2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容につきましては、合理的に予見することが困難であるものについては記載しておりません。以下に記載したリスクは、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見し難いリスクも存在します。当社グループの事業、業績および財務状況は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項および本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があります。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 為替の変動について

当社グループは、国内外において生産、調達および販売活動を行っており、製品の輸出、銅精鉱を中心とする原材料の輸入および製錬加工料収入について為替変動の影響を受けます。そのため、為替予約取引等を利用してリスクの軽減を図っておりますが、為替が大きく変動した場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(2) 非鉄金属市況の変動について

当社グループの主製品の一つである電気銅等非鉄金属の価格は、国際市況を反映したLME(London Metal Exchange:ロンドン金属取引所)で決定されたUSドル建ての国際価格であり、国際的な需給バランス、投機的取引、国際政治・経済情勢などにより変動します。そのため、先物取引を利用したヘッジ等によりLME価格の変動による影響の最小化を図っておりますが、LME価格が大きく変動した場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

また、当社グループは、銅精鉱調達のため海外鉱山に出資を行っておりますが、LME価格の変動は出資先の銅鉱山の経営成績等に影響を与え、その影響が当社グループにも及ぶ可能性があります。

 

(3) 金利について

当連結会計年度末における当社グループの借入金の連結貸借対照表計上額は533億89百万円と、総資産の20.5%を占めております。そのため、金利の上昇により負債コストが増加した場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

なお、市場金利が上昇した場合には資金調達コストが増加する可能性がありますが、当社グループでは、固定金利等の種々の借入条件を適宜組み合わせることで、急激な金利変動に備えております。

 

(4) 投資有価証券および土地、その他の固定資産について

当社グループは、歴史上の経緯から、その他有価証券で市場価格のない株式等以外のものおよび土地を保有しております。その当連結会計年度末の連結貸借対照表計上額は、その他有価証券で市場価格のない株式等以外のものが457億6百万円、土地が517億65百万円となっております。そのため、株価や地価が大きく下落した場合には、減損損失、評価損または売却損が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

なお、有価証券については、毎年、取締役会において個別の銘柄ごとに、保有に伴う便益やリスク等を定性面と定量面の両面から総合的に勘案のうえ、その保有の継続の適否を検証しております。検証の結果、保有の意義が認められないと判断したものについては、売却を進めることとしております。

また、当社グループが保有するその他の固定資産については、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(5) 需要の変動について

当社グループの製品は、日本国内だけでなく海外でも販売されているため、日本、北米、欧州、アジアなどの主要市場において大きな景気変動があった場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

また、当社グループには、製品の特性上、売上高に占める国内の公共事業関連の割合が高い事業があるため、公共投資額に大きな変動があった場合も、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

 

 

(6) カントリーリスクについて

当社グループは、販売網の拡大やコスト競争力の強化、為替リスク低減等のために、グローバルに生産、調達および販売活動を行っております。そのため、現地における政情不安、急激な経済の減速、治安の悪化、貿易上の制裁措置、文化や法制度の相違、特殊な労使関係、テロ等の要因により問題が発生し、事業の円滑な遂行に支障が生じた場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

また、ウクライナ・中東情勢等の地政学的リスクにより、売上高の減少、鋼材など原材料や燃料価格の値上げによるコストの増加、海上輸送の遅延など、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(7) 自然災害、感染症のまん延等の不可抗力について

当社グループは、地震等の自然災害や大規模火災等に備えた事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定や地震対応マニュアルの作成、緊急時の連絡体制の整備等、事業継続に必要な対策を講じております。しかしながら、これらの災害により当社グループの生産拠点や調達先が重大な被害を受け、生産設備が損壊し、もしくは物流網に障害が発生する等の事態が生じた場合、または、新型ウイルス等の感染症の世界的なまん延により、当社グループの事業所や保有施設、調達先が操業・運営を行うことができない事態が生じた場合、製品およびサービスの安定的な供給・提供を行うことができなくなり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(8) 品質について

当社グループは、世界的に認められている品質管理基準に従って製品を製造するとともに、その管理体制の確立および維持向上に努めております。しかしながら、全ての製品について、将来にわたって欠陥が発生しないという保証はありません。そのため、生産物賠償責任保険やリコール保険等に加入することでリスクに備えておりますが、想定を超える大規模な製造物責任やリコールにつながる製品の欠陥が発生した場合、または当社グループおよびその製品への信頼が失われた場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(9) 新製品開発について

当社グループは、顧客のニーズを満たす新技術、新機能を備えた製品を市場投入すべく、積極的に新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、一部の事業においては、製品ライフサイクル上の成熟期に位置する取扱製品があり、そのような製品は、競合他社製品との差別化を図ることが困難であることから、利益率が低下する可能性があります。そのため、そのような事業において、将来の柱となるような新製品を開発・市場投入できない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(10) 人材確保について

当社グループは、将来に向けて成長していくため、新卒、中途を問わず優秀な人材を採用し、戦力化するための育成を行っております。しかしながら、事業に必要とされる人材の確保等を十分に行うことができなかった場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(11) 環境保全について

当社グループは、国内外の各事業所において、関係法令に基づき環境保全および環境安全対策ならびに公害防止に努めており、特に、国内休鉱山における坑廃水による水質汚濁防止や集積場(堆積場)の保安等の鉱害防止については、必要な措置を講じております。しかしながら、関係法令の改正等により規制が強化された場合、また、各事業所において不測の事態が発生した場合、その対応に要するコストが増加し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(12) 公的規制について

当社グループは、国内外において事業を展開していることから、許認可、租税、環境、労務、独占禁止、輸出管理等に関する各国の法規制を受けております。当社グループは、これらの公的規制の遵守に努めておりますが、法令の改正等により規制が強化され、または新たな規制が制定された場合は、対応コストの増加や事業の継続への影響など、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(13) 退職給付債務について

当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、確定給付企業年金制度および退職一時金制度を設けており、当連結会計年度末における退職給付債務および年金資産に基づき退職給付に係る負債を計上しております。しかしながら、退職給付債務等の計算の基礎として採用した割引率や長期期待運用収益率等の前提条件と実際の結果との間に差異が生じた場合、または前提条件が変更された場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

(14) 気候変動について

当社グループは、気候変動に伴うリスクと機会を重要な経営課題であると認識し、温室効果ガスの排出削減などに取り組んでいます。また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言へ賛同表明し、気候変動が事業に及ぼすリスク・機会を分析し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。しかし、炭素税の導入や異常気象による事業所や工場の被災が発生した場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(15) 情報セキュリティについて

当社グループは、研究開発、生産、営業などに関する機密情報や個人情報等を保有しています。当社グループでは、ネットワークセキュリティの強化、システムの保守更新など保守・保全策の強化と情報管理規則・各種ガイドラインを社員に遵守徹底するなど情報管理体制の強化を実施しておりますが、外部攻撃、不正アクセス、マルウェアの感染等により、システム障害や機密情報・個人情報の漏洩が発生した場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するための投資を優先したうえで、安定的・継続的な株主還元を実行していきます。

 

(1) 配当に関する方針

配当につきましては、増配および中間配当の実施を検討し、原則として1株当たり50円以上の年間配当金および連結自己資本総還元率3%以上を目安といたします。

 

(2) 内部留保について

収益の確保に不可欠な内部留保を念頭に置き、投資にあたっては、投資に伴うリスクおよび資本コストを勘案した採算性に留意して対応します。

 

(3) 自己株式の取得・消却に関する方針

自己株式の取得・消却については、株価の動向や資本効率、キャッシュ・フロー等を勘案しつつ適宜検討していきます。なお、1事業年度における自己株式の取得の目安は、おおむね15-20億円、2024年3月期から2026年3月期までの3年間で50億円程度とします。

 

 当社は、第157期の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり55円の期末配当を実施することといたしました。

 なお、当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めておりますが、期末配当の最終決定は、株主の皆様の意見を反映できるよう株主総会において決定することを基本としております。

 

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりです。

決議

株式の種類

配当金の総額

(百万円)

1株当たり

配当額(円)

基準日

効力発生日

2024年6月27日

普通株式

2,045

55

2024年3月31日

2024年6月28日

定時株主総会