2025年9月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。併せて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
 当社は、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
 本項記載の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 事業環境に関連するリスクについて

① M&A市場の低迷

中堅・中小企業のM&A市場は、1990年代以降、オーナー経営者の高齢化に伴う後継者問題等を背景に拡大傾向にあります。また、今後も、企業の成長、生産性向上、オープンイノベーションなどの目的のためのM&A活用により、市場は更に拡大する可能性があるものと予測しており、当社でも様々なM&Aニーズに対応できるよう体制を整備しております。しかしながら、経済環境や金融市場の動向等によりM&A買収ニーズが減少に転ずること等を要因として、市場が縮小した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、過去にも、リーマンショックや東日本大震災を契機として、M&A買収ニーズの減少によりM&A市場が一時的に縮小した経緯もあり、類似した経済情勢の変化や自然災害の影響を受けて市場が低迷する可能性もあります。

当面のところ当該リスクが顕在化する可能性は低いものと判断しておりますが、経済情勢の変化や自然災害はいつ発生してもおかしくないものとなります。また、日本国内における経済情勢悪化の度合いが大きいほど、発生した自然災害のエリアや災害規模が大きいほど、当社の経営成績及び財政状態に与える影響は大きくなります。

 

② M&Aに関する法的規制

現状、M&A仲介業務を直接的に規制する法令はなく、許認可制度や資格制限もありません。しかしながら、今後、法令の制定により、M&A仲介業務に対する何らかの法的な規制を受けることに至った場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、M&A取引又はM&A制度に係る金融商品取引法、会社法、税法等の法改正が行われることで、社会におけるM&Aニーズも変化する可能性があり、その結果として、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

現在のところ、影響の大きな具体的な法規制は予定されていませんので、リスクが顕在化する可能性及びその影響は低いと判断しております。

 

③ 中小M&Aガイドライン

中小企業庁が、中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤を構築するためにM&A支援機関登録制度を設置しております。これは、中小企業庁が制定した中小M&Aガイドライン及び所定の誓約事項を遵守し、登録されたM&A支援機関を一定の補助金対象とする制度であります。一方、中小M&Aガイドライン違反等があった場合には、その登録が取り消されることとなっております。

もし、当社が当該ガイドラインの違反行為をし、当該登録が取り消された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。現状のところ、ガイドラインの改訂の都度、複数部門で協議し適切な対応を図るなど適切に対応しておりますので、発生の可能性は低いと判断しておりますが、そのような登録が取り消されるような事態になった場合には相当の影響があるものと予想しております。

また、ガイドライン等が強化された場合については、業務負担が増えることで当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、現状では業務負担が大きく増加するような改訂は認識しておりません。

 


④ 同業者との競合

M&A仲介事業は許認可制度や資格制限もないことに加え、事業の開始にあたり大規模な設備投資も不要であることから、相対的に参入障壁が低い事業であると判断しております。このため、大手事業者から個人事業者まで多数の事業者がM&A仲介事業を展開しており、今後も同業者間での競争が激しくなることが推測されます。一方、中小M&Aガイドラインの策定や改訂などを通じて、M&A仲介業者の業務レベルの向上も求められている状況であり、単純な顧客獲得競争から業務品質を中心とした競争へと競争環境が変化してきているものと判断しております。

当社では、M&A仲介業務の差別化や顧客からの信頼を向上させるため、会議、研修、社内システムにより、これまでの経験により蓄積されたノウハウの社内共有、外部専門家による講習、従業員に対する専門的知識の教育を行うとともに、公認会計士・税理士等の有資格者やM&A実務経験者の積極的な採用をするなどの施策を講じてサービス品質の向上に向けた対応を図っておりますが、競合他社との競争が激化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業内容に関連するリスクについて

① 業績の変動について

M&A仲介事業は、受託する案件の規模により、成約報酬も異なっております。当社では、受託案件数を増やすことにより、業績が大きく変動しないよう取り組んでおりますが、案件成約数の一時的な変動や成約案件規模の大小により、四半期又は事業年度ごとの一定期間で区切ってみた場合に、期間ごとの業績が大きく変動する可能性があります。

M&A仲介事業は、譲渡先と買収先の意向に従い、受託から成約までの一連の業務を進めています。当社は両者のマッチングが円滑に進み、早期に成約に至るよう取り組んでおりますが、両者での条件交渉が難航することや、当事者の意思決定が遅延すること等を要因として、予定どおりに案件が進まない場合も想定されます。また、予定どおり業務が進んだものの、最終的には当事者の希望により譲渡日が決定されるため、当初の想定とは異なる時期にM&A実行される場合もあります。これらにより、期間ごとの業績が当初計画と比べ大きく変動する可能性もあります。

近年、規模が非常に大きな案件も増えてきており、当該大型案件の成約によって期間ごとの売上が変動する可能性が高くなっています。また、大型案件の増加に伴い、期間ごとの業績が計画と大きく乖離する状況も発生しております。

個々の案件状況次第にはなりますが、業績の変動や、業績予定と実績の乖離については、今後も発生する可能性があると認識しています。その影響額の程度については、対象案件の数、大型案件の多少によって左右されることになります。

 

② 人材の獲得、育成、維持

当社の事業は、コンサルタントによる人的サービスを中心としているため、当社が事業を拡大していくには、優秀なM&Aコンサルタントの獲得、育成、維持が重要な課題であると認識し、これに取り組んでおります。しかしながら、人材を適時に確保できない場合、人材が大量に社外流出してしまった場合、あるいは人材育成が計画どおりに進展しない場合には、当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。更に、個々のコンサルタントの不適切な業務により、当社の対外的な信用力が低下し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性もあると認識しています。

当社では個人の能力を高めるための研修についてこれまでも拡充してきており、業務についてはチームを中心とした組織で行う体制とすることで、個人が成長し、成果を創出しやすい環境整備をしてまいりました。また、チーム制によるメンバーの相互牽制により、不正が起きにくい体制にもなっております。こちらを強みとして、人材を適切に獲得し、維持でき、不適切な業務ができにくい体制になっていますので、当該リスクの発生する可能性は低いと判断しております。

 

 

③ 単一事業及び事業領域の拡大

当社は、M&A仲介事業を中心として安定的に成長してまいりましたが、単一事業セグメントであるため、M&A仲介事業に対する何らかの影響があった場合に、当社の経営成績及び財政状態に及ぼす影響が相対的に高いと考えております。現在のところ、単一セグメントであることに起因する顕在化の可能性の高いリスク要因は認識していませんが、将来的なリスク要因となりえるため、M&A仲介事業を中心としながら、事業領域を拡大することでその可能性を低減できるよう対応していく方針としています。

その事業領域の拡大の過程で、新たな事業投資に対して、収益化が想定どおり進展しない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があると考えております。現在のところ、新事業への投資額は多額ではないため、そのような事象が発生しても影響は軽微であると判断しております。 
 

④ 情報セキュリティの管理

当社は、顧客から情報を入手するに際して、秘密保持契約等を締結し、顧客に対して守秘義務を負っております。当社で、情報セキュリティマネジメントシステム(ISМS)の国際規格である「JISQ 27001:2023(ISО/IEC27001:2022)」の認証を2024年3月に取得しており、顧客から入手した情報が漏洩しないよう、社内規程を整備し、情報の保管管理を徹底するとともに、役職員に対しても守秘義務に関する教育を行う等の施策を講じております。しかしながら、不測の事態等により、守秘義務の対象となる情報が漏洩した場合、損害賠償請求等の金銭補償や信用力の低下等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、現在のところ、当該リスクが発生する可能性のある要因は認識しておりません。

 

⑤ 個人情報管理

当社は、メールマガジンの登録及びセミナーの受講等において、個人情報を取得する場合があります。当社では「個人情報の保護に関する法律」に従い、社内規程を整備し、個人情報の厳正な管理を行っております。このような対策にも関わらず、個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合、損害賠償請求等の金銭補償や信用力の低下等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、現在のところ、当該リスクが発生する可能性のある要因は認識しておりません。

 

(3) その他のリスクについて

① 大株主及び当社代表取締役について

当社代表取締役 荒井邦彦は、当社の創業者及び経営の最高責任者であり、荒井邦彦の資産管理会社である株式会社K&Companyとあわせて、当事業年度末現在、当社株式の40.2%を所有する大株主であるとともに、経営においても重要な役割を担っております。当社では、過度な依存を回避すべく、会議体での重要な意思決定の徹底、組織としての管理体制の強化、マネジメント層の採用・育成を図っておりますが、現時点において当該役員に対する依存度は高い状況にあるといえます。そのため、何らかの理由により同氏が当社の経営を行うことが困難な状態となり、また、後任となる経営層の採用・育成が進展していなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

継続的にマネジメント層の充実を図り、中長期的な観点で当該リスクへの対応を図っております。

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、将来の事業展開等を総合的に勘案しつつ、株主各位に対する利益還元である配当と事業機会に即応できる体質強化のための内部留保に留意し、適正な利益配分を実施することを基本方針としており、当期純利益の概ね50%を目標としております。

なお、資金残高及び中期経営計画に基づく想定キャッシュ・フローを踏まえ、2027年9月期までは株主還元を一時的に更に増やし、1株当たりの配当金を180円とする方針としております。また、各期の配当性向が50%を下回る結果となる場合には、1株当たりの配当金を180円から増配する方針としております。
 当社は、年1回の期末配当を行うことを基本としており、決定機関は株主総会であります。また、当社は中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。なお、内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応できる経営組織体制強化の財源及び新サービスや新規事業(M&Aを含む)の財源として利用していく予定であります。
 第29期事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき普通株式1株当たり180円の期末配当を実施することを2025年12月23日開催予定の定時株主総会で決議する予定であります。この結果、第29期事業年度の配当性向は73.2%となる予定であります。
  なお、第29期事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2025年12月23日

定時株主総会決議(予定)

3,456,497

180