人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数14,930名(単体) 48,660名(連結)
-
平均年齢46.0歳(単体)
-
平均勤続年数20.3年(単体)
-
平均年収7,087,320円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
|
2025年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
ウォーターテクノロジー事業 |
28,606 |
(2,950) |
ハウジングテクノロジー事業 |
18,823 |
(3,156) |
全社共通部門 |
1,231 |
(107) |
合計 |
48,660 |
(6,213) |
(注)1.従業員数は就業人員であり、パートタイマー、嘱託、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
2.全社共通部門として記載されている従業員数は、特定の事業に区分できない管理部門に所属しているものです。
(2)提出会社の状況
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2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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14,930 |
(2,567) |
46.0 |
20.3 |
7,087,320 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
ウォーターテクノロジー事業 |
6,042 |
(845) |
ハウジングテクノロジー事業 |
7,666 |
(1,615) |
全社共通部門 |
1,222 |
(107) |
合計 |
14,930 |
(2,567) |
(注)1.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
2.従業員数は就業人員であり、パートタイマー、嘱託、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
(3)労働組合の状況
会社名 |
組合名 |
組合員数(人) |
株式会社LIXIL |
LIXIL労働組合 |
12,281 |
労使関係については良好であり、特記すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
当社グループは、「インパクト戦略」(注)の優先取り組み分野の一つである「多様性の尊重」において、2030年3月期までに当社グループ全体にインクルージョン文化の浸透とジェンダー不均衡を是正する目標を掲げ、取り組んでいます。また、かねてより全従業員が性別、年齢、人種等に関わらず、いきいきと活躍できる職場環境と制度づくりを優先事項とし、改革を実行してきました。
(注)「インパクト戦略」の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。
女性人材の採用・育成・登用の取組み
2030年3月期までに全世界の女性管理職比率30%を目指し、主要ポジションの後継者育成計画策定におけるPeople & Organizational Development(POD:人材組織レビュー)プロセスに、D&Iの視点を組み込んでいます。これにより、全社的に将来有望な女性人材の発掘を強化しています。2025年3月期のレビューでは、後継者候補として選抜された従業員に占める女性の割合は26%、ハイポテンシャル人材として特定された従業員に占める女性の割合は31%となりました。また、PODのフォローアップ施策のひとつとして、特定された女性タレントを対象に、自らのキャリア観の共有とリーダーシップを発揮するための「女性タレントアウトリーチプログラム」を実施しています。このプログラムは、役員と女性タレントの対面セッションを通じて、相互理解を深め、組織づくりに寄与することを目的としており、対象となる女性タレントには、ネットワーキング、能力開発、キャリア開発の機会を提供し、昇進・育成を推進します。2024年3月期に国内で開始以降、61名の女性人材が参加し、育成が進んでいます。また、選抜型の次世代人材育成プログラム「NEXTプログラム」においても、有望な女性従業員の育成を積極的に行っています。採用においては、将来の女性管理職候補を増やすため、新卒採用における女性比率50%の目標を掲げ、女性の応募者層拡大に向けた採用活動を推進しています。
仕事と家庭の両立を支援する働きやすい職場づくり
従業員が多様なライフステージにおいて高いパフォーマンスを維持できるよう、性別や年齢に関わらず、柔軟な働き方を支援する仕組みとして、テレワーク制度やスーパーフレックス制度を導入しています。さらに、仕事と家庭の両立支援として、育児時短制度の拡充、産後パパ育休(出生時育児休業)の導入、当社独自の配偶者出産・育児休暇(ぱぱの子育て休暇)の導入・拡充などを実施し、女性従業員が出産や育児に直面してもキャリアを継続しやすい制度構築に加え、育児に参画する男性従業員にとっても働きやすい職場環境づくりを積極的に進めています。
これらの取組みにより、当社における男性従業員の育児休業取得率については90.7%と、3年前と比較して13.7%増加しました。一方で、所属部門や業務内容によって取得率に差が見られるため、引き続き、取得対象者への個別周知や利用促進、周囲の理解醸成といった環境整備を進めていきます。
また、男女の賃金の差異については、61.2%となり、過去3年間でその差は縮小傾向にあります。また、職位別平均基本給における男女の差異は90%を超える水準であり、同一職位においては同等の報酬水準を実現しています。一方で、2014年以前に導入していた転勤のある総合職と転勤のない専門職・専任職という異なる給与体系の3つの等級制度の影響により、現在も一部の職種で男女の等級構成に差が残り、賃金差に繋がっています。この課題に対しては、引き続き、解消に向けた取組みを継続していきます。
当社グループでは、さらなるD&Iの推進と実力主義の徹底を通じて、性別、年齢、職種などに関わらず多様な人材が公正に活躍できる制度や取り組みを推進し、ジェンダー不均衡の是正に取り組んでいきます。
提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める 女性労働者の割合(%) (注)2 |
男性労働者の 育児休業取得率(%) (注)3、4 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)2、5 |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
||
7.5 |
90.7 |
61.2 |
66.9 |
93.5 |
(注)1.本数値は、第三者保証を取得済です。上記データを含むESG関連のデータの保証声明書については、当社グループウェブサイト>インパクト>ESGデータ・方針>ESGデータのページに掲載しています。
2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
4.直雇用の従業員のみを対象としています。当社独自の育児目的休暇である「配偶者出産・育児休暇(ぱぱの子育て休暇)」を含んでいます。
5.賃金には基本給のほか時間外勤務手当等の基準外賃金及び賞与を含んでいます。
連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める 女性労働者の割合 (%) (注)2 |
男性労働者の 育児休業取得率 (%) (注)3、4 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)5、6 |
||
全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・ 有期労働者 |
|||
株式会社LIXILトータルサービス |
- |
50.0 |
57.9 |
67.0 |
82.2 |
株式会社LIXILトータル販売 |
- |
90.0 |
70.1 |
77.3 |
63.9 |
Gテリア株式会社 |
- |
27.3 |
73.0 |
75.6 |
46.8 |
株式会社LIXILリアルティ |
- |
42.9 |
67.8 |
67.8 |
60.9 |
株式会社LIXIL住生活ソリューション |
- |
- |
46.6 |
78.6 |
70.4 |
(注)1.本数値は、第三者保証取得済です。上記データを含むESG関連のデータの保証声明書については、当社グループウェブサイト>インパクト>ESGデータ・方針>ESGデータのページに掲載しています。
2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、開示対象となる連結子会社は該当ありません。
3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
4.直雇用の従業員のみを対象としています。当社独自の育児目的休暇である「配偶者出産・育児休暇(ぱぱの子育て休暇)」を含んでいます。
5.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
6.賃金には基本給のほか時間外勤務手当等の基準外賃金及び賞与を含んでいます。なお、手当等支給内容が異なる賃金は、各子会社毎の基礎にて算出しています。
補足データ:株式会社LIXIL
■従業員職種別比率(2025年3月31日現在)
区分 |
男性 |
女性 |
正社員 |
93.6% |
72.5% |
契約社員 |
6.4% |
27.5% |
(注)正社員数には、当社から社外への出向者を含み、社外から当社への出向者を除いています。
■職位別平均基本給における男女の差異(2025年3月31日現在)
職位 |
男女の基本給の差異 |
統括・事業部長職クラス |
112.4% |
部長職クラス |
108.7% |
課長職クラス |
97.7% |
係長職クラス |
91.9% |
一般クラス |
98.0% |
■勤務地限定社員制度の男女別適用比率(2025年3月31日現在)
区分 |
男性 |
女性 |
適用なし |
58.6% |
21.8% |
適用あり |
41.4% |
78.2% |
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
当社グループでは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」というLIXILのPurpose(存在意義)の達成を目指し、事業に関連した社会・環境課題の解決に取り組んでいます。
2021年3月期に導入されたLIXIL Playbookは、持続可能な成長と価値創造を実現し、LIXILのPurposeに向けた道筋を示しています。何を目指し、どのように達成するのかを明確にすることで、全従業員が同じ方向に向かって力を結集させることができます。2023年3月期には、事業環境の急速な変化に対応するため、LIXIL Playbookを更新しました。当時の課題を反映して追加した「インフレーションとサプライチェーンにおける課題への対応」「環境戦略の事業戦略への統合」を含め、「変革」「成長」「革新」の5つの戦略的優先課題に注力して取り組みを進めています。
当社グループのサステナビリティに関する戦略であるインパクト戦略はLIXIL Playbookの推進を支える基盤であり、緊急性の高い世界的な社会課題に対し、自社の事業を通じてインパクト(良い影響)を生み出す姿勢を明確化しています。インパクト戦略を事業活動と融合して推進することで事業成長や企業価値向上に注力します。この戦略は3つの優先取り組み分野で構成されており、グローバル企業としての社会・環境に対するコミットメントにとどまらず、収益性の向上、ブランド・エクイティの強化、長期的な価値創造を目指すものです。
※ 上図「注力」における対応はほぼ完了しています。
重要課題について
当社グループの重要課題は、社会の情勢や課題とともに、LIXILのPurposeや価値創造プロセス、経営の基本的方向性、インパクト戦略、ステークホルダーのニーズや期待などを踏まえて、課題を抽出しています。そして重要課題の評価プロセスにより、インパクト、リスク、機会(IROs)の評価を行い、事業活動や社会への影響の両面から、重要課題を特定しています。また、インパクト戦略に関する施策や実績の評価を確実かつ定期的に行う上で、事業リスクの管理と重要課題の検証プロセスが統合され、相互補完的な関係となるよう考慮しています。
なお重要課題は、特に関連するインパクト、リスクおよび機会に焦点を当て、1年に1回は検証を実施し、3年に1回を目処に評価および特定を行っています。2025年3月期は、評価および特定を実施しました。
2025年3月期は、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の開示要求の詳細を定めた欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)に基づき、ダブルマテリアリティの考え方を取り入れた評価プロセスを実施しました。将来的なCSRDの域外適用を視野に入れ、まずはハイレベルでの検討から着手しています。
重要課題の特定・評価プロセスにおいてステークホルダーエンゲージメントを活用し、インパクト戦略委員会での検証および執行役会の承認を経て、開示を行っています。
ダブルマテリアリティ評価プロセス
重要課題 |
取組 |
環境マネジメント |
環境ガバナンス体制の強化、環境監査や環境教育などの実施により、環境戦略の実行基盤を強化し、環境パフォーマンスを向上させる。環境に関する国際条約や事業活動地域における法規制、社会的規範を含めたより高い水準の自主基準を順守するために、取引先と連携して化学物質の適正管理と使用量削減を進め、環境汚染物質の排出を抑制する。 |
気候変動対策 |
2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指し、事業プロセスにおけるエネルギー使用量の削減、再生可能エネルギーへの移行や燃料転換に取り組む。また、環境に配慮した製品・サービスの提供やステークホルダーとの連携を通じて、社会全体でのCO2排出量削減および自然災害や気温上昇などによる被害を軽減し、気候変動への緩和と適応に貢献する。 |
グローバルな衛生課題の解決 |
すべての人びとのよりよい衛生設備へのアクセスを実現すべく、製品イノベーションやパートナーとの市場エコシステム構築を通じて、経済的機会の創出、人びとの健康やコミュニティにおける生活の質の向上に取り組む。 |
サイバーセキュリティ |
LIXILが保有する情報資産の保護と効率的かつ安全な事業運営のため、サイバー攻撃の脅威に対するリスクマネジメントとセキュリティ対策を実施する。また、LIXILで働くすべての人が事業活動のあらゆる場面で予防措置を講じ、リスクに迅速に対応できるよう、従業員教育や啓発活動を行う。 |
資源の循環利用の促進 |
限りある資源の持続的な利用に向け、ライフサイクル全体での環境負荷低減に配慮した設計を推進し、原材料の使用量削減やリサイクル材・再生可能な素材の利用、資源をより長く効率的に使える製品・サービスの提供に取り組む。また、事業プロセスで発生する廃棄物の削減や使用後の製品の再資源化をステークホルダーと連携して推進するとともに、再資源化が困難な廃棄物の解決にも取り組み、社会全体での環境負荷低減に貢献する。 |
人権 |
「LIXIL行動指針」と「LIXIL人権方針」に基づき、すべてのステークホルダーの人権を尊重し、継続的なデューデリジェンスと懸念報告(内部通報)制度により、リスクの特定と是正・救済に努める。また、サプライヤーに対しては「調達先行動指針」に基づき、人権尊重をはじめ倫理的に行動することを要請し、取り組みの状況をモニタリングする。 |
人材と能力開発 |
従業員が価値創造の原動力であるという認識のもと、体系的な人材育成に取り組み、従業員一人ひとりの自発的なキャリア開発を支援する。また、世界的な労働者の高齢化や熟練労働者の不足による事業活動への負の影響を低減するため、バリューチェーンにおける人材育成プログラムや熟練労働者の育成を目的とした学校教育・職業訓練に投資する。 |
製品イノベーション |
最高品質のモノづくり・サービスの追求を志し、イノベーションを促進する職場環境を築き、日々の暮らしの課題を解決し、環境・社会にインパクト(良い影響)をもたらす革新的な製品・サービスを提供する。持続可能なイノベーションと価値創造を担保する知的財産戦略を実行する。 |
生物多様性の保全 |
事業活動における自然資本や生物多様性への依存と影響を特定し、リスクと機会を把握することで、自然の損失と変化がもたらす影響に対処し持続可能な自然の利用に取り組む。適切な情報開示やバリューチェーンにおける自然損失の回避・最小化に向けた製品・サービスの提供に加えて、自然を再生・回復する取り組みを推進し、ステークホルダーと連携して生物多様性保全に貢献するビジネスモデルの構築を目指す。 |
多様性の尊重 |
ダイバーシティ&インクルージョン文化を促進する。ジェンダー不均衡をはじめとする格差を是正し、誰もが能力を最大限に発揮できる職場環境と公平な機会を提供する。また、バリューチェーンにおけるリスクを把握し、改善に向けた取り組みを支援する。 |
ビジネスコンダクト |
事業活動のあらゆる場面において「LIXIL行動指針」と「LIXIL Behaviors(3つの行動)」を実践する。不正・違反行為の未然防止や早期対処のため、通報者保護策を講じた懸念報告(内部通報)制度を運営する。サプライチェーン上の課題に対応するため、「調達先行動指針」の周知と継続的な対話を通じてサプライヤーとの連携強化を推進する。 |
水の持続可能性の追求 |
水まわり製品のリーディングカンパニーとして、節水性能が高い製品・サービスや、安全性を高めたおいしい水の提供を通じて、水の持続可能性を追求する。また、事業プロセスにおける水リスクを特定し、水不足拠点を中心に水使用量の削減、排水管理、水循環システムの導入などの水管理プログラムを実施し、使用効率向上によって責任ある水の使用に取り組む。 |
労働者のウェルビーイング |
従業員の心身の安全と健康のため、健康経営を推進し、労働安全衛生マネジメント指標を改善する。また、多様で柔軟な働き方を実現するため、事業ニーズと社会ニーズに合致する従業員支援制度を導入し、適正な賃金支払いと長時間労働への対応に取り組む。さらに、取引先のリスクを把握し、改善への取り組みを支援する。 |
(1) ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ関連の課題に戦略的に取り組むため、Impact戦略担当執行役を委員長とする「インパクト戦略委員会」を設置しています。
当社グループ全体で迅速かつ適切な対応を行うため、インパクト戦略委員会のメンバーには、コーポレート部門及び事業部門を統括する執行役並びに部門長が任命されています。また、必要な場合は外部の有識者など、社内外のステークホルダーに会議への出席を求め、インパクト戦略を推進する上で重要な意見を取り入れています。委員会は原則として四半期に1回開催し、必要に応じて委員長が臨時に委員会を招集します。
インパクト戦略委員会での討議・審議結果は、遅滞なく執行役会に報告されています。インパクト戦略、または重要課題の更新など、執行役会の審議を必要とするものは、インパクト戦略委員会での議論を踏まえて執行役会に上申され、決議されています。また、取締役会は、中長期的な企業価値向上の観点から、執行役会が策定するインパクト戦略について、その妥当性・実現可能性等を検討した上で、その内容を承認しています。インパクト戦略の推進状況について、取締役会は半期に1回報告を受け、目標に対する進捗状況並びに課題を把握し、対応策の検討等の議論を通じて、戦略の実施を監督しています。
こうした体制整備により、LIXILを取り巻くグローバルな社会課題の変化に迅速かつ適切に対応することを可能にしています。
また、委員会での決定事項は、推進責任者である各担当執行役及び部門長が担当部門に周知することで、具体的な取り組みへと展開されています。
インパクト戦略委員会では、グローバル衛生審議会、環境戦略審議会、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)審議会より、インパクト戦略における3つの優先取り組み分野の活動の進捗が各回で報告されるほか、その他の社会・環境課題や情報開示についても討議を行っています。
当連結会計年度の主な議題:
・インパクト戦略 3つの優先取り組み分野の進捗
・特定原材料のモニタリング
・ESGデータガバナンス構築
・重要課題の更新に向けたダブルマテリアリティ評価
(2025年4月現在)
(2) 戦略
当社グループのインパクト戦略では、当社グループが専門性を活かして大きなインパクトを生み出すことができる「グローバルな衛生課題の解決」「水の保全と環境保護」「多様性の尊重」を3つの優先取り組み分野に定めています。現在、そして未来を見据え、インパクト戦略を事業戦略に組み込み、水まわり製品と住宅設備における知識や規模を活かしながら、従業員やパートナー、さらには地域住民など様々なステークホルダーの皆さまと協働して取り組みを進めています。
なお、インパクト戦略の各取り組みにおいては、設定した指標と目標に基づいて、その進捗や成果を毎年確認しながら、目標達成に向けて尽力しています。
■グローバルな衛生課題の解決
革新的で低価格なトイレや衛生ソリューションを提供することにより、2025年までに1億人の人びとの衛生環境の改善を通じて生活の質の向上に貢献することを目指しています。
当社グループは、目標達成に向け、途上国向けの衛生製品を開発・提供するSATO事業を基軸に取り組みを推進しています。地域の特性やニーズに合わせた開発を行い、現在では製品・備品のポートフォリオを拡充し、低価格で耐久性に優れた衛生ソリューションで、これまでにおよそ8,200万人の衛生環境改善に貢献しています(当連結会計年度末時点)。生活の質の向上とともに、市場ニーズが安価なSATOブランド製品から上位製品へ移行することを想定しています。
さらに、製品ソリューションの提供に留まらない取り組みを実施することで、持続可能な衛生市場の創設に貢献しています。SATO事業では、現地における職人や実業家の育成のほか、Make(作る)、Sell(売る)、Use(使う)というサイクルを回す現地の生産・販売体制の構築など、総合的なアプローチを推進しています。また、特に深刻な衛生課題を抱える農村や都市部の住民に対しては、独創的な啓発活動を通じて、世界の衛生課題に関する理解を促進しています。インパクトの最大化に向け、国際連合児童基金(ユニセフ)、FINISH Mondialなど、水と衛生分野の専門性を備えた、影響力を持つ様々な国際機関や現地組織、地方自治体、専門機関、NGO、ビジネスパートナーとの連携を強化し、現地における人材育成やサプライチェーン構築、事業創出・雇用創出などを含めた衛生市場の確立に向けたインパクトが、自立的・持続的に広がることを目指して、今後も取り組みを推進していきます。
水と衛生分野の課題解決に向けては、世界各地で進む行政による投資及び取り組みと、民間企業が持つ専門的な知見や革新的な技術を効果的に組み合わせることで、より大規模なインパクトを実現できます。当社グループ初の公共部門とのエンゲージメントに特化したプラットフォームであるLIXIL Public Partners(LPP)は、政府などの公共部門をはじめとする主要ステークホルダーとの連携を促進し、シナジーの最大化を図ることを目的に設立されました。SATO事業などの既存の取り組みをベースに、LPPは政府、NGO、学術機関と協働し、衛生分野における革新的な製品やソリューションを提供しています。
■水の保全と環境保護
「LIXIL環境ビジョン2050」では、「Zero Carbon and Circular Living(CO2ゼロと循環型の暮らし)」を掲げ、環境に関する重要課題のうち「気候変動対策」「水の持続可能性の追求」「資源の循環利用の促進」の3つを、ビジョン実現に向けた重点領域に定めています。重点領域を推進するための共通の基盤として、製品イノベーションによるライフサイクルを通じた環境負荷の低減、及び全社の環境マネジメントの強化、各領域に深く関連する生物多様性の保全にも取り組んでいます。2050年までに、環境分野のリーディングカンパニーを目指し、事業プロセスと製品・サービスを通じてCO2の排出量を実質ゼロにし、水の恩恵と限りある資源を次世代につなぎます。
・「気候変動対策」
当社グループでは、事業プロセスにおける環境負荷低減に努めると同時に、環境に配慮した製品やサービスの提供を通じて2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指します。さらに、当社グループの事業プロセス及び製品やサービスにおける直接的な排出にとどまらず、社会全体におけるCO2排出量の削減に貢献することが重要と捉えています。また、気候変動の影響による雨量の増加、大型台風などの自然災害、気温上昇などによる被害の軽減に貢献する製品・サービスを提供し、気候変動への適応策を推進しています。
・「水の持続可能性の追求」
当社グループでは、トイレやキッチン、バスルーム、水栓などを提供する水回り製品のリーディングカンパニーとして、次世代を含む誰もが水の恩恵を最大限に活用できるよう、世界各地で水の持続可能性を追求しています。その実現に向け、水を保全するのと同時に、最大利用と価値創造を目指した取り組みを進めています。事業プロセスにおける水使用効率の向上や水不足拠点における水使用量の削減、節水関連の製品・サービスによる水使用削減への貢献などを通じて、責任ある水の使用を推進します。また、上下水道の整備が十分でない地域においては、水へのアクセス向上と安全で衛生的な水の提供に向けて政府などの公共部門と取り組んでいます。さらに水道水へのアクセスがある地域においては、浄水技術により、安全性を高めたおいしい水を提供します。
・「資源の循環利用の促進」
当社グループでは、金属、木材、樹脂、セラミックなど、様々な原材料を使用しています。原材料の調達から製造、使用、廃棄までの製品ライフサイクル全体において、原材料の持続可能な利用や資源循環の取り組みを全社で推進しています。リサイクル素材の活用や再利用に配慮した設計といった循環型のものづくりを推進するほか、「LIXILプラスチック行動宣言」のもと、プラスチックの使用量削減や循環利用、代替素材の開発などに取り組んでいます。
■多様性の尊重
当社グループは、お客さまの多様なニーズに合った革新的な製品やサービスの提供に取り組んでいます。顧客志向を徹底し、様々なニーズに対応したイノベーションや持続可能な成長を実現していく上で、多様な従業員の潜在能力を引き出すことができる公平でインクルーシブな環境の構築が重要であると考え、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」を推進しています。
2018年3月期に「D&I宣言」を発表し、2020年3月にD&Iをグローバルに推進する部署を設置し、全社共通の施策の展開に取り組んできました。また、2021年3月期には、CEOを議長とし執行役と部門長で構成されるD&I委員会を設立して、D&I戦略や推進施策を更新しました。D&I推進のフェーズが全社的な戦略及び施策の策定から各部門を主体とする活動に移ったことに伴い、2025年3月期からはD&I委員会を部門長のみで構成されるD&I審議会へ改編し、各部門の現状を踏まえた上で活発な議論を行い、取り組みを推進しています。
戦略では、2030年3月期までに当社グループ全体にインクルージョンの文化を定着させ、ジェンダー不均衡を是正することを目標に掲げています。男女間賃金格差や女性管理職比率の低さなど当社グループが抱える課題を認識した上で、目標達成に向けたアクションプランを策定し、人事制度や人材育成、職場環境づくりにおいてD&Iの観点を組み込んだ施策を段階的に進めています。
従業員は価値創造における最大の原動力です。私たちは、これらの取り組みを通じて従業員がその力を発揮することによって生まれるイノベーションや社内外との様々なコラボレーションを通じて、多様化する顧客ニーズに応え、年齢、性別、障がいの有無を問わずすべての人びとの健康で快適な暮らしを支えることを目指しています。
その重要な取り組みの一つとして、誰もが利用しやすいユニバーサルデザイン(UD)を組み込んだ水まわり製品・住宅建材やサービスの開発及び提供を行うなど、事業を通じて「インクルーシブな社会の実現」に貢献しています。
また、エンドユーザーのニーズに応えるだけでなく、UDウェブサイトやパブリックトイレの情報に特化した「LIXILパブリックトイレラボ」などを通じた情報発信、障がいのある方への理解を促進する啓発活動や大学との共同研究などにも取り組むことで、社会により良い変化をもたらしています。
(3) リスク管理
当社グループは、事業活動を通じて世の中に与えるインパクトを最大化するため、重要課題の評価プロセスにより、事業活動や社会への影響の両面からインパクト、リスク、機会(IROs)の評価を行っています。インパクト戦略に関する施策や実績の評価を確実かつ定期的に行う上で、事業リスクの管理と重要課題の検証プロセスが統合され、相互補完的な関係となるよう考慮しています。なお重要課題は、特に関連するインパクト、リスクおよび機会に焦点を当て、1年に1回は検証を実施し、3年に1回を目処に特定および評価を行っています。重要課題に関するIROsの管理と、当社グループにおける事業等のリスクの統合は今後進めていく予定です。
当社グループにおける事業等のリスクについての詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
(4) 指標及び目標
指標 |
目標 |
当連結会計年度 実績 |
|
グローバルな 衛生課題の解決 |
衛生環境の改善に関する取り組みを通じた生活の質の向上 |
2025年までに1億人 |
約8,200万人(注)1 |
水の保全と 環境保護 |
Scope 1 & 2によるCO2排出量 |
2031年3月期までに50.4%削減(2019年3月期比) |
△46.9% (2025年3月期排出量: 602千t‐CO2(注)2) |
Scope 3によるCO2排出量 |
2031年3月期までに30%削減(2019年3月期比) |
△21.6%(2024年3月期) (2024年3月期排出量: 7,196千t‐CO2) |
|
新築戸建住宅向け高性能窓の販売構成比(日本) |
2026年3月期までに100% |
97% |
|
節湯水栓、節水型トイレの販売構成比(日本)(注)3 |
2031年3月期までに100% |
節湯水栓 94.5% 節水型トイレ 99.4% |
|
水使用効率向上 |
2031年3月期までに20%向上(2019年3月期比) |
+23.6%(2024年3月期) |
|
節水製品による水使用削減貢献量 |
2025年3月期までに年間20億㎥ |
13億㎥(2024年3月期) |
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廃棄物などのリサイクル率 |
2026年3月期までに90% |
92.8%(2024年3月期) |
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リサイクルアルミの使用比率(注)4 |
2031年3月期までに100% |
80% |
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多様性の尊重 |
女性取締役・執行役比率(注)5 |
2030年3月期までに50% |
37.5%(注)6 |
全世界の女性管理職比率(注)7 |
2030年3月期までに30% |
17.4%(注)2 |
|
日本の新卒女性比率(注)8 |
50% |
47.8% |
(注)1.当社グループウェブサイト>インパクト>グローバルな衛生課題の解決 「LIXILのグローバルな衛生課題の解決におけるインパクト算定・報告ガイドライン (2024年6月25日)」および当社グループウェブサイト>インパクト>インパクト戦略>目標と実績ページを参照ください。
2.2025年3月期の実績値は、第三者保証を取得済です。上記データを含むESG関連のデータの保証声明書については、当社グループウェブサイト>インパクト>ESGデータ・方針>ESGデータのページに掲載しています。
3.節湯水栓については、湯はり専用や全身浴などの節湯水栓の用途に該当しない商品を除いており、節水型トイレについては、一部の集合住宅向けを除いています。
4.6063材を対象としています。
5.女性取締役・執行役比率は、3月31日時点の人数に基づき算出します。
6.有価証券報告書提出日(2025年6月18日)時点では31.3%です。
7.対象は国内及び海外の直雇用従業員です。ただし、売却された子会社及び従業員数100人以下の国内子会社は除いています。
8.対象は当社の大学卒・大学院卒の新卒入社者です。当連結会計年度の実績は、2025年4月1日付入社の比率を記載しています。
気候変動、自然資本及び生物多様性を含む環境課題に関する情報開示(TCFD・TNFD提言への対応について)
2019年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明し、2022年3月期報告からTCFD提言に基づいた情報開示を行っています。2023年12月には自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に賛同しTNFDフォーラムへ参画、2024年1月にはTNFD Early Adopter(早期採用者)に登録しました。これを受け、2024年3月期報告からはこれまでの気候変動を含む環境課題に関する情報開示に包含されている自然関連課題の情報を関連づけ、TCFD・TNFD提言に基づく気候変動、自然資本及び生物多様性を含む環境課題に関する情報開示として統合しました。
<ガバナンス>
当社グループでは、執行役会から任命を受けた担当役員が委員長を務める環境戦略審議会を設置しています。執行役から任命を受けたメンバーで構成された環境戦略審議会を原則年6回開催し、環境ガバナンスに関わる規程や方針の制定、気候変動、自然資本及び生物多様性から生じるリスクや機会を含む環境課題に対する施策の審議と決定、当社グループ全体の環境目標管理とモニタリングなど、環境戦略の構築と実行を実施しています。環境戦略審議会で協議・決議された内容は、インパクト戦略委員会を通じて四半期ごとに執行役会に報告されています。執行役会は、環境課題を含めた重要課題に関する目標や実行計画について協議・承認し、取締役会は、それらに対する進捗状況を半期ごとに報告を受け、議論・監督を行っています。
人権と自然資本及び生物多様性を含めた環境課題との関連性を認識したうえで、人権尊重を事業活動の基本とした「LIXIL人権方針」を定めています。また、従業員やお客さま、調達先などのビジネスパートナー、株主や投資家、事業拠点の地域社会に暮らす人びとなどの事業活動に関連する人権課題について、ステークホルダーとの対話に努めています。
<戦略>
気候変動を含めた環境課題に関するリスク・機会分析(TCFD)
当社グループでは、気候変動が短期・中期・長期の視点で自社のバリューチェーンにもたらす政策・規制や市場変化による移行リスク、異常気象などの物理リスクの中で、特に事業への影響が大きいと想定されるリスクと機会を特定するためにシナリオ分析を実施しています。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、パリ協定の目標である「産業革命前からの気温上昇を1.5℃未満に抑える」ことを想定した政策移行の影響が大きいシナリオ(1.5℃シナリオ)、及び環境規制が強化されず物理的リスクが高まるシナリオ(4℃シナリオ)の2つの世界観を想定しています。この2つのシナリオにおいて気候変動がもたらすリスク及び機会を特定し、その財務影響を可能な限り定量化し、当社グループの環境戦略に反映させることで、事業の持続的成長や将来リスクの低減につなげ、企業としてのレジリエンスを高める取り組みを進めています。
2024年3月期には、2030年をマイルストーンとして設定し、事業プロセス、自社バリューチェーン、インパクトの拡大の3つのフェーズにおいてCO2排出量を削減する「低炭素社会への移行計画」を策定しました。事業プロセスにおいては、省エネ対策、燃料転換、追加性の高い再生可能エネルギーへの移行・調達などの施策に加えて、製造現場で水素への燃料転換に向けた実証実験を実施するなど、Scope 1, Scope 2排出量の削減に取り組んでいます。自社バリューチェーンにおいては排出量の多くの割合を占める「製品使用」と「調達」に注力しており、製品の省エネ化はもちろんのこと、サプライヤーエンゲージメントを通じた調達や物流における排出量の削減、これらの活動から得られた一次データの活用、循環型のエコシステムやビジネスモデルの構築に努めています。さらに、節湯水栓・節水型トイレや新築戸建向け高性能窓などの販売構成比率を100%とする目標を掲げ、暮らしのエネルギー効率を高める製品を通じて、気候変動緩和に向けたインパクトの拡大と低炭素社会への移行を推進しています。
自然資本・生物多様性に関するリスク・機会分析(TNFD)
自然資本及び生物多様性と自社バリューチェーンとの依存、影響の関係、リスクと機会を特定するためにTNFDが提唱するLEAPアプローチに基づく評価を実施しています。対象原材料は、ウォーターテクノロジー事業、ハウジングテクノロジー事業それぞれの主要製品の原材料である「アルミ」「銅」「セラミック」「木材」としScience Based Targets Network が開発した自然への影響が大きい原材料リストであるHigh Impact Commodity Listに該当する原材料の90%以上を評価の対象としています。バリューチェーン上流と直接操業における自然への依存と影響及び優先地域を特定し、自然に関連するリスクと機会の評価を行いました。特定された重要なリスクと機会は、気候変動課題の取り組みと関連づけられたことから、自然関連課題に対する取り組みがすでに戦略に反映されていることが示され、更に上流におけるリスクと機会を追加しました。
重要なリスクに対する対応戦略
|
気候 |
自然 |
リスク内容と 事業への影響 |
財務影響の程度 (注)1 |
対応策 |
指標と目標 |
||
1.5℃シナリオ |
4℃ シナリオ |
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移行リスク |
● |
|
炭素税導入による操業コストの増大 |
約100億円 (注)2 |
追加課税なし |
・Scope1,2のGHG削減に向けた取り組み(エネルギー使用の効率化・削減、電化・燃料転換、再生可能エネルギーへの移行など) ・長期目標の達成に向けた製造技術検証 |
2031年3月期までに ・Scope 1,2 50.4%削減 ・Scope 3 (注)4 30%削減 (2019年3月期比) |
2051年3月期までに Scope1~3 実質ゼロ |
● |
● |
市場の変化による原材料・部材調達コストの増加 |
定量化に必要なパラメータ不足のため 財務影響は非算出 |
・サプライヤーエンゲージメント ・技術設計による資源使用量の削減 ・リサイクル材使用による天然資源の使用削減 |
2026年3月期までに廃棄物などのリサイクル率 90% |
|||
|
● |
環境負荷低減に向けた設備導入によるコストの増加 |
- |
環境戦略が事業戦略へ統合されたことによる適切な事業判断 ・循環利用が困難な廃棄物の再資源化 |
- |
|||
● |
● |
自社工場における環境関連法規制への未対応による企業価値毀損 |
- |
環境マネジメント ・LIXIL行動指針・LIXIL環境方針の遵守 ・ISO14001に基づく内部監査 |
- |
|||
● |
● |
調達先における環境関連法規制の未対応による調達活動の停止 |
- |
・サプライチェーンマネジメント |
- |
|||
物理リスク |
● |
● |
台風や洪水に伴う自社工場の被災による売上機会の喪失 |
約15億円 (注)3 |
リスクマネジメント ・大規模自然災害に対する計画的な設備投資・更新 ・調達先の適正化、適切な在庫確保、バックアップ生産体制の構築による製品供給への対策 ・固定資産を補償する適切な付保 |
- |
||
● |
● |
渇水などによる自社工場の操業停止による売上機会の喪失 |
定量化に必要なパラメータ不足のため財務影響は非算出 |
・水使用効率向上に向けた取り組み ・Science Based Targets Networkのコーポレートエンゲージメントプログラムへの参加 |
2031年3月期までに水使用効率 20%向上(2019年3月期比) |
|||
|
● |
原材料の採掘などに伴う生態系破壊による調達活動の停止 |
- |
・サプライチェーンマネジメント |
- |
(注)1.TCFDのシナリオ分析に基づくものです。
2.Scope 1 & 2のCO2排出量に対して炭素税(国際エネルギー機関(IEA)が公表する1.5℃目標実現のために導入が必要と想定される炭素税価格を使用)が課せられた場合の想定額を算出
3.世界資源研究所(WRI)が提供するAqueduct Floods及び日本の各自治体のハザードマップを用いて、全生産拠点の浸水リスクを評価(事業継続計画(BCP)によるリスク低減を加味せず、生産拠点の立地条件のみに基づく)し、国土交通省の治水経済調査マニュアルが提示する浸水高さごとの想定停止日数と、該当拠点の1日当たりの生産高を乗じて損失額の平均値を算出
4.製品使用において間接的に消費される給湯エネルギーなどに由来した排出量は除く
重要な機会に対する対応戦略
気候 |
自然 |
機会内容と事業への影響 |
LIXILの取り組み |
指標と目標 |
● |
|
新築住宅のZEH普及や既築住宅の省エネリフォーム拡大に向けた省エネ商品・サービスの需要増加 |
・気候変動の緩和に向けた製品・サービスの取り組み ・他企業との協働による住宅・建築分野における包括的環境負荷低減 |
・2026年3月期までに新築戸建住宅向け高性能窓の販売構成比(日本)100% ・2031年3月期までに節湯水栓・節水トイレの販売構成比 (日本)100%
|
● |
● |
低炭素材料を利用した製品、資源の環境性に配慮した製品などの需要増加 |
・リサイクル材使用による天然資源の使用削減 ・循環利用が困難な原材料の再資源化 ・資源効率性の高い製品の拡充 ・使い捨てプラスチックパッケージの削減
|
2031年3月期までにリサイクルアルミの使用比率 100% |
● |
|
災害対策・災害復興商材などの需要増加 |
製品を通じた気候変動への適応 ・シャッター、スタイルシェード(適応) ・レジリエンストイレ(断水) ・減災プロジェクト
|
- |
● |
● |
節水・水質改善などに貢献する商材などの需要増加 |
・節水製品による水使用削減 ・LIXIL Public Partners(LPP)の取り組み
|
2025年3月期までに節水製品による水使用削減貢献量 年間20億㎥ |
|
● |
サプライチェーンにおける環境データのトレーサビリティ構築によるレジリエンスの向上
|
・サプライチェーンマネジメント ・サプライヤーエンゲージメント |
- |
|
● |
天然資源の消費を回避する多様化された事業活動による競争力の向上 |
・やきもの技術を活かした建築物の復原・再生や新素材の開発による廃棄物の低減
|
- |
|
● |
資源効率化に向けた技術革新の投資および新技術の導入による企業価値向上 |
・循環利用が困難な原材料の再資源化 ・新規技術開発による環境負荷低減 ・長期目標の達成に向けた製造技術検証
|
- |
<リスクと機会、影響の管理>
当社グループは、気候変動、自然資本及び生物多様性に関わる依存、影響、リスク及び機会については環境戦略審議会の責任のもとでTCFD・TNFDの提言に基づいたシナリオ分析を行い、重要度を特定し、事業への影響の度合いを評価しています。また、それぞれの移行リスク・物理リスクを事業及びオペレーショナルリスクと紐づけることで、組織全体の総合的リスク管理との整合を図っています。
リスク管理においては、それぞれのリスクの重要性を判断した上で、あらゆる階層の組織で対応策を立案、実行し、進捗状況をモニタリングする体制を敷くことで、リスクを低減するための活動を展開しています。特に、気候変動、自然資本及び生物多様性を含む環境リスク及び機会への対応については、環境戦略に反映させ、環境目標・実行計画に落とし込み、環境パフォーマンス向上やリスク管理に関わる施策を推進・展開し、進捗の管理・監督と振り返りを行うプロセスを構築し、リスク低減に努めています。詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
<指標及び目標>
当社グループは、環境ビジョン「Zero Carbon and Circular Living(CO2ゼロと循環型の暮らし)」を掲げ、2050年までに事業プロセスと製品・サービスによるCO2排出量を実質ゼロにすることを目指しています。
2024年3月期には、この長期目標(long-term target)である「2050年までにCO2排出量を実質ゼロ」に対して、日本の建材業界で初めてSBTネットゼロ認定を取得しました。SBTネットゼロの基準に則り、「2050年までにScope 1 & 2、Scope 3の温室効果ガス排出量を90%削減し、10%以内の残余排出量を炭素除去によりゼロ」にしていきます。
気候関連を含む環境リスク及び機会を評価する指標 |
目標 |
|
リスクへの対応 |
Scope 1& 2によるCO2排出量 |
2031年3月期までに50.4%削減(2019年3月期比) |
Scope 3によるCO2排出量 |
2031年3月期までに30%削減(2019年3月期比) |
|
Scope 1 & 2、Scope 3によるCO2排出量 |
2050年までに実質ゼロ |
|
水使用効率向上 |
2031年3月期までに20%向上(2019年3月期比) |
|
廃棄物などのリサイクル率 |
2026年3月期までに90% |
|
機会への対応 |
新築戸建住宅向け高性能窓の販売構成比(日本) |
2026年3月期までに100% |
節湯水栓・節水型トイレの販売構成比(日本) |
2031年3月期までに100% |
|
節水製品による水使用削減貢献量 |
2025年3月期までに年間20億㎥ |
|
リサイクルアルミの使用比率 |
2031年3月期までに100% |
TNFD開示指標(依存・影響)-直接操業
測定指標 番号 |
インパクトドライバー |
指標 |
開示状況 |
|
気候変動 |
GHG排出量 |
CO2排出量(注) |
C2.1 |
汚染/汚染除去 |
排水量 |
排水量(注) |
C2.2 |
汚染/汚染除去 |
廃棄物発生と処理 |
廃棄物の処理方法別発生量(注) |
C2.3 |
汚染/汚染除去 |
プラスチック汚染 |
プラスチック廃棄物の発生量(国内)(ウェブサイト) |
C2.4 |
汚染/汚染除去 |
GHG以外の大気汚染物質 |
NOx、SOx、ばいじんの排出量(注) |
C3.0 |
資源の利用と補充 |
水不足地域からの取水と消費 |
水不足地域における取水量 (ウェブサイト) |
A3.0 |
資源の利用と補充 |
水使用量と取水量の合計 |
消費量および取水量(注) |
A3.2 |
資源の利用と補充 |
水の削減、再利用、リサイクル |
水使用効率向上率および リサイクル水量(注) |
TNFD開示指標(依存・影響)-上流バリューチェーン
測定指標 番号 |
インパクトドライバー |
指標 |
開示状況 |
C3.1 |
資源の利用と補充 |
陸・海・淡水から調達した リスクの高い天然製品の量 |
金属原料、木質原料、窯業原料の調達重量(注) |
TNFD開示指標(対応)-上流バリューチェーン
測定指標 番号 |
インパクトドライバー |
指標 |
開示状況 |
A23.1 |
自然への変化(依存と影響): ミティゲーションヒエラルキー |
ⅰ)廃棄物または、 ⅱ)製品/原材料の流出に占める再利用・リサイクル率(%) |
廃棄物などのリサイクル率(注) |
A23.4 |
自然への変化(依存と影響): ミティゲーションヒエラルキー |
循環的な材料の使用率(%) |
リサイクルアルミ使用比率(注) |
(注)開示場所は当社ウェブサイトの「LIXIL ESGデータブック最新版」です。
人的資本・多様性に関する情報開示
<ガバナンス>
当社グループは、執行役や部門長で構成されるD&I審議会を設置しています。D&I審議会では、D&I戦略に基づく様々な施策検討を行い、討議・審議された内容は「インパクト戦略委員会」を通じて四半期ごとに執行役会に報告され、必要なものについては決議がなされます。取締役会はそれらに対する進捗状況について半期ごとに報告を受け、議論・監督を行っています。
<戦略>
当社グループは、その存在意義の追求に向け、より機動的で起業家精神にあふれ、実力主義に基づいた働き方への転換を推進してきました。併せて私たちの働き方や、企業と従業員の関係は、急速に進化しており、事業の成功のためには、企業にとって最も重要な人的資本である人材への投資とD&Iの実現が必要不可欠です。当社グループの人事部門であるGPO(Global People Organization)は、「従業員の誰もが自信を持ちどこででも活躍できるよう、LIXILを革新的でインクルーシブな組織へ変革する」というミッションのもと、2022年3月期よりグローバル人事戦略を推進しており、組織のフラット化や能力主義に基づく人事制度の導入など、基盤の確立を進めました。2025年3月期は、ステークホルダーからのフィードバックと、変化するビジネスニーズに基づき、グローバル人事戦略を示す「GPO Strategy House」を、よりシンプルかつ重点エリアを明確にするために見直しました。人的資本強化の主要な3本柱として「インクルージョンをLIXILのDNAに組み込む」「人材育成への投資」「従業員エクスペリエンスの向上」を掲げ、戦略実現のための重要要素として「HRコーポレート・ガバナンスの強化」と「ビジネス変革のためのHR変革」を位置付けています。この新たな戦略の構造により、当社の持続的な成功のために必要不可欠な人的資本の強化を、より効果的に行うことが可能になります。
3つの戦略の柱
① インクルージョンをLIXILのDNAに組み込む
当社グループでは、真にインクルーシブな組織を醸成し、イノベーションが自然に生まれる環境を育むことを目指します。過去3年間、管理職へのダイバーシティ&インクルージョン(D&I)ワークショップの展開やデータに基づいた進捗管理ツール導入などを通して、この考え方を浸透させてきました。その一方で、意識改革は進んでいるものの、管理職のジェンダーバランスの実現など、さらなる取り組みが必要な領域もあります。次なるフェーズでは、これらの課題に対し、ターゲットを絞った施策やリーダーへの責任範囲の拡大を通じて注力していきます。
② 人材育成への投資
事業成長に向けた組織力の構築と、従業員の成長に重点を置いています。過去3年間、基礎となるラーニングインフラを整備し、「GROW」(管理職育成プログラム)や「People & Organizational Development(POD)」(人材組織レビュー)といった全社的な施策を展開しました。今後は、基盤となる全社的なプログラムと合わせ、特定の事業ニーズや優先課題に対応するための施策を強化していきます。
③ 従業員エクスペリエンスの向上
従業員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮できる、働きやすい職場環境の創造と従業員体験の向上を目指します。過去3年間、デジタルツール活用による働き方の効率化や、柔軟な働き方の推進、従業員意識調査「LIXIL Voice」の結果により可視化される課題への戦略的な改善の取り組みなど、働きがいのある職場づくりを推進してきました。今後も、従業員一人ひとりが働きがいを感じられる職場を構築していきます。
戦略を実現するための2つの重要要素
「HRコーポレート・ガバナンスの強化」と「ビジネス変革のためのHR変革」は、過去3年間戦略の柱として位置づけられ、グローバルHRの基盤(報酬体系の整備、リージョンのHR戦略ビジネスパートナーの任命、COEの設立など)構築を大きく推進しました。今後は、戦略を実現させるための重要要素として機能します。
新しいGlobal People Organization(GPO)戦略
<リスク管理>
当社グループが継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した人材や、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが必要となります。特に日本国内においては少子高齢化に伴う労働人口の減少等もあり、必要な人材を継続的に獲得するために人材獲得や積極的な人材育成に取り組んでいます。詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
<指標及び目標>
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
女性取締役・執行役比率(注)1 |
2030年3月期までに50% |
37.5%(注)2 |
全世界の女性管理職比率(注)3 |
2030年3月期までに30% |
17.4%(注)4 |
日本の新卒女性比率(注)5 |
50% |
47.8% |
(注)1.女性取締役・執行役比率は、3月31日時点の人数に基づき算出します。
2.有価証券報告書提出日(2025年6月18日)時点では31.3%です。
3.対象は国内及び海外の直雇用従業員です。ただし、売却された子会社及び従業員数100人以下の国内子会社は除いています。
4.当連結会計年度の実績は、第三者保証を取得済です。上記データを含むESG関連のデータの保証声明書については、当社グループウェブサイト>インパクト>ESGデータ・方針>ESGデータのページに掲載しています。
5.対象は当社の大学卒・大学院卒の新卒入社者です。当連結会計年度の実績は、2025年4月1日付入社の比率を記載しています。