リスク
3 【事業等のリスク】
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには次のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。
(1) 経済状況
当社製品には生産財・資本財が多いため、民間設備投資、建設投資、国内公共投資等の低迷により、当社製品の需要が減退し、売上が減少する可能性があります。また、農業政策が農業関連製品の売上に影響を与える可能性があります。海外、特に欧米においては、小型トラクタ等の売上が個人消費や住宅建設投資等の一般景気の低迷により減少する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原材料の価格高騰・調達難
当社は外部の供給業者から多くの原材料、部品を調達しております。また、事業のグローバル化に伴って海外生産拠点での調達も増加しており、世界規模での調達網の構築による最適地調達を推進しております。しかし、原材料、部品の価格が需給の逼迫や市況の変動等によって急激に高騰し、それが長期化した場合は利益を減少させる可能性があります。また、原材料、部品の調達に支障をきたした場合、製品の製造や販売が困難となり、売上が減少する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 国際的事業展開に伴うリスク
当社が大規模な海外展開を行っている事業は、海外事業に付随したリスクを抱えております。これらのリスクが顕在化した場合、安定的な製品の製造及び販売が困難になり、売上の減少や調達・輸送コストの増加等により当社の経営成績等に重要な影響を及ぼし、成長を阻害する可能性があります。重要なリスクとしては次のようなものがあります。
① 重要な市場における政府による許認可政策や補助金政策の変化に伴うリスク
② 国際貿易政策による予期せぬ関税や輸出入割当量の変化に伴うリスク
③ 各国法規制の予期せぬ変化に伴うリスク
④ 地政学リスク
⑤ 発展途上国における未成熟な技術水準や不安定な労使関係
⑥ 人的資源確保の困難性
⑦ サプライチェーンやロジスティクスの混乱に伴うリスク
⑧ 各国税制の予期せぬ変化に伴うリスク
⑨ 移転価格や事前確認申請の交渉における予期せぬ結果に伴うリスク
(4) 為替レートの変動
当社は海外に経営成績等に大きく貢献する複数の製造・販売・金融子会社を有しております。各海外子会社の現地通貨建ての財務諸表は、円換算後に連結財務諸表に反映されております。また、親会社が海外の子会社や外部顧客に輸出する場合、その取引の多くは現地通貨建てで行われ、獲得した外貨は円貨へと換算されます。従って、現地通貨と円貨との為替レートの変動が経営成績等に影響を与えます。通常は他の通貨に対して円高になれば当社の経営成績等にマイナスの影響を及ぼします。為替レートの変動によるマイナスの影響を軽減するため、地産地消を目的とした生産拠点の現地への移行を進めております。また、先物為替契約等のデリバティブを利用しております。しかし、これらの活動にもかかわらず、著しい為替レートの変動は当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(5) 金利変動リスク
当社は有利子負債を有しており、これらは固定金利または変動金利が課されております。金利が上昇した場合、支払利息が増加するほか、金融事業に関連して特に米国において、インセンティブコストが上昇します。金利の上昇による影響を軽減するため、金利スワップ契約等のデリバティブにより金利の変動に対応しております。しかし、こうしたリスクヘッジにもかかわらず、著しい金利水準の変動は当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(6) 株式相場の変動リスク
当社は有価証券を保有しており、その大半が株式であるため株式相場の動向次第で公正価値が大きく変動する可能性があります。また、株式相場の下落により退職給付制度に関する制度資産が減少する可能性があります。なお、制度資産については許容できるリスクのもとで可能な限りの運用成果を上げることを運用方針としており、リスクを分散するため、金利変動リスク、経済成長率、通貨の種類等の投資収益に影響する要因を考慮の上、投資先の産業、会社の種類、地域等を慎重に検討してポートフォリオのバランスをとっております。しかし、有価証券の公正価値変動、制度資産の減少が当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(7) 第三者との戦略的提携、合併・買収等の成否
当社は今後も第三者との提携、合併・買収等に取組み、新たな成長を模索する可能性がありますが、このような活動の成否は事業を取巻く環境、取引相手の能力、あるいは当社と相手が共通の目標を共有しているか否か等に影響されると考えられます。このような活動が成功しない場合や投資に対するリターンが予想を下回る場合は、収益性の悪化により当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(8) 他社との競争
当社は各事業において競合他社との厳しい競争にさらされているため、取引条件、研究開発、品質等で競争優位性を維持できない場合には、売上の減少等により経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(9) 製品やサービス
当社は品質教育の実施、品質問題の未然防止への取組み及び品質に関する社内監査等を実施し、品質の維持・向上に努めております。しかし、当社が提供する製品やサービスに重大な契約不適合や欠陥があった場合、賠償責任を負うことで多額の費用が発生する可能性があります。また、そのような事態が発生した場合には、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要が減退し、売上が減少する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10) 環境汚染、公害等
当社は環境法令を確実に遵守して環境事故を未然に防止するため、環境マネジメントシステムを構築し、ルールに基づいた業務運営と環境保全活動の継続的な改善に努めております。しかし、これらの努力にもかかわらず、当社が有害物質の排出・漏洩、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染等を引き起こした場合、その是正措置をとるために多額の費用や支出が発生したり、訴訟に発展したりする可能性があります。この結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(11) アスベスト関連
当社は過去、1954年から2001年にわたりアスベストを含む製品の製造に携わっておりました。アスベスト健康被害に関連して、健康被害にあった方々への支払や訴訟に関する費用が発生し、それらの費用が多額になるような場合には、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(12) コンプライアンスリスク
当社は法令遵守と倫理に基づいた企業活動を行う旨を宣言し、当社の取締役、執行役員及び従業員が事業遂行にあたって、各種法令や倫理基準並びに社内行動規範等から逸脱した行為を行うことがないよう、グループ全体への徹底を図っております。しかし、万一、それらの行為が発生し、当社がコンプライアンス上の問題に直面した場合には、監督官庁等からの処分、訴訟の提起や社会的信用の失墜等を招き、売上の減少や費用の増加等により当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(13) ITシステム及びネットワーク
当社はデータ及びITシステムの機密性、可用性及び完全性といった情報セキュリティを毀損するような一定のリスクを抱えております。これらのリスクを低減すべく、適切な情報管理を目的としたセキュリティシステム、方針・方策、過程、手法、専門チームや技術を構築しております。しかし、これらの努力にもかかわらず、当社のITシステム及びネットワーク上の問題が発生した場合、業務運営の中断によって事業機会を喪失するほか、社内情報流出に伴う損害賠償責任を負ったり、知的財産権を侵害されたりする可能性があり、多額の費用や支出が発生する可能性があります。また、そのような事態が発生した場合、当社に対する社会的評価及びブランド価値の低下を招き、当社製品に対する需要が減退し、売上が減少する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(14) 環境規制への対応
当社は製造販売する製品や事業活動に関する様々な環境規制に対応する必要があります。今後さらなる規制の強化、例えば温室効果ガス排出規制や排ガス規制、主要材料の使用制限等が行われた場合、その対応のために相当のコスト負担をする可能性があり、それが当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(15) 自然災害等予測困難な事象による被害
当社は日本、北米、欧州及びアジア等で事業活動を営んでおります。それらの国・地域において予測困難な事象が発生した場合、原材料の調達を含む製品の製造や物流、販売活動に被害を受けることにより、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。予測困難な事象には、地震や津波、洪水、台風、干ばつといった自然災害や感染症の流行、戦争やテロ、火災等の事故及び情報システムや通信ネットワークの停止、電力供給の停止または不足等が含まれます。昨今、地球温暖化や気候変動により、世界中で災害リスクが高まっております。また、日本は世界でも有数の地震多発国であり、強度の地震もしくは津波の被害を受ける可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、健全な経営の維持と将来の経営環境への対応を勘案しながら、株主還元を適切に実施することを重要な経営課題の1つと考えており、その充実に努めております。
当社は安定的な配当の維持・向上を配当の基本方針としております。また、機動的な自己株式の取得・消却を併せて実施することを株主還元の基本方針としており、総還元性向(配当金の総額と自己株式の消却額の合計を親会社の所有者に帰属する当期利益で除した比率)の目標を40%以上に設定し、さらなる向上を目指しております。配当金額については、業績動向、財政状態、総還元性向等を総合的に勘案して決定しております。内部留保資金については、健全な経営の維持と将来の経営環境への対応を考慮の上、その使途を決定する方針を採っております。
上記の方針に基づき、当事業年度の期末配当金を1株当たり24円としました。これにより、中間配当金(1株当たり24円)と合わせた年間配当金は1株当たり48円となります。
当社は中間配当及び期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの配当の決定機関は取締役会です。
当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めております(「第6 提出会社の株式事務の概要」参照)。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は次のとおりです。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年8月4日 |
28,346 |
24.00 |
取締役会決議 |
||
2024年2月14日 |
28,239 |
24.00 |
取締役会決議 |
なお、上表の2023年8月4日開催及び2024年2月14日開催の取締役会決議に基づく配当金の総額には、株式報酬制度に関連して信託が保有する当社株式に対する配当金がそれぞれ32百万円含まれております。