リスク
3【事業等のリスク】
当社グループは、リスクマネジメントをマテリアリティの一つと位置づけ、事業活動を通じて発生するリスクを把握の上、適切な管理体制を整備し、計画・実践・評価・是正措置のサイクルを構築しています。当社グループのマテリアリティについては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ課題全般について ④指標及び目標」をご参照ください。
また、当社グループを取り巻く事業環境の変化や様々なリスクに対し、より適切に対応するため、中長期の視点を持つとともに、リスクを事業機会として捉え、企業価値を最大化しようとする全社的リスクマネジメント (ERM:Enterprise Risk Management)を構築しています。リスク抽出においては、経営によるトップダウン型のアプローチ手法を導入するとともに、リスク管理においてはリスクオーナー設定によるリスクカテゴリ毎のグループ横断的なリスク管理を推進しています。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)リスク管理体制
当社グループでは、各社の事業を発展的かつ安全に運営するため、グループリスクマネジメント統括部署(サステナビリティ推進部)が各社におけるリスクへの取組状況を集約し、サステナビリティ戦略委員会に報告します。サステナビリティ戦略委員会では、グループ全体に関わるリスクへの対策と進捗を審議し、その結果を経営執行会議、取締役会へ報告するとともに、サステナビリティ連絡会を通じてグループ各社へ展開します。(サステナビリティ戦略委員会については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ課題全般について」をご参照ください。)
また、サステナビリティ戦略委員会の実務機能を担う機関として、サステナビリティコミッティを必要に応じて開催しています。
(2)リスク管理の運営
経営層へのヒアリングやアンケートによりトップダウンで抽出した中長期的リスク及び各部門・グループ各社がボトムアップで抽出したリスクのうち、影響度や発生可能性が上位かつ、マテリアリティとの関連性や業界特性上の重要性が高いリスクを選定しました。これらのリスクについて、経営層がサステナビリティ戦略会議(2025年度からはサステナビリティ戦略委員会)において議論し、2024年4月に11項目をトップリスクとして決定し、取締役会へ報告しました。2025年度はその11項目を継続しつつ、直近の社内外の環境変化が当社グループに与えうる事象・影響をリスクシナリオに織り込み、対策の強化に取り組んでおります。
トップリスクについては、グループ横断的に統制を図るため、当社グループ全体におけるグループリスクオーナーと、中核事業会社におけるリスクオーナーを設定しています。
グループリスクオーナーであるグループ全体の統括責任部署が、トップリスクへの対策の策定並びにKPIの設定を実施した上でモニタリング・レビューを行い、更なる改善活動に繋げます。中核事業会社のリスクオーナーはグループリスクオーナーとの連携のもと、各社において同様のPDCAサイクルを実践します。
また、トップリスクに含まれない、各部門・グループ各社から抽出したリスクについても、全社的リスクマネジメントの中で管理しております。
当社ERMにおけるPDCAサイクル
(3)トップリスク
トップリスクは、以下に記載のとおりです。トップリスクについては「(2)リスク管理の運営」に記載のとおり決定し、管理します。
No. |
トップリスク |
カテゴリ |
マテリアリティとの関連 |
想定されるシナリオ・主な対策 |
1 |
脱炭素化の進展による石油需要の減少・事業資産への影響 |
戦略 |
○ |
(シナリオ)エネルギートランジションの進行等により、想定外のスピードでの石油製品需要減少やGX-ETSや炭素賦課金によるコスト増に伴い、収益性が低下し、当社グループの事業資産が座礁化する (対策)中長期的な事業環境の変化を適切に捉え、将来の環境を見据えて事業方向性を検討 |
2 |
環境規制・気候変動対策の強化に伴うポートフォリオ・戦略投資への影響 |
戦略 |
○ |
(シナリオ)エネルギー政策や規制変更等により気候変動対策が急激に強化され、ポートフォリオ転換・戦略投資の判断に影響を及ぼす (対策)中長期的な事業環境の変化を適切に捉え、将来の環境に応じた適切なポートフォリオ・事業戦略を構築 |
3 |
労働市場の変化による人材確保・育成の困難化 |
戦略 |
○ |
(シナリオ)労働人口が減少する中で、既存・新規事業の両面で多様性かつ専門性を持った人材の確保・育成が困難になる (対策)経営人材の確保、事業戦略に合わせた人材の確保 |
4 |
カーボンニュートラル燃料への対応遅れ |
戦略 |
○ |
(シナリオ)カーボンニュートラル燃料に関して、上市されている当該燃料の調達が困難となる、あるいは新しい技術開発・導入が遅れる、または失敗することにより、対応が遅れる (対策)業界・政策動向のモニタリング、技術検討 |
5 |
原料・資材価格の変動 |
戦略 |
|
(シナリオ)政情変化や経済変化、各国の政策変更等に伴う原油やLNG等の資源価格のボラティリティ上昇や、世界的な保護主義政策やインフレ(資機材、労務費等の高騰含む)、為替レートの変動により業績が悪化する (対策)業界・政策動向、産油国動向のモニタリング、調達体制の最適化 |
6 |
自然災害 |
戦略 |
○ |
(シナリオ)地震や津波等の大規模自然災害により当社設備が壊滅的な被害を受け、早期復旧が困難となり巨額の損失を被る (対策)当社グループ全体での災害対策の構築 |
7 |
品質不正 |
業務 |
○ |
(シナリオ)品質管理の不備と自浄作用の欠如により、(出荷後に)品質に関する問題が発覚し、製品回収による損失、ステークホルダーからの信用失墜を招く (対策)品質監査の実施、品質管理システムの高度化検討 |
8 |
サプライチェーンの中断 |
業務 |
○ |
(シナリオ)当社グループのサプライチェーンは広範囲に及ぶため、政治情勢の悪化や取引先における様々な要因等により、原油生産拠点での操業停止、船舶輸送、製油所の整備や給油所の運営等において、サプライチェーンの中断、損失が発生する (対策)運送体制強化、調達体制の最適化 |
9 |
情報セキュリティリスク |
業務 |
○ |
(シナリオ)サイバー攻撃により業務停止や情報漏洩、身代金請求等の被害が発生する 顧客情報管理の委託先に対する指導・監査を適切に行うことができず、個人情報が流出し、顧客からの信頼を失う (対策)ランサムウェアやウイルス対策の強化、個人情報保護等の対策強化 |
10 |
生産設備における事故、不具合・故障 |
業務 |
○ |
(シナリオ)製油所・油田・発電所での事故や不具合・故障により、操業継続が困難となるほか、周辺地域の自然環境・生物に影響を及ぼす等損失が発生し、キャッシュ・フロー創出に影響する (対策)不具合の未然防止(APM(注1)の構築等)及び減災対策の強化、老朽化対策 |
11 |
内部統制不備による不正/不適切行為の発生 |
財務・ コンプライアンス |
○ |
(シナリオ)内部統制システムが十分に機能せず、人員・ノウハウやIT技術導入不足等により重大な不備や不正が発生し、行政指導や刑事罰を受けるほか、ステークホルダーからの信用を失う 企業の価値・競争力の源泉となる情報資産が社外へ漏えいすることで、企業価値・競争力が毀損される (対策)CSA(注2)の実施、グループガバナンス強化、知的財産管理強化 |
(注1)APM(Asset Performance Management System):グローバルスタンダードの保全・設備信頼性業務プロセスをシステムの活用により、保全のビッグデータを効率的かつ効果的に管理し、網羅性・予見性・管理性を高めることができる。
(注2)CSA(Control Self Assessment - 内部統制自己評価)
なお、トップリスクに関連するリスク顕在化の可能性、影響の内容及び対策については次のとおりであります。
(トップリスクNo.1 脱炭素化の進展による石油需要の減少・事業資産への影響)
当社グループの売上高のうち主要な部分を占めるガソリン・灯油・軽油は、一般消費者の需要動向の影響を強く受け、ナフサは石油化学業界の需要動向に影響されます。燃料油の国内需要は、少子高齢化や人口減少、自動車ハイブリッド化等による燃費改善や燃料転換等の構造的要因から減少傾向が継続するものと想定しております。また、油価の下落、産油国の政策変更による供給先変更及び国内のみならず海外も含めた経済や政治の動向等で石油および石油化学製品の需要が変動した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、需要減少に備え国内販路の確保や収益油種を集中して生産できる体制の構築等に取り組んでおります。また、新たな取組としては、日本初の国産SAF(持続可能な航空燃料。カーボンニュートラル燃料に関するリスクについてはトップリスクNo.4に記載)の大規模生産、グリーン電力販売の拡大、蓄電事業の実証の着実な推進、水素事業の推進に取り組んでおります。
(トップリスクNo.2 環境規制・気候変動対策の強化に伴うポートフォリオ・戦略投資への影響)
エネルギー政策や規制変更等により気候変動対策が急激に強化され、ポートフォリオ転換・戦略投資の判断に影響を及ぼす可能性があります。
風力発電事業では、開発段階において各種許認可の取得に加え、風況観測及び環境アセスメントが必要となるため、建設工事着工前から一定程度の先行的な投資が発生します。開発段階で事業化を断念しなければならない事象が発生し、投資額が回収できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、資材、建設費等の高騰、競争の激化等から、収益性が低下する可能性があります。
これらのリスクについてはそれぞれ施策を講じてリスク低減に取り組んでおります。
一般海域における洋上風力発電事業の開発は「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(平成30年法律第89号)に則って行われ、具体的な手続、スケジュールは経済産業省及び国土交通省により進められています。当社グループが想定している時期に促進区域に指定されず、事業計画に遅れが出るもしくは中止となった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態及び将来の成長性に影響を及ぼす可能性があります。
上記に対し、当社グループでは事業候補地におけるフィージビリティスタディ等を実施し、リスク低減に取り組んでおります。
なお、当社グループにおける気候変動に関するリスク及び取組については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応」をご参照ください。
(トップリスクNo.3 労働市場の変化による人材確保・育成の困難化)
近年、労働人口が減少する中で有能な人材の確保をめぐる競争は激化しています。在籍している社員の流出防止や、経営戦略の推進に必要な人材の確保・育成ができない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
そのため、当社グループは、事業成長の源泉及び組織活力の維持を担う人材の継続的な確保と育成に努めています。既存・新規事業の両面で多様性かつ専門性を持った人材の確保・育成に対応するため、処遇制度の見直し、自律的キャリア形成強化、人材育成への投資強化、 女性・キャリア採用強化に取り組んでおります。具体的には、自己啓発制度の拡充、経営人材・女性社員・事業部門の育成強化、採用手法の多様化等を実施しています。これら当社グループの取組については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。
(トップリスクNo.4 カーボンニュートラル燃料への対応遅れ)
カーボンニュートラル燃料は、既存の石油製品サプライチェーンの活用が可能であること等から脱炭素社会の実現へ向け期待は大きくなっています。一方で、現状では生産効率やコスト等が課題であり、普及に向けて技術開発に取り組む必要があります。脱炭素社会が到来し、カーボンニュートラル燃料が主流となった環境において、技術開発の失敗等によりカーボンニュートラル燃料を扱えない場合には製品の供給が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、脱炭素社会に向けた様々な技術開発・検討を行っており、リスク低減に取り組んでおります。
(トップリスクNo.5 原料・資材価格の変動)
原油価格は、世界経済や産油国の生産方針等の需給動向に加え、中東産油国の周辺地域を中心とした戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態を含む多様な要因により変動する恐れがあります。石油開発事業における原油価格に関するリスクに加え、当社グループは、原油在庫の価格を総平均法で評価しているため、原油価格の下落局面では、期初の在庫単価と期中に仕入れた在庫単価が平均され売上原価を押し上げることになり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの主要な石油製品コストは、国際市況である原油価格や為替レートを反映した形で決定されるのに対し、販売活動は主に国内で行っており、販売価格は国内市況を反映して決定されます。国際市況と国内市況とのギャップやタイムラグが生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります(注)。石油化学製品の価格については、国際市況であるナフサ価格や為替レートの変動、世界的な需要動向等の影響を受ける可能性があります。
また、原油価格の下落により、棚卸資産の期末における正味売却価額が帳簿価額よりも低下し、棚卸資産の収益性が低下したと判断する場合があります。この場合、棚卸資産の収益性の低下を反映するために計上した評価損が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは原油及び石油製品の輸出入に係る価格変動のリスクをヘッジすることを目的としてデリバティブ取引を利用しています。具体的な取組については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」をご参照ください。
世界的な保護主義政策やインフレによって資材調達、輸送等のコストが変動し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはパートナーとの提携や、在庫の適正化等の施策を講じてリスクの低減に取り組んでおります。
資材価格の変動に関して、洋上風力設備の建設工事着工は入札時からのリードタイムが数年あるため、その間に鋼材や労務費等の上昇が発生した場合、建設費用が増加する可能性があります。また、海外からの資機材搬入の遅延等さまざまな要因により、工事が遅延する可能性があります。建設費増加または工事遅延が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループではパートナーとの提携等により、これらのリスクの低減に努めております。
(注)2025年5月13日に公表した2026年3月期通期連結業績予想の経常利益へ与える原油価格変動、為替変動の感応度を測定しております。2025年4月~2026年3月の前提条件は原油価格65ドル/バレル、為替145円/ドルとしており、前提より原油価格+1ドル/バレルあたりの影響額及び為替+1円/ドルあたりの影響額は以下のとおりであります。なお期間中において原油価格、為替に変動なく一定に推移した前提で試算しております。
(トップリスクNo.6 自然災害)
自然災害の発生時には、当社グループの設備が被害を受け巨額の損失を被るほか、何らかの要因で操業が停止する可能性があります。
そのため、当社グループでは巨大地震等の自然災害を想定し、その影響を最小限に抑えるため、非常用電源設置、耐震改修、BCP(事業継続計画)マニュアル整備等を行っています。2024年9月に南海トラフ巨大地震を想定したBCP訓練を当社、コスモ石油㈱、コスモ石油マーケティング㈱の3社合同で行いました。初動対応から被災地へ向けた石油製品の供給・販売方針策定に重点を置き、災害情報を視覚的に表示するダッシュボードシステム等を活用しオンラインでの情報連携や共有を行う等、より実践的な訓練とし、BCPの実効性や課題を確認しました。さらに2024年11月には、首都直下地震により当社グループの本社機能が麻痺した状態を想定し、臨時危機対策本部をコスモ石油㈱堺製油所及びコスモ石油マーケティング㈱大阪オフィスに設置し、災害対応に関する意思決定の権限を委譲した前提のBCP訓練を実施しました。訓練を通じて抽出されたBCPの体制や訓練運営上の課題に対して、対策を進めております。
(トップリスクNo.7 品質不正)
当社グループは、日々製品・サービスの品質管理体制の強化に努めておりますが、(出荷後に)品質に関する問題が発覚し、広域にわたり製品回収を行うことにより多額の損失を被るだけでなく、顧客からの信頼喪失やブランドイメージの低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいて、過去に一部製品における不適正な検査が顕在化した事案を踏まえ、教育の徹底、試験法管理の見直し、監査の強化等の対策を継続実施し、リスク低減に取り組んでおります。
(トップリスクNo.8 サプライチェーンの中断)
昨今のウクライナ紛争の長期化、中東地域や東アジア地域の政情変化、欧米及び中国の経済変化に伴う原油価格の急激な変動、テロ等の不測の事態により原油調達が影響を受ける可能性があります。また、原油生産拠点での操業停止のほか、必要物資の確保が困難になる等の要因により、製油所の整備ができず操業停止に至る場合や給油所の運営が中断された場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループにおける必要物資確保のために施策を講じてリスクの低減に取り組んでおります。
なお、サプライチェーンにおける人権課題等の把握が遅れ、リスク発現時にサプライチェーンの変更が求められるほか、中断を招く可能性があります。人権課題に対しては、2021年に策定した人権方針に基づき、人権デューデリジェンス(サプライヤーの人権課題分析、ステークホルダーエンゲージメント、従業員教育の取組)を実施しました。
(トップリスクNo.9 情報セキュリティリスク)
サイバー攻撃によって、事業活動の混乱、秘密情報の喪失、個人情報の漏洩等が発生する可能性があり、近年そのリスクは高まっております。個人情報を含む秘密情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクが顕在化した場合には、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループではランサムウエアへの対応手順の整備、ウイルス対策や個人情報保護等の対策強化を実施しております。さらに、顧客情報を含む機密情報の管理、取り扱いにつきましては、社内体制、社内規程等を整備し、外部への委託先に対して監督管理を実施しております。
(トップリスクNo.10 生産設備における事故、不具合・故障)
設備の老朽化や人為的なミスを原因とする事故や労働災害によって、製油所、物流基地及び油槽所等の操業が停止する可能性があります。また、製油所、物流基地及び油槽所等以外でも給油所、タンカー及びローリーでの事故で事業運営に支障をきたす場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事故を未然に防止するために、OMS(注1)の仕組みを強化、千葉製油所・四日市製油所のスーパー認定に続き堺製油所のA認定(注2)を取得しました。加えて、APMの導入範囲拡大やデジタルツイン構築、各種データ連携、VRデータ整備等DX強化に取り組むことで、トラブルの低減及び更なる稼働率の向上を目指しております。
(注1)OMS(Operations Management System):「あるべき姿(世界トップレベルの安全安定操業)」と現状のギャップを洗い出し、「規則・マニュアル化」、「教育・訓練」、「定着・実践」、「継続的改善」を繰り返すことで、「あるべき姿」を目指す操業マネジメントシステム。
(注2)A認定:認定高度保安実施者制度。従来のスーパー認定制度に、テクノロジー活用やサイバーセキュリティの要件等が追加された高圧ガス保安法における認定制度。
(トップリスクNo.11 内部統制不備による不正/不適切行為の発生)
当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス違反等が発生した場合、ステークホルダーの信頼を失い当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、法令等の遵守のために財務報告に係る内部統制を含む、有効な内部統制システムの整備、運用及び強化を図っております。内部通報制度については、周知並びに教育の強化を引き続き実施いたしました。
配当政策
3【配当政策】
当社グループは、株主の皆様への利益還元を重要な課題の一つとして認識しております。
第7次連結中期経営計画では、株主還元、財務健全性、資本効率のいずれも欠けることなく、三位一体で実行していくことを資本政策として掲げ、企業価値の最大化を図っており、株主還元方針としましては、総還元性向60%以上(3ヵ年累計、在庫影響を除く純利益に対する比率)、配当1株当たり330円以上としております。
また、財務健全性が目標値(自己資本6,000億円以上、ネットD/Eレシオ1.0倍)に到達した場合は原則として追加の還元を実施いたします。
当事業年度は、堅調な収益をベースに配当の引き上げを行い、前事業年度から30円増配の1株当たり年間配当金330円(中間配当150円、期末配当180円(予定))の配当を行うとともに、下限配当についても同額の330円に引き上げました。加えて、取得総額180億円の自己株式の取得を実施し、当事業年度は単年で総還元性向58%(在庫影響を除く純利益に対する比率)となりました。
当社は年間の配当を二回に分けて行うこととしております。当事業年度は中間配当並びに期末配当の二回に分けて配当を実施しております。これらの配当の決定機関は、中間配当に関しては取締役会、期末配当に関しては株主総会としております。また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年11月12日 |
12,970 |
150 |
取締役会決議 |
||
2025年6月26日 |
14,974 |
180 |
定時株主総会決議 |
なお、当連結会計年度の1株当たり配当額330円のうち、期末配当額180円については、2025年6月26日開催予定の定時株主総会の決議事項になっております。