2023年8月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社の業績は多岐にわたる変動要因の影響を受ける可能性があります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)主要市場での需要の急激な変動について

当社は、主に半導体業界及びFPD業界を対象として、その生産ラインで用いられる各種生産設備部品の製造・販売を行っていますが、半導体業界におきましてシリコンサイクル、FPD業界におきましてクリスタルサイクルと呼ばれる業界特有の好不況の波が存在します。

当社におきましては、メーカーの設備投資動向に左右されない消耗品などの安定的な販売が見込める分野の受注に注力するなどの対策を行い、業績への影響を最小限にすべく努力しております。

しかしながら、これらの景気変動によって、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

最近5年間の売上高及び製品分野別売上高の推移は下表のとおりであります。

回次

第32期

第33期

第34期

第35期

第36期

決算年月

2019年8月

2020年8月

2021年8月

2022年8月

2023年8月

売上高(千円)

4,019,454

4,388,522

5,369,639

8,585,027

6,868,463

 

精密部品事業小計

4,019,454

4,388,522

5,369,639

8,585,027

6,868,463

 

 

半導体製造装置関連部品(千円)

3,181,012

3,202,930

4,221,291

6,382,368

4,534,063

 

 

FPD製造装置関連部品(千円)

657,016

1,068,640

838,357

1,542,575

774,910

 

 

その他(千円)

181,425

116,950

309,990

660,083

1,559,489

(注)1.財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、三優監査法人の監査を受けておりますが、製品分野別売上高については、当該監査を受けておりません。

2.第35期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、第35期以降の売上高及び製品別売上高については、当該会計基準等を適用した後の数値を記載しております。

(2)景気変動に関するリスクについて

当社の販売する各種生産設備部品は、日本国内で利用される製品だけでなく、顧客の製品に組み込まれて海外に輸出される製品も含まれています。そのため、日本の景気動向だけではなく、世界的な景気後退により大きな影響を受けることがあります。米中貿易摩擦の長期化、ロシアによるウクライナへの侵攻、環境問題、政治又は経済要因等、何らかの理由で国内外の景気が下振れした場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(3)特定の取引先への依存について

当事業年度の販売実績上位3社の構成比率は、67.9%(前期上位3社構成比率66.5%)と1.4ポイント増加しております。

これらの主要販売先との間では、今後も継続的な取引が見込まれることと、1社当たりの依存度を減らす方針に基づき新規の取引先拡大に向けた営業を展開しておりますが、何らかの要因でこれらの主要な販売先との取引が縮小した場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(4)価格競争について

当社の属する精密部品業界は、多数の同業他社がひしめく、非常に参入業者の多い厳しい競争のある業界です。それらの精密部品群のなかでも当社は、高付加価値部品を得意分野としております。

しかしながら、今後は他社との競争が激しくなり、価格の下落を加速させる可能性があります。あるいは、為替相場の変動によって海外の同業他社との競争力が落ちる可能性があります。

これら競争の激化により、価格競争力を維持できなくなった場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(5)人材確保について

当社の継続的な事業運営において、将来的なビジョンを見据えた上での人材確保・育成は必要不可欠なものと認識しております。当社は、新卒採用強化のほか成果と連動した報酬制度や休日数の見直しを行い働き方や価値観の多様化に対応した人事制度の構築や労働環境の整備に取り組んでおります。また、人材の育成については、各種資格の取得支援や各種研修・教育を実施しております。しかしながら、人材を適時確保できない場合や人材が大量に社外へ流出してしまった場合、あるいは育成等が計画どおり進まない場合には、必要な人材を確保することが困難となり、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(6)原材料等の調達に関するリスクについて

当社は、アルミ等を原材料とした製品を製造しておりますが、円安・地政学リスク等により当社の使用する原材料価格が上昇しております。当社は、工程管理と原価削減の徹底を図り、複数の取引先と契約を結び安定的な調達・供給を心がけておりますが、予想以上の材料価格の急騰や長期にわたって高騰が続くことにより、原材料価格の高騰分をコスト削減などで吸収できず売価に転嫁できない場合等、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(7)情報セキュリティに関するリスクについて

当社は事業全般において様々なコンピューターシステム及びITネットワークを活用しております。このため、情報システム管理規程を定め、全ての役員及び従業員等に対する情報の取り扱いについて規範を定め、情報セキュリティの対策を実施しています。

しかしながら、人的ミス、機器の故障、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウィルス感染等により情報通信システムに不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、顧客データ等の情報流出等が生じた場合には、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(8)部品製造技術等のノウハウについて

当社が有する部品製造技術のノウハウの一部は、CAD/CAM等のデータとして保管され、パスワードによるデータへのアクセス制限やデータ消失に備えたネットワークストレージへのバックアップなどを行っております。

また、複雑形状加工技術、工作機械制御技術及び新素材加工技術など業界の動向に対応した技術の開発及び獲得のため研修を行い技術力の維持・向上に努めております。

しかしながら、当社が有する部品製造ノウハウの流出又は消失が起こった場合や業界の動向に対応した技術の開発及び獲得が遅れた場合には、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(9)当社製品に不具合が生じた場合について

当社は全生産拠点において国際品質規格であるISO9001を取得するとともに、社内において品質管理体制を確立しておりますが、種々の要因により不良品の発生の可能性があります。

当社製品に何らかの不具合が発生した場合には、当社及び当社の部品製造技術に対する信頼が著しく損なわれる可能性があり、また、設計上の欠陥、製造時の欠陥により、エンドユーザー等より製造物責任を追及される可能性があり、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(10)研究開発(R&D)について

当社は自社事業の生産性向上と新技術開発及び新たな事業の創出などを目標としてR&D活動を実施しておりますが、活動が停滞した場合は、利益率の低下や投下資金の回収ができず、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(11)財産権等について

当社は、他社の特許権等の知的財産権を侵さないよう細心の注意を払い、受注と技術開発にあたっていますが、第三者の特許権等の知的財産権を侵害するとして損害賠償等の請求を受ける可能性があります。

また当社が所有している特許においては特許が侵されるリスクがあり、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(12)今後の資金調達について

当社は、事業活動の拡大を図るための設備投資等の資金需要に対し、主に金融機関等から資金調達をしております。資金調達については、金融機関との間で信頼関係を築いており、今後も必要な資金につきましては、調達可能と考えておりますが、適切な時期に金融機関等からの資金調達ができない場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(13)今後の設備投資計画について

当社は、生産能力拡大のため継続的な設備投資を実施しておりますが、新たな設備が計画通りに稼働しない場合や想定通りの受注が取れないなど計画と乖離する場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(14)有利子負債依存度について

当社は、金融機関からの借入を中心に資金調達を行っており、一部の借り入れは変動金利であります。したがいまして、金融環境の変化等により借入金利が上昇した場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

最近3年間の有利子負債残高及び同残高の総資産に占める割合は下記のとおりであります。

回次

第34期

第35期

第36期

決算年月

2021年8月

2022年8月

2023年8月

残高

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

有利子負債残高合計

2,353,762

24.2

3,250,312

25.9

3,519,024

30.3

 

期末借入金残高

2,350,706

24.1

3,223,694

25.7

3,496,682

30.1

その他の有利子負債の残高

3,056

0.0

26,618

0.2

22,342

0.2

総資産額

9,742,628

100.0

12,552,945

100.0

11,612,024

100.0

(15)企業買収・資本提携・事業譲受(M&A)について

当社は、半導体分野やFPD分野を主な販売分野としておりますが、これらの分野は景気変動の幅が大きいことから、新しい分野への営業を拡大する目的と、既存分野での新しい顧客開拓や新技術獲得にむけてM&Aも選択肢として進める方針であります。しかしながら、M&Aによって財務バランスが崩れたり、取得した企業及び事業が期待通りの成果を上げられなかった場合は、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(16)減損会計について

当社は、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として事業所単位を基本とした資産のグルーピングを行っております。

今後の市場環境の悪化等の要因により、当社の事業用資産が減損会計適用の検討対象となり、当社の事業所において営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスになった場合や、保有する固定資産の市場価格が著しく下落した場合など、固定資産の減損会計の適用により追加の特別損失や営業外費用の計上が必要となる可能性があります。

(17)見込生産について

当社は、主として個別受注による受注生産を行っておりますが、近年顧客からの納期短縮要請が年々強まっており、受注のリードタイムより製造のリードタイムが長い製品については、顧客からの発注見込情報等により受注確度が高いと判断した場合に、材料の先行手配と見込生産を行っております。最終的に受注に至らない場合には、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(18)受注契約案件の採算性に関するリスクについて

受注契約案件のうち、期末時点で将来の損失が見込まれ、かつその損失を合理的に見積もることが可能なものについては、受注金額が帳簿価額に見積追加製造原価を加味した見込製造原価を下回る場合に当該差額について受注損失引当金を計上しております。また、見込生産している仕掛品については、受注見込金額から見積追加製造原価を控除した正味売却価額が帳簿価額を下回る場合に当該差額を棚卸評価損として計上しております。当社は、受注案件別に採算性を管理しており、低採算案件や原材料価格等の高騰により採算の悪化が見込まれるものについては、受注金額の交渉や製造工程の見直しによる製造原価の低減を行っておりますが、需要低迷による稼働率の低下が生じた場合は、製造原価の単価上昇により、不採算案件が増加し、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(19)繰延税金資産について

当社は、将来の課税所得に関する予測に基づき繰延税金資産の回収可能性の判断を行っていますが、将来の課税所得の予測が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産を減額することで、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(20)為替相場の変動について

当社の前事業年度の外貨建取引比率は2.2%、当事業年度の外貨建取引比率は2.7%となっております。

為替相場の変動状況によっては、販売時と入金時の為替相場の変動による損失の計上や、外貨建資産負債の為替換算差損の計上が起こるほか、当社顧客とその最終仕向国との間の為替変動による実質価格の変動が当社顧客の受注状況に影響を受ける可能性等、今後の当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(21)大規模災害等に係るリスクについて

当社の生産拠点は、鹿児島県出水市及び埼玉県朝霞市に所在しており、その主要設備の多くを鹿児島県出水市に所有しております。当該地区において風水害や地震等の自然災害が発生した場合や当社鹿児島県出水市内の事業所の30km圏内にある川内原子力発電所に災害等が発生した場合は、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(22)労働災害に係るリスクについて

当社の事業は、クレーン、フォークリフト、大型機械、ロボットの操作、製品溶接等の危険を伴う作業が含まれております。当社は、当該状況を踏まえて安全管理の徹底を図り、労働災害及び事故を未然に防ぐため業務遂行に際して細心の注意を払うように努めております。しかしながら、何らかの不測の事由から労働災害や重大な事故が発生した場合、労働災害及び事故に伴う補償問題が生じる可能性があるほか、社会的な信用及び販売先からの信用を失うことに繋がり、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(23)土壌汚染等の環境リスクについて

当社が保有する出水事業所の一部の土地に土壌汚染対策法に定められた基準値を超える土壌汚染物質が存在しております。現時点においては対処不要の旨を県と確認しておりますが、汚染物質の対策等が必要になった場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(24)ESGに関するリスクについて

当社は、ESGへの取組を経営上の重要課題として認識し、2030年までに自社の使用する電力の一部を再生可能エネルギーで賄い、限界利益当たりのCO2排出量を5割以上(2021年比)削減し、2050年にはカーボンニュートラルを目指します。また、取締役の多様性を推進する方針等を打ち出すなど積極的に取り組んでおりますが、ESGへの取組が市場の期待に対し十分かつ適切でなかった場合、当社の事業価値や受注に影響を及ぼす可能性があります。

(25)業績予想の修正について

当社が上場する金融商品取引所の規則に基づいて公表する業績予想は、公表時点における入手可能な情報に基づき判断したものであります。したがいまして、国内外の経済環境が変化した場合や予想の前提となった条件等に変化があった場合は、業績予想を修正する可能性があります。

(26)配当政策について

当社は、株主に対する利益還元につきましては、重要な経営課題と認識しており、経営成績及び財務状況を勘案しつつ、配当による株主への利益還元に努める方針としております。今後につきましても会社業績の動向に応じて株主への利益還元に取り組む方針でありますが、当社の事業が計画通りに進展しない場合など、当社の業績が悪化した場合には、配当の実施をしない、あるいは予定していた配当額を減ずる可能性があります。

(27)感染症のリスクについて

当社は、感染症の発生状況に応じてリモートワークを活用しつつ、全体朝礼など大人数の集会を禁止等、各種の感染予防策及び拡大防止策を実施しております。しかしながら、感染症による感染拡大によって、当社が属する半導体及びFPDの各製造装置市場に落ち込みがみられたり、製造装置の出荷や据え付けができない状況となった場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、国内に3ヶ所ある当社の生産拠点のうちのいずれかにおいて感染者が発生し、生産活動や営業活動が停止した場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主の皆様に対する利益還元につきましては、重要な経営施策の一つとして認識しており、経営成績及び財務状態を勘案しつつ、配当による株主の皆様への利益還元に努めることとしております。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき当期は1株当たり36円の配当(うち中間配当18円)を実施することを決定いたしました。この結果、当事業年度の配当性向は64.4%となりました。

内部留保資金につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために有効投資してまいりたいと考えております。

今後の利益配分に関しましては、長期的な視野に立った投資の実施とともに、経営成績及び財務状況を勘案しつつ、収益性に基づく利益配分を目指し、配当金の計算は、段階的に配当性向の考えを取り入れたいと考えております。なお、2023年10月6日発表の2023年8月期決算補足資料及び中期事業計画修正資料にて、最終損益が赤字となる場合は見直しを行うこととしておりますが、配当性向は35%以上を目標とし、年間最低配当額は20円とすることとしております。

当社は、「取締役会の決議によって、毎年2月末日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。

なお、基準日が当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年3月30日

227,529

18

取締役会決議

2023年11月22日

227,529

18

定時株主総会決議