2024年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    5,109名(単体) 20,510名(連結)
  • 平均年齢
    43.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.0年(単体)
  • 平均年収
    9,488,129,000,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

2024年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

報告セグメント

 

 建築・産業

7,608

 エネルギー

3,449

 インフラ

1,585

 環境

2,824

 精密・電子

3,660

  報告セグメント計

19,126

その他・共通部門

1,384

合計

20,510

 

(注)

従業員数は就業人員数です。

 

 

(2)提出会社の状況

2024年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

5,109

43.4

15.0

9,488,129

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

報告セグメント

 

 建築・産業

1,505

 エネルギー

 インフラ

904

 環境

10

 精密・電子

1,477

  報告セグメント計

3,896

その他・共通部門

1,213

合計

5,109

 

(注)

1.

従業員数は就業人員数です。

 

2.

平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

 

 

 

(3)労働組合の状況

提出会社及び国内連結子会社には以下の労働組合があり、会社との間に特記すべき事項はありません。

会社名

労働組合名

所属従業員数

(名)

所属団体

㈱荏原製作所

荏原合同労働組合

3,443

無所属

㈱荏原エリオット

荏原合同労働組合

242

無所属

㈱荏原風力機械

荏原風力機械労働組合

194

無所属

㈱荏原フィールドテック

荏原フィールドテック労働組合

149

無所属

 

(注)

上記のほか、海外連結子会社従業員の中には、産業別等外部労働組合に直接加入している者がいますが、会社との間に特筆すべき事項はありません。

 

 

(4)「女性管理職比率」「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」の状況

会社名

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金差異(%)

(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)

全労働者

正規労働者

非正規労働者

㈱荏原製作所

7.5

90.8

80.0

80.4

58.8

荏原冷熱システム㈱

3.6

66.7

65.9

71.9

70.0

㈱荏原電産

2.8

100.0

79.5

75.2

66.5

㈱荏原風力機械

0.0

100.0

85.0

84.3

82.6

㈱荏原エリオット

8.7

77.8

78.2

80.0

62.2

荏原環境プラント㈱

3.9

96.7

75.2

117.8

62.5

㈱荏原フィールドテック

2.2

100.0

71.3

71.7

63.2

 

(注)

1.

提出会社及び常時雇用する労働者が101名以上の国内子会社を対象とし、社外への出向者を含まず、他社からの出向者を含んでいます。

 

2.

管理職に占める女性労働者の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、2024年12月31日時点で算出しています。「管理職」は、当社において「基幹職」と同義であり、部下を持つ職務以上の者、部下を持たなくともそれと同等の地位にある者を指します。

 

3.

男性労働者の育児休業取得率は「育児休業、介護休業等または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を2024年1月1日から2024年12月31日の期間で算出しています。

 

4.

労働者の男女の賃金差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づき、2024年1月1日から2024年12月31日の期間の男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。

 

 

<各数値に関する補足説明>

・管理職に占める女性労働者の割合について

荏原グループの中期経営計画「E-Plan2025」の非財務目標の1つとして、管理職に占める女性労働者の割合について荏原製作所単体で2025年までに8%とする目標を掲げております。現状の数値の背景としては、女性労働者の比率がそもそも低いことが挙げられ、女性管理職比率を向上させるためには、女性のキャリア形成において、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の視点に立ったキャリアサポートや育成を現状以上に進めていく必要があると認識しています。2023年より昇格試験制度の見直し(管理職登用までの期間短縮・抜擢受験の実現)等を通じて、出産・育児等のライフイベントの影響なく挑戦をサポートする体制を整えました。これらの取り組みの結果、荏原製作所単体では、2022年は6.5%、2023年は7.2%、2024年は7.5%と、女性管理職比率は年々着実に向上しています。さらに今後は学びの機会をより増やしていくことでスキルアップを図るとともに、年代別の研修等を通じて中長期のキャリアをより明確に描けるような仕組みづくりを行い、性別関係なくキャリアを築ける風土・環境づくりを推進していきます。

 

・男性労働者の育児休業取得率について

荏原グループの中期経営計画「E-Plan2025」の非財務目標の1つとして、男性労働者の育児休業取得率について荏原製作所単体で2025年までに100%とする目標を掲げています。取得率向上のために、制度の周知や啓発活動・制度の柔軟な運用・育児休業を取得しやすい風土作りに取り組みます。2024年は「男性育休100%宣言」に賛同し、執行役から社内に取得推進に向けたメッセージを発信しました。

 

・労働者の男女の賃金差異について

正規雇用労働者:役割等級制度を導入しており、同一役割等級内での賃金差異は原則生じておりません。一方で管理職に占める女性の割合が上昇傾向にあるものの依然として低いことに加え、男女等級別の人員構成の変化等を要因として男女間の賃金に差異が生じております。

パート・有期雇用労働者:女性労働者ではパート労働者の割合が高い一方、男性労働者では嘱託社員の割合が高いため、男女間で賃金差が生じています。

今後の取り組みについて、女性がライフイベントなど含め全キャリアを通じて活躍できる環境を整備する施策に取り組んでいくことで、差異の解消を目指していきます。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、SDGsをはじめとする社会課題の解決に事業を通じて持続的に貢献することで社会・環境価値と経済価値を向上させるとともに中長期的に企業価値を向上させることを目的として、環境問題への取り組み(E)、社会とのつながり(S)、ガバナンスの強化(G)を柱とするサステナビリティ経営を実践しています。

 

(1)ガバナンス

当社グループのサステナビリティ経営を実践するためのガバナンス体制は、取締役会とサステナビリティ委員会を中心とする「サステナビリティ推進体制図」に示す監督と業務執行によって実効性を確保し、推進しています。また、その一環としてサステナビリティに関する目標の重要性を役員に意識させるため、報酬評価にESG指標を取り組み、その達成度を役員報酬に連動させる制度を導入しています。

 

①監督

当社は、機関設計として指名委員会等設置会社を採用し経営において監督と執行の明確な分離を実現することで、取締役会がモニタリング・ボードとしての役割を果たすと考えています。

 

(i)取締役会

取締役会は、当社グループがサステナビリティ経営を実践し、社会課題の解決に事業を通じて持続的に貢献することで社会・環境価値を向上させ、あわせてROIC経営・ポートフォリオ経営の実践により経済価値を向上させることが重要な経営課題であると認識し、そのための長期の事業環境を見据えた経営の基本方針を策定し、その継続的な実行を監督します。当社は、この考え方を「コーポレート・ガバナンスに関する基本方針」に定め、サステナビリティ経営に対する取締役会の役割・姿勢を明確に打ち出しています。また、取締役会では、議論すべき気候・自然関連・人権・人的資本などをはじめとするサステナビリティに関する審議を取締役会の年間議題に組み込み定期的に必要な時間を確保した上で様々な観点から議論を行い、その結果をサステナビリティ委員会へフィードバックしています。取締役は、サステナビリティ委員会に陪席する中で、執行のサステナビリティに関する取り組み状況を把握し、必要に応じて客観的な立場より的確な助言や後押しを行っています。

 

②業務執行

業務執行側の「サステナビリティ委員会」は、代表執行役社長が委員長を務め、議題は、長期ビジョンのマテリアリティに関わる環境、社会、ガバナンス全般に及びます。当社グループの人権方針に則って人権マネジメントの継続的な改善を図る「人権委員会」、全グループの労働安全衛生に関する方針を決定し、全社の状況をモニタリングする「中央安全衛生委員会」において議論された内容についても重要課題として、サステナビリティ委員会にて、審議、報告及びレビューがなされています。サステナビリティ委員会から取締役会へ報告レビューを受ける仕組みとなっています。サステナビリティ経営におけるリスクマネジメントは、全社のコーポレート・ガバナンス体制に包含されています。当社グループのリスク管理活動を統括し、審議、改善指導・支援を行う機関として、リスクマネジメントパネルを設置しています。全社リスクアセスメントで特定した重要リスクは、主管部門を明確にして対策を講じています。詳細は3[事業等のリスク]を参照ください。

 

各委員会の役割と機能は以下の通りです。

 

(i)サステナビリティ委員会

社会、環境並びに当社グループのサステナビリティに資する活動の対応方針、戦略、目標及びKPIを審議し、成果の確認及び見直しを行う会議体として、サステナビリティ委員会を業務執行の一機関として設置しています。サステナビリティ委員会は代表執行役社長を委員長とし、執行役が委員を務め、サステナビリティに関する社外有識者がアドバイザーとして参加しています。監督機能を発揮するため、本委員会への非業務執行の取締役の陪席を推奨し、非業務執行の取締役が必要に応じて助言等を行っています。サステナビリティ委員会の審議内容は取締役会に報告され、取締役会は情報を的確に捉えて、監督機能を発揮できる体制を整備しています。

 

(ii)リスクマネジメントパネル

当社グループを取り巻くリスクについては定期的に行うリスクアセスメントの結果に基づき、リスクマネジメントパネルが、サステナビリティに関するリスクを含む全社共通の重要リスクを特定しています。リスクアセスメントでは、想定し得るリスク項目の中から、事業責任者・部門責任者へのアンケートとヒアリングにより、対応すべきリスク項目を特定したうえで、リスク対応体制を再評価し、主管部門を明確にしてリスクに対応しています。

 

(iii)経営会議・経営計画委員会・経営課題行動計画モニタリング会議

中期経営計画を年度別に具体化し、各組織の年度ごとの予算と行動計画を明らかにするため、経営会議及び経営計画委員会で審議・決定しています。また、経営課題行動計画の進捗をモニタリングする会議体として、経営課題行動計画モニタリング会議を設置しています。2023年からは、従来の予算達成のための目標設定に加えて、非財務目標達成のための行動計画も立案し、同会議でモニタリングをしています。

 

(iv)中央安全衛生委員会

荏原グループ安全衛生方針に基づき、荏原グループで働く人すべてに対し、ワークライフ・バランスの実現や心の健康づくりを含む安全衛生を優先する職場環境を構築・維持するため、中央安全衛生委員会を設置しています。同委員会では、各部門の安全衛生計画を審議し、モニタリングしています。活動状況はサステナビリティ委員会に報告され、レビューされます。

 

(v)荏原グループ人権委員会

荏原グループ人権方針に基づき、人権方針の実践と人権マネジメントの仕組みを継続的に改善することを目的として、荏原グループ人権委員会を設置しています。同委員会では当社グループの人権に関する取り組み方針を設定し、人権マネジメントの継続的な改善を行っています。従業員とサプライヤの人権デューディリジェンスの結果と改善計画の進捗をモニタリングしています。活動内容はサステナビリティ委員会に報告され、レビューされます。

 

<サステナビリティ推進体制図>

 


 

③報酬制度

当社の報酬委員会は、事業活動を通じて持続可能な社会に向けた高度なESG経営を実践するため、ESGに関する目標の達成度を役員報酬に反映することが適切であると考え、グローバルな役員報酬に関する外部専門家の意見も参考に議論を重ね、2022年12月期より短期業績連動報酬(STI)の一部をESG指標の達成度と紐づけています。
 
評価項目は、“E”(環境):CDP*1の評価、及び“S”(社会):GES(グローバルエンゲージメントサーベイ)*2の結果とし、評価ウェイトはSTIの10%としています。なお、これらの評価指標については今後も継続的に見直してまいります。

*1. CDP:気候変動対応の戦略やGHG排出量削減の取り組みなどを評価するESG評価機関

*2. GES:2019年より国内外グループ会社従業員を対象に、中長期的に目指すありたい姿の達成に向け会社や職場における従業員のエンゲージメントの現状について調査をしているもの。

 

<短期業績連動報酬(STI)における評価指標について>

評価指標

評価ウェイト

業績指標

ROIC

45%

連結営業利益

MBO

担当事業ごとのKPIに基づき設定

45%

ESG指標

“E”(環境):CDP(気候変動)

10%

“S”(社会):グローバルエンゲージメントサーベイ

 

 

(2)戦略

中期経営計画E-Plan2025の基本方針に、「5:ESG経営の更なる進化」を設定しています。持続可能な社会づくりに貢献するため、下表の戦略に基づき、高度なESG経営の実践を進めています。なお、ガバナンス(G)についての戦略及び取り組みについては、 「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

 


 

①E(環境)

E(環境)に対しては、2050年のカーボンニュートラル達成のため、自社製品・サービス提供を通じた環境負荷低減を進めています。 

 

(i)<気候変動への対応~カーボンニュートラルの達成に向けて>

荏原グループでは、2030年にありたい姿の一つに高度なESG経営の実践を掲げており、その重要テーマとして気候変動への対応を掲げています。持続可能な社会の実現とグループの成長との両立を目指し、自社とバリューチェーンにおけるGHG(Greenhouse gas)排出量を低減することにより、2050年にカーボンニュートラルを目指します。この実現に向け、サステナビリティ委員会において当社グループの方針、戦略、目標及び KPIを審議し、成果や進捗の確認を行っています。

自社の活動によるGHG排出(Scope1,2)については、各拠点の省エネルギーに取り組むとともに、国内外の拠点で太陽光発電設備の設置や、CO2フリー電力の調達などを進めています。

バリューチェーンのGHG排出(Scope3)については、その大部分を占める当社製品の使用による排出(カテゴリ11)を対象に2030年の削減目標を設定しました。Scope3の削減策として当社製品の高効率化をはじめ、サプライヤや顧客との連携を進めます。

2024年6月にはSBTイニシアチブにコミットメントレターを送付し、2年以内のSBT認定をコミットしました。また、2023年のScope1,2,3排出量について第三者保証を取得していますが、今後も継続的な取得を予定しています。

さらに、当社が顧客のGHG削減に寄与する施策を『顧客のGHG削減への貢献目標』として整理し、「削減貢献量」、「当社定義によるGHG削減量」、「カーボンニュートラル社会の実現をサポートするビジネス創出」の3つの目標を設定しました。省エネルギー型のポンプや地球温暖化係数の高いPFCs(パーフルオロカーボン)を化石燃料用いずに無害化する排ガス処理装置の製造販売などに加え、水素・アンモニア向けなどのGHG排出削減に貢献する製品・サービスの開発、提供などによりカーボンニュートラル社会の実現をサポートします。

 

≪2030年の目標≫

・Scope1,2:2018年度比GHG排出量を55%削減

・Scope3(カテゴリ11):2021年度比GHG排出量を25%削減

・削減貢献量 (WBCSDの“Guidance on Avoided Emissions”を参照):2023年~2030年の累計で4,300万
  トン削減

・当社定義による顧客のGHG削減量:2023年~2030年の累計で1億トン削減

・カーボンニュートラル社会の実現をサポートするビジネス創出

 

詳細はウェブサイト(荏原グループのカーボンニュートラル)に掲載しています。

https://www.ebara.com/sustainability/environment/information/carbon-neutrality.html

 
(ii)<気候関連開示>

2019年に賛同署名したTCFD提言に基づき気候関連のリスク・機会の分析を行い、シナリオ分析の結果を中期経営計画E-Plan2025(2023~2025年)に反映させています。TCFDによる企業の気候関連情報開示モニタリング機能が2024年にIFRS®サステナビリティ開示基準S2号気候関連開示(以下、IFRS®S2)に移管されたため、IFRS®S2の開示基準を参照して2024年6月に気候関連の情報を更新しました。

 

・ガバナンス

気候関連のリスク・機会を含む非財務経営課題行動計画の進捗を取締役会が監督しています。気候関連の情報開示とその更新に際しては、執行側の会議体であるサステナビリティ委員会又は経営会議に諮った上で、取締役会に上程し、内容の確認を経て開示しています。

 

・戦略

主要な対面市場ごとに気温上昇を1.5℃、4℃に抑える世界観における気候関連シナリオ分析を行っています。シナリオ分析の結果は中期経営計画E-Plan2025の各カンパニーの戦略に落とし込まれています。本項(ⅰ)の目標達成に向けた施策は気候関連戦略に含まれています。

1.5℃、4℃の世界観において、当社事業への財務インパクトを当社Webサイトに公表しています。

 

・リスク管理

気候関連シナリオ分析によって特定した重要なリスクと機会に基づく各種施策の進捗は、代表執行役社長が主宰する「経営課題行動計画モニタリング会議」に各カンパニープレジデントが報告する体制としています。気候関連を含む非財務の指標・目標の全体の進捗はサステナビリティ委員会に報告され、レビューする仕組みとしています。サステナビリティ委員会の報告・審議内容は取締役会に報告されます。

 

・指標と目標

本項(ⅰ)に記載の通り、指標と目標を設定してカーボンニュートラルを推進しています。

 

詳細はウェブサイト(気候関連開示(TCFD提言))に掲載しています。

https://www.ebara.com/sustainability/think/information/tcfd.html

 

②S(社会)

S(社会)に対しては、人的資本経営の強化を進め、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進します。サプライチェーンにおける人権デューディリジェンスへの対応も進めています。

 

(i)<人的資本経営の強化>

長期ビジョンE-Vision2030のマテリアリティ4「人材の活躍促進」に向けて、荏原グループは「チャレンジ精神をもって創意工夫する多様な人材を世界中から獲得し、働きやすい職場環境下での適切な競争や挑戦によって実力が最大限発揮され、公正に評価され、個々の社員が充実し、成長する企業風土を目指す」という人事・人材開発基本方針を掲げています。

この方針のもと、多様な人材の活躍推進とグローバルでの人材マネジメント基盤を確立するための具体的な取り組みを実現するため、2023年にCHROオフィスを設置しました。各事業の人材ニーズや人材に関する経営課題を解決するため、グループ全体の人事戦略(ONE EBARA HR)に基づいた施策を遂行し、「人的資本経営」の強化を図っています。人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出し、「グローバルでの持続的成長」を実現するための基盤整備をより加速させ、「競争し、挑戦する」人材を育成し、グローバルモビリティの向上を通じて、人材の最適配置をグループ全体で強化しています。

      <中期経営計画E-Plan2025期間中の主要施策>

    1. 学びたい人、挑戦したい人に対して、早期選抜・育成に資する様々な機会を提供するとともに、自らキャリアチェンジを目指せるような仕組みを構築し、適所でモチベーション高く働けるよう支援します。 

 

    2. 海外グループ会社のローカル社員がより重要なポジション(グローバルキーポジションGKP:Global Key Position)で活躍するための、グローバルで統一された役割等級制度の導入の推進、グローバル人材育成プログラムの全社展開、国内外のサクセッションの戦略的な実行を推進します。

 

    3. リファラル採用、アルムナイ制度を活用し、多様な人材の獲得を進めます。また、多様な人材がより働きやすい環境を提供するために、EBARA New Workstyleの更なる拡大を行います。

 

    4. 「人材の見える化」をグローバルに加速させるための基盤となる「グローバルHCM(Human Capital Management)プラットフォーム」を構築し、各人事施策の効果を定量的にモニタリングできる体制を構築していきます。

 

         「グローバルHCMプラットフォーム構築の取り組み」<技術元素表>

当社では技術と人の結びつきを技術・人材マップにより整理する試みを継続しており、それを可視化したものが、技術元素表です。5カンパニー別の技術と、複数のカンパニーに共通する共通技術、さらには全社横断的な重要な共通技術について整理しています。この技術元素表の活用により、社内外のコラボレーションを進めるとともに、人材が不足する重要な技術については人材の補強、さらにはローテーションを行って、確実に技術を継承、発展させていく体制を整えていきます。

 


 

(ii)<ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)に向けた取り組み>

当社は、より強い企業となり、成長し続けるために、多様な人材の登用と活躍を目的としたダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進に力を入れています。主な取り組みとしては以下となります。

 

a.意識・風土醸成

 全社員を対象に、DE&Iの理念浸透と心理的安全性の確保を目的とした研修やeラーニングを実施、チェンジマネジメントを活用して社員の理解浸透に取り組み、相互の価値観を尊重する企業文化の醸成を図っています。

 

b.ライフイベント支援

 社内勉強会による理解促進や制度の見直し・周知を通じて、仕事と介護の両立支援、育児休業取得、ジェンダー平等の推進に取り組んでいます。

 

c.LGBTQ+に関する取り組み

 社内勉強会の開催、東京レインボープライド2024への協賛、プライド指標獲得を通じて、すべての社員が自分らしく働ける環境づくりを進めています。

 

d.障がいのある社員の活躍促進

 社内勉強会による理解促進などを通じて、障がいのある社員の活躍につながる環境づくりを進めています。社員一人ひとりの能力が最大限に発揮できる環境を整え、持続的な成長と社会への貢献を目指してまいります。

 

特に女性管理職比率を向上するために、2023年より昇格試験制度の見直し(管理職登用までの期間短縮・抜擢受験の実現)等を通じて、出産・育児等のライフイベントの影響なく挑戦をサポートする体制を整えました。さらに今後はより早期から学びの機会を増やしていくことでスキルアップを図るとともに、年代別の研修等を通じて中長期のキャリアをより明確に描けるような仕組みづくりを推進していきます。

 

(iii)<人権の尊重>

a.「人権尊重の基本方針」

荏原グループは、世界人権宣言の「すべての人間は、生まれながらにして尊厳と権利とについて平等である」との規定に基づき、荏原グループCSR方針に掲げる「人権と多様性を尊重する」経営を実践するために、「荏原グループ人権方針」を定め、社内外に公表しています。3つの基本方針とともに、それを実践していくための対応方針を定めています。荏原グループ人権方針は、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」と国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を尊重しています。

荏原グループ人権方針の全文は、ウェブサイトに掲載しています。

https://www.ebara.co.jp/sustainability/social/information/respect.html

 

b.「人権に関する救済」

国内グループ会社においては、コンプライアンス相談窓口が人権を含む苦情を受け付け、対応しています。海外グループ会社に10か国に所在する22のグループ会社にホットラインを設置しており、全グループ会社への整備を進めています。社外からの相談は、当社ウェブサイトのお問い合わせ窓口で受け付けています。2022年6月改正公益通報者保護法施行にあたり、人権に関する苦情や相談を受け付けた場合には、コンプライアンス相談窓口が当該法に則って対応します。さらに、当社グループ以外のサプライヤからの苦情や相談に対応する仕組みとして、2024年4月に一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に加盟しました。

 

c.「2024年の取り組み」

外部との対話

人権委員会は、人権に対する課題認識の範囲を広げることや当社グループの人権マネジメントの改善につなげることを目的として、人権に関する社外有識者と対話を行っています。

<2024年>

・一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)を招いて、救済メカニズムの目的や意義、バリューチェーンを含めて人権課題に取り組むことの重要性、ビジネスと人権救済の実態、企業の課題、などについて意見交換を行いました。

人権デューディリジェンス

人権委員会では、従業員の人権に配慮することや、サプライヤにも人権尊重の意識を持って活動していただくことが当社グループの事業活動において特に重要であると考え、人権デューディリジェンスを行っています。

 

<従業員に対する人権デューディリジェンス>

人事部門が全グループ会社の従業員を対象に毎年行っているグローバルエンゲージメントサーベイを利用し、「職場の公正・公平性」「差別」「労働安全衛生」をグループ共通の人権項目として、約60組織のスコアをモニターしています。人権項目のエンゲージメントのスコアが一定水準に達していない会社に対して、人権委員会が人権アクションプランの策定を指示し、各社が改善策を実行します。活動の成果は翌年のエンゲージメントサーベイスコアにより評価しています。

<2024年結果>

・2024年は当社グループ3社に対して改善策を求めました。当社グループの水準に達するよう、継続的な改善活動を行います。

 

<サプライヤに対する人権デューディリジェンス>

2022年に人権尊重を含む当社CSR調達ガイドラインについて、サプライヤの皆様に理解と実践を求めることを目的とし、グローバルの一次サプライヤに対してCSR調達アンケートを実施しました。

アンケートの内容には人権に関する設問が含まれており、人権委員会は、サプライヤにおいて児童労働や強制労働、差別が起きないような取り組みがなされているか、適正な労働環境が維持されているかなど、人権に関する設問の結果を調達部門と共有し、健全なサプライチェーンマネジメントの構築を推進しています。詳細について「(4)指標と目標③人権の尊重」をご覧ください。

 

 

(3)リスク管理

当社グループのサステナビリティに関するリスク管理は、リスクマネジメント体制に包含されています。当社グループのリスク管理活動を統括し、審議、改善指導・支援を行う機関である、リスクマネジメントパネルは、全社共通のリスクとして、「地球環境・気候変動」、「サプライチェーンリスク」、「働き方と人材のリスク」等を認識し、これらのリスクに対処する体制を整えています。詳細については、3[事業等のリスク]を参照ください。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、「(i)カーボンニュートラル・(ii)気候関連開示、「(i)人的資本、(ii)ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」、「(iii)人権」について、次の指標を用いて進捗を評価しております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。

 

①カーボンニュートラル・気候変動

項目

目標

20/12

21/12

22/12

23/12

24/12

CDP評価(気候変動)

(2025年)B以上を維持

C

D

B

B

A-

Scope1,2 GHG排出量

(2025年)2018年度比32%削減

271千t
排出

(2018年度比2.1%削減)

292千t
排出

(2018年度比5.2%増加)

237千t
排出

(2018年度比14.5%削減)

157千t
排出

(2018年度比43.2%削減)

140千t
排出

(2018年度比49.5%削減)
(速報値)

Scope3/削減貢献量/他

(バリューチェーン)

(2025年)バリューチェーンにおけるGHG排出量の合理的測定手法の確立

項目を「Scope3/削減貢献量/他」に見直し

※1

合理的測定手法を確立

※2

 

※1 WBCSD (World Business Council For Sustainable Development)が2023年3月に発行した、Guidance on Avoided Emissionsを踏まえ、バリューチェーンにおける目標の記述に「削減貢献量/他」を追記しました。「他」には、当社グループ製品が無害化するGHG排出係数の高い排ガスのCO2換算相当量などを含んでいます。

※2 詳細について「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)戦略 ①E(環境)(i)<気候変動への対応~カーボンニュートラルの達成に向けて>」を参照ください。

 

人的資本・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)

項目

目標

20/12

21/12

22/12

23/12

24/12

競争し、挑戦する風土へ変革し、多様な社員が働きやすさを感じて活躍できる環境づくりを目指す

・エンゲージメントサーベイスコア向上(連結)

(2025年)83以上

(2030年)86以上

78

79

79

78

79

グローバルモビリティの向上を

目指す

・Global Key Position(GKP)における非日本人社員比率(連結)

(2025年)30%以上

(2030年)50%以上

20%

22%

23%

23%

25%

男女の賃金差異解消

①GKP女性ポジション比率(連結)

①(2025年)8%以上

 (2030年)10%以上

①5%

①5%

①7%

①8%

①8%

②女性管理職比率(単体)

②(2025年)8%以上

②6.1%

②6.4%

②6.5%

②7.2%

②7.5%

性別に関係なく仕事と育児を両立できる企業風土を醸成

・男性育児休業取得比率(単体)

(2025年)100%

※2023年11月に目標設定

76.7%

81.3%

79.6%

90.8%

90.8%

・障がい者雇用比率
(単体+グループ適用会社4社)

(2025年)2.6%以上

2.58%

2.56%

2.37%

2.54%

2.68%

 

 

 

人権の尊重

目標

24/12実績

サプライヤ向けの人権デューディリジェンスの結果に基づく必要な施策の実施

人権尊重を含む当社CSR調達ガイドラインについて、サプライヤの皆様に理解と実践を求めることを目的とし、グローバルの一次サプライヤに対してCSR調達アンケートを実施しました。主要取引先2024年までに国内852社、海外721社、合計1,573社から回答をいただきました。

 

アンケートの内容には人権に関する設問が含まれており、人権委員会は、サプライヤにおいて児童労働や強制労働、差別が起きないような取り組みがなされているか、適正な労働環境が維持されているかなど、人権に関する設問の結果を調達部門と共有し、健全なサプライチェーンマネジメントの構築を推進しています。2024年にサプライヤからの人権に関する苦情を受け付け、救済することを目的として、ビジネスと人権対話救済機構に正会員として加盟しました。

 

2024年に以下の施策を実施しました。

①アンケート未回答サプライヤへの回答要請

②低スコアサプライヤへの訪問指導

③アンケート結果に基づく得点計算及びリスクの顕在化

④教育資料の作成・サプライヤへの展開

⑤代表執行役社長からのメッセージ配信