事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
(単一セグメント) | 4,749 | 100.0 | 157 | 100.0 | 3.3 |
事業内容
3【事業の内容】
(1)事業の内容
(事業の内容)
当社の事業の内容は、半導体・FPD(※1)等の製造装置に使用される真空チャンバーや電極等の真空部品の製造を行う精密部品事業の単一セグメントであります。
小型高精度加工機から国内最大クラスの門型5面加工機まで幅広い工作機械を駆使し、オートバイのレース用部品、発電所用蒸気タービン部品、防衛省向け部品、医療装置部品、産業用ロボット部品、FPD製造装置関連部品、半導体製造装置関連部品及び太陽電池製造装置関連部品へ展開して参りました。現在は、主に半導体製造装置とFPD製造装置に使用されるチャンバーや電極等の真空パーツの製造が主力となっております。
当社の製造する半導体製造装置部品は、半導体チップを製造する工程のうち、CVD、エッチング、塗布、洗浄などの一般的に前工程と言われる工程で使用される真空パーツを製造しております。また、FPD製造装置関連部品は、液晶パネルを製造する工程のうち、CVD、スパッタ、エッチング、アッシング、塗布、貼り合わせなどの工程で使用される真空パーツが中心です。
当社は、半導体及びFPD製造装置の精密部品のなかでも、要求品質が高く複雑な形状であることから高い参入障壁を持つ真空パーツへ取組み、受注拡大を狙っております。また、独創的な製造手法や継続的な生産性改善手法等を組み合わせた、独自の生産方式(マルマエ生産方式)によりコスト低減を続け、市場価格の低下に先回りした対応を行っております。
各種製造装置の部品製造には切削加工だけでなく、溶接加工、ガンドリル加工、組立、輸送など、さまざまな工程と設備、そしてノウハウが必要です。当社では、これら複数の工程を一貫受注できるよう生産設備を増強し、技術面でもお客様の満足を得られるモノづくりを進めております。この一貫受注により、輸送コストが安い上に納期コントロールがしやすく、仕様変更にも迅速に対応できるほか、製造履歴の管理が徹底できることで、少量多品種の部品製造業としては高度な品質管理を行っております。一貫受注は製造だけにとどまらず、自社で大型高精度部品輸送用のエアサス付大型トレーラーとトラックを所有し、低コストな輸送と短納期を実現しております。
精密部品製造において、一般的には、切削加工のプログラミング担当と工作機械のオペレーション担当が分かれておりますが、当社では、主要な製造技術者に対し、オペレーションだけでなく、プログラマーとしての教育を行うことで量産品の試作やボリュームのある単品物についても短納期対応を可能としており、プログラマーの割合が多いことが当社の強みとなっております。また、当社のプログラマーはコンピューターで製図を行うCADやコンピューターでプログラミングを行うCAMなどITを活用できるデジタルな職人を多数育成し配備しております。
また、当社では、これまでのさまざまな分野での生産活動で培われたノウハウを基に、設計段階での構造提案やVE提案も行っております。アルミ素材の種類選択から、溶接構造、可動部品、熱変形、腐食など幅広い分野での提案が可能です。
当社の成長を支えてきた製造技術は、独創的技術力等の「強み」を持つことで、時間短縮を行ったり、他社が作り得ない製品の受注を可能とすることで受注を生み出してまいりました。
今後も引き続き当社の試作能力及び生産キャパシティの拡大並びにさまざまな分野のモノづくりと切削技術の革新に努めております。
(製品分野)
①半導体製造装置関連部品
用途:半導体製造装置及び検査装置を構成する真空部品です。
特徴:主に真空中で使用されるために気密性など高精度な仕上がりが要求されるほか、高温高電圧のプラズマ(※2)にさらされることから高い耐電圧性能が要求されます。また、半導体製造のプロセスは非常に繊細であるため、製品の安定度が重要な要素となっており、試作とプロセス評価に長い時間が掛かりながらも、一旦装置に採用されると長期間変更されずに受注が継続します。また、プラズマにさらされることから消耗も激しく、定期的に消耗品需要もあり、新規装置の需要が無い場合でも消耗品需要が見込めます。
②FPD製造装置関連部品
用途:液晶及び有機EL等の製造装置及び検査装置を構成する真空部品です。
特徴:チャンバーと呼ばれる耐真空容器や電極と呼ばれるチャンバー内蔵物を製造しております。これらの部品は部品サイズが3m以上と大きく、形状が複雑で非常に歪み易い割に、厳しい平面度や位置精度など高精度が要求されるアルミ等の金属製部品です。大きさは違いますが、半導体部品と同様にプラズマにさらされる環境で、耐電圧や安定性が求められる重要部品です。
③その他の分野
用途:スマートフォン筺体(ケース)の表面処理装置、太陽電池製造装置部品、オートバイのレース用部品、光学分野(カメラ・顕微鏡)・医療装置などの産業用装置部品などを製造しております。
特徴:各分野の最終製品を構成する部品のなかでも、複雑な形状や高い平面度が必要であるなど歪みの少なさが要求される部品、あるいは溶接や表面処理を含む多工程が必要な部品などで、アルミほか各種金属製の部品です。
(生産拠点及び製造設備)
当社は、鹿児島県出水市及び埼玉県朝霞市に生産拠点があり、2024年8月31日現在、合計188台の工作機械を保有及び運用しております。
※1 FPD ………Flat Panel Displayの略で薄型テレビの総称です。
※2 プラズマ ………高温高電圧の環境下で気体を構成する分子が電離し陽イオンと電子に分かれて運動している状態であり、非常に高エネルギーで活性化している状態。活性化した状態を活かして金属の膜をエッチング(溶かして溝を掘る)するなどのプロセスを行います。
(2)事業系統図
当社事業の系統図は以下のとおりであります。
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、欧米における高い金利水準の継続など海外景気の下振れリスクがある一方、日本国内の雇用・所得環境が改善するなど、一部に足踏みが残るものの景気は緩やかに改善いたしました。
当社の主な販売分野である半導体分野におきましては、AI用途の需要拡大を背景にロジックファウンダリやDRAM向けの設備投資が活発に行われる一方、NAND向けやMPU向けの設備投資は停滞いたしました。また、中国向けの設備投資は活況が続きました。なお、半導体製造装置市場の改善が見られ始めるとともに、部品在庫の改善の動きも顕著になりました。
FPD分野におきましても、液晶向け設備投資の停滞が続く一方で、IT機器向けのG8 OLED設備投資が拡大し始めました。
このような市場環境のもと、半導体分野では上期は在庫調整の影響もあって受注の低迷が続きましたが、期末にかけては在庫調整の進展及び、新規顧客からの受注拡大に伴って受注は急改善しました。
FPD分野では、EBWを活用し、急拡大し始めたG8 OLED向けの受注を活発化いたしました。
その他分野におきましては、太陽電池製造装置部品の引き合いはありながらも受注には至りませんでした。
費用面につきましては、市場の停滞が長引いたことから第3四半期まで設備投資と人員採用を抑制したこと、及び受注残の増加に伴う棚卸の増加があったことによって製造費用は低減されました。また、稼働率の改善に伴い受注損失引当金及び棚卸評価損が46百万円減少いたしました。なお、2024年9月12日に公表いたしました見通しに対して、10百万円程度税金費用が増加いたしました。これは決算作業で繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、スケジューリング不能なものについて取崩しが発生したことに加え、税効果会計適用後の法人税等の負担率が法定実効税率を上回ったことが要因です。
これらの結果、当事業年度の業績は、売上高が4,749百万円(前年同期比30.9%減)、営業利益は156百万円(前年同期比81.8%減)、経常利益は42百万円(前年同期比94.6%減)、当期純利益は19百万円(前年同期比97.2%減)となりました。
なお、当社は精密部品事業のみの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
②財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて147百万円減少し、11,464百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて123百万円増加し、5,572百万円となりました。これは主に売上高増加に伴う売掛金の増加(前事業年度末差451百万円増)、電子記録債権の増加(同157百万円増)、棚卸資産の増加(同13百万円増)等によるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べて271百万円減少し、5,891百万円となりました。これは主に機械及び装置の減少(同632百万円減)、建物の減少(同90百万円減)、建設仮勘定の増加(同427百万円増)等によるものであります。
(負債)
当事業年度の負債総額は、前事業年度末に比べて162百万円増加し、4,300百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べて182百万円増加し、1,348百万円となりました。これは主に未払金の増加(136百万円増)、買掛金の増加(同86百万円増)前受金の減少(同58百万円減)等によるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べて20百万円減少し、2,952百万円となりました。これは主に長期借入金の減少(同26百万円減)、退職給付引当金の増加(同10百万円増)等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて310百万円減少し、7,163百万円となりました。
これは主に、配当金354百万円の支払いに対し、当期純利益19百万円の計上により利益剰余金が334百万円減少、自己株式の処分等により17百万円増加したことによるものであり、この結果、自己資本比率の割合は62.5%(前事業年度は64.4%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,028百万円となり、前事業年度末と比較して468百万円減少しております。
主な要因は、営業活動によって獲得した431百万円のキャッシュ・フロー及び、有形固定資産の取得等を行った投資活動によって支出した504百万円のキャッシュ・フロー並びに長期借入金の返済等の財務活動により支出した395百万円のキャッシュ・フローによるものであります。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、431百万円(前年同期は2,252百万円の獲得)となりました。これは主に税引前当期純利益42百万円、減価償却費948百万円を計上したこと、売上債権の増加による資金の減少609百万円、棚卸資産の増加による資金の減少13百万円、その他流動資産の増加122百万円、法人税等の支払額154百万円、仕入債務の増加86百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、504百万円(前年同期は1,489百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出500百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、395百万円(前年同期は286百万円の使用)となりました。これは長期借入れによる収入600百万円、長期借入金の返済による支出637百万円、配当金の支払額353百万円等によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
2020年 8月期 |
2021年 8月期 |
2022年 8月期 |
2023年 8月期 |
2024年 8月期 |
自己資本比率(%) |
64.2 |
64.9 |
58.1 |
64.4 |
62.5 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
127.4 |
263.3 |
209.2 |
196.7 |
170.3 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
2.0 |
2.2 |
1.5 |
1.6 |
8.1 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
66.3 |
65.2 |
108.8 |
95.6 |
18.6 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。
2.キャッシュ・フローは、営業活動キャッシュ・フローを利用しております。
3.有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
④生産、受注及び販売の実績
当社は、精密部品事業の単一セグメントであるため、セグメントの記載に代えて製品分野別に記載しております。
a.生産実績
当事業年度の生産実績を製品分野別に示すと、次のとおりであります。
製品分野別の名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
半導体製造装置関連部品 |
3,641,856 |
79.2 |
FPD製造装置関連部品 |
1,011,686 |
130.6 |
その他 |
41,902 |
3.0 |
合計 |
4,695,445 |
69.6 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績を製品分野別に示すと、次のとおりであります。
製品分野別の名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
半導体製造装置関連部品 |
3,794,254 |
113.4 |
894,712 |
135.7 |
FPD製造装置関連部品 |
1,314,810 |
172.6 |
739,610 |
170.6 |
その他 |
88,347 |
8.3 |
54,584 |
670.6 |
合計 |
5,197,411 |
100.6 |
1,688,908 |
153.4 |
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績を製品分野別に示すと、次のとおりであります。
製品分野別の名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
半導体製造装置関連部品 |
3,558,923 |
78.5 |
FPD製造装置関連部品 |
1,008,736 |
130.2 |
その他 |
181,343 |
11.6 |
合計 |
4,749,003 |
69.1 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2022年9月1日 至 2023年8月31日) |
当事業年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
日本発条株式会社 |
2,104,807 |
30.6 |
1,365,601 |
28.8 |
東京エレクトロン宮城株式会社 |
1,202,309 |
17.5 |
768,397 |
16.2 |
東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ株式会社 |
- |
- |
681,316 |
14.3 |
コアテクノロジー株式会社 |
1,355,126 |
19.7 |
- |
- |
2.主な相手先別の販売実績のうち、各事業年度における当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
3.最近2事業年度の主な輸出先、輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。
( )内は総販売実績に対する輸出高の割合であります。
輸出先 |
前事業年度 (自 2022年9月1日 至 2023年8月31日) |
当事業年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
シンガポール |
107,223 |
92.2 |
73,665 |
44.1 |
アメリカ |
9,113 |
7.8 |
93,190 |
55.9 |
合計 |
116,337 (1.7%) |
100.0 |
166,855 (3.5%) |
100.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績等は、売上高が4,749百万円であり、前年同期比で30.9%減少しました。これは、半導体分野において市場環境の低迷に伴う装置部品の在庫調整が続いたことや、FPD分野において中国向けのG6 OLED(有機EL)投資はあったものの、G10.5液晶パネル投資がなく市場が停滞したことが要因です。また、営業利益は156百万円で、前年同期比81.8%減少しました。これは、工場稼働の低下による製造単価の上昇や新規設備の未稼働資産に対する減価償却費が発生したことなどから労務費や減価償却費の比率が高どまりしたことによるものです。これらの結果、当期純利益は19百万円となり、前年同期比で97.2%減少しました。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、今後の柔軟な設備投資や事業取得、あるいは急激な市況変動にそなえるため、一定水準の手元流動性を確保しておく方針を持っております。そのため、手元資金に余裕があっても設備投資の一部には金融機関からの借入を充てるなどの方策をとっております。また、設備投資に対しては償却期間に見合った長期借入金を充当し、日常発生する運転資金には自己資金及び短期借入金を充てる方針を持っております。