リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において、当社グループが判断したものです。
≪経営環境に関するリスク≫
① 経済動向
耐火物事業及びファーネス事業は、鉄鋼業界の粗鋼生産量に大きく影響を受け、世界の政治経済動向が不透明である事に伴う国内外での粗鋼減産は、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、セラミックス事業は、主に半導体製造装置業界及び電子部品業界向けの製品を製造しており、各業界の設備投資の状況や市場の動向が当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、生産体制、整備・施工体制の最適化(弾力的な生産体制、整備・施工体制の確立等)を図ることにより収益力を強化します。
② カントリーリスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しています。その中でも、中国は、耐火物原料・調達品等の購入において、重要な調達拠点です。中国における各種規制、政策転換、混乱等が当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、インドのTRL KROSAKI REFRACTORIES LIMITEDを連結子会社としており、同社の売上高は436億円(2024年3月期)となっています。
インドにおける各種規制、政策転換、混乱等により、同社の事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替相場の変動
当社グループは、グローバルに事業を展開しています。各国・地域における売上、費用及び資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために日本円に換算されています。これらの項目は、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が変動する可能性があります。
当社グループでは、現状、輸出額よりも輸入額の方が大きいため、円高は当社グループの経営成績等の状況に好影響を及ぼし、円安は悪影響を及ぼすこととなります。
当該リスクを踏まえ、一部の外貨建ての営業債権債務について、一定のルールに基づき先物為替予約を利用することにより、為替変動リスクをヘッジしています。また、ヘッジできなかった為替変動リスクについては、販売価格への転嫁を顧客との間で粘り強く交渉しています。
≪事業活動に付随するリスク≫
④ 特定の取引先との関係
日本製鉄㈱は、当社グループの継続的な主要取引先であり、また、当社グループは同社のグループ会社とも取引を有しています。当社グループの日本製鉄㈱の企業グループに対する売上比率は、約42.4%(連結、2024年3月期)となっています。
このため、同社グループの製鉄事業の動向や同社及び同社のグループ会社との取引の状況が当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、特定の取引先に加え、インド等の成長市場での拡販、欧米の成熟市場におけるターゲット顧客のシェア拡大等、グローバル展開をより積極的に推進します。また、耐火物事業、ファーネス事業に加え、事業分野として今後の成長が見込まれるセラミックス事業に注力します。
⑤ サステナビリティ課題
近年、国内外で様々な気象災害が発生しており、気候変動への取り組みは世界的な社会課題となっています。また、資源枯渇や人権侵害といった問題も顕在化し、サステナビリティに関する課題は拡大傾向にあります。こうしたサステナビリティ課題に対して適切な対応が取られていない場合、顧客との取引の停止や行政罰、企業の信用やブランド価値の低下に繋がる可能性があります。
当該リスクを踏まえ、2021年12月、当社グループの事業活動を行う上で重要となる14個のマテリアリティ(重要課題)を設定しサステナビリティ基本方針として宣言致しました。また、サステナビリティ基本方針の審議と着実な推進を行うことを目的に、取締役会の諮問機関としてサステナビリティ推進委員会を設置致しました。今後もサステナビリティ課題について適切に管理するとともに14個のマテリアリティに対しての取り組みを進め、サステナビリティ経営を更に深化させてまいります。
⑥ 情報セキュリティ事故の発生
当社グループは、様々な場面でコンピューターシステム及びコンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークを利用し事業活動を行っています。また、働き方の多様化によりリモートワークが定着しています。そうした状況下で、サイバー攻撃等に伴う当社ネットワークへの不正アクセスやデータの破壊・改ざん、当社、取引先の機密情報の漏洩等により、当社グループの社会的信頼の失墜を招くとともに、経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、NSG-CSIRT(日本製鉄グループのComputer Security Incident Response Team)への加入により、外部からの不正アクセスの監視を強化継続しています。また、グループ内で情報セキュリティに関するEラーニング、標的型メールへの対処の抜き打ち訓練の実施等を通し、情報管理意識の向上を図っています。こうした対策を通して、セキュリティの強化に努めます。
⑦ 原料価格等の変動
耐火物原料や耐火物調達品を海外から相当量輸入しています。加えて、耐火物の製造工程の一部で、焼成用燃料として液化天然ガス(LNG)、重油を使用しており、LNG価格や原油価格の高騰は、製造・輸送コストの上昇や購入品の価格上昇に繋がります。
原料価格、調達価格、LNG価格、原油価格の高騰が長期化した場合、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、販売価格への転嫁を顧客との間で粘り強く交渉するとともに、調達ソース多様化を進めています。
⑧ アライアンス先との関係
当社グループは、世界の主要な鉄鋼市場に製品、技術を提供するという戦略のもとに、技術提携、資本提携等の方法で、各国大手耐火物メーカーとの相互連携を展開、強化することによって、グローバル展開を推進しています。
しかし、当初期待されたアライアンスの成果を挙げられない場合や、アライアンスの関係が解消された場合には、戦略の見直しを迫られ、当社グループの事業展開に支障が出る可能性があります。
⑨ 人材確保・育成
国内での少子高齢化が加速する中、事業の根幹である人材を確保・育成し、一人ひとりが活力をもってその能力を最大限発揮する人的資本経営を強化していくことは、今後の事業発展に極めて重要な課題です。しかし、優秀な人材を継続的に採用し定着を図ることができなかった場合、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、当社グループでは、優秀な人材獲得に向け福利厚生含めた処遇改善、労働環境改善、従業員の健康増進、女性活躍推進、採用活動強化に取り組むとともに、グローバル事業拡大を踏まえた語学教育の促進・ITリテラシー教育・資格取得の推進などの取り組みをおこなっています。
≪その他統制不能な不測のリスク≫
⑩ パンデミックの発生
当社グループが事業活動を展開する国や地域において、新たな感染症が発生し、業務の停止やサプライチェーンの混乱が生じた場合、当社の事業活動に影響を与えるリスクがあります。
当該リスクを踏まえ感染症対応マニュアルや事業継続計画の策定等を進めています。また、グローバルネットワークを活用した代替生産体制の整備を進めています。
⑪ 大規模災害の発生
当社グループは国内外に製造拠点を有しており、大規模災害により、各拠点の従業員や建屋、設備等に甚大な被害が発生し、操業を停止せざるを得ない場合には、当社グループの生産能力が低下し、当社グループの経営成績等の状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクを踏まえ、災害対応マニュアルや事業継続計画の策定、社員安否確認システムの構築、建屋の耐震補強、防災訓練等を進めています。また、グローバルネットワークを活用した代替生産体制の整備を進めています。
⑫ 事業活動に係る法的規制
当社グループは、その事業活動において、商取引法、独占禁止法、労働法、知的財産法、環境法、建築基準法、建設業法等の各種法的規制を受けています。
これらの法的規制により損害賠償責任が生じる場合や、これらの法的規制の改廃や新たな法的規制への対応が求められる場合には、費用負担等が生じ、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 保有投資有価証券の価値変動
当社グループは約68億円の投資有価証券を保有しており(連結、2024年3月末時点)、投資先企業の経営成績不振、証券市場における市況の悪化等でその価値が下落した場合は、当社グループの経営成績等の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主価値の持続的な向上を目指し、今後の事業展開に必要となる十分な株主資本の水準を維持することを基本としています。また、当社は、各期の業績に応じた利益配分を基本として、今後の事業展開、財政状況、経営環境等を勘案し、剰余金の配当を実施する方針としています。
利益配分は、原則として連結配当性向30%程度を基準としています。
当社は定款に、期末配当の基準日を毎年3月31日と定めるとともに、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定め、中間配当及び期末配当の年2回を当社の剰余金の配当の基本的な方針としています。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会です。
当事業年度の剰余金の配当については、連結配当性向に鑑み、1株当たり400円(うち中間配当金160円)としています。
内部留保資金は、今後の事業展開への備えとするとともに、研究開発投資及び設備投資用の資金として投入することとしています。
なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めています。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は次のとおりです。
(注) 2024年1月31日開催の取締役会決議により、2024年4月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っています。上記は当該株式分割前の実際の配当金の金額を記載しています。