2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 材料価格変動のリスク

当社グループは、国際相場商品である銅や亜鉛を主原料としております。銅や亜鉛の相場が乱高下する場合、保有原料や工程内仕掛品などの棚卸資産等に含み益や含み損が発生する可能性があります。また、投機資金による銅や亜鉛の買占め等が行われた場合、原料不足による生産障害が発生する可能性があります。さらに、原料価格が高騰し続けた場合、販売先において黄銅以外の代替材への材質変更が行われ、黄銅製の棒・線・めっき線・精密部品の需要が減少する可能性があります。そのため、主原料である銅と亜鉛に関しては、原料相場の変動に備えたリスクヘッジのためのデリバティブ取引を締結することで、当該リスクを緩和する対応を講じております。

(2) 電力供給不安のリスク

当社グループは、電気炉を使用して、銅と亜鉛を溶解することで黄銅合金を製造しております。国内の電力供給事情が悪化し、十分な電力を確保することが困難な事態が生じた場合、生産障害が発生する可能性があります。当該リスクが顕在化する程度や時期を予測することは困難でありますが、当該リスクが顕在化した場合、電力供給事情が悪化していないグループ内の他工場で代替生産する対応を想定しております。

(3) 海外事業拠点のリスク

当社グループは、中国、台湾に現地法人を設立して、伸銅事業などを展開しております。各国の政治当局は、当社グループがその地でビジネスを展開することに対し、経済的、法的または別の面で困難な状況を生み出したり、実践的でないものにしたり、不可能にしたりする規則や制限を課す可能性があります。当該リスクに対応するために、当社の管理統括部や監査・規格管理室は、海外子会社とコミュニケーションをとることで、問題を早期発見し、是正する体制としています。

(4) 取引先の経営破綻による債権回収のリスク

当社グループでは、主要な取引先について、信用状況を適宜確認するとともに、必要と判断した先については、リスク回避のために、取引信用保険を付保するなどしておりますが、取引先が経営破綻した場合には、売上債権の全額又は一部を回収できなくなるおそれがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 自然災害・事故等のリスク

当社グループは、工場等における安全対策を徹底して実施しておりますが、大規模地震・自然災害・事故等が発生し、当社グループの工場設備や社員に被害が生じた場合や、サプライチェーンの分断が起きた場合には、業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、これらの事象の顕在化に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害・事故等が起きていないグループ内の他工場での代替生産を可能とする体制の構築と調達先の複数化によるサプライチェーン強化に取り組んでおります。

(6) 製品クレームによるリスク

当社グループは、各種の規格、品質管理基準に従って製品を生産し、需要家のニーズに応えるべく、品質の維持・向上に万全を期しておりますが、製品に欠陥が生じ、製造物賠償責任等に伴う費用が発生する場合があります。

(7) 知的財産権を侵害するリスク

当社グループでは、現在の事業活動及び将来の事業展開に有用な知的財産権の取得に努める一方、第三者の知的財産権や事業状況の調査を行い問題の発生の防止を図っています。しかしながら、第三者から知的財産に関する訴訟等を提起されたり、第三者が当社グループの知的財産権を侵害したりする可能性は皆無とはいえず、この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) M&A及び事業提携において見込んだ効果を得られないリスク

当社グループは、過去において、M&A及び事業提携を有効に活用し、事業基盤を拡大、強化してきました。今後も、グループの事業拡大を加速する有効な手段のひとつとして、M&A及び事業提携を検討していく方針です。M&A及び業務提携の実施の際には、今後も十分な情報収集と検討を行っていきますが、予期し得ない経済情勢、環境変化等により、当初意図した成果が得られない可能性があります。

(9) 環境問題に関する費用の発生リスク

当社グループでは、環境規制等に即した資材の使用、製造環境の維持に努めておりますが、将来、環境規制等が改正され、新たな浄化対策、除去対策に関わる費用が必要となる場合があります。また、生産活動の過程においては、廃棄物、副産物等が発生しております。当社グループは、法規制を遵守し、的確な対応を行なっておりますが、関連法規制の強化によって業績に影響が及ぶ可能性があります。

(10) 設備投資に関するリスク

現状、大規模な設備投資は予定しておりませんが、今後、大規模な設備投資を行うことによる減価償却費の増加や、市況や事業環境の悪化によって、当社グループが保有する資産の市場価格が著しく低下する場合や、資産から生み出される収益力が低下する場合には、当該資産について減損損失が発生する可能性があり、当社グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

(11) 紛争及び訴訟に関するリスク

当社グループは、有価証券報告書提出日現在において、業績に重大な影響を与える訴訟・紛争には関与しておりません。しかしながら、様々な事由により、今後直接又は間接的に何らかの訴訟・紛争に関与することとなる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過又は結果によっては、当社グループの業績及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

(12) 法的規制を受けるリスク

当社グループは、環境保全を中心とした法的規制の遵守が経営の重要課題であると認識し、厳格な管理を徹底しつつ事業活動を行っております。しかしながら、今後、環境関連法をはじめ、当社グループの事業に関連する様々な法的規制の強化または社会的責任の要請等に起因して事業活動に制約を受けるような事象が顕在化した場合には、環境対策費用や計画外の設備投資等のための追加負担が生じることとなり、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

(13) 経済環境に関するリスク

当社グループの製品は広範囲な産業分野で使用されておりますが、経済状況の変化及び当社グループが販売している製品の需要分野の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(14) 代替製品の開発によるリスク

当社グループの主力製品である伸銅品は、優れた電気特性、伝熱特性、耐食性を兼ね備えることから、多種多様な用途に用いられておりますが、アルミニウムやステンレス、樹脂等の他の素材とは競合関係にあります。予期し得ない代替製品の登場により、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

(15) 人材の確保と育成に関するリスク

当社グループの将来にわたる継続的な成長と発展のためには、優秀な人材の確保と育成が必要であると認識しております。必要とされる人材の採用、育成が計画どおりに進まない場合は、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

(16) パンデミック発生に関するリスク

新型コロナウイルス感染症は落ち着きを見せておりますが、新たなウイルス等の発生により大規模なパンデミックが生じ、当社グループ内において集団感染が発生した場合は、生産障害が発生する可能性があります。このような事態が発生した場合は、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、利益配分につきましては、業績に応じた適正な利益配分を安定的に行うことを基本方針としております。このことは、当社の関係するすべてのステークホルダーの長期的な利益とも合致するものと認識しております。

株主配当につきましては、自己資本比率の向上を図りつつ、業績に応じた配当を行うよう最大限の努力をいたす所存であります。

当社は、会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によって、剰余金の配当を行うことができる旨を定めており、剰余金の配当は中間配当及び期末配当の2回を基本的な方針としております。

以上の方針に基づき、当期の期末配当は、2024年5月21日の取締役会において1株につき35円と決議されました。中間配当(1株当たり35円)と合わせ、当期の1株当たり配当金は年70円となりました。

内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、各セグメントで今まで以上にコスト競争力を高め、業容の拡大を図るために有効投資してまいりたいと考えております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月14日

取締役会決議

309

35.0

2024年5月21日

取締役会決議

309

35.0