2023年12月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループは、開発・製造の拠点を日本・ドイツ・米国に、販売・サービスの拠点を世界各国に有しており、グローバルに事業を展開しております。 

当社グループの業務には、事業戦略リスク、法的リスク、製品安全リスク、情報セキュリティリスク、環境リスク、自然災害リスク等様々なリスクがあります。当社グループは、リスク管理について「タダノグループ事業リスクマネジメント規程」に基づき、リスク委員会を通じて、定期的に社内のリスクの洗い出しと評価を行い、リスク毎に対応部署を定めて対応策を講じることにより、リスクマネジメントの強化を図っております。リスク委員会における評価結果については、原則年2回、取締役会に報告しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 業界特性、需要変動

当社グループが属する業界は、景気変動の山・谷よりも需要の振幅が大きくなる特性を有しております。当社グループ製品である建設用クレーン等LEは耐久性に優れ、製品寿命も長く、中古車としての価格が高いことが特徴です。顧客は景気が良くなると新しい製品に買い替え、景気が冷え込むと買い替えを待つ傾向があります。このため、LEは、他の建設機械と比べて景気の波に左右されやすく、需要の振幅が大きくなる特性を有しており、想定を超えた景気変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。なお、主要製品と需要との関連は概ね次のとおりとなっております。

・建設用クレーン

日本及び海外向けで、日本及び海外仕向地の政府建設投資及び民間建設投資やエネルギー関連投資の動向に 影響を受けます。

・車両搭載型クレーン

主に日本向けで、トラック架装用の小型のクレーンであるため、トラックの需要動向に影響を受けます。

・高所作業車

主に日本向けで、電力電工、通信向けは、主に電力電工業界及び通信業界の設備投資の動向に、レンタル、一般向けは、主に民間設備投資の動向に影響を受けます。

 

(2) 研究開発

当社グループは、IoTやAIを始めとする急速な技術的進歩により世の中が大きな変革期を迎えつつあると認識し、商品競争力の維持・強化や更なる技術革新を目的として、研究と開発要員の増員、大学との共同研究等、研究開発の強化を図っております。開発の遅れや急速な技術革新、市場ニーズとの不一致等により商品競争力が低下した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(3) 原材料等の調達

当社グループでは、SVE(スーパーバリューエンジニアリング)活動に基づき開発段階までさかのぼり、より一層のコストダウンを推進するとともに、生産性の向上に取り組んでおりますが、予測を超えた原材料の価格高騰や品不足が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

また、取引先の供給能力の不足や供給停止、倒産、品質問題その他の理由により、生産や出荷の遅延・減少等が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

※ SVE:今までのVEを越える本格的本質的なVEで、Super(Sustainable:持続できる)Value Engineeringの略

 

(4) 製品輸送手段

当社グループの主要製品である建設用クレーンの日本国内における生産機能は香川県に集中しており、四国からの製品輸送について、法規制により本州四国連絡橋を利用できず、フェリーやバージ船を利用した海上輸送を用いております。当社グループ保有のバージ船を導入する等、輸送能力を確保しておりますが、運営会社の経営悪化等の理由によりフェリーやバージ船が利用できなくなった場合、製品の出荷量や出荷費用に変動が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(5) 貸倒れリスク

当社グループでは、顧客の信用状態を継続的に把握して、与信設定を行い、適切な債権管理に努めておりますが、顧客の信用不安により予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、保険等によってカバー出来ない費用が生じて、追加的な引当の計上が必要になる場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(6) 為替レートの変動

当社グループ海外事業は、為替レートの変動により影響を受けます。これに対し、輸出及び輸入の決済については、為替予約、債権債務の相殺等により為替の変動による影響を最小限に抑える措置を講じておりますが、予測を超えた為替変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

(7) 保有株式の価値変動

当社グループは、販売・購買・資金調達等において、安定的な取引関係の維持・強化を図ることを目的に他社の株式を保有しております。個別銘柄の保有の適否に関しては毎年1回定期的に見直しを行っており、保有目的に合致しない株式は、売却等により縮減を図っておりますが、当社グループが保有している株式の価値が変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(8) 買収・提携

当社グループは、「LE世界No.1」に向け、事業の拡大や競争力の強化等を目的として、国内外において企業買収、事業買収、資本提携等を実施することがあります。これらを行う際には事前調査を十分に行い、リスクを検討することとしておりますが、期待していたシナジー等のメリットを享受できなかった場合や、想定していない新たな負債等の問題が生じ又は発見された場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(9) 法的規制

当社グループは、日本の法的規制のほかに事業展開している各国の法的規制、例えば事業・投資の許可、関税・輸出入規制等の適用を受けております。製品のうち、建設用クレーンは日本及び海外仕向地における自動車及びクレーンの法規制の対象となっております。この法規制は、例えば排出ガス規制のように、各国で異なり、また各国の事情で変更されることがあります。他の製品も同様に日本及び海外仕向地における法規制の対象となっております。

当社グループでは、製品に係る法的規制に関する情報収集と対応を行っておりますが、各法的規制の改正によって対応費用が発生したり、研究開発、生産、販売及びサービス等に支障をきたすことにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(10) 不正・不祥事

当社グループは、「タダノグループサステナビリティ憲章」を定め、ステークホルダーの権利・立場や企業倫理を尊重する企業風土の醸成に努めております。また、「タダノグループコンプライアンス規程」に基づき、コンプライアンス担当役員を設置し、コンプライアンス委員会を通じて、啓発ツール等による法令遵守の教育研修を行い、コンプライアンスを徹底すると共に、内部通報制度によりコンプライアンス体制の強化を図っておりますが、役職員等による重大な不正・不祥事が発生した場合、当社グループの信用失墜や費用の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(11) 税務リスク

当社グループでは、各国の税法に準拠して税額計算し、適正に納税を行っております。グローバルな事業展開の中で、各国の税法だけでなく国際間取引に係る移転価格税制等の国際税務リスクにも注意を払っておりますが、税務当局との見解の相違等により追加の税務コストが発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(12) リコール・製造物責任

当社グループでは、製品安全委員会や品質改善委員会等を設置し、安全と品質を最優先に、製品開発及び製造、サービスに努めておりますが、製品欠陥に基づく大規模なリコールや製造物責任に基づく賠償責任が生じ、保険等によってカバー出来ない費用が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(13) 情報セキュリティ

当社グループは、様々なシステムを利用し、また、業務上必要な取引先の機密情報や個人情報等を保有しております。万一に備えて、サーバを外部のデータセンタで運用し、バックアップデータを複数拠点で保管する等、最大限の保守・保全策を講じ、情報管理体制の強化に努めておりますが、停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、コンピュータウイルスの感染、不正アクセス等、予測を超える事態により、システム障害や情報漏洩、改ざん等の被害が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(14) 環境規制

当社グループでは、製品及びその製造過程等について、大気汚染、水質汚濁、騒音・振動、廃棄物処理、CO2削減及びエネルギー規制等、様々な環境法令の適用を受け、それらの遵守のために必要な対応を行っておりますが、環境法令の改正による対応費用の発生や、環境事故等に基づく賠償責任が発生し、保険等によってカバー出来ない費用が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(15) 自然災害

当社グループでは、地震等の自然災害や大規模火災等に備えた事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定や防災マニュアルの作成、またテロ・紛争等の発生や感染症等の世界的流行(パンデミック)等のあらゆる緊急事態に対応する情報連絡体制の整備等、事業継続に必要な対策を講じておりますが、これらの災害等によって当社グループやサプライチェーンに重大な損害が発生し、操業停止、生産及び出荷の遅延や減少、販売の減少等が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、持続的成長と企業価値向上に向け、積極的な投資と安定的な経営・財務基盤の確保に努めます。配当については、重要経営課題の一つとして捉え、配当性向30%を目安に将来の事業戦略と事業環境を考慮の上、安定的に実施することを基本方針としております。

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

この基本方針及び当期の業績並びに今後の経営環境を勘案し、当期末配当金につきましては、1株につき15円といたしました。中間配当4円とあわせ、年間配当金は、前期から11円増額の1株につき19円となっております。

また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。

(注) 当期の中間配当に関する取締役会決議日 2023年8月10日

 

なお、第76期の剰余金の配当は以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年8月10日

取締役会決議

507

4.00

2024年3月27日

定時株主総会決議

1,903

15.00