2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,337名(単体) 2,182名(連結)
  • 平均年齢
    45.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    21.2年(単体)
  • 平均年収
    8,264,085円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

  2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

ライフライン事業

1,055

機械システム事業

522

産業建設資材事業

382

 報告セグメント計

1,959

全社(共通)

223

合計

2,182

 

(注) 1 従業員数は就業人員数であります。

2 人員には嘱託、雇員を含んでおりません。

3 全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

  2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,337

45.8

21.2

8,264,085

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

ライフライン事業

611

機械システム事業

340

産業建設資材事業

228

 報告セグメント計

1,179

全社(共通)

158

合計

1,337

 

(注) 1 従業員数は就業人員数であります。

2 人員には嘱託、雇員を含んでおりません。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4 全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

(3) 労働組合の状況

労使関係については特に記載すべき事項はありません。

 

 

(4) 多様性に関する指標

① 提出会社

 

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)(注1)

男性労働者の

育児休業取得率

(%)(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

うち正規雇用

労働者

うち非正規雇用

労働者

0.4

77.3

72.2

74.0

70.9

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

<補足説明>

1)「管理職に占める女性労働者の割合」について

近年においては総合職採用者に占める女性比率の目標(総合職文系50%・総合職理系30%)を掲げて女性の採用を積極的におこなっておりますが、過去においては女性総合職の採用者数は少なく、管理職に占める女性労働者の割合が低くなっております。

2)「労働者の男女の賃金の差異」について

当社の賃金制度は性別による差異はありませんが、上表の通り管理職に占める女性労働者の割合が低い(0.4%)ことに加えて、管理職未満の総合職層においても相対的に賃金水準が高い上級層になるほど女性労働者の割合が低い(上級4.5%、中堅9.1%、初級17.4%)ことが大きく影響しております。

女性総合職の採用者数を増やして管理職候補者となる母集団を拡大し、かつ管理職候補者層の育成強化をはかることにより、管理職の女性比率を高めると共に男女の賃金差異の解消をはかってまいります。

 

② 国内連結子会社

 

当事業年度

名称

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)(注1)

男性労働者の

育児休業取得率

(%)(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)(注3)

全労働者

うち正規雇用

労働者

うち非正規雇用

労働者

栗本商事㈱

2.7

0.0

76.1

82.7

101.4

ヤマトガワ㈱

2.2

0.0

64.8

65.9

55.7

北海道管材㈱

33.3

88.3

88.9

64.3

クリモトロジスティクス㈱

12.5

100.0

72.5

78.8

68.5

クリモトパイプエンジニアリング㈱

0.0

100.0

㈱本山製作所

0.0

75.0

84.8

87.7

82.4

㈱ケイエステック

0.0

84.9

74.8

 

 

当事業年度

名称

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)(注1)

男性労働者の

育児休業取得率

(%)(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)(注3)

全労働者

うち正規雇用

労働者

うち非正規雇用

労働者

八洲化工機㈱

0.0

63.0

63.1

124.4

ジャパンキャステリング㈱

11.1

70.5

91.1

52.4

三協機械㈱

0.0

0.0

64.7

72.7

84.5

日本カイザー㈱

0.0

95.8

87.7

㈱ゼンテック

7.7

100.0

81.5

78.8

クリモトポリマー㈱

0.0

0.0

69.3

75.8

58.0

㈱クリモトビジネスアソシエイツ

0.0

63.9

63.9

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

また、対象労働者がいない場合は「-」と記載しております。

3 対象労働者がいない、または男女いずれかの対象労働者がいない場合は「-」と記載しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する基本的な考え方

当社は、「世の人々にあまねく衛生的で綺麗な水を届けたい」という創業者 栗本勇之助の想いを紡ぎ、社是に謳われる「企業の発展を通じてわれらの福祉向上と人類の幸福に貢献しよう」をサステナビリティの源流とし、これまで、全てのステークホルダーの期待と信頼に応え、常に最適なシステムを提供するという経営理念のもと、社会インフラや産業インフラの分野に貢献してまいりました。

一方、社会を取り巻く環境は刻々と変化し、気候変動や生物多様性の危機につながる環境問題、人権尊重や労働人口減少などの社会問題等にしっかり向き合う必要があります。そこで、当社では、サステナビリティの源流に基づいた経営を推進し、社会課題の解決を意識した事業展開が社会への貢献と新たなビジネスの機会につながると考えています。具体的に、環境問題では気候変動対策としてGHG排出量の削減と循環型社会の形成、社会問題では、DEIなど多様な人材の価値観を尊重し、だれもが活躍できる働きがいのある労働環境の提供などの取り組みを当社グループはもちろんサプライチェーンにおいても推進し、"四方よし"の精神で持続可能な社会の成長と発展に貢献してまいります。

(2) 気候変動に対する取組(TCFD提言に基づく情報開示)

当社は、2022年度よりTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示の準備を進め、2023年6月29日提出の有価証券報告書にはじめて情報開示をしました。当社事業はライフライン事業、機械システム事業、産業建設資材事業からなる3つのセグメントで構成されており、気候変動が当社の全ての事業セグメントに与えるリスクと機会に関して、ガバナンス・戦略・リスク管理・指標及び目標の観点で分析した結果について情報開示しています。

① ガバナンス

当社は、サステナブルな社会の実現に貢献するため、気候変動をはじめESGの諸課題についてのリスク及び機会の管理、対応策、活動に対する監督責任を負い、それらの結果について協議・審議する機関であるCSR委員会を設置しています。CSR委員会は、代表取締役社長が委員長を務め、取締役、執行役員、事業部長、労働組合、監査役(オブザーバー)で構成し、事務局をサステナビリティ推進室として年2回の頻度で開催しています。また、下部組織としてCSR推進会議を設置しています。議長をCSR担当役員とし支社店長、工場長、事業部門長、間接部門長、労働組合で構成し、事務局をサステナビリティ推進室として年4回の頻度で開催することとしています。CSR推進会議では、気候変動をはじめとするESGの諸課題についてのリスク及び機会の抽出及び、それら諸課題について発生の可能性と影響度を軸にした重要度の検討、ESGに関する情報共有、既存の方針の見直しや新たな方針の検討、具体的な活動の企画提案と実践に向けた計画立案などを行い、CSR委員会に報告・意見具申を行います。CSR委員会で決定した事項は取締役会等で付議され、決議された事項をグループ全体の経営に反映いたします。2024年度の取締役会では、サステナビリティに関する主な議題として、TCFDおよびCDPの取り組み課題、人権デューデリジェンスの取り組み課題、サステナビリティの社内浸透課題、財務的マテリアリティの深堀を行うためのリスクと機会の特定、サステナビリティ目標に対応した報酬制度の導入に関して合計4回の報告と協議を行いました。

 

図1:サステナビリティ推進体制図


② 戦略

気候変動によって生じるリスクと機会の影響を把握するために、シナリオ分析を実施しました。

 

・シナリオ分析方法(表1)

気候変動による当社事業セグメントへの影響を明らかにするために、「気候変動対応への積極的な政策・法規制により気温上昇が抑えられる1.5℃シナリオ」と「気候変動への対応が現状維持のままの世界を想定した4℃シナリオ」の2つの気候変動シナリオを用いて分析を実施しました(表1)。各シナリオ分析では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が報告しているRCPシナリオを参考に気候変動による物理リスク(物理的な影響)の分析を行い、また、IEA(国際エネルギー機関)が報告しているNZE、SDS、STEPSシナリオを参考に移行リスク(脱炭素経済への移行に伴う影響)の分析を行いました。また、対象の時間軸は、2050年カーボンニュートラルを達成するためにマイルストーンとしている2030年に設定し、従来の財務項目と比較する際に気候変動がもたらす影響度を把握するため、試算可能な項目について財務的な影響額を試算しました。なお、財務的影響額のリスクを最大化するために各拠点の資産額を取得時金額で試算しています。

 

 

表1:シナリオ分析で参考にした気候変動シナリオ

 

 

政策により気温上昇が抑えられる世界

気候変動への対応が現状維持のままの世界

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

概要

19世紀後半からの気温上昇が1.5℃に抑えられるシナリオ(2100年時点)。カーボンプライシング導入など脱炭素社会への移行に伴う影響(移行リスク)を受ける。物理リスクの影響は4℃シナリオに比べ相対的に小さい。

19世紀後半からの気温上昇が4℃上昇するシナリオ(2100年時点)。災害など気候変動による物理的な影響(物理リスク)を受ける。気候変動に関する規制強化は行われず、移行リスクの影響は小さい。

参考シナリオ

移行
リスク

IEA Net Zero Emission by 2050(NZE)
IEA Sustainable Development Scenario(SDS)

IEA Stated Polices Scenario(STEPS)

物理
リスク

IPCC RCP 2.6

IPCC RCP 8.5

※1.5℃シナリオの情報がない場合は、2℃シナリオに分類される参考シナリオを使用

 

 

・シナリオ分析結果(表2)

 

<1.5℃シナリオ>

1.5℃シナリオでは、脱炭素社会への移行に伴うリスクとして、「炭素税導入によるコストの発生、再エネ・省エネに関する政策・法規制によるエネルギー価格の高騰」、「原材料コストの高騰、顧客・投資家の評判変化」の影響が大きいと予想されます。そのため、GHG排出量の削減に向けた対応策として「再生可能エネルギー由来のカーボンフリー電力の導入」、「生産設備の省エネ化と生産の合理化」、「非化石燃料への転換」、「原材料使用量の低減ならびに代替品の検討」、「脱炭素製品化の促進とダイベストメント対策」などに取り組んでいます。一方の機会としては、「社会課題への解決に向けた商品の需要変化」、「顧客や投資家の評判変化」によるプラスの影響が大きいと考え、「社会課題を見据えた戦略的な事業拡大」を推進しています。具体的には、ライフライン事業セグメントにおいて水力/小水力関連市場への製品展開と脱炭素製品化の推進、機械システム事業セグメントでは、バイオマス発電関連設備や二次電池製造プロセスに係る市場、サーキュラーエコノミーを実現するリサイクル関連市場の強化、産業建設資材セグメントでは、再生可能エネルギー向けの樹脂管関連製品やZEB(Net Zero Energy Building)への市場展開が挙げられます。この1~2年、EV自動車への転換が鈍化しておりそれらの市場動向を注視しています。

 

<4℃シナリオ>

4℃シナリオでは、気候変動によってもたらされる異常気象の激甚化などの物理的な影響が大きいと予想されます。当社事業へのリスクとしては、異常気象がもたらす自然災害による生産設備の被災や、それに伴う製品販売の遅延や停止が挙げられます。そのため、リスク低減を目的とした拠点・資産の分散や拠点の補強などのBCP対策を促進し、被災しても事業が継続できる体制の構築と、当社だけでなくサプライヤーを巻き込んだ分散型の調達の整備を進める必要があります。一方で、機会としては、異常気象の激甚化によりライフライン事業セグメントの送水網の拡張に伴う鉄管(水道管)需要の増加が挙げられます。今後は、社会インフラに携わる企業グループとして、国土強靭化や災害対応に係る製品の事業拡大に一層注力してまいります。

 

表2:シナリオ分析結果

気候関連問題による影響

(リスク・機会)

想定される事象

重要度評価

重要と判断した取組

1.5℃
シナリオ

4℃
シナリオ

 

@脱炭素経済への移行に伴う影響

リスク

炭素税と排出権取引

[全セグメント]温室効果ガスの排出量に応じた課税コストや排出権取引コストの発生

・GHG排出量見える化とScope1,2削減

・再エネ電力、ICPの導入

・生産設備の省エネ化と生産合理化

化石燃料の使用に関する規制

[ライフライン]鉄管(水道管)製造において、化石燃料から代替燃料化によるコスト増加

[機械システム]石油化学、鉄鋼市場分野の需要低迷による売上減少

[産業建設資材]現場環境改善に使用する化石燃料から代替燃料化によるコスト増加

・化石燃料からバイオマス固体燃料化や電気エネルギー化など非化石燃料への転換

・化石燃料使用量の低減

・脱炭素転換による各市場動向把握

プラスチック規制

リサイクル規制

[機械システム]プラスチック使用量の低迷に伴うプラスチック製造機械の売上減少

[産業建設資材]FRP管などの需要低迷による売上の減少

・プラスチックのリサイクル化、サーキュラーエコノミー化の推進

再エネ・省エネ政策の導入

[全セグメント]再エネ導入による電力コストの増加

[全セグメント]省エネ設備機器への更新に伴う設備コストの増加

・生産設備最適化による生産効率化

・PPAの導入

エネルギーミックスによる変化

[機械システム]石炭火力発電関連製品の需要低迷による売上の減少

・気候変動対策と市場変化の見極め

原材料コストの変化

[ライフライン]鉄管(水道管)製造に使用する化石燃料価格の変動、原材料となる鋼材や合金価格の高騰

[機械システム]原材料となる鋼材や合金価格の高騰

[産業建設資材]金属製ダクトに使用する鋼板価格の高騰、プラスチック原料の高騰

・原材料の使用量低減

・原材料調達ルートの多様化

・代替品の検討

商品の需要変化

[全セグメント]脱炭素製品への需要シフトにより原材料や設備切り替えコストが増加

・バリューチェーンマネジメントの強化

・販売製品の省エネ化

顧客・投資家の評判変化

[全セグメント]環境への取り組みが消極的な場合、取引先候補から除外され売上が減少、ダイベストメント化による資金調達の減少

・脱炭素製品化の推進

・社会課題を見すえた顧客需要の創造

機会

リサイクル規制

[機械システム]リサイクル事業関連製品需要の高まりによる売上の増加

・循環型に貢献できる製品へのシフト

再エネ・省エネ政策の導入

[全セグメント]再エネ普及に伴う関連製品需要の高まりによる売上の増加

・再エネ、省エネ関連製品の拡販

(バイオマス、風力、EV、二次電池、水力、原子力、太陽光向け製品)

情報開示の対応

[全セグメント]環境への積極的な取組の開示により、新たな顧客獲得や投融資機会が増加

・TCFD、CDPの情報開示と開示内容の改善

・統合報告書による情報開示

・サステナビリティ情報の開示

商品の需要変化

[全セグメント]環境への取り組みが積極的な場合、企業イメージの向上につながり売上が増加

・(産建)ZEB市場の模索、低炭素鋼材ダクト化への移行

・(全セ)環境関連製品の開発と拡販

顧客・投資家の評判変化

[全セグメント]環境への積極的な取組の開示により、新たな顧客獲得や投融資機会が増加

・脱炭素製品化の推進

・社会課題を見すえた顧客需要の創造

・ESG評価の導入による課題抽出

 

 

気候関連問題による影響

(リスク・機会)

想定される事象

重要度評価

重要と判断した取組

1.5℃
シナリオ

4℃
シナリオ

気候変動による物理的な影響

リスク

異常気象の激甚化

[全セグメント]当社設備およびサプライチェーン上の設備の被災による納期遅延・工期遅延・代替品確保等の対応コストが発生、顧客が被災することで売上が減少

・当社BCP対応の整備

平均気温の上昇

[全セグメント]夏季空調費の増加、従業員の猛暑対策コストの増加

・空調機器の更なる省エネ化の推進と適切な温度設定

労働条件の悪化
労働法制の強化

[全セグメント]猛暑により労働生産性が低下し収益性が悪化、労働法制強化による労働環境改善が必要

・職場環境の改善に資する設備投資

・健康経営優良法人(大規模法人部門)の継続的な認定取得

・自動化、AI化、ミニマムメンテ化

機会

異常気象の激甚化

[ライフライン]送水網の拡張による鉄管需要の増加

[産業建設資材]災害対策のため、防災関連製品および改築工事需要の増加、国土強靭化に伴うコンクリート構造物の修復や補強需要が増加

・災害対応、国土強靭化に係る製品の拡販

 

 

 

図2:リスクと機会の重要度評価 

 


 

 

③ リスク管理

当社は、事業を取り巻くリスクおよび機会に対して的確な管理・実践を可能にすることを目的とし体制を整備しています。リスクに関しては、リスクマネジメント体制(図1)を構築し、 気候変動がもたらすリスクについては、CSR委員会と連携しながら全社的なリスクマネジメント体制に統合しています。当社のリスクマネジメント規定に則り、当社および当社グループ会社に関連するリスクを3年毎に特定を行い、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会の専門部会であるリスクマネジメント部会にて棚卸を行いリスクについて一覧化しています。特定されたリスクは、リスクの種類・重大性・発生頻度または可能性・経営への影響度から評価しています。具体的には、リスクの種類を人的・物的・賠償・信用の4つに区分し、リスクの重大性(経営への影響度を含む)を4段階、リスクの発生頻度または可能性を4段階で評価したリスクマトリクス一覧表を作成(毎年4月または大幅な事業環境変化が生じた時に見直し)し、その結果をコンプライアンス・リスクマネジメント委員会が検討・承認を行っています。評価されたリスクを管理するために、対応策を検討し実行する専門部会を設置するとともに、委員会・専門部会での検討事項を従業員へ周知し、取り組みを推進・実行しています。

気候変動に関連するリスクおよび機会は、当社事業が社会課題を解決する取り組みであると同時に収益に連動する重要な要素ととらえ、シナリオ分析によるリスクおよび機会の項目について、発生の可能性を短期(0~3年)、中期(~2030年)、長期(中期以降~)の視点で財務的影響度をマトリクス化してマッピングしました(図2)。重要度評価で優先度が高く評価された項目は、1.5℃シナリオにおけるリスクが大きい「カーボンプライシングの導入」、4℃シナリオにおけるリスクが大きい「洪水・高潮による直接被害」でした。一方、機会として、短期的には「再エネ関連製品の売上増加」と中期的に「二次電池関連の需要増加」が抽出されました。

現在も、当社事業収益との関連性が高い機会については、四半期毎に取締役、執行役員を中心に取り組みの適切性を協議しています。今後も、一層サステナビリティ関連のリスクおよび機会の影響を経営計画へ円滑に反映できるよう取り組みを強化推進してまいります。

 

④ 指標及び目標

当社は、気候変動に対する影響を評価・管理するためCO2排出量を指標として設定しています。2050年度カーボンニュートラルへの挑戦に向けて、自社活動によるCO2排出量(Scope1、2)を2030年度に2013年度比で50%以上の削減目標として掲げています(図3)。2023年度実績は、2022年度から導入した再生可能エネルギー由来電力の導入の効果により2013年比51.6%のCO2排出量削減となりました。また、2022年度の実績値から開示を始めたサプライチェーン排出量(Scope3)ですが、2023年度実績の算定の際に2022年度実績も精査し算定精度の向上にも取り組んでいます。算定結果は前年度より大きく削減している結果となっておりますが、生産量の変動や販売した製品の種類と構成により、前年度とは単純に比較できないと分析しております。2024年度は、当社グループ全体でのScope1、2、3のCO2排出量の把握に着手しました。2025年度には当社グループ全体のScope1、2を把握し、現在掲げている目標(2030年度に2013年度比で50%以上の削減)を当社グループの削減目標へと見直していく予定です。また、2026年度以降にはScope3の算定範囲を当社グループ全体へと拡げ、Scope3をも含めたサプライチェーン全体の排出量についても削減目標の設定を行う予定です。これらの計画遂行のため、GHG排出量算定精度の向上、迅速化ならびにGHG排出データの見える化を目的としてクラウドサービスによるGHG排出量算定ツールを導入いたしました。現在、当社グループに適用させるためのセットアップ中であり、2025年度中に運用を開始する予定です。

 

図3:CO2排出量の実績(2023年度)と削減目標(Scope1+2)


 

表3:温室効果ガス(GHG)排出量[t-CO2]

算定した項目

2013年度

2022年度

2023年度

自社活動によるCO2排出量(Scope1、Scope2)

76,134 

41,512

36,861

(内訳)

Scope1(直接排出)

50,015

40,173

35,256

Scope2(間接排出)(マーケット基準)

26,119

1,339

1,605

 

自社サプライチェーン排出量の内、Scope1、Scope2以外の間接排出量(Scope3)

438,118

354,710

(内訳)

CAT1 購入した製品・サービス

276,260

239,439

CAT2 資本財

4,424

6,018

CAT3 Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

13,979

12,808

CAT4 輸送・配送(上流)

11,508

15,217

CAT5 事業活動から出る廃棄物

3,509

3,152

CAT6 出張

213

212

CAT7 雇用者の通勤

794

682

CAC9 輸送・配送(下流)

63

55

CAT11 販売した製品の使用

116,055

65,730

CAT12 販売した製品の廃棄

11,314

11,398

※ 対象範囲:株式会社栗本鐵工所単体

※ -:未算定

※ 2023年度の算定時に2022年度の結果を精査し、排出量を修正しています。

 

 

 

 

 

(3)人的資本

① ガバナンス

代表取締役社長を委員長とし、取締役を委員とする「人材開発委員会」を中心に、人材の活用(採用、配置、評価、育成)に資する全社的な方針・取り組みについて審議し、当社の人的資本経営を牽引する仕組みを設けております。

② 戦略

イ.人事方針

当社グループでは、「人は企業にとって最も重要な資本である」という視点に立ち、持続的な成長を実現するために、人事の考え方を次のとおり定めています。

◇組織風土の改革、社員の意識改革・行動改革をおこします

・社員全員に自らがチャレンジする機会を与え、それを支える体制をつくります。

・自己責任、自己完結型の組織づくりを推進します。

・組織に属する者のすべての能力を結集、発揮させ創造的・独創的な価値を生み出す組織風土を目指します。

◇働きがいのある職場づくりをおこないます

・ワーク・ライフ・バランスを推進し、また多様な人材が活躍できる柔軟な仕組みをつくります。

・年齢に関係なく、行動し成果をあげた者が公正に報われる制度を確立し、やりがい、働きがい、幸福感を感じられるような仕組みを作り、エンゲージメント向上を目指します。

◇ダイバーシティの取り組みを推進します

・「英知を育て、衆知を集める」との社是に則り、女性、外国人、障がい者、様々な職歴をもつキャリア採用者など、多様な人材が活躍することができる職場環境や必要な能力開発の機会を整備します。

・多様な価値観を結集し、最大限に活かすことにより、変化の激しい市場環境に対応し、持続的成長を実現することを目指します。

[参考]ダイバーシティ方針(2024年4月1日制定)

当社のダイバーシティ推進は、経営方針である「四方よし」の精神で「未来もよし」を実現する経営戦略の一環と位置付け、新たな視点でのビジネスモデルを創造する組織風土を醸成し、持続的成長を実現するものととらえています。基本的取り組みとして以下を掲げます。

・積極的採用により人材の多様化をはかります

女性、障がい者、キャリア入社者の採用にかかる目標を設けて採用活動をおこない、従業員の多様性促進をはかります。

・多様な人材が活躍できる環境を整備します

女性、外国人、障がい者、キャリア入社者など、多様な人材が活躍できる職場環境、能力開発環境を整備します。

・女性活躍を推進します

その第一歩として女性活躍を推進します。数値目標を設定するとともに公表を行い、その達成に向けた取り組みを進めます。

 

ロ.人材育成方針

企業理念の一文にある「私達はモノづくりを通して、社員の幸せと人間社会の幸せを目指します」を受け、以下の基本方針を掲げその実現に努めております。

◇社員の能力開発と組織の活性化を通じて、付加価値ある製品やサービスを生み出し、顧客価値創造と社会貢献を実現します。

◇社員のキャリア形成と能力開発を支援し、社会人・組織人として社会に貢献できる能力と豊かな人間性の形成をはかります。

具体的に取り組むテーマとして、主に以下の5項目に重点を置いて研修等の教育施策を展開し、社員の能力開発と組織力向上を推進しております。

・学習する組織風土の醸成

・企業経営の中核を担う基幹職層の組織マネジメント力の強化

・若手、中堅社員からの計画的なコンセプチュアルスキル(論理的思考力、問題解決力)強化

・次期経営幹部候補者、およびイノベーション人材の発掘・育成

・働き方改革、ダイバーシティ推進および持続可能な社会の実現に向けてのCSR教育

 

ハ.社内環境整備方針

前記の方針に基づき、中期3ヵ年経営計画(2024~2026年度)にて人的資本に関する戦略を次のとおり掲げ、社内環境の整備に取り組んでおります。

◇人材流動化と計画的育成

・基幹職層、中堅層、若年層にかかわらず就業環境の変化を通じた成長機会の創出

・主体性を強く発揮するリーダーの早期かつ計画的な育成

<具体例>

・2024年7月から主に課長職の既任基幹職80名強を対象とした「マネジメント・アップデート研修」を複数回に亘って実施。「メンタルブロック」をテーマに取り上げ、参加者が自身のマネジメントスタイルを改めて振り返り、その強化をはかるきっかけとすることを目的としております。

◇採用力強化と多様性向上

・事業計画に必要な専門人材を必要な時に確保できる態勢の構築

・職場を構成する人員の多様性を高めて異彩を組織の力量につなげる

<具体例>

・2024年8月に採用ホームページを全面リニューアル。社員インタビューには女性社員を多く掲載すると共に、ダイバーシティ推進やワーク・ライフ・バランス等のコンテンツも充実させることで女性応募者の増加をはかっております。

・2024年9月に「DE&I推進プロジェクト」を新設し、全社員を対象としたダイバーシティ意識調査を実施、その結果に基づいてロードマップを作成し、今後、主に経営層からの継続的な発信、環境・ルールの整備、全社員の意識改革に取り組むことを予定しております。

◇働きがいを実感しながら活躍できる職場環境の整備

・エンゲージメントを高く維持して働き続けたい職場環境の整備

・主体的なキャリア形成を可能とする仕組みの構築

<具体例>

・企業と社員の結びつきの強さを定量的に評価し、社員の価値観や働き方の多様化などの変化を把握する「社員エンゲージメント調査」を毎年度実施しております。同調査結果のフィードバックは職場単位でリーダーを介して職場全体に展開しており、個人のパフォーマンスの最大化と持続的な社員のモチベーション向上をはかって「生産性の向上」や「離職率の改善」などの効果を期待しています。2024年度には社長との直接の対話機会も適宜設け、経営と現場の距離を近づけるように努めております。

 

③ 指標及び目標

人的資本に関して、「多様性」と「働きやすさ」の観点から次の目標を掲げ、モニタリングしております。

また、当社グループでは、上記「②戦略」において記載した、人事方針、人材育成方針、及び社内環境整備方針に係る指標について、当社においては関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行われているものの、企業規模、推進体制の違いにより連結グループに属するすべての会社では行われてはいないため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標
()

2024年度実績
 (%)

備考

管理職に占める女性比率

3

0.4

目標は2030年度末

採用者に占める女性比率 総合職文系

50

29.6

 

採用者に占める女性比率 総合職理系

30

14.8

 

定期採用者の採用10年前後の継続雇用割合

65

67.0

 

 

   対象範囲:株式会社栗本鐵工所単体