2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.重要なリスク

(1)特定の業界への依存

当社グループは、販売高の多くを鉄鋼業界に依存しており、当該鉄鋼業界の操業度や設備投資の動向により、主力製品である耐火物や築炉工事の販売高が左右され大きな影響を受けます。

また耐火物の使用に関して、鉄鋼トン当たりの耐火物使用原単位は年々低下しており、鉄鋼業界の操業度や設備投資が増加しない限り、耐火物の国内需要は減少する可能性があります。今後はカーボンニュートラルに向けた鉄鋼業界の取組みが加速され、製鉄プロセス変更による耐火物使用原単位が変動することも見込まれます。また中国からの輸入耐火物の増加が続いた場合、耐火物の国内生産量は更に減少することがあり得ます。

そのため当社グループでは、国内の非鉄・工業炉等への拡販を図ると共に、輸出の拡大と海外での事業展開に注力しております。

(2)原料の入手難及び原料価格の高騰

当社グループが使用している原料の中にはメーカーや産地が限られているものがあり、何らかの理由により入手困難となり生産に支障をきたす恐れがあります。原料需給の逼迫や供給能力の制約により当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあり得ます。

また近年では、安価で良質な中国製耐火物原料が購入原料の過半を占めるようになったことから、これを代替できる供給ソースの開拓を継続して行っております。

2.その他のリスク

(1)為替及び金利

当社グループは、多くの輸入原料を使用しており、また製品の輸出や海外耐火物の仕入販売を行っております。あわせて海外には各国に生産拠点があるため、為替変動により、円換算後の価値が当社グループの事業に影響を与えることがあり得ます。

また、当社グループの資金調達は、主として金融機関からの借入等の有利子負債によっており、市場金利が上昇した場合には当社グループの業績や財務状況に影響を与えることがあり得ます。

そのため当社グループでは、実需に合わせた為替予約、金利スワップ等のヘッジ手段によって、リスクの低減を図っております。

(2)海外事業活動

当社グループは、アジア、オセアニア、南北アメリカ、ヨーロッパ等の海外に生産拠点、販売拠点を有して事業展開を行っております。海外での事業には、通常予期しない法律や規制の変更、急激な金融情勢の変化などの経済的に不利な要因の発生や政治的混乱などのリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を与えることがあり得ますが、各拠点や外部専門家を通じた情報収集や相談によりリスク低減を図っております。

(3)自然災害・感染症の蔓延

当社グループの国内外の事業拠点において、地震・台風・局地的集中豪雨などの自然災害により、当社社員、生産現場及び生産設備、出荷に使用される道路、鉄道、港などのインフラストラクチャーが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間に亘り停止することがあり得ます。

また、新たな感染症等の蔓延により、当社社員の多くが罹患する事態が発生した場合やサプライチェーンの断絶などにより原材料の入手難が発生した場合、当社グループの事業活動が長期間に亘り停止する或いは停滞することがあり得ます。

当社では、事業継続計画(BCP)の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じると共に、テレワーク及び交代勤務による事業継続体制に即時移行できるよう、社内規程の整備やIT機器・通信機器の整備・個人配付等の対応を行っています。しかしながらこれらによる被害を完全に排除できるものではなく、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、第6次中期経営計画において、株主の皆様への利益還元を充実させるべく、基本的な配当方針として配当性向40%を目標としています。経営戦略として、M&Aを含めた成長投資を加速するため、キャッシュ・フローは成長投資に対し優先的に振り向ける考えです。また、配当性向40%としても、M&Aの実施により、のれんの償却が増加し利益が圧縮されることで配当金の総額が変動することが考えられます。そのため、還元額の総額は維持・向上するべく、キャッシュ・フローの状況を踏まえながら、機動的に株主還元を行う方針です。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当事業年度の配当金につきましては上記方針に基づき、中間配当・期末配当のいずれも1株当たり45円といたしました。なお、年間の連結配当性向は42%となります。

内部留保資金につきましては、国内・海外におけるM&A等の事業拡大投資や、将来を見据えた事業再構築に幅広く有効に投資していくほか、今まで以上にコスト競争力を高めるための諸設備や顧客のニーズに応える製品開発・技術開発に投資していく予定であります。

また、当社は「取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として会社法第454条第5項に定める中間配当をすることができる」旨を定款に定めております。

当社は連結配当規制適用会社となっております。

当事業年度にかかる剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年11月7日

2,052

45.0

取締役会決議

2025年6月26日

2,052

45.0

定時株主総会決議