2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    221名(単体) 6,530名(連結)
  • 平均年齢
    43.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.0年(単体)
  • 平均年収
    11,189,266円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

石油事業

4,072

(2,966)

石油化学事業

1,142

(164)

石油開発事業

298

(133)

再生可能エネルギー事業

232

(53)

その他

565

(329)

全社(共通)

221

(41)

合計

6,530

(3,686)

(注)1 従業員数は就業人員であります。

2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

3 12月決算の連結子会社については2023年12月31日現在の従業員数を記載しております。

4 全社(共通)は当社の就業人員であります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与(円)

221

(41)

43歳

1ヶ月

16年

3ヶ月

11,189,266

(注)1 従業員数は就業人員であります。

2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4 平均勤続年数の算定にあたっては、コスモ石油㈱における勤続年数を通算しております。

5 当社の従業員はすべて全社(共通)に属しております。

 

(3)労働組合の状況

当社グループの労働組合員数は、2024年3月31日現在3,057名であります。

なお、労使関係について特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1、4

男性労働者の育児休業等取得率(%)

(注)2、4

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1、3、4

全労働者(%)

うち正規雇用労働者(%)

うちパート・有期労働者(%)

コスモ石油㈱

(注)6、7

7.0

62.0

76.0

76.2

70.6

丸善石油化学㈱

4.2

91.3

72.0

70.4

76.0

コスモ石油販売㈱

0.9

20.0

64.5

77.4

93.0

コスモエンジニアリング㈱

7.9

80.0

78.8

61.5

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 労働者の人員数について労働時間を基に換算し算出しております。

4 管理職に占める女性労働者の割合は2024年3月31日時点、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は2023年4月1日から2024年3月31日における実績となります。

5 提出会社及び連結子会社で、上記の内容の一部または全部について「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づく公表を行っていない会社は、記載を省略しております。

6 提出会社のコスモエネルギーホールディングス㈱やコスモ石油マーケティング㈱等の実績は、労働者の出向元であるコスモ石油㈱に含む等、労働者は出向先ではなく雇用元の会社にて集計しております。なお、会社間における重複はありません。

7 コスモ石油㈱において、2026年4月1日時点の女性管理職比率目標10%に対し、2024年4月1日時点の実績が7.1%となりました。今後も継続して、積極的な採用、育成、登用、職域拡大を推進していきます。なお、当実績はコスモ石油㈱が雇用元の基幹職労働者を対象とし、社外への出向者を含んでおります。

8 当社グループの取組及び各項目の目標値については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」を参照ください。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、「私たちは、地球と人間と社会の調和と共生を図り、無限に広がる未来に向けての持続的発展をめざします。」というグループ理念と、このグループ理念の原点に改めて向き合い整理した当社グループのサステナビリティの基本的な考え方に基づき、8つの最重要マテリアリティを特定しました。第7次連結中期経営計画における重点施策の一つとして、このマテリアリティに取り組むことで、持続的な企業成長と企業価値向上を図るサステナブル経営を推進しております。

2023年度の具体的な取組としては、特定した最重要マテリアリティのKPIの設定とモニタリング、2050年カーボンネットゼロへのロードマップの見直し等を、サステナビリティ戦略会議において討議し、実施してきました。また、ビジネスと人権に関する取組として、2021年に策定した人権方針に基づき、2023年8月から11月にかけて人権デューデリジェンスを実施しました。今後も、経営層、従業員のリテラシー向上を図りながら、当社グループとして取り組むべきESG施策の充実を進めていきます。

顧客、株主、地域住民、従業員等すべてのステークホルダーを含む社会の持続的発展に、サステナブル経営によって貢献してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ課題全般について

①ガバナンス

当社グループでは、コスモエネルギーグループ理念及び企業行動指針を実践し職務を適正かつ効率的に執行するため、「内部統制システムに関する基本方針」に基づき、当社及びグループ各社の取締役及び社員の職務執行の体制、これを支えるためのリスクマネジメント及び内部監査の体制、監査等委員会による監査が実効的に行われることを確保するための体制を整備・運用しています。また、内部統制を統括する組織として社長執行役員を議長とするサステナビリティ戦略会議を設置しています。

サステナビリティ戦略会議は、当社の執行役員及び経営企画部長をはじめ、中核事業会社(コスモ石油㈱、コスモ石油マーケティング㈱、コスモエネルギー開発㈱)の社長及びサステナビリティ担当役員、常勤監査等委員で構成されます。当戦略会議において、第7次連結中期経営計画におけるマテリアリティの活動の実績・評価を行い、重要なものを取締役会に報告しています。また、サステナビリティ戦略会議の実務機関として、サステナビリティ推進部長を事務局長とするサステナビリティコミッティを必要に応じて開催しています。2023年度はサステナビリティ戦略会議を計7回開催し、15件の議題を討議しました。そのうち7件の議題について取締役会へ審議、付議・報告しました。サステナビリティ戦略会議にて討議された事項は、必要に応じてサステナビリティ連絡会を通じ、グループ各社へ共有しています。加えて、取締役及び執行役員が、サステナブル経営を推進していくにあたり、2022年度よりESG目標への取組に対する評価も役員報酬に反映しています。

また、中核事業会社及び準中核事業会社(丸善石油化学㈱)に、それぞれの機能に応じた委員会を設置し、当社のサステナビリティ戦略会議と連携をとることによりグループ全体の統制を図っています。

 

 

②戦略(マテリアリティの特定)

2023年4月の第7次連結中期経営計画のスタートに合わせ、当社グループは目指すべき2050年の社会の実現に向け、社会と当社グループの持続的な発展と中長期的な企業価値及び業績に影響を与える重要なESG課題(マテリアリティ)を見直し、以下の8課題を特定しました。

 

 

最重要マテリアリティは、持続的な価値創造のためのマテリアリティである「気候変動対策」「クリーンなエネルギー・製品・サービスの提供」「収益事業の構造改革」と、事業継続の基盤となるマテリアリティである「安全操業・安定供給」「グループリスクマネジメントの強化」「コンプライアンスと理念・価値観の共有」「人材の活躍推進・健康増進・働きがいの向上」「デジタル変革(DX)」に分類されます。

持続的な価値創造のためのマテリアリティは、連結中期経営計画を社会課題の観点からも推進し、それらを事業継続の基盤となるマテリアリティが支えます。当社グループでは、マテリアリティのあるべき姿の実現に向けたさまざまな取組を実施しています。

 

③リスク管理

当社グループは、リスクマネジメントをマテリアリティの一つと位置づけ、事業活動を通じて発生するリスクを把握の上、適切な管理体制を整備し、計画・実践・評価・是正措置のサイクルを構築しています。リスク管理の詳細については「3 事業等のリスク」を参照ください。

 

④指標及び目標

特定した各マテリアリティにおいて、あるべき姿とKPIを定めて進捗管理を行っております。

マテリアリティ

あるべき姿

主なKPI

2023年度実績

気候変動対策

・GHG排出量(注)が適切に管理されている状態

・2050年カーボンネットゼロ達成に向けて進捗している状態

GHG排出量削減:

2030年度 30%以上

(2013年度比)

15%削減

CO₂排出削減量

(Scope1、2)

(2013年度比)

951千t-CO₂削減

CO₂削減貢献量

483千t-CO₂貢献

クリーンなエネルギー・製品・サービスの提供

・顧客のニーズに合致したクリーンな燃料を開発し、提供できている状態

・国内再生可能エネルギー発電のリーディングカンパニーとなっている状態

・バリューチェーン全体でクリーンな製品を開発し、提供できている状態

・低炭素・脱炭素化に対応した技術・サービスを開発し、提供できている状態

クリーン燃料の供給

バイオETBE 240千KL

・バイオETBEの供給:297千KL

・廃食用油原料のSAF供給:2025年度約3万KL/年に向け設備建設中

・風力発電設備容量

・その他再生可能エネルギー発電設備容量

・風力発電設備容量(当期末時点):295MW

・その他再生可能エネルギー事業を検討中

・次世代原料の供給量

・化石燃料以外の売上

・新規事業の研究開発費・投資額

次世代原料及び新規事業に関する研究開発に取り組み中

収益事業の構造改革

・既存事業で上げた収益を新たな事業に投資することで、脱炭素社会において事業収益を上げている状態

・クリーン技術を中心とした新規事業により企業価値の向上が図られている状態

新規事業(New)への投資額

2023年度はSAF供給事業を中心に投資を実施

 

 

マテリアリティ

あるべき姿

主なKPI

2023年度実績

人材の活躍推進・健康増進・働きがいの向上

・年齢・性別・国籍・職種・所属・職歴にかかわらず、あらゆる従業員が能力を最大限に発揮できる状態

・多様な意見を取り入れた活発な議論がなされ、意思決定がなされている状態

・過重労働やハラスメントが防止できており、従業員が安心して健康に働ける状態

・従業員が自らの心身の健康管理に進んで取り組み、健康管理・増進に努めている状態

・従業員が事業戦略の実現に向け、自律的に強み、専門性を向上させ、活かしている状態

・従業員が活力高く挑戦し、働きがい・やりがいを持って持続的に成長している状態

・女性管理職比率:

 2025年度 10%以上

・新卒学卒女性採用比率:

 50%以上

・女性管理職比率:7.1%(2024年4月1日現在)

・新卒学卒女性採用比率:53%(2024年4月入社者含)

・ストレスチェックの受検率(ココロの健康)

・特定保健指導実施率(カラダの健康)

・ストレスチェック受検率:98.7%

・特定保健指導実施率の向上に向けた健康への取組を実践中

従業員の育成・研修に対する投資額

研修費用:年間13万円/人

従業員意識調査「仕事のやりがい・誇り」のスコア:60ポイント以上

従業員意識調査スコア:

60ポイント

コンプライアンスと理念・価値観の共有

・法令・社規規範が遵守できている状態

・役員・従業員等がグループ理念、方針、社内規程を認識・遵守できている状態

・企業行動指針・方針が浸透していて、個々が適切な判断ができる状態

コンプライアンス違反件数

重大コンプライアンス違反件数:ゼロ件

従業員意識調査スコア

・コンプライアンス教育:83%以上

・通報窓口の認知度:

 94%以上

・企業行動指針の理解:72%以上

従業員意識調査スコア

・コンプライアンス教育:82%

・通報窓口の認知度:

 94%

・企業行動指針の理解:74%

グループリスクマネジメントの強化

・オペレーショナルリスクに加え、自社にとっての戦略リスク(機会も含む)が識別できており、適切なリスクヘッジ、リスクテイクができている状態

・グループ全体の重大リスクが把握・管理できている状態

・コスモエネルギーグループ重点取組リスクのモニタリング

・各社重点取組リスクのモニタリング

・コスモエネルギーグループ重点取組リスク及び各社重点取組リスクの選定、リスク低減計画・実施評価を実行

・ERM(全社的リスクマネジメント)の体制と手法構築に関する方針について決定

 

 

マテリアリティ

あるべき姿

主なKPI

2023年度実績

デジタル変革(DX)

・ビジネス変革を実現すべく、デジタル技術を活用して仕事の進め方を変え、変革に挑戦し続ける企業文化が醸成されている状態

・顧客や従業員に対して、データ利活用を軸とし、社内外の課題を解決するためのソリューションを提供することで、社内外のCX(顧客体験価値)向上が図られている状態

データ活用コア人材の育成:2025年度 900名以上

・データ活用コア人材の育成:389名

・人材創出の目標に向け、座学研修、業務活用及び事例横展開や各部署とのコミュニケーション実施等の取組によりDXへの意識改革を推進中

安全操業・安定供給

・従業員の傷害が防止できている状態

・プラント事故及び製品(品質)事故が防止できている状態

・操業地域や周辺住民の安全を脅かさない操業ができている状態

・災害時や非常時等も含めて、エネルギーが安定的に供給できている状態

・労災件数

・事故件数

・環境影響のある事故件数

・災害時・非常時の供給及び販売体制:24時間以内の再開

・重大労働災害件数:

 ゼロ件

・重大事故件数:2件

・BCP発動:実績なし

 

(注)GHG排出量はScope1、2排出量から、再生可能エネルギー及びバイオ燃料による削減貢献分を控除した数値となります。

 

 

(2)気候変動への対応

当社グループは、気候変動の視点をより一層取り入れた経営計画を策定し実行していくことが、地球や社会、そして私たちの持続的な発展に不可欠であるとの認識から、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同し、2021年5月に「2050年カーボンネットゼロ」宣言を行い、その実現に向けた取組と工程をとりまとめたロードマップを2022年5月に公表いたしました。

このロードマップの策定は、最重要マテリアリティの一つとして特定した「気候変動対策」に対応するものであり、TCFDにおけるシナリオ分析や外部環境・内部環境の分析等を実施し、ロードマップに反映させております。2023年5月には、サプライチェーン全体を含めたロードマップの改定を行い、5つの重点取組テーマを掲げ、取組を推進しています。

第7次連結中期経営計画においては、『Oil & New~Next Stage~』に基づき、グリーン電力サプライチェーン強化、次世代エネルギー事業の拡大、石油事業の低炭素化を推進することで、持続可能なカーボンニュートラル社会の実現を目指しています。

 

 

ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ戦略のガバナンスに組み込まれています。当社は、サステナビリティ戦略会議において、気候変動関連の課題を含む重要な業務や方針に関する事項の審議を行っています。

気候変動に関する議題として、2050年カーボンネットゼロに向けたロードマップの改定等気候変動問題に関する対応方針、計画策定、指標等の審議及び決定を行いました。また、グループ全体の事業活動から生じる環境負荷を最小化させる環境保全活動(リスク低減施策)を実施しています。

サステナビリティ戦略会議において審議及び決定された内容は、構成員が担当する部署へ周知するとともに、事務局がサステナビリティ連絡会にて、グループ会社に連絡・報告しています。

2050年カーボンネットゼロに向けたロードマップについては、サステナビリティ戦略会議での討議を経て、2023年5月に取締役会において改訂決議を行っています。GHG排出削減に関する指標の設定と進捗管理についても同様に、サステナビリティ戦略会議において報告・討議した後、取締役会において決議・報告を行っています。

 

 

②戦略

(短期・中期・長期の気候変動関連のリスクと機会及びビジネスへの影響)

当社グループは、2050年カーボンネットゼロ社会の実現に向け、社会と当社グループの持続的な発展と中長期的な企業価値に影響を与える重要なESG課題(マテリアリティ)を特定しています。持続的な価値創造のためのマテリアリティとして、「気候変動対策」「クリーンなエネルギー・製品・サービスの提供」「収益事業の構造改革」を特定し、事業継続のための基盤となるマテリアリティの一つとして、「グループリスクマネジメントの強化」を特定しています。これらのマテリアリティに関する取組の進捗を計る指標として、再生可能エネルギー事業の拡大やGHG排出削減量を設定し、気候変動関連のリスクと機会の視点を取り入れながら、気候変動対策の取組を積極的に推進しています。

事業活動において想定しうる気候変動リスクと機会について、外部環境による事業環境の変化を想定し、

TCFD提言に示されている気候変動リスク項目に基づき重要度を検討しています。

 

当社グループが想定するリスクと機会の主な項目と影響は以下のとおりです。

対象範囲  石油精製/販売、石油化学、石油開発、電力(再生可能エネルギー等)

発生時期(短・中・長期)の考え方 短期:1年以内、中期:1~5年以内、長期:5年~20年

発生時の影響度  小:10億円未満、中:10億円以上~100億円未満、大:100億円以上

 

(シナリオ分析、戦略のレジリエンス)

当社グループのシナリオ分析では、石油事業、石油化学事業、石油開発事業を対象事業とし、2030年~2050年の事業影響を想定しています。

シナリオとして、4℃(成り行き)、1.5℃(より低炭素移行)の2つの温度帯におけるシナリオについて、一般的に利用されている国際エネルギー機関(IEA)のパラメーターを利用し、1.5℃シナリオでは、NZE、APSシナリオ、4℃シナリオでは、STEPSシナリオを選択し、IEAシナリオに不足する物理リスクの自然災害等の想定は、IPCCのRCP8.5、RCP6.0、RCP2.6や国内外の政府機関等のシナリオを参考として想定いたしました。

4℃シナリオでは、石油事業はグローバルで需要増加が見込まれる一方で、気候変動に起因する異常気象の頻発や激甚化により、風水害による装置や機器の故障を要因とする損失や、保険料の増加をはじめとするコストの増加が発生する恐れがあることが予想されます。

1.5℃シナリオでは、脱炭素化が大きく推進され、カーボンプライシングや排出量取引価格が高額化することから石油需要の減少も加速することが予想され、事業における排出削減やポートフォリオ見直しの必要性が高まることが認識されました。再生可能エネルギー事業において優位性を保つことができれば、売上を増加させる機会を獲得できることも認識され、エネルギー企業の事業ポートフォリオの変換が進み、太陽光、風力、水力、その他の再生可能エネルギー市場の更なる開拓が必要とされています。

このような分析に基づき、第7次連結中期経営計画のグリーン電力サプライチェーン強化、次世代エネルギーの拡大、石油事業の低炭素化の推進施策に反映させ、取組を進めています。

 

(気候変動シナリオによる財務影響評価)

シナリオ分析に基づき、4℃及び1.5℃シナリオにおける財務影響評価を行いました。以下の前提条件による試算の結果は次のとおりです。

4℃シナリオについては、4℃の世界観に基づき、自然災害による物理リスク、需要減による移行リスクについて試算し、1.5シナリオについては、1.5℃の世界観に基づき、需要減及び炭素税による移行リスクについて試算を行いました。

自然災害:(直近5年程度で最大の豪雨災害被害額×集中豪雨の年間発生率)+(石油・石油化学の保険料×集中豪雨の年間発生率)

需要減 :2030年の想定経常利益×需要変動率(IEA STEPS、APSの比率を参照)

炭素価格:2030~2050年のScope1・2想定排出量×炭素価格(IEA NZEを参照)

 

(主要なリスクへの対応策及び機会の取り込み)

今回のシナリオ分析では、主力事業である石油事業・石油化学事業・石油開発事業を対象範囲とし、2030年、2040年、2050年の断面で財務影響評価を実施しました。

気候変動リスクに対する機会側面として、当社は、Vision 2030において「グリーン電力サプライチェーンの強化」「次世代エネルギー拡大」を掲げています。今後、これらの事業を中心としたNew領域への投資を拡大させる計画としており、機会面のインパクト拡大に取り組む予定です。また、最新のシナリオを参考にした分析や機会の収益見通しを反映させる等の検討を行い、より長期断面での分析やその他事業への横展開、毎年更新される

IEA等のシナリオを参考にした分析の精度向上を実施し、定期的にサステナビリティ戦略会議で報告する等、

TCFD提言に沿った開示と経営戦略を一体化した体制強化に継続的に取り組みます。

 

③リスク管理

当社グループのリスクマネジメントについては「3 事業等のリスク」をご参照ください。

気候変動に関するリスクについては、グループ全社にまたがる重要な経営課題として、サステナビリティ戦略会議において継続的に議論を行う体制を整え、リスクの把握と対応状況の評価等を実施しています。

 

④指標と目標

当社グループでは、気候変動関連リスクに関し、「GHG排出量の削減」を重点課題としています。長期の

GHG削減目標としては、「2050年カーボンネットゼロ」の実現に向け、「2030年には自社操業に伴う排出量

(Scope1+2)を、削減貢献量を含め30%削減(2013年度比)し、2050年には、社会全体のカーボンニュートラル実現に貢献すべく、Scope3を含めたカーボンネットゼロを目指す」という方針を掲げています。

2023年度の当社グループの事業活動におけるGHG排出量について、Scope1は6,886千t-CO

Scope2は226千t-CO、Scope3は76,047千t-CO(カテゴリー1~15を対象に算定)でした。

 

2023年度の実績等、2023年度の取組、評価等の詳細については、2024年9月に更新予定の当社ウェブサイトの「サステナビリティサイト」をご参照ください。

https://www.cosmo-energy.co.jp/ja/actions/sustainability.html

 

 

(3)人的資本

当社グループは、Vision 2030を実現する人材集団を形成し、企業価値を高めることを目指しており、「人材の育成・開発」「組織風土」「健康」をメインテーマとして施策に取り組んでおります。2023年度より開始した第7次連結中期経営計画では「経営基盤の変革」を基本方針に掲げており、その1つの柱がHRX「人が活き、人を活かす人材戦略の実践」です。これまで以上に経営戦略と人材戦略を一体として捉え経営戦略を実現できる強い組織を作り上げるため、人材の価値の最大化を目指し各種施策や投資を行っています。

年齢、性別、国籍、職種、所属及び職歴等に関わらず、あらゆる役員及び従業員が公正に処遇され、能力を最大限に発揮できる環境づくりを目指しています。

 

①戦略

(人材戦略のありたい姿と基本方針)

当社グループは、人材を経営資本と捉え、その価値を最大限に引き出すことが重要であると認識しています。従業員が健康でエンゲージメント高く活き活きと働ける環境を整えウェルビーイングを実現すること、また従業員の自律的な成長を促し個の能力と組織の力を向上させることで、経営戦略の早期達成を目指します。

グループ企業行動指針においても、人材の活用及び能力の向上に取り組むことを示していますが、その指針の下、基本方針として「人材活用方針」「健康経営方針」を以下のとおり定めています。

 

a人材活用方針

多様な人材の活躍推進

多様な価値観を尊重し、年齢、性別、国籍、職種、所属及び職歴等に関わらず、あらゆる従業員が公正に処遇され、能力を最大限に発揮できる環境づくりを行います。

ジョブ型志向による能力発揮の促進

それぞれの従業員に求められる役割、職責及び目標を明確にし、能力を最大限に発揮した従業員に報います。

自律的成長の促進

当社グループ全体の収益及び成長に「こだわり」を持ち、自ら課題を設定して課題の解決に取り組むことができる従業員を育成していきます。

個の強化の促進

それぞれの従業員に求められる育成課題に対し、業務目標や行動計画を明確にして自律的キャリアの形成や行動変容を促し、その成長を評価していきます。

 

b健康経営方針

取組体制

当社グループは、役員及び従業員並びにコスモ石油健康保険組合と一体となって、役員及び従業員の心身の健康維持・増進に取り組みます。

自律的な健康管理・増進の促進

当社グループは、役員及び従業員が自らの心身の健康管理に進んで取り組み、健康の維持、増進及び傷病の予防に努めることを促進していきます。

健康リスクの予防及び早期対応等の取組

当社グループは、グループ各社の各事業場における業務内容や勤務体系等に合わせて健康リスクを把握し、疾病及びメンタルヘルス不調の予防、早期対応及び重症化予防並びにそれらの再発防止に取り組みます。

職場環境づくり

当社グループは、役員及び従業員の健康を大切にする職場風土を醸成し、健康で働きがいのある環境づくりに取り組みます。

コミュニケーションと教育

当社グループ及びコスモ石油健康保険組合は、本方針をすべての役員及び従業員に周知するとともに、継続的な教育及び啓発活動によって、役員及び従業員が自らの健康を管理し、維持、増進及び傷病の予防に努める健康意識(ヘルスリテラシー)向上に取り組みます。

 

 

(第7次連結中期経営計画期間中の重要テーマ)

第7次連結中期経営計画期間において当社グループは、下記4つを重要テーマと捉え、人事施策を実行しています。

a人材育成強化

育成体系の整備、ジョブ型の人材マネジメントの推進、経営人材の育成及びラインを通じた育成を強化するとともに、整備したグループ人事基盤をベースに、従業員の自律的キャリア形成意識を促進しています。2023年度は、従来の自己申告制度を改定したキャリア申告(注1)を開始し、ジョブチャレンジ制度(注2)においては従業員個々人の能力伸長に重点を置いたものに改定する等、より自律的キャリアを意識した制度としています。

bダイバーシティ&インクルージョン

勤務地限定制度、テレワーク制度の継続等の制度対応、柔軟な働き方の定着と併行し、従業員の意識改革に注力することで、画一的な価値観・マネジメントスタイルからの転換を図り、多様な価値観・知識・スキルを融合させるよう、取り組んでいます。2023年度は1on1の推進によりコミュニケーションが活性化され、エンゲージメント指数は2025年度目標を早期達成しました。

c健康経営の推進

健康管理を経営課題として戦略的に捉え、収益・企業価値向上への投資として取組んでいきます。経営陣のコミットメントやラインを通じたフォロー、健康保険組合と協同したコラボヘルス等を進めています。2023年度には産業医/医療職・健康保険組合・重点取組企業の人事部門からなる健康経営推進委員会の設置を決定、意識改革に向け様々なセミナーを実施しました。結果として「健康経営優良法人2024」に認定され、2019年から6年連続での認定を受けています。

dグループ人事基盤の構築

人事システムを刷新し、グループ内の人材情報を可視化することで、従業員のキャリア自律を促すとともに、経営戦略に応じた適所適材を実現します。2023年度は新しい人材育成ツールとしてCTP(コスモタレントパレット)をリリースし、育成に関する情報を一元管理できるようにしました。

 

(注1)従業員が自らの短期~中長期のキャリアについてシステム上で申告し、上長と面談する制度

(注2)従業員が希望の仕事や挑戦したい職種に自ら手を挙げて応募し、選考を経て異動を実現できる制度

 

②指標と目標

Vision 2030に向け、第7次連結中期経営計画では人材戦略の実行度を確認する指標として目標値を設定し、人的資本に関する情報開示及びステークホルダーとの対話強化にも取り組んでいます。

非財務指標

2025年度目標

2023年度実績

従業員一人あたり教育投資  (注)1

18万円

13万円

女性管理職比率       (注)2

10%

(2026年4月1日時点)

7.1%

(2024年4月1日時点)

男女賃金格差        (注)3

75%以上継続

76%

男性育休取得率       (注)4

50%以上継続

62%

エンゲージメント指数    (注)5

60ポイント

60ポイント

(注)1 当社及び中核事業会社(コスモ石油㈱、コスモ石油マーケティング㈱、コスモエネルギー開発㈱)を中心とした従業員を対象としています。

2 当社及び中核事業会社を中心とした基幹職従業員を対象とし、コスモ石油㈱から社外への出向者を含んでいます。

3 当社及び中核事業会社を中心とした従業員のうち正規雇用労働者における比率となります。

4 当社及び中核事業会社を中心とした従業員を対象としています。育児休職制度に加え、就業期間においても出産休暇や子の看護を目的とした休暇、テレワーク制度やコアタイムなしのフレックス制度等により、柔軟な働き方が可能となっています。育児休職を一つの選択肢としつつ、従業員が自律的に制度を選択しながら、育児との両立ができる環境を整えています。

5 従業員意識調査における「仕事のやりがい・誇り」に関する3項目のプラス回答者の割合を指し、当社及び中核事業会社に在籍する従業員のみを対象としています。

6 当社及び中核事業会社の従業員はコスモ石油㈱からの出向となり、人事関連制度が同一となることから、対象の範囲を上記のとおりとしております。