の場として、2025年7月より「リーダー勉強会」を開始いたしました。京セラ株式会社出身で、日本航空株式会社の再建に関与した経験を持つ当社会長の大田嘉仁が主導し、約半年間で全10回に及ぶ勉強会を実施しております。2026年も継続的に実施を行うとともに、対象者を全管理職に拡大して、全社の意識改革を進めてまいります。

 今後は、当社のビジョン及び中期経営計画の達成に向け、注力領域を明確化した人材戦略を策定いたします。AI等のテクノロジー活用による効率化を図りつつ、人的資本への投資にメリハリを付けることで、企業価値の最大化を目指す考えです。また、当社の人材に対する方針や人事戦略を体系化した「人的資本レポート」についても、今期中の開示に向けて検討を進めております。

 

(2)指標及び目標

 本件事案を受け、現在の当社にとって、従業員エンゲージメントを向上させることが最も重要であると捉え、「従業員が当社でイキイキと働けている状態」を目指していきたいと考えております。

 

指標

 「従業員が当社でイキイキと働けている状態」を目指すため、当社で働くことに「誇り」を持っていると答える従業員が70%以上いる状態を目標として定めます。

 この目標を達成するため、昨年末に定めた「人材・組織方針」をもとに首尾一貫した活動を行ってまいります。

 

※提出会社、当該年度12月31日時点

 

2024年

2025年

社員数(注)1

男性

1,027人

1,074人

女性

737人

755人

1,764人

1,829人

役員総数

(執行役員含む)

男性

19人

21人

女性

4人

3人

23人

24人

新卒採用人数(注)2

男性

31人

32人

女性

27人

23人

キャリア採用人数

男性

33人

47人

女性

9人

16人

離職率(注)3

3.1%

3.3%

(注)1.パートおよび嘱託社員を含む

2.翌年度入社の新卒採用人数

3.自己都合退職した正社員を対象(当該年度内に退職日を迎えた正社員数)÷(当該年度の1月1日付の正社員数)にて算出