2024年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

デザイン事業 マニュファクチュアリング事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
デザイン事業 18,635 81.8 334 73.6 1.8
マニュファクチュアリング事業 4,140 18.2 120 26.4 2.9

事業内容

3【事業の内容】

当社グループは、3D技術等のデジタルテクノロジーを活用しデジタルものづくりを革新する、グローバルな製品開発のエンジニアリングパートナー企業であります。当社グループは、当社、国内子会社3社及び海外子会社3社で構成されており、「進化を感動に」を理念とし、「知恵と技術をエンジニアリングし、価値創造を革新する」「『本質的に美しいものづくり』を実現する」を使命として事業を展開しております。

当社グループを束ねるキーワードは「エンジニアリング」であります。当社グループでは「エンジニアリング」を「再現性を備えた仕組みを通して、社会に有用な価値を継続して提供すること」と定義し、機械技術やソフトウエア等の開発領域にとどまらず、人と組織の価値創造活動まで広く適用しております。

 

1. 当社グループの事業の構成

当社グループは、3Dプリンターによる試作品の製作から製品開発支援の事業をスタートし、エンジニアリングパートナー企業として開発支援領域におけるサービスを拡大して参りました。現在は、試作品の製作だけでなく、試作の前工程である研究開発・デザイン(スタイリング)・制御・設計・解析や、後工程である生産準備・3Dプリンターによる最終部品の製作など製品開発のエンジニアリングチェーンを幅広く支援できる体制を構築しております。また、ソフトウエア開発やサイバーセキュリティへの対応としてのデジタルリスクマネジメントまで製品開発の全工程に関わるエンジニアリングパートナー企業です。

当社グループが展開する事業は、当社グループのエンジニアが顧客企業の製品開発に対し、直接的に製品開発ノウハウ・技術等を提供する「デザイン事業」と、顧客企業に対して当社グループ所有の3Dプリンター等の設備による試作モデル製作及び最終製品に使用できる少量多品種製品(※1)の製作や3Dプリンターの代理販売・保守サポート等を行う「マニュファクチュアリング事業」の2つのセグメントで構成されております。なお、各事業と主要な関係会社の位置付けについては、事業系統図に記載のとおりであります。

 

※1 少量多品種製品:製作数は少ないがバリエーション展開など多品種展開にて最終製品として使用される製品

 

(1) デザイン事業

 当社グループのデザイン事業では、主に自動車業界の開発部門を中心にサービスを提供しており、自動車開発に強みを持つエンジニアが多数所属しております。サービス構成としては、直接的に顧客企業の製品開発をサポートする「エンジニアリングサービス」と顧客企業の競争優位性確保を支援する「コンサルティングサービス」により構成されております。

 エンジニアリングサービスは、当社グループのエンジニアが保有する製品開発ノウハウやデジタル技術等を顧客企業の開発現場にて直接提供するオンサイト支援(契約形態としては請負契約・準委任契約・派遣契約など)もしくは、顧客企業から依頼を受け取り決めたアウトプット等を提供するオフサイト支援(契約形態としては請負契約・準委任契約など)にて提供しております。エンジニアリングサービスは、デザイン & シミュレーション領域、ソフトウエア & シミュレーション領域、デジタルリスク領域の3領域にて提供を行っており、また日本を始め米国・中国・インド・欧州にてサービスを展開しております。

 コンサルティングサービスは、企業のビジネスモデルや製品開発の業務プロセスの変革等の実行力を提供するサービスです。暗黙知(意思決定ロジック)まで踏み込む徹底した可視化・数値化技術をベースとした当社独自の方法論とエンジニアリングサービスで培った開発現場での経験・ノウハウ、デジタル技術を融合させて、技術課題の解決や組織横断的なプロセス最適化により顧客企業の競争優位性強化に向けた変革を推進します。製造業だけでなく、非製造業の顧客にもサービス展開しております。

 

① エンジニアリングサービス

[デザイン & シミュレーション領域]

■設計・3Dスタイリング

 自動車業界を中心に長年培ってきた製品設計技術・ノウハウ及び3D CAD(※2)技術と知見を有するエンジニアが、自動車、航空機、建設機械、重工業、電気、機械、精密機器、医療機器など製造業を中心とした様々な企業に対して、3Dデータ作成、企画・コンセプト立案、スタイリング提案 、デザイン、設計、解析、試作、金型製造、生産に至る製品開発工程へのエンジニアリングサービスを提供しております。また3D CAD等のデジタル技術を有効活用したツール開発サービスも提供しております。3D CADはハイエンドCADからミドルエンドCADまで幅広く対応が可能です。

 世界的なカーボンニュートラルへの取り組みを背景に、環境に配慮した設計も重要となってきております。そのためライフサイクルエンジニアリング(※3)の観点を踏まえた設計業務への取り組みも開始しております。

 

※2 3D CAD:3次元で立体的な設計をコンピュータ上で行うためのソフトウエア

※3 ライフサイクルエンジニアリング:環境的、社会的、経済的に持続可能な製品等のライフサイクルシステムのデザインとマネジメントのための技術体系

 

■解析・シミュレーション

 性能を高め、開発コストを抑え、最適な設計を導き、開発期間を短縮するため、構造解析・機構解析・熱流体解析・電磁界解析など様々な解析業務を行っております。また、自動車1台分の大規模解析用メッシュデータ(※4)の構築や3Dスキャンしたデータからのリバース解析(※5)にも対応しております。

 設計領域のエンジニアとの連携によって最適化解析による製品付加価値向上に向けた最適設計の支援や、MBD(※6)領域のエンジニアとの連携によって制御モデルを含めた車両システム全体としてのシミュレーション支援等も実行可能です。

 

※4 解析用メッシュデータ:解析対象物を単純な形状をした要素に置き換えたデータ

※5 リバース解析:リバースエンジニアリング(既存製品の現物に対し形状データを測定し、そのデータを元にCADデータを作成すること)により作成した形状データに対し解析をかけること

※6 MBD:Model Based Development、モデルベース開発

 

[ソフトウエア & シミュレーション領域]

■MBD

 自動車業界においては、自動運転や電気自動車(EV)開発の拡大を背景に自動車制御の複雑化が進み、制御プログラム開発の重要性がますます高まっております。また、IoT(Internet of Things)などの新たなサービス拡大などからセンシング技術やソフトウエア開発の重要性も増しています。このような複雑・高度な開発動向において、設計のやり直しや手戻りが少なく、開発期間の短縮や開発コストの削減といった利点のあるシミュレーションを行いながら開発を進めるMBDは、主要な開発技術の一つとなっております。

 本領域において、要件定義を最適化する要求仕様分析から制御モデル・プラントモデルの構築、HILS(※7)の環境構築・HILSテストの自動化ツール開発、自動運転シミュレータの構築などに対応できる技術を要し顧客企業へのサービス提供を実施しております。

 

※7 HILS:Hardware In the Loop Simulation、ECU(電子制御ユニット)テスト装置

 

■ソフトウエア

 製造業をはじめ、ビジネス全体においてソフトウエアの需要が急増し、ソフトウエアファーストと言われるほどソフトウエアの重要性が年々増しております。

 本領域において、ソフトウエア開発そのものの支援としてシステム設計・ソフトウエア設計から、複数のプログラミング言語におけるコーディング、検証領域まで対応したサービスを提供しております。また、国際規格や業界標準規格に準拠した規格適合プロセス構築や改善・運用支援サービス、また主にWeb系や業務系ソフトウエア向けに、システムやソフトウエア製品の品質特性を考慮したテスト計画をはじめとする各種テスト設計及び実行、品質強化施策のマネジメント支援等の第三者検証サービスを提供しております。デザイン & シミュレーション領域にて長年にわたり車載機器やデジタル機器等の製品や機構を熟知したエンジニアとともにハード・ソフト両面でのサービス提供が可能です。

 なお、当サービス領域については、新会社として株式会社STELAQを立ち上げ、2025年1月1日より業務開始を予定しております。

 

■XR

 XR(※8)とはVR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)など、現実世界と仮想世界を融合することで現実には無いものを知覚できる技術の総称で、今後様々な領域での活用が期待されている技術です。デバイスの進化とともに、仮想的に体感できる環境が整いつつあり、その質も向上しています。

 本領域において、作り手と使い手を体験価値でつなぐコミュニケーションツールと位置付け、主にVR(仮想現実)技術と当社グループが以前より保有する3D技術を組み合わせ、コンテンツの制作やVR空間データ等の構築のサービス提供を行っております。ものづくりの開発効率や品質向上への貢献に加え、リアリティがあり、かつ、制約の少ないバーチャル空間上で体験型コンテンツを繰り返し利用することでエンジニアや学生の人材育成にも寄与します。

 

※8 XR:Extended Reality

 

[デジタルリスク領域]

 自動車業界をはじめとする製造業では、製品がソフトウエアにより制御される割合の増加、製品そのものが通信機能を有することや工場等においてはDXやIoT等への対応で設備がインターネット網と接続されることが急増しております。それに合わせて、ものづくりにおけるサイバーセキュリティや法規・国際規格などへの対応が急務となっております。

 本領域において、ものづくり及びものづくりの開発プロセスを熟知したエンジニアがデジタルリスクに関する脅威/脆弱性分析・リスクアセスメント、開発フェーズにおけるセキュリティ設計・実装・各種テスト設計・環境構築・テスト実行等へのサービス提供を実施しております。またインシデント発生後のデジタル鑑識として法的証拠を作成するデジタル・フォレンジック(※9)サービスも実施しております。

 

※9 デジタル・フォレンジック:デジタルデバイスに記録された情報の回収・保全と分析調査

 

[エンジニアリングサービスの支援体制について]

 特に製品設計、解析・シミュレーション、MBDの各領域においては、当社グループのエンジニアが自動車業界における完成車メーカーや部品メーカーなどでお客様の開発の現場にて長期にわたり数々の製品開発プロジェクトに携わってきており、製品開発の経験10年以上の中堅・ベテランが数多く育ち、お客様の開発支援に貢献できる体制を形成しております。その他のデジタルリスク・ソフトウエア・XR領域については設計等の前述のサービスを提供しているお客様に対し、より広範囲かつ総合的なサービス提供を可能とするために近年開始したサービスとなっております。お客様の要望や状況に応じ、領域単体もしくは複数領域において、オンサイトとオフサイトを柔軟に組み合わせたサービス提供の支援体制を構築しております。

 

② コンサルティングサービス

■変革コンサルティング

 エンジニアリングサービス及びマニュファクチュアリング事業で培ってきたものづくりの開発工程及び各種技術等の知見を活かし、自動車、電気、重工業等の製造業や建設業、さらに金融やサービス業など非製造業までの幅広い顧客に対して、競争優位性を高めることを目的とし、組織横断的な課題解決や技術課題の解決等のコンサルティングを行うサービスです。当社グループは、業務において人が判断する際の判断材料や判断基準など、通常では言語化が難しい思考プロセスまでを洗い出し分析する当社独自の方法論により、現状の業務を徹底的に可視化・数値化し分析することで、顧客企業が目指す状態と現状のギャップを明らかにします。目指す姿と現状を可視化することにより、現状課題や取り組みの方向性など、顧客企業の経営トップから現場の担当者まで共通の課題認識を生み出し、組織が一丸となって変革に取り組む推進力を生み出しております。

 

■AI搭載のSaaSプロダクト、ソフトウエアの導入コンサルティング

 近年、変革コンサルティングサービスに対し、ソフトウエア・AI技術を業務に活用し、企業パフォーマンスを向上させるための取り組みを行い、AI技術を活用する業務プロセスの構築やAI製品の提供を実施しております。

 AI製品は、AI技術を用いたSaaS型のサービス提供となります。具体的には、当社独自の自然言語処理AIエンジン(アスペクトAI™)を搭載したSpectAシリーズにより、熟練者が培ってきた経験・ノウハウや着眼点を組織全体での利用が可能な形に変換し、ダイナミックな知恵の活用を実現します。SpectAシリーズは現在以下3製品から構成されております。

・RFQ Guide View:大量のRFQ(Request For Quotation:見積依頼書)に対しAIが読解をサポート

・Dynamic Knowledge Management:開発現場で日々生み出されるドキュメントや実績情報から構造的なナレッジをAIが自動生成

・KY-Tool:工場や建設現場等における安全管理業務に関する危険予知支援するAIツール

 

 また幾何学的ディープラーニング技術の業界リーダーである米国Physna社が提供する、革新的な幾何学AI検索を持つ3次元データ管理システムであるPhysnaを米国・日本・インドにて代理店契約を締結しライセンス販売及び導入サポート支援を実施しております。設計・製造のみならず購買・調達等の広範囲な業務において3Dデータ運用の促進が可能となります。

 ソフトウエア製品は、子会社のインド法人であるSOLIZE India Technologies Private Limitedが仏Dassault Systemes社製などのものづくりの開発工程に活用される各種ソフトウエア製品の販売・導入支援等を実施しております。

 

(2) マニュファクチュアリング事業

 当社グループは1990年に3Dプリンターを導入し、30年以上にわたり蓄積してきた3Dプリンティングにおける技術とノウハウ、並びに自社で保有する3Dプリンター等の造形設備を活用し、製品開発における評価・検証等に使用される試作部品や、最終製品に使用される量産部品の提供を行っております。また、3Dプリンターの販売・保守サポート、材料販売、3Dプリンティングにおける長年の経験と実績を活かし、3Dプリンターの新材料の開発、AM(※10)技術導入支援サービスも行っております。これらの3Dプリンターにおける幅広いケイパビリティを活用し、次の2つのワンストップサービスを提供できることが特徴です。

 

・3Dプリンターの活用を推進するワンストップサービス

 AMの特性を活かすための開発上流からのエンジニアリング支援と自社保有の3Dプリンターでのベンチマーキング製造にて性能評価を行った上で、適切な3Dプリンター装置の選定・販売が可能です。また装置の保守、3Dプリンター用の材料の開発及び販売のサービスを行っております。

 

・設計、データ作成から部品製造に至るまでの部品供給のワンストップサービス

 お客様が3次元データを持っていない場合、3次元データの作成から、用途に応じ適切な精度や材料にて部品を製造し納入するワンストップサービスです。当社設備で製造できない工法や加工については、協力会社と連携し部品製造をとりまとめることで一括して納入することが可能です。

 

※10 AM:Additive Manufacturing(積層造形で物体を作り上げる製造プロセス)

[デジタルものづくり領域]

■樹脂・金属3Dプリンティング

 当社グループは、顧客企業の開発期間短縮や開発精度を高めるため、用途や試験内容をあらかじめヒアリングし、弾性、強度、透明度、耐熱性など様々なパラメータをもとに、そのニーズに最適な工法を提案します。また、外注業者と協力し注型や鋳造、切削等の併用や、塗装やメッキ処理等の多様な二次処理により、そのまま機能評価試験に使用可能な風洞試験(※11)、衝突試験、組付確認(※12)向けなどの「試験モデル」や、金型を使わない少量多品種向けの「最終部品」の納品まで対応しております。

 当社グループは、国内最大級のハイエンド3Dプリンターのキャパシティを誇る光造形機・粉末造形機や金属造形機等の設備と、豊富な材料バリエーションにより、顧客企業の要望に合わせタイムリーなデリバリーを行っております。大和工場(神奈川県大和市)、及び豊田工場(愛知県豊田市)の2拠点に合計42台(2024年12月末時点、詳細は表に記載)を導入し、試作品から最終部品まで用途及び提案のバリエーションを拡大し、お客様のニーズに柔軟に対応する体制が整っております。最終部品の製造への対応として、大和工場には3Dプリンターによる量産ラインを構築しております。

 

※11 風洞試験:高速で移動する航空機・鉄道・自動車等や風の影響を受けやすい輸送機器を設計する際に行われる試験で、局所的な風速や圧力の分布や力、流れの可視化などを行うこと

※12 組付確認:設計の意図とおりに部品が組み付くか、また組付け作業を行う際の作業性などを確認する行為

 

 保有している3Dプリンターの台数と特徴

3D Systems社製

金属造形機

粉末造形機

光造形機

吊り下げ式光造形機

4台

8台

13台

9台

ステンレス鋼やアルミ合金等の金属粉末にレーザーを照射することで焼結

熱可塑性のナイロン系/ エラストマ系の粉末樹脂に炭酸ガスレーザーを照射することで粉末を焼結

光硬化性のエポキシ系液体樹脂に紫外線レーザーを照射することで樹脂を硬化

光硬化性のエポキシ系/アクリル系液体樹脂にプロジェクター投影されたLEDライトで面造形による硬化

ローラー方式で微細粉を高密度に粉敷し高い解像度・面粗さで造形。金属造形機としては標準的に広く普及しているレーザータイプの装置を保有。鋳造品と同等以上の機械特性があり、性能試験モデルで活用

本方式の主な材料であるPA12に加えて、自社開発材料のPA6やPPでの造形が可能。これらの材料は自動車の内外装に使用される代表的なプラスチックであり、エンジン回りの性能試験モデル、バンパーなどの組付モデルをより量産品に近い物性値をもったモデルの製造が可能

高耐熱・高透明の材料が特徴。透明な材料が使用できるため量産品では内部構造が見えない自動車のミッションケースの油流れ確認やワイヤーハーネスの組付け確認等の検証に使用されることが多い。また注型・鋳造等のマスターモデルで使用される。最新機はワークサイズが750ミリ角で業界最大クラス

高速造形で、高解像度なモデル品質を再現。同じ光硬化性の材料を使用する光造形機に比べて面造形できる新しい技術をもった造形機である。機能試作や最終製品製作などにも活用可能

 

3D Systems社製

HP社製

TRUMPF社製

インクジェット式造形機

粉末造形機

金属造形機

2台

5台

1台

プラスチック材料を吹き付ける「面造形」後、紫外線を使ってプラスチックを硬化

熱可塑性のナイロン系等の粉末樹脂にインクジェットとヒーターの熱反応で焼結

アルミ合金等の金属粉末にレーザーを照射することで焼結

解像度が高く、ほかの造形機では再現できないような微細造形や縮小モデルの製作に向く。主にフィギュアやプラモデルなど玩具モデルで活用

量産同等の物性を実現し、従来の3Dプリンターでは積層するZ方向の強度がXY平面の強度に比べて弱いという点がこの装置の方式では改善されている。そのため従来の試作の用途に加えて最終製品での活用が期待されている。実際に自動車、医療分野などで量産部品の実績あり

造形エリアが拡大し、材料マネジメントや造形プロセスのモニタリングシステムが充実。機能試作や最終製品などにも活用可能

 

 

 

■Additive Manufacturing技術導入支援

 近年、3Dプリンター装置やソフトウエア、造形材料の開発・進化が進み、AM(Additive Manufacturing)の適用範囲は広がっております。既存工法では実現の難しい性能や形状への対応が可能となる一方で、AM技術は既存工法と異なる点が多くあり、メリットを感じても実際の製品への適用へは多くのハードルがあります。そのようなお客様に対し、AM活用の加速に向けた共同プロジェクトを推進するサービスを提供しております。技術テーマに応じ、デザイン事業の設計領域や解析領域等のエンジニアメンバーも含めたチームを編成し幅広い対応が可能です。具体的には金属AM材料の開発研究・支援、AM(樹脂、金属)応用技術開発支援、AMを活用した設計効果検証、AM生産技術構築・生産プロセスの構築支援等を提供しております。

 

[3Dプリンター装置導入領域]

 当社グループは、3D Systems社及びHP社の日本国内正規代理店として、3Dプリンターの販売・運用サポート等を行っております。当社グループは、1990年から日本で最初に3D Systems社の造形機を導入し、日本でいち早く光造形の試作サービスを開始しているため、単なる装置販売や装置メーカーとの技術協力のみならず、長年蓄積した生産技術ノウハウを有効活用し、顧客企業が装置を導入する際には、そのニーズに合った生産技術も併せて提案する形で販売しております。また、3Dプリンターの各種材料販売並びに経験豊富なフィールドエンジニアによるメンテナンスサービスも行っております。

 

2. 当社グループの特徴

(1) デジタルものづくりの革新を牽引

 1990年の設立時に、日本の製造業が海外に遅れを取ることなく競争力を高めていくために、3D技術及び光造形技術を活用した製造業の開発支援を開始したことが当社グループの起源です。

 当初は3D CADを活用したエンジニアリングサービス及び光造形による試作事業を中心として事業を運営しておりましたが、その後、3D技術を始めとしたデジタル技術のニーズの高まりにより、これらの事業で得られた知見を活用して3D CADの活用強化やより高度な設計への対応、解析・MBD・ソフトウエア・XR・デジタルリスク等の各種エンジニアリングサービスの開始といったサービスの変遷が発生し、さらに製品開発の過程で得られたノウハウを活用し変革コンサルティングサービスも開始するなど、現在のデザイン事業の基礎が築かれました。この過程で、グループ全体としての収益構造が設備投資主体からエンジニアを主体とした収益の獲得へとシフトし、収益性の向上を進めて参りました。

 このように、3D技術からスタートし、それぞれの時代における最新のデジタル技術を積極的に取り入れ、自動車業界並びに製造業全体への3次元化に対する支援や、3Dデータを活用して金型製作期間を短縮するなど、デジタルものづくりの革新を牽引して参りました。

 現在においても、製品に対する市場・顧客からのニーズは多様化し、製品開発の現場ではそのニーズに応えるべく、日々変化が起こっております。例えば、自動車開発における自動運転や電気自動車に代表されるような製品開発における電子制御領域の拡大、電気化、コネクティッド化など急速な変化と技術開発が進んでいます。また、多様なニーズに応える製品を開発するため、3Dプリンターを有効活用した少量多品種なものづくりを可能とする技術への期待が高まり、同時に環境に配慮をしたエンジニアリングの重要性が増しております。

 このような背景の中、これからの技術として期待が高まっているMBDや3DプリンターによるAdditive Manufacturingの活用や量産品への適用、環境に配慮したものづくりへの取り組みをさらに加速するために、当社グループは2018年4月にSOLIZEテクノロジーラボ、2020年4月にデジタルマニュファクチャリング開発統括部(2024年1月に現 SOLIZE開発統括部へ名称変更)を研究開発部門として設立しました。

 SOLIZEテクノロジーラボは、次世代のものづくりのあり方についての調査・研究、先行開発を目的とし、社会課題を含むより長期的テーマへの取り組み、SOLIZE開発統括部は技術開発やお客様の技術課題への取り組みやお客様との共同研究など多様化するお客様のニーズへの対応を主要な活動と位置づけております。今後も技術への取り組みと人材育成を通じて、デジタルものづくりの革新に貢献して参ります。

 

(2) 実践力と変革力の両方を備え持つ独自のケイパビリティ

 当社の設立以降、事業を通じ多様な開発現場で培っているデジタルエンジニアリング、デジタルマニュファクチュアリングでのデジタルものづくりの実践力の提供を行って参りました。また、その経験から得たデジタル技術の習得やノウハウをもとに意思決定ロジック(暗黙知)まで踏み込む徹底した可視化・数値化技術をベースとした組織知を活性化させる当社独自の方法論に基づく部門横断での変革力の提供も行っております。この両方のケイパビリティを同時に保有し事業活動を実施していることは当社の独自性です。この独自性を最大限に発揮し、顧客に対し長期に渡る開発及び変革のパートナーとなり価値提供を行って参ります。

 

(3) グローバルでの開発支援体制及び優れた現地エンジニアの活用

 顧客企業においては、最終消費地のニーズをとらえて製品開発を行う必要性や、世界中のエンジニアの能力を活用するといった観点から、海外拠点に製品開発組織を設置し、ネットワークを介してデータを共有しながら製品開発を進めるといった、グローバルでの製品開発が進んでいます。

 当社グループにおいても、顧客企業のグローバル製品開発を支援する体制を持つこと及び、グローバルで優秀な人材を獲得することを目的として、日本、米国、中国、インド、欧州の5極体制を構築しております。

 特に、インド、米国については、2016年5月に、ESO(Engineering Services Outsourcing)の会社であるCSMグループのCSM Software Private Limited(現SOLIZE India Technologies Private Limited)及びCSM Software USA,LLC(現SOLIZE USA Corporation)を買収し、インド及び米国における支援体制をさらに強固なものとしております。また、インドについては、グローバルオフショアリングセンターと位置付け、世界中からの設計・解析業務を請け負う体制を構築しております。

 さらなるグローバルでの開発支援を目的として、2025年にタイ法人、カナダ法人の設立を計画しております。

 2024年末時点において、当社には自動車等の開発に従事することができるハイエンドエンジニアがグローバルに1,655名所属しています。内訳としては、日本1,389名、インド166名、米国63名、中国37名 となっております。

 

 

3. 当社グループの事業系統図

 当社グループの事業系統図は次のとおりです。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べて2,402百万円増加し、15,448百万円となりました。自己株式の処分等により現金及び預金が1,028百万円増加したほか、取引量の拡大等により売掛金が247百万円増加、商品が100百万円増加、契約資産が93百万円増加したこと等により、流動資産合計が1,638百万円増加、さらに、建物及び構築物等の有形固定資産が208百万円増加、投資有価証券等の投資その他の資産が521百万円増加したこと等により固定資産合計が739百万円増加したことが主な要因となっております。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べて594百万円増加し、3,970百万円となりました。未払金が194百万円増加、賞与引当金が193百万円増加、買掛金が134百万円増加、未払費用が117百万円増加したこと等が主な要因となっております。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べて1,808百万円増加し、11,478百万円となりました。自己株式の処分等により株主資本合計が1,719百万円増加したこと等が主な要因となっております。

 

②経営成績の状況

 当社グループを取巻く経済環境は、当連結会計年に発生した自動車産業における認証不正の問題により、厳しい状況からスタートすることとなりました。年度の後半には、落ち込んだ自動車産業の生産が正常化へ向かう方向となりましたが、欧州や中国など海外経済の減速の影響も加わり、景況感は横ばいの状態となりました。一方で、当社グループの主要顧客の製品設計開発に係る需要は製造販売の動向は、電動化や自動運転等の新規技術に関する開発意欲が依然として高く、強い需要が継続することとなりました。

 このような環境の中、当社グループは中長期の収益成長の一層の加速を意図し、エンジニア及びコンサルタントの増員を加速、東日本ブランチ、及び、西日本ブランチを増床、中部ブランチを移転・拡張、新宿、熊本にオフィスを新設したほか、最新型の光造形機に関連する設備の増強を行う等、生産能力の拡大を推進して参りました。また、収益に先行してエンジニア及びコンサルタントの増員を加速したことに加え、経営のスピード向上を意図した分社化、持株会社化等を目的とした管理人員の増強を行って参りました。

 これらの結果、当社グループの売上高は前連結会計年度より13.1%増加し22,713百万円、営業利益は48.6%減少し455百万円、経常利益は52.4%減少し416百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は56.1%減少し254百万円となりました。

(デザイン事業)

 デザイン事業の市場は、国内自動車産業の景況感としては横ばいの状況でありましたが、自動車産業の顧客を中心に前連結会計年度に引き続き、当社サービスに対する需要拡大の傾向が継続して参りました。

 このような環境の中、輸送用機器産業等における設計開発に係る受託、及び、エンジニア派遣サービス、さらに、ソフトウエア開発等の分野において受注を拡大し、インド現地法人 SOLIZE India Technologies Private Limitedにおいても3D CADのソフトウエア販売の受注拡大を継続して参りました。また、中長期の収益拡大の加速を目的としたエンジニア及びコンサルタントの採用活動を強化、増員したほか、分社化に関する活動及び関連する人員の増強を行って参りました。

 これらの結果、デザイン事業の売上高は前連結会計年度より15.2%増加し18,612百万円、セグメント利益は66.5%減少し334百万円となりました。

(マニュファクチュアリング事業)

 マニュファクチュアリング事業の市場における需要環境は、3Dプリンターによる試作品、及び、3Dプリンターに係る保守サービスに対する堅調な需要が継続、3Dプリンターの販売に対する需要は横ばいの傾向が継続することとなりました。特に相対的に利益率の高い試作品製造販売の需要回復継続が顕著となりました。

 このような環境の中、当社グループは、自動車関連企業や機械メーカーを中心とした当社グループ主要顧客に対する試作品サービス提供の拡大を継続して参りました。また、従前より販売を積み重ねて参りました3Dプリンター納入顧客に対するメンテナンスサービスや材料の供給等、保守サービスによる収益の増加も継続いたしました。さらに、マニュファクチュアリング事業の生産体制見直しによる合理化として横浜工場の移転・集約を実施し、販売費及び一般管理費を抑制することができました。

 これらの結果、マニュファクチュアリング事業の売上高は前連結会計年度より4.4%増加し4,101百万円、セグメント利益は前連結会計年度の112百万円の損失から大幅に改善し120百万円となりました。

 

(グループ全体)

 為替差益の減少等により営業外収益は1百万円減少し19百万円となりました。また、投資事業組合運用損の増加等により営業外費用は27百万円増加し57百万円となりました。当社グループのコーポレートベンチャーキャピタル投資先の有価証券に係る投資有価証券評価損等が増加したことにより、特別損失は10百万円増加し85百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,190百万円となり、前連結会計年度末と比較し1,010百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、297百万円の収入となりました。主なキャッシュ・フローの増加要因

は、税金等調整前当期純利益331百万円、減価償却費205百万円、賞与引当金の増加額192百万円、未払金の増加額168百万円等、主な減少要因は、売上債権及び契約資産の増加額359百万円、保証金・敷金の支払等その他の主たる営業活動254百万円、法人税等の支払額154百万円等となっております。前連結会計年度との比較では、営業活動によるキャッシュ・フローは191百万円減少しました。税金等調整前当期利益が470百万円減少、その他主たる営業活動が262百万円減少した一方、未払金の増減額が244百万円の支出減少となったこと、法人税等の支払額が206百万円減少したこと等が主な要因となっております。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、718百万円の支出となりました。主な支出の内訳は、コーポレートベン

チャーキャピタル等への出資による投資有価証券の取得300百万円、オフィスの拡張や3Dプリンター等有形固定資産の取得290百万円、生産及び教育用ソフトウエア等無形固定資産の取得66百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得47百万円となっております。前連結会計年度との比較では、投資活動によるキャッシュ・フローは442百万円の支出増加となりました。有形固定資産の取得による支出が182百万円増加、投資有価証券の取得による支出が163百万円増加、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が47百万円増加、無形固定資産の取得による支出が35百万円増加したこと等が主な要因となっております。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,384百万円の収入となりました。主な内訳は、自己株式の処分による収入が1,617百万円、配当金の支払額が178百万円等となっております。前連結会計年度との比較では、自己株式の取得による支出の減少により1,122百万円増加、自己株式の処分による収入の増加により1,617百万円増加したこと等により、財務活動によるキャッシュ・フローは2,723百万円の収入増加となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

マニュファクチュアリング事業

2,318

104.5

 (注)1.金額は製造原価によっております。

2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

3.デザイン事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

デザイン事業

18,696

115.3

894

114.7

マニュファクチュアリング事業

4,093

103.5

89

91.7

合計

22,789

113.0

984

112.1

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

デザイン事業

18,612

115.2

マニュファクチュアリング事業

4,101

104.4

合計

22,713

113.1

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

 前連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

 当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

本田技研工業株式会社

5,117

25.5

6,512

28.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態)

 当連結会計年度末の流動比率は334.0%となり引続き高い流動性を維持し、固定比率は24.9%となり安全性を維持しております。短期及び長期の借入債務はありません。

 

(経営成績)

 当社グループの主要顧客の属する自動車産業は、引き続き自動運転や新規技術による自動車の設計開発に関する技術について激しい競争環境におかれ、各社先行的に研究開発や新規技術の開発を促進している状況にあります。当連結会計年度の事業環境は、第1四半期より発生した自動車産業における認証不正の問題により、厳しい状況からスタートすることとなり、年度の後半には、台風等の自然災害からの復旧も進み、自動車産業の生産が正常化へ向かう方向となりましたが、欧州や中国など海外経済の減速の影響も加わり景況感は横ばいの状態となりました。しかしながら当社グループの主要顧客の製品設計開発に係る需要は製造販売の動向とは異なり、電動化や自動運転等の新規技術に関する開発意欲が高く、強い需要が継続することとなりました。

 このような環境の中、当社グループは中長期の収益成長の一層の加速を意図し、エンジニア及びコンサルタントの増員を拡大、東日本ブランチ、及び、西日本ブランチを増床、新宿、熊本にオフィスを新設したほか、最新型の光造形機に関連する設備の増強を行う等、生産能力の拡大を推進して参りました。また、経営のスピード向上を意図した分社化、持株会社化等を目的とした管理人員の増強を行って参りました。

 これらの結果、グループ全体として前連結会計年度に比べて増収、売上総利益増益、営業減益の結果となりました。

 また、当社グループは工業製品の設計開発の分野において、常に顧客よりも技術及び関連する知見について先行し、顧客サービスの品質向上とより広い顧客ニーズに応えるためのサービス分野の拡大を重要な戦略の一つとしております。そのため、このような技術及び知見の発展と蓄積、及び、実際にこれらを推進することのできるエンジニアやコンサルタントの人財開発を重点的に行い、将来のリターン獲得を目的として研究開発費以外に投資的費用610百万円を費用計上しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、自動車産業を中心とする製造事業者に対して、当社グループエンジニアによる製品開発・設計の請負サービス、及びエンジニア派遣サービスを提供、また3Dプリンター等の造形設備を利用した試作モデル製造販売及び少量多品種製品の製造販売を行っております。そのため当社グループには、エンジニアやコンサルタント等人財への投資、製品の設計開発を行う専用ハードウエア及びソフトウエア等のツールへの投資、3D造形設備への投資、及びその原材料費の支払や人件費等運転資金に対して資金の需要があります。当連結会計年度においては外部からの借入等による資金調達の必要は無く、これらの資金需要に対して自己資本で賄っております。流動性について、当連結会計年度末において7,190百万円の現金及び現金同等物を保有し、当社グループの事業運営上十分な流動性を確保していると考えております。当連結会計年度末における自己資本比率は74.3%となっており今後も安全性の高い資本構成を継続する考えであります。2016年に実施したCSM Software Private Limited(現SOLIZE India Technologies Private Limited)及びCSM Software USA,LLC(現SOLIZE USA Corporation)の買収時のように、一時的にまとまった資金需要が発生し、資金の流動性が低下するリスクがあるため、借入等機動的な資金調達ができる体制の構築を進めて参ります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表[注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下の

とおりであります。

(固定資産の減損)

 当社グループは、継続的に収支の把握を行っている管理会計上の事業区分に基づき資産のグルーピングをし、減損の兆候の有無を判定しております。減損の兆候があった場合、将来キャッシュ・フローを見積り、減損の要否を判定しております。判定の結果、減損が必要と判断された資産については、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性の判断をしております。将来の

課税所得に関する予測は、中期経営計画等をもとに行っているため、経営環境等の変化により、課税所得の見積りの変更が必要となった場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するため、当社グループでは売上高対前年増加率及び営業利益額を重視するとともに、売上高の大部分を占める構成要素である国内エンジニア数(含 コンサルタント)を客観的な指標としております。顧客ニーズに応えるため、提供するサービスのラインナップを拡充、グローバルにもサービス提供ができるキャパシティを確保することを目指し、売上高の成長率を重要な目標と考えております。また、当社グループサービスの本業による付加価値の拡大を目指し、営業利益の成長を重要な目標と考えております。
 当連結会計年度においては、売上高対前年増加率13.1%、営業利益は455百万円となりました。また、国内エンジニア数(含 コンサルタント)は1,389名(対前年比106名増加)となりました。推移は以下のとおりです。

 

2020年

12月期

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

2024年

12月期

国内エンジニア数(人)

1,060

1,101

1,205

1,283

1,389

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

 当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 当社グループの各事業本部は、取り扱う製品・サービスについて国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。

 したがって、当社グループは、3D技術を核とする製品開発ノウハウに基づいた「エンジニアリング」を基礎とした製品・サービス別のセグメントから構成されており、「デザイン事業」及び「マニュファクチュアリング事業」の2つを報告セグメントとしております。

 「デザイン事業」は、製品開発及び企業のビジネスモデル変革等をサポートしております。「マニュファクチュアリング事業」は、製品開発における評価・検証モデルの提供及び3Dプリンター等の販売・運用サポート等を行っております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法

 報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表を作成するために採用される会計方針に準拠した方法であります。

 報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。

 セグメント間の内部売上高及び振替高は市場実勢価格に基づいております。

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報及び収益の分解情報

前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

連結財務諸表計上額

(注)

 

デザイン事業

マニュファクチュアリング事業

売上高

 

 

 

 

 

一時点で移転される財

又はサービス

598

3,681

4,279

4,279

一定の期間にわたり移転

される財又はサービス

15,556

245

15,802

15,802

顧客との契約から生じる収益

16,154

3,927

20,081

20,081

その他収益

外部顧客への売上高

16,154

3,927

20,081

20,081

セグメント間の内部売上高又は振替高

16

104

120

△120

 計

16,170

4,031

20,201

△120

20,081

セグメント利益又は損失(△)

998

△112

885

885

セグメント資産

10,385

2,659

13,045

13,045

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費

111

82

193

193

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

62

77

139

139

(注)セグメント利益又は損失(△)は、連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。

 

当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

連結財務諸表計上額

(注)

 

デザイン事業

マニュファクチュアリング事業

売上高

 

 

 

 

 

一時点で移転される財

又はサービス

1,002

3,845

4,848

4,848

一定の期間にわたり移転

される財又はサービス

17,609

255

17,865

17,865

顧客との契約から生じる収益

18,612

4,101

22,713

22,713

その他収益

外部顧客への売上高

18,612

4,101

22,713

22,713

セグメント間の内部売上高又は振替高

22

39

61

△61

 計

18,635

4,140

22,775

△61

22,713

セグメント利益

334

120

455

455

セグメント資産

12,493

2,954

15,448

15,448

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費

135

70

205

205

減損損失

6

6

6

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

309

107

417

417

(注)セグメント利益は、連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

 セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 

 

(単位:百万円)

日本

その他

合計

17,231

2,850

20,081

 

(2)有形固定資産

 本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

 

 

(単位:百万円)

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

本田技研工業株式会社

5,117

デザイン事業、

マニュファクチュアリング事業

 

 

 

当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

 セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 

 

(単位:百万円)

日本

その他

合計

19,185

3,528

22,713

 

(2)有形固定資産

 本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

 

 

(単位:百万円)

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

本田技研工業株式会社

6,512

デザイン事業、

マニュファクチュアリング事業

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)

 セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

デザイン事業

マニュファクチュアリング事業

全社・消去

合計

当期償却額

17

17

当期末残高

45

45

 

当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

デザイン事業

マニュファクチュアリング事業

全社・消去

合計

当期償却額

24

24

当期末残高

43

43

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

 該当事項はありません。