2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、企業理念を宣言したミッションステートメントの考え方に則り、サステナビリティ課題を重要な経営課題であると認識しております。具体的には、ミッションステートメントにおいて「たゆまぬ革新を通じ、セラミックス分野の価値ある商品、技術を世界に提供し、産業の発展を支え、社会の繁栄に貢献」することを「使命」として定めております。また、お客様、従業員、パートナー企業、地域、地球環境、株主などの様々なステークホルダーに対する姿勢を「経営方針」として定めております。
上記の使命と経営方針のもと、当社グループにおいて、気候変動等の地球環境問題や人権の尊重等からなるサステナビリティ課題は、積極的に取り組むべき重要な経営課題であり、これからも当社の技術と事業活動を通じ、持続可能な社会の実現に積極的に取り組んでまいります。
(1) サステナビリティについての取り組み
当社グループは、2021年12月にサステナビリティ活動基本方針を策定し、以下の通り取り組んでいます。
① ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ課題に関する基本方針の審議と着実な推進を行うことを目的に、取締役会の諮問機関として、「サステナビリティ推進委員会」(委員長は取締役社長)を設置しております。本委員会において、当社のサステナビリティを巡る課題や取り組みに関する方針および実行計画の策定、進捗状況の管理ならびにローリング等について審議・報告を行い、取締役会に答申します。本委員会は原則として年に2回、必要があるときは随時開催します。また、本委員会内に「気候変動関連分科会」「環境分科会」を設置し、優先課題の調査・検討、審議・報告にあたります。
当社グループでは、サステナブルな社会の実現に向けて、環境問題をはじめとする社会的課題を、事業活動の継続性と一体不可分のものと位置づけ、取り組みを加速させております。そのため、今後のさらなる活動推進に向けた機能強化を図るべく、2024年4月1日付で、経営企画部のもとにサステナビリティ推進部を新設しました。
② 戦略
持続可能な社会の実現に向け、「環境」「社会」「ガバナンス」の視点から、下記のとおり、対処すべきマテリアリティ(重要課題)を設定しました。また、その中から、重点的に取り組むべき5つのサステナビリティ優先課題を特定しました。
サステナビリティ優先課題については、その計画ならびに進捗に関し、特に重点的にサステナビリティ推進委員会にて審議・報告を行っています。2024年5月には、当社グループを取り巻く環境変化を踏まえ、優先課題について、上記の見直しを行うべきことを同委員会にて審議、決定し、取締役会に答申しました。見直し後は、サステナビリティ課題(重要課題)は13個となり、サステナビリティ優先課題は6つとなっています。
③ リスク管理
当社グループでは、経営会議および内部統制委員会(委員長は取締役社長)が、全社的なリスクの把握および評価を行った上で、必要な対策を検討・実行しています。
これに加え、マテリアリティ(重要課題)をはじめとするサステナビリティ課題に関しては、サステナビリティ推進委員会において、取り組み方針および実行計画の策定、グループ展開ならびに進捗モニタリング等について審議・報告を行っています。そして、同推進委員会がこれらを取締役会へ報告することで、リスク管理の強化を図っています。
なお、当社グループにおけるリスクマネジメントの取り組みについては、第2[事業の状況]、3[事業等のリスク」に記載しています。
④ 指標および目標
当連結会計年度における当社グループのサステナビリティ優先課題に関する取り組みおよびその進捗状況は以下のとおりです。
≪サステナビリティ優先課題の取組内容≫
●「熱を操る技術」による気候変動対策の推進
項目
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定量・定性目標(KPI)
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2024年度の進捗
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これからの取り組み
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①自社でのカーボンニュートラルの取り組み
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・CO2排出量の削減目標設定と対応策の検討。
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<単体 Scope1,2> ・2013年:178千t ・2030年: 89千t (2013年度比50% 削減) ・2050年:実質的カーボンニュートラル ※CO2排出量を従来の温対法からISO14064に準拠した表示に変更
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2024年度CO2排出実績 <単体 Scope1,2>:161千t ・2013年度比で排出量は9.4%削減。 ・コア事業(耐火物/ファーネス/セラミックス事業)の集計では、CO2排出量は14.8%削減、CO2排出量原単位は1.6%削減を達成。 なお、石灰事業については2025年3月末で撤退完了。 ・省エネ型設備導入による電力使用量削減と各種施策による燃料削減での排出量削減。 ・高機能CO2排出量算定ツール導入。 ・CO2排出量開示における独立認証機関による第三者保証取得。
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・Scope1,2排出量削減の推進。 ・Scope3排出量算定精度向上と削減推進。 ・国内外グループ会社と連携したCO2排出削減目標設定と削減推進。 ・サプライチェーン全体のGHG排出量の把握・削減目標設定。
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②お客様でのCO2排出量削減への貢献
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・各事業において以下の項目の取り組みを推進。
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・エコプロダクトの開発推進、適用拡大。 ・環境価値の高い差別化商品の事業展開のため、当該製品・ソリューションを総称するブランド K-GenesisX™を立ち上げるとともに、戦略商品の個別ブランド化を強化して推進。現時点で戦略商品は7つ (TOUGHMAX™、Dry-Free®、 EVERCLEAN®、REX-ROBO®、 NEXCERA®、KROTECT®、 PLATECT®)あり、今後拡張 予定。
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・当社製品の使用でお客様のCO2排出量削減へ貢献。 ・環境価値の高い差別化商品の開発の継続と、その環境価値を訴求するブランド化を通じた拡販・普及による脱炭素社会へのさらなる貢献。
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項目
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定量・定性目標(KPI)
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2024年度の進捗
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これからの取り組み
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②お客様でのCO2排出量削減への貢献
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耐火物
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・高耐用、高機能耐火物の開発。
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(今後の分析を踏まえ検討。)
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・乾燥不要耐火物、無予熱耐火物の適用拡大。 ・高耐用不焼成れんがの適用拡大。 熱衝撃と物理的衝撃の両方に対する耐久性が強化された高耐用転炉装入壁用高靭性MgO-Cれんが開発品に、“TOUGHMAX™”と命名し、戦略商品の個別ブランドとして展開 ・焼成れんがの不焼成化推進。
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・乾燥不要耐火物、無予熱耐火物の適用拡大継続。 ・高耐用不焼成れんがの適用拡大継続。 ・焼成れんがの不焼成化推進継続。
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ファーネス
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・省エネルギー工業炉設計、バイオマス発電等環境分野での受注。 ・加熱炉の省エネ化としてKSB工法の適用拡大。
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・省エネルギー工業炉設計・低熱伝導耐火物の施工。 ・バイオマス発電等再生可能エネルギー分野の継続的な貢献。
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セラミックス
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・省エネルギー性能の高い装置へのセラミックス製品の提供。 ・断熱性を持つセラミックスを省エネ環境、エレクトロニクス、医療・宇宙等へ提供。
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・省エネ半導体製造装置の量産段階での実機採用(時期未定) ・当社製品採用による顧客におけるCO2排出量削減への貢献。
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・省エネ型半導体製造装置への量産機搭載に向け、セラミックス部材を客先にて評価中。 ・エネファーム(家庭用燃料電池)向け高機能断熱材の販売により、約4万トン/年のCO2削減に貢献 。
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・燃料電池・発電・鉄鋼・工業炉関連への断熱材およびファインセラミックスの適用拡大。 ・高機能断熱材『KROTECT®』のさらなる断熱性能向上による顧客におけるCO2削減に貢献。 ・コンデンサ高速焼成炉用軽量セッター開発・適用により客先製造工程でのCO2削減に貢献。
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③鉄鋼新プロセスへの対応
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・使用量自体の削減。 (高耐用化、リサイクル化)
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・水素還元製鉄対応のためのH2雰囲気下での各種材質の損傷量、損傷様式の調査把握。
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・COURSE50プロセスを支える高性能断熱材、高機能ファインセラミックス等の実現と耐火物技術評価と開発。 ・COURSE50実用化段階の実機搭載(2025年〜30年) ・普及段階での実機搭載(〜2050年)
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④CO2削減投資推進
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・設備投資経済性評価にCO2削減インセンティブ評価導入。
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・全社での燃料転換推進、高効率設備導入。 ・海外グループ会社での燃料転換推進支援。 ・再生可能エネルギーの導入検討。
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・CO2削減インセンティブ評価を継続実施。
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●地域環境の保全(水環境・緑環境・大気汚染)
項目
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定量・定性目標(KPI)
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2024年度の進捗
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これからの取り組み
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①産業廃棄物排出による生物への影響の低減
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・廃棄物基準に則った排出の実施。 ・汚泥の一部を、景観材用れんが等に利用し、廃棄物のリサイクル化を推進。
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・過去3年間の産廃排出原単位の加重平均の1%削減(単体)
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・削減目標1.0%に対し、11.2%削減。
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・リサイクル推進と歩留まり向上による廃棄物の減量継続。
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②生産工程における排水処理の徹底管理
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・工場排水を水処理施設で清浄化し、環境にやさしい排水を実施。
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・水使用量に関し、過去5年平均の1%削減(単体)
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・削減目標1.0%に対し、6.4%削減。
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・節水器具、装置の適用、地下水、雨水の利用拡大による水使用量削減施策。
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③有害物質の構外流出防止
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・管理強化、監視、漏えい時の訓練実施。
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・化学物質、危険物貯蔵タンクの漏洩リスクアセスメントを実施し、防油堤、防液堤を整備。
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・人に優しい化学物質への置換推進。
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④異常燃焼によるばい煙基準値超え防止
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・基準値よりも厳しい自主管理値を設定し監視を実施。
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・自主管理値設定、傾向管理の継続と、省エネ含めた最適燃焼条件の探索を実施中。
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・自主管理値を基準とした監視の継続。 ・燃料変更による無害化促進。
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●リサイクルの推進
項目
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定量・定性目標(KPI)
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2024年度の進捗
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これからの取り組み
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〇各種耐火物、景観材れんが等におけるリサイクル原料活用、製品再生使用技術利用の推進
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・使用後耐火物のリサイクル原料適用拡大。
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・原料比率のうち、20%以上を右のリサイクル原料とする
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・加工粉等の自社発生の産業廃棄物について、リサイクル原料として活用すべく、工程化ならびに製品への添加を推進。
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・お客様との現在の共同取り組み以外でのリサイクル原料の活用推進。 ・輸入も含めて外部から購入可能なリサイクル原料の情報収集と 活用推進。 ・リサイクル原料適用製品拡大とリサイクル原料配合比率増の検討。 ・リサイクル用途拡大のための分別回収強化と分別回収方法検討。
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・ファーネス事業:「粉砕・磁選・分級・秤量」の請負作業による産廃削減、耐火物リサイクルの推進・実行。
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・従来ル-トを活用したリサイクル方法を確立し、産廃削減、耐火物リサイクルを推進。
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・請負作業のさらなる受注拡大。
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・セラミックス事業:景観資材用途のれんが・タイル等におけるリサイクル原料の適用拡大。
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・原料比率のうち、60%以上をリサイクル原料(都市廃材や産業廃棄物)が占める商品群の確立と適用拡大。
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・循環型社会の実現と住みやすいまちづくりに貢献する新たな商品の開発。
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●人的資本経営強化
項目
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定量・定性目標(KPI)
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2024年度の進捗
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これからの取り組み
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・人材採用・定着の取り組み
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・新卒採用:年度採用計画
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・人材確保のための広報活動の実施(学生・学校へのPR強化、コーポレート動画の公開) ・処遇改善の実施(初任給UP)
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・2026年度卒新卒採用およびキャリア採用活動の実施
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・人材育成の取り組み
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・2024年度人材育成・能力開発計画に基づく施策の実施 ・免許・資格取得報奨金制度導入
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・2025年度人材育成・能力開発計画に基づく施策の実施
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・ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進(女性、外国人等の活用などを推進)。
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次の項目について目標設定し、別途開示。 ・総合職女性採用比率 ・管理職女性比率 ・年間総実労働時間 ・年次休暇取得日数 ・社員健康管理に関する目標等
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「(3)人的資本についての取組」において詳細記載。
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・世界各国の従業員が活躍するグローバル企業としてダイバーシティ&インクルージョンを推進。
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●人権保護の徹底
項目
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定量・定性目標(KPI)
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2024年度の進捗
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これからの取り組み
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・人権尊重の取り組み。
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・黒崎播磨グループ人権方針の制定および人権に関する啓発教育の実施。 ・人権デューデリジェンスの取り組みとして、負の影響の特定、防止または軽減に関するアセスメントを、当社単体で実施。
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・人権デューデリジェンスの取り組みとして、負の影響の特定、防止または軽減に関するアセスメントを、サプライチェーンの取引先に対して実施。
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●顧客への安定供給
項目
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定量・定性目標(KPI)
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2024年度の進捗
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これからの取り組み
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〇サプライチェーンマネジメントの最適化推進
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・購買ソースの多様化。
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-
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・新規の取引先の調査、品質評価継続による調達先グローバル化の促進。
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・複数の国からの原料調達によるリスク分散。
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・サプライチェーン全体の共存共栄と連携。
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・良好な関係を強化するためのパートナーシップ構築宣言の見直し。
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・パートナーシップ強化によるサプライチェーン全体の付加価値向上。
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(2) 気候変動関連についての取り組み
TCFDの提言に沿った気候変動関連の情報開示
当社グループはTCFD提言への賛同(TCFDコンソーシアムに参画)と共に、2022年5月にTCFD提言に基づく気候変動関連の情報を開示し、気候変動がもたらす“リスク”と“機会”を明確にし、“リスク”の低減と“機会”の獲得に向けて対応策を策定しました。
具体的には、1.5℃目標が世界的に主流になっていることを踏まえ、移行リスクにおいては、国際エネルギー機関(IEA)が発行するWorld Energy Outlook 2022からSTEPSとNZEを主体とし、物理リスクについては気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次報告書におけるRCP8.5、RCP2.6 に基づき政府や国際機関が発行した将来に関する予測を参考に、1.5℃・2℃未満シナリオならびに4℃シナリオにおいて定性・定量の両面から分析し、対応策を検討しました。この結果を次頁の表にまとめています。
1.5℃・2℃未満シナリオでは、脱炭素社会に移行する上で考えられる炭素税導入による影響が大きいことから、当社グループが排出しているScope1,2を削減することでリスクを最小化することが重要であると考えると共に、サプライチェーン全体のCO2排出量(Scope3)削減対策の促進も今後の課題であると考えています。一方、規制強化の影響で脱炭素社会に貢献できる当社製品の売上増加も見込まれます。
また4℃シナリオでは異常気象の激甚化による影響が大きく、今後も災害に備えた基盤整備を継続することでリスク低減につなげてまいります。
上記課題認識のもと、2023年度より、Scope1,2およびScope3排出量の迅速な算定とマネジメント体制の構築の検討を開始しました。さらに、2024年度には、CO2排出量開示値について独立認証機関による第三者保証を取得しました。また、脱炭素社会の実現ににいっそう貢献すべく、環境配慮型製品の開発に注力するとともに、環境価値を訴求するブランド化の取り組みを強化しております。この取り組みの一環として、環境価値の高い差別化商品の事業展開のため、当該製品・ソリューションを総称するブランド K-GenesisX™を立ち上げるとともに、戦略商品の個別ブランド化も協力に推進しています。2024年度においては、熱衝撃と物理的衝撃の両方に対する耐久性が強化された高耐用転炉装入壁用高靭性MgO-Cれんが開発品に、“TOUGHMAX™”と命名の上、戦略商品の個別ブランドとして展開しています。
ブランド化の取り組みの詳細は、以下の当社ホームページをご参照ください。現時点で戦略商品としては、TOUGHMAX™を含めて7つ(Dry-Free®、EVERCLEAN®、REX-ROBO®、NEXCERA®、KROTECT®、PLATECT®)ありますが、戦略商品は今後拡張する予定です。
黒崎播磨グループの環境商品を集めた製品・ソリューションを総称するブランド・K-GenesisX™ https://www.krosaki.co.jp/kgx/
高耐用 転炉装入壁用高靭性MgO-Cれんが TOUGHMAX™ https://www.krosaki.co.jp/kgx/toughmax
(3) 人的資本についての取り組み
① ダイバーシティ&インクル―ジョン(D&I)
当社では従業員が生産性高く能力を最大発揮し、誇りとやりがいをもって長期間働ける環境を整えることを目的に、D&I方針ならびに管理目標を設定しております。
1)取り組み方針
D&I方針について、ミッションステートメント等を基に以下のように定めています。
・当社は、社員一人ひとりの人間性を尊重し、日頃の業務における従業員間の協働や職場における対話活動を通じて個性を歓迎する風土を創り、豊かな価値を創造・提供していきたいと考えています。
・あらゆる人権の尊重は企業活動の基本であり、当社は、国籍、人種、宗教、思想信条、性別、年齢、性的指向、障がいの有無等に基づく不当な差別を排除しています。
・当社を取り巻く環境が変化する中、将来に亘って産業の発展を支え、社会の繁栄に貢献し「鉄と産業を支える世界第一級の総合セラミックス企業」を目指して成長し続けるためには、当社で働く従業員が相互に多様な価値観を受入れ、生産性高く持てる力を最大限に発揮し、誇りとやりがいを持って活躍できることが重要であるとの認識に立ちD&Iに取り組みます。
2)D&I重点取組項目について
D&I重点取組項目を以下の通り設定すると共に管理目標と指標を下記の通り、設定しております(当社単体)。
ⅰ)女性活躍の推進 … 従業員の多様性を活かす(ダイバーシティ関連)
ⅱ)働き方・休み方 … 従業員の生産性向上を図る(働き方改革関連)
ⅲ)健康づくりの推進 … 従業員の生産性向上を図る(働き方改革関連)
ⅳ)従業員が働きやすい職場・職制関係の構築 … ハラスメント防止・就業モラルの向上
ⅰ)女性活躍の推進
目指す姿
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・現状制度をベースに、女性が定年までライフステージに応じて持てる能力を遺憾なく 発揮できるようにする。 ・幹部役職登用や業務範囲の拡大等、全職場・階層で女性が活躍する場面を拡大する。
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目標
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・2025年度迄に、女性の新卒執務系総合職における採用割合を20%以上とし、2030年度 までには30%以上とする。 ・2030年度には、管理職に占める女性の割合を目標設定時点(2021年11月時点19人、 2.9%)の1.5倍以上とし、その後早期に2~3倍とすることを目指す。
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具体的施策
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・人物能力本位での採用選考を前提に、総合職執務系の女性採用を拡大。技能職での女 性採用の実施。 ・結婚・妊娠・出産・育児等ライフイベントに対応した制度の見直しの一環として単身 赴任要件の緩和、 単身赴任時負担の軽減施策を実施(単身赴任手当・単身赴任者食 事補助の増額、単身赴任者帰宅旅費の増額)。 ・子ども同伴転勤時の「転園・転校支援金」制度導入。
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2024年度実績
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・2025年度入社 新卒執務系総合職女性比率 15.00%(前年度:29.41%) ・2024年度 管理職女性比率 3.32%(前年度:3.25%)
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ⅱ)働き方・休み方
目指す姿
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・多様な従業員が、持てる能力を長期かつ効率的に最大限発揮できるよう、個々の従業 員の事情を斟酌しながら、労働時間の長さ、働く場所にとらわれず、最も成果を上げ ることのできる働き方を目指す。
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目標
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・2030年度までに全社平均年間総実労働時間を2,000時間/年を下回る水準とする。 ・長時間労働は2025年度までに2020年度比で半減、2030年度までにゼロとする。 ・2025年度までに全従業員が年次有給休暇を15日/年以上取得する。 ・2025年度までに新たに子が生まれる男性従業員が育児休業・育児に関する休暇を 取得しやすくするための制度改定を実施し、休業・休暇の取得を促す。
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具体的施策
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・年次休暇について休暇取得努力義務日数を設定。併せて年次休暇取得奨励日を設定。 ・労働時間/休暇取得状況を人事部門から社内各部門へ四半期ごとに情報公開を実施。 ・長時間労働に対する問題意識や効率的な働き方に対する意識啓発を目的とした業務分 析の実施(残業時間の多い部署の管理職・総合職を対象に「業務分析」を実施。その 分析結果と今後の取り組みを報告)。
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2024年度実績
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・年間総実労働時間 2,061時間(前年度 2,067時間) ・長時間労働者 150名(前年度 178名) ・年間年次有給休暇取得平均日数 15.5日/人(前年度15.4日/人) ・2024年度男性の育児休業ならびに育児目的等休暇取得状況 育児休業取得率 43.1%(前年度34.7%)、 育児休業取得率と育児目的休暇取得率を合算すると131.4%(前年度104.2%)
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ⅲ)健康づくりの推進
目指す姿
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・多様な従業員が、持てる能力を長期かつ効率的に最大限発揮するためには、従業員が 健康であり続けることが必要。そのために従業員と会社が共に健康づくりに取り組む 風土を構築する。
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目標
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・2025年度迄に、がん検診受診率について以下の値を目指す(管理職は率先垂範し可能 な限り受診)。 1)大腸がん検診(35歳以上):90% 2)胃がん検診(35歳以上):70%(2年 に1回) 3)乳がん検診(女性):80% 4)子宮がん検診(女性):70% ・黒崎播磨健康保険組合が実施する特定保健指導の実施率を、2025年度迄に、2020年度 実績(17.4%)の倍以上とする。
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具体的施策
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・がんの早期発見・早期治療に資するための各種健診の受診率を高める取り組みを行 い、併せて健康診断結果に基づく特定保健指導の実施を強化、従業員が自身の健康に つき積極的に改善を図ることを促す。 ・黒崎播磨健康保険組合にて、従業員と家族の心と体の健康に関する不安や悩みに外部 の専門スタッフが、電話等で対応する「黒崎播磨ファミリー健康相談」「ベストドク ターズ・サービス」「メンタルヘルスカウンセリング」を設置、活用を促す。
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2024年度実績
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・2024年度 がん検診受診率(2025年1月迄暫定値)(カッコ内は前年度実績) 1)大腸がん検診:98%(87%) 2)胃がん検診:52%(44%) 3)乳がん検診 :89%(73%) 4)子宮がん検診 :71%(55%) ・2024年度特定保健指導実施率(2025年1月迄暫定値)87.4%(前年度実績:80.0%)
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ⅳ)従業員が働きやすい職場・職制関係の構築
目指す姿
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・多様な従業員が誇り・やりがいを持って上司・同僚・部下と共に職務に精励できる職 場を作る。 そのために、従業員全員が規律を遵守し、思いやりを持った言動を自然に行えるよう にする。
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具体的施策
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・働きやすい職場の基本は、従業員一人ひとりが職場の中で上司・同僚・部下と忌憚な く、隠し事なく、お互いを思い遣った上で話し合える風土を構築することにあるとの 考えから、職場内対話活動を継続推進している。 ・従業員のエンゲージメント向上を目指した取り組みの一環として、2023年度より生産 性向上および社員勤務満足度向上を目的にエンゲージメント調査を実施。 ※最大4点、最小1点の評点の中で当社全体評点は2.81(全国平均は2.52)。 ・職場におけるハラスメント防止への取り組みとして、ハラスメントE-ラーニング(管 理職対象)をはじめとした啓発教育を実施。また、ハラスメント防止を目的としたア ンガーマネジメント教育も実施。 ・その他、ハラスメント行為については「ハラスメント防止規程」にて、各種ハラスメ ントの禁止徹底を明記するとともに会社としての相談・通報窓口を設置。問題が発生 した案件については通報者保護に十分に留意しながら調査を行い、その結果に基づいて就業規則等に則り厳正に対処。 ・当社の2024年度の障がい者雇用率は、法定雇用率を満たしております。
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② 人材育成
当社グループは、「人的資本経営強化」を継続的に推進すべく、人材育成・能力開発のレベルアップに取り組んでいます。
当社グループの人材育成・能力開発は「ミッションステートメント」にて定める事業目標「世界一の顧客価値の実現」の達成に貢献可能な人材を育てることを目的に実施しており、求められる能力・知識・仕事への姿勢の習得を速やかに図る為に、下記の通り、教育ならびに研修を実施しています。
■教育・研修の概要
大分類
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小分類
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概要
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階層別教育
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-
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各職掌・各階層で必要な知識・技能・態度を習得するための教育・訓練
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部門別教育
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部門専門教育
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所属部門で必要な専門的な知識・技能・態度を習得するための教育・訓練
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OJT
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目標管理制度を軸に業務上必要な知識・技能・態度を上司が業務の実作業を通して指導
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自主教育
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社員が行う自主的な能力開発活動の内、当社業務を行う上で有益と事業部長が認める資格・技術・能力を取得する活動を会社が支援する
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語学教育
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所属部門で業務上語学力を必要とする場合の語学教育
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全社対象教育
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共通教育
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業務上一般的・専門的に必要とされる知識・技能・態度を習得するための教育・訓練
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国内留学
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業務上の必要も踏まえ、学士・短期大学士修得の意欲をもつ社員に進学の道を開く
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研修留学
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業務上の必要から、社員を日本国内外の大学の研究機関に派遣/高度な技術の習得向上に努め、広く専門知識を吸収し、技術的視野を広げる
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海外育成派遣
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海外販売拡大に資する人材、当社と海外グループ会社との連携を図ることの出来る人材育成目的での海外グループ会社海外育成派遣生派遣
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語学教育
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自己の語学能力向上のため会社が斡旋する教育に応募、教育を受講する
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■課題への取り組み
■当社グループは、社会環境の変化に対応した人材を育成する為、常に課題認識を持ちながら
人材育成に取り組んでいます。
人材育成・能力開発/具体的課題
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取組内容 ★2025年度で新規/内容変更計画する事項
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海外対応
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・海外対応語学教育や海外関係会社との連携
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・海外育成派遣制度、TOEIC受験対象拡大(中途入社者) 語学教育《オンライン英会話:21年度~、海外派遣予定者 を対象にした英語レッスン》 ★英語初心者向け講座受講推奨 ・海外グループ会社との連携(社員教育・研修に関する情報提示等) ・海外勤務開始時導入教育内容整理《22年度~》
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知識技能習得
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・DX対応人材育成のための教育充実
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・デジタル系基本ソフト(Excel Word等)操作法の研修実施《20年度~》 ・DX基礎的知識、その他一般的知識を身につける為の動画教育ツール導入《22年度~》 ・階層別教育等にDX関連内容を折込《24年度~》 ★DXに関する外部講師招聘講座開講
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・業務知識の習得促進(最新知識の再習得:リスキリング)
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・クロサキハリマカレッジ *1)の実施・★拡大《14年度~》 ・動画教育ツール *2)受講推奨講座の設定《23年度~》 ・顧客先工場見学実施《23年度~》 ・財務研修の実施《24年度~》
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・役員向研修の充実
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★役員向け新規研修受講《24年度~》
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部下管理育成
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・管理職層のマネジメント能力向上
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・部署長の業務管理能力(部下への業務移譲含む)向上を目的とした新任部署長研修の実施《23年度~》 ★初級管理職向け研修内容の整理・内容変更 ★管理職能力アセスメント時期の見直し
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・技能系・築炉技能職監督者管理能力向上
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・技能系作業長・工長候補者試験実施《21年度~》 ・技能系教育内容の見直し:製品の使われ方、品質、報告書作成等の内容の教育を必要な階層で追加《21年度~》
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ハラスメント 防止対応
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・ハラスメント防止を意図した諸啓発
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・ハラスメント防止を意図した研修実施 アンガーマネジメント研修《執務系21年度~、技能系22年度~》 ・全社員対象ハラスメント教育の実施(半期/回)《24年度~》
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人権教育
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・人権尊重に関する啓発
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・人権方針の発出を受けての人権教育の実施《24年度~》
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会社理念定着
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・会社根本理念浸透 ≪ミッションステートメント浸透≫
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・ミッションステートメント再浸透活動の展開《18年度~、階層別研修内折込等々》 管理職ミッションステートメント教育展開《18年度~》 技能系/作業長MS教育展開《21年度~》 ★管理職向け教育内容の見直し
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離職防止
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・若手離職者低減目的:当社在籍メリットの理解促進
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・新人研修内でのライフプラン関連講義実施《17年度~》 ・ライフプラン社内講習会実施《19年度~適宜》
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特定課題
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・ダイバーシティ推進に関する啓発(本人/上司の理解醸成、特に女性、障がい者:多様性許容の意識醸成)
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・ダイバーシティに関する理解を図る(上司・部下共に)ための研修実施《22年度~クロサキハリマカレッジ内》
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*1)当社において必須となる専門基礎知識の継承と、財務・法務・労務管理を始めとするビジネス知識の習得を目的とした社内研修プラットフォームである「クロサキハリマカレッジ」を従前より開講しており、2024年度は講座数38講座(前年度32講座)に対し、年間延べ1,834名(前年度は1,098名)の社員が受講しています。
*2)2022年10月よりデジタル技術に関する知識を習得するツールとして、グループ長以上の役職者及び各部門のDX推進者を対象にオンライン動画研修を受講する仕組みを導入しました(2023年度は対象範囲を執務系社員全体に拡大)。併せて、同研修内に設定されている講座にはデジタル技術に関する内容だけでなく、一般的な知識、社会的に新たにフィーチャーされる事柄に関する講座も随時設定されている為、その受講により、様々な社会環境の変化に即時に対応できる人材の育成を図っています。