リスク
3【事業等のリスク】
<当社グループの経営リスク管理体制について>
当社グループは、企業が将来生み出す収益に対して影響を与えると考えられる、発生が不確定の事象を「経営リスク」と定めております。この経営リスクのマネジメントに関する全般的事項を「経営リスクマネジメント規程」として制定し、この規程に基づき、様々な経営リスクへの適切な対応と経営リスクが顕在化した場合の影響の極小化を図っております。
上記規程に基づき、2024年12月期までは、代表取締役社長を委員長として「リスク管理委員会」を設置し、経営リスクのマネジメントシステムの構築、及び改善を目的とした活動を行ってまいりました。このリスク管理委員会では、小林製薬グループ全社で発生する経営リスクを網羅的に把握、評価し、対応の優先順位を検討してまいりました。また、対応が必要と考えられたリスクについては、「全社重点リスク」に指定して経営の関与の必要性を明確にし、対応の責任を負う担当部門を決め、責任部門における対策案の立案と実行を監督してまいりました。リスク管理委員会における検討結果を取締役会にも報告し、取締役会においてその検証を行ってまいりました。
当社は、2024年12月期に発生した紅麹関連製品の回収事案(以下「本件事案」といいます)を受けて、2024年7月23日付ニュースリリース「事実検証委員会の調査報告を踏まえた取締役会の総括について」に記載のとおり、本件事案における一連の当社対応に関する調査報告書を事実検証委員会より受領し、2024年9月17日付ニュースリリース「再発防止策の策定に関するお知らせ」に記載のとおり、同報告書における指摘事項を踏まえ、再発防止策を策定しました。この再発防止策には、内部統制システムやリスクマネジメント体制の見直しに関する内容が含まれており、これに基づき、現在、改善を進めております。
具体的には、リスク管理委員会を含め関連する会議体を再整理し、2025年2月に「リスク・コンプライアンス専門委員会」を新設いたしました。同委員会では、従来のリスク管理委員会より開催頻度を増やし、リスクの網羅的な把握と評価、対応の優先順位の検討、対策案の立案と実行に対する監督などをより強化していくこととしております。また、同委員会での検討結果は執行役員を中心とした経営会議に上程した上で、取締役会に報告を行います。
<当社グループが認識している経営リスクについて>
本有価証券報告書提出日現在で、上記の<当社グループの経営リスク管理体制について>の中で述べている「全社重点リスク」は以下のリスクとなります。
① |
社内で人権侵害が発生するリスク |
従業員間のハラスメント等の発生を防止するために、管理職への個別指導、人権・ダイバーシティに関する従業員向けの教育・研修、ハラスメント相談室を通じた内部通報の受付と問題への対処等を行っている。 |
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② |
当社グループの取引先で人権侵害が発生するリスク |
当社グループのサプライチェーンにおいて、児童労働、奴隷労働、人身取引や劣悪な労働環境の放置等の人権侵害が発生しないようにする必要がある。そのために、取引先へサステナビリティ評価を行い、CSR調達の観点で改善が必要な取引先への改善支援活動を行っている。 |
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③ |
CO2排出削減目標を達成できないリスク |
2030年までの温室効果ガス排出量削減目標の達成に向けて、削減施策を実施する必要がある。そのため、国内主要工場で再生可能エネルギー由来電力を導入するとともに、製品カテゴリーごとに排出量の多い製品から削減施策を検討している。また、サプライヤーと排出量削減に向けたエンゲージメントを行っている。 |
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④ |
TCFD対応の遅れにより、資本市場からの評価が低下するリスク |
気候変動による当社事業への影響を予測し、必要に応じた対応を行う必要がある。そのため、関係部門によるシナリオ分析を行い、当社事業へのリスク・機会を抽出し、財務影響額の試算と、その対策を検討している。 |
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⑤ |
海外でコンプライアンス違反が発生するリスク |
国際事業が拡大する中、統制の弱体化や、問題発生時の影響拡大を予防できる体制を構築する必要がある。そのため、国際事業本部長および関係会社社長の目標管理項目に、コンプライアンスに関連する内容を盛り込むこと等の対応を検討している。 |
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⑥ |
災害や紛争などにより事業継続が困難になるリスク |
自然災害や戦争等のハザードが発生しても、それによる影響を最小限に抑え、事業継続可能な体制を構築する必要がある。そのため、事業継続計画を策定するとともに、売上の大きい製品を中心に有事の際のバックアップ体制の構築に取り組んでいる。 |
上記の「全社重点リスク」に指定しているものを含め、当社グループの経営に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク、及びその対応策の実施状況は、本頁以降に記載のとおりです。なお、本件事案は、本頁以降に記載した各主要なリスクに横断的に影響するものであり、今後も本件事案により様々な影響が生じる可能性があります。現在、当社が最も優先して取り組まなければならないのは、本件事案のような品質不具合問題を再び発生させないこと、及び万が一品質不具合問題が発生した時に迅速かつ適切な対応ができるようにすることであり、そのために、前述のとおり再発防止策を策定し、品質・安全に関する意識改革と体制強化、コーポレート・ガバナンスの抜本的改革、及び全員が一丸となって創り直す新小林製薬を3本柱として実施または検討しております。
以下、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
主要なリスクの内容 |
主な対応策の実施状況 |
(1)事業環境のリスク 当社グループの主要製品は、一般のお客様を対象とした製品であります。当社グループは、お客様のニーズを満たす製品の提供を当社の使命と考え、お客様のニーズの変化に合わせて新製品を開発し、既存発売品の更新を行うことにより価値を創出し、他社との差別化を目指しております。 しかしながら、当社グループの想定を超えるお客様のニーズの急激な変化が起こった場合、当社グループの製品への需要が大幅に縮小する可能性があります。 また、当社グループの事業領域は、競合他社の新製品発売、得意先の統合による価格交渉力低下等の競争環境の変化にさらされております。そのため状況に応じて、新製品・既存発売品の需要喚起のための広告宣伝、販売促進費用や、開発費用を増加させる必要が生じる可能性があります。 さらに当社グループは、EC購買の増加やお客様の利用媒体の変化などお客様の購買行動の変化に対応し、広告宣伝手法の更新等、お客様との最適な関係構築を追究しておりますが、当社グループが想定していない購買行動の変化が起こった場合、事業効率が低下する可能性があります。 加えて、本件事案を受けて、当社が販売する健康食品や医薬品等に対するお客様からの信用の低下、及び購買意欲の低下が長期化する可能性があります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 |
当社グループは、お客様のニーズを見出し、製品のアイデアを検討する「アイデア創出」を起点としたバリューチェーンを構築しております。創出された製品アイデアについて、製品開発に向けた検討段階に進めるべきか判断する「アイデア会議」を月に1回の頻度で開催しており、お客様のニーズをタイムリーに反映した新製品の開発を持続的に行うことを目指しております。 一方、主要な既存ブランドについては、お客様のニーズの変化を捉えた訴求・表現等の見直しや、競合環境に対抗する施策などのブランド戦略のレビューと更新を半年に1回の頻度で行うことで、環境変化を精緻に捉えた戦略策定を実現するよう努めております。 これらの活動に加え、多種多様な製品をラインアップすることで、お客様のニーズが変化した際の影響を小さくするリスクヘッジが機能し、持続的に収益を確保することを目指す体制を構築しております。 また、当社グループはプロブレム解決型の製品を多く提供しているため、テレビ広告を中心とする広告投下によって、製品の特徴をお客様にわかりやすく伝えていくことが新製品の売上を確保する上で重要であると認識しております。しかし、購買層として想定されるお客様によってはWeb広告も投下し、常にこれらの広告と店頭消化との相関を把握することで、お客様の利用媒体の変化に関わらず広告効率が高く保たれるよう、広告施策を検討しております。 なお、本件事案を受けて、本有価証券報告書提出日現在、日本国内でのテレビ広告は中止しております。 本件事案を受けての健康食品や医薬品等に対するお客様からの信用の低下に対しては、再発防止策に真摯に取り組むことで、お客様からの信頼の回復に努めます。 |
(2)積極的に新製品を投入するビジネスモデルのリスク 当社グループでは成長戦略の中核的な柱として積極的な新製品の開発と市場への投入を進めており、毎年の春と秋に多くの新製品を発売しております。しかし、新製品アイデアの創出が難航し新製品の開発に着手できる品目の数が不足する場合や、開発中の製品についてお客様のニーズの変化等により開発が中止となる場合、新製品発売時に競合他社からの類似製品の発売等によって市場環境が想定より厳しいものとなっている場合には、当社グループの新製品の売上が事前の想定を下回り、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、本件事案を受けて、健康食品の新製品については発売しにくい状況が続く可能性があります。また、同事案を受けて、本有価証券報告書提出日現在、日本国内でのテレビ広告を中止しており、今後も広告中止が長引いた場合、新製品を発売しても売上を大きく伸ばすことができない恐れがあり、それが当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
上述のとおり、当社グループは、お客様のニーズを見出し、製品のアイデアを検討する「アイデア創出」を起点としたバリューチェーンを構築しております。 新製品アイデアの継続的な創出のため、当社グループではその風土醸成を重視し、アイデア創出を基幹業務として位置づけ、十分な人的・物的なリソースの投入を継続するよう努力するとともに、全社員からアイデア提案を受け付ける制度の活用推奨、全社員アイデア大会の開催などの意識向上施策に取り組んでおります。 開発段階に進んだ新製品アイデアについては、発売予定品目をまとめた「新製品ポートフォリオ」を作成して将来の発売予定時期ごとに分類し、毎月の開発参与委員会で進捗状況を把握しております。この新製品ポートフォリオを活用し、開発中止となる品目の発生を予め想定した余裕のある開発品目数の確保と、発売スケジュールの調整を行い、常に十分な売上となる発売予定品目が確保できるよう努めております。 本件事案による新製品売上低下への対策としては、既存製品のブランド戦略を改めて強化し、事業基盤の安定化に努めてまいります。 |
(3)天候不順、気候変動による需要変動のリスク 当社グループの製品は、カイロ、感冒対策製品、暑さ対策製品、花粉症対策製品等、その製品需要が気温・天候により変動するものを含んでおります。そのため、各事業年度の気温・天候の如何により製品売上が影響を受ける可能性があります。 また、中長期的な気候変動が起こった場合、これらの製品への需要が縮小する可能性も否定出来ません。当社グループはこれらのリスクに対して、気候変動に呼応した新製品開発、既存発売品の更新による新規需要獲得で対応していく予定でありますが、急激なあるいは大きな気候変動が起こった場合、新規需要獲得が追いつかず、製品売上が減少する可能性があります。 一方、中長期的な気候変動の影響を低減させる方向での議論が進む、世界的な温室効果ガス削減の動きによって、当社グループの製品に関しても、将来的な炭素税の課税負荷及び環境への負荷が高いと見なされた製品の商流からの排除、さらにはお客様のエシカル意識の高まりによる排除等の影響がある可能性があります。また、温室効果ガス排出規制等の気候変動対応に係る各国・地域における規制の強化に対応できない場合、パリ協定に整合する温室効果ガス排出削減目標が達成できない場合に、レピュテーション及び社会的信用が低下する可能性があります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは、多種多様なお客様のニーズに応え、多岐にわたる製品ラインアップを確保しており、一部製品の売上は、短期的な気温・天候による需要変動の影響を受けるものの、全体からみれば一定の規模に収まるという想定の下で気候変動リスクを受容しております。冬期の気温の動向により大きな影響を受け、一定の売上規模を持つカイロ事業については、気温に左右されにくいヘルスケア領域(温熱医療)の製品開発を進めるとともに、カイロの売上構成比が大きい米国については医薬品など気温・天候に左右されにくい他のカテゴリー製品の構成比を高める戦略を進めております。また、カイロ製品に限らず季節ごとに売上が変動する製品の返品を最小限に抑えるため、各種データを活用した漸次的な出荷調整等の活動により、リスクの最小化を図っております。 一方、中長期的な気候変動による製品需要の変化については、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に関するガイダンスに基づいて、これを網羅的に予測し、リスク・機会の状況を検討しております。また、対応が必要なリスクについては、サステナビリティ委員会の環境推進会議にて対策を検討し実施しております。 また、社会的な温室効果ガス削減の推進による当社グループの事業への影響についても検討しており、Scope1,2及びScope3視点での温室効果ガス排出状況の算定を行っており、2030年に向けた削減目標についてSBTイニシアティブによる認定を取得しております。 Scope1,2に関しては、2050年までにカーボンニュートラルを目指します。 Scope3に関しては、製品カテゴリーごとに排出量の多い製品から削減施策の検討を開始しております。また、2022年よりCDP(世界的な環境情報開示システムを運営する国際環境非営利団体)が実施する「CDPサプライチェーンプログラム」に参加し、サプライヤー様との温室効果ガス排出量削減に向けたエンゲージメントを行っております。 |
主要なリスクの内容 |
主な対応策の実施状況 |
(4)海外事業のリスク 当社グループの海外売上の構成比は、海外のお客様のニーズに応えた事業展開によって上昇傾向にあります。また、海外事業の将来の成長を期待して、海外の現地工場や子会社の設立等の投資を行っております。そのため、事業を展開している各国の経済成長の鈍化、現地政府による規制の変更等によって、海外事業の業績が変動し、投資回収効率が低下する可能性があります。また、現地政府による資本流出規制によって、資本の流動性が低下する可能性があります。 さらに、在外連結子会社の売上、費用、資産及び負債を含む現地通貨建ての財務数値は、連結財務諸表の作成の際に円換算します。そのため、換算時の為替レートが大幅に変動した場合、円換算後の数値が大幅に変動する可能性があります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 |
海外事業に対する投資に限らず、大型投資については、可能な限り段階的かつ合理的な予算で行うことを原則に、当社グループの投資判断は行われております。 経営判断を行う基礎となる投資計画についても、お客様のニーズ等の環境変化をタイムリーに反映させ、常に最新の投資計画を確認することで、投資回収リスクを低減するリスクヘッジを行っております。 また、当社グループが事業を展開している海外の拠点については、現地の経営状況、市場動向、法規制、政治状況などをタイムリーにキャッチアップするために、毎月現地法人の社長から状況報告が行われております。 換算時の為替レートについては、主要通貨の変動と事業への影響をモニタリングし、適時社内での情報共有を行っております。そのうえで、必要に応じて、関係部門は為替変動の事業への影響を軽減する対策を検討しております。 |
(5)事業買収・提携のリスク 当社グループは、国内外の当社グループ製品の市場の獲得と強化を目指し、製品ラインアップの強化、販売・製造拠点の確保(薬事規制対象製品に関する所要の認可等の確保を含みます)、販売力・事業遂行ノウハウの獲得を目的に、積極的なM&Aや事業提携を図っております。ただし、これらM&Aや業務提携については、事前に十分に把握、あるいは予想出来ない不確実な要素が存在する場合があるため、事後的に判明、あるいは発生した想定外の事象や環境変化によって、当初意図した成果が得られない可能性や、事業戦略の変更を行わざるを得なくなる可能性があります。 企業買収に際しては、多くの場合のれんや無形資産を相当額計上しておりますが、こうした資産が期待されるキャッシュ・フローを生み出せない場合には減損損失が生じるリスクがあります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
M&A、事業提携の実施にあたっては、過去の経験からノウハウを蓄積し、抜け漏れのないデュー・ディリジェンス(買収監査)を実施して精緻な情報収集を行うよう努めております。 当社グループの実施するM&Aの多くのケースは、水平統合による事業拡大の性質を持つことから、買収事業の製品は、既存の多種多様な製品のラインアップの一部に加わります。獲得した成長機会が目論見どおり実現された場合の業績へのプラスの影響は大きいものとなります。一方で、実際に投資を行う際の投資金額も当社グループの事業規模を勘案して適切な予算の設定を行っておりますが、想定外の業績変動が発生するリスクはありえます。この成長機会と残存リスクのバランスを十分に議論したうえで、最終的な実施の判断を行い、リスクのマネジメントを実施しております。 今後、当社の経験がない分野における企業・事業買収のプロセスにおいては、外部専門家へのヒアリングを通じた課題抽出や専門的知識の習得にも注力いたします。 |
(6)人的資本確保・活用のリスク 当社グループは、新製品を継続的に発売するビジネスモデルを成立させるため、人的資本の確保・活用を重要視して取り組んできました。一方、本件事案を受け、本件の再発防止策を着実に実行していくために必要となる品質・安全に関する意識改革と体制強化を最優先事項として取り組んでおります。しかしながら、「品質・安全ファースト」の意識の徹底と実践の停滞や退職者の急激な増加、品質体制強化に必要な人材獲得や人材開発の遅延、長い年月を積み重ねて醸成された当社の組織風土の改革が適切に進まない、というような事態が生じた場合、必要な人的資本を確保・活用できなくなり、当社グループが果たすべき社会的責任が遂行できなくなり、また、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
「お客様に安心をお届けする」ことの重要性を再認識し、必要なマインド・スキルの徹底と再浸透、及び、自分ごと化による日々の実践に繋げることを目的とし、全役職員を対象とする「品質安全教育」を開始しました。また、社長が旗手となって定期的に品質・安全に関するメッセージを配信し、品質・安全を最優先に考える風土づくりを進めております。更には、社長によるワークショップや従業員との1on1ミーティングなどを通して従業員の声を受け止め、組織課題の解決に努めております。 また、採用においては、品質体制強化に必要な人材の獲得を優先的に活動しております。加えて、各組織が専門性をより強化していくために、必要となるスキルの明確化やそのための教育プランの再設計に加え、人事ローテーション等の人材配置方針の再設定などの人材開発に関する取り組みを進めていきます。加えて、先行して小林製薬本体における2026年1月導入を目指し、専門性向上に資する新人事制度への改定を進めております。 組織風土改革においては、当社の組織風土に向き合い、必要な改革を行っていくべく、部門横断でプロジェクトメンバーをアサインした組織風土改革プロジェクトを2024年12月に発足し活動を進めております。 |
主要なリスクの内容 |
主な対応策の実施状況 |
(7)製品安全性のリスク 当社グループの製品は、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等を含みます。これら製品の品質管理には万全を期しておりますが、万一、設計不良、品質不良、あるいは副作用報告に応じた初期対応の誤りによって、お客様の健康及び資産に多大な被害等が発生した場合、その補償や信用失墜によって当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。実際、本件事案により多くのお客様に健康被害を生じさせてしまうとともに、当社グループの紅麹原料をご購入いただいていた多くの企業様にもご迷惑をおかけしてしまいました。それにより、今後、想定以上に補償や品質向上のための投資コストが増える可能性があります。 |
当社グループの製品品質については、監査の役割を負った専門部門(品質安全保証本部)を責任部門として、品質管理上の不具合・脆弱点を洗い出して、その発生可能性を仕組みづくりによって低減する活動を繰り返す、連続的なPDCAの取り組みを行っております。このPDCAの対象は、生産プロセスだけでなく、製品設計プロセス、製品の裏面表示(消費者の読む注意書き)の是正等、製品の品質保全に関わる、広範な領域にわたっております。 しかし、本件事案を受けて、2024年9月17日に再発防止策を策定し、品質・安全に関する意識改革と体制強化に取り組んでおります。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。 |
(8)製品原材料調達のリスク 当社グループの製品事業は、原材料調達コストの変動リスクにさらされております。原材料の一部については国境を越えた調達を行っており、為替相場の変動や原油価格の急騰等によって調達コストが増大した場合、利益が圧迫される可能性があります。 また、原材料の調達が停止した場合、市場への製品供給が阻害され機会損失が起こる可能性があります。 一方、当社グループの販売する製品の原材料は、その品目数の多さに応じて多岐にわたっております。サプライチェーンの生物多様性保全等の環境側面、あるいは労働環境、人権等の社会側面において、社会的責任ある調達への取り組みが不十分であった場合、当社グループの原材料の持続的調達が困難になるとともに、その指摘によって当社グループのブランドイメージ、信用が低下する可能性があります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループの販売する製品の原材料は、その品目数の多さに応じて多岐にわたっているため、原材料の価格高騰等が限定的なものであれば、全社の業績に与える影響も軽微なものとなることが想定されます。 一方、自然災害・人為的災害・パンデミック・戦争等によって多岐にわたる原材料が供給不安に陥るケースを想定し、当社グループはBCP(事業継続計画)を定め、売上高上位の品目を中心に、原材料を複数の取引先から購入する体制を整えるなど、有事における事業への影響を最小限に留めることを目指しております。 また、当社グループは「小林製薬グループの調達基本方針」を示し、これに則った原材料の調達を行っております。同方針には、人権尊重の強化及び企業の社会的責任を果たしていくことが明記されており、年に1回の頻度で、調達先に対して実施する「調達方針説明会」においてこの方針を共有するとともに、2024年に制定したCSR調達方針に基づいて、世界的なサステナビリティ評価機関を採用し、取引先のリスク評価を実施することで、包括的なCSR調達の達成・維持を図ってまいります。 |
(9)法的規制等のリスク 当社グループの製品は、医薬品、医薬部外品、化粧品等を含みます。そのため、医薬品医療機器等法等に関する法規の変更があった場合、製品の開発中止、販売中止等の影響を受ける可能性があります。 また、当社グループの売上の一部は、海外の得意先・お客様の製品輸入により成立しているため、輸出入の規制変更等によって、この売上が変動する可能性があります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
国内、国外における、医薬品医療機器等法等の法令規制の変更については、品質安全保証本部が中心となって随時の情報収集に努めるとともに、先行した対応を心がけて事業影響を最小化するよう努めております。また、本件事案を受けて、製品の開発・製造に関連する法規を専門的に扱い、その適正な解釈を行う適切な権限と独立性を有した部門を2025年に新設しました。今後、当該部門が中心となって、法的規制への対応を強化してまいります。 |
主要なリスクの内容 |
主な対応策の実施状況 |
(10)情報セキュリティ関連のリスク 当社グループは、通販事業部門や補償対応部門を中心に、お客様の個人情報を主とする多くの情報を保有しております。万一情報漏洩が発生した場合には、その補償や信用失墜によって当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、サイバー攻撃等により、システム停止が発生し事業活動が中断された場合には、経営成績の悪化に繋がります。さらに、開発中の新製品の情報、各種ノウハウ等の企業秘密が漏えいした場合には、当社の競争優位性の低下につながる恐れがあります。 |
個人情報保護については、個人情報保護規程に基づいて社内管理体制を整備し、個人情報管理台帳での管理など、情報管理には万全を期すよう努めております。 また、当社グループにおける情報セキュリティの対応レベルについて評価を行い、他社の対応レベルと照らし合わせて常に適切なセキュリティ能力が確保され続けている事を確認するよう努めております。 なお、当社の重要な社内システムは遠隔地での冗長化を行い、重要なデジタルデータは、毎日バックアップを更新し、遠隔地のサーバに保存しております。デジタルデータが改ざんされた、もしくは喪失した場合には、このバックアップデータをもとに復旧する仕組みとすることで、リスクヘッジを行っております。 |
(11)コンプライアンス関連のリスク 当社グループは事業活動を行う上で、製品の品質・安全性の確保、健全な営業活動の実施、取引先との健全な関係構築、会計基準や税法の的確な運用等の観点で、様々な法令等の適用を受けております。 また、当社グループにおいて、風通しの良い労働環境の確保と、多様性を認める価値観の醸成は、新製品のアイデア創出と人財育成を重視する事業を運営する観点でも重要な活動であります。 従って、当社グループは法令違反、ハラスメント、人権侵害の発生等のコンプライアンス上の問題が発生することを未然に防ぐためのコンプライアンスに関する教育に注力しておりますが、万一、当社グループもしくはその従業員が重大なコンプライアンス上の問題を起こした場合は、当社グループの信用、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは「小林製薬グループ企業行動憲章」及び「グローバルコンプライアンス・ポリシー」を制定し、これに基づくコンプライアンスの推進を実施しております。 コンプライアンスに関する質問を含む従業員意識調査及び社外取引先担当者を対象としたコンプライアンスアンケートを年に1回の頻度で実施し、スコアの推移を確認するとともに、向上に向けた研修施策等を計画・実行し、PDCAを回しております。加えて、より具体的なコンプライアンス上の問題を把握し、改善するための調査として「コンプライアンス自己点検」も定期的に実施しております。 また、従業員からのコンプライアンス上の疑問・悩み・相談を受け付ける専用窓口として「従業員相談室」を設け、相談のしやすい環境整備を行っております。海外の全ての関係会社を対象とした内部通報窓口も設置し、グローバルな情報収集体制を運用しております。 加えて、本件事案を受けて、もし法令や社内規程に明記されない問題が発生しても、常に「何が正しいか」「自分の行動が家族や友人に胸を張れるか」を問い続ける「インテグリティ経営」、すなわち、誠実さを行動準則とした組織運営を推進してまいります。 |
(12)知的財産、及び訴訟関連のリスク 当社グループは、幅広い製品を、日本を含む諸外国で製造・販売しているため、管理すべき知的財産権も広範にわたります。従って、この知的財産権を効率よく管理することができなければ、管理コストが過大となります。 当社グループの知的財産権に関して第三者による侵害が生じた場合、当社グループは適切な対抗措置をもって対応しますが、これが認められなかった場合、損害を被る可能性があります。 一方、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合、その補償が必要となり、また、信用失墜が起こる可能性があります。 また、当社グループは国内外の多数の拠点で事業を展開しており、様々な訴訟等を受ける可能性があります。特に、本件事案に関しては、お客様から訴訟が提起されており、今後も当社グループの紅麹製品を購入されたお客様や紅麹原料を購入された企業様等から訴訟を受ける可能性があります。 これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループの事業遂行における知的財産権の侵害、非侵害のチェックは慎重に行い万全を期すように努めております。 また、デジタル技術を活用することで多くの品目数の知的財産権侵害を効率よくチェックする仕組みも導入し、知財管理コストの増大を抑える取り組みを行っております。 一方、製品の開発段階における積極的な知的財産権の創出と戦略的出願を実施し、事業領域での参入障壁の構築、模倣品の排除等の活動を継続的に行っております。 また、訴訟関連のリスクについては、取引開始時の契約条件の精査と明確化、取引先との丁寧な協議、法令遵守体制の強化等により、訴訟の防止に努めるとともに、関係各国の弁護士事務所と連携し、訴訟が発生した場合の対応体制を整備しております。 本件事案については、2024年8月8日に公表した補償方針に基づき、被害を受けられたお客様、損害を受けられた企業様に対して、真摯かつ誠実に補償を行ってまいります。 |
主要なリスクの内容 |
主な対応策の実施状況 |
(13)自然災害、人為的災害によるリスク 当社グループは日本をはじめ、欧米・中国・アジア等に事業拠点を持っております。また、多くの国から原材料や製品等を調達しております。これらの国々で地震、大雨・洪水等の自然災害及び紛争、戦争、テロ等の人為的災害が発生した場合、当社グループの役職員の生命・身体の安全が脅かされ、事業継続に必要な人員確保が滞ることにより、当社グループの事業継続が困難になる可能性、又は当社グループの業務停止・遅延、資産喪失、人的被害等が発生し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは、各災害の発生を事業活動上いずれ顕在化するリスクとして織り込み、顕在化した際でも事業が継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定するとともに、有事にはスムーズに危機管理体制を稼働し、グローバルな情報収集、タイムリーな経営判断が可能となるような体制を整えております。 特に自然災害に関しては、本社機能が集中している大阪への甚大な影響が予想される、南海トラフ地震の対策に注力しており、大阪以外で有事の指揮が可能となる他拠点の機能強化など体制整備を進めております。 また、大規模災害発生時にスムーズに従業員の安否を確認できるよう、全従業員を対象とした安否確認訓練を平時から定期的に実施しております。 人為的災害に際しては、即座に情報を収集し、各リスクについて迅速に協議、対応を進めるようにしております。 |
(14)レピュテーションに関するリスク 当社は「見過ごされがちなお困りごとを解決し、人々の可能性を支援する」というパーパスを掲げ、ニッチでユニークな製品を販売しております。ニッチでユニークな製品であることから、どのような製品であるかをお客様に理解していただくことが肝要であるため、テレビやWebを通じた広告を重視し、数多くの広告を出稿してきました(本有価証券報告書提出日現在は、本件事案を受けて、日本国内でのテレビ広告出稿を中止しております)。 万が一それらの広告における表現が不適切なものと見なされ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やインターネット等で批判的な評価が拡散した場合、当社グループのブランドイメージや信用が低下し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、本件事案を受けて、当社グループは被害にあわれたお客様と損害を受けられた企業様への謝罪と補償、及び再発防止策の実行に最優先で取り組んでおりますが、もしこれらの取り組みの進捗が遅れて当社グループに対する批判的な評価が高まった場合、当社グループのブランドイメージや信用が低下し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは全ての製品のパッケージや広告について、品質安全保証本部が必ず事前に目を通し、景品表示法等に関連する法令を遵守できているか、また、倫理的に不適切な表現を使用していないかをチェックする体制を敷いております。当該チェックにより不適切な表現などの問題が発見された場合は、製品開発を担当する部門において再検討を行い、法令上、または倫理的に適切な表現への修正を行っております。 また、広告に限らず、レピュテーションリスクのある事象を認知した際には、事実関係の確認を行った上で、関係する部門が参集し、リスク顕在化の防止、及び顕在化した際の影響を極小化するための対応について協議を行うことにしております。 本件事案を受けてのレピュテーションリスクについては、補償と再発防止策に全社員一丸となって真摯かつ迅速に取り組むことで、お客様からの信頼の回復に努めてまいります。 |
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主様への利益還元を重要な経営政策の一つと位置づけ、キャッシュ・フローの創出による企業価値の向上に努めております。そのために健全な経営体質の維持と高い成長が見込める事業への積極投資のために必要な内部留保を確保しながら、安定的な配当を基本方針とした上で連結業績を反映し、株主様への利益還元を向上させていく考えであります。
上記方針に基づき、配当については中間配当と期末配当の年2回行うこととしております。これらの決定機関は、中間配当、期末配当ともに取締役会であります。
上記方針と当期の業績を踏まえ、当期は1株当たり102円の配当(内1株当たり中間配当43円)を実施することを決定しました。この結果、当事業年度の配当性向(連結)は75.3%となりました。
内部留保資金につきましては、研究開発投資、生産設備投資など将来の事業展開に備え役立ててまいります。
なお、当社は「取締役会決議により、毎年6月30日を基準日として、中間配当を行うことができる」旨を定款に定めており、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行う」旨も定款に定めております。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年8月8日 |
3,196 |
43 |
取締役会決議 |
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2025年2月19日 |
4,385 |
59 |
取締役会決議 |