事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
産業機械 | 361,478 | 45.4 | 13,944 | 43.2 | 3.9 |
自動車 | 401,677 | 50.4 | 16,096 | 49.8 | 4.0 |
その他 | 33,511 | 4.2 | 2,266 | 7.0 | 6.8 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社及び当社の関係会社(当社、子会社81社(うち連結子会社77社)及び関連会社31社(2025年3月31日現在)により構成)におきましては、産業機械事業、自動車事業等を行っています。
産業機械事業については、一般産業向けの軸受、精密機器関連製品及び状態監視システム等の製造・販売を行っています。自動車事業については、自動車及び自動車部品メーカー向けの軸受、自動変速機用部品等の製造・販売を行っています。
各事業における主要製品、当社及び関係会社の位置付け等は次のとおりです。
※ 持分法適用会社であり、当社及び持分法適用会社以外は連結子会社です。
以上の事業の概略を系統図によって示すと、次のとおりです。
なお、米州、欧州、中国及びアセアン・オセアニアにおきましては、NSKアメリカズ社、NSKヨーロッパ社、NSK中国社及びNSKインターナショナル(シンガポール)社が、それぞれの地域の関係会社の統括を行っています。
※ 持分法適用会社であり、当社及び持分法適用会社以外は連結子会社です。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要性がある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
なお、連結財務諸表作成にあたっての重要性がある会計方針及び見積り等については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2.作成の基礎 (6) 見積り及び判断の利用、3.重要性がある会計方針」に記載のとおりです。
(2) 財政状態及び経営成績の状況
①事業全体の概況
当社グループは、2022年度から2026年度までの5ヵ年を『中期経営計画2026』と位置づけ、「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組んでいます。
当連結会計年度の世界経済を概観すると、各国の金融政策転換による影響や中国経済の先行き懸念、米国の政策動向など不透明感を抱えつつも、景気は持ち直しが続いています。
地域別にみると、日本は緩やかに景気が回復しているものの、個人消費や鉱工業生産の一部に弱い動きがみられます。米国では底堅い労働市場や金融緩和が下支えし景気は堅調に推移しています。欧州はインフレが落ち着きつつあるものの、設備投資や鉱工業生産において弱い動きが見られ景気は足踏み状態にあります。中国では不動産市場の低迷長期化や個人消費の冷え込みが景気の下押し圧力となり減速しました。
このような経済環境において当社グループの業績は、為替が円安に推移したこともあり、非継続事業を除いた継続事業の当連結会計年度の売上高は7,966億67百万円(前期比+1.0%)となりました。営業利益は284億57百万円(前期比+3.9%)、税引前利益は251億0百万円(前期比△4.2%)、継続事業及び非継続事業の合算の親会社の所有者に帰属する当期利益は106億47百万円(前期比+25.2%)となりました。
なお、前連結会計年度に引き続き非継続事業に分類していたステアリング事業のインド子会社であるRane NSK Steering Systems Private Limited(以下「RNSS」)について、2024年9月19日に当社が所有するRNSSの全株式をRane Holdings Limited(以下「RHL」)に譲渡し、RNSSに対する支配を喪失しました。支配の喪失に係る損益は非継続事業に含めています。
また、前第1四半期連結会計期間からステアリング事業を非継続事業に分類しています。売上高、営業利益、税引前利益は非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益は、継続事業及び非継続事業の合算を表示しています。
②セグメントごとの業績
(産業機械事業)
設備投資の需要が緩やかに回復したことに加えて、為替が円安に推移した影響により、当連結会計年度は対前期比で増収増益となりました。
地域別では、日本は工作機械向けの販売増加などにより増収となりました。米州ではアフターマーケットや半導体製造装置向けの需要が堅調に推移し増収となりました。欧州は電機・電装やアフターマーケット向けを中心に市況悪化の影響を受けて需要低迷が継続し減収となりました。中国では工作機械、電機及び鉄道向けの販売が増加し増収となりました。
この結果、産業機械事業の売上高は3,614億78百万円(前期比+4.8%)、営業利益は139億44百万円(前期比+74.1%)となりました。
当事業では、成長が期待できる電動化、自動化、デジタル化、環境市場での需要を取り込むため、供給力の強化と技術サービス体制の強化を進めています。さらに、状態監視システムやアクチュエータなど新たな高付加価値商品の開発と市場投入も推進することで、産業機械事業のビジネス拡大を目指していきます。
(自動車事業)
グローバル自動車生産台数が前年同期から下振れしたことで、当連結会計年度は対前期比で減収減益となりました。
地域別では、日本は一部自動車メーカーの生産・出荷停止が要因となり減収となりました。米州では自動車販売の回復基調を背景に増収となりました。欧州は自動車市場の低迷が継続し減収となりました。中国では日本車の販売不振影響を受けて需要が減少し減収となりました。
この結果、自動車事業の売上高は4,016億77百万円(前期比△1.7%)、営業利益は160億96百万円(前期比△13.4%)となりました。
当事業では、自動車の電動化に対し、低トルク・高速回転・軽量化といった当社グループの技術力を活かすことで競争力を強化し、さらには電動油圧ブレーキシステム用ボールねじなど将来に向けた新商品の拡大を図ることで事業の成長を目指していきます。
③財政状態の分析
当連結会計年度において、資産合計は前連結会計年度末に比べて785億34百万円減少した1兆2,195億43百万円となり、負債合計は697億68百万円減少した5,503億54百万円となりました。
資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期利益があったものの、剰余金の配当、その他の資本の構成要素の減少等により、前連結会計年度末に比べて87億65百万円減少した6,691億89百万円となりました。
④キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益251億0百万円、減価償却費及び償却費524億12百万円、法人所得税の支払額461億28百万円、運転資本等の加減算に加えて、退職給付信託の一部返還を受けたこと等による退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産の増減額686億60百万円により、821億76百万円の収入となりました(前連結会計年度は998億18百万円の収入)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、保有株式の縮減を進めたことに伴うその他の金融資産の売却による収入88億58百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出381億21百万円、無形資産の取得による支出122億34百万円、定期預金の預入及び払戻、その他の金融資産の取得及び償還等により、587億53百万円の支出となりました(前連結会計年度は908億14百万円の支出)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額156億46百万円、短期借入金の純減額139億77百万円等により、337億41百万円の支出となりました(前連結会計年度は247億80百万円の支出)。
上記により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて123億29百万円減少した1,382億53百万円となりました。
⑤目標とする経営指標の達成状況等
当社は2022年5月に『中期経営計画2026』(2023年3月期から2027年3月期)を発表しましたが、近年の事業環境の変化を鑑み、2024年5月に2027年3月期の財務目標を修正しました。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、自動車事業でグローバル自動車生産台数が前期より下振れしましたが、産業機械事業では設備投資の需要が緩やかに回復したことに加えて為替が円安に推移した影響を受けました。この結果、当社グループの業績は前期に比べて増収増益となりました。
当社が経営上の目標として掲げる指標と実績は、次のとおりです。
(注) 営業利益率、ROICの目標及び実績は非継続事業を除いた継続事業のみで表示しています。
2026年3月期の事業環境につきましては、不安定な国際情勢による地政学的リスクや為替相場の動向に加え、不確実な米国通商政策の影響による世界経済の減速リスクをはらんでいます。当社グループの産業機械事業及び自動車事業の需要動向についても、先行き不透明な状況が続くことが想定されます。このような環境下においても、当社グループは企業理念のもと、トライボロジーとデジタルの融合による価値創出で、持続可能な社会の発展に貢献し、社会から必要とされ、信頼され、選ばれ続ける企業を目指していきます。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
①財務戦略の基本方針
『中期経営計画2026』では、持続可能な社会への貢献と不断の企業価値の向上を目指すために、安定した財務体質のもと、収益を伴う成長を遂げてキャッシュを創出することにより、当社の持続的成長のために必要な投資と株主の皆様への安定的な利益還元に資金配分を継続することを、財務戦略の基本方針としています。
(a) 財務安定性の維持
当社グループの持続的な成長を支え、事業環境の変化にも耐え得るには、「財務安定性の維持」が前提となります。自己資本比率、ネットD/Eレシオ、手元流動性など、当社グループの財務安定性を示す指標は健全な状態を保って推移しています。『中期経営計画2026』では、ネットD/Eレシオの目標を0.4倍以下とすることで、安定的な財務基盤を確保しつつ機動的かつ効果的な有利子負債の活用を図っています。
(b) 収益を伴う成長
安定した財務体質の下、当社グループは「収益を伴う成長」を持続的に遂げて、キャッシュを創出していきます。創出したキャッシュにより、設備投資や研究開発投資、ESG経営に必要な人的資本、DX、さらにはM&A等への投資を実施して経営資源の強化を図り、当社グループの持続的成長と次のキャッシュ創出に繋げていく考えです。
また、株主・投資家の皆様が期待する資本コストを上回る収益率をあげることは、株式上場会社の使命と言えます。当社は、過去の株価動向と事業特性、及び株式市場の現況から推計した当社の株主資本コストは概ね8%~9%と認識しており、『中期経営計画2026』では「ROE 8%」、「ROIC 6%」を資本効率性の経営目標に設定しました。現状の事業環境では「ROE 8%」の到達は困難な状況ですが、販売ポートフォリオの改善、当初想定よりも低迷している需要環境の変化に対応した構造改革の追加対策の実行、収益体質のさらなる改善を進めて、「ROE 8%」の早期実現に向けて取り組んでいきます。
(c) 安定的な利益還元
当社グループは株主の皆様に対する「安定的な利益還元」を重要な経営方針の一つとしています。『中期経営計画2026』においては、配当性向30%~50%に加えて、DOE(親会社所有者帰属持分配当率)2.5%を下限の目安とする目標を掲げて、株主の皆様へ安定的・継続的な配当を実施する方針です。また、機動的な資本政策の手法として、自己株式の取得も選択肢の一つと認識しています。自己株式の取得は、キャッシュ・ポジションや株式市場の動向等を勘案して適切かつ機動的に実施したいと考えており、これらの実行にあたっては、財務状況等を勘案して適切に決定していきます。
②財務状況
当連結会計年度の財政状態は次のとおりです。
③財務活動の振り返り
当社グループは、経営資源を有効活用するため資産効率の向上に取り組んでいます。当連結会計年度においては、引き続き政策保有株式の縮減を進めたことに伴うその他の金融資産の売却により88億58百万円の収入がありました。これにより、当社が保有する政策保有株式の銘柄数は、当連結会計年度において6銘柄(うち上場株式5銘柄)を縮減しています。加えて、近年、退職給付信託を含む年金資産が退職給付債務に対して大幅な積立超過の状況にあり、今後もその状況が継続することが見込まれることから、2025年2月に退職給付信託から700億円の返還を受けました。これ等により得られた資金は、経営資源の強化を図るための設備投資や研究開発投資、人的資本やDXへの投資、さらにはM&Aなど、当社グループが持続的成長を遂げるための投資資金として有効活用します。
資金調達においては、サステナブルファイナンスのスキームを用いた資金調達も採り入れています。当連結会計年度においては、当社グループの人的資本経営に関する取り組みと情報開示を評価する長期借入契約を締結しました。この契約にあたり、外部評価機関から、当社グループの経営人材育成に関する取り組みと健康・安全に関する情報開示について特に高い評価を受けています。当社グループは『中期経営計画2026』の経営課題の1つに「ESG経営」を掲げており、資金調達おいても持続可能な社会の発展へ貢献していきます。
利益還元については、当連結会計年度より株主還元方針にDOE(親会社所有者帰属持分配当率)を採用しました。各期の配当は、配当性向30%~50%に加えて、DOE2.5%を下限の目安に、株主の皆様へ安定的・継続的な配当を実施する方針です。当方針を踏まえた上で当期の業績や今後の事業環境等を総合的に勘案した結果、当連結会計年度の1株当たり配当金は前連結会計年度から4円増配した34円としました。
④資金調達の方針
当社グループは現在、自己資金及び金融機関の借入れ等により資金調達を行っています。運転資金について借入れによる資金調達を行う場合、期限が一年以内の短期借入金で各連結会社がその現地通貨で調達することが一般的で、生産設備などの長期資金は、主として長期借入金及び社債で調達しています。
有価証券報告書提出日現在において、格付投資情報センターから「A」、日本格付研究所から「A+」の格付を取得しており、外部からの資金調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。当社グループは、その健全な財務状況、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力、金融機関とのコミットメントライン契約金額400億円や、コマーシャルペーパー発行枠500億円などにより必要資金の確保と緊急時の流動性を確保しています。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの販売・生産品目は極めて広範囲かつ多種多様であり、また見込み生産を行う製品もあるため、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示していません。このため、販売及び生産の状況については、「(2)財政状態及び経営成績の状況」に関連づけて記載しています。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの事業展開、経営成績及び財務状況等に重要な影響を与えるリスク要因については、「3[事業等のリスク]」に記載のとおりです。
セグメント情報
4.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの事業セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務諸表が入手可能であり、当社の取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは顧客産業別の事業本部制を敷き、各事業本部は包括的な戦略を立案し事業活動を展開していることから、その構成単位である「産業機械事業」、「自動車事業」の二つを報告セグメントとしています。
「産業機械事業」は、一般産業向けの軸受、精密機器関連製品、状態監視システム等を製造・販売しています。
「自動車事業」は、自動車及び自動車部品メーカー向けの軸受、自動変速機用部品等を製造・販売しています。
前第1四半期連結会計期間より従来自動車事業に含まれていたステアリング事業を非継続事業に分類しており、セグメント情報は非継続事業を除く継続事業のみの金額を表示しています。なお、当社は2023年8月1日にNS&Cに対する支配を喪失し、前第2四半期連結会計期間よりNS&Cは当社の持分法適用関連会社となりました。NS&C及び同社の子会社に係る持分法による投資利益は、継続事業として自動車事業の区分に含めています。
(2) セグメント毎の売上高及び業績
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「重要性がある会計方針」における記載と同一です。セグメント間の売上高は市場実勢価格に基づいています。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、鋼球の製造・販売事業及び機械設備製造事業等を含んでいます。
2 セグメント利益の調整額△1,543百万円には、セグメント間取引消去△229百万円、各報告セグメントに配分していないその他の営業費用△1,313百万円が含まれています。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、鋼球の製造・販売事業及び機械設備製造事業等を含んでいます。
2 セグメント利益の調整額△3,849百万円には、セグメント間取引消去105百万円、各報告セグメントに配分していないその他の営業費用△3,955百万円が含まれています。
(3) 製品及びサービスごとの情報
「(2) セグメント毎の売上高及び業績」に同様の情報を開示しているため、記載を省略しています。
(4) 地域別の情報
① 外部顧客への売上高
「注記21.売上高」に同様の情報を開示しているため、記載を省略しています。
② 非流動資産
前連結会計年度は売却目的保有に分類される処分グループに分類した資産を含めていません。また、売却目的保有に分類される処分グループに係る資産の当連結会計年度末残高はありません。
(注) 1 非流動資産は有形固定資産、のれん及び無形資産の残高です。
2 国又は地域の分類は、地域的近接度によっています。
3 日本及び中国以外の分類に属する主な国又は地域
米州:米国、カナダ、メキシコ、ブラジル等
欧州:英国、ドイツ、ポーランド等欧州諸国等
その他アジア:日本及び中国を除いた東アジア、東南アジア諸国、インド及びオーストラリア等
(5) 主要な顧客に関する情報
前連結会計年度及び当連結会計年度において、外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載をしていません。