2023年12月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクについては以下のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月25日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 業績の季節性

家庭用品事業の主力である虫ケア用品の需要期は主として毎年4月~8月の約5ヵ月であり、例年、年間の市場販売額のおよそ8割がこの期間に集中するため、家庭用品事業の売上高もこの期間に占める割合が高くなります。虫ケア用品は、需要期を控えた3月から製品の出荷が始まり7月頃にはそのピークを迎え、その後12月にかけて取引先からの返品が生じます。このため、当社グループの業績については、第3四半期(1月~9月)までに収益が集中する一方、第4四半期(10月~12月)の収益は低下します。また、虫ケア用品は季節性が高く、当該期の天候等の影響で市場規模が収縮した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(連結)                                                                                (単位:百万円)

 

2023年12月

第1四半期
連結会計期間

第2四半期
連結会計期間

第3四半期
連結会計期間

第4四半期
連結会計期間

当連結会計年度

売上高

40,819

49,510

36,439

31,575

158,344

売上総利益

17,752

21,230

13,280

11,361

63,624

営業損益

5,532

4,389

△704

△2,847

6,370

経常損益

5,645

4,777

△478

△3,152

6,791

 

 

(2) 海外展開におけるリスク

当社グループは、海外展開の強化を最優先課題に掲げ、タイ・ベトナム・マレーシア・フィリピン・中国の現地法人を中心にアジア地域での積極的な展開を進めておりますが、外国政府による規制や海外情勢、経済環境の変化など、想定しなかった事態が起きた場合、計画に対しての進捗が遅れる可能性があります。また、在外子会社の売上高、費用、資産及び負債を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算しますが、換算時の為替レートにより円換算後の数値が大幅に変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 原材料価格の変動

当社グループは、複数の国・地域から原材料を購入しております。気候変動、為替変動、国際的な需要拡大等による需給動向の変化、また地政学的リスクなどに伴い、原材料の購入価格が高騰した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループの取り扱う製品の原材料は石油化学製品の占める比率が高く、原油価格の動向には注視が必要です。

このようなリスクを認識した上で、当社グループでは処方の変更、複数社購買、グローバル調達などによる継続的なコストダウンに取り組むなど、リスク回避に努めています。

 

(4) 原材料の代替性

虫ケア用品は殺虫原体という化学品を主成分とし、多くの虫ケア用品もこれを基幹原料として生産されております。殺虫原体は主要なユーザーが限定されており、毎年の需要と供給並びに市場価格は安定して推移しております。

殺虫原体の多くは国内外のメーカーから購入しておりますが、一部についてメーカーが限定されており、当該メーカーとの取引が継続困難となった場合や、仕入価格に大きな変動が起こった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) M&A等の実施による影響

当社グループは、将来に向けて持続的な成長を図るため、M&A等を通じた事業領域及び展開エリアの拡大を推進しております。これらについて、事後に発生した想定外の事象や環境変化によって、想定した成果が得られない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 人財確保

当社グループが中長期的に成長していくためには、多様な価値観や専門性を持ち、自立した人財が必要不可欠です。しかしながら、少子高齢化による労働人口の減少や雇用情勢の変化等により、事業活動に必要な専門性を持った人財を計画通りに確保できなかった場合、もしくは育成・定着が進まなかった場合には、中長期的な成長を達成できなくなる可能性があります。また、価値観の多様性を尊重し、組織での関係性が向上する風土が醸成できない場合には、事業における機会損失だけでなく、人財の流出が起こり、事業活動が停滞する可能性があります。

そこで当社は4つの人財マテリアリティを掲げ、「事業が求める人財育成・活躍できる仕組み作り」実現のための組織・機能の構造改革を進めてまいります。

 

(7) 事業に関する法的規制

家庭用品事業では、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器に該当する製品を取り扱っており「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)の規制を受けております。また、農薬に該当する製品については農薬取締法の規制、肥料に該当する製品については肥料取締法の規制をそれぞれ受けております。事業を行うにあたっては、薬事品目に係わる製造販売業許可、各工場での製造業許可、各支店での医薬品卸売販売業許可の取得の他、各支店での農薬販売届を行っております。また、製品毎に製造販売承認や農薬登録を受けております。

総合環境衛生事業では、防虫・防鼠施工業務や建築物清掃業務などについては建築物における衛生的環境の確保に関する法律の適用を、また医薬品や劇物等の取り扱いについては薬機法及び毒物及び劇物取締法などの適用を受けます。こうした法規制により各支店において建築物ねずみ昆虫等防除業、建築物清掃業及び毒物劇物一般販売業などの許可を取得して事業を行っております。

これらの法的規制については、現在のところ問題なく対応しておりますが、今後改正や規制強化が行われた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、特に家庭用品事業において許可の取り消しや業務停止等の処分を受けた場合は、当社グループの事業展開に支障をきたすとともに業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 品質に関するリスク

当社の製品には、医薬品、医薬部外品等があり、品質管理の高い水準を確保することが求められます。しかし、製造工程に起因する製品不良や想定外の製品事故等によりお客様に被害を与えるようなことが発生した場合には、被害の状況によっては当社グループのブランドイメージや社会的信用の低下につながり、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社のモノづくりにとって、お客様目線に立った高品質で安心・安全な製品・サービスを提供し続けることが最も重要な社会的責任です。研究開発、品質保証、お客様とのコミュニケーションにおいて基本方針を定め、安心で快適な暮らしに貢献する製品・サービスを提供するために、「お客様の満足と信頼を損ねる品質重大事故をゼロにするため、自社工場、製造委託先工場の定期品質監査実施率を向上」、「関連法令を遵守し、違反につながる重大事故をゼロにするため、教育訓練年間計画の実施率を向上」させてまいります。

 

(9) 自然災害・感染症による影響

当社グループは、地震等の自然災害に対してBCP(事業継続計画)のもと、BCM体制を構築しております。しかしながら、万が一大きな災害が発生した場合、生産設備の損壊、原材料調達や物流の停滞などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、感染症につきまして、当社グループでは時差勤務やテレワークの推奨、ウェブ会議等を利用した社内外のコミュニケーションの実施、事務所での消毒液の設置など対策を実施し、社員の健康管理を徹底した上で事業を継続しております。しかしながら、収束までの期間が長期化した場合、社員・取引先への感染やサプライチェーンの混乱などにより、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(10) レピュテーションによるリスク

スマートフォンの普及が進んだことやソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、SNS)を活用する人の増加により、時間と場所を選ばず、誰でもが情報を受発信できる環境になっています。SNSは、生活者同士又は生活者と企業との相互コミュニケーションを可能としています。SNS等を通じた情報発信の中には企業に対する批判的な評価や評判も含まれており、それらが拡散することにより、ブランド価値や企業の信用が低下につながる可能性があります。当社においても、SNSを活用した様々な情報発信やブランドのマーケティング活動が年々増加しています。それらの活動で使用された不適切、又は不用意な表現に対する批判的な評価等がSNSを通じて拡散された場合、当社グループのブランド価値や企業の信用を著しく低下させる可能性があります。

 

(11) 気候変動によるリスク

世界的に最も深刻な環境問題である気候変動及びこれらの緩和とその適応は、中長期的に当社の事業の継続や拡大に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動による平均気温の上昇、降水パターンの変化をはじめとした異常気象の激甚化などが、当社事業のバリューチェーン全般に影響を与える可能性もあります。こうした気候変動への対応は、中長期的な企業価値に関わる経営課題であると認識しています。全ての事業において課題解決に向け、脱炭素社会への移行に貢献するために、「CO2排出量の削減」、「電力の再生可能エネルギー化の推進」に取り組んでまいります。また、当社は気候変動関連の財務情報開示の重要性を認識し、TCFD提言への賛同を表明しており、提言に即した情報開示を行ってまいります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題に位置付け、持続的な成長及び健全な経営体質の維持のための内部留保を確保しつつ、純資産配当率(DOE)4%台での還元を目安とし、安定した配当の継続に努めております。

内部留保につきましては、2024年からの新中期経営計画にて掲げる重点テーマに基づき、主として、海外展開の拡大を目的とした戦略的投資・M&A、非財務の価値を高める研究開発投資・人財投資、業務効率化に向けた各種システムの刷新、生産効率の向上を図るための設備投資のほか、持続的な成長を目指した構造改革費用として活用してまいります。また、キャッシュ・フローの状況や株価推移に応じた機動的な自己株式取得についても、引き続き検討してまいります。

これらの方針のもと、2023年12月期の1株当たり配当金につきましては、当期の業績、今後の成長に向けた必要資金などに鑑み、取締役会決議により118円とさせていただきました。この結果DOEは4.0%となりました。また、2024年12月期の1株当たり年間配当金については118円を予定しております。

なお、株主への機動的な利益還元ができるよう、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年6月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めておりますが、当社は季節製品である虫ケア用品の売上構成比が高く、上半期と下半期での業績に大きな差異があるため、通期の経営成績を踏まえた上で期末配当のみを行っております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2024年2月13日

取締役会決議

2,610

118