リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、当連結会計年度において、事業を取り巻くリスク環境が変化していること、また当社グループの中長期ビジョン「SOC Vision2035」に対応したリスクマネジメントにするために、事業等のリスクの見直しをしております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)市場リスク
①セメント国内需要の減少リスク
セメントの国内需要は、わが国の公共投資や民間設備投資等の動向に強く影響を受けるため、国内の公共投資や民間設備投資が急激に減少した場合、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があります。
しかしながら、セメントは欠かすことのできないものであり、中長期的には一定規模以上の需要は安定的に確保されることが予想され、また当面の国内需要の減少を見据え、効率的な生産・物流体制の見直しを行うとともに、さまざまなコスト削減や販売価格の改善にも取り組んでいます。
②原材料の価格高騰リスク
主力事業であるセメント事業では、石灰石、粘土、石炭等さまざまな原材料を使用しているため、原材料の価格高騰はセメント製造コストの増加を招き、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があります。
しかしながら、石灰石は当社グループの自社鉱山があるため、長期にわたって安定供給することができる体制が整っている一方、石炭は国際政情により価格が高騰する可能性があるため、カーボンニュートラルへ向け石炭使用量削減を進めるとともに、地政学リスク低減に向けた分散調達を実施し、石炭価格上昇によるコスト増加分は販売価格への転嫁に努め、業績への影響の軽減を図っています。
③光電子事業、新材料事業の市場変化に対するリスク
光電子事業、新材料事業が展開する市場は国内外の市場であり、急速な技術革新や技術標準の進展、顧客所要の変化を受けるため、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、競争の激しい市場での厳しい要求に応えるべく、経営資源を投入し継続的に研究開発や改良に取り組んでいます。
④固定資産の減損リスク
固定資産減損会計の適用に伴い、固定資産が収益性の低下や市場価値の下落により投資額の回収が見込めないと判断された場合、将来の収益計画等に関する予測に基づき、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額する固定資産の減損処理が必要となります。事業環境の変化等により、割引前将来キャッシュ・フローが資産グループの帳簿価額を下回ることで減損損失が発生した場合、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2)地球温暖化・カーボンニュートラルリスク
当社グループは、高レベルの資源・エネルギー効率でセメントを生産しておりますが、今後CO2の排出や化石燃料の利用に対する新たな規制等が導入された場合には、セメント事業を中心に事業活動が制約を受けコストが増加するなど、当社グループに重要な影響を受ける可能性があります。
そのため、2020年公表の2050年カーボンニュートラルへ向けた長期ビジョン「SOCN2050」に基づき、CO2排出削減への取組を進めています。
(3)自然災害リスク
セメント工場は大型設備を有しているため、自然災害など予期せぬ事態により工場操業に支障をきたした場合、復旧するための時間やコストを浪費するなど、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、定期的な設備点検や災害防止パトロールを行い、生産計画に基づいた安定操業を図るべく万全の配慮を払い、また工場操業に支障を来す事態が発生した場合でも、BCP(事業継続計画)を策定・運用していることで、操業リスクを最小限に抑制する施策を講じております。なお、工場で操業に支障を来す事態が発生した場合でも、セメント工場間の操業振替や業務提携先からの仕入等により、取引先に対するセメント供給は安定して行うことが可能であります。
(4)安全衛生・感染症リスク
セメント産業は装置産業であり、多くの操業要員によって製造しているため、労働災害や感染症により操業要員を確保できない場合、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、安全に厳しい企業として災害ゼロを目指し、「安全に厳しい風土づくり」を醸成すべく、各種安全教育の実施や全社の安全衛生・保安対策本部での定期的な連絡会の実施等、安全に対する一層の取組強化を行っております。また、感染症に対しては、発生した場合の感染拡大を防止する施策として、当社策定の対応基本マニュアルを運用しています。
(5)人権・ハラスメントリスク
住友の事業精神と当社グループの企業理念に基づき、高い社会規範の意識と企業倫理を持って事業活動を行うことを基本としておりますが、事業活動を通じて直接・間接的に人権問題が発生した場合、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、人権尊重に対するコミットメント遵守のために、住友大阪セメントグループ人権方針を策定し、人権リスク評価マップによる重点課題への対応や人権デュー・ディリジェンス、役員や従業員対象の人権セミナーの実施などを通じて、私たちが事業活動において人権を侵害することがないよう取り組んでいます。
(6)人財確保リスク
セメント事業を始め高機能品事業などさまざまな事業活動を永続的に行うためには、労働力の確保として優秀な人財を採用し雇用を維持する必要がありますが、採用人数が充足できない場合や優秀な人財の流出が発生した場合、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、労働環境や労働条件を整備するなど魅力ある企業づくりを推進し、また多様な人財がいきいきと働ける企業を目指し、女性の積極採用並びに活躍の場の拡充、育児・介護などと仕事の両立支援に関する諸制度の充実に向けた取組も行っています。
(7)DXリスク
我が国や諸外国において、データ活用やデジタル技術の進化、グローバル化による産業構造の変化が進行している中、デジタル技術の適用が著しく遅延した場合や他社がデジタル技術を活用して生産性や競争力を向上させるなどにより、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、2025年4月1日に専門部署であるデジタル推進部を設置し、デジタル技術を活用した業務変革や新規ビジネスを創出するなど、さらなる企業価値の向上に取り組んでいます。
(8)情報セキュリティリスク
取引先の顧客情報を始め社員の個人情報や研究開発に関する機密情報など保有しているため、サイバー攻撃や情報機器の脆弱性に起因した情報漏洩などが発生することで、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、外部からのサイバー攻撃などに対して、新たなセキュリティサービスなどの導入やインフラ基盤整備を適宜実施することで、情報セキュリティの強化に取り組み、また巧妙化・多様化していくサイバー攻撃に対して定期的な状況アセスメントを行い、改善および追加対策を実施していきます。情報セキュリティ事故が発生した場合、被害を最小限に留めるため、関係各部と連携した対応チームの設置とその他必要となる対応の手順を定めています。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主各位に対する利益配分を、基本的には、収益に対応して決定する重要事項と認識しております。
この収益を将来にわたって確保するためには、装置産業であるセメント製造業として、不断の設備の改善、更新の投資が必要であり、このための内部留保の拡充も不可欠のことと考えております。
以上の観点から利益配分に関しては、安定的・継続的な配当を、事業環境、今後の見通し、前期配当等を総合的に判断し決定しております。
毎事業年度における配当は、年1回の期末配当を基本方針としておりますが、状況により中間配当を行うこととしております。なお、これら剰余金の配当の決定機関は期末配当については定時株主総会、中間配当については取締役会であります。
2025年3月期につきましては、中間期末は1株当たり60円00銭を実施しました。期末についても、1株当たり60円00銭とすることを決定し、年間で1株当たり120円00銭となりました。
当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下の通りであります。
また、2024年3月期(2023年度)を初年度とする中期経営計画では、収益を改善させ、資本効率を踏まえた株主還元を実施する方針であります。2023―25年度の中期経営計画期間は、安定配当継続をベースに総還元性向3カ年平均50%以上を目指してまいります。